説明

動的に堆積された流体および静的に保持された流体を送る三次元有孔フィルム

【課題】吸収性物品における移動層として用いる三次元の有孔フィルムを提供すること。
【解決手段】a)連続表面であって、連続表面から生じる複数の大規模なアパーチャを有し、大規模なアパーチャは、連続表面上から生じ、連続表面から外側に延びる側壁によって画定される連続表面と、b)連続表面に概ね平行で、連続表面から間隔を空けて配置される不連続表面であって、不連続表面は、不連続表面に大規模なアパーチャを有し、大規模なアパーチャは、不連続表面から生じ、不連続表面から外側に延びる側壁によって画定される、不連続表面とを備え、c)連続表面上の大規模なアパーチャは、不連続表面上の大規模なアパーチャと同じ方向に向けられる、フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2009年1月29日に出願された米国出願第12/316,323号の一部継続出願であり、該出願は同時に、2006年11月14日に出願された米国出願第11/559,601号(現在、米国特許第7,518,032号)の継続出願である。
【0002】
(発明の背景)
本発明は、概して、吸収性物品における移動層として用いるための三次元の有孔フィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
体液を吸収する吸収性物品は周知である。これらの吸収性物品は、典型的にはトップシートによって覆われる吸収性コアを備えており、該トップシートは、ユーザの皮膚に隣接して位置を決められ、使用時にユーザの皮膚に接触し得る。吸収性物品に用いられるトップシートは、典型的には、不織の有孔フィルムであるかまたは有孔フィルムの薄層の組み合わせである。そのような吸収性物品の例は、おむつと、失禁用物品と、生理用ナプキンとを含む。
【0004】
吸収性物品に関連する1つの問題は、トップシートの、着用者に面する表面の乾燥状態を維持することである。概して、着用者に面する表面が乾燥した状態に保たれると、吸収性物品は、より快適である。乾いた、着用者に面する表面を維持するために、吸収性物品は、動的に堆積した流体および静的に保持される流体の両方をトップシートから除去し、これらの流体を吸収性コアに送ることが可能であるべきである。動的に堆積した流体は、概してユーザから排出された多量の流体であり、一方、静的に保持される流体は、表面張力によってトップシートの中かまたはトップシート上に保たれる残留流体である。さらに、物品は、コアに送られる流体が物品の着用者に面する側に戻るように移動(リウェットとして公知の現象)しないようにすることが可能であることが必要である。
【0005】
着用者の不快感を最小限にし、漏出および衣服の汚れをもたらす横方向への流体の流出を防ぐために、動的に堆積した流体は、速やかに吸収性コアに送られなければならない。トップシートによる動的に堆積した流体の吸収性物品へのこの迅速な送達は、コアの吸収速度より大きい速度である。この特徴は、相当な量の高吸収性ポリマーを含むコアに関して特に事実である。そのようなポリマーは、そのポリマーの流体保持力に反比例する吸い込み速度を有する。従って、そのようなポリマーは相当な量の流体を保持する能力を有するが、そのようなポリマーが上記流体を完全に吸収するのに時間を要することがしばしばある。このことは、コア表面上に吸収されない流体がたまることを引き起こし、トップシートのより大きな面積にわたる、より高い水位の静的に保持された流体をもたらす。
【0006】
移動層の使用は、これらの問題に対処するように意図される。移動層は、トップシートとコアとの間に挿入され、いくつかの主要な機能を果たす。第1に、移動層は、流体がコアによって吸収され得るまで、流体が着用者から離れて蓄積するための空いた空間を提供する。第2に、移動層は、コアの飽和した領域からより、飽和に達していない領域に流体を横方向に分散させる通路を提供する。最後に、形成された膜から作られる移動層は(繊維質の不織布とは反対に)、コアとトップシートの間に追加の物理的障壁を提供し、それによってリウェットを減少させることを助ける。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
一実施形態において、本開示は、吸収性物品において移動層として用いる三次元有孔フィルムを提供する。フィルムは、フィルムの連続表面から生じる1つの組のアパーチャと、フィルムの不連続表面から生じる第2の組のアパーチャとを有する。不連続表面におけるアパーチャは、少なくとも1つの大規模アパーチャを含み、該大規模アパーチャは、重力によってフィルムを通って動的に堆積された流体を送ることが可能である。不連続表面はまた、小規模アパーチャを含み、該小規模アパーチャは、毛管作用によってフィルムを通して静的に保持された流体を送ることが可能である。連続表面におけるアパーチャは、大規模アパーチャ、小規模アパーチャ、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0008】
別の実施形態において、本開示は、トップシートと、吸収性コアと、トップシートと吸収性コアとの間に位置を定められる移動層とを有する吸収物品を提供し、収集分配層は、フィルムの連続表面から生じる1つの組のアパーチャと、フィルムの不連続表面から生じる第2の組のアパーチャとを有する三次元有孔フィルムを含む。不連続表面におけるアパーチャは、少なくとも1つの大規模アパーチャを含み、該大規模アパーチャは、重力によってフィルムを通して動的に堆積された流体を送ることが可能である。不連続表面はまた、小規模アパーチャを含み、該小規模アパーチャは、毛管作用によってフィルムを通って静的に保持された流体を送ることが可能である。連続表面におけるアパーチャは、大規模アパーチャ、小規模アパーチャ、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0009】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
a)連続表面であって、該連続表面から生じる複数の大規模なアパーチャを有し、該大規模なアパーチャは、該連続表面上から生じ、該連続表面から外側に延びる側壁によって画定される、連続表面と、
b)該連続表面に概ね平行で、該連続表面から間隔を空けて配置される不連続表面であって、該不連続表面は、該不連続表面に大規模なアパーチャを有し、該大規模なアパーチャは、該不連続表面から生じ、該不連続表面から外側に延びる側壁によって画定される、不連続表面と
を備え、
c)該連続表面上の該大規模なアパーチャは、該不連続表面上の該大規模なアパーチャと同じ方向に向けられる、フィルム。
(項目2)
上記大規模なアパーチャは、傷害流体が重力によって上記フィルムを通して獲得されることを可能にするような大きさで作られる、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目3)
上記大規模なアパーチャは、400マイクロメートル〜1000マイクロメートルの直径を有する、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目4)
上記連続表面および上記不連続表面のうちの少なくとも1つに小規模なアパーチャをさらに備えている、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目5)
上記小規模なアパーチャは、流体が毛管作用によって上記フィルムを通して獲得されることを可能にするような大きさで作られる、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目6)
上記小規模なアパーチャは、375マイクロメートル未満の直径を有する、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目7)
上記小規模なアパーチャは、上記大規模なアパーチャの上記直径より少なくとも4倍小さい直径を有する、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目8)
上記連続表面における上記大規模なアパーチャは、該連続表面から垂れ下がる側壁と、該側壁の遠位端にあるアパーチャとによって画定されるドレーンである、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目9)
上記不連続表面における上記大規模なアパーチャは、該不連続表面から垂れ下がる側壁と、該側壁の遠位端にあるアパーチャとによって画定されるドレーンである、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目10)
上記連続表面における上記大規模なアパーチャは、該連続表面から延びる側壁と、底部壁とによって画定されるくぼみであり、該底部壁は該底部壁に少なくとも1つの流体通路を有する、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目11)
上記連続表面における上記大規模なアパーチャは、該連続表面から延びる側壁と、底部壁とによって画定されるバケットであり、少なくとも1つの側壁は該側壁にアパーチャを有する、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目12)
上記連続表面から延びる複数の突出部をさらに備え、該突出部の各々は、集合的に該不連続表面を備えている頂部表面を有する、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目13)
上記突出部の上記頂部表面は、共通平面にある、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目14)
上記突出部は、上記連続表面の上に100マイクロメートル〜250マイクロメートル延びる、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目15)
上部表面と下部表面とを有する不織繊維のトップシートと、吸収性コアと、該トップシートと該吸収性コアとの間のフィルムとを備えている吸収性物品であって、該フィルムは、
a)連続表面であって、該連続表面から生じる複数の大規模なアパーチャを有し、該大規模なアパーチャは、該連続表面から生じ、該連続表面から外側に延びる側壁によって画定される、連続表面と、
b)該連続表面に概ね平行で、該連続表面から間隔を空けて配置される不連続表面であって、該不連続表面は、該不連続表面に大規模なアパーチャを有し、該大規模なアパーチャは、該不連続表面から生じ、該不連続表面から外側に延びる、不連続表面と
を備え、
c)該連続表面上の該大規模なアパーチャは、該不連続表面上の該大規模なアパーチャと同じ方向に向けられる、吸収性物品。
(項目16)
上記連続表面から延びる複数の突出部をさらに備え、該突出部の各々は、集合的に上記不連続表面を備えている頂部表面を有する、上記項目のいずれかに記載の吸収性物品。
(項目17)
上記連続表面および不連続表面のうちの少なくとも1つに小規模なアパーチャをさらに備えている、上記項目のいずれかに記載の吸収性物品。
(項目18)
上記小規模なアパーチャは、上記大規模なアパーチャの上記直径より少なくとも4倍小さい直径を有する、上記項目のいずれかに記載の吸収性物品。
(項目19)
上記大規模なアパーチャは、400マイクロメートル〜1000マイクロメートルの直径を有する、上記項目のいずれかに記載の吸収性物品。
(項目20)
上記不連続表面は、上記トップシートに接触している、上記項目のいずれかに記載の吸収性物品。
【0010】
(摘要)
吸収性物品において移動層として用いられる三次元フィルムは、連続表面と、該連続表面に概ね平行で、該連続表面から間隔を空けて配置される不連続表面とを有し、連続表面および不連続表面の両方は、表面から生じ、表面から外側に延びる側壁によって画定され、流体が重力によって獲得されることを可能にするような大きさで作られる大規模アパーチャを有し、オプションで各表面はまた、毛管作用によって流体を獲得するような大きさで作られる小規模アパーチャを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本開示の実施形態に従う吸収性物品の概略図の断面図を示す。
【図2】図2は、本開示の実施形態に従う三次元有孔フィルムの断面図を示す。
【図3】図3は、本開示の実施形態に従う三次元有孔フィルムの断面図を示す。
【図4】図4は、本開示の実施形態に従う三次元有孔フィルムの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(詳細な説明)
図1を参照すると、典型的な吸収性物品10の簡略化した図が示される。吸収性物品10は、基本的に、トップシート12と、収集分配層15と、吸収性コア16と、バックシート14とを備えている。他の層がこの全体構造に含まれ得る。吸収性物品の例は、おむつと、失禁用物品と、生理用ナプキンと、それらに類似する物品とを含む。しかしながら、図1が、例示の目的のためにのみ示されるものであり、吸収性物品の特定の種類または構成を限定するものとして解釈されるべきではないことは理解されるべきである。
【0013】
図1に示されるように、吸収性物品10は、2つの表面、すなわち着用者に面する表面または着用者表面18と、衣服に面する表面または衣服表面20とを有する。着用者表面18は、着用者の体に隣接して着用されるように意図される。吸収性物品10の衣服表面20は、反対側にあり、吸収性物品10が着用されたとき着用者の下着または衣類に隣接して配置されるように意図される。
【0014】
図1に見られ得るように、三次元フィルム15が吸収性物品のための移動層として用いられるとき、三次元フィルム15は、トップシート12の下で、かつ吸収性コア16の頂部または着用者に面する側17に隣接して位置を定められる。好ましい実施形態において、トップシートは、任意の規則的な繰り返し方法ではない方法でインターレイされる個々の繊維または糸の任意の不織ウェブを含む。トップシート用途に適している当該分野において一般に公知の任意の不織ウェブが用いられ得る。不織ウェブは、これまで例えば、メルトブローイング(meltblowing)プロセス、スパンボンディング(spunbonding)プロセス、およびボンドカードウェブ(bonded carded web)プロセスなどの様々なプロセスによって形成されてきた。不織ウェブの代わりにまたは不織ウェブの他に、トップシート12は、当該分野において公知であるような三次元フィルムを含み得る。
【0015】
ここで図2を参照すると、三次元フィルム15は、連続表面22であって、その中に複数のドレーン24を有する、連続表面22を含む。用語「連続表面」は、表面22との接触を中断することなく表面22上の任意の点に表面22上の任意の他の点から到達され得ることを意味する。ドレーン24は、側壁26によって画定され、側壁26は、表面22において生じ、z方向に表面22から下方に延び、側壁26の遠位端にあるアパーチャ28において終端する。z方向は、フィルムの平面に対して概ね横断するように定義され、図2〜図4において矢印「Z」によって示される。
【0016】
フィルム15は、頂部表面32を有する突出部30をさらに含む。頂部表面32は、全体として、連続表面22から間隔を空けて置かれ、連続表面22に概ね平行である不連続表面を含む。用語「不連続表面」は、表面32との接触を中断することなく表面32上の任意の点に表面32上の任意の他の点から到達されることができないことを意味する。任意の1つの突出部の頂部表面は、連続表面であるが、個々の突出部30の表面32は、フィルムに、全体として不連続表面を形成する。
【0017】
複数のドレーン34は、側壁36によって画定され、側壁36は、表面32において生じ、表面32から下方に延び側壁36の遠位端にあるアパーチャ38において終端する。ドレーン34および側壁36は、従って、連続表面22の方に向けられアパーチャ24および側壁26と同じ方向であるが、異なる平面において間隔を空けて置かれる。ドレーン34の他に、不連続表面32は、毛細管33などの毛細管を含み得る。毛細管33は、ドレーン34と同じ基本的構造を有し、不連続表面32において生じ、不連続表面32から外側に延びる側壁35によって画定される。アパーチャ37は、側壁35の遠位端に位置を定められ、従って、毛細管33を通る流体連絡を提供する。
【0018】
図3を参照すると、三次元フィルム115は、連続表面22であって、そこに複数のバケット40を有する、連続表面22を含む。この実施形態において、バケット40もまた側壁42によって画定され、側壁42は、連続表面22において生じ、z方向に下方に延びる。バケット40は、連続表面22に概ね平行に向けられる底部壁44をさらに含む。側壁42の少なくとも1つは、そこにアパーチャ46を含む。底部壁(底部表面とも呼ばれる)44は実質的に無孔である。側壁にアパーチャを提供し、底部表面が実質的に完全な状態にすることによって、移動層115は、流体管理を提供し得、また吸収性コアのほぼ完全な視覚的閉塞を提供する。ほぼ完全な視覚的閉塞は、改良されたマスキング特性を有する吸収性物品が汚れた吸収性コアを隠すことを可能にし、このことは、消費者にとって利益のある望ましい特性である。
【0019】
アパーチャ46の配置が正確ではないことは理解される。底部表面44と側壁42との間の境界線も必ずしもうまく画定されているとは限らない。従って、実際上アパーチャ46のほとんどが側壁に位置を定められるとしても、底部表面44の一部分が有孔であることはあり得る。この理由により、本出願人らが底部表面44が実質的に無孔であると述べるとき、底部表面44の表面積の10%または12%以下、好ましくは5%以下がアパーチャによって占められることを意味する。同様に、アパーチャ46が側壁42にあると述べるとき、開口領域の100%が側壁部分にあることを含意することを意味しない。
【0020】
側壁42にアパーチャ46を有する実施形態は、フィルムのz方向寸法のより良い制御および柔軟性を可能にする。特に、典型的な有孔の三次元に形成されたフィルムとは異なり、移動層のz方向寸法は、形成スクリーンの深さ(すなわち、厚さ)によって決定され、突起物の直径に対応するスクリーンにおける開口部の直径によっては決定されない。
【0021】
さらに、図3に見られるように、フィルム115は、側壁47によって画定される毛細管48を含み、毛細管48は、連続表面22において生じ、z方向に表面22から下方に延び、側壁47の遠位端におけるアパーチャ49において終端する。側壁アパーチャおよび毛細管を含むフィルムは、2008年11月10日に出願された、上記の同時係属中の同一人に譲渡された米国出願第12/291,427号に開示され、該出願の開示は本明細書に参考として援用される。
【0022】
図3のフィルム115は、頂部表面32を有する突出部30をさらに含む。図2におけるように、頂部表面32は、全体として、連続表面22から間隔を空けて置かれ、連続表面22に概ね平行である不連続表面を含む。複数のドレーン34は、側壁36によって画定され、側壁36は、表面32において生じ、表面32から下方に延び側壁36の遠位端にあるアパーチャ38において終端する。ドレーン34および側壁36は、従って、連続表面22の方に向けられ、ドレーン24および側壁26と同じ方であるが、異なる平面において間隔を空けて置かれる。前の実施形態におけるように、不連続表面32はまた、毛細管33などの毛細管を含み得る。
【0023】
図4を参照すると、フィルム215は、連続表面22であって、その中に複数のドレーン24を有する、連続表面22を含む。ドレーン24は、側壁26によって画定され、側壁26は、表面22において生じ、z方向に表面22から下方に延び、側壁26の遠位端にあるアパーチャ28において終端する。
【0024】
図4のフィルム215は、頂部表面32を有する突出部30をさらに含む。頂部表面32は、全体として、連続表面22から間隔を空けて置かれ、連続表面22に概ね平行である不連続表面を含む。複数のドレーン34は、側壁36によって画定され、側壁36は、表面32において生じ、表面32から下方に延び側壁36の遠位端にあるアパーチャ38において終端する。ドレーン34および側壁36は、従って、連続表面22の方に向けられ、アパーチャ24および側壁26と同じ方向であるが、異なる平面において間隔を空けて置かれる。前の実施形態におけるように、不連続表面32はまた、毛細管33などの毛細管を含み得る。
【0025】
図4においても見られるように、フィルム215は、少なくとも1つのくぼみ50をさらに含み、少なくとも1つのくぼみ50は、連続表面22において生じ、z方向に下方に延びる側壁52と、連続表面22に実質的に平行に向けられる底部壁54とによって画定される。底部壁54は、側壁58によって画定される少なくとも1つのアパーチャ56を含み、少なくとも1つのアパーチャ56は、底部壁54において生じ下方に延びる側壁58によって画定される。アパーチャ60は、側壁58の遠位端に位置を定められ、くぼみ50に回収された流体がz方向にフィルム215を通過することを可能にする。
【0026】
上から見ると、アパーチャの形状は、アパーチャがドレーン、毛細管、くぼみもしくはバケットであっても、円形、楕円形、多角形、または他の所望の形状であり得る。さらにアパーチャは、任意の所望のパターンまたはアレイ、および任意の密度またはメッシュ数(すなわち、単位長さ当たりのアパーチャ数)で配置され得る。1リニアインチ当たり2個〜25個のメッシュ数のドレーン、バケットまたはくぼみ、より好ましくは1リニアインチ当たり8個〜20個のアパーチャは、概して、吸収性物品における移動層に適している。
【0027】
好ましい実施形態において、フィルムは、ドレーンを用いて制御された速度で動的に堆積された流体を送り、該ドレーンは、そのような流体をコアに送る前に回収し一時的に保持することが可能なくぼみおよび/またはバケットと接続している。このことは、吸収性コアに流体を吸収するためのより多くの時間を与える。
【0028】
ドレーン24、バケット40およびくぼみ50(総称して「大規模アパーチャ」と呼ばれる)は、好ましくは流体が送達されるのと同じ速さで、損傷液が重力または加圧によって三次元フィルムを介して獲得されるのを可能にするほど十分に大きい直径を有する。毛細管(「小規模アパーチャ」とも呼ばれる)33、48は、毛細管が毛管作用を示し、従って、不連続表面32または連続表面22と接触している流体を送ることが可能であるような大きさで作られる。
【0029】
突出部30は、連続表面22から上方に延びる。好ましい実施形態において、突出部30の不連続表面32は、トップシート12の下部表面と接触するようになるかまたはトップシート12の中に延びる。突出部30の不連続表面32におけるドレーン34および毛細管33の数および配置は、本発明にとって特に重要というわけでなく、少なくとも1つのドレーン34が存在する限り、任意の適切な配置、パターンまたはメッシュ数が、所望に応じ用いられ得る。好ましい実施形態において、突出部30は、1個〜10個のドレーン、より好ましくは3個〜5個のドレーンを含む。オプションで各突出部30は、1個〜10個の毛細管を含み得る。
【0030】
フィルムのz方向の寸法またはロフトは、実施形態に依存して、400マイクロメートルから1700マイクロメートルであり得る。フィルムの連続表面22から突出部30の不連続表面32までのz方向の距離は、50マイクロメートル〜300マイクロメートル、より好ましくは100マイクロメートル〜250マイクロメートル、最も好ましくは200マイクロメートルである。図2および図4は、共通の平面にあるものとして突出部30の不連続表面32を例示するが、これは必須の特徴ではない。従って、各突出部30は、所望により、任意の他の突出部30より高いかまたは低い場合がある。
【0031】
好ましくは、ドレーンおよび毛細管は先細にされ、それによってドレーンおよび毛細管の直径は、表面22または32にある開口部において最大となる。先細加工(Tapering)は、流体がフィルムを通ってコアからトップシートに送られる可能性を減少させる。ドレーン、バケットおよびくぼみは、動的に堆積された流体が三次元フィルムを通って迅速に獲得されることを可能にするほど十分に大きい限り、それらの意図された方法で機能を果たすために円筒形の形状である必要はない。従って、これらのフィルム構造は、動的に堆積された流体に対して障壁を引き起こさないような大きさで作られかつ適切な表面の化学的性質を有しなければならない。400マイクロメートルより大きい直径、より好ましくは650マイクロメートルより大きい直径が流体の流れに対する障壁を引き起こさないことが見出された。
【0032】
直径の上限は、主として美的感覚そしてリウェットの考慮に基づいて決定される。すなわち、フィルムにおけるより大きな直径のアパーチャは、フィルムを非常に堅く、粗いように見せ、このことは消費者に否定的な印象を引き起こす。同様に、より大きな直径はまた、流体が吸収性コアから(例えば、圧縮時に)フィルムを通ってトップシートに送られるというより大きな可能性を引き起こす。好ましい実施形態において、ドレーン、バケットまたはくぼみなどの大規模アパーチャは、好ましくは1200マイクロメートル、より好ましくは1000マイクロメートル以下の直径を有する。
【0033】
アパーチャが、それらがドレーン、くぼみ、バケットまたは毛細管であっても、「真の」直径を有しない(例えば、それらが楕円形の開口部を有する)場合、それらが本明細書において論議されるそれぞれの直径に等しい等価水力直径(EHD)を有することを確実にするような大きさで作られるべきである。本明細書において用いられる場合、用語、等価水力直径は、次の式によって定義される。すなわち、EHD=4A/Pであり、ここで、Aは不規則なアパーチャの面積であり、Pは不規則なアパーチャの外周である。等化水力直径は、計算が行われている不規則なアパーチャに類似した流体の流れ特性を有する円形のアパーチャの直径である。本明細書に参考として援用される米国特許第4,324,246号を参照されたい。従って、本明細書において用いられる場合、用語「直径」は、見かけの直径またはEHDのいずれかをいう。
【0034】
毛細管は、それらが相当な量の急速に排出された流体を下にある吸収性コアに直接に送る動的状況において評価可能なほど機能を果たすことのないように、より小さい直径を有する。それどころか、毛細管は、適切な大きさで作られ、位置を決められると、フィルムを通って静的流体を除去し得る。毛細管は、意図された方法で機能を果たすために円筒形である必要はない。毛細管は、一定の形状または不定の形状のいずれかであり得る。しかしながら、毛細管は、毛管作用を示すように適切な表面化学的性質を有するような大きさで作られなければならない。375マイクロメートル未満の直径、より好ましくは250マイクロメートル未満の直径を有する毛細管が毛管作用を示すことが見出された。
【0035】
好ましい実施形態において、大きなアパーチャ構造(すなわち、ドレーン、くぼみおよびバケット)のうちの最小のものの直径と最大の毛細管の直径との比率は、好ましくは少なくとも約2であり、より好ましくは少なくとも約4である。これらの比率は、三次元フィルムが重力によって動的に堆積された流体を効果的に送り、毛管作用によってトップシートから静的流体を除去することを確実にする傾向がある。
【0036】
好ましくは、三次元フィルムは、約10パーセント未満のパーセント流出量を有しかつ先細ドレーンを通る増加した液体流量を有する有孔熱可塑性フィルムである。柔軟性のあるフィルムまたはシートに形成され得る任意の熱可塑性材料が、本発明の新規のフィルムの製作に用いられ得る。パーセント流出は、物品またはその構成要素部品が液体を獲得する能力を定量化する、吸収性物品のための周知の試験である。これは、流体流出試験によって測定され、該流体流出試験において、試験試料は、水平に対して斜めに保持され、流体は試料に当てられ、試料から流出する流体の量は獲得された流体の量と比較される。
【0037】
例示的熱可塑性材料は、ポリエステルと、ポリアミドと、ビニルポリマおよびコポリマ(例えば、酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニルなど)と、ポリメタクリル酸と、ポリ乳酸と、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)と、柔軟性あるフィルムまたはシートに形成され得るコポリマあるいはその混合物とを含む。特に好ましい有孔フィルムは、ポリエチレンおよびポリプロピレンである。1つの適切な材料は、約20マイクロメートル〜約50マイクロメートルの厚さを有するポリエチレンフィルムである。そのような材料から作られるシートまたはフィルムは、所望の物理的特性を達成するために当該分野において公知の添加剤を含み得る。
【0038】
三次元フィルムを形成するためにポリオレフィン樹脂などの疎水熱可塑性材料を用いるとき、フィルムは、フィルムをより親水性に働かせるように処理され得る。一実施形態において、移動する(migrating)かまたはブルーミングする界面活性剤が、混合物を押し出しフィルムを形成する前に、樹脂混合の中に組み入れられ得る。移動する界面活性剤は、フィルム表面により多くの極性成分をもたらすが、技術的には、フィルムをさらに極性にはせず、従って湿潤可能にはしない。フィルムからブルーミングする界面活性剤などの界面活性剤を除くと、フィルムの表面エネルギを増加させることによるのではなくウェッティングを達成し、むしろ液体の中に溶解し液体の表面張力を低下させてウェッティングを引き起こす。別の実施形態において、フィルムはそれが形成された後にコロナ処理に曝され得る。コロナ処理は、イオン種をフィルム表面に導入し、イオン種は、(少なくとも一時的に)表面に結合し、フィルムの表面エネルギを確かに増加させる。コロナ処理はまた、フィルム表面への界面活性剤の移動を増加させるエネルギをフィルムの中に導入する。そのような方法は、当該分野において公知であり、例えば、米国特許第4,535,020号および第4、456,570号によって教示され、これらの特許は、本明細書に参考として援用される。さらに別の実施形態において、フィルムは、着用者にトップシートの面する表面上の薄い親水性「スキン」層と、トップシートから最も遠い層における疎水性樹脂混合物とを含む多層フィルムであり得る。親水性スキン層は、非移動の界面活性剤を含み得るかまたは親水性ポリマーから構成され得る。
【0039】
本明細書において用いられる場合、用語「親水性」は、表面に堆積された水溶性流体(例えば、水溶性体液)によってウェット可能である表面をいうために用いられる。親水性およびウェット可能性は、典型的には、接触角度、ならびに関係する流体の表面張力および固体表面に関して定義される。流体が表面全体に自然に広がる傾向であるとき、表面は、水溶性流体(親水性)によってウェットされるといわれる。逆に、水溶性流体が表面全体に自然に広がる傾向ではない場合、表面は、「疎水性」であると考えられる。
【0040】
三次元有孔フィルムは、直接融解真空形成フィルム(direct melt vacuum formed film)(VFF)プロセスによって作られ得る。直接融解VFFプロセスの場合において、融解織布は、形成スクリーンの形成領域に押し出される。形成スクリーン全体に加えられる圧力差は、溶解織布を形成スクリーンの三次元形状に適合するようにし、セルを形成し、該セルは最終的にはその先端が破裂しアパーチャとなる。代わりに、米国特許第4,151,240号において教示されるように、織布が形成スクリーンの形成領域の上にある間、織布は再加熱され得、部分的に溶解され得る。溶解したポリマーは、形成スクリーンにおいてアパーチャの中に、より容易に引き込まれるので、溶解したポリマーは三次元アパーチャを形成するのに望ましい。本発明の三次元有孔フィルムはまた、ハイドロホームフィルム(HFF)プロセスによって形成され得る。HFFプロセスにおいて、水ジェットの形態の水圧は、形成スクリーンの形成領域を横切るので、固体の織布に衝突する。高圧水の力は、溶解織布を形成スクリーンの三次元形状に適合するようにし、セルを形成し、該セルは最終的にはその先端が破裂しアパーチャとなる。
【0041】
上記に本発明の好ましい実施形態の一部が説明され、具体的に例示されたが、本発明がそのような実施形態に限定されることは意図されない。以下の特許請求の範囲において述べられるように、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、様々な修正が本発明に対してなされ得る。
【符号の説明】
【0042】
10 吸収性物品
12 トップシート
14 バックシート
15 三次元フィルム
16 吸収性コア
18 着用者表面
20 衣服表面
22 連続表面
24 ドレーン
26 側壁
28 アパーチャ
30 突出部
32 頂部表面
33 毛細管
34 ドレーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)連続表面であって、該連続表面から生じる複数の大規模なアパーチャを有し、該大規模なアパーチャは、該連続表面上から生じ、該連続表面から外側に延びる側壁によって画定される、連続表面と、
b)該連続表面に概ね平行で、該連続表面から間隔を空けて配置される不連続表面であって、該不連続表面は、該不連続表面に大規模なアパーチャを有し、該大規模なアパーチャは、該不連続表面から生じ、該不連続表面から外側に延びる側壁によって画定される、不連続表面と
を備え、
c)該連続表面上の該大規模なアパーチャは、該不連続表面上の該大規模なアパーチャと同じ方向に向けられる、フィルム。
【請求項2】
前記大規模なアパーチャは、傷害流体が重力によって前記フィルムを通して獲得されることを可能にするような大きさで作られる、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記大規模なアパーチャは、400マイクロメートル〜1000マイクロメートルの直径を有する、請求項2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記連続表面および前記不連続表面のうちの少なくとも1つに小規模なアパーチャをさらに備えている、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記小規模なアパーチャは、流体が毛管作用によって前記フィルムを通して獲得されることを可能にするような大きさで作られる、請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
前記小規模なアパーチャは、375マイクロメートル未満の直径を有する、請求項4に記載のフィルム。
【請求項7】
前記小規模なアパーチャは、前記大規模なアパーチャの前記直径より少なくとも4倍小さい直径を有する、請求項4に記載のフィルム。
【請求項8】
前記連続表面における前記大規模なアパーチャは、該連続表面から垂れ下がる側壁と、該側壁の遠位端にあるアパーチャとによって画定されるドレーンである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
前記不連続表面における前記大規模なアパーチャは、該不連続表面から垂れ下がる側壁と、該側壁の遠位端にあるアパーチャとによって画定されるドレーンである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項10】
前記連続表面における前記大規模なアパーチャは、該連続表面から延びる側壁と、底部壁とによって画定されるくぼみであり、該底部壁は該底部壁に少なくとも1つの流体通路を有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項11】
前記連続表面における前記大規模なアパーチャは、該連続表面から延びる側壁と、底部壁とによって画定されるバケットであり、少なくとも1つの側壁は該側壁にアパーチャを有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項12】
前記連続表面から延びる複数の突出部をさらに備え、該突出部の各々は、集合的に該不連続表面を備えている頂部表面を有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項13】
前記突出部の前記頂部表面は、共通平面にある、請求項12に記載のフィルム。
【請求項14】
前記突出部は、前記連続表面の上に100マイクロメートル〜250マイクロメートル延びる、請求項12に記載のフィルム。
【請求項15】
上部表面と下部表面とを有する不織繊維のトップシートと、吸収性コアと、該トップシートと該吸収性コアとの間のフィルムとを備えている吸収性物品であって、該フィルムは、
a)連続表面であって、該連続表面から生じる複数の大規模なアパーチャを有し、該大規模なアパーチャは、該連続表面から生じ、該連続表面から外側に延びる側壁によって画定される、連続表面と、
b)該連続表面に概ね平行で、該連続表面から間隔を空けて配置される不連続表面であって、該不連続表面は、該不連続表面に大規模なアパーチャを有し、該大規模なアパーチャは、該不連続表面から生じ、該不連続表面から外側に延びる、不連続表面と
を備え、
c)該連続表面上の該大規模なアパーチャは、該不連続表面上の該大規模なアパーチャと同じ方向に向けられる、吸収性物品。
【請求項16】
前記連続表面から延びる複数の突出部をさらに備え、該突出部の各々は、集合的に前記不連続表面を備えている頂部表面を有する、請求項15に記載の吸収性物品。
【請求項17】
前記連続表面および不連続表面のうちの少なくとも1つに小規模なアパーチャをさらに備えている、請求項15に記載の吸収性物品。
【請求項18】
前記小規模なアパーチャは、前記大規模なアパーチャの前記直径より少なくとも4倍小さい直径を有する、請求項17に記載の吸収性物品。
【請求項19】
前記大規模なアパーチャは、400マイクロメートル〜1000マイクロメートルの直径を有する、請求項15に記載の吸収性物品。
【請求項20】
前記不連続表面は、前記トップシートに接触している、請求項15に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−31030(P2011−31030A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156260(P2010−156260)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(507274744)トレデガー フィルム プロダクツ コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】