説明

動力噴霧機

【課題】 本考案は多量の清水を入れたタンクに、少量の薬源液であっても手軽にかつ正確に計量注入して所望の薬液を作ることができ、また、薬源液の計量時における計量カップなどの濯ぎ作業が省略できるとともに、薬源液や濯ぎ液などが作業者の手や衣服に付着したり、周囲に零したりする恐れがない動力噴霧機を提供する。
【解決手段】 薬液タンク4に薬源液の供給口43を、タンク4の上部投入口41とは別に形成して、該供給口43に貫通孔45をもつ口栓44を取付けるように構成する一方、上記口栓43の内側に閉塞用パッキン46を装着しての供給口閉塞と、口栓43の貫通孔45に薬源液吸入用スポイド47を挿通しての薬源液注入とを選択できるように構成する。

【考案の詳細な説明】
【001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、主として薬液タンクを背負いバンドにより背負った状態で噴霧作業を行なうように構成された動力噴霧機に関する。具体的には、薬液タンクでの薬源液の希釈に関するものである。
【002】
【従来の技術と問題点】
一般に、この種の動力噴霧機は、背負いバンドをもつ薬液タンクと、適宜駆動装置としてのエンジンと、噴霧ノズルをもつポンプ装置とにより構成されるもので、上記エンジンによるポンプ装置の駆動をしてタンク内の薬液をポンプ装置につづく噴霧ノズルを介して噴霧するものである。
【003】
そして、上記動力噴霧機において使用される薬液は、予め多量の清水を入れたタンク内に計量カップで計量された所定量の薬源液を追加供給することによって作られ、その希釈倍率は数百倍から数千倍で、必要薬源液は極めて微量である。
【004】
したがって、計量カップで計量された薬源液を一滴たりとも残さずにタンク内に供給する必要があるが、実際には必ずカップ内壁に付着して残るもので、必要な薬源液が極めて微量(数cc〜数十cc)であることから、カップ内壁に付着する薬源液とは言え無視することができず、通常は薬源液の付着した計量カップに、新たに用意した清水を注ぎ入れて濯ぐなどの面倒で手間の掛かる作業を要するものである。
【005】
また、上記のように薬源液を計量カップおよびタンクに注ぎ入れる場合や計量カップを濯ぐ場合において、薬源液や濯ぎ液が作業者の手や衣服に付着したり、周囲に零したりすることがないよう細心の注意を要するものである。
【006】
この考案は上記したような問題点を解決すべく考案したもので、特別な注意を払うことなく薬源液を薬液タンクに供給することができ、しかも、計量カップを濯ぐなどの面倒で手間の掛かる作業を省くことを目的とする。
【007】
【考案を解決するための手段】
上記目的を達成するため本案は、薬液タンクと適宜駆動装置により駆動されるポンプ装置とを備え、該ポンプ装置の駆動によりタンク内の薬液を噴霧ノズルを介して噴霧するように構成された動力噴霧機において、上記タンクに薬源液の供給口を、タンクの上部投入口とは別に形成して、該供給口に貫通孔付きの口栓を取付けるように構成する一方、上記口栓の内側に閉塞用パッキンを装着しての供給口閉塞と、口栓の貫通孔に薬源液吸入用スポイドを挿通しての薬源液注入とを選択するように構成したことを特徴とする。
【008】
【作用】
上記の構成によれば、薬液タンクの薬源液供給口に、内側に閉塞用パッキンを装着した口栓を取付けることにより、タンクを背負った状態での移動時などに供給口から薬液を零したりする恐れがない。一方、上記タンク内で薬液を作る場合には、薬源液の入った小瓶にスポイドを差し込んで、適量の薬源液をスポイドに吸い込ませた状態で該スポイドを口栓の貫通孔にセットすればよい。これによりタンク内に薬源液を供給しての薬液調製を行なうことができる。しかも、これによって面倒で手間の掛かる計量カップの濯ぎ作業を省くことができる。
【009】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本案動力噴霧機の実施例を示す背面図、図2,3は、要部の拡大断面図である。
【010】
同図において、1は背負いバンド(図示せず)をもつ機台で、駆動装置としてのエンジン2と、該エンジン2によって駆動されるポンプ装置3と、上部に投入口41をもつ薬液タンク4とが搭載され、上記背負いバンドにより機台1を介して薬液タンク4を背負った状態で、エンジン2によるポンプ装置3の駆動をしてタンク4内の薬液をポンプ装置3を介して噴霧ノズル31から噴霧するように構成されている。なお、図中21はエンジン2の燃料タンク、22はエンジン2の駆動用スタータ、42は投入口41に被嵌されたキャップである。
【011】
しかして、上記タンク4の上方部に薬源液の供給口43を投入口41とは別に形成して、該供給口43に貫通孔45をもつ口栓44を着脱自在に取付けるべく構成する。
【012】
一方、上記口栓44の内側に装着可能な閉塞用パッキン46と、口栓44の貫通孔45に差し込み可能な薬源液吸入用スポイド47とを用意して、該口栓44の内側に閉塞用パッキン46を装着しての供給口閉塞と、口栓44の貫通孔45に薬源液吸入スポイド47を挿通しての薬源液供給とを選択可能に構成するのである。
なお、上記スポイド47にはタンク4内の清水量に対する希釈倍率、例えば、1/500、1/1000、1/1500、1/2000などの希釈用目盛が付けられている。また、図中48は貫通孔44とスポイド47との隙間を閉止する漏止用パッキンである。
【013】
上記した構成の動力噴霧機によれば、まず、タンク4内に10〜20l程度の清水を入れた状態で該タンク4の供給口43に、閉塞用パッキン46が取外された口栓44を取付ける一方、薬源液の小瓶からスポイド47を用いて所定量の薬源液を吸い取るとともに、該スポイド47を上記口栓44の貫通孔45にセットし、スポイド47の押圧操作により所定量の薬源液をタンク4内の清水に注入混合することにより、上記タンク4内で所定濃度の希釈薬液を作ることができ、上記のような噴霧ノズル31からの薬液噴霧が行なわれるものである。
【014】
また、噴霧作業を行なわない移動時などには、上記口栓44からスポイド47を取り外して、閉塞用パッキン46を装着するもので、これによりタンク4内の薬液が移動中の動揺などで零れたりする恐れがない。
【015】
【考案の効果】
以上、説明したように本案の動力噴霧機によれば、多量の清水が入ったタンク内に所定量の薬源液を注入混合して薬液を作るに当って、特別な注意を払うことなく薬源液のタンクへの供給を行なうことができ、すなわち、スポイドを用いることにより薬源液量を手軽にかつ正確に計量してタンクに注入することができ、また、これによって計量カップに新たに用意した清水を注ぎ入れて濯ぐなどの面倒で手間の掛かる作業を省くことができるとともに、薬源液や濯ぎ液が作業者の手や衣服に付着したり、周囲に零したりする恐れがない。
【0016】
また、噴霧作業を行なわない移動時などには、閉塞用パッキンを用いることによってタンク内の薬液が零れたりする恐れがないなどの実用的効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案の一実施例による動力噴霧機の背面図である。
【図2】 スポイド使用時における要部の拡大断面図である。
【図3】 パッキン使用時における要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
2 エンジン(駆動装置)
3 ポンプ装置
4 薬液タンク
41 投入口
42 キャップ
43 供給口
44 口栓
45 貫通孔
46 閉塞用パッキン
47 吸入用スポイド

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 薬液タンクと適宜駆動装置により駆動されるポンプ装置とを備え、該ポンプ装置の駆動によりタンク内の薬液を噴霧ノズルを介して噴霧するように構成された動力噴霧機において、上記タンクに薬源液の供給口を、タンクの上部投入口とは別に形成して、該供給口に貫通孔付きの口栓を取付けるように構成する一方、上記口栓の内側に閉塞用パッキンを装着しての供給口閉塞と、口栓の貫通孔に薬源液吸入用スポイドを挿通しての薬源液注入とを選択するように構成したことを特徴とする動力噴霧機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】実用新案登録第3080099号(U3080099)
【登録日】平成13年6月27日(2001.6.27)
【発行日】平成13年9月14日(2001.9.14)
【考案の名称】動力噴霧機
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2000−8943(U2000−8943)
【出願日】平成12年11月14日(2000.11.14)
【出願人】(390006161)オリジン工業株式会社 (3)