説明

加熱調理器の電源供給システム

【課題】乾電池交換の手間を省いて使い勝手を良好とする。
【解決手段】商用電源で動作するオーブン3に、商用電源から乾電池に相当する電源を作成してビルトインコンロ2に電源として供給する電源供給回路49と、その電源供給回路49からビルトインコンロ2への電源の供給をON/OFFさせる切替スイッチ50を設けた。ビルトインコンロ2には、乾電池32と、電源供給回路49からの電源を優先して供給し、電源供給回路49から電源が供給されない際には乾電池32から電源を供給する電源選択回路31が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルコンロやビルトインコンロ等の加熱調理器に電源を供給するための電源供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
テーブルコンロやビルトインコンロ等の加熱調理器においては、特許文献1に開示されるように、電源として乾電池を使用したものがよく知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−52841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、乾電池を電源とすると、電圧の低下によって乾電池を交換する必要が生じ、ユーザにとって交換の手間が生じて煩わしい。
【0005】
そこで、本発明は、乾電池交換の手間を省くことができ、使い勝手に優れる加熱調理器の電源供給システムを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、乾電池を電源として動作する加熱調理器に電源を供給する電源供給システムであって、商用電源で動作する電気機器の商用電源から乾電池に相当する電源を作成して加熱調理器に供給する電源供給手段を設けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、加熱調理器に、乾電池と、電源供給手段からの電源を優先して加熱調理器へ供給し、電源供給手段から電源が供給されない際には乾電池から加熱調理器へ電源を供給する電源選択手段とを設けたことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、電源供給手段から加熱調理器への電源の供給をON/OFFさせる切替スイッチを設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、電気機器側の商用電源から加熱調理器の電源を得ることができるため、乾電池が不要となって乾電池交換の手間を省くことができ、使い勝手に優れる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、停電等によって商用電源が供給されない場合には、乾電池電源で加熱調理器を動作させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、必要に応じて任意の電源を選択でき、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】キッチンカウンターの正面図である。
【図2】ビルトインコンロ及びオーブンの回路ブロック図である。
【図3】電源供給処理のフローチャートである。
【図4】ビルトインコンロ及びオーブンの回路ブロック図の変更例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、キッチンカウンターの正面図で、キッチンカウンター1の上部には、加熱調理器としてのビルトインコンロ2が設けられ、その下部には、電気機器としてのオーブン3が設けられている。
まずビルトインコンロ2は、カウンタートップ4上にトッププレート5を有し、そのトッププレート5上に、3つのコンロ6,6・・をそれぞれ備えると共に、カウンタートップ4の下方に位置する器体7内に、グリル8を備えている。器体7の正面パネルには、各コンロ6とグリル8とに対応する点火ボタン9及び火力調整レバー10がそれぞれ設けられ、右側には乾電池を収納する電池ボックス11が、左側には調理メニューやタイマー等をセットするための操作パネル12がそれぞれ設けられている。
一方、オーブン3は、被調理物を収納する加熱庫13内に、図示しない複数のバーナを備える周知の構成で、正面パネルの上部には、電源スイッチや調理ボタン等を備えた操作パネル14が設けられている。
【0010】
図2は、ビルトインコンロ2及びオーブン3の電気的構成の回路ブロック図で、まずビルトインコンロ2では、CPUやメモリ、タイマー等からなるコンロ制御回路20を備える他、各コンロ6に設けられた過熱検知用のサーミスタ(TH)からの検出信号をコンロ制御回路20へ入力するサーミスタ入力回路21と、各点火ボタン9の押し操作によってON/OFFするコックスイッチ(SW)の操作信号をコンロ制御回路20へ入力するスイッチ入力回路22と、コンロ6のバーナへ点火するイグナイタ(IG)を駆動させるイグナイタ電源回路23と、操作パネル(P)の表示を制御する表示・操作回路24とを備えている。
【0011】
また、ここには、作動電圧が所定レベル以下となった場合にコンロ制御回路20の作動停止を行うと共に、コンロ制御回路20を初期化するリセットIC回路25と、作動電圧を監視する電圧監視回路26と、各バーナへのガス供給路に設けられたセーフティバルブ(SV)への通電を制御するセーフティバルブ制御回路27と、各バーナに設けた炎検出用の熱電対(TC)の熱起電力をコンロ制御回路20へ入力する炎検知回路28と、各バーナに設けた火力切替用のキープソレノイドバルブ(KSV)の駆動を制御する電磁弁回路29とが設けられている。
【0012】
30は、所定レベルの作動電圧を作成して各回路へ電源を供給する電源回路、31は、オーブン3側の後述する電源供給回路49と接続されて乾電池32を電源として動作し、電源供給回路49からの電源供給があった場合は、乾電池電源に優先して電源供給回路49からの電源を電源回路30へ供給する電源選択手段としての電源選択回路である。この電源選択回路31としては、トランジスタを用いたスイッチング回路やリレー等を用いて、電源供給回路49からの電源電圧を検出した際に乾電池側の回路を遮断するようにしたり、電源供給回路49からの接続端子の接続によって内部に設けたスイッチを切り替えるようにしたり等、種々の構成が採用できる。
【0013】
一方、オーブン3では、CPUやメモリ、タイマー等からなるオーブン制御回路40を備える他、加熱庫13内に設けられた温度検知用のサーミスタ(TH)からの検出信号をオーブン制御回路40へ入力するサーミスタ入力回路41と、バーナへ点火するイグナイタ(IG)を駆動させるイグナイタ電源回路42と、操作パネル(P)の表示を制御する表示・操作回路43とを備えている。また、作動電圧が所定レベル以下となった場合にオーブン制御回路40の作動停止を行うと共に、オーブン制御回路40を初期化するリセットIC回路44と、各バーナに設けたフレームロッド(FR)の炎電流をオーブン制御回路40へ入力する炎検知回路45と、各バーナへのガス供給路に設けられた電磁弁(MV)への通電を制御する電磁弁回路46とが備えられている。
【0014】
47は、プラグ48によって得られる商用電源から所定レベルの作動電圧を作成して各回路へ電源を供給する電源回路で、電源回路47とプラグ48との間は、コンロ2の電源選択回路31と接続されて、その配線上に、周知の変圧器や整流器等を備え、商用電源を乾電池に相当する直流電源(例えばDC3V)に変換して電源選択回路31へ供給する電源供給手段としての電源供給回路49と、その電源供給回路49への商用電源の供給を手動でON/OFF操作可能な切替スイッチ50とが設けられている。この切替スイッチ50は、例えばビルトインコンロ2側の操作パネル12やオーブン3側の操作パネル14に設けられる。
【0015】
以上の如く構成されたビルトインコンロ1における電源供給に関する動作を、図3のフローチャートに基づいて説明する。
まず、S1において、切替スイッチ50がONされているか否かが判別される。ここで切替スイッチ50がONされていれば、S2でオーブン電源で動作する。すなわち、電源供給回路49が商用電源から作成した乾電池相当の電源がビルトインコンロ2の電源選択回路31に流れるため、この電源が電源回路30に供給されてビルトインコンロ2の電源として使用されることになる。
【0016】
一方、S1の判別で切替スイッチ50がOFFされていれば、S3で、乾電池32がセットされているか否かが判別される。ここで乾電池32のセットが確認されれば、S4で乾電池電源で動作する。すなわち、電源供給回路49からの電源供給がないことで、電源選択回路31は乾電池32からの電源を電源回路30に供給することになる。この処理は、オーブン3側でプラグ48がコンセントに差し込まれていない場合や停電が生じた場合にも同様である。なお、このフローで言う乾電池32のセットとは、乾電池電源が所定電圧(例えば3V)以上確認されることを意味し、所定電圧を下回る場合は乾電池32がセットされていないと判別する。
【0017】
また、乾電池電源での動作中は、S1での切替スイッチ50のON確認と、S3での乾電池32のセットの確認とがそれぞれなされる。よって、S1の判別で切替スイッチ50がONされていれば、S2でオーブン電源で動作する。
そして、S3の判別で乾電池32がセットされていなければ、ビルトインコンロ1には電源が供給されないため、動作しないことになる(S5)。但し、続くS1の判別で切替スイッチ50のONが確認されれば、オーブン電源で動作するし(S2)、S3の判別で乾電池32のセットが確認されれば、乾電池電源で動作する(S4)。
【0018】
このように、上記形態のビルトインコンロ2の電源供給システムによれば、商用電源で動作するオーブン3側の商用電源から乾電池に相当する電源を作成してビルトインコンロ2に電源として供給する電源供給回路49を設けたことで、乾電池交換の手間を省くことができ、使い勝手に優れる。
【0019】
特にここでは、ビルトインコンロ2に、乾電池32と、電源供給回路49からの電源を優先してビルトインコンロ2へ供給し、電源供給回路49から電源が供給されない際には乾電池32からビルトインコンロ2へ電源を供給する電源選択回路31とを設けたことで、停電等によって商用電源が供給されない場合には、乾電池電源でビルトインコンロ2を動作させることができる。
また、電源供給回路49からビルトインコンロ2への電源の供給をON/OFFさせる切替スイッチ50を設けたことで、必要に応じて任意の電源を選択でき、利便性が向上する。
【0020】
なお、上記形態では、オーブン側に電源供給回路を設けているが、ビルトインコンロ側に設けてもよい。また、電源供給回路を別途設けずに、図4に示すように、オーブン3の電源回路47で作成した乾電池相当の電源を、切替スイッチ50を介してビルトインコンロ2の電源選択回路31に供給するようにしてもよい。
さらに、図2や図4の形態で切替スイッチを省略して、オーブン側での電源投入と同時に乾電池相当の電源を常にビルトインコンロの電源選択回路へ供給するようにしても差し支えない。この場合、切替スイッチの操作が不要となる。
加えて、ビルトンコンロでは乾電池自体も省略してオーブン側からの電源でのみ動作するようにすることもできる。
【0021】
その他、電気機器としてはオーブンに限らず、レンジやコンビネーションレンジ、食器洗い乾燥機等、商用電源で動作するものであれば他の種類でも差し支えないし、加熱調理器もビルトインコンロに限らず、乾電池電源で動作するものであればテーブルコンロ等でも差し支えない。
【符号の説明】
【0022】
1・・キッチンカウンター、2・・ビルトインコンロ、3・・オーブン、4・・カウンタートップ、5・・トッププレート、6・・コンロ、7・・器体、8・・グリル、11・・電池ボックス、12,14・・操作パネル、20・・コンロ制御回路、30,47・・電源回路、31・・電源選択回路、32・・乾電池、40・・オーブン制御回路、48・・プラグ、49・・電源供給回路、50・・切替スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾電池を電源として動作する加熱調理器に電源を供給する電源供給システムであって、
商用電源で動作する電気機器の前記商用電源から前記乾電池に相当する電源を作成して前記加熱調理器に供給する電源供給手段を設けたことを特徴とする加熱調理器の電源供給システム。
【請求項2】
前記加熱調理器に、乾電池と、前記電源供給手段からの電源を優先して前記加熱調理器へ供給し、前記電源供給手段から電源が供給されない際には前記乾電池から前記加熱調理器へ電源を供給する電源選択手段とを設けたことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器の電源供給システム。
【請求項3】
前記電源供給手段から前記加熱調理器への電源の供給をON/OFFさせる切替スイッチを設けたことを特徴とする請求項2に記載の加熱調理器の電源供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−96662(P2013−96662A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241344(P2011−241344)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000112015)株式会社パロマ (298)