説明

動力工具用ドライバビット構造

【課題】施工時間と手間を節約でき操作が快速で敏捷である、動力工具用ドライバビット構造の提供。
【解決手段】ドライバビットの一端に釘体作用端が設けられ、別端に工具挟持部が設けられ、該釘体作用端の前端より後方にテーパを有する案内部が設けられた動力工具用ドライバビット構造において、該案内部の後方に孔拡張切削部が設けられ、該孔拡張切削部が該釘体作用端と該工具挟持部の間に位置し、その軸方向に少なくとも一つの切削刃が設けられ、該切削刃の径方向の長さが該案内部の最大外径以上であり、これにより、一本のドライバビットが孔開け、孔拡張、及びネジの締めつけの多重機能を有する構造とされた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の動力工具用ドライバビット構造に係り、特に、一本のドライバビットが孔開け、孔拡張、及びネジの締めつけの多重機能を有するものとされたドライバビット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は一般の動力工具(気動工具或いは電動工具ガン)に用いられるドライバビット10を示し、それは該動力工具の動力により駆動されて回転し、ネジ釘13に対して締めつけ或いは緩める動作を行なう。その構造は一端に釘体作用端11を具え、その形状はネジ釘13のネジ頭131の溝132に対応し、マイナス形、プラス形、米字形等多種類の形式がある。該釘体作用端11の前端111より後方に、複数の傾斜リブ112及び複数の溝113が延伸され、並びに該ドライバビット10の別端に工具挟持部12が設けられ、動力工具による挟持に供される。上述のドライバビット10の唯一の機能はネジを締める或いは緩めることで、同時に二種類の異なる属性を使用しなければならない施工条件に対しては、二種類の異なる施工工具を準備して、施工過程中に工具を交換しなければならず、このため操作上、不便であった。例えば、膨張ボルトで壁に対して施工を行なう時、まずドリルビット22(図2)を動力工具に取り付けた後、壁21に対して工作孔211を開け、その後、膨張ボルト23を該工作孔211に挿入し(図3)、このとき、膨張ボルト23のスリーブ231の膨張固定の方式には二種類があり、第1種の方式は引き抜きガン31を利用してボルト232のネジ頭233を引張り(図4)、該スリーブ231を膨張変形させて壁21に固定する、というものであり、この方式の欠点は二種類の異なる工具(ドリルビット、引き抜きガン)を交換して使用しなければならないことのほか、引き抜きガン31でネジ頭233を引張るのには十分パワーが必要なことである。第2種の方式は、まず壁21に工作孔211を開けた後、さらに動力工具に取り付けたドリルビット22をドライバビット10に交換し、並びにネジ頭233の溝234に整合させて膨張ボルト23を締めつけ(図3、5)、さらにドライバビット10の締めつけを利用して該スリーブ231を膨張変形させて壁21に固定する、というものである。この方式は比較的操作が楽に行なえるが、依然として二種類の異なる工具の間で交換が必要であるという不便さがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、一本のドライバビットが孔開け、孔拡張、及びネジの締めつけの多重機能を有するものとされて、施工時間と手間を節約でき操作が快速で敏捷である、動力工具用ドライバビット構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、ドライバビットの一端に釘体作用端が設けられ、別端に工具挟持部が設けられ、該釘体作用端の前端より後方にテーパを有する案内部が設けられた動力工具用ドライバビット構造において、該案内部の後方に孔拡張切削部が設けられ、該孔拡張切削部が該釘体作用端と該工具挟持部の間に位置し、その軸方向に少なくとも一つの切削刃が設けられ、該切削刃の径方向の長さが該案内部の最大外径以上であることを特徴とする、動力工具用ドライバビット構造としている。
請求項2の発明は、請求項1記載の動力工具用ドライバビット構造において、該釘体作用端の形状がネジ釘のネジ頭の溝に対応して該ネジ釘に対する締めつけに供されることを特徴とする、動力工具用ドライバビット構造としている。
請求項3の発明は、請求項1記載の動力工具用ドライバビット構造において、該孔拡張切削部に少なくとも1本の切削案内溝が設けられ、該切削案内溝は該案内部の溝より後方に向けて該孔拡張切削部まで延伸されて形成された屑排出部位とされ、且つその一側辺が切削能力を具備する切削刃とされたことを特徴とする、動力工具用ドライバビット構造としている。
請求項4の発明は、請求項3記載の動力工具用ドライバビット構造において、該切削案内溝が該孔拡張切削部の表面に沿って螺旋状を呈することを特徴とする、動力工具用ドライバビット構造としている。
請求項5の発明は、請求項1記載の動力工具用ドライバビット構造において、該孔拡張切削部が切削刃を具えた少なくとも一つの片体で構成され、該片体は該ドライバビットのロッド体表面より外向きに突出することを特徴とする、動力工具用ドライバビット構造としている。
請求項6の発明は、請求項1記載の動力工具用ドライバビット構造において、該孔拡張切削部は該案内部の後側に位置し、該ドライバビットのロッド体表面より第2案内部と、少なくとも1本の切削案内溝が延伸され、該切削案内溝は屑排出能力を具備する部位とされ、且つその一側辺が切削能力を具備する切削刃とされたことを特徴とする、動力工具用ドライバビット構造としている。
請求項7の発明は、請求項1記載の動力工具用ドライバビット構造において、該孔拡張切削部が該案内部の後側に位置し、該ドライバビットのロッド体の側辺前端に切削刃が凸設され、且つ該孔拡張切削部に少なくとも1本の切削案内溝が設けられたことを特徴とする、動力工具用ドライバビット構造としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、一種の動力工具用ドライバビット構造を提供し、それは、一本のドライバビットが孔開け、孔拡張、及びネジの締めつけの多重機能を有するものとされて、施工時間と手間を節約でき操作が快速で敏捷である、動力工具用ドライバビット構造である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は一種の動力工具用ドライバビット構造を提供し、それは、ドライバビットの一端に釘体作用端が設けられ、別端に工具挟持部が設けられ、該釘体作用端の前端より後方にテーパを有する案内部が設けられた動力工具用ドライバビット構造において、該案内部の後方に孔拡張切削部が設けられ、該孔拡張切削部が該釘体作用端と該工具挟持部の間に位置し、その軸方向に少なくとも一つの切削刃が設けられ、該切削刃の径方向の長さが該案内部の最大外径以上であり、これにより、一本のドライバビットが孔開け、孔拡張、及びネジの締めつけの多重機能を有する構造とされ、施工時間と手間を節約でき操作が快速で敏捷に行なえることを特徴とする。
【0007】
上述の本発明のドライバビット構造は、その釘体作用端の形状が一般のネジ釘のネジ頭の溝に対応し、マイナス形、プラス形、米字形などの形状とされる。
【0008】
また、上述の本発明のドライバビット構造は、その孔拡張切削部が工作孔孔径を切削する能力を有し、該孔拡張切削部を利用して孔開け、孔拡張の操作を行なえる。
【0009】
また、上述の本発明のドライバビット構造は、その孔拡張切削部が該ドライバビットによる孔開け後に、該案内部の案内及び該孔拡張切削部の孔拡張により、軟質の壁(例えば石膏ボード、木製壁板)に該案内部の最大外径以上の工作孔径を形成できる。
【0010】
また、上述の本発明のドライバビット構造は、その孔拡張切削部に少なくとも1つの切削案内溝が設けられ、該切削案内溝は該案内部より形成される溝で、後方に該孔拡張切削部まで延伸されて屑排出部位を形成し、且つその一側辺に切削能力を有する切削刃が設けられる。
【0011】
また、上述の本発明のドライバビット構造は、該孔拡張切削部が該案内部の後側に位置し、該ドライバビットのロッド体表面に第2案内部と、少なくとも1本の切削案内溝が延伸され、該切削案内溝は屑排出能力を有する部位であり、且つその一側辺に切削能力を有する切削刃が設けられる。
【0012】
また、上述の本発明のドライバビット構造は、該孔拡張切削部が、該ドライバビットのロッド体表面の、外向きに突出して切削刃を有する少なくとも一つの片体で構成される。
【0013】
また、上述の本発明のドライバビット構造は、該孔拡張切削部が該案内部の後側に位置し、その側辺前端に切削刃が凸設され、且つ該孔拡張切削部に少なくとも1本の切削案内溝が設けられる。
【実施例1】
【0014】
図6を参照されたい。本発明の動力工具用ドライバビット構造によると、ドライバビット4の一端に、釘体作用端41が設けられ、その形状は、一般のネジ釘のネジ頭の溝に対応し、並びに該釘体作用端41の前端411より後方に向けて、テーパを有する案内部42が設けられ、該案内部42に少なくとも1本の溝421が設けられ、該案内部42の後方に孔拡張切削部43が延伸され、且つ該ドライバビット4の別端に工具挟持部44が設けられ、これにより1本のドライバビットが、孔開け、孔拡張、ネジの締めつけ等の多重機能を具備する構造とされる。
【0015】
上述したように、本発明の特徴は、一般の周知の動力工具用ドライバビット構造の基本構造の下、孔拡張切削部を増設し、それにもともとあるネジの締めつけの基本機能のほかに、該孔拡張切削部43による孔開けと孔拡張の新たに増加した機能を付与し、特に大孔径(6mm以上)の作業条件下で、1本のドライバビットで工具を交換せずに、孔開け、孔拡張の多種機能を完成できるようにしたことにある。
【0016】
また、上述の本発明の孔拡張切削部43(図6、7参照)には、少なくとも1本の切削案内溝431が設けられ、それは、該案内部42の溝421より後方に向けて該孔拡張切削部43まで延伸されてなる屑排出部位であり、且つその一側辺は切削能力を具備する切削刃432とされ、並びに該孔拡張切削部43の表面に沿って螺旋状を呈する。
【0017】
図8に示されるように、壁5に対して施工するとき、先ずドライバビット4の工具挟持部44を動力工具Aに装着し、さらに動力工具Aの動力を利用して該ドライバビット4を駆動し回転させ、並びにその釘体作用端41を壁5に圧入し、続いて該釘体作用端41の前端411に接続された案内部42の案内の下、前端411、案内部42を利用して孔開けを案内し、続いて孔拡張切削部43の切削案内溝431及び切削刃432により孔開けと孔拡張の切削動作を行なう(図8、9)。壁5は軟質壁例えば石膏ボード、木製壁板等とされ、その硬度は該ドライバビット4の釘体作用端41より遥かに低いため、ドライバビット4の釘体作用端41は容易に圧入点511より外向きに孔を拡張するように孔開けして工作孔51を形成できる。この工作孔51に膨張ボルト7を挿入した後(図10)、さらにドライバビット4の釘体作用端41を該膨張ボルト7のネジ釘71のネジ頭711の溝712に整合させ、締めつけの操作を行なう。このとき、該ネジ釘71はドライバビット4の締めつけ作用を受けて、該膨張ボルト7のスリーブ72のヘッドシート721に緊密に当接する位置に至った後、それ以上前進不能で、このとき、該スリーブ72の前端の該ネジ釘71と螺合するネジ孔722は、反対方向に該スリーブ72を圧迫して工作孔511の方向に膨張変形させ、並びに壁5に緊密に固定し(図11)、これにより全体の施工の操作を完成する。施工の過程で、単一のドライバビットのみ使用し、他の工具に交換する必要がないため、本発明のドライバビット4は施工の手間を減らし、時間を節約し、操作を速やかに行なえる。
【実施例2】
【0018】
図12は本発明の第2実施例を示し、そのうち、該孔拡張切削部63は該案内部62の後側に位置し、該案内部62の後端のロッド体60表面に第2案内部633と、少なくとも1本の切削案内溝631が延伸され、該切削案内溝631は屑排出能力を有する部位であり、且つその一側辺に切削能力を有する切削刃632が設けられる。図13に示されるように、ドライバビット6が壁5に工作孔51を開けるとき、該第2案内部633の案内により切削刃632を進入させて孔開け、孔拡張し、及び、該切削案内溝631により屑を排出し、工作孔51を完成し、膨張ボルトの挿入と取付に供する。
【実施例3】
【0019】
図14は本発明の第3実施例を示し、そのうち、該孔拡張切削部83は、切削刃を具えた少なくとも一つの片体831で構成され、該片体831はドライバビット8の該案内部82の後側のロッド体80表面に位置して外側に突出する。図15に示されるように、該ドライバビット8が壁5に工作孔51を開けるとき、該孔拡張切削部83の切削刃を具えた片体831による切削を利用し、工作孔51を完成し、膨張ボルトの挿入と取付に供する。
【実施例4】
【0020】
図16は本発明の第4実施例を示し、そのうち、該孔拡張切削部93は、該案内部92の後側に位置し、ドライバビット9のロッド体90の側辺前端に切削刃932が凸設され、且つ該孔拡張切削部93に少なくとも1本の切削案内溝931が設けられ、図17に示されるように、該切削刃932による孔拡張切削を利用し、壁5に工作孔51を開け、膨張ボルトの挿入と取付に供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】周知のドライバビットの立体図である。
【図2】周知の壁の孔開け施工の立体図である。
【図3】周知の壁への拡張ボルト取付施工操作図一である。
【図4】周知の壁への拡張ボルト取付施工操作図二である。
【図5】周知の壁への拡張ボルト取付施工操作図三である。
【図6】本発明の立体図である。
【図7】本発明の平面図である。
【図8】本発明の施工操作表示図一である。
【図9】本発明の施工操作表示図二である。
【図10】本発明の施工操作表示図三である。
【図11】本発明の施工操作表示図四である。
【図12】本発明の第2実施例の平面図である。
【図13】本発明の第2実施例の操作表示図である。
【図14】本発明の第3実施例の平面図である。
【図15】本発明の第3実施例の操作表示図である。
【図16】本発明の第4実施例の平面図である。
【図17】本発明の第4実施例の操作表示図である。
【符号の説明】
【0022】
10 ドライバビット
11 釘体作用端
111 前端
112 傾斜リブ
113 溝
12 工具挟持部
13 ネジ釘
131 ネジ頭
132 溝
21 壁
211 工作孔
22 ドリルビット
23 膨張ボルト
231 スリーブ
232 ボルト
233 ネジ頭
31 引き抜きガン
4 ドライバビット
41 釘体作用端
411 前端
42 案内部
421 溝
43 孔拡張切削部
431 切削案内溝
432 切削刃
44 工具挟持部
A 動力工具
5 壁
51 工作孔
511 圧入点
7 膨張ボルト
71 ネジ釘
711 ネジ頭
712 溝
72 スリーブ
721 ヘッドシート
722 ネジ孔
6 ドライバビット
60 ロッド体
62 案内部
63 孔拡張切削部
631 切削案内溝
632 切削刃
633 第2案内部
8 ドライバビット
80 ロッド体
82 案内部
83 孔拡張切削部
831 片体
9 ドライバビット
90 ロッド体
92 案内部
93 孔拡張切削部
931 切削案内溝
932 切削刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバビットの一端に釘体作用端が設けられ、別端に工具挟持部が設けられ、該釘体作用端の前端より後方にテーパを有する案内部が設けられた動力工具用ドライバビット構造において、該案内部の後方に孔拡張切削部が設けられ、該孔拡張切削部が該釘体作用端と該工具挟持部の間に位置し、その軸方向に少なくとも一つの切削刃が設けられ、該切削刃の径方向の長さが該案内部の最大外径以上であることを特徴とする、動力工具用ドライバビット構造。
【請求項2】
請求項1記載の動力工具用ドライバビット構造において、該釘体作用端の形状がネジ釘のネジ頭の溝に対応して該ネジ釘に対する締めつけに供されることを特徴とする、動力工具用ドライバビット構造。
【請求項3】
請求項1記載の動力工具用ドライバビット構造において、該孔拡張切削部に少なくとも1本の切削案内溝が設けられ、該切削案内溝は該案内部の溝より後方に向けて該孔拡張切削部まで延伸されて形成された屑排出部位とされ、且つその一側辺が切削能力を具備する切削刃とされたことを特徴とする、動力工具用ドライバビット構造。
【請求項4】
請求項3記載の動力工具用ドライバビット構造において、該切削案内溝が該孔拡張切削部の表面に沿って螺旋状を呈することを特徴とする、動力工具用ドライバビット構造。
【請求項5】
請求項1記載の動力工具用ドライバビット構造において、該孔拡張切削部が切削刃を具えた少なくとも一つの片体で構成され、該片体は該ドライバビットのロッド体表面より外向きに突出することを特徴とする、動力工具用ドライバビット構造。
【請求項6】
請求項1記載の動力工具用ドライバビット構造において、該孔拡張切削部は該案内部の後側に位置し、該ドライバビットのロッド体表面より第2案内部と、少なくとも1本の切削案内溝が延伸され、該切削案内溝は屑排出能力を具備する部位とされ、且つその一側辺が切削能力を具備する切削刃とされたことを特徴とする、動力工具用ドライバビット構造。
【請求項7】
請求項1記載の動力工具用ドライバビット構造において、該孔拡張切削部が該案内部の後側に位置し、該ドライバビットのロッド体の側辺前端に切削刃が凸設され、且つ該孔拡張切削部に少なくとも1本の切削案内溝が設けられたことを特徴とする、動力工具用ドライバビット構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2009−50969(P2009−50969A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220541(P2007−220541)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(501397252)久可工業股▲ふん▼有限公司 (3)
【Fターム(参考)】