説明

加熱調理器

【課題】加熱時間を短縮でき、省エネルギーを達成でき、かつ、加熱室の外面が局部的に高温にならなくて、電気・電子部品の熱損傷を防止でき、かつ、断熱材を削減できる加熱調理器を提供すること。
【解決手段】被加熱物を収容して加熱するための加熱室と、被加熱物を高周波加熱するための高周波加熱装置と、を本体ケーシング内に備え、加熱室の壁面材は、加熱室を形成する合金鋼層301と、この合金鋼層の内面に設けられた内側アルミニウム層302と、内側アルミニウム層の上に塗布され、非粘着性および熱反射性を併せ持つ塗膜304とを含むことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱調理器としては、食品を収容して加熱するための加熱室の壁面材を、鋼板に、非粘着性および熱反射性を併せ持つ塗膜を塗布して構成し、この塗膜の非粘着性によって、煮こぼれ等による汚れを拭き取り易くし、塗膜の熱反射性によって、加熱時間を短縮し、省エネルギーを達成するようにしたものがある(特許文献1:特開平10−208862号公報)。上記塗膜は、フッ素系樹脂にアルミニウム粉末を混合してなり、熱線に対する反射率が高いものである。
【0003】
しかしながら、上記従来の加熱調理器では、マイクロ波によって食品に加熱する場合、エネルギーの大きなマイクロ波が上記塗膜を貫通して鋼板に当たると、吸収されて、マイクロ波の反射率が悪くて、マイクロ波を加熱室内の食品に十分に反射することができなくて、加熱効率が悪くて、加熱時間が長くなると言う問題があった。
【0004】
マイクロ波の反射率は、加熱室の壁面材の体積抵抗、比透磁率および表面抵抗の大小に関係するので、仮に、上記鋼板をステンレス鋼板に代えても、同じ問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−208862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の課題は、加熱室の内面の煮こぼれ等による汚れを拭き取り易く、塗膜による熱線の反射によって加熱時間を短縮して、省エネルギーを達成できる上に、加熱室の壁面材によるマイクロ波の吸収を少なくしてマイクロ波の反射率を高めて、加熱時間をさらに短縮できる加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の加熱調理器は、被加熱物を収容して加熱するための加熱室と、上記被加熱物を高周波加熱するための高周波加熱装置と、を本体ケーシング内に備え、上記加熱室の壁面材は、上記加熱室を形成する合金鋼層と、この合金鋼層の内面に設けられた内側アルミニウム層と、上記内側アルミニウム層の上に塗布され、非粘着性および熱反射性を併せ持つ塗膜とを含むことを特徴としている。
【0008】
上記構成の加熱調理器によれば、上記加熱室の壁面材の最も内側の層が、非粘着性および熱反射性を併せ持つ塗膜であるから、この塗膜の非粘着性によって、煮こぼれ等による汚れを拭き取り易くでき、この塗膜の熱線に対する反射性によって、食品等の被加熱物の加熱時間を短縮し、省エネルギーを達成することができる。
【0009】
さらに、上記高周波加熱装置を駆動して高周波加熱(マイクロ波加熱)を行う場合、マイクロ波のうち、塗膜を貫通したマイクロ波は、基材であるステンレス鋼層の内面に設けられた内側アルミニウムメッキ層によって、効率良く、反射されて、加熱室内の被加熱物の加熱に利用される。したがって、マイクロ波加熱の場合も、被加熱物の加熱時間を短縮し、省エネルギーを達成することができる。
【0010】
また、上記蒸気発生装置を駆動して、加熱室内の被加熱物を蒸気や過熱蒸気で加熱する場合、加熱室内は蒸気、水分に満ちて錆が発生し易い雰囲気となるが、上記壁面材の基材であるステンレス鋼層の内面を、内側アルミニウムメッキ層で被覆しているので、ステンレス鋼層の錆の発生を防止できる。特に、上記ステンレス鋼層が、耐食性に優れたSUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼ではなくて、耐食性に劣るSUS430やSUS405等のフェライト系ステンレス鋼からなる場合、上記内側アルミニウムメッキ層による防錆効果が大きい。
【0011】
また、上記加熱室の内面には、上記蒸気発生装置から供給される蒸気や過熱蒸気の吹出口、吸込口との関係、また、上記蒸気発生装置のヒータの位置との関係によって、どうしても、温度むらが生じて、局部的に温度が高温になる箇所が生じる。この加熱室の内面の局部的に高い温度の箇所に対向する加熱室の外面の温度も局部的な高い温度になろうとする。しかし、この発明によれば、加熱室の基材であるステンレス鋼層の外面に、このステンレス鋼層よりも遙かに熱伝導性に優れた外側アルミニウムメッキ層を設けているので、この外側アルミニウムメッキ層によって、上記局部的に高い温度になろうとする加熱室の外面の局部の熱は、迅速に、加熱室の外面全体に分散されて、加熱室の外面が局部的に高温になることがない。
【0012】
このように、加熱室の外面が局部的に高温になることがないので、加熱室の外側に配置される電気・電子部品の熱損傷を防止でき、また、断熱材の量を削減することができる。
【0013】
オーステナイト系ステンレス鋼として最も著名なSUS304の熱伝導率は、0.039cal/cms℃であり、フェライト系ステンレス鋼の代表例としてのSUS430の熱伝導
率は、0.062cal/cms℃である。一方、アルミニウムの熱伝導率は、0.57cal/cms℃である。したがって、アルミニウムは、SUS304の約15倍(57/3.9)の熱伝導率を有し、SUS430の約9倍(57/6.2)の熱伝導率を有する。したがって、この発明のように、ステンレス鋼層の外面に外側アルミニウムメッキ層を設けると、熱拡散効果が極めて大きくなって、加熱室の外面が局部的に高温になることがないのである。
【0014】
1実施形態では、上記ステンレス鋼層は、フェライト系ステンレス鋼からなる。
【0015】
この実施形態では、上記ステンレス鋼層が、オーステナイト系ステンレス鋼に比べて耐食性に劣るフェライト系ステンレス鋼からなるが、ステンレス鋼層の内面を内側アルミニウムメッキ層で覆っているので、上記蒸気発生装置によって加熱室内が蒸気、水分に満ちて錆が発生し易い雰囲気であっても、錆の発生を殆ど防止できる。
【0016】
しかも、フェライト系ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼に比べて安価であるから、壁面材の基材としてのステンレス鋼層が安価になって、結局、加熱調理器を安価に製造することができる。
【0017】
1実施形態では、上記塗膜は上記加熱室の成形前に上記内側アルミニウムメッキ層の上にプリコートされている。
【0018】
上記実施形態によれば、上記塗膜は上記加熱室の成形前に上記内側アルミニウムメッキ層の上にプリコートされているから、加熱室を成形した後、塗膜を塗布する場合に比べて、予めプリコートされた壁面材を成形することによって、加熱室を安価に製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、非粘着性および熱反射性を併せ持つ塗膜によって、加熱室の内面の煮こぼれ等による汚れを拭き取り易くでき、熱線を反射して、加熱時間を短縮し、省エネルギーを達成することができる。
【0020】
また、この発明によれば、ステンレス鋼層の内面に設けられた内側アルミニウムメッキ層によって、マイクロ波を反射して、加熱時間を短縮し、省エネルギーを達成することができる。
【0021】
また、この発明によれば、壁面材の基材であるステンレス鋼層の内面を、内側アルミニウムメッキ層で被覆しているので、錆の発生を防止できる。
【0022】
また、この発明によれば、加熱室の基材であるステンレス鋼層の外面に、このステンレス鋼層よりも遙かに熱伝導性に優れた外側アルミニウムメッキ層を設けているので、熱が、迅速に、加熱室の外面全体に分散されて、加熱室の外面が局部的に高温になることがなく、加熱室の外側に配置される電気・電子部品の熱損傷を防止でき、また、断熱材の量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1はこの発明の1実施形態の加熱調理器の正面斜視図である。
【図2】図2は上記加熱調理器の縦断面の模式図である。
【図3】図3は上記加熱調理器の本体ケーシングの前板の正面図である。
【図4】図4は上記加熱調理器の加熱室の左側面図である。
【図5】図5は上記加熱調理器の加熱室の右側面図である。
【図6】図6は上記加熱調理器の加熱室の壁面材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明を図示の実施形態により詳細に説明する。
【0025】
図1に示すように、この実施形態の加熱調理器は、直方体形状の本体ケーシング1の正面に、下端側の辺を略中心に回動する扉2を取り付けている。この扉2の上部にハンドル3を取り付け、上記扉2の略中央に耐熱ガラス4を取り付けている。
【0026】
また、上記扉2の右側に操作パネル5を設けている。この操作パネル5は、カラー液晶表示部6と、ボタン群7とを有している。また、上記本体ケーシング1の上側かつ右側後方に排気ダクト8を設けている。さらに、本体ケーシング1の扉2の下方に、露受容器9を着脱自在に取り付けている。
【0027】
図2は上記加熱調理器の縦断面の模式図を示している。図2に示すように、上記本体ケーシング1内に加熱室13を設け、この加熱室13の右側面に、蒸気吸込口15に通じる循環ユニット14を取り付けている。
【0028】
一方、蒸気発生装置12は図示しないヒータを有し、水タンク11から供給された水を加熱して、飽和水蒸気を生成する。上記蒸気発生装置12からの飽和水蒸気は、蒸気供給通路(図示せず)を介して、上記蒸気吸込口15の近傍に設けた蒸気供給管34に供給する。上記蒸気供給管34は、加熱室13の右側面と平行であって、蒸気を加熱室13内に供給する。
【0029】
また、上記循環ユニット14内には、蒸気吸込口15に対向するように循環ファン18を配置している。上記循環ファン18は、ファンモータ19によって回転駆動する。
【0030】
上記加熱室13の上面および左側面を覆うように、L字状に屈曲した蒸気ダクト100を取り付けている。この蒸気ダクト100は、加熱室13の上面側に固定された第1ダクト部110と、第1ダクト部110の左側方から下側に屈曲する屈曲部120と、加熱室13の左側面側に固定され、屈曲部120を介して第1ダクト部110に連なる第2ダクト部130とを有している。
【0031】
この蒸気ダクト100の第1ダクト部110に、過熱蒸気生成ヒータ20を収納している。上記蒸気ダクト100の第1ダクト部110と、過熱蒸気生成ヒータ20で過熱蒸気生成装置21を構成している。なお、過熱蒸気生成装置21は、蒸気ダクトとは別に設けてもよい。
【0032】
上記蒸気ダクト100の第1ダクト部110の右側は、循環ユニット14の上部に設けられた蒸気供給口22に連通している。上記加熱室13の天面には、複数の第1蒸気吹出口24が設けられており、蒸気ダクト100の第1ダクト部110は、第1蒸気吹出口24を介して加熱室13内に連通している。一方、蒸気ダクト100の第2ダクト部130は、加熱室13の左側面に設けられた複数の第2蒸気吹出口25を介して加熱室13内に連通している。
【0033】
上記加熱室13と蒸気ダクト100との隙間は、耐熱樹脂などによりシールされている。また、加熱室13と蒸気ダクト100は、加熱室13の前面開口を除いて断熱材により覆われている。
【0034】
上記循環ユニット14と過熱蒸気生成装置21と加熱室13とそれらを接続する接続部材とによって、蒸気の循環経路が形成されている。そして、この循環経路における循環ユニット14の加熱室13との境界部に、蒸気発生装置12で生成された飽和水蒸気が供給される。
【0035】
また、上記加熱室13の下側には高周波発生装置(マグネトロン)80が配置されている。このマグネトロン80で発生したマイクロ波は、導波管(図示せず)によって加熱室13の下部中央に導かれ、モータ37によって駆動される回転アンテナ38によって攪拌されながら加熱室13内の上方に向かって放射されて、トレイ40上の被加熱物としての食品27を加熱する。
【0036】
また、上記本体ケーシング1内の下側には、冷却ファン部(図示せず)と、電気・電子部品17を配置している。この電気・電子部品17は、加熱調理器の各部を駆動する駆動回路やこの駆動回路を制御する制御回路等を構成している。
【0037】
図3は、上記本体ケーシング1の前板101を示し、図4は、加熱室13の左側面図であり、図5は、加熱室13の右側面図である。この図4,5から分かるように、加熱室13には、第2吹出口25や吸込口15等の穴が設けられている。
【0038】
上記加熱室13の壁面材300は、図6に詳しく示すように、基材であるステンレス鋼層301と、このステンレス鋼層301の加熱室13の内部側の内面に設けられた内側アルミニウムメッキ層302と、上記ステンレス鋼層301の本体ケーシング1側の外面に設けられた外側アルミニウムメッキ層303と、上記内側アルミニウムメッキ層302の上に塗布された塗膜304とからなる。上記ステンレス鋼層301は、例えば、SUS430やSUS405等のフェライト系ステンレス鋼からなる。上記内側アルミニウムメッキ層302と外側アルミニウムメッキ層303は、無電解メッキ(溶融メッキ)によって形成される。
【0039】
また、上記塗膜304は、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン:PTFE)304aに、アルミニウム粉末304bを10〜40重量%、均一に添加したもので、非粘着性と熱反射性と耐熱性を併せもつものである。
【0040】
上記塗膜304は、この実施形態では、1層で形成したが、プライマー層とその上のトップ層との2層で形成し、トップ層にのみアルミニウム粉末を混合してもよい。
【0041】
また、上記塗膜304は、PTFEに代えて、ポリ3フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレン4フッ化エチレン共重合体(ETFE)、4フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン3フッ化塩化エチレン共重合体(ECTFE)、4フッ化エチレン6フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPE)等のフッ素樹脂、および、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリールスルホン、ポリイミドスルホン、ポリチオエーテルスルホン等の耐熱性樹脂を用いてもよい。
【0042】
上記構成の加熱調理器においては、上記加熱室13の壁面材300の最も内側の層である塗膜304が、PTFE304aとアルミニウム粉末304bとからなっているから、この塗膜304のPTFE304aによる非粘着性によって、煮こぼれ等による壁面材300の汚れを拭き取り易くできる。また、この塗膜304のアルミニウム粉末304bによる熱線に対する高い反射率によって、熱線を加熱室13内に向けて反射するから、食品の加熱時間を短縮し、省エネルギーを達成することができる。
【0043】
また、この加熱調理器でマイクロ波加熱を行う場合、マグネトロン80および回転アンテナ38を駆動し、マグネトロン80からのマイクロ波が、回転アンテナ38によって加熱室13内の上方の広い範囲に向けて散乱されて、食品27を加熱する。
【0044】
このとき、食品27を照射しなくて、加熱室13の壁面材300を照射したマイクロ波は、塗膜304のアルミニュウム粉末304bで一部反射されるが、マイクロ波の他の一部は、塗膜304を貫通して、内側アルミニウムメッキ層302に至る。この内側アルミニウムメッキ層302に至ったマイクロ波は、内側アルミニウムメッキ層302で高い反射率で反射されて、加熱室13の内側に戻されて、食品27の加熱に利用される。
【0045】
このように、マイクロ波が壁面材300の内側アルミニウムメッキ層302で殆ど吸収されないで、高い反射率で反射されるから、マイクロ波加熱の効率が向上し、加熱時間が大幅に短縮されて、省エネルギーが達成される。
【0046】
また、上記蒸気発生装置12、過熱蒸気生成装置21および循環ファン18を駆動して、加熱室13内のトレイ40上の食品27を過熱蒸気で加熱する場合、加熱室13内は過熱蒸気に満ちて錆が発生し易い雰囲気となるが、上記壁面材300の基材であるステンレス鋼層301の内面を、内側アルミニウムメッキ層302で被覆しているので、錆の発生を防止できる。特に、上記ステンレス鋼層301が、耐食性に優れたSUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼ではなくて、安価で耐食性に劣るSUS430であるフェライト系ステンレス鋼であっても、上記内側アルミニウムメッキ層302によって、安価で耐食性に劣るフェライト系ステンレス鋼であるSUS430からなるステンレス鋼層301に錆が発生するのを防止できる。
【0047】
なお、上記ステンレス鋼層301として、他のフェライト系ステンレス鋼であるSUS405を用いてもよい。上記ステンレス鋼層301に、これらのSUS430やSUS405の安価なフェライト系ステンレス鋼を用いると、加熱調理器を安価に製造できる。
【0048】
また、上記加熱室13の内面には、上記蒸気発生装置12、過熱蒸気生成装置21から供給される蒸気や過熱蒸気の吹出口24,25、吸込口15、ヒータ20、マグネトロン80との位置関係によって、どうしても、温度むらが生じ、局部的に温度が高温になる箇所が生じる。この加熱室13の内面の局部的に高い温度の箇所に対向する加熱室13の外面の温度も局部的な高い温度になろうとする。また、マグネトロン80近傍の加熱室13の外面も高温になろうとする。しかし、上記加熱室13の基材である上記ステンレス鋼層301のSUS430の熱伝導率が0.062cal/cms℃であり、外側アルミニウムメッキ層303の熱伝導率が0.57cal/cms℃であって、外側アルミニウムメッキ層303の熱伝導率0.57がステンレス鋼層301の熱伝導率0.062cal/cms℃の約9倍(57/6.2)も高いから、この外側アルミニウムメッキ層303によって、上記局部的に高い温度になろうとする加熱室13の外面の局部の熱は、迅速に、加熱室13の外面全体に分散されて、加熱室13の外面が局部的に高温になることがない。
【0049】
このように、上記加熱室13の外面が局部的に高温になることがないので、加熱室13の外側に配置される電気・電子部品17や他の図示しないセンサ等の電気・電子部品の熱損傷を防止できる。
【0050】
また、上記加熱室13の外面が局部的に高温になることがないので、断熱材の量を削減することができる。
【0051】
上記実施形態によれば、上記塗膜304は上記内側アルミニウムメッキ層302の上に加熱室13の成形前にプリコートされているから、加熱室13を成形した後、塗膜を塗布する場合に比べて、加熱室13を安価に製造することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、上記内側アルミニウムメッキ層302および上記外側アルミニウムメッキ層303を用いているので、軽量化と低コスト化を実現できる。
【0053】
なお、上記内側アルミニウムメッキ層302および上記外側アルミニウムメッキ層303に代えて、クラッド鋼を用いることを試みたが、コスト、重量の点で、全く、実用的ではないことが分かった。
【0054】
上記実施形態では、上記蒸気発生装置12と過熱蒸気生成装置21とを別体に構成したが、蒸気発生装置と過熱蒸気生成装置とを一体に構成し、蒸気発生装置に過熱蒸気生成装置の機能を持たせてもよい。また、過熱蒸気生成装置を省略し、蒸気発生装置のみを備えていてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、上記高周波加熱装置としてのマグネトロン80は、加熱室13の下方に設けたが、それに限らず、加熱室13の側方に設けてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、上記ステンレス鋼層301として、SUS430やSUS405のフェライト系ステンレス鋼を用いたが、これに代えて、SUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼を用いてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、アルミニウム粉末304bを用いたが、微小なアルミニウム片を用いてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 本体ケーシング
12 蒸気発生装置
13 加熱室
17 電気・電子部品
80 高周波加熱装置
300 壁面材
301 ステンレス鋼層
302 内側アルミニウムメッキ層
303 外側アルミニウムメッキ層
304 塗膜
304a PTFE
304b アルミニウム粉末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収容して加熱するための加熱室と、
上記被加熱物を高周波加熱するための高周波加熱装置と、
を本体ケーシング内に備え、
上記加熱室の壁面材は、
上記加熱室を形成する合金鋼層と、
この合金鋼層の内面に設けられた内側アルミニウム層と、
上記内側アルミニウム層の上に塗布され、非粘着性および熱反射性を併せ持つ塗膜と
を含むことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
上記合金鋼層の外面に設けられた外側アルミニウム層を含むことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項2に記載の加熱調理器において、
上記合金層はステンレス鋼層であることを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項3に記載の加熱調理器において、
上記内側アルミニウム層及び上記外側アルミニウム層は、アルミメッキにより形成された内側アルミメッキ層及び外側アルミメッキ層であることを特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
請求項4に記載の加熱調理器において、
上記本体ケーシングは、上記被加熱物を蒸気で加熱するための蒸気発生装置を含むことを特徴とする加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−40761(P2013−40761A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−229439(P2012−229439)
【出願日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【分割の表示】特願2011−170252(P2011−170252)の分割
【原出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】