説明

加熱用食品、加熱食品、加熱用食品の製造方法及び加熱食品の製造方法

【課題】味付けされた油揚げが加熱の際、焦げ過ぎず、しかも香ばしい風味と持続するサクサクの食感を備えた、食べやすく美味しい加熱食品を簡単に得ることができる加熱用食品を提供する。
【解決手段】調味料又はソース類13が付着したハケ17を、開口部3から油揚げ5内に差し入れて、油揚げ5の内面15全体又は全周に調味料又はソース類13を塗布する。次に、開口部3から油揚げ5内に、混ぜご飯7を詰めることにより、加熱用食品1を構成する。そして、加熱用食品1を、油揚げ5の外面に焦げ目が付き、混ぜご飯7が十分温まるまで、例えばオーブンで焼いて加熱食品とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油揚げにご飯類などを詰めた加熱用食品及びこの加熱用食品の製造方法並びに油揚げにご飯類などを詰めた加熱食品及びこの加熱食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油揚げにご飯類を詰めた食品は、例えば油揚げの表面に焦げ目が付くまで加熱されて食されている(例えば特許文献1参照)。油揚げの表面に焦げ目が付くまで加熱すると、香ばしい風味の食品ができあがる。
【0003】
そして、油揚げにご飯類を詰めた加熱食品は、例えば特許文献1に記載されているように、まず油揚げを調味液で味付けし(例えば油揚げを調味料で煮て)、この味付けされた油揚げ内にご飯類を詰め、次に油揚げに焦げ目が付くまでご飯類が詰まった油揚げをオーブンで焼いたり、熱した鉄板で妙めたりして作ることができる(第1の方法)。あるいは、油揚げ内にご飯類を詰めてから、油揚げの外面に調味料を付け、油揚げに焦げ目が付くまでご飯類が詰まった油揚げをオーブンで焼いたり、熱した鉄板で妙めたりして作ることもできる(第2の方法)。また、油揚げ内にご飯類を詰め、油揚げに焦げ目が付くまでご飯類が詰まった油揚げをオーブンで焼いたり、熱した鉄板で妙めたりし、最後に油揚げの外面に調味料を付けて作ることもできる(第3の方法)。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3098494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、こういった加熱食品はサクサクの食感を備えていることが好ましい。サクサクの食感は、油揚げを焦げ過ぎないように加熱することにより得ることができるが、第1の方法や第2の方法で加熱食品を作ると、焼いたり妙めたりする前に油揚げの外面に調味料が付けられているので、焼いたり妙めたりしたときに、油揚げが十分加熱される前に調味料が焦げ過ぎてしまい、加熱食品の味が低下するおそれがある。特に、冷凍されているものを焼いたり炒めたりする場合には、全体の加熱に時間がかかるので、調味料が焦げ過ぎるおそれは大きい。この点、第3の方法を採用すれば、油揚げを焦げ過ぎないように焼いたり妙めたりした後で、油揚げに調味料を付けるので、調味料を焦がさずにサクサク感を得ることができる。ところが、油揚げにご飯類を詰めた加熱用食品を、例えば冷凍食品として販売し、購入した家庭で焼いたり妙めたりして食することができるようにする場合には、第3の方法では、購入者が焼いたり妙めたりした後で調味料を油揚げに付けなくてはならないし、手でつかんで食べようとすると、付けたばかりの調味料で手が汚れるので、手軽に食べられる加熱用食品としての価値が低下する。また、ファーストフード店などで、油揚げにご飯類を詰めた加熱食品を提供する場合には、油揚げにご飯類を詰めた加熱用食品を焼いたり炒めたりした直後に、ファーストフード店などにおいて調味料を油揚げに付さなくてはならないので、ファーストフード店などでの食品提供作業が煩雑となるし、手でつかんで食べようとすると、付けたばかりの調味料で手が汚れるので、顧客にとっても不便である。包み紙などを介して手でつかんだ場合にも、包み紙に調味料が付いているので食べにくいし、包み紙に付いた調味料は無駄となる。しかも、油揚げを焼いた後で調味料を付けると、サクサク感が短時間でなくなってしまう。
【0006】
そこで本発明は、味付けされた油揚げが加熱の際、焦げ過ぎず、しかも香ばしい風味と持続するサクサクの食感を備えた、食べやすい加熱食品を簡単に作ることができる加熱用食品及びこのような加熱用食品の製造方法並びに味付けされた油揚げが加熱の際、焦げ過ぎず、しかも香ばしい風味と持続するサクサクの食感を備えた、食べやすい加熱食品を簡単に作ることができる加熱用食品及びこのような加熱用食品の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するための本発明の加熱用食品は、開口部を有する袋状の油揚げと、前記開口部からこの油揚げ内に詰められたご飯類等の食材と、を有する加熱用食品であって、前記油揚げの内面には、この油揚げの味付け用の食品材が付着しているものである。食品材は、油揚げの内面に塗布されるのが好ましい。食品材は、油揚げに味付けをするための液状、ペースト状又は粉末状の食品添加物又は調味料であり、醤油、味噌などの基本調味料、カレー又はカレーソース、デミグラスソース、ホワイトソース、マヨネーズなどのソース類、うなぎのたれ、焼肉のたれ、キムチのたれなどの加工調味料を用いることができる。食材とは、米飯、雑穀入り米飯、混ぜご飯、チャーハンなどのご飯類、ハンバーグ、チャーシュー、焼肉、唐揚げ、焼き鳥、うなぎなどのおかず類(惣菜類)、及びマカロニ、パスタ、餅、マッシュポテトなどのその他の食材であるが、ご飯類及びおかず類の混合物などを食材としてもよい。例えば、油揚げの味付けは、食品材によって、あるいは食品材のみによって行われる。
【0008】
食品材は油揚げの内面に付いている。したがって、油揚げを焼いたり妙めたりしても、食品材は直接加熱されない。そこで、予め食品材を付けておいても、油揚げが十分加熱される前に食品材が焦げ過ぎるといったことはない。また、焼いた後に食品材を油揚げに付ける必要はないし、食するときに食品材で手が汚れるといったこともない。油揚げの内面に食品材を付けるには、ハケ等を用いることができる。ハケ等を用いれば、内面全体に簡単に食品材を付けることができる。なお、食品材は、油揚げの内面全体に付けることも一部分に付けることもできる。
【0009】
また、本発明の加熱食品は、開口部を有する袋状の油揚げと、前記開口部からこの油揚げ内に詰められたご飯類等の食材と、を有する加熱食品であって、前記油揚げの内面には、この油揚げの味付け用の食品材が付着していて、前記油揚げの表面に焦げ目が付くまで、油揚げ又は食材の詰まった油揚げが焼かれている(加熱されていること)ものである。食品材は、油揚げの内面に塗布されるのが好ましい。例えば、油揚げの味付けは、食品材によって、あるいは食品材のみによって行われる。
【0010】
さらに、本発明の加熱用食品の製造方法は、開口部を有する袋状の油揚げを準備する工程と、前記油揚げの内面に、この油揚げの味付け用の食品材を付着させる工程と、内面に食品材が付着している前記油揚げ内に、前記開口部からご飯類等の食材を詰める工程と、を備えたものである。食品材は、油揚げの内面に塗布されるのが好ましい。
【0011】
そして、本発明の加熱食品の製造方法は、開口部を有する袋状の油揚げを準備する工程と、前記油揚げの内面に、この油揚げの味付け用の食品材を付着させる工程と、内面に食品材が付着している前記油揚げ内に、前記開口部からご飯類等の食材を詰める工程と、食材が詰められた前記油揚げの表面に焦げ目が付くまで、油揚げ又は食材の詰まった油揚げを焼く(加熱すること)工程と、を備えたもの、あるいは、開口部を有し、内面に、油揚げの味付け用の食品材が付着した袋状の油揚げを準備する工程と、内面に食品材が付着している前記油揚げ内に、前記開口部からご飯類等の食材を詰める工程と、食材が詰められた前記油揚げの表面に焦げ目が付くまで、油揚げ又は食材の詰まった油揚げを焼く(加熱すること)工程と、を備えたものである。食品材は、油揚げの内面に塗布されるのが好ましい。
【0012】
本発明では、例えば一枚の油揚げを使用する。また、食品材は油揚げの内面にのみ付けられる。あるいは、食品材は油揚げの内面に付けられ外面には付けられない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、味付けされた油揚げが加熱の際、焦げ過ぎず、しかも香ばしい風味と持続するサクサクの食感を備えた、食べやすく美味しい加熱食品を簡単に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る加熱用食品の斜視図である。
【図2】図1の加熱用食品を加熱して製造した又は作った本発明に係る加熱食品の斜視図である。
【図3】図1の加熱用食品の断面図である。
【図4】三角形状の油揚げを用いた加熱用食品の斜視図である。
【図5】本発明に係る加熱用食品の製造工程を説明するための図である。
【図6】加熱用食品の変更例を示す図である。
【図7】加熱用食品の別の変更例を示す図である。
【図8】図7に示す加熱用食品の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を図面の参照により説明する。
【0016】
図1は本発明に係る加熱用食品の斜視図、図2は図1の加熱用食品を加熱して製造した又は作った本発明に係る加熱食品の斜視図、図3は図1の加熱用食品の断面図である。
【0017】
加熱用食品1は、開口部3を有する袋状の油揚げ5内に、混ぜご飯7を詰めることにより構成されている。油揚げ5は、一枚の四角形状(ここでは長方形状)の油揚げ(四角形状の閉塞袋体〕の一辺縁部(ここでは短辺縁部)を切断して開口部3とすることにより形成された四角形状(ここでは長方形状)を有するものであるが、図4に示すように、一枚の四角形状の油揚げを対角線に沿って2等分した三角形状のものを用いることもできるし、また、丸い油揚げを2等分した半円状のものを用いることもできる。そして、加熱用食品1を、油揚げ5の外面に焦げ目9が付き、混ぜご飯7が十分温まるまで、例えばオーブンで焼いて加熱食品11とする。調味料又はソース類13が、予め油揚げ5の内面15に塗布されているので(図5参照)、オーブンで焼いた後は直ちに食することができる。
【0018】
図5は本発明に係る加熱用食品1の製造工程を説明するための図である。
【0019】
加熱用食品1を製造するには、まず、開口部3を有する袋状の油揚げ5を用意し、調味料又はソース類(ここではペースト状のホワイトソース)13が付着したハケ17を、開口部3から油揚げ5内に差し入れて、油揚げ5の内面15全体又は全周に調味料又はソース類13を塗布する(図5a)。調味料又はソース類13は油揚げ5の内面15にのみ塗布され、外面には塗布されない。なお、ハケ17に代えてヘラ、計量スプーン又はバターナイフを用いることもできる。次に、内面15に調味料又はソース類13が塗布された油揚げ5内に開口部3から混ぜご飯7を詰め込む(図5b)。この段階で、加熱用食品1として販売することもできるが、さらに冷凍処理を施して冷凍食品とすることもできる(図5c)。冷凍食品の場合には、混ぜご飯7を十分温めるのに時間がかかるが、混ぜご飯7が温まる前に調味料又はソース類13が焦げ過ぎてしまうといったことはない。なお、図6(調味料又はソース類13を強調して表示している)に示すように、調味料又はソース類13を混ぜご飯7へしみ込ませたくない場合は、調味料又はソース類(油揚げの味付け用の食品材)13の混ぜご飯(ご飯類等の食材)7へのしみ出しを防止するために、油揚げ5内に、隔壁材料19(ここではレタスを用いているが、例えば海苔でもよい)を敷いてから、混ぜご飯7を詰めてもよい。
【0020】
このように製造された加熱用食品1をオーブンで焼いて加熱食品11とするが、加熱用食品1の加熱は、加熱用食品1を購入した一般消費者が行う場合のほか、加熱食品11を提供するファーストフード店などの店舗で行うこともある。
【0021】
混ぜご飯7としては、米飯に、ゆでだこ、きのこ、青じそ、細切れのハム又はべーコン、コーンなどを混ぜたものが用いられているが、混ぜご飯7の代わりに、ピラフやチャーハンなど(ご飯類)を食材として用いることもできる。あるいは、図7及び図8に示すように、油揚げ5内に詰める食材として、米飯21及びハンバーグ23を用いることもできる。また、ここでは、調味料又はソース類25としてペースト状のデミグラスソースが用いられている。調味料又はソース類25は油揚げ5の内面15全周に塗布してもよいが、ここでは、内面15の半周にのみ(例えばハンバーグ23側の半周)に塗布されている。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、家庭内で食される手軽な加熱食品又は店舗で提供される加熱食品に適用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 加熱用食品
3 開口部
5 油揚げ
7 混ぜご飯(食材)
11 加熱食品
13、25 調味料又はソース類(食品材)
15 内面
21 米飯(食材)
23 ハンバーグ(食材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する袋状の油揚げと、前記開口部からこの油揚げ内に詰められたご飯類等の食材と、を有する加熱用食品であって、
前記油揚げの内面には、この油揚げの味付け用の食品材が付着している、ことを特徴とする加熱用食品。
【請求項2】
前記食品材は前記油揚げの内面に、塗布されることにより付着している、ことを特徴とする請求項1記載の加熱用食品。
【請求項3】
開口部を有する袋状の油揚げと、前記開口部からこの油揚げ内に詰められたご飯類等の食材と、を有する加熱食品であって、
前記油揚げの内面には、この油揚げの味付け用の食品材が付着していて、
前記油揚げの表面に焦げ目が付くまで焼かれている、ことを特徴とする加熱食品。
【請求項4】
前記食品材は、前記油揚げの内面に、塗布されることにより付着している、ことを特徴とする請求項3記載の加熱食品。
【請求項5】
加熱用食品の製造方法であって、
開口部を有する袋状の油揚げを準備する工程と、
前記油揚げの内面に、この油揚げの味付け用の食品材を付着させる工程と、
内面に食品材が付着している前記油揚げ内に、前記開口部からご飯類等の食材を詰める工程と、を備えたことを特徴とする加熱用食品の製造方法。
【請求項6】
前記食品材は、前記油揚げの内面に、塗布されることにより付着させられる、ことを特徴とする請求項5記載の加熱用食品の製造方法。
【請求項7】
加熱食品の製造方法であって、
開口部を有する袋状の油揚げを準備する工程と、
前記油揚げの内面に、この油揚げの味付け用の食品材を付着させる工程と、
内面に食品材が付着している前記油揚げ内に、前記開口部からご飯類等の食材を詰める工程と、
食材が詰められた前記油揚げの表面に焦げ目が付くまで焼く工程と、を備えることを特徴とする加熱食品の製造方法。
【請求項8】
前記食品材は、前記油揚げの内面に、塗布されることにより付着させられる、ことを特徴とする請求項7記載の加熱食品の製造方法。
【請求項9】
加熱食品の製造方法であって、
開口部を有し、内面に、油揚げの味付け用の食品材が付着した袋状の油揚げを準備する工程と、
内面に食品材が付着している前記油揚げ内に、前記開口部からご飯類等の食材を詰める工程と、
食材が詰められた前記油揚げの表面に焦げ目が付くまで焼く工程と、を備えることを特徴とする加熱食品の製造方法。
【請求項10】
前記食品材は、前記油揚げの内面に、塗布されることにより付着している、ことを特徴とする請求項9記載の加熱食品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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