説明

動的コンテンツ提示システム及びそのプログラム

【課題】 検索エンジンからデータベースに記述された情報に含まれる単語を検索した結果、動的コンテンツのURLが検索結果として提示される。
【解決手段】 サーバ装置2は、コンテンツ記述保存部4に保存されたドキュメントに記述されたコンテンツを配信するコンテンツ配信手段5と、ドキュメントに記述されたスクリプトに応じ、コンテンツ中で動的に提示する情報を保存する動的提示情報保存部6と、この情報を更新する動的提示情報更新手段7と、配信手段5から提供されるコンテンツ上で動的コンテンツを提示するコンテンツ動的処理手段8と、保存部7の記述内容をドキュメントに埋め込むコンテンツ記述ドキュメント編集手段9と、ドキュメントへの最終情報埋め込み時刻を管理するコンテンツ記述タイムスタンプ管理部10を有する。クライアント装置3は、配信手段5にアクセスし、動的コンテンツをユーザに提供する動的コンテンツ提示手段11を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットなどの各種ネットワーク上での利用を想定した、データベースと連携した動的なコンテンツ提示システム及びその処理をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットをはじめとする各種ネットワークにおいて、データベースと連携し、利用者の閲覧タイミングや操作に伴い、表示するコンテンツを動的に更新し、ユーザに提示するシステムが提案されている。(このようなコンテンツを、以下、動的コンテンツとする。)
例えば、特許文献1で提案されているシステムでは、システムが配信する映像を時間的な区切りで表現される場面にわけ、場面ごとに視聴者がテキストでコメントをシステム上のデータベースに登録することができる。映像を提示するWebページでは、映像を再生するプレーヤが用意され、映像の再生と同期して、データベースから再生中のシーンに関連付けて登録されたコメントを抽出して提示する。
【特許文献1】特開2003−76699
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のシステムでは、検索エンジンへの対応を考慮していないため、データベース上の情報に含まれる単語から動的コンテンツを提示するURLを検索できないという問題がある。
【0004】
すなわち、一般的なロボット型検索エンジンは、図14に示すように、ネットワーク上から、URLが与えられたWebページを構成するHTMLなどのドキュメントを収集するクローリングという作業と、収集したドキュメントから、形態素解析などを用いて単語を抽出し、抽出した単語とドキュメントから構成されるWebページのURLを対応付けたインデックスと呼ばれるデータベースを作成する、インデクシングという作業とを行う。このインデックスから、図15に示すように、ユーザの入力した単語の検索式に対して対応するURLを抽出し、提示することで検索機能を実現している。
【0005】
ところが、特許文献1の例においては、映像に対して場面ごとにコメントが登録されるが、映像を提示するWebページを記述したドキュメントには、スクリプト等でデータベースから情報を呼び出すための記述がなされており、コメントの内容が直接記述されているわけではないため、コメントの内容に含まれる単語と、WebページのURLが対応付けられたインデックスが作成されることはない。このため、検索エンジンで、コメントの内容に含まれる単語を検索したとしても、映像を提示するWebページが検索結果として提示されることはない。
【0006】
そこで、本発明は、データベースと連携した動的コンテンツを提示するシステムにおいて、検索エンジンからデータベースに記述された情報に含まれる単語を検索した結果、動的コンテンツのURLが検索結果として提示されるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、データベースと連携し、動的コンテンツをユーザに提示するシステムにおいて、特許文献1のコメントのようにデータベースに登録されている情報を、動的コンテンツを記述するドキュメント内に直接埋め込むことで、検索エンジンなどによるインデクシングを可能とし、上記課題を解決している。
<動的コンテンツ提示システム>
請求項1記載の発明は、動的コンテンツ提示システムに関し、ネットワーク上に存在する映像や音声のメディアファイルの再生と同期して提示される動的提示情報を格納する動的提示情報保存部と、動的提示情報を更新するための動的提示情報更新手段と、動的提示情報をメディアファイルの再生と同期して提示する、動的コンテンツを記述するコンテンツ記述を格納するコンテンツ記述保存部と、コンテンツ記述の更新時刻を管理するコンテンツ記述タイムスタンプ管理部と、コンテンツ記述を解釈して、メディアファイルと動的提示情報の同期提示を行うコンテンツ動的処理手段と、ネットワーク上へ動的コンテンツの配信を行うコンテンツ配信手段と、ネットワークを介してコンテンツ配信手段から動的コンテンツを取得して表示する動的コンテンツ提示手段と、コンテンツ記述の更新時刻以降に更新された、動的コンテンツで提示する動的提示情報をコンテンツ記述内に記述するコンテンツ記述ドキュメント編集手段と、を有することを特徴としている。
【0008】
このシステムの他の態様としては、請求項2記載の関連情報一次記憶部を設けたものが挙げられる。この発明は、請求項1記載の動的コンテンツ提示システムであって、コンテンツ記述に記述されていない動的提示情報を一時的に保存する関連情報一次記憶部をさらに有し、関連情報一次記憶部と動的提示情報保存部のそれぞれに保存された動的提示情報をメディアファイルと同期して提示することを特徴としている。
<プログラム>
請求項3記載の発明は、動的コンテンツ提示プログラムに関し、ネットワーク上に存在する動画や音声のメディアファイルの再生と同期して動的提示情報を提示するためにコンピュータを、動的提示情報を格納する動的提示情報保存部と、
動的提示情報を更新するための動的提示情報更新手段と、動的提示情報をメディアファイルの再生と同期して提示する、動的コンテンツを記述するコンテンツ記述を格納するコンテンツ記述保存部と、コンテンツ記述の更新時刻を管理するコンテンツ記述タイムスタンプ管理部と、コンテンツ記述を解釈して、メディアファイルと動的提示情報の同期提示を行うコンテンツ動的処理手段と、ネットワーク上へ動的コンテンツの配信を行うコンテンツ配信手段と、ネットワークを介してコンテンツ配信手段から動的コンテンツを取得して表示する動的コンテンツ提示手段と、コンテンツ記述の更新時刻以降に更新された、動的コンテンツで提示する動的提示情報をコンテンツ記述内に記述するコンテンツ記述ドキュメント編集手段と、して機能させることを特徴としている。
【0009】
このプログラムの他の態様としては、さらに請求項4記載の関連情報一時記憶部として機能させるものが挙げられる。この発明は、請求項3記載の動的コンテンツ提示プログラムであって、コンピュータを、さらにコンテンツ記述に記述されていない動的提示情報を一時的に保存する関連情報一次記憶部として機能させ、この関連情報一次記憶部と動的提示情報保存部のそれぞれに保存された動的提示情報をメディアファイルと同期して提示することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1〜4記載の発明によれば、動的コンテンツを記述するドキュメント内に直接埋め込むため、検索エンジンなどによるインデクシングなどが可能となり、検索の対象となる単語が増え、ユーザからのアクセス増が期待できる。
【0011】
特に、請求項2.4記載の発明によれば、動的コンテンツの再生時に、ドキュメントに埋め込まれていない情報のみをデータベースから読み出し、動的コンテンツの再生時に利用される。
【0012】
したがって、埋め込み処理以降に更新されたデータベース上の情報も動的コンテンツの再生に反映され、最新の情報を動的コンテンツで利用することができるようになる。また、コンテンツ記述ドキュメントに含まれない情報のみ取得すればよいので、ネットワーク資源の効率化にもつながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<第1の実施例>
本発明の第1実施例では、通常、データベースで管理される情報の動的コンテンツ記述ドキュメントへの埋め込みについて述べる。
【0014】
図1は、本発明の第1実施例に係るシステム構成を示している。本システムはインターネットなどのネットワーク1を介して接続される、サーバ装置2とクライアント装置3とからなる。
【0015】
サーバ装置2は、コンテンツの内容を記述したドキュメントを管理するコンテンツ記述保存部4と、同保存部4に保存されたドキュメントによって記述されたコンテンツをネットワーク上に配信するためのコンテンツ配信手段5と、ドキュメントに記述されたスクリプトからの呼び出しに応じ、コンテンツ中で動的に提示するための情報を保存する動的提示情報保存部6と、同保存部6で管理する情報を更新する動的提示情報更新手段7と、前記スクリプトを処理し、コンテンツ配信手段5からユーザに提供されるコンテンツ上で動的コンテンツの提示を可能にするコンテンツ動的処理手段8と、動的提示情報保存部6に記述された内容をコンテンツ記述保存部4に保存されたドキュメントに埋め込む処理を行うコンテンツ記述ドキュメント編集手段9と、ドキュメントへの最終の情報埋め込み時刻(タイムスタンプ)を管理するコンテンツ記述タイムスタンプ管理部10とを有する。
【0016】
一方、クライアント装置3は、サーバ装置2のコンテンツ配信手段5にアクセスし、ドキュメントを解釈して、動的コンテンツをユーザに提供する動的コンテンツ提示手段11を有する。
【0017】
以下、動的コンテンツ提供システムとして、映像をユーザに対して配信し、ある再生時刻に対するコメント情報の受付を行い、映像の再生に同期してコメント情報を提示するシステムを例に動作を説明する。
【0018】
本実施形態では、サーバ装置2のコンテンツ記述保存部4とコンテンツ配信手段5として一般的なWebサーバを、動的提示情報保存部6として一般的なデータベースサーバを、スクリプトとしてJava(登録商標)Scriptを、コンテンツ動的処理手段8としてJavaScriptを処理できる一般的なアプリケーションサーバを想定し、クライアント装置3の動的コンテンツ提示手段11としては映像再生プレーヤをプラグインとして使用可能で、かつ、JavaScriptの処理が可能な一般のウェブブラウザを想定する。なお、VBスクリプトやその他ページ上で動作可能なスクリプト支援を用いてもよい。
【0019】
図2は前記システムによりユーザに提供される動的コンテンツ提示インタフェースのイメージを示している。ユーザは一般のWebブラウザ上でWebサーバから[http://test.jp/contents1.htm]というURLで配信されているコンテンツを閲覧している。画面左上に提供されている映像プレーヤには、一般的な再生、一時停止機能、映像を走査するスライダ、再生時刻の表示機能が提供されており、現再生時刻として00:20:21が表示されている。
【0020】
図3は本実施例における動的提示情報保存部6のデータベースにおけるコメント管理の一例を示している。この例ではテーブル上でコメントごとにユニークなIDを割り当て、それぞれのコメントごとにコメント対象のコンテンツを特定するため、コンテンツ記述ドキュメントが配置されているコンテンツURLを登録するドキュメント、コメントを登録したコンテンツの再生時刻であるコメント対象時刻、コメントの登録者、コメントの登録時刻、コメント内容を管理している。この管理する情報は目的に応じて適宜変更しても良い。
【0021】
図4はコンテンツ記述タイムスタンプ管理部10におけるドキュメント更新タイムスタンプ管理の一例を示している。この例では、コンテンツ記述ドキュメントを特定するコンテンツ提供URLと、そのドキュメントに対するコメント情報埋め込み処理のタイムスタンプを管理している。ここで管理する情報は目的に応じて適宜変更しても良い。
【0022】
図5は本実施例におけるコメント登録時のデータベース更新のフローチャートを示している。以下、本フローチャートについて説明する。
【0023】
S51:コメントの登録を監視する。例えば、本実施例の図2で表されるコンテンツ提示インタフェースには、コンテンツの再生時刻に対するコメント登録フォームが用意されている。このフォームに必要な情報を記入し、コメント登録ボタンを押下することで、コンテンツの再生時刻のシーンに対してコメントを登録することができる。このようにコメント登録ボタンの押下をもって、以降の処理がスタートする。なお、コメントの登録者、内容などが含まれていない場合に以降の処理に進まず、エラーを返すなどの例外処理を行ってもよい。
【0024】
S52:動的提示情報保存部6のデータベースにコメントを登録するにあたり、ユニークなIDを生成する。この例では、登録順に昇順で整数を割り当てているが、詳細なコメント登録時刻で代用するなど、コメントが特定できるものであればどのようなIDを与えてもかまわない。
【0025】
S53:動的提示情報保存部6のデータベースにコメントを登録する情報を取得する。本実施例では、コメント対象のコンテンツを特定するコンテンツURLと、コメント対象時刻としてプレーヤ上での再生時刻、ユーザがフォームに入力した登録者情報とコメント内容、コメント登録時刻の各情報を取得する。
【0026】
S54:ここでは、S52で生成したコメントIDに関連付けて、S53で取得した各情報をデータベースに登録する。例えば、コメントID、ドキュメント(コンテンツURL)、コメント対象時刻、登録者、コメント登録時刻、コメント内容として、[4、http://test.jp/contents2.htm、0:05:22、コメンテータ3、2006−05−21−00:50:01、コメント登録例4]のような形で情報が登録される。
【0027】
S55,S56:コンテンツ記述タイムスタンプ管理部10のデータベースにおいて、コメントが登録された対象となるドキュメントに対するタイムスタンプの管理がなされているかを確認し、もし該当コンテンツが登録されていないようであればデータベースにドキュメントを特定する情報としてコンテンツのURLを登録し、そのタイムスタンプとしてその時点での時刻を登録し、その後、S51のコメント登録の監視に戻り、同処理を繰り返す。なお、コンテンツ自体の公開開始時にコンテンツ記述タイムスタンプ管理部10のデータベースに必要な情報を登録する形をとって、S55,S56を省略しても良い。
【0028】
さて、図6は従来技術における動的コンテンツを記述したhtmlドキュメントの一例を示している。同ドキュメントでは、ヘッダーに再生するコンテンツのURLを引数とし、引数となるコンテンツを再生する映像プレーヤの埋め込みと、例えば図5のフローチャートで説明したような方法で再生時刻に同期したコメントをデータベースに登録するコメント登録フォームと、再生時刻に同期して、登録されたコメントをデータベースから取得して提示する[JavaScript]関数、[comment_video]が記述されており、bodyで[http://test.jp/contents1.mpg]を引数に[comment_video]を呼び出している。
【0029】
この記述により、例えば、図2の動的コンテンツ提示インタフェースイメージのような画面が提供される。画面右上には再生時刻に対応付けてコメントを入力するフォームが用意され、例えば図2の状態でコメントを登録すると、00:20:21という現再生時刻と対応付けて、図5のフローのような手順で、データベースにコメントが登録される。また、画面下部には、再生時刻に対するコメントが表示される。この図では現再生時刻である00:20:21に対応付けて登録された、「00:20:21:(コメンテータ1)20分21秒時点でのコメント登録例」というコメントが表示されている。この部分には、映像プレーヤの映像の再生やユーザによる映像走査にともない変化する現再生時刻と同期して、JavaScriptによりデータベースから取得されたその時刻に対応付けられたコメントが表示される。
【0030】
ここまでの説明にある従来手法では、データベース上で管理される情報、例えば図2の画面上でコメントとして登録されている「20分21秒時点でのコメント登録例」というテキスト情報は、URL[http://test.jp/contents1.htm]に置かれている図6であらわされるドキュメント内には記述されていない。そのため、検索エンジンで「コメント登録例」のような単語から検索を行っても、[http://test.jp/contents1.htm]がインデクシングされることがないため、同動的コンテンツを提示するURLでもある[http://test.jp/contents1.htm]が検索結果として提示されることはない。
【0031】
本発明では、通常データベース上でのみ管理されているこのような情報を、コンテンツを記述するドキュメントに埋め込むことで、データベース上の情報に含まれる単語を検索エンジンのインデクシング候補とし、課題を解決している。
【0032】
図7は本実施例におけるコンテンツ記述ドキュメント更新のフローチャートを示している。以下、本シーケンスチャートを用いて具体的な動作を説明する。
【0033】
S71:コンテンツ記述タイムスタンプ管理部10のデータベース上の、各ドキュメントに対するタイムスタンプと、動的提示情報保存部6のデータベース上の、同ドキュメントで記述されるコンテンツに対するコメントのデータの登録時刻とを比較し、ドキュメント更新タイムスタンプ以降に登録されたコメント情報の有無を確認する。この確認のタイミングは、例えば、新しいコメントが登録されることをトリガとしても良いし、直接データベースの更新を監視したり、定期的にデータベースの内容をチェックする形をとっても良い。ここでは一例として定期的にデータベースの内容を確認する手段をとり、あるタイミングで図3に記載のようなコメント情報が登録されており、コンテンツ記述ドキュメントのタイムスタンプは図4のような状態であったものとする。ここで、ドキュメント「http://test.jp/contents1.htm」のタイムスタンプは「2006−05−20−11:00:00」であり、同ドキュメントで記述されるコンテンツに対するコメント情報は、コメントID1,2,3で特定できるコメントであるが、このタイムスタンプより新しいコメント登録時刻を持つコメントであるコメントID2,3が存在している。また、ドキュメント、「http://test.jp/contents2.htm」についても、同様にコメントID4で特定されるコメントが、ドキュメントのタイムスタンプより新しいコメント登録時刻を持っている。
【0034】
S72:ドキュメントのタイムスタンプより新しいコメント登録時刻が存在するコンテンツ記述ドキュメントを全て抽出する。すなわち、今回の例では「http://test.jp/contents1.htm」「http://test.jp/contents2.htm」が抽出される。
【0035】
S73:抽出したドキュメントのうち、タイムスタンプより新しいコメント登録時刻が存在するものを一つ選択する。例えば、まず「http://test.jp/contents1.htm」が選択されたものとする。
【0036】
S74:ここでは、選択したドキュメントに関する更新データのうち、タイムスタンプより新しい登録時刻を持つコメント情報をドキュメントに対して埋め込みを行う。例えば、まずS73で選択された「http://test.jp/contents1.htm」について、コメントID2,3で表されるコメント情報が埋め込まれる。例えば、図8はS71以前の段階での[http://test.jp/contents1.htm]の記述である。この段階では、すでにコメントID1で表されるコメントの情報が、<div>タグで囲まれた形で追加されている。この際、IDとして[comment1(ここでcommentの後についている1はコメントIDから取得し、IDを生成している)]が与えられている。S74では、このドキュメントに対して、さらに、コメントID2,3で特定される情報が、<div>タグで囲まれた形で追加され、図9で示されるような記述に更新される。
【0037】
このようにコメント情報をdivタグで囲んだ形で記載し、JavaScriptから再生中のシーンに対応するコメントの記載されたdivタグ内の情報のみを表示する操作を行うことで、コメントの同期表示を行うことができる。
【0038】
今回の例では、データベースに記載の内容をdivタグで囲む形で記述する例を挙げたが、コメントの同期表示はデータベース内の情報を使い、コメントアウトや<meta>タグを使って情報を埋め込む方法など、コメントの内容をドキュメントに埋め込むことができればどのような形で記述されてもかまわない。
【0039】
また、今回はコメント内容のみを埋め込む例を挙げたが、本事例における登録者情報など、そのドキュメントで取り扱うデータであればどのようなカラムの情報を埋め込んでも良い。
【0040】
さらに、今回の例はコメント登録を例に、情報の追加について述べているが、例えばコンテンツの再生に同期してテロップを表示するシステムなどを想定して、データベース上の内容変更時にドキュメントから旧情報を削除し、変更された情報を記載したり、データ削除時に、ドキュメントから情報を削除するケースも考えられる。
【0041】
ここで図16及び図17に示すように、検索エンジンが図9で記述したhtmlドキュメントをクローリングした場合、内容について形態素解析などを行い、単語を抽出し、単語ごとにURLを関連付けたインデックスを作成する。この結果、例えばコメントID2で特定できるコメントに記述された内容、「コメント登録例2」から抽出される各単語について、ドキュメントのURL[http://test.jp/contents1.htm]を関連付けた図10のようなインデックスが作成され、「コメント」「登録例」などの単語からの検索で[http://test.jp/contents1.htm]がヒットするようになる。当然、コメントID1,3で特定できるコメントに含まれる単語からもインデックスは生成される。
【0042】
S75:選択ドキュメントのタイムスタンプをその時点での時刻情報に更新する。例えば、S74における「http://test.jp/contents1.htm」に対する処理の終了時刻が「2006−06−10−12:00:00」であったとするならば、図4のようであったタイムスタンプの管理情報のうち、「http://test.jp/contents1.htm」のタイムスタンプは「2006−05−20−11:00:00」から「2006−06−10−12:00:00」に更新される。
【0043】
S76:S72で抽出したドキュメント全てについて、S73〜S75の処理を繰り返すための判定を行う。今回の例では、「http://test.jp/contents2.htm」に対して前述の「http://test.jp/contents1.htm」と同様の処理を行いS71に戻る。
【0044】
なお、今回の例ではシステム全体のドキュメントについて一度に処理を行っているが、コンテンツ毎に独立して別個のタイミングで同様の処理を行っても良い。
【0045】
このようにして、ドキュメントへのコメント内容の埋め込みと、ドキュメントのタイムスタンプの更新を行うことができる。この結果、データベース内の情報の更新を検知するたびに、同情報に関連するコンテンツを記述するドキュメントにデータベース上の更新された情報を埋め込む処理を行い、動的コンテンツ再生時にはデータベースではなく、この埋め込んだドキュメント上の情報を参照する。
【0046】
これにより、コンテンツを記述し、ユーザからアクセス可能なURLに配置されるHTMLなどのドキュメントが、通常直接記入されることのないデータベース上に記載されている情報に含まれる単語から検索エンジンでヒットするようになる。
<第2の実施例>
本発明の第2実施例では、動的コンテンツにおける情報提示方法について述べる。
【0047】
第1の実施例では動的コンテンツの提示の手法の例として、ドキュメントに埋め込んだ情報を参照せず、従来どおり、データベース上の情報を利用する方法と、コンテンツを記述したhtmlに埋め込まれた関連情報のみを用いた処理を紹介した。前者については、見かけ上表示に関係のないキーワードをドキュメントに埋め込む形となり、検索エンジンの禁則事項と判定され、インデックス作成時に参照されない可能性が残る。
【0048】
また、後者の方法では新たに登録されたコメントなどの関連情報が動的コンテンツに反映されるまでに、ドキュメントへの埋め込み処理の終了を待つ必要がある。コメント登録の都度、埋め込み処理を行う形であれば問題はないが、大量のコンテンツを処理する場合など、サーバの負荷の低い時間に定期的に時間を決めて埋め込み処理を行ったほうが、都合が良い場合などではリアルタイムに関連情報を提示することができなくなる。
【0049】
そこで、第2実施例では、ドキュメントに埋め込みが行われた関連情報についてはドキュメント内の情報を、埋め込み未処理分の関連情報についてはデータベース内の関連情報を取得して情報を提示することでこの問題を解決する。
【0050】
図11は第2実施例に係るシステム構成を示している。ここではクライアント装置3にドキュメントへの埋め込み未処理分の関連情報を一時的に記憶する関連情報一次記憶部12が追加されている以外は第1の実施例におけるシステム構成と同様である。
【0051】
図12は第2の実施例における動的コンテンツ提示のシーケンスチャートを示している。以下、実施例1と同様の例について、図2のシーケンスチャートを用いて具体的な動作を説明する
S121,S122:システムはクライアントからの動的コンテンツ再生要求を検知すると、コンテンツの再生を開始する。なお、動的コンテンツ再生要求は、単にコンテンツへの接続時に限定する必要はなく、コメント登録後にリロード時を行わせたり、定期的にリロード処理を行うなどの処理を行って、リロード処理時にコンテンツ再生終了要求→コンテンツ再生要求を行っているものとみなしても良い。
【0052】
S123:ドキュメント更新タイムスタンプ管理データベースを参照し、要求のあったコンテンツ記述ドキュメントの更新タイムスタンプを取得する。
【0053】
例えば、ドキュメントのタイムスタンプが図4で表されるような状態のときに、「http://test.jp/contents1.htm」に表示要求があったとすると、タイムスタンプ情報として「2006−05−20−11:00:00」が取得される。
【0054】
124,125:動的提示情報保存部データベースの要求があったコンテンツと関連付けられているデータのうちタイムスタンプ情報が前出のドキュメント更新タイムスタンプより新しいものが存在するかどうかを確認し、新しいものがあればクライアント装置3の関連情報一次記憶部12に登録する。例えば、コメントの管理状況が図3のような状態であれば、S121で取得したタイムスタンプより新しいコメント登録時刻をもつコメントID2,3で表されるデータが登録され、例えば図13のような情報が登録される。この例ではテキストで、カンマ区切りの記述方法を用いているが、一時的に情報が記憶できれば、簡易なDB(データベース)を用意するなど、どのような方法を用いてもかまわない。なお、S123〜S125の処理は、今回の例ではフロー上ループに入っているが、毎回この処理を行う必要はなく、初回以降は、ドキュメントの更新を検知したときのみ処理を行ったり、一定期間ごとに処理を行うなどの形をとっても良い。
【0055】
S126〜129:コンテンツの再生時刻と同期して、すでにコンテンツ記述ドキュメントに埋め込まれているコメント情報はドキュメントから、そうでないものはS124で関連情報一次記憶部12に登録したコメント情報を利用者に対して提示する。この時点での「http://test.jp/contents1.htm」の状態が図8のような状態であるとする。例えば再生時刻が「0:20:21」のタイミングでは、図8で表されるドキュメントに埋め込まれたcomment1から「20分21秒時点でのコメント登録例」というコメントが、「0:20:22」のタイミングでは関連情報一次記憶部12から、コメントID2で特定されるコメント、「コメント登録例2」がコンテンツの再生に同期して提示される。なお、今回の例では再生時刻と登録時刻が一致するコメントを表示する例を挙げたが、再生時刻の前後数秒に含まれる登録時刻のコメントを提示したり、あらかじめ、再生時間の範囲で表されるシーン情報を記述する手段を用意して、再生時刻が含まれるシーン情報の範囲内に含まれる登録時刻のコメントを再生するなどの方法を用いても良い。
【0056】
S1210:コンテンツ再生終了要求がなければ上記のS123〜S129までの処理を繰り返す。
【0057】
S1211:コンテンツ再生終了要求を受けて、関連情報一次記憶部12の情報を消去し、処理を終了する。
【0058】
このように本実施例によれば、コメント登録などのリアルタイム性が要求される関連情報に対してもSEO対策を意識したドキュメントへの関連情報の埋め込みを行うことができるようになる。
【0059】
そして、動的コンテンツの再生時に、ドキュメントに埋め込まれていない情報のみをデータベースから読み出し、動的コンテンツの再生時に利用することで、前述の埋め込み処理以降に更新されたデータベース上の情報も動的コンテンツの再生に反映され、最新の情報を動的コンテンツで利用することができるようになる。
【0060】
また、従来の方法では動的コンテンツの再生時に、情報を更新する都度、データベースからコンテンツに関わる全ての情報を取得する必要があったが、本実施例ではドキュメントに含まれない情報のみ取得すればよいので、従来に比してドキュメントに埋め込まれた情報の分、データベースから取得する情報量を減らすことができ、ネットワーク資源利用の効率化にもつながる。
【0061】
なお、本発明は、図5,図7,図12で述べた各処理をコンピュータに処理させるためのプログラムとして構築して、プログラムコードを記憶させた記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムなどのCPU(MPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても実現することができる。
【0062】
この場合には、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した各実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコードは、例えばCD−ROM,DVD−ROM,CD−R,CD−RW,MO,HDDなどに記憶される。
【0063】
また、コンテンツ記述保存部4,動的提示情報保存部6,関連情報一次記憶部12のそれぞれのデータは、例えばハードディスクやメモリなどに格納して使用するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1の実施例に係るシステム構成図。
【図2】同 動的コンテンツ提示インターフェイスのイメージ図。
【図3】同 動的提示情報保存部のデータベースのコメント管理例を示す図
【図4】同 コンテンツ記述タイムスタンプ管理部におけるドキュメント更新タイムスタンプ管理例を示す図。
【図5】同 コメント登録時のデータベース更新のフローチャート。
【図6】同 動的コンテンツ記述ドキュメント例を示す図。
【図7】同 コンテンツ記述ドキュメント更新のフローチャート。
【図8】同 ドキュメント更新前のコンテンツ記述ドキュメント例を示す図。
【図9】同 ドキュメント更新後のコンテンツ記述ドキュメント例を示す図。
【図10】図9のドキュメントをクローリングした検索エンジンで作成されるインデックス例を示す図。
【図11】第2の実施例に係るシステム構成図。
【図12】同 動的コンテンツ提示のフローチャート。
【図13】同 関連情報一次記憶部の情報登録例を示す図。
【図14】ロボット型検索エンジンの動作図1
【図15】同 動作図2
【図16】同 動作図3
【図17】同 動作図4
【符号の説明】
【0065】
1…ネットワーク
4…コンテンツ記述保存部
5…コンテンツ配信手段
6…動的提示情報保存部
7…動的提示情報更新手段
8…コンテンツ動的処理手段
9…コンテンツ記述ドキュメント編集手段
10…コンテンツ記述タイムスタンプ管理部
11…動的コンテンツ提示手段
12…関連情報一次記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上に存在する映像や音声のメディアファイルの再生と同期して提示される動的提示情報を格納する動的提示情報保存部と、
動的提示情報を更新するための動的提示情報更新手段と、
動的提示情報をメディアファイルの再生と同期して提示する、動的コンテンツを記述するコンテンツ記述を格納するコンテンツ記述保存部と、
コンテンツ記述の更新時刻を管理するコンテンツ記述タイムスタンプ管理部と、
コンテンツ記述を解釈して、メディアファイルと動的提示情報の同期提示を行うコンテンツ動的処理手段と、
ネットワーク上へ動的コンテンツの配信を行うコンテンツ配信手段と、
ネットワークを介してコンテンツ配信手段から動的コンテンツを取得して表示する動的コンテンツ提示手段と、
コンテンツ記述の更新時刻以降に更新された、動的コンテンツで提示する動的提示情報をコンテンツ記述内に記述するコンテンツ記述ドキュメント編集手段と、
を有することを特徴とする動的コンテンツ提示システム。
【請求項2】
請求項1記載の動的コンテンツ提示システムであって、
コンテンツ記述に記述されていない動的提示情報を一時的に保存する関連情報一次記憶部をさらに有し、
関連情報一次記憶部と動的提示情報保存部のそれぞれに保存された動的提示情報をメディアファイルと同期して提示することを特徴とする動的コンテンツ提示システム。
【請求項3】
ネットワーク上に存在する動画や音声のメディアファイルの再生と同期して動的提示情報を提示するためにコンピュータを、
動的提示情報を格納する動的提示情報保存部と、
動的提示情報を更新するための動的提示情報更新手段と、
動的提示情報をメディアファイルの再生と同期して提示する、動的コンテンツを記述するコンテンツ記述を格納するコンテンツ記述保存部と、
コンテンツ記述の更新時刻を管理するコンテンツ記述タイムスタンプ管理部と、
コンテンツ記述を解釈して、メディアファイルと動的提示情報の同期提示を行うコンテンツ動的処理手段と、
ネットワーク上へ動的コンテンツの配信を行うコンテンツ配信手段と、
ネットワークを介してコンテンツ配信手段から動的コンテンツを取得して表示する動的コンテンツ提示手段と、
コンテンツ記述の更新時刻以降に更新された、動的コンテンツで提示する動的提示情報をコンテンツ記述内に記述するコンテンツ記述ドキュメント編集手段と、
して機能させることを特徴とする動的コンテンツ提示プログラム。
【請求項4】
請求項3記載の動的コンテンツ提示プログラムであって、
コンピュータを、さらにコンテンツ記述に記述されていない動的提示情報を一時的に保存する関連情報一次記憶部として機能させ、
この関連情報一次記憶部と動的提示情報保存部のそれぞれに保存された動的提示情報をメディアファイルと同期して提示することを特徴とする動的コンテンツ提示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−71048(P2008−71048A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248089(P2006−248089)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】