説明

動揺試験装置リミットセンサー

【課題】6軸動揺試験装置などの、シリンダを用いたパラレルリンクシステムにおいて、そのシリンダの設置箇所、動作範囲によってはシリンダ同士の干渉や、床・壁面への激突を起こす場合がある。そのような場合にシステムを緊急停止させる手段として従来では、人による非常停止や動揺試験装置を駆動しているソフトウェア自身による姿勢の監視しかなかった。
【解決手段】パラレルリンクシステムとは独立した図5のような検出システムA、検出システムB、検出システムCを設けて、その動作範囲を制限し、緊急時に動揺試験装置を停止させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動揺試験装置のリミットセンサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
6軸動揺装置などの、シリンダを用いたパラレルリンクシステムにおいて、その動作範囲を独立したシステムにより制限し、緊急時に動揺装置を停止させるものである。
パラレルリンクシステムは、そのシリンダの設置箇所、動作範囲によってはシリンダ同士の干渉や、床・壁面への激突を起こす場合がある。そのような場合にシステムを緊急停止させる手段として従来では、人による非常停止、動揺装置を駆動しているソフトウェア自身による姿勢の監視しかなかった。
【0003】
前者においては、緊急時の対応遅れやそもそも常に集中して監視していなければなら
ないという非現実的な方法である。
後者においては、床・壁面への激突や、シリンダ同士の干渉がないようにシリンダを制御しているソフトウェアが、なんらかの異常によりその制限を越えて制御してしまっている以上、そのソフトウェアによる、緊急停止動作に安全装置としての信頼性はない。
【0004】
図1と図2は従来の動揺試験装置です。従来の動揺試験装置は支柱(ピストン部)9や支柱(シリンダー部)11で水平方向16、上下方向17、斜め方向18、水平回転方向19に動揺させています。
図3と図4に従来の動揺試験機の不具合の説明図です。動揺試験装置は一般に動揺試験装置設置建物31に設置されます。この場合、前後左右方向に壁面32があり、上方向には天井33があり、水平方向16および上方向17が制限されます。
また、図2に示すように水平回転方向19が多くなると支柱間隔A31が狭くなり最後には支柱(ピストン部)9と支柱(ピストン部)15が接触する恐れが生じますので制限が必要です。
従来この制限はソフトウエアで制御していましたが信頼性がありませんでした。そのため、人による常時監視が必要でありました。
【0005】
【特許文献1】特開平06−067598
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
6軸動揺試験装置などの、シリンダを用いたパラレルリンクシステムにおいて、そのシリンダの設置箇所、動作範囲によってはシリンダ同士の干渉や、床・壁面への激突を起こす場合がある。そのような場合にシステムを緊急停止させる手段として従来では、人による非常停止や動揺試験装置を駆動しているソフトウェア自身による姿勢の監視しかなかった。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、パラレルリンクシステムとは独立した図5のような検出システムA、検出システムB、検出システムCを設けて、その動作範囲を制限し、緊急時に動揺試験装置を停止させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上述の目的を達成するために次のように構成している。
【0009】
シリンダを用いたパラレルリンクシステムで構成される動揺試験装置において、該動揺試験機は、被試験装置を固定する固定台を備え、固定台のほぼ中央の下方に、水平方向の移動量を検出する検出システムを備え、該検出システムは、検出システムA,B,Cからなり、検出システムAはピストン部とシリンダー部で構成され、シリンダー部には直角方向に円形のセンサー部を有し、検出システム部Bは棒状の複数のセンサーで構成されて検出システムCの上面に円形で縦方向に配置され、検出システムCは動揺試験機を設置してある床面に固定され、検出システムAは固定台と検出システムCにユニバーサルジョイントで固定され、検出システムAの円形のセンサーは検出システムBの円形に配置された複数のセンサーの中央に配置され、検出センサーAの水平移動量が一定量以上になった場合センサーBと接触して、この接触情報を検出システムCで検出して動揺試験装置の動作を停止させることである。
【0010】
シリンダを用いたパラレルリンクシステムで構成される動揺試験装置において、該動揺試験機は、被試験装置を固定する固定台を備え、固定台のほぼ中央の下方に、回転方向の回転量を検出する検出システムを備え、該検出システムは、検出システムA,B,Cからなり、検出システムAはピストン部とシリンダー部で構成され、シリンダー部には直角方向に棒状のセンサー部を有し、検出システム部Bは棒状の2本のセンサーで構成されて検出システムCの上面に縦方向に配置され、検出システムCは動揺試験機を設置してある床面に固定され、検出システムAは固定台と検出システムCにユニバーサルジョイントで固定され、検出システムAの棒状のセンサーは検出システムBの2本のセンサーの中央に配置され、検出センサーAの回転方向の回転量が一定量以上になった場合センサーBと接触して、この接触情報を検出システムCで検出して動揺試験装置の動作を停止させることである。
【0011】
シリンダを用いたパラレルリンクシステムで構成される動揺試験装置において、該動揺試験機は、被試験装置を固定する固定台を備え、固定台のほぼ中央の下方に、回転方向の回転量を検出する検出システムを備え、該検出システムは、検出システムA,Cからなり、検出システムAはピストン部とシリンダー部で構成され、シリンダー部にはピストン部の上昇量を検出するセンサー部を有し、検出システムCは動揺試験機を設置してある床面に固定され、検出システムAは固定台と検出システムCにユニバーサルジョイントで固定され、検出センサーAがピストン部の上昇量が一定量以上になった場合、この情報を検出システムCで検出して動揺試験装置の動作を停止させることである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、パラレルリンクシステムとは独立したシステムにより、異常を検出し、パラレルリンクシステムの動作を停止させることができる。
このシステムを活用することで、動揺の可動範囲が大きい設計をした場合に問題になるシリンダ間の干渉、床、壁への激突を回避でき、より性能の高いシステムを安全に構築することができる。
【実施例】
【0013】
以下、図面によって本発明の実施例について、詳細に説明する。
【0014】
図5は、本発明の動揺試験装置の実施の形態の一例である。図1の従来の動揺試験装置の例に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0015】
図5に示すように、本発明の検出システム60は非試験装置の固定台2の中央部の下方に設置される。図6は本発明の動揺試験装置の水平方向移動検出システムの説明図である。
検出システム60は検出システムA61、検出システムB62、検出システムC63で構成されている。
検出システムA61はピストン部65とシリンダー部66で構成され、シリンダー部66には直角方向に円形のセンサー部67を有し、検出システム部B62は棒状の複数のセンサーで構成されて検出システムC63の上面に円形で縦方向に配置され、検出システムC63は動揺試験機を設置してある床面3に固定され、検出システムA61は固定台2と検出システムC63にユニバーサルジョイント64と68で固定され、検出システムA61の円形のセンサー67は検出システムB62の円形に配置されたセンサーの中央に配置され、固定台2の水平方向の移動量が一定以上になった場合、センサー部67は検出システムB62に接触して、この接触情報を検出システムC63で検出して動揺試験装置の動作を停止させる。
接触情報としては、電気的な接触情報のみならず、接触することによりマイクロスイッチがON、OFFするような情報でも良い。
【0016】
図7は本発明の動揺試験装置の回転方向移動検出システムの説明図である。検出システム60は検出システムA61、検出システムB62、検出システムC63で構成されている。
検出システムA61はピストン部65とシリンダー部66で構成され、シリンダー部66には直角方向に棒状のセンサー部67を有し、検出システム部B62は棒状の2本ののセンサーで構成されて検出システムC63の上面に縦方向に配置され、検出システムC63は動揺試験機を設置してある床面3に固定され、検出システムA61は固定台2と検出システムC63にユニバーサルジョイント64と68で固定され、検出システムA61の棒状のセンサー67は検出システムB62のセンサーの中央に配置され、固定台2の回転方向の移動量が一定以上になった場合、センサー部67は検出システムB62に接触して、この接触情報を検出システムC63で検出して動揺試験装置の動作を停止させる。
接触情報としては、電気的な接触情報のみならず、接触することによりマイクロスイッチがON、OFFするような情報でも良い。
【0017】
図8は本発明の動揺試験装置の上下方向移動検出システムの説明図である。検出システム60は検出システムA61、検出システムC63で構成されている。
検出システムA61はピストン部65とシリンダー部66で構成され、シリンダー部66にはピストン部の上昇量を検出するセンサー部67を有し、検出システムC63は動揺試験機を設置してある床面3に固定され、検出システムA61は固定台2と検出システムC63にユニバーサルジョイント64と68で固定され、固定台2の上昇方向の移動量が一定以上になった場合、センサー部67はその情報を検出し、この接触情報を検出システムC63で検出して動揺試験装置の動作を停止させる。
センサー部67の検出方法としては、図8に示すようにピストン部65が上昇して、センサー部67がピストン部68との接触がなくなったことで判断するとかピストン部を加工してセンサー部がその加工部を検出する等の例があるが、この例に限られることはない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来の動揺試験機の説明図 側面図
【図2】従来の動揺試験機の説明図 上面図
【図3】従来の動揺試験機の不具合説明図 側面図
【図4】従来の動揺試験機の不具合説明図 上面図
【図5】本発明の動揺試験機の説明図 側面図。
【図6】本発明の動揺試験機の水平方向移動検出システムの説明図
【図7】本発明の動揺試験機の回転方向移動検出システムの説明図
【図8】本発明の動揺試験機の上下方向移動検出システムの説明図
【符号の説明】
【0019】
1 被試験装置
2 被試験装置の固定台
3 床面
4 被試験装置の固定台(斜めになった場合)
6 固定台への固定部
7 固定部と支柱の接続部
8,9 支柱(ピストン部)
10、11 支柱(シリンダー部)
12,13 床面の固定部
16 水平方向
17 上下方向
18 斜め方向
19 水平回転方向
31 動揺試験装置設置建物
32 壁面
33 天井
60 検出システム
61 検出システムA
62 検出システムB
63 検出システムC
64、68 ユニバーサルジョイント部
65 ピストン部
66 シリンダー部
67 センサー部
69 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダを用いたパラレルリンクシステムで構成される動揺試験装置において、該動揺試験機は、被試験装置を固定する固定台を備え、固定台のほぼ中央の下方に、水平方向の移動量を検出する検出システムを備え、該検出システムは、検出システムA,B,Cからなり、検出システムAはピストン部とシリンダー部で構成され、シリンダー部には直角方向に円形のセンサー部を有し、検出システム部Bは棒状の複数のセンサーで構成されて検出システムCの上面に円形で縦方向に配置され、検出システムCは動揺試験機を設置してある床面に固定され、検出システムAは固定台と検出システムCにユニバーサルジョイントで固定され、検出システムAの円形のセンサーは検出システムBの円形に配置された複数のセンサーの中央に配置され、検出センサーAの水平移動量が一定量以上になった場合センサーBと接触して、この接触情報を検出システムCで検出して動揺試験装置の動作を停止させることを特徴とする動揺試験装置
【請求項2】
シリンダを用いたパラレルリンクシステムで構成される動揺試験装置において、該動揺試験機は、被試験装置を固定する固定台を備え、固定台のほぼ中央の下方に、回転方向の回転量を検出する検出システムを備え、該検出システムは、検出システムA,B,Cからなり、検出システムAはピストン部とシリンダー部で構成され、シリンダー部には直角方向に棒状のセンサー部を有し、検出システム部Bは棒状の2本のセンサーで構成されて検出システムCの上面に縦方向に配置され、検出システムCは動揺試験機を設置してある床面に固定され、検出システムAは固定台と検出システムCにユニバーサルジョイントで固定され、検出システムAの棒状のセンサーは検出システムBの2本のセンサーの中央に配置され、検出センサーAの回転方向の回転量が一定量以上になった場合センサーBと接触して、この接触情報を検出システムCで検出して動揺試験装置の動作を停止させることを特徴とする動揺試験装置
【請求項3】
シリンダを用いたパラレルリンクシステムで構成される動揺試験装置において、該動揺試験機は、被試験装置を固定する固定台を備え、固定台のほぼ中央の下方に、回転方向の回転量を検出する検出システムを備え、該検出システムは、検出システムA,Cからなり、検出システムAはピストン部とシリンダー部で構成され、シリンダー部にはピストン部の上昇量を検出するセンサー部を有し、検出システムCは動揺試験機を設置してある床面に固定され、検出システムAは固定台と検出システムCにユニバーサルジョイントで固定され、検出センサーAがピストン部の上昇量が一定量以上になった場合、この情報を検出システムCで検出して動揺試験装置の動作を停止させることを特徴とする動揺試験装置
【請求項4】
シリンダを用いたパラレルリンクシステムで構成される動揺試験装置において、請求項1と2の検出システムを持つことを特徴とする動揺試験装置
【請求項5】
シリンダを用いたパラレルリンクシステムで構成される動揺試験装置において、請求項1と3の検出システムを持つことを特徴とする動揺試験装置
【請求項6】
シリンダを用いたパラレルリンクシステムで構成される動揺試験装置において、請求項2と3の検出システムを持つことを特徴とする動揺試験装置
【請求項7】
シリンダを用いたパラレルリンクシステムで構成される動揺試験装置において、請求項1と2と3の検出システムを持つことを特徴とする動揺試験装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−54311(P2010−54311A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218910(P2008−218910)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】