説明

加熱調理型の自動販売機及びその未調理商品貯留装置

【課題】 未調理品にマイクロ波を照射させて、加熱調理した上で販売提供する自動販売機において、レンジの出し入れ口からのマイクロ波の漏洩を抑止する。
【解決手段】 販売機1内の貯留装置2から、ポップコーンの未調理商品Aを、1個づつ取出して、マイクロ波を照射するレンジ5内に送る。レンジ5の出し入れ用開口11は1箇所である。レンジ5の扉6は、スライド移行方式14,15で開閉する。レンジ5の外壁面に設けたラック18に、レンジ扉6に連結したギヤ17が噛合し、ギヤ17がモータ19で駆動されて、レンジ扉6は開閉作動する。レンジ5内に設けた排出枠体7の枠内で加熱調理された商品Bは、排出枠体7の移動で、レンジ5外に出され、取出し部8に送られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポップコーン自動販売機などのように、未調理の商品素材から、販売時に加熱調理して商品提供する自動販売機、及び、この自動販売機用の未調理商品貯留装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動販売機は、種々の形態のものが、多数提案されており、また、ポップコーン自動販売機についても、幾つかの提案がある。この既提案のポップコーン自動販売機は、未調理のコーンと、調味料とを予め袋に封入した未調理の商品を、販売機内に多数、貯留しておき、顧客からの購入指示があると、この未調理商品を一個づつ取出して、販売機に設けられているレンジに送り込み、マイクロ波を照射させて、加熱調理を加え、ポップコーンにして顧客に提供するものである。
【0003】
また、この未調理商品を貯留しておく装置についても、本件発明者によって、既に提案されている。(特許文献1参照) この貯留装置では、未調理商品を収容する筒型の貯留ケースは、販売機内に傾斜状に配され、かつ、上下に複数段、設けられている。そして、ここから取出された商品は、機内エレベータで機内上部まで一旦運び上げ、ここからは商品の自重を主にして、電子レンジに送込んで加熱調理し、商品取出し口まで送るという方式である。
【特許文献1】特開2001−202558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記従来のポップコーン自動販売機には、種々の欠点があって、実用上、決して充分なものとはいえない。例えば、レンジの出し入れ口に設けられている扉が、ヒンジ式の開閉機構であるため、閉扉時における、レンジ本体との間の密閉力が不充分で、レンジ本体と扉との隙間からマイクロ波が、漏れ出るおそれがある。その上、従来機では一般に、入口と出口とがそれぞれ別個に設けられているため、マイクロ波の漏洩が多くなるという問題がある。
更に、従来機では、貯留部から取出された未調理商品は、エレベータで機内の上部まで搬送する方式を採っているので、装置全体が大掛かりになる。その上、レンジに搬入された未調理商品は、誘導案内力が不充分なため、常にレンジの中央部に送り込まれる訳ではなく、マイクロ波照射時の受波量が不充分となって、調理が不完全になったり、或いは、完全に照射位置外に出てしまって、全く調理できなかったりする。また、調理後のレンジからの排出作動も不確実で、レンジ内に残ったままになることもある。
【0005】
本発明は、以上の問題を解消して、レンジの出入り口を1箇所にし、かつ、レンジ扉の閉扉時の密閉力を高め、マイクロ波の漏洩を極力抑止した、加熱調理型の自動販売機を提供するにある。更に、本発明は、レンジへの、未調理商品の搬入を、正確な位置に間違いなくでき、また、調理済商品の排出が適格にできて、正しく調理された調理済商品を、高精度で販売できる、加熱調理型の自動販売機を提供するにある。また、本発明は、貯留時の容積効率がよく、かつ、確実に取出すことのできる、未調理商品貯留装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱調理型の自動販売機の技術的手段は、販売機内の貯留装置から未調理商品が1個づつ送り出されて、レンジに送られ、マイクロ波が照射されて加熱調理されて、調理済商品に加工された上で、販売提供される自動販売機において、レンジの出し入れ用の開口が1箇所であり、この開口のレンジ扉はスライド方式で開閉され、レンジに設けられたラックに、レンジ扉に連係されたギヤが噛合しており、このギヤをモータで回転させて、レンジ扉を開閉作動するようにしたことにある。
【0007】
また、レンジにスライド移行自在に設けられた扉支持体に、レンジ扉がバネを介して取付けられていて、閉扉時のレンジ扉と、レンジ開口との接触押圧力がバネ圧によって調整されるようにしてもよい。更に、未調理商品が、販売機内の上段部に設けられた複数の貯留ケースに収容されていて、各貯留ケースから送り出された未調理商品は、1本のベルトコンベヤによって搬送されるようにしてもよい。また、ベルトコンベヤの端から送り出された未調理商品は、自重によって、案内板に沿って、レンジまで誘導案内されるようにしてもよい。更に、レンジ扉の内面側の壁面に、案内片が傾斜状に設けられていて、未調理商品のレンジへの投入時には、レンジ扉は僅かに開いた状態に位置し、落下してきた未調理商品は、この案内片によって、レンジの内方に誘導案内されるようにしてもよい。また、枠だけからなり、かつ、枠壁面が逆円錐台状になった排出枠体が、レンジ内に設けられていて、レンジ内に送られてきた未調理商品は、この排出枠体によって、レンジの中央に案内され、また、排出枠体には枠支持体が取付けられ、かつ、枠支持体は軸によって回動自在にレンジに取付けられていて、駆動モータの回動によって、排出枠体を水平に回動移行させると、調理済商品を伴ってレンジ外に出て、調理済商品は排出枠体の底面の空所から、取出し部に排出されようにしてもよい。
【0008】
また本発明の未調理商品貯留装置の技術的手段は、販売機内の貯留装置から未調理商品が1個づつ送り出されて、レンジに送られ、マイクロ波が照射されて加熱調理されて、調理済商品に加工された上で、販売提供される自動販売機において、貯留装置には、直立状で筒型の貯留ケースが複数並べて設けられ、貯留ケースには、未調理商品が積み重ね状態で収容され、かつ、最上面には錘による押圧力が付与されており、貯留ケースの下端に付設された送出装置によって、未調理商品が最下段のものから1個づつ送り出されるようにしたことにある。
【0009】
また、貯留ケースの内面に、滑り抵抗材が貼付けられていて、貯留ケース内で水平に収容された未調理商品の、シール部の側の滑り落ちを抑制し、貯留ケース内の未調理商品が常に水平を保つようにしてもよい。更に、貯留ケースの底面に、送出コンベヤが設けられていて、最下段の未調理商品が送出コンベヤによって、水平方向に送られ、貯留ケースの下端側面の出口から送出されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の自動販売機では、レンジの出し入れ用の開口が、1箇所であるから、従来機のように、入口と出口とに別個に開口を設けたものに比べ、マイクロ波の漏洩箇所が少ないので、その漏洩を極力少なくできる。更に、レンジ扉の開閉方式は、スライド移行方式であり、かつ、ギヤと、ラックとの噛合によって開閉移動させるので、開閉作動が確実である他、閉扉時の密閉力を充分に確保できて、マイクロ波の漏洩を大幅に抑制できる。
【0011】
請求項2のものでは、レンジ扉の背面にバネ圧が作用しているので、閉扉時のレンジ扉とレンジ開口との接触押圧力を常に一定に保持でき、マイクロ波の漏洩抑制を一層確実に達成できる。
【0012】
請求項3のものでは、貯留装置から送出された未調理商品は、ベルトコンベヤによって搬送されるので、従来機のように全て自重で搬送する方式に比べて、送り込みを確実に行うことができる。
【0013】
請求項4のものでは、ベルトコンベヤから送出された未調理商品は、その自重によって、案内板に沿って、レンジまで案内されるので、搬送機構が簡単で、確実な送り込みを達成できる。
【0014】
請求項5のものでは、未調理商品の搬入案内時には、レンジ扉は、僅かに開いた状態に位置し、レンジ扉の内壁に設けた傾斜案内片で、未調理商品を誘導する方式であるから、案内機構が簡単で、かつ、正確な案内が可能である。
【0015】
請求項6のものでは、レンジ内に排出枠体があって、その枠体は、枠だけからなり、かつ、壁面は逆円錐台状になっているので、レンジ内に送り込まれた未調理商品は、確実にレンジの中央に案内されるようになり、マイクロ波の照射を充分に受けることができて、常に正しく調理されようになる。その上、排出枠体が、枠支持体の回動によって、水平方向に移動して、レンジ外に出るので、この移動に伴って調理済商品もレンジ外に送出され、排出枠体の底面の空所から落下して取出し口に送られるようになり、調理済商品の送出作動を簡単な機構で、確実に行うことができる。
【0016】
本発明の未調理商品貯留装置は、筒型の貯留ケースが直立状に、かつ、並べて設けられていて、この貯留ケースに多数の未調理商品が水平に積み重ねて収容されており、貯留ケースの下端に設けた送出装置で最下段の未調理商品から順次送出すことができるので、従来の貯留装置に比べて、容積効率を高めることができ、かつ、送出しを確実に行うことができる。
【0017】
請求項8のものでは、貯留ケースの内面に、滑り抵抗材が貼付けられているので、未調理商品のシール部の側の滑り落ちが抑制され、貯留ケース内では未調理商品が常に水平を保持できるので、最下段のものからの送出しを確実に行うことができ、送出不良事故を招くことがない。
【0018】
請求項9のものでは、貯留ケースの底面の送出コンベヤによって、未調理商品を送出すので、1個づつの送出しを、簡単な機構で達成可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の自動販売機を実施するための最良の形態を、以下の図面の実施例に基づいて説明する。図1には、本発明の実施例であるポップコーン自動販売機1の概略が示されている。販売機1の上段部に貯留装置2が設けられていて、ここに未調理商品Aが多数収容されて、貯留されている。貯留装置2の送出口は下端で、その下には搬送用ベルトコンベヤ3が設けられていて、貯留装置2から取出された未調理商品Aは、全てこのコンベヤ3によって送られる。更に、この未調理商品Aは、コンベヤ3の端から送り出され、案内板4に誘導されて、レンジ5内に送り込まれる。
【0020】
レンジ5内に入った未調理商品Aは、レンジ内の排出枠体7によって位置決めされると共に、排出枠体7内でマイクロ波の照射を受けて加熱され、調理済商品Bになる。この調理時には、加熱によって、コーンが膨張してはじけ、ポップコーンになるので、包装袋は膨らむ。このようにして調理が済むと、この商品Bは、排出枠体7によってレンジ5から排出されて、取出し部8に送られる。そして、顧客が、販売機1の壁面に設けられた取出し口9から調理済商品Bを取出すのである。
【0021】
次に、前記本発明の構成を、更に詳細に説明する。先ず、未調理商品Aは、コーンと調味料とを袋に密封封入したもので、未調理の状態では、コーンは膨張していないので、嵩は低くて、袋は折り畳まれ、扁平な状態である。この為、貯留や送り出しには都合がよい。貯留装置2では、このような未調理商品Aが、積み重ね状態で収容されていて、指示があるごとに最下段のものから順次、一個づつ送り出される。なお、貯留装置を複数に区分けしておき、各区ごとに種類の異なった未調理素材Aを収容しておいて、販売時に顧客が選択できるようにすることも可能である。
【0022】
貯留装置2から送り出された未調理商品Aは、1本のベルトコンベヤ3によって水平方向に搬送される。その後、コンベヤ3の端から自重によって自然落下し、案内板4によってレンジ5へと送られる。貯留装置2から取出された未調理商品Aは、コンベヤ3で送る方式なので、従来機のような、エレベータで送る方式のものや、自重だけの自然落下で送る方式のものよりも、装置が簡素化でき、かつ、確実な搬送が可能である。なお、この搬送の際に、未調理商品Aは裏返るので、レンジ5に入った時に、二つ折りされた未調理商品の、コーンの入った側が上方に来るように、貯留時には、未調理商品の表裏の向きに配慮する必要がある。
【0023】
レンジ5には、マイクロ波の漏洩が無いように、次のような対策が採られている。先ず、レンジ5の出し入れ用の開口11は1個で、レンジ扉6は、レンジ開口11に遠近スライド方向に移動して開閉する。即ち、図2に示されるように、レンジ扉6は、扉支持体12に、クッション用のバネ13を介して取付けられている。また、扉支持体12の両側には、スライドアーム14が設けられていて、このアーム14は、レンジ5の両側壁に設けられたスライドガイド15に対して、水平方向に摺動自在に取付けられている。更に、この両アーム14の上部には、ギヤ支持体16が設けられていて、このギヤ支持体16に取付けられたギヤ17は、レンジ5の上面に設けられたラック18に噛合っている。
【0024】
以上の構成のため、ギヤ17を駆動モータ19で回転させると、ギヤ支持体16、アーム14、扉支持体12、レンジ扉6は、一体となってスライド移行し、レンジ扉6は、レンジ開口11に対して開閉作動させられる。このため、開閉作動は確実である。更に、レンジ扉6の閉扉時の、開口11に対する押圧力は、バネ13で調整されて一定の圧力になる。このように、本発明では、レンジ扉6が、スライド開閉方式であるので、従来機のヒンジ開閉方式に比べて、レンジ扉6を、一定の圧力でしっかりと開口11に密着させることができ、マイクロ波の漏洩を極力防止できる。また、レンジ5の上面と、ギヤ支持体16との間には、位置検知センサ20が取付けられていて、レンジ扉6の位置を常に検知できるので、レンジ扉6の開閉作動を正確に行うことができる。
【0025】
更に、販売機1には、未調理商品Aを、レンジ5内のマイクロ波照射位置に確実に誘導案内するための構成が採られている。まず、レンジ扉6は、扉が僅かに開いた状態の搬入案内位置で停止させうるようになっている。更に、レンジ扉6の内側壁面には、傾斜案内片21が取付けられていて、上方から落下してきた未調理商品Aを、レンジ5の内方へ、かつ、排出枠体7の中へと誘導案内する。なお、案内片21は二股状の形状で、中央部が空所22になっているので、ゴミなどの異物が落下してきた時は、この空所22を通って下方へと落下し、レンジ5内に入り込むのを防止できる。また、レンジ5内に設けられている排出枠体7は、平面形状が円形の枠だけからなり、かつ、この枠の側壁は、上端部の径が下端部の径よりも大きくて、逆円錐台状に傾斜が付いている。従って、レンジ5内に投入された未調理商品Aは、排出枠体7の内側に入ると共に、枠体の傾斜に案内されて、確実にレンジ5の中央部に誘導案内されるようになる。この為、庫内に設けられたマイクロ波発信装置23からのマイクロ波を確実に受けて、加熱調理されようになる。更に、庫内底部のターンテーブル24には、摩擦用の溝25が設けられていて、マイクロ波の照射時には、未調理商品Aに回転が加えられるので、マイクロ波を受ける量が常に均一になり、安定した調理を行うことができる。
【0026】
未調理商品Aが、レンジ5内でマイクロ波を受けると、袋内のコーンは、加熱されて膨張し、はじけて、ポップコーンになり、一気に嵩高になって、袋は膨れる。このようにして、調理が完了した調理済商品Bは、排出枠体7によって、レンジ5から送り出される。図3のように、排出枠体7には、外壁に枠支持体26が付いていて、軸27によって、レンジ5の底面上に回動自在に設けられていて、駆動モータ28によって自由に水平方向に回動させることができる。従って、商品Bが完成すると、モータ28を駆動させて、排出枠体7を図の1点鎖線のように回動移行させ、排出枠体7をレンジ5外に移動させる。この排出枠体7の移動に伴って、商品Bも一緒に移動して、レンジ5の外に出る。排出枠体7は枠のみで、底面はなく、空所29になっているので、枠体7がレンジ5外に出ると、商品Bは、この空所29を通って自然落下し、取出し部8に送られる。そして、顧客は、販売機1の壁面の取出し口9から、自由に調理済商品Bを取出すのである。
【0027】
次に、前記本発明の未調理商品の貯留装置2の構成を、更に詳細に説明する。先ず、未調理商品Aは、図4に示されるように、コーンと調味料とが包装袋31に密封封入されている。包装袋31の素材は、樹脂コーティングされた紙製で、元の形状はチューブ状である。このチューブ状の包装袋31の中にコーンと調味料とを入れて、両端を融着シール32して、完全密封状に封入されている。未調理の状態では、コーンは膨張していないので、嵩は低くいが、加熱調理されると、大きく膨張してはじけるので、これに耐えるように、包装袋31の両側縁は、内側に折込み33を形成し、かつ、包装袋31は、中央の折返し部37で2つに折返して、片側にのみにコーンを入れている。従って、コーンが膨張した時には、折込み部33や折返し部37が伸びて、袋が大きく膨らむので、容量的に充分な大きさの袋になる。なお、包装袋31には、一方端に挿込み舌片34が設けられ、他方端にスリット状切込み35が設けられていて、舌片34を切込み35に挿入することによって、折り畳み状態での形状保持ができる。36は、指掛け孔で、包装袋の開封時に、ここに指を掛けることによって、融着シール32された包装袋を簡単に開くことができる。
【0028】
以上のような構成の未調理商品Aは、貯留装置2に積み重ね状態で収容される。このため、上手く積み重なるように、コーン封入後の厚さが全面で均一になるように調整されている。しかし、包装袋31には、折り畳んだ状態で、片側にコーンが入っていないシール部32が存在するため、この部分の厚みが、コーンの入った部分に比べて必然的に薄くなり、包装袋31を多数積み重ねると、図5のように、このシール部32の方が下がって、積重ねるにつれて徐々に包装袋31の姿勢が傾き、ついには、貯留装置2から、上手く未調理商品Aを送り出せなくなる。このため、貯留装置2には、次のような対策が採られている。
【0029】
貯留装置2には、直立状に配した貯留ケース40が、複数並べて設けられ、かつ、各貯留ケース40の下端には、送出装置41が取付けられている。各貯留ケース40は細長い筒型で、その内部には、図6のように多数の未調理商品Aが、水平に積み重ねた状態で収容されている。貯留ケース40のケース壁面42の内面の内、未調理商品Aのシール部32が来る面には、滑り抵抗材43が、上下方向の全長に亘って張付けられている。この滑り抵抗材43は、未調理商品Aを滑り落ちにくくするためのもので、起毛面、植毛面、凹凸面などを有するものである。実施例では、面ファスナ(商品名 マジックファスナ)の片側が用いられている。従って、この滑り抵抗材43によって、未調理商品Aのシール部32の側の滑り落ちが抑制され、ケース内に収容された未調理商品Aは水平状態を保持するようになる。
【0030】
44は錘で、積み重ねられた未調理商品Aの上面から押圧力を加える。この押圧力を加える位置は、シール部32の側でない、コーンの入った箇所を上方から押圧するのが良いので、実施例では、図示のように、錘の平面方向の大きさを、ケース内面寸法の半分程度とし、滑り抵抗材43の設けられていない側に位置させてある。また、常時、未調理商品Aの上面に押圧力を加えるため、錘44は、ケース壁面42に対して上下方向に摺動自在に取付けられている。即ち、ケース壁面42に上下方向に細いスリット孔45を設け、この孔にビス46で錘44を取付けている。これにより錘44の上下動は自在である。更に、錘44を滑り易くするため、ケース壁面42のこの面に滑面材47が取付けられている。この滑面材47には、実施例では、滑面プラスチックテープ(商品名 テフロン(登録商標)製テープ)が用いられている。これにより、錘44の上下動は、スムーズであり、未調理商品を水平を保持したままで、ケースの上から下まで移動させることができる。
【0031】
貯留ケース40の下端には、送出装置41が設けられていて、最下段の未調理商品Aが、ケース壁面42の下端の出口48から、1個づつ送出される。このため、ケース底面50には、滑りを良くするための滑面材47が貼り付けられている。また、ケース底面50には、送出コンベヤ49が設けられていて、モータ51で駆動ローラ52を回転させ、コンベヤベルト53を循環移動させて、最下段の未調理商品Aに送出力を付与する。また、ベルト53の表面に押送用突片を設けて、この未調理商品の送出しを強制的に行わせることも可能である。このようにして、各貯留ケース40から送出された未調理商品Aは、1本のコンベヤ3によって、次へと搬送される。
【0032】
本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲内で自由に変形実施可能である。特に、レンジ扉の支持方式や、排出枠体の詳細な形状、更に排出作動方式などは、実施例のものに限定されず、自由に採択可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例のポップコーン自動販売機の概略図。
【図2】レンジ部の上面概略図。
【図3】レンジ部の内面概略図。
【図4】未調理商品の斜視図。
【図5】未調理商品を、単に積み重ねた時の側面図。
【図6】貯留ケースの断面図。
【符号の説明】
【0034】
A 未調理商品
B 調理済商品
1 ポップコーン自動販売機
2 貯留ケース
3 ベルトコンベヤ
4 案内板
5 レンジ
6 レンジ扉
7 排出枠体
8 取出し部
9 取出し口
11 レンジ開口
12 扉支持体
13 バネ
14 スライドアーム
15 スライドガイド
16 ギヤ支持体
17 ギヤ
18 ラック
19 駆動モータ
21 案内片
23 マイクロ波発振装置
26 枠支持体
27 回動軸
28 駆動モータ
31 包装袋
32 シール部
40 貯留ケース
41 送出装置
42 ケース壁面
43 滑り抵抗材
44 錘
47 滑面材
48 出口
49 送出コンベヤ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売機内の貯留装置から未調理商品が1個づつ送り出されて、レンジに送られ、マイクロ波が照射されて加熱調理されて、調理済商品に加工された上で、販売提供される自動販売機において、
レンジの出し入れ用の開口が1箇所であり、この開口のレンジ扉はスライド方式で開閉され、レンジに設けられたラックに、レンジ扉に連係されたギヤが噛合しており、このギヤをモータで回転させて、レンジ扉が開閉作動される、加熱調理型の自動販売機。
【請求項2】
レンジにスライド移行自在に設けられた扉支持体に、レンジ扉がバネを介して取付けられていて、閉扉時のレンジ扉と、レンジ開口との接触押圧力がバネ圧によって調整される、請求項1記載の加熱調理型の自動販売機。
【請求項3】
未調理商品が、販売機内の上段部に設けられた複数の貯留ケースに収容されていて、各貯留ケースから送り出された未調理商品は、1本のベルトコンベヤによって搬送される、請求項1記載の加熱調理型の自動販売機。
【請求項4】
ベルトコンベヤの端から送り出された未調理商品は、自重によって、案内板に沿って、レンジまで誘導案内される、請求項3記載の加熱調理型の自動販売機。
【請求項5】
レンジ扉の内面側の壁面に、案内片が傾斜状に設けられていて、未調理商品のレンジへの投入時には、レンジ扉は僅かに開いた状態に位置し、落下してきた未調理商品は、この案内片によって、レンジの内方に誘導案内される、請求項1記載の加熱調理型の自動販売機。
【請求項6】
枠だけからなり、かつ、枠壁面が逆円錐台状になった排出枠体が、レンジ内に設けられていて、レンジ内に送られてきた未調理商品は、この排出枠体によって、レンジの中央に案内され、また、排出枠体には枠支持体が取付けられ、かつ、枠支持体は軸によって回動自在にレンジに取付けられていて、駆動モータの回動によって、排出枠体を水平に回動移行させると、調理済商品を伴ってレンジ外に出て、調理済商品は排出枠体の底面の空所から、取出し部に排出されようになる、請求項1記載の加熱調理型の自動販売機。
【請求項7】
販売機内の貯留装置から未調理商品が1個づつ送り出されて、レンジに送られ、マイクロ波が照射されて加熱調理されて、調理済商品に加工された上で、販売提供される自動販売機において、
貯留装置には、直立状で筒型の貯留ケースが複数並べて設けられ、貯留ケースには、未調理商品が積み重ね状態で収容され、かつ、最上面には錘による押圧力が付与されており、貯留ケースの下端に付設された送出装置によって、未調理商品が最下段のものから1個づつ送り出される、加熱調理型自動販売機の未調理商品貯留装置。
【請求項8】
貯留ケースの内面に、滑り抵抗材が貼付けられていて、貯留ケース内で水平に収容された未調理商品の、シール部の側の滑り落ちを抑制し、貯留ケース内の未調理商品が常に水平を保つようになっている、請求項7記載の加熱調理型自動販売機の未調理商品貯留装置。
【請求項9】
貯留ケースの底面に、送出コンベヤが設けられていて、最下段の未調理商品が送出コンベヤによって、水平方向に送られ、貯留ケースの下端側面の出口から送出される、請求項7記載の加熱調理型自動販売機の未調理商品貯留装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−244154(P2010−244154A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89722(P2009−89722)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(500030024)株式会社電創 (1)
【Fターム(参考)】