加熱装置、加熱方法及び記憶媒体
【課題】ウエハWを加熱した際にウエハW上の塗布膜から発生する昇華物について、排気管30内に付着する昇華物を抑えることのできる技術を提供すること。
【解決手段】
塗布膜を形成したウエハWに対して処理容器21内で加熱処理を行うにあたって、塗布膜から発生した有機物である昇華物を排気管30の上流部に設けられた捕集部4において強制的に捕集する。捕集部4内に設けた電極部42に高周波電圧をかけることによりプラズマを発生させ、排気流に含まれる酸素を活性化させて酸素の活性種を発生させ、付着した昇華物に供給することにより昇華物を分解除去する。従って排気管30内に付着する昇華物の量が抑えられメンテナンスの頻度を減らすことができる。
【解決手段】
塗布膜を形成したウエハWに対して処理容器21内で加熱処理を行うにあたって、塗布膜から発生した有機物である昇華物を排気管30の上流部に設けられた捕集部4において強制的に捕集する。捕集部4内に設けた電極部42に高周波電圧をかけることによりプラズマを発生させ、排気流に含まれる酸素を活性化させて酸素の活性種を発生させ、付着した昇華物に供給することにより昇華物を分解除去する。従って排気管30内に付着する昇華物の量が抑えられメンテナンスの頻度を減らすことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布膜が形成された基板を処理容器内に載置して排気路を介して容器内を排気しながら基板の加熱処理を行う加熱装置、加熱方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程においては半導体ウエハ(以下「ウエハ」という)や、LCD(液晶ディスプレイ)用のガラス基板に対して塗布膜を塗布し、その後基板を加熱処理するプロセスがある。塗布液としてはレジストパターンを形成するためのレジスト液やレジスト液の下層側の反射防止膜を形成するための薬液、あるいはシリコン酸化膜の前駆体を含む薬液などが挙げられる。
加熱処理を行う加熱装置としては処理容器内に基板の載置台を兼用する加熱プレートが設けられると共に処理容器内を排気する排気路が接続された構造のものが用いられる。加熱処理の目的は塗布膜中に残留している溶剤を乾燥させ、また架橋剤の架橋反応を促進させたりすることなどが挙げられる。
【0003】
ウエハを加熱すると塗布膜中の有機成分が昇華する。このため処理容器内を空気あるいは不活性ガスによりパージし、排気流と共に昇華物を排気路を介して放出するようにしている。処理容器内の壁部については処理雰囲気におけるパーティクルの飛散を抑えるために昇華物の昇華温度以上に加熱しているが、排気路については加熱エネルギーのコスト等の関係で、加熱を行っていない。このため排気路を構成する配管(排気管)内に昇華物が付着し、その付着量が多くなると排気コンダクタンスが小さくなり、この結果、処理雰囲気中の昇華物の排出が不十分になって昇華物がウエハの表面に再付着する。また給排気のバランスの崩れの程度によってはウエハの表面温度均一性が低下し、製品の歩溜まりの低下の要因となる。定期的に排気路内をメンテナンスする必要があるが、排気管の分解、洗浄、組み立ての時間を要する上に、装置の稼働率が低下する。
特許文献1において、不純物の排気路内の付着を防止する手段が提示されているが、排気路内にもパージガスを供給することで排気路に昇華物が付着することを防ぐ構成であり、排気内に含まれる昇華物を分解する構成を開示するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−140960
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような背景の下になされたものであり、基板を加熱した際に基板上の塗布膜から発生する昇華物について、排気路内に付着する昇華物を抑えることのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱装置は、塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する加熱装置において、
前記処理容器内の雰囲気を排気するための排気路と、
前記排気路に設けられ、前記塗布膜から発生する有機物である昇華物を析出させて捕集する捕集部と、
酸素を含む気体をプラズマ化し、これにより得た酸素の活性種を、前記捕集部にて捕集された昇華物を分解するために当該昇華物に供給するプラズマ発生部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また本発明の加熱装置は、塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する加熱装置において、
前記処理容器内の雰囲気を排気するための排気路と、
前記処理容器内の天井面または側面に、前記塗布膜から発生する有機物である昇華物を析出させて捕集するために当該天井面または側面を冷却する冷却機構と、
酸素を含む気体をプラズマ化し、これにより得た酸素の活性種を、前記捕集部にて捕集された昇華物を分解するために設けられたプラズマ発生用の電極部を含むプラズマ発生部と、を備えたことを特徴としてもよい。
【0008】
本発明の加熱方法は、塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する工程と、
基板を加熱処理しているときに前記処理容器内の雰囲気を排気路により排気する工程と、
前記塗布膜から発生する有機物である昇華物を、前記排気路に設けられた捕集部に析出させて捕集する工程と、
酸素を含む気体をプラズマ化し、これにより得た酸素の活性種を、前記捕集部にて捕集された昇華物を分解するために当該昇華物に供給する工程と、を備えたことを特徴とする。
また本発明の加熱方法は、塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する工程と、
基板を加熱処理しているときに前記処理容器内の雰囲気を排気路により排気する工程と、
前記塗布膜から発生する有機物である昇華物を、前記処理容器内の天井面または側面に、析出させて捕集するために当該天井面または側面を冷却機構により冷却する工程と、
酸素を含む気体をプラズマ化し、これにより得た酸素の活性種を、前記捕集部にて捕集された昇華物を分解するために設けられたプラズマ発生用の電極部を含むプラズマ発生部により発生させる工程と、を備えたことを特徴してもよい。
【0009】
本発明の記憶媒体は、塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する加熱装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、上述の加熱方法を実行するようにステップ群が組み込まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、塗布膜を形成した基板に対して処理容器内で加熱処理を行うにあたって、塗布膜から発生した有機物である昇華物を排気路に設けられた捕集部あるいは処理容器内において強制的に捕集し、プラズマを発生させて酸素の活性種を昇華物に供給することにより昇華物を分解除去している。従って排気路内等に付着する昇華物の量が抑えられメンテナンスの頻度を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る加熱装置を示す縦断側面図である。
【図2】前記加熱装置に用いられる捕集部を示す縦断側面図である。
【図3】前記捕集部と放電プラズマの制御部と、を示す説明図である。
【図4】第2に実施の形態の要部を示す説明図である。
【図5】検出部により検出された周波数と特定の周波数で電源のオンオフを制御した場合における時間経過と発振周波数の変化とを示す特性図である。
【図6】前記捕集部内に付着した昇華物量を監視するための監視部の他の例を示す説明図である。
【図7】第3の実施の形態に係る捕集部を示す(a)斜視図及び(b)フィンの説明図である。
【図8】第4の実施の形態に係る捕集部を示す(a)斜視図及び(b)円筒部材の横断面図である。
【図9】第5の実施の形態に係る捕集部を示す(a)縦断側面図及び(b)捕集部の一部を詳細に示す説明図である。
【図10】第5の実施の形態に係る捕集部の(a)入り口及び(b)出口を示す正面図である。
【図11】第5の実施の形態に係る捕集部のハニカム構造を示す横断面図である。
【図12】第6の実施の形態に係る捕集部を示す縦断側面図である。
【図13】第6の実施の形態に係る捕集部を示す平面図である。
【図14】第7の実施の形態に係る処理容器を示す縦断側面図である。
【図15】第7の実施の形態に係る電極部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
図1は本発明の実施の形態に係る加熱装置1の全体構成を示している。図1中の2は処理容器であり、この処理容器2は上面が開口している扁平な円筒体からなる下部材25と、この下部材25に対して上下に移動して処理容器2を開閉する蓋部22とからなり、基板であるウエハWの加熱処理を行う加熱室を構成している。
下部材25は加熱室の外装体をなす図示しない筐体の底面部に相当する基台27の上に支持部材26を介して支持されており、ウエハWを載置して加熱処理するための加熱部をなす図示しないヒータが内蔵された加熱板21が設けられている。前記基台27には、下部材25の底部28及び加熱板21を貫通しウエハWを外部の図示しない搬送アームとの間で受け渡しを行うための昇降ピン23を昇降させるための昇降機構24が設けられている。蓋部21は下面が開口している扁平な円筒体からなり、下部材25周壁部の上面に接触して処理容器2を閉じた状態とする下降位置と、ウエハWを加熱板21に対して受け渡すときの上昇位置との間で昇降できるように構成されている。この例では蓋部22の昇降動作は蓋部22の外周面に取り付けられた昇降アーム18を基台27に設けられた昇降機構19により駆動することにより行われる。
【0013】
また下部材25の周壁部の上面には周方向に沿って間隔を置いて例えば高さ1mmの突起部が形成されており、従って蓋部21を閉じたときには蓋部21と下部材25との間に高さ1mmの隙間51が形成され、処理容器2内を排気したときに当該隙間51から外気(加熱装置1が置かれているクリーンルームの雰囲気)が流入し、処理容器2内に気流が形成される。
【0014】
蓋部21の天井板の中央部には、下方側(処理雰囲気側)に向かって拡大するラッパ状の排気口32が形成されており、この排気口32には排気路をなす排気管30が接続されている。この排気管30は処理容器2側を上流側とすると、工場内に引き回されている共用の排気ダクト33にその下流端が接続されており、上流側から捕集部4と流量監視部31とがこの順に設けられている。また排気管30は上流端から途中に至るまでの領域が円筒部材により構成され、捕集部4及び流量監視部31はこの部位に配置されると共に、前記円筒部材と排気ダクト33との間には蓋部21の昇降時に変形できるようにフッ素樹脂からなる屈曲自在な管路部材が長さに余裕をもって配置されている。流量監視部31は排気流量をモニターし、流量が低下したときにアラームを出力するために用いられる。
【0015】
捕集部4は図2に示すように角筒状の排気管30の内部に各々排気管30の幅方向にその軸が伸びる三角柱形状の部材、例えば内部が空洞の筒状部材(以下三角柱部材41という)の複数を配置して構成される。三角柱部材41は、両端面が排気管30の両内側面に接合されると共に、三面部分の一面を排気管30の上面に接合したものと三面部分の一面を排気管30の下面に接合したものとを排気管30の長さ方向に交互に配列している。そして各三角柱部材41の頂縁は縦断側面で見ると図2に示すように互いに隣接する三角柱部材41間の隙間と三角柱部材と排気管30の上面あるいは下面との間の隙間とにより。鋸歯状の屈曲路が形成されている。この屈曲路の屈曲部位はその前後の流路よりよりも絞られている(開口面積が小さくなっている)。
【0016】
一方捕集部4の一部をなす排気管30における上面及び下面、即ち前記屈曲路の屈曲部分を形成する管壁の外面には、冷却機構として冷媒流路43が配置されている。図の便宜上図2では排気管30の外面に沿って冷媒流路43が角形のコイル状に設けられているように表しているが排気管30の上面及び下面に沿って例えば排気管30の幅方向をカバーする幅寸法を有する帯状の流路部材を設け、この流路部材に排気管30の長さ方向に沿って冷媒例えば冷却水を通流させる構成としてもよい。このように排気管30内の排気流路の屈曲部分において、排気流が急激に方向を変えることにより衝突する前記管壁の内面、及び三角柱部材41の当該管壁近傍についても冷却されることとなる。従って前記屈曲部分において、排気流に含まれる、基板の塗布膜の昇華物が析出して捕集しやすくなる。なお排気管30における少なくとも捕集部4に相当する部位は、後述するように導電性部材を用いることが必要であるが、アルミニウム等の熱伝導率が大きい材質を用いることが好ましい。
【0017】
排気流路の各屈曲部分において排気管30の管壁に隙間を介して対向する三角柱部材41の頂縁よりも下流側に、各々排気管30の幅全体に伸びる例えば2本の棒状の電極部42が排気管30の長さ方向に並べて設けられている。これらの電極部42は電極本体であるワイヤーからなる電極を例えばアルミナ等の誘電体で覆って構成されており、図3に示すように電極部42は高周波電源64に接続されている。排気管30の管壁は接地されており、従って高周波電源64から電極部42に高周波電力を供給すると電極部42と管壁との間に高周波電界が形成され、排気流である空気流中の酸素がこの高周波により活性化されて酸素プラズマ10が発生する。
図3の6はコンピュータからなる制御部であり。図3中の60はバス、61はCPUである。バス60にはメモリ63及びプログラム62を格納したプログラム格納部(図では省略している)が接続される。プログラム62は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)、メモリーカードなどの記憶媒体により格納されて制御部6にインストールされる。
【0018】
次に上述実施の形態の作用について説明する。加熱装置1の前段処理では例えばウエハWに対してレジスト液のスピンコーティングが行われ、蓋部22を上昇させた状態でこのウエハWが図示しない搬送アームにより加熱板21の上方まで移動すると当該搬送アームと加熱板21の下方の支持ピン23の協働作用により、加熱板21上にウエハWが載置される。このとき加熱板21の表面の温度が例えば150℃となるように、図示しないヒータのパワーがコントロールされている。そして蓋部22を下降させて、処理容器2を形成すると工場排気側の排気により処理容器2内が陰圧状態となり、蓋部22と下部材25との間の隙間51から空気が流入する。この空気が蓋部22の天井部の排気口32から排気されることで処理雰囲気に気流が形成され所定の時間この状態でウエハWの熱処理を行う。
【0019】
熱処理終了後、蓋部22を上昇させて、ウエハWが搬出される。形成したウエハW上の塗布膜、この例ではレジスト膜から加熱によって有機物からなる昇華物が生じる。この昇華物は空気流と共に排気口32より、排気管30へと排気される。排気流は捕集部4にて既述の鋸歯上の屈曲路を通過するが、屈曲部分にて急激にその方向を変えるときに図2に示すように排気管30の内壁面及び三角柱部材41の表面に衝突し、また屈曲部分に相当する流路がその前後に対して絞られているため、当該屈曲部分を抜け出るときに流速が大きくなり、衝突による衝撃力が増大する。この衝撃と当該衝突部位が冷却水により強制冷却されていることから、当該部位に排気流中の昇華物が析出して付着する。なお冷却水による強制冷却は本発明では必須用件ではないが、昇華物の析出をより一層促進させるという点において好ましい。そしてウエハWの加熱処理枚数が増えるにつれ、昇華物の付着量(捕集量)が増大する。このため制御部6は予め設定した処理枚数に達すると高周波電源64をオンにして、電極部42と排気管30の内壁及びこの内壁に連続する三角柱部材41との間に高周波電界を発生させる。
【0020】
排気流は空気であることから高周波電界により酸素や水分が活性化されて活性種である酸素ラジカルなどのラジカルやオゾンなどを含むプラズマが発生する(放電する)。電極部42は図3では模式的に記載しているが例えば排気管30の内壁との距離が内壁に対向する三角柱部材41との距離よりも小さいため、図3中電極部42の下方側及び左側にて放電する。
ウエハW上の塗布膜からの昇華物の主な成分はVOC(揮発性有機化合物)であり、従って捕集部4に捕集された付着物はプラズマ10中のラジカルやオゾンなどの高い酸化力によって酸化されて、H2OやCO2に分解され、気体として排出される。そして予め設定した時間が経過した後、高周波電力の供給を停止し、ウエハWの加熱処理を再開する。
【0021】
上述の実施の形態によれば、レジスト液を塗布したウエハWを加熱処理をした際に発生する昇華物を、排気管30に設置した捕集部4により捕集し、電極部42によりプラズマ放電を行って、酸素の活性種を生成し、前記捕集された昇華物をH2OやCO2に分解するようにしている。従って、排気管30内における昇華物の付着量を抑制することができ、メンテナンスサイクルの頻度を減らすことができるので加熱装置の稼働率の低下を抑えることができる。
【0022】
[第2の実施の形態]
この実施の形態では、捕集部4に付着した昇華物の付着量を監視する監視部を、昇華物が付着する部位、例えば屈曲路の屈曲部分に対応する排気管30の内壁に設ける。監視部としては例えば水晶振動子を用いた質量センサー(QCM:Quartz Crystal Microbalance)を用いることができ、例えば図4に示すようにセンサー部分を、前記内壁に形成した凹部に嵌め込んで設置する。水晶振動子の電極上に既述の昇華物が付着して質量が変動すると、その共振周波数が変動する。そのため共振周波数をモニターし、周波数の変化値により付着物の量を測定できる。水晶振動子を用いた質量センサー(以下QCMという)は検出力に優れ、数μg単位の微量の質量変化も検出することができる。
【0023】
図4中に70は発振回路、71は周波数測定部である。この監視部の使用方法の一例としては、第1の実施の形態において高周波電力を電極部42に供給するにあたって、監視部にて検出した昇華物の付着量に応じて、高周波電力の大きさ及び放電時間の少なくとも一方を調整して、プラズマ10の出力あるいはプラズマ10の発生時間を調整する手法を挙げることができる。この場合には、例えば制御部6内のメモリ63に付着量と高周波電力の大きさ及び放電時間の少なくとも一方の値とを対応付けて書き込んでテーブルを作成しておき、このテーブルを読み出して高周波電力の供給制御が行われる。あるいは前記付着量と高周波電力の大きさ及び放電時間の少なくとも一方とを対応付けた関数を予め規定しておき、この関数を出力する演算回路を用いるようにしてもよい。このような実施形態によれば、前記付着量が多い程、高周波電力の大きさあるいは放電時間が長くなり、前記付着量が少ない程、高周波電力の大きさあるいは放電時間が短くなるといった制御を行うことができるので昇華物の除去作業をきめ細かく、効率よく行うことができる。
【0024】
また監視部の使用方法のほかの例としては、QCM7の測定結果を利用してプラズマ10発生による昇華物の除去処理の開始及び終了のタイミングを決定することが挙げられる。このような手法におけるQCM7の測定値と前記タイミングとの関係を図5に示す。ウエハWの加熱処理の枚数が増えていくと、捕集部4における付着物が増加し、これに伴いQCM7の発振周波数が徐々に減少してゆく。プログラム62は周波数測定部71の周波数測定値が、予め設定したしきい値(例えば図5中のf1)に達したときに高周波電源64の出力をオンにして、放電を開始するように設定する。
【0025】
放電が行われるとプラズマ放電により発生したラジカルやオゾンなどにより、排気管30の付着昇華物44が酸化分解されてH2OやCO2となり排出される。分解に伴って排気管30内の付着昇華物44の量が減少していくため、QCM7の発振周波数は徐々に増加する。そして予め設定した値(例えばf2)に達したときに高周波電源64を停止させる。下限側のしきい値f1は例えば予め試験をして、あるいは経験的に求めたプロセスに悪影響が出る少し前の昇華物の付着量に対応する値として設定することができる。また上限側のしきい値f2は昇華物が付着していないときの値として設定できる。
このような実施の形態によれば、より正確に、昇華物の付着量に応じた除去処理のタイミングを設定することができる。
【0026】
また昇華物の付着量を監視する監視部としてはQCMに限られるものではなく、ND−IR8(非分散型赤外線分析計)を用いて昇華物の分解後に生成されるCO2の濃度を測定してもよい。図6に示すように捕集部4の下流部から昇華物の捕集及び分解処理後の排気流を試料セル80へ引き込み、光源81より赤外線エネルギーを試料セル80へ照射し、試料セル80を通過した赤外線エネルギーを検出部82により検出する。赤外線エネルギーはCO2ガスにより固有の波長域が吸収される。赤外線エネルギーの吸収量は試料セル80の長さと試料セル80の中のCO2濃度によって決定されるためND−IR8を用いて排気中のCO2濃度が検出でき。CO2の濃度が高ければ昇華物の分解が進んでおり、低ければ分解が進んでいないと判断できる。
また更には光イオン化検出器を用いて、捕集部4を通過した排気に含まれるVOCの濃度をモニターしてもよい。
【0027】
[第3の実施の形態]
捕集部4は前述したような、排気管30の屈曲部位に昇華物を付着させる構成に限らず、フィンを並べて設置することにより、昇華物をフィンに付着させるように構成してもよい。図7はこのような実施の形態を示しており、排気管30の幅方向に伸びるように設置した複数の平板状のフィン59を高さ方向に互いに隙間ができるように重ねてフィン59の積層部を形成し、複数の積層部を流路に沿って、例えば互いに間隔をおいて配置する。互いに隣接する積層部のフィン59同士の高さ方向について千鳥状に(互い違いに)配列されており、一の積層部におけるフィン同士の間の流路に臨む位置には、他の積層部のフィン59が位置している。各フィン59の左右両端は排気管30の側面に接触しており、従って排気流に各積層部のフィン59の間を通過することになる。
【0028】
各フィン59は誘電体により構成され、各フィン59の内部には、冷却用の水冷配管43が屈曲路を形成して全体を引き回すように設置されて、フィン59の全面が冷却されるようになっている。フィン59の表面に近接した部位には、フィン59の長さ方向(排気管30の幅方向)に沿って電極部42が設けられ、フィン59の内部には板状の接地電極54が設けられる。電極部42は高周波電源64に接続されている。なお図7では、図示の便宜上1枚のフィン59のみに水冷配管43、電極部42を記載しているが、実際には各フィン59に水冷配管43、電極部42が配置されている。
【0029】
この実施の形態によれば排気に含まれる昇華物は上述の捕集部4を通過する際に、冷却されたフィン59の表面に付着し、例えば前回のメンテナンスから予め設定した稼働時間が経過したとき、あるいは既述のように昇華物の付着量を監視してその監視結果に基づいて、電極部42に高周波電力を印加すると、フィン59の表面に沿って沿面放電が起こる。このため空気が活性化されてフィン59の表面にプラズマ10が発生して酸素活性種が生成され、フィン59に付着した昇華物の分解除去が行われる。
【0030】
[第4の実施の形態]
捕集部4は円筒部材を並べて、昇華物を捕集するように構成してもよい。この実施の形態は図8に示すように排気管30の幅方向に各々が伸びるように複数の円筒部材65を配置して、捕集部4を構成している。円筒部材65の配列パターン、設置数、外径については、昇華物の捕集効率が良好になるように予め実験等により決めることができる。円筒部材65は誘電体により構成され、筒孔部を冷却水路60に利用し、冷却水路60に冷却水を通流することで円筒部材65の表面全体を冷却するように構成されている。図示の便宜上1個の円筒部材65により、その構造を代表して示すと、円筒部材65の外周面に接触して、例えばその円筒部材65の長さ方向に沿って伸びるように電極部42が設けられると共に円筒部材65の筒壁の内部には接地電極68が円筒部材65と同芯の筒状に形成されている。電極部42は高周波電源64に接続され既述の実施の形態と同様にプラズマが生成され、同様の作用効果が得られる。
【0031】
[第5の実施の形態]
さらに第5の実施の形態を図9〜図11を用いて説明する。この実施の形態は、図9(a)に示すように内部が空洞の誘電体で構成された六角柱型の配管66を流路方向に平行に並べ、前後方向(流路の伸びる方向)から見てハニカム状になるように設置して捕集部4に相当するハニカム構造体58を構成している。捕集部4の排気が流入する側には、パンチングプレート55を設け、パンチング孔72により流路が一旦絞られており、図10(a)に示すように、この絞られた流路(パンチング孔72)は、ハニカム構造体58の各六角柱型の配管66の中央に位置するように配列されている。一方捕集部4の出口側には図10(b)に示すように、ハニカム構造体58の終端から隙間を介してパンチングプレート56が設けられている。捕集部4の出口側のパンチングプレート56の孔部はハニカム構造体58の流路の出口に対し、ずれるように配置されており、従ってハニカム構造体58を通過した排気がパンチングプレート56の壁部に衝突する。
【0032】
捕集部4は外周が冷却ジャケット57により覆われており、この冷却ジャケット57により内部のハニカム構造体58及び出口側のパンチングプレート56が冷却される。そのため、ハニカム構造体58および出口側のパンチングプレート56は熱伝導率の高い部材で構成される。図9(b)及び図11に示すように、ハニカム構造体58を形成する六角形の側線に近接する位置には、電極部42が流路に沿って六角柱型の配管66の終端まで伸びるように設置される。なお、便宜上図9(a)では電極部42は省略してある。ハニカム構造体58の管壁の内部には各六角柱型の配管66と同芯の六角柱状に接地電極54が埋め込まれており、前記管壁は誘電体により構成されている。
【0033】
図9(b)に示すように捕集部4を通過する排気流に含まれる昇華物は、冷却されたハニカム構造体58により析出捕集される。ハニカム構造体58で捕集されなかった昇華物は出口側のパンチングプレート56に排気が衝突した際に捕集される。この例においても電極部42とハニカム構造体58の管壁との間に形成される高周波電界により酸素の活性種を含んだプラズマ10が生成され、これによりハニカム構造体58に捕集された昇華物44が分解される。また出口側のパンチングプレート56に付着した昇華物44は、メンテナンス時に除去される。
【0034】
[第6の実施の形態]
この実施の形態に用いられる捕集部4は、図12及び図13に示すように排気管30内に下流側に向かうにつれて口径が縮小するいわば逆ラッパ状の流路69を形成し、この流路69の縮小端である出口に隙間を介して対向するように捕集面を形成した、例えば熱伝導率の大きい部材であるアルミニウムからなる捕集部材49と、を備えている。捕集部材49の内部には冷却機構48例えば冷却水が通流する配管が用いられ、捕集面を冷却するようにしている。
この例では排気流が逆ラッパ状の流路を通過するときに加速され、出口にて一気に膨張しようとするときに、冷却されている捕集面に衝突し、このため昇華物が析出して付着する。
【0035】
昇華物の除去処理については捕集面の近傍に第1の実施の形態と同様に棒状の電極部42を設けてもよいが、図10及び図11に示しているようにプラズマジェット発生器50を用い、例えば空気を放電して得たプラズマ流を捕集面に噴射し、これにより昇華物を分解するようにしてもよい。この場合においてもQCMなどの昇華物の付着量を監視する監視部を捕集面に設けてもよい。
【0036】
[第7の実施の形態]
この実施の形態は排気管30にて昇華物を捕集する代わりに処理容器21内にて昇華物を捕集する構成を採用している。この例では図14に示すように、蓋部22の天井面に水冷配管46を設けて蓋部22を冷却し、ウエハWからの昇華物を熱泳動により天井面の表面に集めて付着昇華物44として捕集するようにしている。天井面は誘電体で覆われており、図14、図15に示すように蓋部22の下面に近接した位置には当該下面と平行になるように、第1の実施の形態で用いたと同様の複数本の放電用の電極部45が並行状に設けられる。蓋部22の外側面には、ソケット52が当該蓋部22に対して着脱自在に取り付けられている。このソケット52には各電極部45に夫々接続される給電路72が配線されており、これら給電路72は高周波電源64と接続される。蓋部22は接地されており、電極部45と蓋部22の下面との間に高周波電界が発生し、処理容器21内の大気が活性化され酸素の活性種を含むプラズマを発生させることができ、蓋部22に付着した昇華物44を既述の実施の形態と同様に分解除去することができる。このように排気管30に吸引される排気の昇華物を減らすことで排気管30内に昇華物が付着することを抑制できる。
【0037】
またこの実施の形態のように処理容器21内にて昇華物を捕集する場合、例えば排気口が処理容器21の側面に形成されている場合には、処理容器21の側壁に冷却機構を設けて側面に昇華物を捕集するようにしてもよい。更に処理容器21内で昇華物を捕集する実施の形態と排気管30内で昇華物を捕集する実施の形態とを組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 加熱装置
2 処理容器
10 プラズマ
21 加熱板
22 蓋部
25 底部
30 排気管
4 捕集部
42 電極部
43 水冷配管
44 付着昇華物
6 制御部
64 高周波電源
7 QCM
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布膜が形成された基板を処理容器内に載置して排気路を介して容器内を排気しながら基板の加熱処理を行う加熱装置、加熱方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程においては半導体ウエハ(以下「ウエハ」という)や、LCD(液晶ディスプレイ)用のガラス基板に対して塗布膜を塗布し、その後基板を加熱処理するプロセスがある。塗布液としてはレジストパターンを形成するためのレジスト液やレジスト液の下層側の反射防止膜を形成するための薬液、あるいはシリコン酸化膜の前駆体を含む薬液などが挙げられる。
加熱処理を行う加熱装置としては処理容器内に基板の載置台を兼用する加熱プレートが設けられると共に処理容器内を排気する排気路が接続された構造のものが用いられる。加熱処理の目的は塗布膜中に残留している溶剤を乾燥させ、また架橋剤の架橋反応を促進させたりすることなどが挙げられる。
【0003】
ウエハを加熱すると塗布膜中の有機成分が昇華する。このため処理容器内を空気あるいは不活性ガスによりパージし、排気流と共に昇華物を排気路を介して放出するようにしている。処理容器内の壁部については処理雰囲気におけるパーティクルの飛散を抑えるために昇華物の昇華温度以上に加熱しているが、排気路については加熱エネルギーのコスト等の関係で、加熱を行っていない。このため排気路を構成する配管(排気管)内に昇華物が付着し、その付着量が多くなると排気コンダクタンスが小さくなり、この結果、処理雰囲気中の昇華物の排出が不十分になって昇華物がウエハの表面に再付着する。また給排気のバランスの崩れの程度によってはウエハの表面温度均一性が低下し、製品の歩溜まりの低下の要因となる。定期的に排気路内をメンテナンスする必要があるが、排気管の分解、洗浄、組み立ての時間を要する上に、装置の稼働率が低下する。
特許文献1において、不純物の排気路内の付着を防止する手段が提示されているが、排気路内にもパージガスを供給することで排気路に昇華物が付着することを防ぐ構成であり、排気内に含まれる昇華物を分解する構成を開示するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−140960
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような背景の下になされたものであり、基板を加熱した際に基板上の塗布膜から発生する昇華物について、排気路内に付着する昇華物を抑えることのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱装置は、塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する加熱装置において、
前記処理容器内の雰囲気を排気するための排気路と、
前記排気路に設けられ、前記塗布膜から発生する有機物である昇華物を析出させて捕集する捕集部と、
酸素を含む気体をプラズマ化し、これにより得た酸素の活性種を、前記捕集部にて捕集された昇華物を分解するために当該昇華物に供給するプラズマ発生部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また本発明の加熱装置は、塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する加熱装置において、
前記処理容器内の雰囲気を排気するための排気路と、
前記処理容器内の天井面または側面に、前記塗布膜から発生する有機物である昇華物を析出させて捕集するために当該天井面または側面を冷却する冷却機構と、
酸素を含む気体をプラズマ化し、これにより得た酸素の活性種を、前記捕集部にて捕集された昇華物を分解するために設けられたプラズマ発生用の電極部を含むプラズマ発生部と、を備えたことを特徴としてもよい。
【0008】
本発明の加熱方法は、塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する工程と、
基板を加熱処理しているときに前記処理容器内の雰囲気を排気路により排気する工程と、
前記塗布膜から発生する有機物である昇華物を、前記排気路に設けられた捕集部に析出させて捕集する工程と、
酸素を含む気体をプラズマ化し、これにより得た酸素の活性種を、前記捕集部にて捕集された昇華物を分解するために当該昇華物に供給する工程と、を備えたことを特徴とする。
また本発明の加熱方法は、塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する工程と、
基板を加熱処理しているときに前記処理容器内の雰囲気を排気路により排気する工程と、
前記塗布膜から発生する有機物である昇華物を、前記処理容器内の天井面または側面に、析出させて捕集するために当該天井面または側面を冷却機構により冷却する工程と、
酸素を含む気体をプラズマ化し、これにより得た酸素の活性種を、前記捕集部にて捕集された昇華物を分解するために設けられたプラズマ発生用の電極部を含むプラズマ発生部により発生させる工程と、を備えたことを特徴してもよい。
【0009】
本発明の記憶媒体は、塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する加熱装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、上述の加熱方法を実行するようにステップ群が組み込まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、塗布膜を形成した基板に対して処理容器内で加熱処理を行うにあたって、塗布膜から発生した有機物である昇華物を排気路に設けられた捕集部あるいは処理容器内において強制的に捕集し、プラズマを発生させて酸素の活性種を昇華物に供給することにより昇華物を分解除去している。従って排気路内等に付着する昇華物の量が抑えられメンテナンスの頻度を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る加熱装置を示す縦断側面図である。
【図2】前記加熱装置に用いられる捕集部を示す縦断側面図である。
【図3】前記捕集部と放電プラズマの制御部と、を示す説明図である。
【図4】第2に実施の形態の要部を示す説明図である。
【図5】検出部により検出された周波数と特定の周波数で電源のオンオフを制御した場合における時間経過と発振周波数の変化とを示す特性図である。
【図6】前記捕集部内に付着した昇華物量を監視するための監視部の他の例を示す説明図である。
【図7】第3の実施の形態に係る捕集部を示す(a)斜視図及び(b)フィンの説明図である。
【図8】第4の実施の形態に係る捕集部を示す(a)斜視図及び(b)円筒部材の横断面図である。
【図9】第5の実施の形態に係る捕集部を示す(a)縦断側面図及び(b)捕集部の一部を詳細に示す説明図である。
【図10】第5の実施の形態に係る捕集部の(a)入り口及び(b)出口を示す正面図である。
【図11】第5の実施の形態に係る捕集部のハニカム構造を示す横断面図である。
【図12】第6の実施の形態に係る捕集部を示す縦断側面図である。
【図13】第6の実施の形態に係る捕集部を示す平面図である。
【図14】第7の実施の形態に係る処理容器を示す縦断側面図である。
【図15】第7の実施の形態に係る電極部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
図1は本発明の実施の形態に係る加熱装置1の全体構成を示している。図1中の2は処理容器であり、この処理容器2は上面が開口している扁平な円筒体からなる下部材25と、この下部材25に対して上下に移動して処理容器2を開閉する蓋部22とからなり、基板であるウエハWの加熱処理を行う加熱室を構成している。
下部材25は加熱室の外装体をなす図示しない筐体の底面部に相当する基台27の上に支持部材26を介して支持されており、ウエハWを載置して加熱処理するための加熱部をなす図示しないヒータが内蔵された加熱板21が設けられている。前記基台27には、下部材25の底部28及び加熱板21を貫通しウエハWを外部の図示しない搬送アームとの間で受け渡しを行うための昇降ピン23を昇降させるための昇降機構24が設けられている。蓋部21は下面が開口している扁平な円筒体からなり、下部材25周壁部の上面に接触して処理容器2を閉じた状態とする下降位置と、ウエハWを加熱板21に対して受け渡すときの上昇位置との間で昇降できるように構成されている。この例では蓋部22の昇降動作は蓋部22の外周面に取り付けられた昇降アーム18を基台27に設けられた昇降機構19により駆動することにより行われる。
【0013】
また下部材25の周壁部の上面には周方向に沿って間隔を置いて例えば高さ1mmの突起部が形成されており、従って蓋部21を閉じたときには蓋部21と下部材25との間に高さ1mmの隙間51が形成され、処理容器2内を排気したときに当該隙間51から外気(加熱装置1が置かれているクリーンルームの雰囲気)が流入し、処理容器2内に気流が形成される。
【0014】
蓋部21の天井板の中央部には、下方側(処理雰囲気側)に向かって拡大するラッパ状の排気口32が形成されており、この排気口32には排気路をなす排気管30が接続されている。この排気管30は処理容器2側を上流側とすると、工場内に引き回されている共用の排気ダクト33にその下流端が接続されており、上流側から捕集部4と流量監視部31とがこの順に設けられている。また排気管30は上流端から途中に至るまでの領域が円筒部材により構成され、捕集部4及び流量監視部31はこの部位に配置されると共に、前記円筒部材と排気ダクト33との間には蓋部21の昇降時に変形できるようにフッ素樹脂からなる屈曲自在な管路部材が長さに余裕をもって配置されている。流量監視部31は排気流量をモニターし、流量が低下したときにアラームを出力するために用いられる。
【0015】
捕集部4は図2に示すように角筒状の排気管30の内部に各々排気管30の幅方向にその軸が伸びる三角柱形状の部材、例えば内部が空洞の筒状部材(以下三角柱部材41という)の複数を配置して構成される。三角柱部材41は、両端面が排気管30の両内側面に接合されると共に、三面部分の一面を排気管30の上面に接合したものと三面部分の一面を排気管30の下面に接合したものとを排気管30の長さ方向に交互に配列している。そして各三角柱部材41の頂縁は縦断側面で見ると図2に示すように互いに隣接する三角柱部材41間の隙間と三角柱部材と排気管30の上面あるいは下面との間の隙間とにより。鋸歯状の屈曲路が形成されている。この屈曲路の屈曲部位はその前後の流路よりよりも絞られている(開口面積が小さくなっている)。
【0016】
一方捕集部4の一部をなす排気管30における上面及び下面、即ち前記屈曲路の屈曲部分を形成する管壁の外面には、冷却機構として冷媒流路43が配置されている。図の便宜上図2では排気管30の外面に沿って冷媒流路43が角形のコイル状に設けられているように表しているが排気管30の上面及び下面に沿って例えば排気管30の幅方向をカバーする幅寸法を有する帯状の流路部材を設け、この流路部材に排気管30の長さ方向に沿って冷媒例えば冷却水を通流させる構成としてもよい。このように排気管30内の排気流路の屈曲部分において、排気流が急激に方向を変えることにより衝突する前記管壁の内面、及び三角柱部材41の当該管壁近傍についても冷却されることとなる。従って前記屈曲部分において、排気流に含まれる、基板の塗布膜の昇華物が析出して捕集しやすくなる。なお排気管30における少なくとも捕集部4に相当する部位は、後述するように導電性部材を用いることが必要であるが、アルミニウム等の熱伝導率が大きい材質を用いることが好ましい。
【0017】
排気流路の各屈曲部分において排気管30の管壁に隙間を介して対向する三角柱部材41の頂縁よりも下流側に、各々排気管30の幅全体に伸びる例えば2本の棒状の電極部42が排気管30の長さ方向に並べて設けられている。これらの電極部42は電極本体であるワイヤーからなる電極を例えばアルミナ等の誘電体で覆って構成されており、図3に示すように電極部42は高周波電源64に接続されている。排気管30の管壁は接地されており、従って高周波電源64から電極部42に高周波電力を供給すると電極部42と管壁との間に高周波電界が形成され、排気流である空気流中の酸素がこの高周波により活性化されて酸素プラズマ10が発生する。
図3の6はコンピュータからなる制御部であり。図3中の60はバス、61はCPUである。バス60にはメモリ63及びプログラム62を格納したプログラム格納部(図では省略している)が接続される。プログラム62は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)、メモリーカードなどの記憶媒体により格納されて制御部6にインストールされる。
【0018】
次に上述実施の形態の作用について説明する。加熱装置1の前段処理では例えばウエハWに対してレジスト液のスピンコーティングが行われ、蓋部22を上昇させた状態でこのウエハWが図示しない搬送アームにより加熱板21の上方まで移動すると当該搬送アームと加熱板21の下方の支持ピン23の協働作用により、加熱板21上にウエハWが載置される。このとき加熱板21の表面の温度が例えば150℃となるように、図示しないヒータのパワーがコントロールされている。そして蓋部22を下降させて、処理容器2を形成すると工場排気側の排気により処理容器2内が陰圧状態となり、蓋部22と下部材25との間の隙間51から空気が流入する。この空気が蓋部22の天井部の排気口32から排気されることで処理雰囲気に気流が形成され所定の時間この状態でウエハWの熱処理を行う。
【0019】
熱処理終了後、蓋部22を上昇させて、ウエハWが搬出される。形成したウエハW上の塗布膜、この例ではレジスト膜から加熱によって有機物からなる昇華物が生じる。この昇華物は空気流と共に排気口32より、排気管30へと排気される。排気流は捕集部4にて既述の鋸歯上の屈曲路を通過するが、屈曲部分にて急激にその方向を変えるときに図2に示すように排気管30の内壁面及び三角柱部材41の表面に衝突し、また屈曲部分に相当する流路がその前後に対して絞られているため、当該屈曲部分を抜け出るときに流速が大きくなり、衝突による衝撃力が増大する。この衝撃と当該衝突部位が冷却水により強制冷却されていることから、当該部位に排気流中の昇華物が析出して付着する。なお冷却水による強制冷却は本発明では必須用件ではないが、昇華物の析出をより一層促進させるという点において好ましい。そしてウエハWの加熱処理枚数が増えるにつれ、昇華物の付着量(捕集量)が増大する。このため制御部6は予め設定した処理枚数に達すると高周波電源64をオンにして、電極部42と排気管30の内壁及びこの内壁に連続する三角柱部材41との間に高周波電界を発生させる。
【0020】
排気流は空気であることから高周波電界により酸素や水分が活性化されて活性種である酸素ラジカルなどのラジカルやオゾンなどを含むプラズマが発生する(放電する)。電極部42は図3では模式的に記載しているが例えば排気管30の内壁との距離が内壁に対向する三角柱部材41との距離よりも小さいため、図3中電極部42の下方側及び左側にて放電する。
ウエハW上の塗布膜からの昇華物の主な成分はVOC(揮発性有機化合物)であり、従って捕集部4に捕集された付着物はプラズマ10中のラジカルやオゾンなどの高い酸化力によって酸化されて、H2OやCO2に分解され、気体として排出される。そして予め設定した時間が経過した後、高周波電力の供給を停止し、ウエハWの加熱処理を再開する。
【0021】
上述の実施の形態によれば、レジスト液を塗布したウエハWを加熱処理をした際に発生する昇華物を、排気管30に設置した捕集部4により捕集し、電極部42によりプラズマ放電を行って、酸素の活性種を生成し、前記捕集された昇華物をH2OやCO2に分解するようにしている。従って、排気管30内における昇華物の付着量を抑制することができ、メンテナンスサイクルの頻度を減らすことができるので加熱装置の稼働率の低下を抑えることができる。
【0022】
[第2の実施の形態]
この実施の形態では、捕集部4に付着した昇華物の付着量を監視する監視部を、昇華物が付着する部位、例えば屈曲路の屈曲部分に対応する排気管30の内壁に設ける。監視部としては例えば水晶振動子を用いた質量センサー(QCM:Quartz Crystal Microbalance)を用いることができ、例えば図4に示すようにセンサー部分を、前記内壁に形成した凹部に嵌め込んで設置する。水晶振動子の電極上に既述の昇華物が付着して質量が変動すると、その共振周波数が変動する。そのため共振周波数をモニターし、周波数の変化値により付着物の量を測定できる。水晶振動子を用いた質量センサー(以下QCMという)は検出力に優れ、数μg単位の微量の質量変化も検出することができる。
【0023】
図4中に70は発振回路、71は周波数測定部である。この監視部の使用方法の一例としては、第1の実施の形態において高周波電力を電極部42に供給するにあたって、監視部にて検出した昇華物の付着量に応じて、高周波電力の大きさ及び放電時間の少なくとも一方を調整して、プラズマ10の出力あるいはプラズマ10の発生時間を調整する手法を挙げることができる。この場合には、例えば制御部6内のメモリ63に付着量と高周波電力の大きさ及び放電時間の少なくとも一方の値とを対応付けて書き込んでテーブルを作成しておき、このテーブルを読み出して高周波電力の供給制御が行われる。あるいは前記付着量と高周波電力の大きさ及び放電時間の少なくとも一方とを対応付けた関数を予め規定しておき、この関数を出力する演算回路を用いるようにしてもよい。このような実施形態によれば、前記付着量が多い程、高周波電力の大きさあるいは放電時間が長くなり、前記付着量が少ない程、高周波電力の大きさあるいは放電時間が短くなるといった制御を行うことができるので昇華物の除去作業をきめ細かく、効率よく行うことができる。
【0024】
また監視部の使用方法のほかの例としては、QCM7の測定結果を利用してプラズマ10発生による昇華物の除去処理の開始及び終了のタイミングを決定することが挙げられる。このような手法におけるQCM7の測定値と前記タイミングとの関係を図5に示す。ウエハWの加熱処理の枚数が増えていくと、捕集部4における付着物が増加し、これに伴いQCM7の発振周波数が徐々に減少してゆく。プログラム62は周波数測定部71の周波数測定値が、予め設定したしきい値(例えば図5中のf1)に達したときに高周波電源64の出力をオンにして、放電を開始するように設定する。
【0025】
放電が行われるとプラズマ放電により発生したラジカルやオゾンなどにより、排気管30の付着昇華物44が酸化分解されてH2OやCO2となり排出される。分解に伴って排気管30内の付着昇華物44の量が減少していくため、QCM7の発振周波数は徐々に増加する。そして予め設定した値(例えばf2)に達したときに高周波電源64を停止させる。下限側のしきい値f1は例えば予め試験をして、あるいは経験的に求めたプロセスに悪影響が出る少し前の昇華物の付着量に対応する値として設定することができる。また上限側のしきい値f2は昇華物が付着していないときの値として設定できる。
このような実施の形態によれば、より正確に、昇華物の付着量に応じた除去処理のタイミングを設定することができる。
【0026】
また昇華物の付着量を監視する監視部としてはQCMに限られるものではなく、ND−IR8(非分散型赤外線分析計)を用いて昇華物の分解後に生成されるCO2の濃度を測定してもよい。図6に示すように捕集部4の下流部から昇華物の捕集及び分解処理後の排気流を試料セル80へ引き込み、光源81より赤外線エネルギーを試料セル80へ照射し、試料セル80を通過した赤外線エネルギーを検出部82により検出する。赤外線エネルギーはCO2ガスにより固有の波長域が吸収される。赤外線エネルギーの吸収量は試料セル80の長さと試料セル80の中のCO2濃度によって決定されるためND−IR8を用いて排気中のCO2濃度が検出でき。CO2の濃度が高ければ昇華物の分解が進んでおり、低ければ分解が進んでいないと判断できる。
また更には光イオン化検出器を用いて、捕集部4を通過した排気に含まれるVOCの濃度をモニターしてもよい。
【0027】
[第3の実施の形態]
捕集部4は前述したような、排気管30の屈曲部位に昇華物を付着させる構成に限らず、フィンを並べて設置することにより、昇華物をフィンに付着させるように構成してもよい。図7はこのような実施の形態を示しており、排気管30の幅方向に伸びるように設置した複数の平板状のフィン59を高さ方向に互いに隙間ができるように重ねてフィン59の積層部を形成し、複数の積層部を流路に沿って、例えば互いに間隔をおいて配置する。互いに隣接する積層部のフィン59同士の高さ方向について千鳥状に(互い違いに)配列されており、一の積層部におけるフィン同士の間の流路に臨む位置には、他の積層部のフィン59が位置している。各フィン59の左右両端は排気管30の側面に接触しており、従って排気流に各積層部のフィン59の間を通過することになる。
【0028】
各フィン59は誘電体により構成され、各フィン59の内部には、冷却用の水冷配管43が屈曲路を形成して全体を引き回すように設置されて、フィン59の全面が冷却されるようになっている。フィン59の表面に近接した部位には、フィン59の長さ方向(排気管30の幅方向)に沿って電極部42が設けられ、フィン59の内部には板状の接地電極54が設けられる。電極部42は高周波電源64に接続されている。なお図7では、図示の便宜上1枚のフィン59のみに水冷配管43、電極部42を記載しているが、実際には各フィン59に水冷配管43、電極部42が配置されている。
【0029】
この実施の形態によれば排気に含まれる昇華物は上述の捕集部4を通過する際に、冷却されたフィン59の表面に付着し、例えば前回のメンテナンスから予め設定した稼働時間が経過したとき、あるいは既述のように昇華物の付着量を監視してその監視結果に基づいて、電極部42に高周波電力を印加すると、フィン59の表面に沿って沿面放電が起こる。このため空気が活性化されてフィン59の表面にプラズマ10が発生して酸素活性種が生成され、フィン59に付着した昇華物の分解除去が行われる。
【0030】
[第4の実施の形態]
捕集部4は円筒部材を並べて、昇華物を捕集するように構成してもよい。この実施の形態は図8に示すように排気管30の幅方向に各々が伸びるように複数の円筒部材65を配置して、捕集部4を構成している。円筒部材65の配列パターン、設置数、外径については、昇華物の捕集効率が良好になるように予め実験等により決めることができる。円筒部材65は誘電体により構成され、筒孔部を冷却水路60に利用し、冷却水路60に冷却水を通流することで円筒部材65の表面全体を冷却するように構成されている。図示の便宜上1個の円筒部材65により、その構造を代表して示すと、円筒部材65の外周面に接触して、例えばその円筒部材65の長さ方向に沿って伸びるように電極部42が設けられると共に円筒部材65の筒壁の内部には接地電極68が円筒部材65と同芯の筒状に形成されている。電極部42は高周波電源64に接続され既述の実施の形態と同様にプラズマが生成され、同様の作用効果が得られる。
【0031】
[第5の実施の形態]
さらに第5の実施の形態を図9〜図11を用いて説明する。この実施の形態は、図9(a)に示すように内部が空洞の誘電体で構成された六角柱型の配管66を流路方向に平行に並べ、前後方向(流路の伸びる方向)から見てハニカム状になるように設置して捕集部4に相当するハニカム構造体58を構成している。捕集部4の排気が流入する側には、パンチングプレート55を設け、パンチング孔72により流路が一旦絞られており、図10(a)に示すように、この絞られた流路(パンチング孔72)は、ハニカム構造体58の各六角柱型の配管66の中央に位置するように配列されている。一方捕集部4の出口側には図10(b)に示すように、ハニカム構造体58の終端から隙間を介してパンチングプレート56が設けられている。捕集部4の出口側のパンチングプレート56の孔部はハニカム構造体58の流路の出口に対し、ずれるように配置されており、従ってハニカム構造体58を通過した排気がパンチングプレート56の壁部に衝突する。
【0032】
捕集部4は外周が冷却ジャケット57により覆われており、この冷却ジャケット57により内部のハニカム構造体58及び出口側のパンチングプレート56が冷却される。そのため、ハニカム構造体58および出口側のパンチングプレート56は熱伝導率の高い部材で構成される。図9(b)及び図11に示すように、ハニカム構造体58を形成する六角形の側線に近接する位置には、電極部42が流路に沿って六角柱型の配管66の終端まで伸びるように設置される。なお、便宜上図9(a)では電極部42は省略してある。ハニカム構造体58の管壁の内部には各六角柱型の配管66と同芯の六角柱状に接地電極54が埋め込まれており、前記管壁は誘電体により構成されている。
【0033】
図9(b)に示すように捕集部4を通過する排気流に含まれる昇華物は、冷却されたハニカム構造体58により析出捕集される。ハニカム構造体58で捕集されなかった昇華物は出口側のパンチングプレート56に排気が衝突した際に捕集される。この例においても電極部42とハニカム構造体58の管壁との間に形成される高周波電界により酸素の活性種を含んだプラズマ10が生成され、これによりハニカム構造体58に捕集された昇華物44が分解される。また出口側のパンチングプレート56に付着した昇華物44は、メンテナンス時に除去される。
【0034】
[第6の実施の形態]
この実施の形態に用いられる捕集部4は、図12及び図13に示すように排気管30内に下流側に向かうにつれて口径が縮小するいわば逆ラッパ状の流路69を形成し、この流路69の縮小端である出口に隙間を介して対向するように捕集面を形成した、例えば熱伝導率の大きい部材であるアルミニウムからなる捕集部材49と、を備えている。捕集部材49の内部には冷却機構48例えば冷却水が通流する配管が用いられ、捕集面を冷却するようにしている。
この例では排気流が逆ラッパ状の流路を通過するときに加速され、出口にて一気に膨張しようとするときに、冷却されている捕集面に衝突し、このため昇華物が析出して付着する。
【0035】
昇華物の除去処理については捕集面の近傍に第1の実施の形態と同様に棒状の電極部42を設けてもよいが、図10及び図11に示しているようにプラズマジェット発生器50を用い、例えば空気を放電して得たプラズマ流を捕集面に噴射し、これにより昇華物を分解するようにしてもよい。この場合においてもQCMなどの昇華物の付着量を監視する監視部を捕集面に設けてもよい。
【0036】
[第7の実施の形態]
この実施の形態は排気管30にて昇華物を捕集する代わりに処理容器21内にて昇華物を捕集する構成を採用している。この例では図14に示すように、蓋部22の天井面に水冷配管46を設けて蓋部22を冷却し、ウエハWからの昇華物を熱泳動により天井面の表面に集めて付着昇華物44として捕集するようにしている。天井面は誘電体で覆われており、図14、図15に示すように蓋部22の下面に近接した位置には当該下面と平行になるように、第1の実施の形態で用いたと同様の複数本の放電用の電極部45が並行状に設けられる。蓋部22の外側面には、ソケット52が当該蓋部22に対して着脱自在に取り付けられている。このソケット52には各電極部45に夫々接続される給電路72が配線されており、これら給電路72は高周波電源64と接続される。蓋部22は接地されており、電極部45と蓋部22の下面との間に高周波電界が発生し、処理容器21内の大気が活性化され酸素の活性種を含むプラズマを発生させることができ、蓋部22に付着した昇華物44を既述の実施の形態と同様に分解除去することができる。このように排気管30に吸引される排気の昇華物を減らすことで排気管30内に昇華物が付着することを抑制できる。
【0037】
またこの実施の形態のように処理容器21内にて昇華物を捕集する場合、例えば排気口が処理容器21の側面に形成されている場合には、処理容器21の側壁に冷却機構を設けて側面に昇華物を捕集するようにしてもよい。更に処理容器21内で昇華物を捕集する実施の形態と排気管30内で昇華物を捕集する実施の形態とを組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 加熱装置
2 処理容器
10 プラズマ
21 加熱板
22 蓋部
25 底部
30 排気管
4 捕集部
42 電極部
43 水冷配管
44 付着昇華物
6 制御部
64 高周波電源
7 QCM
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する加熱装置において、
前記処理容器内の雰囲気を排気するための排気路と、
前記排気路に設けられ、前記塗布膜から発生する有機物である昇華物を析出させて捕集する捕集部と、
酸素を含む気体をプラズマ化し、これにより得た酸素の活性種を、前記捕集部にて捕集された昇華物を分解するために当該昇華物に供給するプラズマ発生部と、を備えたことを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記プラズマ発生部は、プラズマ発生用の電極部を有することを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記捕集部は昇華物の析出を促進させるために冷却機構を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の加熱装置。
【請求項4】
塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する加熱装置において、
前記処理容器内の雰囲気を排気するための排気路と、
前記処理容器内の天井面または側面に、前記塗布膜から発生する有機物である昇華物を析出させて捕集するために当該天井面または側面を冷却する冷却機構と、
酸素を含む気体をプラズマ化し、これにより得た酸素の活性種を、前記捕集部にて捕集された昇華物を分解するために設けられたプラズマ発生用の電極部を含むプラズマ発生部と、を備えたことを特徴とする加熱装置。
【請求項5】
前記捕集部に付着した昇華物の量を監視する監視部と、
前記監視部の監視結果に基づいて、前記プラズマ発生部におけるプラズマの発生開始及びプラズマの発生停止の少なくとも一方を行うように制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記捕集部に付着した昇華物の量を監視する監視部を備え、
前記監視部の監視結果に基づいて、プラズマの出力及びプラズマ発生時間の少なくとも一方を調整する手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項7】
塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する工程と、
基板を加熱処理しているときに前記処理容器内の雰囲気を排気路により排気する工程と、
前記塗布膜から発生する有機物である昇華物を、前記排気路に設けられた捕集部に析出させて捕集する工程と、
酸素を含む気体をプラズマ化し、これにより得た酸素の活性種を、前記捕集部にて捕集された昇華物を分解するために当該昇華物に供給する工程と、を備えたことを特徴とする加熱方法。
【請求項8】
酸素を含む気体のプラズマ化は、プラズマ発生用の電極部を用いて行うことを特徴とする請求項7に記載の加熱方法。
【請求項9】
前記捕集部は、昇華物の析出を促進させるために冷却機構により冷却される工程を特徴とする請求項7または8に記載の加熱方法。
【請求項10】
塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する工程と、
基板を加熱処理しているときに前記処理容器内の雰囲気を排気路により排気する工程と、
前記塗布膜から発生する有機物である昇華物を、前記処理容器内の天井面または側面に、析出させて捕集するために当該天井面または側面を冷却機構により冷却する工程と、
酸素を含む気体をプラズマ化し、これにより得た酸素の活性種を、前記捕集部にて捕集された昇華物を分解するために設けられたプラズマ発生用の電極部を含むプラズマ発生部により発生させる工程と、を備えたことを特徴とする加熱方法。
【請求項11】
前記捕集部に付着した昇華物の量を監視部により監視する工程と、
前記監視部の監視結果に基づいて、プラズマ発生部におけるプラズマの発生開始及びプラズマの発生停止の少なくとも一方を行うように制御する工程と、
を備えたことを特徴とする請求項7ないし10のいずれか一項に記載の加熱方法。
【請求項12】
前記捕集部に付着した昇華物の量を監視部により監視する工程と、
前記監視部の監視結果に基づいて、プラズマの出力及びプラズマ発生時間の少なくとも一方を調整する工程と、
を特徴とする請求項7ないし11のいずれか一項に記載の加熱方法。
【請求項13】
塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する加熱装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項7ないし12のいずれか一項に記載された加熱方法を実行するようにステップ群が組み込まれていることを特徴とする記憶媒体。
【請求項1】
塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する加熱装置において、
前記処理容器内の雰囲気を排気するための排気路と、
前記排気路に設けられ、前記塗布膜から発生する有機物である昇華物を析出させて捕集する捕集部と、
酸素を含む気体をプラズマ化し、これにより得た酸素の活性種を、前記捕集部にて捕集された昇華物を分解するために当該昇華物に供給するプラズマ発生部と、を備えたことを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記プラズマ発生部は、プラズマ発生用の電極部を有することを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記捕集部は昇華物の析出を促進させるために冷却機構を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の加熱装置。
【請求項4】
塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する加熱装置において、
前記処理容器内の雰囲気を排気するための排気路と、
前記処理容器内の天井面または側面に、前記塗布膜から発生する有機物である昇華物を析出させて捕集するために当該天井面または側面を冷却する冷却機構と、
酸素を含む気体をプラズマ化し、これにより得た酸素の活性種を、前記捕集部にて捕集された昇華物を分解するために設けられたプラズマ発生用の電極部を含むプラズマ発生部と、を備えたことを特徴とする加熱装置。
【請求項5】
前記捕集部に付着した昇華物の量を監視する監視部と、
前記監視部の監視結果に基づいて、前記プラズマ発生部におけるプラズマの発生開始及びプラズマの発生停止の少なくとも一方を行うように制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記捕集部に付着した昇華物の量を監視する監視部を備え、
前記監視部の監視結果に基づいて、プラズマの出力及びプラズマ発生時間の少なくとも一方を調整する手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項7】
塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する工程と、
基板を加熱処理しているときに前記処理容器内の雰囲気を排気路により排気する工程と、
前記塗布膜から発生する有機物である昇華物を、前記排気路に設けられた捕集部に析出させて捕集する工程と、
酸素を含む気体をプラズマ化し、これにより得た酸素の活性種を、前記捕集部にて捕集された昇華物を分解するために当該昇華物に供給する工程と、を備えたことを特徴とする加熱方法。
【請求項8】
酸素を含む気体のプラズマ化は、プラズマ発生用の電極部を用いて行うことを特徴とする請求項7に記載の加熱方法。
【請求項9】
前記捕集部は、昇華物の析出を促進させるために冷却機構により冷却される工程を特徴とする請求項7または8に記載の加熱方法。
【請求項10】
塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する工程と、
基板を加熱処理しているときに前記処理容器内の雰囲気を排気路により排気する工程と、
前記塗布膜から発生する有機物である昇華物を、前記処理容器内の天井面または側面に、析出させて捕集するために当該天井面または側面を冷却機構により冷却する工程と、
酸素を含む気体をプラズマ化し、これにより得た酸素の活性種を、前記捕集部にて捕集された昇華物を分解するために設けられたプラズマ発生用の電極部を含むプラズマ発生部により発生させる工程と、を備えたことを特徴とする加熱方法。
【請求項11】
前記捕集部に付着した昇華物の量を監視部により監視する工程と、
前記監視部の監視結果に基づいて、プラズマ発生部におけるプラズマの発生開始及びプラズマの発生停止の少なくとも一方を行うように制御する工程と、
を備えたことを特徴とする請求項7ないし10のいずれか一項に記載の加熱方法。
【請求項12】
前記捕集部に付着した昇華物の量を監視部により監視する工程と、
前記監視部の監視結果に基づいて、プラズマの出力及びプラズマ発生時間の少なくとも一方を調整する工程と、
を特徴とする請求項7ないし11のいずれか一項に記載の加熱方法。
【請求項13】
塗布膜が形成された基板を処理容器内にて加熱処理する加熱装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項7ないし12のいずれか一項に記載された加熱方法を実行するようにステップ群が組み込まれていることを特徴とする記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−93391(P2013−93391A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233502(P2011−233502)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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