加熱温度調節機能を備えた太陽炉
【課題】 使用時における安全性の確保や加熱温度の維持に必要な加熱温度の調節を精確に、かつ、安定して行うことができ、また、レンズや反射鏡の大型化にも容易に対応可能で、しかも、レンズや反射鏡等の構造を複雑化させる必要もない加熱温度調節機能を備えた太陽炉を提供すること。
【解決手段】 太陽光を集光するための集光レンズ11或いは凹面反射鏡12を備えた集光光学系1と;この集光光学系1により収束する光の焦点位置、若しくはその近傍に設けられた加熱部2とを有する太陽炉において、
前記集光光学系1と加熱部2との間に、遮蔽物で囲まれた開口部Aの大きさによって収束する光の通過面積を増減させる絞り機構3を設けて構成したことにより、
前記加熱部2に配置された被加熱物Tに対する太陽光の照射量を絞り機構3の開口部Aの大きさで調整して加熱温度を調節可能とした。
【解決手段】 太陽光を集光するための集光レンズ11或いは凹面反射鏡12を備えた集光光学系1と;この集光光学系1により収束する光の焦点位置、若しくはその近傍に設けられた加熱部2とを有する太陽炉において、
前記集光光学系1と加熱部2との間に、遮蔽物で囲まれた開口部Aの大きさによって収束する光の通過面積を増減させる絞り機構3を設けて構成したことにより、
前記加熱部2に配置された被加熱物Tに対する太陽光の照射量を絞り機構3の開口部Aの大きさで調整して加熱温度を調節可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽炉の改良、詳しくは、加熱温度の調節を精確に、かつ、安定して行うことができ、また、レンズや反射鏡の大型化にも容易に対応することが可能で、しかも、レンズや反射鏡等の構造を複雑化させる必要もない加熱温度調節機能を備えた太陽炉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、「太陽炉」は、凸レンズや凹面反射鏡等によって集光された太陽光を焦点近傍に配置されたターゲット(被加熱物)に照射して、太陽光エネルギーを熱エネルギーに変換して利用する装置であり、近年では太陽熱発電の熱源や調理器具(ソーラークッカー)、物質の熔解実験などに幅広く利用されている。
【0003】
ところが、従来の太陽炉は、想定温度よりも加熱温度が高くなることによって様々な危険が生じたため(例えば、調理時の加熱において油の発火点を超えてしまう場合や、溶解実験において想定温度よりも遥かに高い温度で加熱されてしまう場合など)、使用時の安全性を確保するために加熱温度を調節する必要があった。
【0004】
また、上記加熱温度の調節は、安全性の面だけでなく、加熱温度を一定に保った状態で長時間の加熱を行う際にも必須であった(日射量は天候や太陽の高度によって大きく変化するため、そのまま放置すると、空が曇って加熱温度が急激に低下したり、朝から夕方にかけて加熱温度が激しく上下したりする)。
【0005】
そこで、従来においては、太陽光を集光するレンズや反射鏡の有効面積を拡大または縮小することによって加熱温度を調節する技術が提案され、その具体的方法の一つとして反射鏡の上側に遮光材を配置して、この遮光材で反射鏡に入射する太陽光の光量を調整する方法が公知となっている(特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、上記集光部材(反射鏡やレンズ)への入射光量を調整する方法では、遮光材の大きさを集光部材のサイズに合わせる必要があったため、集光部材を数千℃の加熱も可能な大型なものに変更すると、遮光材もそれに合わせて大型化しなければならず、温度調節装置の付け替えが必要となった。
【0007】
また、レンズや反射鏡の有効面積を拡大・縮小する方法としては、他にも集光部材を複数の分割パーツから構成して(例えば、特許文献2,3等)、使用する分割パーツの数を増減させることで有効面積を変化させる方法も公知となっているが、この方法では、集光部材の構造が複雑になるだけでなく、集光量の微妙な調整も難しかった。
【0008】
一方、太陽炉の加熱温度を調節する方法としては、ターゲットを集光部材と焦点の間の光軸上で移動させて、ターゲットへの太陽光の照射量を調整する方法も考えられたが、この方法だとターゲットの大きさや形状によって照射漏れの量が変わってくるため、加熱温度の調整が不安定になり易かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開昭59−113169号公報
【特許文献2】特開2003−279165号公報
【特許文献3】特開2009−257732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、使用時における安全性の確保や加熱温度の維持に必要な加熱温度の調節を精確に、かつ、安定して行うことができ、また、レンズや反射鏡の大型化にも容易に対応可能で、しかも、レンズや反射鏡等の構造を複雑化させる必要もない加熱温度調節機能を備えた太陽炉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0012】
即ち、本発明は、太陽光を集光するための集光レンズ11或いは凹面反射鏡12を備えた集光光学系1と;この集光光学系1により収束する光の焦点位置、若しくはその近傍に設けられた加熱部2とを有する太陽炉において、
前記集光光学系1と加熱部2との間に、遮蔽物で囲まれた開口部Aの大きさによって収束する光の通過面積を増減させる絞り機構3を設けて構成したことにより、
前記加熱部2に配置された被加熱物Tに対する太陽光の照射量を絞り機構3の開口部Aの大きさで調整して加熱温度を調節可能とした点に特徴がある。
【0013】
また、上記絞り機構3については、対向する二辺にスライドガイド31a・31aが平行に配置された四角形の基枠31内側に、二枚の遮光幕32・32を両開き式に装着して構成することにより、簡単な構造で開口部の大きさを調整することができる。
【0014】
また更に、上記絞り機構3において、スライドガイド31a・31aに装着された二枚の遮光幕32・32を手動式のリニアアクチュエータ33に連繋すれば、このリニアアクチュエータ33のハンドル部33cを操作するだけで二枚の遮光幕32・32を左右対称に簡単に開閉できる。
【0015】
一方、本発明では、上記絞り機構3において、スライドガイド31a・31aに装着された二枚の遮光幕32・32を電動式のリニアアクチュエータ33に連繋して構成することもでき、その場合には、このリニアアクチュエータ33の駆動モータ33bを稼働させて二枚の遮光幕32・32を開閉することができるため、開閉作業の省力化を図れる。
【0016】
なお、本明細書中において使用する上記「リニアアクチュエータ」は、連結した対象物を往復直線運動させる機構全般を指すものとし、その中には、送りネジを用いたものやガス圧、液圧式の流体圧シリンダ、電磁式のリニアモータ等が含まれるものとする。
【0017】
また、絞り機構3のリニアアクチュエータ33に送りネジ33aを使用する場合には、この送りネジ33aのネジ軸上を移動するナット部Nと遮光幕32・32の内側とを連結部材32bで連結するだけの簡単な構造でリニアアクチュエータ33を構成することができる。
【0018】
また他にも、本発明では、上記加熱部2及び絞り機構3に対し、加熱温度の調節を自動的に行うための自動調節装置4を付設することができ、この自動調節装置4については、加熱部2の温度を検知する温度センサ41と、この温度センサ41が検知した情報と設定温度とを比較し、加熱温度が設定温度に近づくようにリニアアクチュエータ33を制御して遮光幕32・32を開閉せしめる開閉制御部42とから構成することができる。
【0019】
そしてまた、上記絞り機構3については、より精確に集光量を調節できるようにするためにカメラ式の絞り機構3(例えば、虹彩絞り等)を用いることもでき、具体的には、基枠31に設けられた孔の周縁部に、複数枚の絞り羽根36・36…を回転自在に、かつ、隣り合う羽根と重なり合うように取着して、これらの絞り羽根36・36…を孔の内側または外側に回転させることによって開口部Aの大きさを調節可能とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、太陽炉の集光部材と加熱部との間に絞り機構を設けて、太陽光を絞り機構の開口部を通して集光可能としたことにより、収束する光の通過面積を絞り機構の開口部の大きさによって調整することができるため、この絞り機構を用いてターゲットへの太陽光の照射量を増減させて加熱温度を調節することが可能となる。
【0021】
しかも、上記絞り機構を最大に開いた状態で、集光された光束が全て照射されるようにターゲットを配置すれば、照射漏れを発生させずに加熱温度の調節を精確に、かつ、安定して行うことができるため、使用時における安全性の確保、及び天候等に左右されない加熱温度の維持も可能となる。
【0022】
なお、上記「絞り機構を最大に開いた状態」とは、あくまで使用時にターゲットに対する加熱温度が最高となるように絞りを開いた状態であって、集光部材により集光された全ての太陽光が照射される状態とは限らず、設定する加熱温度が低い場合には半開きの状態を最大とすることもできる。
【0023】
また更に、本発明では、上記絞り機構を用いたことによって、太陽炉の集光部材を大型化する場合であっても、絞り機構を加熱部側に寄せて配置するだけで容易に対応することができ、また、レンズや反射鏡を複数に分割して構成する必要もないため、太陽炉の構造が複雑化することもない。
【0024】
したがって、本発明により、自然エネルギーを有効に利用できるだけでなく、使用時の安全性や製造コスト、取扱いの容易性の点でも非常に都合の良い加熱温度調節機能を備えた太陽炉を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1における太陽炉を表わす全体斜視図である。
【図2】本発明の実施例1における太陽炉の構造を表わす概略図である。
【図3】本発明の実施例1における太陽炉の絞り機構を表わす正面図である。
【図4】本発明の実施例1における太陽炉の絞り機構の構造を表わす拡大斜視図である。
【図5】本発明の実施例1における絞り機構のリニアアクチュエータの構造を表わす概略図である。
【図6】本発明の実施例1の太陽炉において絞り機構を開く状態を表わす状態説明図である。
【図7】本発明の実施例1の太陽炉において絞り機構を閉じる状態を表わす状態説明図である。
【図8】本発明の実施例1における絞り機構と太陽光の照射量の関係を表わす状態説明図である。
【図9】本発明の実施例1における加熱温度の自動調節装置を表わす概略図である。
【図10】本発明の実施例2における太陽炉の絞り機構を表わす全体斜視図である。
【図11】本発明の変形例における太陽炉を表わす概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
『実施例1』
本発明の実施例1について、図1から図9に基いて説明する。同図において、符号1で指示するものは、集光光学系であり、符号2で指示するものは、加熱部である。また符号3で指示するものは、絞り機構であり、符号4で指示するものは、自動調節装置である。
【0027】
[太陽炉の構成]
まずこの実施例1では、太陽光を集光するための集光光学系1に大型の集光レンズ11(フレネルレンズ)を使用すると共に、太陽炉の基台Bから伸びた二本の支持フレームS・Sの先端に前記集光レンズ11を固定して、超高温加熱が可能な溶融実験用の大型太陽炉を構成している(図1参照)。
【0028】
また、上記太陽炉については、基台Bを水平方向に旋回可能に構成する一方、支持フレームS・Sを基台Bに対して傾倒・起立可能な構造とすることで、集光レンズ11の向き・角度を、軌道上を移動する太陽を追尾して調節できるようにしている。なお、集光レンズ11の角度調節機構については、特願2006-261778に係る技術を採用している。
【0029】
そしてまた、上記太陽炉の基台B上には、被加熱物Tが収容される金属ボックス21(材質:ステンレス)を配置して、図2に示すように集光光学系1によって収束する光の焦点位置に加熱部2を設けている。また、本実施例では、断熱材22を詰めた金属ボックス21の中央に被加熱物Tを入れたるつぼ23を配置して使用している。
【0030】
ちなみに、溶融実験時において雰囲気調整を行いたい場合には、上記金属ボックス21の上側をガラス材等で蓋をすることで、内部を密閉状態にすることが可能である。また、金属ボックス21の固定部には、リンク式の伸縮機構を付設しているため、必要であれば金属ボックス21の位置を光軸上で移動させることもできる。
【0031】
一方、上記集光光学系1と加熱部2との間には、遮蔽物で囲まれた開口部Aの大きさによって収束する光の通過面積を増減させる絞り機構3を設けており、本実施例では、上記支持フレームS・Sの内側にインナーフレームF・Fを配設して、これに絞り機構3の基枠31を集光レンズ11と平行に固定している。
【0032】
また、上記絞り機構3については、対向する二辺にスライドガイド31a・31a(スライドポール)を平行に配置した四角形型の基枠31内側に、二枚の遮光幕32・32をリング状のランナ32a・32a…を介して両開き式に装着して構成している(図3参照)。なお本実施例では、遮光幕32・32に安全性を考慮して防炎シートを使用している。
【0033】
そしてまた、上記二枚の遮光幕32・32については、その内側の上下隅部をリニアアクチュエータ33に連結している。具体的に本実施例では、図4に示すように遮光幕32を送りネジ33a(ボールネジ)のナット部Nに連結部材32bを介して連結し、ネジ軸上を移動するナット部Nに連動させて遮光幕32・32の開閉が行えるようにしている。
【0034】
また、上記リニアアクチュエータ33については、図5に示すように装着する遮光幕32・32の上側及び下側に前後にズラして配置すると共に、前後の送りネジ33a・33a同士をギア34を介して回転方向が反転するように連結している。また、上下の送りネジ33a・33aについても、ギア34と縦方向のシャフト35を介して連動するように連結している。
【0035】
そして更に、本実施例では、上記上側の送りネジ33aの一つを減速機付きの駆動モータ33bに連結すると共に、下側の送りネジ33aの一つをハンドル部33cに連結することによって、リニアアクチュエータ33を駆動モータ33bで電動式に稼働させることも、ハンドル部33cで手動操作することもできるようにしている。
【0036】
そして、上記リニアアクチュエータ33を用いて絞り機構3を構成したことにより、駆動モータ33b或いはハンドル部33cによって送りネジ33aを所定方向に回転させれば、遮光幕32・32を左右対称に同時に開くことができ(図6参照)、また逆に、送りネジ33aを反対方向に回転させれば、遮光幕32・32を左右同時に閉じることもできる(図7参照)。
【0037】
このように、上記絞り機構3を用いれば開口部Aの大きさを遮光幕32・32の開閉によって調整して、加熱部2に対する太陽光の照射量を図8(a)〜(c)に示すように増減させることができるため、加熱部2に配置された被加熱物Tへの加熱温度を精確に調節することができる。
【0038】
また更に、本実施例においては、図9に示すように太陽炉に加熱温度の調節を自動的に行う自動調節装置4を付設しているため、この自動調節装置4を起動させれば長時間の加熱実験を放置した状態で行った場合でも、非加熱物Tに対する加熱温度を設定温度で維持することができる。
【0039】
なお、上記自動調節装置4については、加熱部2の温度を検知する温度センサ41(熱電対)と、この温度センサ41が検知した情報に基いて絞り機構3のリニアアクチュエータ33の駆動モータ32bを制御して遮光幕32・32を開閉させる開閉制御部42とから構成しており、それぞれを有線で接続して構成している。
【0040】
また、上記自動調節装置4の制御プロセスについても簡単に説明すると、まず温度センサ41によって加熱部2の温度を検出した後、開閉制御部42で検出した温度情報と予め入力された設定温度とを比較し、その温度差がなくなるようにリニアアクチュエータ33の駆動モータ33bをPID制御して遮光幕32・32の開閉を行う。
【0041】
そして、上記温度センサ41による検出が行われてから一定時間(本実施例では、「5秒間隔」)が経過した後、再び温度センサ41によって加熱部2の温度を検出し、遮光幕32・32の開閉制御を繰り返し行うことによって加熱温度が常に設定温度から大きく外れないように調節する。
【0042】
また本実施例では、上記開閉制御部42の操作盤において、設定温度の入力、加熱部2の温度を検出する間隔(遮光幕32・32の開閉制御を行う間隔)の設定、駆動モータ33bのスピード設定(遮光幕32・32の開閉スピードの設定)、リニアアクチュエータ33の自動・手動の切り替え、駆動モータ33bによる遮光幕32・32の開閉操作を行えるようにしている。
【0043】
『実施例2』
次に、本発明の実施例2について、図10に基いて説明する。この実施例2では、太陽熱調理器のような比較的小型の太陽炉において、実施例1のような遮光幕タイプの絞り機構3を用いずに、集光量をより精確に調整できるカメラ式の絞り機構3を用いて加熱温度の調節を行えるようにしている。
【0044】
なお、上記カメラ式の絞り機構3とは、基枠31に設けられた孔の周縁部に、複数枚の絞り羽根36・36…を回転自在に、かつ、隣り合う羽根と重なり合うように取着して、これらの絞り羽根36・36…を駆動モータで孔の内側または外側に回転させることによって開口部Aの大きさを調節する機構である。
【0045】
また本発明は、概ね上記のように構成されるが、記載した実施例に限定されるものではなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、集光光学系1は、集光レンズ11にフレネルレンズでなく凸レンズを用いることもでき、また図11に示すような凹面反射鏡12を用いることもでき、またレンズや反射鏡を組み合わせたものを採用することもできる。
【0046】
また、絞り機構3に関しても、基枠31のスライドガイド31aにポール式のものでなくスライドレールを用いて、レール内に掛止した状態で装着するランナ32aを介して遮光幕32・32を取り付けることもできる。そしてまた、リニアアクチュエータ33には、ガス圧、液圧式の流体圧シリンダや電磁式のリニアモータ等も使用できる。
【0047】
また更に、リニアアクチュエータ33に送りネジ33aを使用する場合には、送りネジ33aの半分を右ネジとし、もう半分を左ネジとすることにより、前後の送りネジ33aを一本化することもでき、また上下の送りネジ33a・33aをローラチェーンやタイミングベルトによって連結することもできる。
【0048】
また、絞り機構3については、開口部Aの大きさを調整して通過する光量を調節できる構造となっていればよく、例えば、遮光板を四方からスライドさせる機構や、基枠の角度を調節して光軸から見た開口部の大きさを変える機構等も全て含まれ、何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0049】
近年、化石燃料の枯渇やCO2排出による地球温暖化の問題により、太陽光エネルギーを利用したエネルギーシステムの研究が進められており、太陽光を熱エネルギーに変換して利用する太陽炉も、そのエネルギーシステムの一つとして実用化に向けた研究開発が行われている。
【0050】
そのような中で、本発明の加熱温度調節機能を備えた太陽炉は、太陽炉の温度調節によって使用時の安全性が高まるだけでなく、特定の温度域での長時間加熱を可能とすることによって加熱実験や加熱調理の用途幅を広げることもできる有用な技術であるため、その産業上の利用価値は非常に高い。
【符号の説明】
【0051】
1 集光光学系
11 集光レンズ
12 凹面反射鏡
2 加熱部
21 金属ボックス
22 断熱材
23 るつぼ
3 絞り機構
31 基枠
31a スライドガイド
32 遮光幕
32a ランナ
32b 連結部材
33 リニアアクチュエータ
33a 送りネジ
33b 駆動モータ
33c ハンドル部
34 ギア
35 シャフト
36 絞り羽根
4 自動調節装置
41 温度センサ
42 開閉制御部
B 基台
S 支持フレーム
T 被加熱物
A 開口部
F インナーフレーム
N ナット部
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽炉の改良、詳しくは、加熱温度の調節を精確に、かつ、安定して行うことができ、また、レンズや反射鏡の大型化にも容易に対応することが可能で、しかも、レンズや反射鏡等の構造を複雑化させる必要もない加熱温度調節機能を備えた太陽炉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、「太陽炉」は、凸レンズや凹面反射鏡等によって集光された太陽光を焦点近傍に配置されたターゲット(被加熱物)に照射して、太陽光エネルギーを熱エネルギーに変換して利用する装置であり、近年では太陽熱発電の熱源や調理器具(ソーラークッカー)、物質の熔解実験などに幅広く利用されている。
【0003】
ところが、従来の太陽炉は、想定温度よりも加熱温度が高くなることによって様々な危険が生じたため(例えば、調理時の加熱において油の発火点を超えてしまう場合や、溶解実験において想定温度よりも遥かに高い温度で加熱されてしまう場合など)、使用時の安全性を確保するために加熱温度を調節する必要があった。
【0004】
また、上記加熱温度の調節は、安全性の面だけでなく、加熱温度を一定に保った状態で長時間の加熱を行う際にも必須であった(日射量は天候や太陽の高度によって大きく変化するため、そのまま放置すると、空が曇って加熱温度が急激に低下したり、朝から夕方にかけて加熱温度が激しく上下したりする)。
【0005】
そこで、従来においては、太陽光を集光するレンズや反射鏡の有効面積を拡大または縮小することによって加熱温度を調節する技術が提案され、その具体的方法の一つとして反射鏡の上側に遮光材を配置して、この遮光材で反射鏡に入射する太陽光の光量を調整する方法が公知となっている(特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、上記集光部材(反射鏡やレンズ)への入射光量を調整する方法では、遮光材の大きさを集光部材のサイズに合わせる必要があったため、集光部材を数千℃の加熱も可能な大型なものに変更すると、遮光材もそれに合わせて大型化しなければならず、温度調節装置の付け替えが必要となった。
【0007】
また、レンズや反射鏡の有効面積を拡大・縮小する方法としては、他にも集光部材を複数の分割パーツから構成して(例えば、特許文献2,3等)、使用する分割パーツの数を増減させることで有効面積を変化させる方法も公知となっているが、この方法では、集光部材の構造が複雑になるだけでなく、集光量の微妙な調整も難しかった。
【0008】
一方、太陽炉の加熱温度を調節する方法としては、ターゲットを集光部材と焦点の間の光軸上で移動させて、ターゲットへの太陽光の照射量を調整する方法も考えられたが、この方法だとターゲットの大きさや形状によって照射漏れの量が変わってくるため、加熱温度の調整が不安定になり易かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開昭59−113169号公報
【特許文献2】特開2003−279165号公報
【特許文献3】特開2009−257732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、使用時における安全性の確保や加熱温度の維持に必要な加熱温度の調節を精確に、かつ、安定して行うことができ、また、レンズや反射鏡の大型化にも容易に対応可能で、しかも、レンズや反射鏡等の構造を複雑化させる必要もない加熱温度調節機能を備えた太陽炉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0012】
即ち、本発明は、太陽光を集光するための集光レンズ11或いは凹面反射鏡12を備えた集光光学系1と;この集光光学系1により収束する光の焦点位置、若しくはその近傍に設けられた加熱部2とを有する太陽炉において、
前記集光光学系1と加熱部2との間に、遮蔽物で囲まれた開口部Aの大きさによって収束する光の通過面積を増減させる絞り機構3を設けて構成したことにより、
前記加熱部2に配置された被加熱物Tに対する太陽光の照射量を絞り機構3の開口部Aの大きさで調整して加熱温度を調節可能とした点に特徴がある。
【0013】
また、上記絞り機構3については、対向する二辺にスライドガイド31a・31aが平行に配置された四角形の基枠31内側に、二枚の遮光幕32・32を両開き式に装着して構成することにより、簡単な構造で開口部の大きさを調整することができる。
【0014】
また更に、上記絞り機構3において、スライドガイド31a・31aに装着された二枚の遮光幕32・32を手動式のリニアアクチュエータ33に連繋すれば、このリニアアクチュエータ33のハンドル部33cを操作するだけで二枚の遮光幕32・32を左右対称に簡単に開閉できる。
【0015】
一方、本発明では、上記絞り機構3において、スライドガイド31a・31aに装着された二枚の遮光幕32・32を電動式のリニアアクチュエータ33に連繋して構成することもでき、その場合には、このリニアアクチュエータ33の駆動モータ33bを稼働させて二枚の遮光幕32・32を開閉することができるため、開閉作業の省力化を図れる。
【0016】
なお、本明細書中において使用する上記「リニアアクチュエータ」は、連結した対象物を往復直線運動させる機構全般を指すものとし、その中には、送りネジを用いたものやガス圧、液圧式の流体圧シリンダ、電磁式のリニアモータ等が含まれるものとする。
【0017】
また、絞り機構3のリニアアクチュエータ33に送りネジ33aを使用する場合には、この送りネジ33aのネジ軸上を移動するナット部Nと遮光幕32・32の内側とを連結部材32bで連結するだけの簡単な構造でリニアアクチュエータ33を構成することができる。
【0018】
また他にも、本発明では、上記加熱部2及び絞り機構3に対し、加熱温度の調節を自動的に行うための自動調節装置4を付設することができ、この自動調節装置4については、加熱部2の温度を検知する温度センサ41と、この温度センサ41が検知した情報と設定温度とを比較し、加熱温度が設定温度に近づくようにリニアアクチュエータ33を制御して遮光幕32・32を開閉せしめる開閉制御部42とから構成することができる。
【0019】
そしてまた、上記絞り機構3については、より精確に集光量を調節できるようにするためにカメラ式の絞り機構3(例えば、虹彩絞り等)を用いることもでき、具体的には、基枠31に設けられた孔の周縁部に、複数枚の絞り羽根36・36…を回転自在に、かつ、隣り合う羽根と重なり合うように取着して、これらの絞り羽根36・36…を孔の内側または外側に回転させることによって開口部Aの大きさを調節可能とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、太陽炉の集光部材と加熱部との間に絞り機構を設けて、太陽光を絞り機構の開口部を通して集光可能としたことにより、収束する光の通過面積を絞り機構の開口部の大きさによって調整することができるため、この絞り機構を用いてターゲットへの太陽光の照射量を増減させて加熱温度を調節することが可能となる。
【0021】
しかも、上記絞り機構を最大に開いた状態で、集光された光束が全て照射されるようにターゲットを配置すれば、照射漏れを発生させずに加熱温度の調節を精確に、かつ、安定して行うことができるため、使用時における安全性の確保、及び天候等に左右されない加熱温度の維持も可能となる。
【0022】
なお、上記「絞り機構を最大に開いた状態」とは、あくまで使用時にターゲットに対する加熱温度が最高となるように絞りを開いた状態であって、集光部材により集光された全ての太陽光が照射される状態とは限らず、設定する加熱温度が低い場合には半開きの状態を最大とすることもできる。
【0023】
また更に、本発明では、上記絞り機構を用いたことによって、太陽炉の集光部材を大型化する場合であっても、絞り機構を加熱部側に寄せて配置するだけで容易に対応することができ、また、レンズや反射鏡を複数に分割して構成する必要もないため、太陽炉の構造が複雑化することもない。
【0024】
したがって、本発明により、自然エネルギーを有効に利用できるだけでなく、使用時の安全性や製造コスト、取扱いの容易性の点でも非常に都合の良い加熱温度調節機能を備えた太陽炉を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1における太陽炉を表わす全体斜視図である。
【図2】本発明の実施例1における太陽炉の構造を表わす概略図である。
【図3】本発明の実施例1における太陽炉の絞り機構を表わす正面図である。
【図4】本発明の実施例1における太陽炉の絞り機構の構造を表わす拡大斜視図である。
【図5】本発明の実施例1における絞り機構のリニアアクチュエータの構造を表わす概略図である。
【図6】本発明の実施例1の太陽炉において絞り機構を開く状態を表わす状態説明図である。
【図7】本発明の実施例1の太陽炉において絞り機構を閉じる状態を表わす状態説明図である。
【図8】本発明の実施例1における絞り機構と太陽光の照射量の関係を表わす状態説明図である。
【図9】本発明の実施例1における加熱温度の自動調節装置を表わす概略図である。
【図10】本発明の実施例2における太陽炉の絞り機構を表わす全体斜視図である。
【図11】本発明の変形例における太陽炉を表わす概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
『実施例1』
本発明の実施例1について、図1から図9に基いて説明する。同図において、符号1で指示するものは、集光光学系であり、符号2で指示するものは、加熱部である。また符号3で指示するものは、絞り機構であり、符号4で指示するものは、自動調節装置である。
【0027】
[太陽炉の構成]
まずこの実施例1では、太陽光を集光するための集光光学系1に大型の集光レンズ11(フレネルレンズ)を使用すると共に、太陽炉の基台Bから伸びた二本の支持フレームS・Sの先端に前記集光レンズ11を固定して、超高温加熱が可能な溶融実験用の大型太陽炉を構成している(図1参照)。
【0028】
また、上記太陽炉については、基台Bを水平方向に旋回可能に構成する一方、支持フレームS・Sを基台Bに対して傾倒・起立可能な構造とすることで、集光レンズ11の向き・角度を、軌道上を移動する太陽を追尾して調節できるようにしている。なお、集光レンズ11の角度調節機構については、特願2006-261778に係る技術を採用している。
【0029】
そしてまた、上記太陽炉の基台B上には、被加熱物Tが収容される金属ボックス21(材質:ステンレス)を配置して、図2に示すように集光光学系1によって収束する光の焦点位置に加熱部2を設けている。また、本実施例では、断熱材22を詰めた金属ボックス21の中央に被加熱物Tを入れたるつぼ23を配置して使用している。
【0030】
ちなみに、溶融実験時において雰囲気調整を行いたい場合には、上記金属ボックス21の上側をガラス材等で蓋をすることで、内部を密閉状態にすることが可能である。また、金属ボックス21の固定部には、リンク式の伸縮機構を付設しているため、必要であれば金属ボックス21の位置を光軸上で移動させることもできる。
【0031】
一方、上記集光光学系1と加熱部2との間には、遮蔽物で囲まれた開口部Aの大きさによって収束する光の通過面積を増減させる絞り機構3を設けており、本実施例では、上記支持フレームS・Sの内側にインナーフレームF・Fを配設して、これに絞り機構3の基枠31を集光レンズ11と平行に固定している。
【0032】
また、上記絞り機構3については、対向する二辺にスライドガイド31a・31a(スライドポール)を平行に配置した四角形型の基枠31内側に、二枚の遮光幕32・32をリング状のランナ32a・32a…を介して両開き式に装着して構成している(図3参照)。なお本実施例では、遮光幕32・32に安全性を考慮して防炎シートを使用している。
【0033】
そしてまた、上記二枚の遮光幕32・32については、その内側の上下隅部をリニアアクチュエータ33に連結している。具体的に本実施例では、図4に示すように遮光幕32を送りネジ33a(ボールネジ)のナット部Nに連結部材32bを介して連結し、ネジ軸上を移動するナット部Nに連動させて遮光幕32・32の開閉が行えるようにしている。
【0034】
また、上記リニアアクチュエータ33については、図5に示すように装着する遮光幕32・32の上側及び下側に前後にズラして配置すると共に、前後の送りネジ33a・33a同士をギア34を介して回転方向が反転するように連結している。また、上下の送りネジ33a・33aについても、ギア34と縦方向のシャフト35を介して連動するように連結している。
【0035】
そして更に、本実施例では、上記上側の送りネジ33aの一つを減速機付きの駆動モータ33bに連結すると共に、下側の送りネジ33aの一つをハンドル部33cに連結することによって、リニアアクチュエータ33を駆動モータ33bで電動式に稼働させることも、ハンドル部33cで手動操作することもできるようにしている。
【0036】
そして、上記リニアアクチュエータ33を用いて絞り機構3を構成したことにより、駆動モータ33b或いはハンドル部33cによって送りネジ33aを所定方向に回転させれば、遮光幕32・32を左右対称に同時に開くことができ(図6参照)、また逆に、送りネジ33aを反対方向に回転させれば、遮光幕32・32を左右同時に閉じることもできる(図7参照)。
【0037】
このように、上記絞り機構3を用いれば開口部Aの大きさを遮光幕32・32の開閉によって調整して、加熱部2に対する太陽光の照射量を図8(a)〜(c)に示すように増減させることができるため、加熱部2に配置された被加熱物Tへの加熱温度を精確に調節することができる。
【0038】
また更に、本実施例においては、図9に示すように太陽炉に加熱温度の調節を自動的に行う自動調節装置4を付設しているため、この自動調節装置4を起動させれば長時間の加熱実験を放置した状態で行った場合でも、非加熱物Tに対する加熱温度を設定温度で維持することができる。
【0039】
なお、上記自動調節装置4については、加熱部2の温度を検知する温度センサ41(熱電対)と、この温度センサ41が検知した情報に基いて絞り機構3のリニアアクチュエータ33の駆動モータ32bを制御して遮光幕32・32を開閉させる開閉制御部42とから構成しており、それぞれを有線で接続して構成している。
【0040】
また、上記自動調節装置4の制御プロセスについても簡単に説明すると、まず温度センサ41によって加熱部2の温度を検出した後、開閉制御部42で検出した温度情報と予め入力された設定温度とを比較し、その温度差がなくなるようにリニアアクチュエータ33の駆動モータ33bをPID制御して遮光幕32・32の開閉を行う。
【0041】
そして、上記温度センサ41による検出が行われてから一定時間(本実施例では、「5秒間隔」)が経過した後、再び温度センサ41によって加熱部2の温度を検出し、遮光幕32・32の開閉制御を繰り返し行うことによって加熱温度が常に設定温度から大きく外れないように調節する。
【0042】
また本実施例では、上記開閉制御部42の操作盤において、設定温度の入力、加熱部2の温度を検出する間隔(遮光幕32・32の開閉制御を行う間隔)の設定、駆動モータ33bのスピード設定(遮光幕32・32の開閉スピードの設定)、リニアアクチュエータ33の自動・手動の切り替え、駆動モータ33bによる遮光幕32・32の開閉操作を行えるようにしている。
【0043】
『実施例2』
次に、本発明の実施例2について、図10に基いて説明する。この実施例2では、太陽熱調理器のような比較的小型の太陽炉において、実施例1のような遮光幕タイプの絞り機構3を用いずに、集光量をより精確に調整できるカメラ式の絞り機構3を用いて加熱温度の調節を行えるようにしている。
【0044】
なお、上記カメラ式の絞り機構3とは、基枠31に設けられた孔の周縁部に、複数枚の絞り羽根36・36…を回転自在に、かつ、隣り合う羽根と重なり合うように取着して、これらの絞り羽根36・36…を駆動モータで孔の内側または外側に回転させることによって開口部Aの大きさを調節する機構である。
【0045】
また本発明は、概ね上記のように構成されるが、記載した実施例に限定されるものではなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、集光光学系1は、集光レンズ11にフレネルレンズでなく凸レンズを用いることもでき、また図11に示すような凹面反射鏡12を用いることもでき、またレンズや反射鏡を組み合わせたものを採用することもできる。
【0046】
また、絞り機構3に関しても、基枠31のスライドガイド31aにポール式のものでなくスライドレールを用いて、レール内に掛止した状態で装着するランナ32aを介して遮光幕32・32を取り付けることもできる。そしてまた、リニアアクチュエータ33には、ガス圧、液圧式の流体圧シリンダや電磁式のリニアモータ等も使用できる。
【0047】
また更に、リニアアクチュエータ33に送りネジ33aを使用する場合には、送りネジ33aの半分を右ネジとし、もう半分を左ネジとすることにより、前後の送りネジ33aを一本化することもでき、また上下の送りネジ33a・33aをローラチェーンやタイミングベルトによって連結することもできる。
【0048】
また、絞り機構3については、開口部Aの大きさを調整して通過する光量を調節できる構造となっていればよく、例えば、遮光板を四方からスライドさせる機構や、基枠の角度を調節して光軸から見た開口部の大きさを変える機構等も全て含まれ、何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0049】
近年、化石燃料の枯渇やCO2排出による地球温暖化の問題により、太陽光エネルギーを利用したエネルギーシステムの研究が進められており、太陽光を熱エネルギーに変換して利用する太陽炉も、そのエネルギーシステムの一つとして実用化に向けた研究開発が行われている。
【0050】
そのような中で、本発明の加熱温度調節機能を備えた太陽炉は、太陽炉の温度調節によって使用時の安全性が高まるだけでなく、特定の温度域での長時間加熱を可能とすることによって加熱実験や加熱調理の用途幅を広げることもできる有用な技術であるため、その産業上の利用価値は非常に高い。
【符号の説明】
【0051】
1 集光光学系
11 集光レンズ
12 凹面反射鏡
2 加熱部
21 金属ボックス
22 断熱材
23 るつぼ
3 絞り機構
31 基枠
31a スライドガイド
32 遮光幕
32a ランナ
32b 連結部材
33 リニアアクチュエータ
33a 送りネジ
33b 駆動モータ
33c ハンドル部
34 ギア
35 シャフト
36 絞り羽根
4 自動調節装置
41 温度センサ
42 開閉制御部
B 基台
S 支持フレーム
T 被加熱物
A 開口部
F インナーフレーム
N ナット部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を集光するための集光レンズ(11)或いは凹面反射鏡(12)を備えた集光光学系(1)と;この集光光学系(1)により収束する光の焦点位置、若しくはその近傍に設けられた加熱部(2)とを有する太陽炉において、
前記集光光学系(1)と加熱部(2)との間に、遮蔽物で囲まれた開口部(A)の大きさによって収束する光の通過面積を増減させる絞り機構(3)を設けて構成したことにより、
前記加熱部(2)に配置された被加熱物(T)に対する太陽光の照射量を絞り機構(3)の開口部(A)の大きさで調整して加熱温度を調節可能としたことを特徴とする加熱温度調節機能を備えた太陽炉。
【請求項2】
絞り機構(3)を、対向する二辺にスライドガイド(31a・31a)が平行に配置された四角形の基枠(31)内側に、二枚の遮光幕(32・32)を両開き式に装着して構成したことを特徴とする請求項1記載の加熱温度調節機能を備えた太陽炉。
【請求項3】
絞り機構(3)において、スライドガイド(31a・31a)に装着された二枚の遮光幕(32・32)を手動式のリニアアクチュエータ(33)に連繋し、このリニアアクチュエータ(33)のハンドル部(33c)を操作して二枚の遮光幕(32・32)を開閉可能としたことを特徴とする請求項2記載の加熱温度調節機能を備えた太陽炉。
【請求項4】
絞り機構(3)において、スライドガイド(31a・31a)に装着された二枚の遮光幕(32・32)を電動式のリニアアクチュエータ(33)に連繋し、このリニアアクチュエータ(33)の駆動モータ(33b)を稼働させて二枚の遮光幕(32・32)を開閉可能としたことを特徴とする請求項2記載の加熱温度調節機能を備えた太陽炉。
【請求項5】
絞り機構(3)において、リニアアクチュエータ(33)に送りネジ(33a)を使用し、更にこの送りネジ(33a)のネジ軸上を移動するナット部(N)と遮光幕(32・32)の内側とを連結部材(32b)で連結したことを特徴とする請求項2〜4の何れか一つに記載の加熱温度調節機能を備えた太陽炉。
【請求項6】
加熱部(2)及び絞り機構(3)に加熱温度の自動調節装置(4)を付設すると共に、この自動調節装置(4)を、加熱部(2)の温度を検知する温度センサ(41)と、この温度センサ(41)が検知した情報と設定温度とを比較し、加熱温度が設定温度に近づくようにリニアアクチュエータ(33)を制御して遮光幕(32・32)を開閉せしめる開閉制御部(42)とから構成したことを特徴とする請求項4または5に記載の加熱温度調節機能を備えた太陽炉。
【請求項7】
絞り機構(3)を、基枠(31)に設けられた孔の周縁部に、複数枚の絞り羽根(36・36…)を回転自在に、かつ、隣り合う羽根と重なり合うように取着して構成し、これらの絞り羽根(36・36…)を孔の内側または外側に回転させて開口部(A)の大きさを調節可能としたことを特徴とする請求項1記載の加熱温度調節機能を備えた太陽炉。
【請求項1】
太陽光を集光するための集光レンズ(11)或いは凹面反射鏡(12)を備えた集光光学系(1)と;この集光光学系(1)により収束する光の焦点位置、若しくはその近傍に設けられた加熱部(2)とを有する太陽炉において、
前記集光光学系(1)と加熱部(2)との間に、遮蔽物で囲まれた開口部(A)の大きさによって収束する光の通過面積を増減させる絞り機構(3)を設けて構成したことにより、
前記加熱部(2)に配置された被加熱物(T)に対する太陽光の照射量を絞り機構(3)の開口部(A)の大きさで調整して加熱温度を調節可能としたことを特徴とする加熱温度調節機能を備えた太陽炉。
【請求項2】
絞り機構(3)を、対向する二辺にスライドガイド(31a・31a)が平行に配置された四角形の基枠(31)内側に、二枚の遮光幕(32・32)を両開き式に装着して構成したことを特徴とする請求項1記載の加熱温度調節機能を備えた太陽炉。
【請求項3】
絞り機構(3)において、スライドガイド(31a・31a)に装着された二枚の遮光幕(32・32)を手動式のリニアアクチュエータ(33)に連繋し、このリニアアクチュエータ(33)のハンドル部(33c)を操作して二枚の遮光幕(32・32)を開閉可能としたことを特徴とする請求項2記載の加熱温度調節機能を備えた太陽炉。
【請求項4】
絞り機構(3)において、スライドガイド(31a・31a)に装着された二枚の遮光幕(32・32)を電動式のリニアアクチュエータ(33)に連繋し、このリニアアクチュエータ(33)の駆動モータ(33b)を稼働させて二枚の遮光幕(32・32)を開閉可能としたことを特徴とする請求項2記載の加熱温度調節機能を備えた太陽炉。
【請求項5】
絞り機構(3)において、リニアアクチュエータ(33)に送りネジ(33a)を使用し、更にこの送りネジ(33a)のネジ軸上を移動するナット部(N)と遮光幕(32・32)の内側とを連結部材(32b)で連結したことを特徴とする請求項2〜4の何れか一つに記載の加熱温度調節機能を備えた太陽炉。
【請求項6】
加熱部(2)及び絞り機構(3)に加熱温度の自動調節装置(4)を付設すると共に、この自動調節装置(4)を、加熱部(2)の温度を検知する温度センサ(41)と、この温度センサ(41)が検知した情報と設定温度とを比較し、加熱温度が設定温度に近づくようにリニアアクチュエータ(33)を制御して遮光幕(32・32)を開閉せしめる開閉制御部(42)とから構成したことを特徴とする請求項4または5に記載の加熱温度調節機能を備えた太陽炉。
【請求項7】
絞り機構(3)を、基枠(31)に設けられた孔の周縁部に、複数枚の絞り羽根(36・36…)を回転自在に、かつ、隣り合う羽根と重なり合うように取着して構成し、これらの絞り羽根(36・36…)を孔の内側または外側に回転させて開口部(A)の大きさを調節可能としたことを特徴とする請求項1記載の加熱温度調節機能を備えた太陽炉。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−72578(P2013−72578A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210796(P2011−210796)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(397022885)財団法人若狭湾エネルギー研究センター (36)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(397022885)財団法人若狭湾エネルギー研究センター (36)
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