説明

効果顔料

本発明は、a)TiO、ならびにb)Al、MgOおよび/もしくはCaO、ならびにc)SiO、ならびにd)ZnO、ならびに/またはe)前記a)〜d)に記載された元素の少なくとも1種の混合酸化物を含む外側コーティングを有する、コーティングされていないまたはコーティングされているフレーク状基材をベースとする効果顔料に関し、とりわけペイント、コーティング、印刷インク、プラスチックおよび化粧用配合物におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、a)TiO、ならびにb)Al、MgOおよび/もしくはCaO、ならびにc)SiO、ならびにd)ZnO、ならびに/またはe)前記a)、b)、c)およびd)に記載された元素の少なくとも1種の混合酸化物を含む外側コーティング(outer coating)を有する、コーティングされていないフレーク状基材またはコーティングされているフレーク状基材をベースとする(based on)効果顔料(effect pigments)に関し、とりわけ、ペイント(paints)、コーティング(coatings)、印刷インク、プラスチックおよび化粧用配合物(cosmetic formulations)におけるそれらの使用に関する。
【0002】
例えばWO2008/048922、WO2006/0181096、EP0882099およびEP1422268に記載されているように、例えばTiO、Feなどの遷移金属化合物の酸化物および/もしくは水酸化物、または酸化物の混合物を含む1つまたは複数の層を含む顔料は、産業の多くの領域において、特に装飾塗料(decorative coating)において、プラスチック、ペイント、コーティング、印刷インクにおいて、および化粧用配合物において、光輝顔料(lustre pigments)または効果顔料として用いられている。これらの特性を改善するために、塗布媒体(application media)は、一般に、例えば可塑剤、充填剤、安定剤、老化防止剤、潤滑剤および離型剤、帯電防止剤、ならびに着色剤などの多数の添加剤を含む。
【0003】
顔料は、屋内および屋外において用いられる。屋外用途では、特に、顔料に対して高い要求がなされる。屋外用途では、顔料に作用する、光、高い大気湿度、高温および低温への曝露などの多様な要因が存在する。特に、屋外用途向けのプラスチック部品および塗料被膜(paint coat)は、多くの場合、長期間にわたって極端な風化条件および持続的で強力な光曝露にさらされ、これは材料の老化をもたらす。このことは、変色、脆化、ならびに機械的安定性および化学的安定性の低下から明らかである。特に、遷移金属カチオンが有機系添加剤と反応することによって生じると思われる望ましくない相互作用が、一方の効果顔料と他方の塗布媒体中の添加剤との間で頻繁に観察される。したがって、安定剤および/または老化剤(ageing agent)分子が顔料粒子の表面に拡散しており、これが黄変反応をもたらし、このことは、特にプラスチックが酸化防止剤、熱安定剤またはUV安定剤としてフェノール成分を含むとき、多くの場合に暗所においても生じることが、プラスチックにおいて頻繁に観察される。
【0004】
これらの老化過程を抑制するために、安定剤、例えばUV光線吸収物質が屋外用途向けの配合物に添加される。加えて、顔料は、更なる層、いわゆるアフターコーティング(after-coating)を備えることができる。EP0644242は、SiOおよびAlの1つまたは複数の層でコーティングされ、焼成されている(calcined)二酸化チタンコーティング雲母粒子を含むポリオレフィン組成物を記載している。加えて、その組成物は、黄変を防ぐために酸化防止剤を含む。WO1994/001498は、黄変を防ぐために、好ましくは焼成されたTiO層上に酸化ケイ素および/または酸化ケイ素水和物の層を備え、このケイ素含有層上に酸化アルミニウムおよび/または酸化アルミニウム水和物の層を備え、このアルミニウム含有層上に酸化亜鉛および/または酸化亜鉛水和物の層を備えるTiO顔料を開示している。
【0005】
アフターコーティングは、多くの場合、有機成分も含む。有機成分は、好ましくは、水分に対する保護に使用される。この種類のアフターコーティングされた顔料がプラスチック加工の過程に送られると、顔料は、場合によっては最大300℃で加熱される。この温度は、有機部分を損傷し、そのため、例えば黄変が加工中に既に生じるかまたはUV照射に対する適切な抵抗性が提供されない。
【0006】
現行の解決法は、効果顔料に対してなされる要求の幾つかを満たすが、要求の全てを満たすわけではない。加えて、効果顔料を安定化させるための既知の方法は、全て、必要なアフターコーティングを付ける(application)ための追加の処理工程を必要とする。したがって、更なる改善についての要求が存在する。前記欠点を有することなく光安定性である効果顔料を提供することが目的であった。
【0007】
驚くべきことに、この目的は、本発明による効果顔料により達成されることが今回見出された。したがって、本発明は、コーティングされていないフレーク状基材、または1種もしくは複数の金属酸化物でコーティングされているフレーク状基材をベースとする効果顔料であって、a)TiO、ならびにb)Al、MgOおよび/もしくはCaO、ならびにc)SiO、ならびにd)ZnO、ならびに/またはe)前記a)、b)、c)およびd)に記載された元素の少なくとも1種の混合酸化物を含む外側金属酸化物含有焼成コーティング(outer metal oxide-containing, calcined coating)を有するという事実により差別化される効果顔料に関する。外側金属酸化物含有焼成コーティングは、好ましくは、a)TiO、ならびにb)Al、MgOおよび/もしくはCaO、ならびにc)SiO、ならびにd)ZnO、ならびに/またはこれらの元素の少なくとも1種の混合酸化物からなる。特に、外側金属酸化物含有焼成コーティングは、TiO、およびAlもしくはCaO、およびSiO、およびZnO、および/またはこれらの元素の少なくとも1種の混合酸化物からなる。外側金属酸化物含有焼成コーティングは、特に好ましくは、TiO、およびAl、およびSiO、およびZnO、および/またはこれらの元素の少なくとも1種の混合酸化物からなる。
【0008】
本発明による外側金属酸化物含有焼成コーティングは、下記において外側コーティングとも呼ばれ、基材の1つまたは複数の面(side)上に位置する。本発明による外側コーティングは、好ましくは基材を包む(envelop)。好ましくは、この外側コーティングは、TiOの濃度が基材の近傍で最高であり、顔料表面に向かって低下する、酸化物および/または混合酸化物の分布を有する。本発明による更なる酸化物を、ここでコーティング中に均一に分布させることができる。顔料表面から始まる個々の(individual)または全ての酸化物の濃度の減少または増加が好ましく存在することができ、ここで外側コーティングは、好ましくはAl、Mg、Ca、SiおよびZnの酸化物(複数形)ならびに/または混合酸化物(複数形)を主に外側領域中に(predominantly in the outer region)含む。ここで外側コーティングは、特にAl(および/またはMgOおよび/またはCaO)、SiOおよび/またはZnOを外側領域中に含む。外側コーティングは、好ましくは、Al、SiおよびZnの酸化物ならびに/または混合酸化物を主に外側領域中に含む。SiOおよび/またはZnO、特にZnOの濃度は、好ましくはコーティングの外側端領域(outer edge region)において最大である。本発明の特に好ましい実施形態において、外側コーティングは、TiO単独またはAlとの混合物中でのTiOの最高濃度を基材の近傍において有する。
【0009】
本発明において本質的であり、a)〜d)に記載された酸化物は、1種または複数の混合酸化物の形態または混合酸化物と酸化物との混合物の形態でもありうる。本発明の意味における酸化物には、ケイ酸塩も含まれる。効果顔料は、好ましくは、酸化物または混合酸化物の形態の亜鉛を外側コーティング中に、ZnOとして示され且つ焼成顔料(calcined pigment)の総重量に基づく以下の量で含む:≧0.5重量%、好ましくは0.5〜10重量%、特に0.8〜5重量%または1.0〜5重量%のZnO。効果顔料は、好ましくは、酸化物または混合酸化物の形態のアルミニウム、マグネシウムおよび/またはカルシウムを外側コーティング中に、それぞれAl、MgOまたはCaOとして示され且つ焼成顔料の総重量に基づく以下の量で含む:それぞれ≧0.1重量%、好ましくは0.1〜6重量%、特に0.5〜6重量%または0.5〜3重量%のAl、MgOおよび/またはCaO。好ましいものは、Al、MgOおよび/またはCaOの総量が、前記示された重量パーセントの範囲である効果顔料である。効果顔料は、好ましくは、酸化物または混合酸化物の形態のケイ素を外側コーティング中に、SiOとして示され且つ焼成顔料の総重量に基づく以下の量で含む:≧1.5重量%、好ましくは1.5〜10重量%、特に2.5〜6重量%のSiO
【0010】
効果顔料は、特に好ましくは、焼成顔料の総重量に基づいて、≧0.5重量%のZnO、および≧0.1重量%のAlまたはCaO、好ましくはAl、および≧1.5重量%のSiOを外側コーティング中に含む。効果顔料は、特に好ましくは、焼成顔料の総重量に基づいて0.5〜10重量%のZnO、および0.1〜6重量%のAlまたはCaO、好ましくはAl、および1.5〜10重量%のSiOを外側コーティング中に含む。焼成顔料の総重量に基づいて、0.8〜5重量%のZnO、および0.5〜6重量%のAlおよび2.5〜6重量%のSiOを含む外側コーティングを有する効果顔料が、特に有利である。焼成顔料の総重量に基づいて、1.0〜5重量%、特に1.0〜2重量%のZnO、および0.5〜3重量%、特に1〜3重量%のAlおよび2.5〜6重量%、特に2.5〜4重量%のSiOを含む外側コーティングを有する効果顔料が、とりわけ特に有利である。Alに対するZnOの重量比は、好ましくは、0.1〜10、好ましくは0.3〜10または0.4〜10、好ましくは0.3〜8、特に0.3〜2に等しい。SiO/ZnOの重量比は、好ましくは、0.1〜6、特に0.2〜5、好ましくは2〜4.5に等しい。本発明の一実施形態において、SiO/ZnOの重量比は、0.4〜2.0、好ましくは0.8〜1.2に等しいことも可能である。
【0011】
効果顔料は、好ましくは、焼成顔料の総重量に基づいて≧20重量%のTiOを外側コーティング中に含み、ここで正確なTiO含有量は、所望の干渉色によって決まり、その調整は当業者によく知られている。効果顔料は、更に好ましくは、焼成顔料の総重量に基づいて≧20重量%のTiO、≧0.5重量%のZnO、≧0.1重量%のAlおよび≧1.5重量%のSiOを外側コーティング中に含む。焼成顔料の総重量に基づいて、≧20重量%のTiO、および1.0〜5重量%、特に1.0〜2重量%のZnO、および0.5〜3重量%、特に1〜3重量%のAlおよび2.5〜6重量%、特に2.5〜4重量%のSiOからなる外側コーティングを有する効果顔料が、とりわけ特に有利である。
【0012】
焼成顔料の外側コーティングは、通常は>50nm、好ましくは>65nm、特に>80nmの厚さを有する。ここで外側コーティングは、所望の干渉色を達成するための物理学的(physical)および理論的な厚さよりも厚い。外側コーティングの厚さは、対応する干渉色の物理学的な層厚よりも好ましくは≧20%、好ましくは≧40%だけ大きい。50〜80%だけ大きいものが特に好ましい。しかし、物理学的な層厚より>100%大きい厚さを有する外側コーティングも可能である。原則的に、或る干渉色を達成するためのナノメートル範囲の層厚の正確な調整および制御は、当業者には知られている(Gerhard Pfaff, Spezielle Effektpigmente [Specific Effect Pigments], Vincentzverlag,図2.25および図2.26; 50〜53頁)。TiOに基づいた銀白色顔料は、物理法則に従って約50nmの厚さのTiO層を有する。対照的に、銀白色顔料の本発明による外側コーティングは、最大120nmの厚さでありうる。干渉金色の本発明による外側コーティングは、最大150mの厚さでありうる。他の干渉色は対応する層厚を示す。従来の青色干渉層は、約120nm厚であり、対照的に本発明による外側コーティングは、それより10〜100nm厚いことができる。
【0013】
本発明による効果顔料は、BET法(DIN ISO 9277:2003−05)により測定して≦4m/g、好ましくは≦3m/gの比表面積を有することが特に有利である。本発明による顔料と従来技術の顔料(いずれの場合も、750℃で焼成)の比表面積は、例えば、以下のように異なる:
a)焼成TiO層を有する5〜25μmのフラクションの雲母(mica of fraction 5−25μm)は、7.9m/gの表面積を示す。
【0014】
b)本発明による焼成外側コーティングを有する5〜25μmのフラクションの雲母は、2.4m/gの表面積を示す。
【0015】
c)焼成TiO層を有する10〜60μmの雲母は、6.5m/gの表面積を示す。
【0016】
d)本発明による焼成外側コーティングを有する10〜60μmの雲母は、例えば、2.0〜2.4m/gの表面積を示す。
【0017】
本発明による効果顔料は、外側層として焼成TiO層を含む顔料と比較して、30〜80%、好ましくは≧40%、特に好ましくは40〜65%の表面積の低減を示すことが好ましい。
【0018】
特に、焼成顔料の総重量に基づいて、≧20重量%のTiO、および1.0〜5重量%、特に1.0〜2重量%のZnO、および0.5〜3重量%、特に1〜3重量%のAlおよび2.5〜6重量%、特に2.5〜4重量%のSiOからなる外側コーティングを有し、外側コーティングの厚さが、対応する干渉色の物理学的な層厚より≧40%、好ましくは50〜80%大きく、比表面積がBET法により測定して≦3m/gである効果顔料が、特に有利である。
【0019】
本発明による効果顔料に適した基材は、例えば、全て既知のコーティングされているフレーク状基材またはコーティングされていないフレーク状基材、好ましくは透明または半透明フレークである。適切なもの(suitable)は、例えば、フィロケイ酸塩、特に合成もしくは天然雲母、ガラスフレーク、金属フレーク、SiOフレーク(x=≦2.0,好ましくはx=2)、Alフレーク、TiOフレーク、合成もしくは天然酸化鉄フレーク、グラファイトフレーク、液晶ポリマー(LCP)、ホログラフ顔料、BiOClフレークまたは前記フレークの混合物である。金属フレークは、とりわけ、アルミニウム、チタン、青銅、鋼鉄または銀、好ましくはアルミニウムおよび/またはチタンからなることができる。ここで、金属フレークは、対応する処理により不動態化されていてもよい。好ましいものは、コーティングされているまたはコーティングされていない合成または天然雲母のフレーク、ガラスフレーク、SiOフレークおよびAlフレーク、特に合成または天然雲母フレークおよびSiOフレークである。本発明の一実施形態において、コーティングされていない合成または天然雲母フレークが好ましい。
【0020】
一般に、フレーク状基材は、0.05と5μmの間、特に0.1と4.5μmの間の厚さを有する。ガラスフレークは、好ましくは≦1μm、特に≦900nm、とりわけ特に好ましくは≦500nmの厚さを有する。基材の大きさは、それ自体は極めて重要ではなく、個々の用途に適合させることができる。粒径は、通常は1〜350μm、好ましくは2〜200μm、特に5〜150μmの間である。一般に、10〜200μm、好ましくは40〜200μm、特に10〜130μmの粒径を有する粗いフレークおよび1〜60μm、好ましくは5〜60μm、特に10〜40μmの粒径を有する細かいフレークの両方を使用することができる。好ましくは、異なる粒径を有するフレークからなる基材混合物を用いることもできる。特に好ましい基材混合物は、粗いフレークおよび細かいフレーク、特にS雲母(>125μm)およびF雲母(<25μm)からなる。粒径は、粉末または顔料懸濁液へのレーザー回折により、当業者に知られている市販の装置(例えば、Malvern、Horiba)を使用して測定される。基材は、好ましくは5〜750、特に10〜300、とりわけ特に好ましくは20〜200の形状因子(アスペクト比:直径/厚さの比)を有する。加えて、例えば、球状粒子または針状基材などの他の基材の使用も可能であり、これらは上述の層で覆われていてもよい。
【0021】
更なる一実施形態において、基材の1つまたは複数の面は、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物またはこれらの材料の混合物を含む1つまたは複数の透明、半透明および/または不透明層でコーティングされていてもよい。基材は、好ましくはこれらの層で包み込まれている(sheathed)。金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物の層またはこれらの混合物は、低屈折率(屈折率<1.8)または高屈折率(屈折率≧1.8、好ましくは≧2.0)のものでありうる。適切な金属酸化物および金属酸化物水和物は、例えば、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化鉄、酸化スズ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化チタン、特にルチルもしくはアナターゼ変態(modification)の二酸化チタン、酸化チタン水和物およびこれらの混合物など、例えばイルメナイトまたは擬板チタン石などの、当業者に知られている全ての金属酸化物または金属酸化物水和物である。用いることができる金属亜酸化物は、例えば、亜酸化チタンである。適切な金属は、例えば、クロム、アルミニウム、ニッケル、銀、金、チタン、銅または合金であり、適切な金属フッ化物は、例えばフッ化マグネシウムである。用いることができる金属窒化物または金属オキシ窒化物は、例えば、チタン、ジルコニウムおよび/またはタンタルの金属の窒化物またはオキシ窒化物である。金属酸化物、金属、金属フッ化物および/または金属酸化物水和物の層、とりわけ特に好ましくは、金属酸化物および/または金属酸化物水和物の層が基材に好ましく付けられる(applied)。特に好ましいものは、アルミニウム、ケイ素、鉄、スズおよびチタン、特にルチルもしくはアナターゼ変態の、好ましくはルチル変態の二酸化チタン、ならびにこれらの化合物の混合物の酸化物および/または酸化物水和物である。二酸化チタンのルチル化では、二酸化スズ層が通常は二酸化チタン層の下に付けられる。したがって、本発明による効果顔料は、本発明において本質的である外側コーティングに存在する二酸化チタンのルチル化のために、基材と外側コーティングとの間に二酸化スズ層を含むこともできる。更に、高および低屈折率の金属酸化物、金属酸化物水和物、金属または金属フッ化物の層を含む多層構造が存在することもでき、その場合、高および低屈折率の層は好ましくは交互に存在する。特に好ましいものは、高屈折率層(屈折率≧2.0)と低屈折率層(屈折率<1.8)とを含む層パッケージ(layer package)であり、ここでこれらの層パッケージの1つまたは複数が基材に付けられていてもよい。高および低屈折率層の配列(sequence)を基材に適合させて(match)、基材を多層構造に含ませることができる。更なる一実施形態において、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物の層は、着色剤または他の元素と混合されていてもよく、またはそれらでドープされて(doped)いてもよい。適切な着色剤または他の元素は、例えば、有色金属酸化物、例えば磁鉄鉱、酸化クロムなどの有機もしくは無機の有色(coloured)顔料または例えばベルリンブルー、ウルトラマリン、バナジウム酸ビスマス、テナールブルーなどの有色顔料、あるいは例えばインジゴ、アゾ顔料、フタロシアニン、もしくはまたカルミンレッドなどの有機有色顔料または例えばイットリウムもしくはアンチモンなどの元素である。これらの層を含む効果顔料は、マストーンに関して高い色変化(colour variety)を示し、多くの場合、干渉による角度依存性の色の変化(カラーフロップ(colour flop))を示すことができる。
【0022】
金属酸化物、水酸化物および/または酸化物水和物の層は、好ましくは湿式化学法(wet-chemical methods)により付けられ、ここで、効果顔料の調製のために開発された湿式化学コーティング法を使用することが可能であり、これにより基材の包み込みがもたらされる。この種類の方法は、例えば、DE1467468、DE2009566、DE2214545、DE2215191、DE2244,298、DE2313331、DE3137808、DE3137809、DE3151343、DE3151354、DE3151355、DE3211602、DE3235017に記載されており、または当業者に知られている更なる特許文献および他の刊行物にも記載されている。上述の材料および顔料構造の例および実施形態を、例えばResearch Disclosures RD 471001およびRD 472005において見出すこともできる。
【0023】
基材上の個々の層の厚さは、当業者にはよく知られているように、顔料の光学特性にとって重要である。金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物の層またはこれらの混合物の厚さは、通常は10〜1000nm、好ましくは15〜800nm、特に20〜600nmである。20〜200nmの層厚が特に適している。金属層の厚さは、好ましくは4〜50nmである。
【0024】
例えば特殊コーティング(specific coatings)などの特定の用途に望ましい場合、有機コーティングを、a)TiO、ならびにb)Al、MgOおよび/もしくはCaO、ならびにc)SiO、ならびにd)ZnO、ならびに/またはe)前記a)、b)、c)およびd)に記載された元素の少なくとも1種の混合酸化物を含む、本発明において本質的である外側金属酸化物含有焼成コーティングに追加的に付けることができる。有機コーティングは、焼成酸化物層の表面特性にプラスの影響をもたらす。有機コーティングを備える表面は、未処理酸化物表面より疎水性があり、極性が低く、したがって、結合剤および有機溶媒によってより良好に濡れることができる。これは、塗布において使用される結合剤系と本発明による顔料とのより良好な親和性をもたらす。更に、有機コーティングは、顔料表面を立体的に遮蔽するので、顔料粒子の凝集を抑制し、したがって、その分散性を改善する。この有機コーティングは、例えばオルガノシラン、オルガノアルミネート、オルガノチタネートおよび/またはジルコネートなどのカップリング試薬からなることができる。カップリング剤は好ましくはオルガノシランである。オルガノシランの例は、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、i−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、好ましくはn−オクチルトリメトキシシランおよびn−オクチルトリエトキシシランである。適切なオリゴマーのアルコール非含有オルガノシラン加水分解物は、とりわけ、Evonik IndustriesによりDynasylan(登録商標)Hydrosilの商標名で市販されている製品、例えばDynasylan(登録商標)Hydrosil 2926、Dynasylan(登録商標)Hydrosil 2909、Dynasylan(登録商標)Hydrosil 2907、Dynasylan(登録商標)Hydrosil 2781、Dynasylan(登録商標)Hydrosil 2776、Dynasylan(登録商標)Hydrosil 2627などである。加えて、オリゴマービニルシラン、およびまた、アミノシラン加水分解物は、有機コーティングとして適している。官能化オルガノシランは、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ガンマ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、好ましくは3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ガンマ−イソシアナトプロピルトリメトキシシランである。ポリマーシラン系の例は、WO98/13426に記載されており、例えば、Evonik IndustriesによりDynasylan(登録商標)Hydrosilの商標名で市販されている。有機コーティングの量は、顔料に基づいて0.2と5重量%の間、好ましくは0.5〜2重量%でありうる。
【0025】
本発明は、本発明による効果顔料の調製方法に更に関する。フレーク状基材の本発明による外側コーティングは、好ましくは湿式化学法により生成される。効果顔料はその後焼成される。これらの方法は当業者によく知られている。湿式化学塗布の場合は、対応する酸化物、水酸化物および/または酸化物水和物を基材上に沈積(deposit)させ、基材は好ましくは包み込まれる。このために、フレーク状基材を溶媒中、好ましくは水中に懸濁し、a)Tiの、およびb)Al、MgまたはCaの、およびc)Siのおよびd)Znの、金属塩の溶液を添加する。酸化物、水酸化物および/または酸化物水和物は、ここで基材上に析出して、基材が包み込まれる。本発明による外側コーティングに存在する二酸化チタンのルチル化のために、二酸化スズ層を、通常、基材と本発明による外側層との間に付けることができる。析出させる酸化物、水酸化物および/または酸化物水和物に適した出発化合物は、対応するハロゲン化物、硝酸塩および/または硫酸塩であり、対応するハロゲン化物および/または硝酸塩が好ましく用いられる。ケイ素の酸化物、水酸化物および/または酸化物水和物は、好ましくはシラン、特にTEOS(テトラエトキシシラン)によって付けられる。金属塩溶液は、塩の加水分解に適したpHで同時にまたは逐次的に添加され、ここでpHは、金属酸化物または水酸化物または酸化物水和物が基材上に直接沈積するように選択される。TiおよびAl(またはMgもしくはCa)塩溶液を、好ましくは同時に計量導入することができ、ここでTi塩溶液の一部を初めに単独で添加することもできる。SiおよびZn塩溶液を同時に添加することもできる。しかし、Si塩溶液を最初に添加し、次にZn塩溶液を添加すること、またはその逆も可能である。Zn塩溶液を最初に添加し、次にAl塩溶液を添加し、次にSi塩溶液を添加することも可能である。次に、AlおよびSi塩溶液を、好ましくは同時に計量導入することができる。pHを、通常、塩基および/または酸の同時計量添加により一定に保持する。それぞれの材料の析出に必要なpHの調整および温度は当業者によく知られている。
【0026】
本発明による外側コーティングを湿式化学付着した後、その物質は、酸化物、水酸化物および/または酸化物水和物の形態でありうる。用いられる原材料に基づいて、本発明において本質的であるa)〜d)に記載された元素の以下の量が、酸化物、水酸化物および/または酸化物水和物として基材上に好ましく析出し、ここでその量は酸化物として示され、重量%は基材に基づく:≧1重量%、好ましくは1.5〜12重量%、特に2〜12重量%のZnO、≧0.5、好ましくは1〜10重量%、特に2〜5重量%のAl、MgOおよび/もしくはCaO、またはこれらの金属酸化物の混合物、好ましくはAl、≧2重量%、好ましくは1〜15重量%、特に2.5〜8重量%のSiO、ならびに≧20重量%、好ましくは≧25重量%のTiO(ここで正確なTiO含有量は所望の干渉色に依存し、その調整は当業者によく知られている)。
【0027】
その後、コーティングされた製品を分離し、洗浄、乾燥および焼成する。湿式化学付着中に形成された酸化物、水酸化物および/または酸化物水和物は、それによって、本発明による外側コーティングの対応する酸化物および/または混合酸化物に変換される。乾燥は、50〜150℃の温度で通常は≧10分間、必要であれば6〜18時間実施することができる。焼成は、250〜1000℃の温度で、好ましくは500〜900℃で通常は0.5〜3時間実施することができる。焼成によって、析出した酸化物、水酸化物および/または酸化物水和物は脱水され、対応する酸化物または混合酸化物に変換され、緻密化される(compacted)。
【0028】
焼成後、特定の用途に望ましい場合、有機コーティングを外側金属酸化物含有焼成コーティングに付けることができる。カップリング試薬は、60℃を超える、好ましくは70℃を超える温度にて溶液として付けられる(applied in solution)。適切な溶媒は、有機溶媒、水またはこれらの混合物であり、水が好ましく使用される。有機コーティングの付着に必要な反応時間は、少なくとも5分間であり、これは10〜90分間にわたって好ましく実施されるが、望ましい場合は延長することもできる。得られた顔料は、当業者にとって従来的な方法により、例えば濾過、乾燥および篩い分けにより仕上げ処理され(worked up)および単離される。
【0029】
本発明において本質的である外側コーティングの下に(beneath)、金属酸化物がコーティングされている基材を有する本発明による効果顔料の調製では、本発明において本質的である外側コーティングを、焼成されていてもよい金属酸化物がコーティングされている基材に付けることができる。しかし、そのような本発明による多層効果顔料は、好ましくは、本発明による外側コーティングの下の基材上にある上述の金属酸化物層、特に好ましい金属酸化物層が本発明による外側コーティングを付ける前に直接付けられるように調製され、仕上げ処理(work-up)は、洗浄、乾燥および焼成が一つの工程で実施される。本発明の特に好ましい実施形態において、本発明による外側コーティングは、特に合成または天然雲母を含む、コーティングされていない基材に付けられる。
【0030】
本発明による効果顔料の利点は、この簡素な調製方法であり、これにより例えば中間体(intermediates)の乾燥および/または焼成、ならびに単離などの中間工程が必要なくなる。本発明による効果顔料の更なる利点は、暗所において黄変が低いかまたはないこと、フェノール酸化防止剤(例えば、BHT)によるUV照射および湿度下での黄変が低いかまたはないこと、高い耐光堅牢度、ならびに高い耐候安定性である。
【0031】
したがって、本発明による効果顔料は、好ましくは有機アフターコーティングがなく、それにもかかわらず耐候安定性、耐光堅牢性であり、黄変が低く、低い光活性を有するので、プラスチック部門での用途に特に適している。加えて、本発明による顔料の保存安定性は、著しく増加しうる。更に、ペイントおよびプラスチックおいて黄変が少ないことが、本発明による効果顔料による着色で観察される。改善された付着特性(applicational properties)のため、ここで記載されている表面改質(surface-modified)効果顔料は、複数回の付着(multiplicity of applications)に適している。したがって、本発明は、ペイント、コーティング、特に自動車用ペイント、工業塗料(industrial coatings)、粉体塗料(powder coatings)、印刷インク、機密保護用途、化粧用配合物、プラスチック、セラミック材料、ガラス、紙における、電子写真印刷法用のトナーにおける、種(seed)における、温室用シート材料および防水布における、紙およびプラスチックのレーザーマーキングの際の吸収剤としての、プラスチックのレーザー溶接の際の吸収剤としての、および化粧用配合物における、本発明による効果顔料の使用に更に関する。特に、ペイント、特に自動車用ペイントにおける本発明による効果顔料の使用およびプラスチックにおける使用が好ましい。更に、本発明による顔料は、水、有機および/または水性溶媒による顔料ペースト、顔料調製物(pigment preparations)の調製、ならびに例えばグラニュール(granules)、チップ(chips)、ペレット、ブリケット(briquettes)などの乾燥調製物(dry preparations)の調製にも適している。顔料は、当業者に知られている全ての方法によりそれぞれの塗布媒体に組み込むことができる。
【0032】
本発明による効果顔料は、好ましくは、例えば自動車用ペイントまたは水性ペイントなどのペイントに用いられ、顔料が特に安定であるので、全ての屋内および屋外用途に適している。当業者に知られている全てのプラスチックおよびフィルムは、好ましくは、本発明による効果顔料により有利に着色することができ、ここで顔料は、混合により純粋に物理的にも、また有機コーティング中の対応する官能基とプラスチックとの反応により化学的にも結合することができる。本発明による効果顔料は、同様に、例えば透明および不透明な白色、有色および黒色顔料などの有機染料および/または顔料とのブレンドに、ならびにフレーク状の酸化鉄、有機顔料、ホログラフ顔料、LCP(液晶ポリマー)および雲母、ガラス、Al、Fe、SiOなどをベースとする、金属酸化物がコーティングされているフレークをベースとする従来の透明、有色および黒色光輝顔料とのブレンドに使用するのに適している。本発明による効果顔料は、市販の顔料および充填剤と任意の比で混合することができる。
【0033】
充填剤として、例えば、天然および合成雲母、ナイロン粉末、純粋なまたは充填メラニン樹脂、タルク、ガラス、カオリン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、BiOCl、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭素の酸化物または水酸化物、ならびにこれらの物質の物理的または化学的な組合せを挙げることができる。
【0034】
充填剤の粒子形状に関して限定はない。粒子形状は例えば、必要に応じてフレーク状、球状または針状でありうる。
【0035】
本明細書によって明示的に引用される参考文献の開示も、本出願の開示内容に属する。以下の例は、本発明をより詳細に説明するが、保護の範囲を限定するものではない。特に、関連する例が基づく化合物および配合物の、例に記載されている特徴、特性および利点は、特に他に記述のない限り、詳細に記述されていないが保護の範囲内にある他の物質および化合物にも適用することができる。例に記述されるパラメーターの微調整は、例えば、Statistics for Experimenters, Whiley-Interscience, John Whiley and Sons, New York, 1978に記載されている統計的Box−Behnken実験計画により、個々の場合において当業者にとって容易に可能である。加えて、本発明は、特許請求の範囲に記載される範囲の全体にわたって実施することができ、ここに記述される例に限定されない。
【0036】

黄変を試験するための試験方法の説明:
顔料の黄変は、主に、高い温度および大気湿度でUV照射に際してフェノール酸化防止剤の存在下で生じる。特に、安価なPE等級は、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン)を酸化防止剤として含む。この酸化防止剤は、TiOと黄色錯化合物を形成する。着色BHT安定化PE−HDプレートを、Suntest XLS試験器(Atlas)においてフィルター処理したキセノン放射線に曝露する。目に見える変化を、DIN EN 20105−A02に従ってグレースケールを使用して評価する。1重量%の試験顔料および0.3重量%のBHTを含むHostalen GA 7260(PE−HD)製の射出成形プレートを使用する。BHTを、Hostalen GA 7260中の1%のブチルヒドロキシトルエン(Merck Schuchardt)のマスターバッチの形態で計量導入する。プレートが完全に水で覆われるように、試料空間(sample space)を水で溢れさせる。
【0037】
試料採取のために、プレートを装置から一時的に(briefly)取り出し、すっかり乾かし、目視により評価した。試料採取を昼光電球の下で実施する。250時間後の試料採取。評価スケールは、5(極めて良好)から1(極めて劣る)にわたる。
【0038】
光安定性の試験方法の説明:
結合剤(結合剤、プラスチックなど)を用いずに実際に使用される顔料は通常ないので、「顔料の光安定性」について言及することは実際のところ賢明ではない。しかし、顔料が結合剤/プラスチックと一緒に使用された途端、測定されるのは顔料の光安定性ではなく、系全体−顔料+結合剤+添加剤の光安定性である。したがって「顔料の光安定性」への言及は、常に系に依存している。上述の意味での顔料の光安定性を、1.5mmの厚さを有する射出成形PE−HDプレートで1重量部の顔料濃度にて試験する。PE−HDプレートを、ブルースケール(DIN EN ISO 105−B01)と比較して、Xenotest 150 S(Atlas、フィルター系:「屋外曝露」1個のUVフィルター+6個のIRフィルター)において曝露する。射出成形体の非曝露表面に対する曝露表面の色変化を、グレースケール(DIN EN 20105−A02)に従って評価する。ここで、光安定性は、4以上(すなわち、3、2など)の非可逆変化が反射光の反射角(実質的に垂直な視角)と透過光の両方において生じたブルースケールの段階として定義する。他の視野方向で観察することができる変化は、ここでは考慮しない。評価スケールは、8(極めて良好)から1(極めて劣る)にわたる。
【0039】
耐候安定性の試験方法の説明
DIN 11341に従ってPMMA中での耐候性を1000時間試験するために、試料を試験する。試料は、1重量%の顔料を含む射出成形Plexiglas 7Nからなり、DIN 11341に従ってXenotest Beta+(Atlas)中で1000時間風化させる。評価スケールは、5(極めて良好)から1(極めて劣る)にわたる。
【0040】
光活性を試験するための手順
光活性試験は、TiOまたはTiO含有顔料の光触媒効力の特徴付けを可能にする。使用する試験媒体は、反応物質としてPb+塩とグリセロールモノオレエートとを含むPVC混合物である。試験中に、Pb+イオンは光活性TiOの影響によりPbに還元され、これは肉眼的には灰色化(greying)として観察することができる。試料の灰色化を、試験終了の2時間以内(室温で保存)にDIN 54001グレースケールに従って評価する。評価スケールは、5(極めて良好)から1(極めて劣る)にわたる。
【0041】
例1
10〜60μmの粒径を有する100gの天然雲母フレークを、1lの水中に懸濁し、撹拌しながら75℃まで加熱する。3.35gのSnClの10重量%水溶液を1時間かけて懸濁液に計量導入し、その間、pHを希水酸化ナトリウム溶液の添加により1.8に保持し、混合物を更に30分間撹拌する。72gのTiClの水溶液(30重量%溶液)を計量導入し、その間、pHを希水酸化ナトリウム溶液の添加によりpH1.8に保持する。焼成顔料が30重量%のTiOを含み且つ銀白色の干渉を示すのに十分な量の水溶液を、6時間かけて計量導入する。およそ半分のTiCl溶液を計量導入したとき、9.5gのAlCl×6HOの水溶液(2重量%溶液)を残りの3時間でTiCl溶液と並行して計量導入する。次に、pHを希塩酸の使用によりpH7に調整し、6.7gの塩化亜鉛+1.2gの37重量%HCl+80gの脱イオン水の溶液を1時間かけて添加する。21gのTEOS(テトラエトキシシラン、25重量%のアルコール溶液)を30分間かけて添加し、混合物を更に30分間撹拌し、次にpHを60分間かけてpH6に調整する。
【0042】
懸濁液を仕上げ処理する。顔料を濾取し、洗浄し、乾燥し、900℃で焼成し、その後篩い分けする。焼成顔料は、30重量%の二酸化チタン、1.2重量%のZnO、ならびに雲母中のAlおよびSiOの含有量に加えて、+3重量%の酸化アルミニウムおよび+3重量%の二酸化ケイ素を含む。例1は、干渉銀色を表し、これは、通常は、基材の面1つ当たり50〜60nmのTiO層の層厚を有する。ここで測定される本発明による外側コーティングの層厚は、基材の面1つあたり約90nmである。これは、層厚の50〜80%の増加である。
【0043】
例2
10〜60μmの粒径を有する100gの天然雲母フレークを、1lの水中に懸濁し、撹拌しながら75℃まで加熱する。3.35gのSnClの10重量%水溶液を1時間かけて懸濁液に計量導入し、その間、pHを希水酸化ナトリウム溶液の添加によりpH1.8に保持し、混合物を更に30分間撹拌する。72gのTiClの水溶液(30重量%溶液)を計量導入し、その間、pHを希水酸化ナトリウム溶液の添加によりpH1.8に保持する。焼成顔料が30重量%のTiOを含み且つ銀白色の干渉を示すのに十分な量の水溶液を、6時間かけて計量導入する。TiCl溶液を計量導入完了したとき、混合物を更に30分間撹拌する。次に、pHを希水酸化ナトリウム溶液の使用によりpH7に調整し、5gの塩化亜鉛+0.9gの37重量%HCl+60gの脱イオン水の溶液を1時間かけて添加し、混合物を更に30分間撹拌する。次に、9.5gのAlCl×6HOの水溶液(2重量%溶液)を30分間かけて計量導入する。その後、混合物を更に30分間撹拌する。28gのTEOS(テトラエトキシシラン、25重量%のアルコール溶液)をpH7で30分間かけて添加し、混合物を更に30分間撹拌し、次にpHを60分間かけてpH6に調整する。
【0044】
懸濁液を仕上げ処理する。顔料を濾取し、洗浄し、乾燥し、900℃で焼成し、その後篩い分けする。焼成顔料は、30重量%の二酸化チタン、0.9重量%のZnO、ならびに雲母中のAlおよびSiOの含有量に加えて、+3重量%の酸化アルミニウムおよび+4重量%の二酸化ケイ素を含む。例2は、干渉銀色を表し、これは、通常は、基材の面1つ当たりのTiO層の層厚50〜60nmを有する。ここで測定される本発明による外側コーティングの層厚は、基材の面1つあたり約90nmである。これは、層厚の50〜80%の増加である。
【0045】
例3
10〜60μmの粒径を有する100gの天然雲母フレークを、2lの水中に懸濁し、撹拌しながら75℃まで加熱する。3.35gのSnClの10重量%水溶液を1時間かけて懸濁液に計量導入し、その間、pHを希水酸化ナトリウム溶液の添加により1.8に保持し、混合物を更に30分間撹拌する。72gのTiClの水溶液(30重量%溶液)を計量導入し、その間、pHを希水酸化ナトリウム溶液の添加によりpH1.8に保持する。焼成顔料が30重量%のTiOを含み且つ銀白色の干渉を示すのに十分な量の水溶液を、6時間かけて計量導入する。およそ半分のTiCl溶液を計量導入したとき、100mlのCaCl水溶液(14.4gのCaCl×2HO+12mlの30%H溶液と100mlにする水)を残り3時間でTiCl溶液と並行して計量導入し、次に混合物を更に30分間撹拌する。その後、pHを希水酸化ナトリウム溶液の使用によりpH7に調整し、5gの塩化亜鉛+0.9gの37重量%HCl+60gの脱イオン水の溶液を1時間かけて添加し、混合物を更に30分間撹拌する。28gのTEOS(テトラエトキシシラン、25重量%のアルコール溶液)をpH7で30分間かけて添加し、混合物を更に30分間撹拌し、次にpHを60分間かけてpH6に調整する。
【0046】
懸濁液を仕上げ処理する。顔料を濾取し、洗浄し、乾燥し、900℃で焼成し、その後篩い分けする。焼成顔料は、30重量%の二酸化チタン、0.9重量%のZnO、3重量%の酸化カルシウムおよび雲母中のSiOの含有量に加えて、+4重量%の二酸化ケイ素を含む。例3は、干渉銀色を表し、これは、通常は、基材の面1つ当たり50〜60nmのTiO層の層厚を有する。ここで測定される本発明による外側コーティングの層厚は、基材の面1つあたり約90nmである。これは、層厚の50〜80%の増加である。
【0047】
例4
10〜40μmの粒径を有する100gの合成雲母フレークを、2lの水中に懸濁し、撹拌しながら75℃まで加熱する。3.35gのSnClの10重量%水溶液を1時間かけて懸濁液に計量導入し、その間、pHを希水酸化ナトリウム溶液の添加により1.8に保持し、混合物を更に30分間撹拌する。およそ72gのTiClを含む水溶液(30重量%溶液)を計量導入し、その間、pHを希水酸化ナトリウム溶液の添加によりpH1.8に保持する。焼成顔料が30重量%のTiOを含み且つ銀白色の干渉を示すのに十分な量の水溶液を、6時間かけて計量導入する。およそ半分のTiCl溶液を計量導入したとき、100mlのCaCl水溶液(14.4gのCaCl×2HO+12mlの30%H溶液と100mlにする水)を残り3時間でTiCl溶液と並行して計量導入する。その後、pHを希水酸化ナトリウム溶液の使用によりpH5に調整し、5gの塩化亜鉛+0.9gの37重量%HCl+60gの脱イオン水の溶液を1時間かけて添加する。28gのTEOS(テトラエトキシシラン、25重量%のアルコール溶液)をpH7で30分間かけて添加し、混合物を更に30分間撹拌し、次にpHを60分間かけてpH6に調整する。
【0048】
懸濁液を仕上げ処理する。顔料を濾取し、洗浄し、乾燥し、900℃で焼成し、その後篩い分けする。焼成顔料は、30重量%の二酸化チタン、0.9重量%のZnO、および雲母中のCaOおよびSiOの含有量に加えて、+1.3%のCaO+4重量%の二酸化ケイ素を含む。例4は、干渉銀色を表し、これは、通常は、基材の面1つ当たり50〜60nmのTiO層の層厚を有する。ここで測定される本発明による外側コーティングの層厚は、基材の面1つあたり約90nmである。これは、層厚の50〜80%の増加である。
【0049】
例5
10〜40μmの粒径を有する100gのSiOフレークを、2lの水中に懸濁し、撹拌しながら75℃まで加熱する。3.35gのSnClの10重量%水溶液を1時間かけて懸濁液に計量導入し、その間、pHを希水酸化ナトリウム溶液の添加により2.2に保持し、混合物を更に30分間撹拌する。72gのTiClの水溶液(30重量%溶液)を計量導入し、その間、pHを希水酸化ナトリウム溶液の添加によりpH1.8に保持する。焼成顔料が30重量%のTiOを含み且つ銀白色の干渉を示すのに十分な量の水溶液を、6時間かけて計量導入する。およそ90%のTiCl溶液を計量導入したとき、pHを2.0に調整し、計量導入速度を半分に下げる。次に、28gのTEOS(テトラエトキシシラン、12重量%アルコール溶液)の溶液をTiCl溶液と並行して計量導入し、9.5gのAlCl×6HOの水溶液(1重量%溶液)を残りの1.2時間添加し、混合物を更に10分間撹拌する。その後、5gの塩化亜鉛+0.9gの37重量%HCl+60gの脱イオン水の溶液を添加し、混合物を更に30分間撹拌する。
【0050】
懸濁液を仕上げ処理する。顔料を濾取し、洗浄し、乾燥し、900℃で焼成し、その後篩い分けする。焼成顔料は、30重量%の二酸化チタン、0.9重量%のZnO、3重量%の酸化アルミニウムおよび雲母中のSiOの含有量に加えて、+4重量%の二酸化ケイ素を含む。例5は、干渉銀色を表し、これは、通常は、基材の面1つ当たり50〜60nmのTiO層の層厚を有する。ここで測定される本発明による外側コーティングの層厚は、基材の面1つあたり約90nmである。これは、層厚の50〜80%の増加である。
【0051】
例6(参照I)
10〜60μmの粒径を有する100gの雲母フレークを、1lの水中に懸濁し、撹拌しながら75℃まで加熱する。3.35gのSnClの10重量%水溶液を1時間かけて懸濁液に計量導入し、その間、pHを希水酸化ナトリウム溶液の添加により1.8に保持し、混合物を更に30分間撹拌する。72gのTiClの水溶液(30重量%溶液)を6時間かけて計量導入し、その間、pHを希水酸化ナトリウム溶液の添加により1.8に保持する。その後、混合物を更に30分間撹拌する。次にpHを希塩酸の使用によりpH6に調整する。
【0052】
懸濁液を仕上げ処理する。顔料を濾取し、洗浄し、乾燥し、900℃で焼成し、その後篩い分けする。焼成顔料は、30重量%の二酸化チタン含む。例6は、干渉銀色を表し、これは、基材の面1つ当たり約50nmのTiO層の層厚を有する。
【0053】
例7(参照II)
10〜60μmの粒径を有する100gの雲母フレークを、1lの水中に懸濁し、撹拌しながら75℃まで加熱する。3.35gのSnClの10重量%水溶液を1時間かけて懸濁液に計量導入し、その間、pHを希水酸化ナトリウム溶液の添加により1.8に保持し、混合物を更に30分間撹拌する。72gのTiClの水溶液(30重量%溶液)を6時間かけて計量導入し、その間、pHを希水酸化ナトリウム溶液の添加により1.8に保持する。TiCl溶液の半分のとき、9.5gのAlCl×6HOの水溶液を残りの3時間でTiCl溶液と並行して計量導入する。その後、混合物を更に30分間撹拌する。次に、pHを希塩酸の使用によりpH6に調整する。
【0054】
懸濁液を仕上げ処理する。顔料を濾取し、洗浄し、乾燥し、900℃で焼成し、その後篩い分けする。焼成顔料は、30重量%の二酸化チタン含む。例7は、干渉銀色を表し、これは、基材の面1つ当たり約50nmのTiO層の層厚を有する。
【0055】
試験実験の結果を表1に示す。本発明による例1および2の顔料は、従来技術の顔料よりも著しく良好な安定性および低い多孔性を示す。加えて、例1のBET表面積(DIN ISO 9277:2003−05に従って測定)は、参照I(例6)と比較して63%低減し、例2では69%低減する。
【0056】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングされていないフレーク状基材または1種もしくは複数の金属酸化物でコーティングされているフレーク状基材をベースとする効果顔料であって、a)TiO、ならびにb)Al、MgOおよび/もしくはCaO、ならびにc)SiO、ならびにd)ZnO、ならびに/またはe)前記a)〜d)に記載された元素の少なくとも1種の混合酸化物を含む外側金属酸化物含有焼成コーティングを含むことを特徴とする効果顔料。
【請求項2】
前記外側コーティングが、a)TiO、ならびにb)Al、MgOおよび/もしくはCaO、ならびにc)SiO、ならびにd)ZnO、ならびに/またはこれらの元素の少なくとも1種の混合酸化物からなり、前記コーティングが、好ましくは前記Al、Mg、Ca、SiおよびZnの酸化物ならびに/または混合酸化物を主に外側領域中に含むことを特徴とする請求項1に記載の効果顔料。
【請求項3】
前記外側コーティングが、TiO、Al、SiOおよびZnO、ならびに/またはこれらの元素の少なくとも1種の混合酸化物からなり、前記コーティングが、好ましくは前記Al、SiおよびZnの酸化物ならびに/または混合酸化物を主に外側領域中に含むことを特徴とする請求項1または2に記載の効果顔料。
【請求項4】
≧20重量%のTiO、≧0.5重量%のZnO、≧0.1重量%のAlおよび≧1.5重量%のSiOを前記外側コーティング中に含み、ここで重量%は前記焼成顔料の総重量に基づく、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項5】
外側層として焼成されたTiO層を含む顔料の比表面積と比較して30〜80%低減された比表面積を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項6】
前記フレーク状基材が、合成または天然雲母のフレーク、ガラスフレーク、SiOフレークおよびAlフレークから、特に合成または天然雲母のフレークから選択されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項7】
前記フレーク状基材が、アルミニウム、ケイ素、鉄、スズおよびチタンの、酸化物および/または酸化物水和物、特にルチルまたはアナターゼ変態の二酸化チタン、ならびにこれらの化合物の混合物でコーティングされていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項8】
前記焼成顔料の外側コーティングが≧50nmの厚さを有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項9】
前記外側コーティングの厚さが、対応する干渉色の物理学的層厚より≧20%大きいことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項10】
a)コーティングされていないフレーク状基材または1種もしくは複数の金属酸化物でコーティングされているフレーク状基材を、湿式化学法によりTi、ならびにZn、ならびにAl、Mgおよび/もしくはCa、ならびにSiの、酸化物、水酸化物および/または酸化物水和物でコーティングすることと、b)このようにしてコーティングされたフレーク状基材を仕上げ処理し、その後焼成することとを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の効果顔料の調製方法。
【請求項11】
基材を水溶液中に懸濁し、Ti、Si、ZnおよびAl、またはAl、Mgおよび/もしくはCaの、塩の溶液を、前記塩の加水分解に適したpHで添加し、ここでpHを、前記の金属の酸化物または水酸化物または酸化物水和物が基材上に沈積するように選択することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
TiおよびAl、またはAl、Mgおよび/もしくはCaの、塩の溶液を同時に計量導入し、ここでTi塩溶液の一部を初めに単独で添加することもできることを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
まずZn塩溶液、次にAl塩溶液、次にSi塩溶液を添加することを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
Si塩溶液およびAl塩溶液を同時に添加することを特徴とする請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項10から14のいずれか一項に記載の方法により調製された効果顔料。
【請求項16】
ペイント、コーティング、自動車用ペイント、粉体塗料、印刷インク、機密保護用印刷インク、プラスチック、セラミック材料、ガラス、紙における、紙のコーティングにおける、電子写真印刷法用のトナーにおける、種における、温室用シート材料および防水布における、紙およびプラスチックのレーザーマーキングにおける吸収剤としての、プラスチックのレーザー溶接における吸収剤としての、化粧用配合物における、水、有機および/または水性溶媒を用いる顔料ペーストの調製のための、顔料調製物および乾燥調製物の調製のための、請求項1から9のいずれか一項に記載の効果顔料の使用。

【公表番号】特表2013−518946(P2013−518946A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551545(P2012−551545)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000464
【国際公開番号】WO2011/095326
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】