説明

動的スペクトルマネージャー(DSM)のためのサイレント期間の調整

ネットワークの非同期サイレント期間を調整するために動的スペクトルマネージャー(DSM)で使用する方法であって、ネットワークの一次利用者を検出するステップと、ネットワークの1つまたは複数のコグニティブ無線(CR)ノードにサイレント期間開始制御メッセージを送信するステップであって、そのメッセージは、サイレント期間の開始と持続時間とを示し、スペクトルセンシングを開始するステップと、ネットワークにおいて、1つまたは複数のCRノードからスペクトルセンシングの結果を示す測定報告制御メッセージを受信するステップと、1つまたは複数のCRノードにメッセージを送信するステップであって、そのメッセージは、スペクトルセンシング結果に基づいて1つまたは複数のCRノードに別の周波数に移動するように指示するステップとを具えたことを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、参照により本明細書にその内容が組み込まれた、2009年11月16日出願の米国特許仮出願第61/261,688号明細書、2009年12月9日出願の米国特許仮出願第61/267,914号明細書、2010年9月24日出願の米国特許仮出願第61/386,224号明細書の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
新興のネットワーク技術にますます高い帯域効率が求められていることと、現在認可されている帯域幅の使用状況が非効率的であるという事実により、コグニティブ無線(cognitive radios:CR)の技術が開発されてきた。CR対応装置は、スペクトルセンシング動作を実行して特定の瞬間に使用可能なスペクトルを探し出し、その使用可能なスペクトルがその一次利用者によって占有されていない可能性のある時点でその使用可能なスペクトルを使用することにより、CR対応装置以外の装置に対して認可された帯域で通信することができる。CRネットワークが現行で認可されている技術と確実に共存できるようにするために、CR装置は、ある帯域への一次利用者の到達を感知し、かつ、その一次利用者に対する干渉を起こさずに別の使用可能な帯域に移動するために高度な敏捷性(一次利用者の存在を迅速に検出し、一次利用者の到達に反応する機能)を必要とする。
【0003】
深刻なフェージング環境にあるCRノードに対するスペクトルセンシングアルゴリズムの感度要件を低減するために協調スペクトルセンシングが使用される。従来から最も多く適用されている協調スペクトルセンシングの形態では、CRノードの集合が同時にスペクトルセンシングを実行し、個々の結果を中央ノードに送信してそのスペクトルの使用可能性を判定することができる。そのためには、利用者間でスペクトルセンシングを調整し交換する方法が必要となる。
【0004】
スペクトルセンシングアルゴリズムの最も簡易な形態は、エネルギー検出のカテゴリーであろう。このカテゴリーのアルゴリズムは、対象となる特定の帯域で検出されたエネルギーを測定することにより一次利用者の有無を検出する。このような簡易性により、この形態のスペクトルセンシングは、CRの適用例にとって非常に魅力的なものになっている。例えば、地域無線ネットワーク(WRAN)に関するIEEE802.22規格は、採択されたスペクトルセンシング技術の1つであるテレビスペクトルのホワイトスペースを使用したエネルギー検出を行う。CR装置のためにエネルギー検出を使用することの主な課題は、スペクトルセンシングを実行する際に一次利用者の伝送と別のCR装置の伝送とを区別することである。さらに、コスト面での理由から、CR装置は受信機を1つしか含むことができず、また、通常の送信(TX)受信(RX)動作と同時にスペクトルセンシングを実行可能とするようにはなされえない。その結果生じる、多数のCR装置が1つのアドホックネットワークまたはCRネットワークを構成し、共存することのできるシナリオでは、近隣で他のCRノードが送信を行っていない時点で確実にスペクトルセンシングが実行されるように、それらのノードの個々に対してそれぞれのスペクトルセンシング期間が同時に調整される必要がある。このことから、スペクトルセンシングのいわゆるサイレント期間が生じる。
【0005】
許容するチャネルセットに対して測定を実行する必要性から、無線アクセスポイント(AP)に対してネットワークのサイレント測定期間(silent measurement period)の使用が試された。この試行は、他の一次利用者が異なる無線技術を使用している環境下でスペクトルセンシングの実行を試みるCRネットワークの必要性には対応しない。例えば、APによって要求されるサイレント測定期間(SMP)は通信媒体が使用可能となる時点でのみ開始されるが、このことはCR装置の敏捷性の要件には対応しえない。CR装置は、一次利用者に対する干渉を全く引き起こさないように、限られた遅延内で未使用帯域にスイッチすることにより、その一次利用者の到達に反応することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、IEEE802.22ドラフト規格は2秒の退避時間を要求する。これは、二次利用者が現在使用している帯域に、その帯域の使用が許可された一次利用者が到達した後で二次利用者がその帯域を去るために要求される時間である。通常、周期的スペクトルセンシング期間とは、要求される退避時間を達成できるように、少なくとも2秒ごとにスペクトルセンシングを実行することをCRノードに要求するものであると考えられている。一般に、周期的スペクトルセンシングは、スペクトルセンシングの時間中に、コンテキストスイッチング、バッファの維持、およびリアルタイムトラフィックによりCRノードでのオーバーヘッドを高めてしまう危険性がある。その結果、効率性の観点からすると、短いスペクトルセンシング期間は非常に望ましくないものである。したがって、CRネットワークにおいてスペクトルセンシングのためのサイレント期間を調整する方法が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ネットワークの非同期サイレント期間を調整するために動的スペクトルマネージャー(DSM)で使用する方法であって、ネットワークの一次利用者を検出するステップと、ネットワークの1つまたは複数のコグニティブ無線(CR)ノードにサイレント期間開始制御メッセージを送信するステップであって、そのメッセージは、サイレント期間の開始と持続時間とを示し、スペクトルセンシングを開始するステップと、ネットワークにおいて、1つまたは複数のCRノードからスペクトルセンシングの結果を示す測定報告制御メッセージを受信するステップと、1つまたは複数のCRノードにメッセージを送信するステップであって、そのメッセージは、スペクトルセンシング結果に基づいて1つまたは複数のCRノードに別の周波数に移動するように指示するステップとを具えたことを特徴とする方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、CRネットワークにおいてスペクトルセンシングのためのサイレント期間を調整する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
一例として記載された以下の説明を添付の図面と併せ読むことにより、さらに詳細な理解が得られよう。
【0010】
【図1A】1つまたは複数の開示された実施形態が実装される通信システム例のシステム図である。
【図1B】図1Aに示す通信システム内で使用される無線送受信ユニット(WTRU)例のシステム図である。
【図1C】図1Aに示す通信システム内で使用される無線アクセスネットワーク例およびコアネットワーク例のシステム図である。
【図2】小さな特定諸地域に分割されたCRノードネットワークの一例を示す図である。
【図3】基本クワイエットインターバルスケジューリングプロトコルの一例を示す図である。
【図4】各ノード内の調整されたスペクトルセンシングの状態遷移図である。
【図5】クワイエットインターバルのスケジューラとして動作するSSNを伴う高度化されたプロトコルの一例を示す図である。
【図6】サイレント期間調整のシナリオ例を示す図である。
【図7】802.11に基づくプロトコルスタックにおけるDSMレイヤの一例を示す図である。
【図8】携帯電話に基づくプロトコルスタックにおけるDSMレイヤの一例を示す図である。
【図9】ケース1の場合の特定地域限定マルチキャストサイレント期間開始メッセージの一例を示す図である。
【図10】ケース2の場合の特定地域限定マルチキャストサイレント期間開始メッセージの一例を示す図である。
【図11A】非同期サイレント期間のコールフローの一例を示す図である。
【図11B】非同期サイレント期間のコールフローの一例を示す図である。
【図12】サイレント期間制御メッセージのMAC管理フレームの一例を示す図である。
【図13】各サイレント期間制御メッセージのフィールドの一例を示す図である。
【図14】DSMレイヤにおけるイベントの構成およびイベントの報告の一例を示す図である。
【図15】CRノードがCQI測定値から非同期スペクトルセンシングイベントをトリガする一例を示す図である。
【図16】認可された帯域でのCRノードの動作の一例を周期的スペクトルセンシングの時間と共に示す図である。
【図17】PHYレイヤのCQI測定値のための、DSMとCRの間のRRCにおけるイベントの構成およびイベントの報告の一例を示す図である。
【図18】非同期サイレント期間調整のRRCメッセージングプロトコル例を示す図である。
【図19】固定クワイエットインターバルの一例を示す図である。
【図20】ランダムなクワイエットインターバルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1Aは、1つまたは複数の開示された実施形態が実装される通信システム例100の図である。通信システム100は、音声、データ、動画、メッセージ、ブロードキャストなどの情報内容を複数の無線利用者に提供する複数のアクセスシステムであってよい。通信システム100は、無線帯域幅を含めたシステムリソースの共有によって、上記のような情報内容へのアクセスを複数の無線利用者に可能とする。例えば、通信システム100は、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、直交FDMA(OFDMA)、シングルキャリアFDMA(SC−FDMA)などといった1つまたは複数のチャネルアクセス法を利用することができる。
【0012】
図1Aに示すように、通信システム100は、無線送受信ユニット(WTRU)102a、102b、102c、102d、無線アクセスネットワーク(RAN)104、コアネットワーク106、公衆交換電話網(PSTN)108、インターネット110、およびその他のネットワーク112を含むことができるが、但し、開示された実施形態は、任意の数のWTRU、基地局、ネットワーク、および/またはネットワークエレメントを想定することが理解されよう。WTRU 102a、102b、102c、102dのそれぞれは、無線環境で動作し、かつ/または通信するように構成された任意のタイプの装置であってよい。一例として、WTRU 102a、102b、102c、102dは、無線信号を送信し、かつ/または受信するように構成することができ、ユーザ装置(UE)、移動局、固定加入者装置または移動加入者装置、ポケットベル、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、ノートパソコン、パーソナルコンピュータ、無線センサ、大衆消費電気製品などを含む。
【0013】
通信システム100は、基地局114aおよび基地局114bも含むことができる。基地局114a、114bのそれぞれは、コアネットワーク106、インターネット110、および/またはネットワーク112などの1つまたは複数の通信ネットワークへのアクセスを容易にするWTRU 102a、102b、102c、102dの少なくとも1つと無線で接続するように構成された任意のタイプの装置であってよい。一例として、基地局114a、114bは、ベーストランシーバ基地局(BTS)、ノードB、eノード B、ホームノードB、ホームeノード B、サイトコントローラ、アクセスポイント(AP)、無線ルーターなどであってよい。基地局114a、114bはそれぞれ単一エレメントとして示されているが、基地局114a、114bは、任意の数の相互接続した基地局および/またはネットワークエレメントを含むことが理解されよう。
【0014】
他の基地局114aはRAN 104の一部であってよく、RAN 104はまた、基地局コントローラ(BSC)、無線ネットワーク制御装置(RNC)、中継ノードなどといった他の基地局および/またはネットワークエレメント(図示せず)も含むことができる。基地局114aおよび/または基地局114bは、セル(図示せず)と称される特定の地理的領域内で無線信号を送信し、かつ/または受信するように構成することができる。セルは、さらにセルセクタに分割することができる。例えば、基地局114aに関連付けられたセルは3つのセクタに分割することができる。したがって、一実施形態では、基地局114aは、セルの各セクタに1つずつの、すなわち3つのトランシーバを含むことができる。別の一実施形態では、基地局114aは多入力多出力(MIMO)技術を利用することができ、したがって、セルの各セクタに複数のトランシーバを使用することができる。
【0015】
基地局114a、114bは、エアインタフェース116を介してWTRU 102a、102b、102c、102dの1つまたは複数と通信することができ、エアインタフェース116は任意の適切な無線通信リンク(例えば、無線周波数(RF)、マイクロ波、赤外線(IR)、紫外線(UV)、可視光など)であってよい。エアインタフェース116は、任意の適切な無線アクセス技術(RAT)を使用して確立される。
【0016】
より具体的には、上記のように、通信システム100は多元接続システムであってよく、CDMA、TDMA、FDMA、OFDMA、SC−FDMAなどといった1つまたは複数のチャネルアクセススキームを利用することができる。例えば、RAN 104の基地局114aおよびWTRU 102a、102b、102cは、広帯域CDMA(WCDMA)を使用してエアインタフェース116を確立することのできるユニバーサル移動通信システム(UMTS)地上無線接続方式(UTRA)などの無線技術を実施することができる。WCDMAは、高速パケットアクセス(HSPA)および/または発展型HSPA(HSPA+)などの通信プロトコルを含む。HSPAは、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)および/または高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)を含む。
【0017】
別の一実施形態では、基地局114aおよびWTRU 102a、102b、102cは、ロングタームエボリューション(LTE)および/またはLTEアドバンスト(LTE−A)を使用してエアインタフェース116を確立することのできる発展型UMTS地上無線接続方式(E−UTRA)などの無線技術を実施することができる。
【0018】
他の実施形態では、基地局114aおよびWTRU 102a、102b、102cは、IEEE802.16(すなわち、マイクロ波アクセスのための世界規模相互運用性(WiMAX))、CDMA2000、CDMA2000 IX、CDMA2000 EV−DO、暫定規格2000(IS−2000)、暫定規格95(IS−95)、暫定規格856(IS−856)、汎ヨーロッパデジタル移動通信システム(GSM)、GSM進化型高速データレート(EDGE)、GSM EDGE(GERAN)などの無線技術を実施することができる。
【0019】
図1Aの基地局114bは、例えば無線ルーター、ホームノードB、ホームeノード B、またはアクセスポイントであってよく、また、職場、家庭、車両、学校構内といった場所のような特定エリア内において無線接続を容易にする任意の適切なRATを利用することができる。一実施形態では、基地局114bおよびWTRU 102c、102dは、IEEE 802.11などの無線技術を実施して無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を確立することができる。別の実施形態では、基地局114bおよびWTRU 102c、102dは、IEEE802.15などの無線技術を実施して無線個人用ネットワーク(WPAN)を確立することができる。さらに別の実施形態では、基地局114bおよびWTRU 102c、102dは、携帯電話に基づくRAT(例えば、WCDMA、CDMA2000、GSM、LTE、LTE−Aなど)を使用してピコセルまたはフェムトセルを確立することができる。図1Aに示すように、基地局114bは、インターネット110への直接接続を有することができる。したがって、基地局114bは、コアネットワーク106を介してインターネット110にアクセスする必要はない。
【0020】
RAN 104は、コアネットワーク106と通信状態にあってよい。コアネットワーク106は、音声サービス、データサービス、アプリケーションサービス、および/またはインターネットプロトコル上での音声通信(VoIP)サービスをWTRU 102a、102b、102c、102dの1つまたは複数に提供するように構成された任意のタイプのネットワークであってよい。例えば、コアネットワーク106は、呼制御、請求サービス、携帯位置情報サービス、プリペイド通話、インターネット接続、ビデオ配信などを提供することができ、かつ/またはユーザ認証などの高水準セキュリティ機能を実行することができる。図1Aには示していないが、RAN 104および/またはコアネットワーク106は、RAN 104と同じRATかまたは異なるRATを利用する他の複数のRANと直接的な通信状態または間接的な通信状態にあってよいことが理解されよう。例えば、コアネットワーク106は、E−UTRA無線技術を使用中であるRAN 104に接続していることに加え、GSM無線技術を利用している別のRAN(図示せず)とも通信状態にあってよい。
【0021】
コアネットワーク106は、WTRU 102a、102b、102c、102dがPSTN 108、インターネット110、および/または他のネットワーク112にアクセスするためのゲートウェイの役割を果たすこともできる。PSTN 108は、普通の電話サービス(POTS)を提供する回線交換電話網を含むことができる。インターネット110は、相互接続されたコンピュータネットワークの広域システムと、TCP/IPインターネットプロトコルスイートに含まれる伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、およびインターネットプロトコル(IP)などの共通の通信プロトコルを使用する装置群とを含むことができる。ネットワーク112は、他のサービスプロバイダによって所有され、かつ/または運営される有線通信ネットワークまたは無線通信ネットワークを含むことができる。例えば、ネットワーク112は、RAN 104と同じRATかまたは異なるRATを利用することのできる1つまたは複数のRANに接続された別のコアネットワークを含むことができる。
【0022】
通信システム100内のWTRU 102a、102b、102c、102dの一部またはすべては、マルチモード機能を含むことができる。すなわち、WTRU 102a、102b、102c、102dは、様々な無線リンクを介して様々な無線ネットワークと通信するために複数のトランシーバを含むことができる。例えば、図1Aに示すWTRU 102aは、携帯電話に基づく無線技術を利用することのできる基地局114aと通信し、かつIEEE802無線技術を利用することのできる基地局114bと通信するように構成することができる。
【0023】
図1Bは、WTRU 102例のシステム図である。図1Bに示すように、WTRU 102は、プロセッサ118、トランシーバ120、送信/受信エレメント122、スピーカ/マイクロフォン124、キーパッド126、ディスプレイ/タッチパッド128、取り外し不可能なメモリ106、取り外し可能なメモリ132、電源134、全地球測位システム(GPS)チップセット136、および他の周辺装置138を含むことができる。WTRU 102は、一実施形態と変わらない状態を保ちながらも、上記のエレメントの任意のサブコンビネーションを含むことが理解されよう。
【0024】
プロセッサ118は、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来型プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと関連付けられた1つまたは複数のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向けIC(ASIC)、利用者書き込み可能ゲート配列(FPGA)回路、任意の他のタイプの集積回路(IC)、状態機械などであってよい。プロセッサ118は、信号符号化、データ処理、電源制御、入出力処理、および/または無線環境におけるWTRU 102の動作を可能にするいかなる他の機能をも実行することができる。プロセッサ118はトランシーバ120に結合することができ、トランシーバ120は送信/受信エレメント122に結合することができる。図1Bはプロセッサ118とトランシーバ120を別個の構成要素として示しているが、プロセッサ118とトランシーバ120は1つの電子パッケージまたは1つの電子チップに統合されることが理解されよう。
【0025】
送信/受信エレメント122は、エアインタフェース116を介して基地局(例えば、基地局114a)に信号を送信し、または基地局(例えば、基地局114a)から信号を受信するように構成することができる。例えば、一実施形態では、送信/受信エレメント122は、RF信号を送信し、かつ/または受信するように構成されたアンテナであってよい。別の一実施形態では、送信/受信エレメント122は、例えばIR信号、UV信号、または可視光信号を送信し、かつ/または受信するように構成されたエミッタ/検出器であってよい。さらに別の一実施形態では、送信/受信エレメント122は、RF信号と光信号の両方を送信し、かつ/または受信するように構成されてもよい。送信/受信エレメント122は、任意の組み合わせの無線信号を送信し、かつ/または受信するように構成されることが理解されよう。
【0026】
さらに、図1Bでは送信/受信エレメント122を単一エレメントとして示しているが、WTRU 102は任意の数の送信/受信エレメント122を含むことができる。より具体的には、WTRU 102はMIMO技術を使用することができる。したがって、一実施形態では、WTRU 102は、エアインタフェース116を介して無線信号を送受信するために2つ以上の送信/受信エレメント122(例えば、マルチアンテナ)を含むことができる。
【0027】
トランシーバ120は、送信/受信エレメント122によって送信されるべき信号を変調するように構成することができ、また、送信/受信エレメント122によって受信された信号を復調するように構成することができる。上記のように、WTRU 102はマルチモード機能を有することができる。したがって、トランシーバ120は、WTRU 102が例えばUTRAやIEEE802.11などの複数のRATを介して通信できるように、複数のトランシーバを含む。
【0028】
WTRU 102のプロセッサ118は、スピーカ/マイクロフォン124、キーパッド126、および/またはディスプレイ/タッチパッド128(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)のディスプレイ装置または有機発光ダイオード(OLED)のディスプレイ装置)に結合することができ、利用者が入力したデータをそれらから受信することができる。プロセッサ118は、利用者データをスピーカ/マイクロフォン124、キーパッド126、および/またはディスプレイ/タッチパッド128に出力することもできる。さらに、プロセッサ118は、取り外し不可能なメモリ106および/または取り外し可能なメモリ132などの任意のタイプの適切なメモリの情報にアクセスすることができ、また、そのメモリにデータを格納することができる。取り外し不可能なメモリ106は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードディスク、または任意の他のタイプの記憶装置を含む。取り外し可能なメモリ132は、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリスティック、セキュアデジタル(SD)メモリカードなどを含む。他の実施形態では、プロセッサ118は、物理的にはWTRU 102に設置されていないメモリ、例えばサーバや家庭用コンピュータ(図示せず)に設置されたメモリの情報にアクセスすることができ、また、そのメモリにデータを格納することができる。
【0029】
プロセッサ118は、電源134から電力を受け取ることができ、また、WTRU 102の他の構成要素に電力を分配しかつ/または制御するように構成することができる。電源134は、WTRU 102に電力供給するための任意の適切な装置であってよい。例えば、電源134は、1つまたは複数の乾電池(例えば、ニッケルカドミウム(NiCd)、ニッケル亜鉛(NiZn)、ニッケル水素(NiMH)、リチウムイオン(Li−ion)など)、太陽電池、燃料電池などを含む。
【0030】
プロセッサ118は、GPSチップセット136にも結合することができ、GPSチップセット136は、WTRU 102の現在位置に関する位置情報(例えば、経度および緯度)を提供するように構成することができる。GPSチップセット136からの情報に加えて、あるいはその情報の代わりに、WTRU 102は、基地局(例えば、基地局114a、114b)からエアインタフェース116を介して位置情報を受信することができ、かつ/または2つ以上の近隣基地局から受信中の信号のタイミングに基づいてそれ自体の位置を特定することができる。WTRU 102は、一実施形態と変わらない状態を保ちながらも、任意の適切な位置特定方法により位置情報を取得できることが理解されよう。
【0031】
プロセッサ118は、さらに他の周辺装置138にも結合することができる。他の周辺装置138は、付加的な特徴、機能および/または有線接続または無線接続を提供する1つまたは複数のソフトウェアおよび/またはハードウェアを含む。例えば、周辺装置138は、加速度計、イーコンパス、衛星トランシーバ、デジタルカメラ(写真撮影用またはビデオ撮影用)、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、振動デバイス、テレビジョントランシーバ、ハンズフリーヘッドセット、ブルートゥース(登録商標)モジュール、周波数変調(FM)ラジオ装置、デジタル音楽プレーヤー、メディアプレーヤー、ビデオゲームプレーヤーモジュール、インターネットブラウザなどを含む。
【0032】
図1Cは、一実施形態によるRAN 104およびコアネットワーク106のシステム図である。上記のように、RAN 104は、エアインタフェース116を介してWTRU 102a、102b、102cと通信するためにE−UTRA無線技術を使用することができる。RAN 104は、コアネットワーク106とも通信状態にあってよい。
【0033】
RAN 104はeノード B 140a、140b、140cを含むことができるが、RAN 104は、一実施形態と変わらない状態を保ちながらも、任意の数のeノード Bを含むことができることが理解されよう。eノード B 140a、140b、140cはそれぞれに、エアインタフェース116を介してWTRU 102a、102b、102cと通信するために1つまたは複数のトランシーバを含むことができる。一実施形態では、eノード B 140a、140b、140cはMIMO技術を実施することができる。したがって、eノード B 140aは、例えば、複数のアンテナを使用してWTRU 102aに無線信号を送信し、かつWTRU 102aから無線信号を受信することができる。
【0034】
eノード B 140a、140b、140cのそれぞれは特定のセル(図示せず)に関連付けることができ、また、無線リソースマネジメントデシジョン、ハンドオーバーデシジョン、アップリンクおよび/またはダウンリンクにおける利用者のスケジューリングなどを処理するように構成することができる。図1Cに示すように、eノード B 140a、140b、140cは、X2インタフェースを介して相互に通信することができる。
【0035】
図1Cに示すコアネットワーク106は、モビリティ管理ゲートウェイ(MME) 142、サービングゲートウェイ144、およびパケットデータネットワーク(PDN)ゲートウェイ146を含むことができる。上記のエレメントはそれぞれコアネットワーク106の一部として示されているが、それらのエレメントはどれも、コアネットワークの運営者以外のエンティティによって所有され、かつ/または運営されることが理解されよう。
【0036】
MME 142は、Siインタフェースを介してRAN 104のeノード B 142a、142b、142cのそれぞれと接続することができ、また、制御ノードの役割を果たすことができる。例えば、MME 142は、WTRU 102a、102b、102c、102dの初期接続中にWTRU 102a、102b、102c、102dの利用者の認証、ベアラのアクティベーション/デアクティベーション、特定のサービングゲートウェイの選択などを担当することができる。MME 142は、RAN 104と、GSMまたはWCDMAなどの他の無線技術を使用する他のRAN(図示せず)とを切り替えるために制御プレーン機能を提供することができる。
【0037】
サービングゲートウェイ144は、Siインタフェースを介してRAN 104のeノード B 142a、142b、142cのそれぞれと接続することができる。サービングゲートウェイ144は、一般に、利用者データをWTRU 102a、102b、102cに経路指定し、かつ転送することができ、また、利用者データをWTRU 102a、102b、102cから経路指定し、かつ転送することができる。サービングゲートウェイ144はまた、eノード B間のハンドオーバー中の利用者プレーンのアンカリング、WTRU 102a、102b、102cに対してダウンリンクデータが利用可能となった際のページングのトリガ、WTRU 102a、102b、102cのコンテキストの管理および格納などを実行することもできる。
【0038】
サービングゲートウェイ144はまたPDNゲートウェイ146にも接続することができる。PDNゲートウェイ146は、WTRU 102a、102b、102cとIP対応装置との間の通信を容易にするために、インターネット110などのパケット交換網へのアクセスをWTRU 102a、102b、102cに提供することができる。
【0039】
コアネットワーク106は他のネットワークとの通信を容易にすることができる。例えば、コアネットワーク106は、WTRU 102a、102b、102cと従来型の有線通信装置(land−line communications devices)との通信を容易にするために、PSTN 108などの回線交換網へのアクセスをWTRU 102a、102b、102cに提供することができる。例えば、コアネットワーク106は、コアネットワーク106とPSTN 108との間のインタフェースの役割を果たすIPゲートウェイ(例えば、IPマルチメディアサブシステム(IMS)サーバ)を含むことができるか、またはIPゲートウェイと通信することができる。さらに、コアネットワーク106は、他のサービスプロバイダによって所有され、かつ/または運営される他の有線ネットワークまたは無線ネットワークを含むことのできるネットワーク112へのアクセスをWTRU 102a、102b、102cに提供することができる。
【0040】
コグニティブ無線(CR)ネットワークにおいてスペクトルセンシングのためにサイレント期間を調整する方法は、中央集中型管理エンティティ(centralized management entity)によるスペクトル使用情報の連続的な収集を可能にする。この方法はまた、一次利用者により先占されたCR装置が未使用の周波数帯域に迅速に移動することを可能にするが、その際、その帯域に到達した一次利用者に干渉を生じることはない。この調整方法はまた、CRノードにおけるサイレント期間の結果生じるコンテキストスイッチングやリアルタイムトラフィック管理の複雑性を最低限に抑えるために、CRノードにおける効率に重点を置くことができる。
【0041】
CRネットワークは、無線リンクを使用して1または複数の一次利用者に認可された帯域を介して通信することのできる1つまたは複数のCRノードを含む。CRノードは、認可された帯域に対してスペクトルセンシングを周期的に実行して一次利用者の存在を検出し、ノード間の直接リンクにおいて使用するために使用可能なスペクトルに関する情報を得るように構成することができる。
【0042】
CRノードに対してサイレント期間調整を実行するために、中央制御装置(centralized controller)を動的スペクトルマネージャー(DSM)として使用することができる。DSMは、直接リンクを作成するために、認可された帯域の帯域幅をCRノードに動的に割り当てるように構成することができる。さらに、DSMは、その管理エリア内のCRノードのそれぞれにおけるスペクトルセンシングのためのサイレント期間のスケジューリングと、CRノードによって使用することのできる使用可能な帯域幅を特定するための、感知された情報の収集とを担当することができる。DSMは、ホーム進化型ノードB(H(e)NB)内のAPなどの特殊ノードであってよく、またはそのDSM自体が、専門のDSMタスクを実行するためにクラスタヘッドまたは管理ヘッドに選択されたCRノードであってよい。CRネットワーク内のDSMおよびCRノードは、認可された帯域または未認可の帯域をデータ情報および制御情報の交換のために使用することができる。
【0043】
図2は、小さな特定諸地域、すなわちセル201、202、および203に分割(細分化)することのできるCRノードネットワーク200を示す図である。各セルは、そのセル独自の限定された測定間隔を調整する。しかし、CRノード204Aは特定のセル201の中央にはなく、隣接セル221および203の測定に干渉することになる。図2は、DSM 205(例えば)が、そのDSM 205自体の干渉するすべてのCRノード204および204Aについてクワイエッティングインターバルの調整を可能とすることができ、かつCRノード204Aの送信機能に対する過度のインタラプションのない方法でクワイエッティングインターバルを局所的に調整する必要性を示している。
【0044】
図3は、基本クワイエットインターバルスケジューリングプロトコルの一例を示す図である。図3は、要求側DSM 301と応答側DSM 302を示している。要求側DSM 301は、スペクトル管理をスケジューリングする必要があると判定することができ、また、クワイエットインターバル要求をすべての周知の近隣DSMに送信することができる(303)。応答側DSM 302は、その要求に対してクワイエットインターバル応答でAccept(受諾)またはReject(拒絶)により応答することができる(304)。要求が、少なくとも「十分な」数の、または「十分な」パーセンテージの、または「十分な」タイプの応答側DSM 302によって受諾された場合、要求側DSM 301は、クワイエットインターバル確認メッセージを送信することによりクワイエットインターバルをスケジューリングすることができる(305)。要求側DSM 301は、その要求を受諾した他の応答側DSM 302のリストを任意で送信することができる。このことは、応答側DSM 302の一部がそれら自体のスペクトルが十分に静寂(quiet)になるだろうと判定した場合に、それら自体の測定を同時にスケジューリングすることを可能とする。応答側DSM 302の受諾における「十分な」という点が、決定的な重要性を有する。
【0045】
応答側DSM 302の必要性に対する応答性を高めるために、状態機械が各応答側DSM 302に定義される。例えば、応答側DSM 302が測定の実行を必要としているかどうか、応答側DSM 302が特定のクワイエッティングインターバルをサポートするよう要求したかどうか、または応答側DSM 302の測定を行う必要性が満たされたかどうかなどを判定するために、状態機械を使用することができる。
【0046】
CRノードは、状態遷移図を示す図4に示される4つの状態のうちの1つである。第1の状態(NO_REQ)では、CRノードは測定の実行を必要としないか、またはその測定の必要性が満たされるかのいずれかであるので、測定を要求していない可能性がある。さらに、CRノードはクワイエッティングの要求を全く受け取っていない可能性がある。これは、このプロセスの「アイドル」状態と等価である。第2の状態(REQ_OUT/REQ_IN)では、CRノードは未決定の測定要求を有する可能性があり、また、既に要求自体を受け取っている可能性がある。第3の状態(REQ_OUT/no_REQ_IN)では、CRノードは未決定の測定要求を有する可能性があるが、要求自体は未だ全く受け取っていない可能性がある。第4の状態(no_REQ_OUT/REQ_IN)では、CRノードは未決定の測定要求を全く有していない可能性がある。CRノードは測定を要求していない可能性があるか、またはCRノードは既に要求自体を受け取っている可能性がある。
【0047】
図4は、図3に示すアプローチ以外に求められる付加メッセージに関するさらなる詳細を提供する。図4から、各要求側DSM 301の動作に関していくつか観察することができる。
【0048】
要求側DSM 301はクワイエッティングの要求(REQメッセージ)を受け取ると、NO_REQ_OUT/REQ_IN状態402またはREQ_OUT/REQ_IN状態401のいずれかに遷移する(または留まる)。
【0049】
要求(RESP_NACK)に対する否定応答を送信するかまたは要求(REQ_CANCEL)の取り消しを受信すると、NO_REQ状態403またはREQ_OUT/NO_REQ_IN状態404に遷移することになる。
【0050】
要求を受諾するとRESP_ACKメッセージを送信することになり、また、要求を受諾することで、ノードをNO_REQ_OUT/REQ_IN状態402またはREQ_OUT/REQ_IN状態401に保つことができる。
【0051】
次の遷移、REQ_OUT/NO_REQ_IN 404 からNO_REQ 403と、REQ_OUT/REQ_IN 401からNO_REQ_OUT/REQ_IN 402は、応答側DSM 302によって送信される要求に対する決定を示す。これはいくつかある方法のうちの1つの方法で発生する。例えば、ノードは要求を取り消すことを決定する(REQ_CANCELメッセージを送信する)。これは、例えば断られるべき要求に対して十分に多くのNACKを受信した、別のクワイエッティングインターバル(すなわち、別の応答側DSM 302によって当初スケジューリングされたクワイエッティングインターバル)を使用することを決定した、要求がタイムアウトしたなどのいくつかの理由で発生する。別の実施形態では、ノードは既に十分に多くのACK応答を受信している可能性があり、また、測定期間を確認するREQ_CONFIRMメッセージを既に送信している可能性がある。
【0052】
各システムの特有の需要と構成に基づいて、上記の基本プロトコルはいくつかの方法で変更される。例えばネットワーク内のノード数が多い場合、上記のプロトコルは重大なオーバーヘッドと遅延をもたらす。これは、スケジューリングサービスノード(SSN)を追加することによって対処することができる。SSNノードは、ネットワーク内の要求側DSMと1つまたは複数の応答側DSMとの通信を容易にする。具体的には、図3のプロトコルが保存される。しかし、クワイエットインターバル要求メッセージが最初にSSNに送信される可能性があり、その場合、SSNはクワイエットインターバル要求メッセージを応答側DSMに転送する。応答側DSMもまたSSNに応答することができ、SSNはすべての応答を要求側DSMに転送することができ、次いで確認メッセージを応答側DSMに返送することができる。
【0053】
しかしSSNはこのプロセスにおいてさらに生産的な役割を果たす。単に近隣のデータベースおよびメッセージリレーとして動作する代わりに、SSNはクワイエットインターバルスケジューラの役割を果たすことができる。その結果の実施形態を図5に示す。
【0054】
図5は、クワイエットインターバルのスケジューラとして動作するSSNを伴う高度化されたプロトコルの一例を示す図である。この実施形態において、要求側DSM 501はSSN 502にスケジューリング要求を送信する(504)。SSN 502は、要求側DSMの近隣DSM(応答側DSM 503)のすべてにタイミング要求を送信することができる(505)。そのような応答側DSM 503は、SSN 502からのそのような要求を受諾するか拒絶することができる(506)。その受諾/拒絶応答に基づいてSSN 502は送信を再度試みることができ、その結果、SSN 502と複数の応答側DSM 503の間で数回にわたるクワイエットインターバル要求/応答の交換がなされることになる(506)。タイミングの合ったクワイエッティング期間が最終的に見つかると、SSN 502は要求側DSM 501に対してスケジューリング応答を発行する(507)。同時にSSN 502は、そのSSN 502と同じくそのクワイエットインターバルを利用する応答側DSM 503に対して、その応答側DSM 503にとっても測定の機会が利用可能となるだろうということを通知することができる(508)。
【0055】
このアプローチは、SSNなしのベースラインアプローチ以上のいくつもの利点を提供する。例えば、スケジューリングハンドシェイクはこの場合SSNと応答側DSMの間でのみなされ、要求側DSMと応答側DSMの間ではなされないので、バックホール/サイドチャネル通信の負荷が低くなる。もう1つの利点は、ネットワークトポロジーや近隣の端末などを最早認識している必要のない端末への処理/メモリ負荷が低くなる。このことは、移動性のあるネットワーク内では特に重要である。さらなる利点は、複数の要求側DSMが同じインターバルで許可されるようにクワイエットインターバルのスケジューリングを調整し、それにより全体的なクワイエットインターバルの回数を低減しネットワークの効率を高めるSSNの機能である。
【0056】
SSNはクワイエットインターバルコントローラの役割を果たすこともできる。そのことによりSSNは端末群のために自律的な(例えば、要求なしに)クワイエットインターバルのスケジューリングを周期的に試行することができ、したがってそれら端末群には測定の機会が与えられる。この場合、図5に記載したSSNと応答側DSMのやり取りが使用されるが、要求側DSMとSSNの間のメッセージ交換は最早必要とされなくなる。
【0057】
これらメッセージにはいくつかの情報エレメントが含まれる必要がある。次のメッセージは既に定義した。REQ、(メッセージのためのクワイエットインターバルの要求)、RESP_ACK、(その要求に対する承認の応答、例えばその要求に同意する応答)、RESP_NACK、(その要求に対する拒絶の応答)、REQ_CANCEL、(要求の取り消し)、およびREQ_CONFIRM、(要求が「ロック」されていることの確認)。これらメッセージはそれぞれ、識別、同期、および意思決定のために使用されるエレメントである要求側DSM ID/応答側DSM ID、要求ID、(様々な要求を区別するための)、要求/応答ネットワーク時間、要求側DSM/応答側DSMの地理位置情報、および応答側DSMの最大送信電力を含むことができる。
【0058】
クワイエッティングの要求は、要求側DSMがクワイエットインターバルをスケジューリングするために十分な数の肯定的な確認(ACK)応答を必要とする。問題の核心は、ACK応答がいくつあれば十分かということである。クワイエッティングの目的は、要求されるセンシング閾値より十分に低い水準まで一次利用者からの電波の放射を除去してセンシングを実行できるようにすることである。非一次利用者の数と位置が十分によく知られたネットワークでは、十分であるかどうかを判定するための第1のアプローチは応答数を計数することにより行うことができる。応答数の計数はSSNによって最も効率的に実行することができる。
【0059】
別のアプローチは、電波の放射がセンシング閾値より低くなるような位置と送信電力を有する応答側DSMからのすべてのNACK応答を無視することであってよい。すなわち、応答側DSMの最大送信電力と地理位置情報がこのアプローチを可能とする。反対に、それ自体の送信電力が測定に影響を与えるには低すぎることを認識している装置は、要求側DSMの地理位置情報により、妨害を生じることなく要求を断ることが可能となる。最終的に、このことは、要求を受諾した(肯定応答を返した)装置が、ある程度の接続性を維持しながらも、それらの送信電力を要求側DSMでの測定に影響を与える水準未満まで低減する場合に、部分的なクワイエッティングをサポートする。
【0060】
図6は、特定セル内のサイレント期間調整のシナリオ例を示す図である。このシステムは、相互に直接リンクを確立することを希望するCRノードの集合601で構成される。このCRノードの集合601は、中央集中型DSM(centralized DSM)602によって割り当てられた帯域幅を使用することができる。中央集中型DSM 602はまた、その直接リンクによってアクティブに使用される帯域に対するスペクトルセンシングに要求されるサイレント期間を調整することも担当する。
【0061】
図6に示す例ではDSMとCRノードの間のリンクおよびCRノード間の直接リンクは802.11に基づくMAC/PHYを利用するように示されているが、本明細書に記載の方法は、この接続に使用されるMAC/PHYから独立したものである。したがって、この接続は、セルラーシステムといった異なるMAC/PHYを使用する可能性もある。
【0062】
最初に、CRノードのいくつかまたはすべては、周期的に発生するサイレント期間中に同時にスペクトルセンシングを実行することができる。DSMは、周期的サイレント期間の長さおよび頻度と、各サイレント期間中に各CRノードが実行することのできる帯域の構成を担当する。周期的サイレント期間は、CRノードに対する最大サービス品質が維持される頻度でスケジューリングすることができる。周期的サイレント期間はまた、現在使用されている可能性があるかまたは特定の期間に使用されていない可能性のある認可された帯域幅の動的マッピングをDSMが維持できるようにする。その結果、CRネットワークは、使用可能な帯域に関する最低限の情報と、CRノードによって占有される帯域への一次利用者の到達に対するある程度の敏捷性とを維持することができる。
【0063】
周期的サイレント期間に加え、DSMは、非同期サイレント期間をスケジューリングして即時のスペクトルセンシングを実行することができ、したがってネットワークの敏捷性を向上させることができる。サイレント期間は、他のネットワークから使用可能とされる一次利用者に関する情報に基づいてDSM自体によってトリガすることができ、または認可された帯域を現在使用中であるCRノードのいずれかによってトリガされるイベントによってトリガすることができる。非同期サイレント期間の使用は、周期的サイレント期間を使用するよりも短い期間内で、認可されている帯域をCRノードに明け渡させる敏捷性をCRネットワークに与えることができる。さらに、非同期サイレント期間を使用することにより、CRネットワークはさらにタイムリーに一次利用者に関する情報を利用できるようになる。一次利用者に関する情報は、環境の変化または一次利用者に関する事前情報の形式であってよい。環境の変化は、CRノードのいずれかによって検出される。DSMは、一次利用者のネットワーク自体から事前情報を入手可能とされる。
【0064】
特定帯域への一次利用者の到達が環境の変化によって感知される場合、CRノードの1つまたは複数は、当該帯域をアクティブに使用中である可能性があり、また、アクティブリンクに関連付けられた現行のキーパラメータにおける局所的変化によって環境の変化を感知可能である。このパラメータは、限定はしないが、チャネル品質、リンクスループット、および再送信回数などを含む。
【0065】
このパラメータのいずれかにおける変化は一次利用者の到達を示すが、スペクトルセンシングの非同期サイレント期間をトリガすることで、一次利用者が存在するかどうかと、この環境の変化に引き続いて使用可能な帯域に関する正確で最新の情報を一次利用者が有するかどうかを即時に判定することができる。スペクトルセンシングの一回のサイレント期間から得られる決定の信頼性が、一次利用者の存在を判定するには不十分であり、かつ、CRノードによって先占されている代替帯域に一次利用者を移動することを提案するには不十分な場合、非同期サイレント期間をDSMによって延長することもできる。
【0066】
環境の変化は、干渉の除去を使用すること、または実際に送信された信号が環境の変化を検出するための任意の他の手段を使用することを含む。環境の変化に関するセンサは、送信を行うノードと同じノードの一部であってよい。このセンサは、スペクトルセンシングエンティティと通信する別個のエンティティ、別個のプロトコルレイヤ、または別個のアルゴリズムであってもよい。
【0067】
サイレント期間のスケジューリングは、シンDSMプロトコルレイヤの使用により可能とされる。このプロトコルレイヤは、ネットワークによって使用されるRATまたはPHYから独立したL2.5エンティティまたはL3エンティティであってよい。シンDSMプロトコルレイヤを使用することにより、様々なRATを有する装置を含んだネットワーク上のDSMプロトコルレイヤが可能となる。図7および8は、802.11に基づくネットワーク(図7)および携帯電話に基づくネットワーク(図8)におけるこのDSMレイヤの配置を示している。
【0068】
図7は、802.11に基づくプロトコルスタックにおけるDSMレイヤの一例を示す図である。図7では、DSMレイヤ702は802.11プロトコルスタック701のMACサブレイヤ703に隣接して示されている。図8は、携帯電話に基づくプロトコルスタックにおけるDSMレイヤの一例を示す図である。図8では、DSMレイヤ802の機能は、携帯電話に基づくプロトコルスタック801の既存の管理レイヤ803にも組み込まれる。この機能を組み込む既存の管理レイヤの例は、802.11または802.16管理フレーム、ジグビー(802.15.4 MAC/PHY装置の管理用)、またはRRC(移動体通信ネットワーク用)である。DSMレイヤの主要な機能は、DSMの管理するネットワークによって使用されている認可された帯域上の潜在的な一次利用者の測定および検出のために使用されるサイレント期間を調整するため、サイレント期間をトリガする適切な時刻を特定するため、また、PHYによって適切なスペクトルセンシング動作を構成し、かつスペクトルセンシングが行われた際にPHYに通知するためにサイレント期間メッセージとセンシング制御メッセージを作成し、かつ解釈することであってよい。
【0069】
シンDSMプロトコルレイヤは、サイレント期間の処理を可能にするために使用される制御メッセージの集合を定義する。制御メッセージには、サイレント期間開始制御メッセージ、サイレント期間トリガ制御メッセージ、測定報告制御メッセージ、およびセンシング構成制御メッセージの4つがある。
【0070】
サイレント期間開始制御メッセージは、DSMノードによってネットワークの1つまたは複数のCRノードに送信される。このメッセージは、DSMの管理下で、ノードの部分集合内のそれぞれのノードの位置に基づいてそのノードの部分集合にアドレス指定される。この位置情報は、DSMエンティティによって適切なMACレイヤプロシージャを用いて維持される。
【0071】
サイレント期間トリガ制御メッセージは、DSMと通信するネットワークの任意のCRノードに送信される。このメッセージは、特定のCRノードが登録されたDSMにアドレス指定される。
【0072】
測定報告制御メッセージは、サイレント期間中にスペクトルセンシングを実行するように既に指示されているCRによって送信される。このメッセージは、測定結果に基づいて、別のネットワークまたは別の一次利用者の有無に関する決定をすることのできるDSMに送信される。
【0073】
センシング構成制御メッセージは、各CRノードによって実行されるべきスペクトルセンシングを構成するためにDSMによって送信される。
【0074】
これらのメッセージは、基礎をなすMACレイヤにより通常のデータよりも高い優先順位で搬送される。これらのメッセージはまた、MACレイヤ管理フレームを使用して送信することもできる。DSMは、CRノードのすべてにサイレント期間調整メッセージを周期的に送信して、期間中にスペクトルセンシングが実行されるサイレント期間をシステム全体にわたりトリガすることができる。定常状態の運用においては、サイレント期間は周期的または散発的に発生する。さらに、CRノードが定期的なTX(送信)動作とRX(受信)動作を実行する場合、サイレント期間とサイレント期間の間に期間をあけることができる。サイレント期間の持続時間と頻度はDSMによって制御することができ、また、サイレント期間開始制御メッセージを使用してすべてのCRノードに伝達することができる。その結果、DSMは、利用されるチャネルのシステム内の現在の使用状態に応じて、サイレント期間開始制御メッセージに関連付けられた頻度を特定することができる。
【0075】
サイレント期間制御メッセージはまた、図9および図10に示す、ある一定の位置に配置されたCRノードの部分集合、またはある一定の帯域幅を使用中のCRノードの部分集合にも送信される。図9は、第1のケースの場合の特定地域限定マルチキャストサイレント期間開始メッセージの一例を示す図である。図9では、CRノード902および903はCRノード904および905の範囲外にある。DSM 901は、ノード904および905のみに向けてアドレス指定されたサイレント期間開始制御メッセージを送信することができる。ノード904および905はこのメッセージを受信すると送信を即座に停止し、それぞれのPHYレイヤに対してノード904および905の現在使用している帯域幅のスペクトルセンシングを実行するよう指示する。ノード902および903はノード904および905の範囲外にあるので、上記スペクトルセンシングと同じ周波数で発生しているノード902および903からの送信906は上記スペクトルセンシングには影響しない。
【0076】
図10は、第2のケースの場合の特定地域限定マルチキャストサイレント期間開始メッセージの一例を示す図である。図10では、ノード1002および1003はノード1004および1005と異なる周波数で送信中1008である。時刻t1にDSM 1001はノード1004および1005にサイレント期間開始制御メッセージ1006を送信し、それら2つのノードが現在使用している周波数に対してスペクトルセンシングを開始する。時刻t2にDSM 1001はノード1002および1003にサイレント期間開始制御メッセージ1007を送信する。これらのサイレント期間は、DSM 1001によって決定された期間で周期的に反復される。
【0077】
非同期サイレント期間は、環境の変化に対するよりよい応答を可能にするために、2種類の方法でトリガすることができる。第1のケースでは、外部ネットワークは、一次利用者の存在、または特定帯域上に想定する一次利用者の存在を予測するためにDSMによって使用される他の情報、例えば履歴などをDSMに通知することができる。この場合、DSM自体は、どのCRノードの入力もなしに非同期サイレント期間をスケジューリングすることができる。
【0078】
非同期サイレント期間はまた、複数の認可された帯域のうちの1つの帯域上のリンクをアクティブに使用しているCRノードのいずれかにおいて引き起こされたイベントによってもトリガされる。このイベントは、そのリンク上の環境の変化によって生じる。外部ネットワークによってトリガされる非同期サイレント期間、またはDSM自体によってトリガされる非同期サイレント期間は、CRノードイベントによってトリガされる非同期サイレント期間と同じ方法で扱われる。
【0079】
CRノードが非同期サイレント期間をトリガするためのプロシージャは、ネットワーク内のCRノードが環境の変化を検出することを含むことができる。この変化は、CRノードでPHYレイヤまたはMACレイヤによって検出されるか、またはDSMレイヤ自体特有のイベントである(例えば、ネットワークに加わった新しいノードの検出)。この変化が発生した後、CRノードはDSMにサイレント期間トリガメッセージを送信することができる。サイレント期間トリガメッセージには、イベントトリガの原因または理由を含めることができる。
【0080】
DSMは、受信したサイレント期間トリガメッセージの送信元であるCRノード並びにこのメッセージに関連付けられた情報に基づいて、即時の非同期サイレント期間をトリガする必要性を判定することができる。次いでDSMは、サイレント期間中にどのCRノードが沈黙させられ(silenced)るかを決定することができる。この決定は、スペクトルセンシングが実行される周波数帯と、サイレント期間トリガメッセージを生成したCRノードに近接するノードとに基づいて下すことができる。DSMは、CRノードそれぞれの干渉域を特定し、特定した干渉域に基づいて、サイレント期間開始制御メッセージを受信するノードをさらに特定するために、ローカルポジションデータベース(local position database)に格納した位置情報を利用することができる。
【0081】
サイレント期間トリガメッセージを生成するCRノードは、サイレント期間開始制御メッセージを受信するまでは通常のTX/RX動作を継続することができる。サイレント期間開始制御メッセージは、サイレント期間の開始時刻と持続時間とを示すことができる。サイレント期間中は、サイレント期間開始制御メッセージによってアドレス指定されたすべてのノードは、進行していたいかなる送信をも中断することができる。さらに、送信が予定されていたメッセージは、そのサイレント期間の終了までそれぞれのCRノードによってバッファリングすることができる。
【0082】
サイレント期間中は、特定のスペクトルセンシングエンティティのためのスペクトルセンシングノードとして関連付けられたノードによってスペクトルセンシングを実行することができる。スペクトルセンシングエンティティは、センシング構成制御メッセージを使用して作成または修正することができる。制御メッセージは、特定周波数に対してスペクトルセンシングを実行するように求められるCRノードに送信することができ、また、CRノードに関連付けられたスペクトルセンシングエンティティ識別子をそのCRノードに通知することができる。1つのCRノードに複数のスペクトルセンシングエンティティを関連付けることができる。その場合、そのCRノードは、例えば複数の周波数に対してスペクトルセンシングを実行するノードとして呼び出される。さらに、複数のCRノードに同じスペクトルセンシングエンティティ識別子を関連付けることができる。そのことにより、センサの融合を可能とするために、同じDSMが複数のノードからスペクトルセンシングの結果を収集することが可能となる。
【0083】
DSMは、装置の初期関連付け中に各装置のスペクトルセンシング機能を認知することができる。任意の時点、例えばノードの関連付けに引き続く時点または2つのCRノード間の高帯域幅リンクの開始に引き続く時点で、DSMはスペクトルセンシングエンティティを作成することができ、そのスペクトルセンシングエンティティに知覚ノード(sensory ノード)の集合を配属させることができる。スペクトルセンシングエンティティの一意の識別子を含んだ別個のスペクトルセンシング構成メッセージを、スペクトルセンシングエンティティに配属されたノードそれぞれに送信することができる。センシング構成メッセージには、スペクトルセンシングに関する、当該CRノードに特有の構成も含めることができる。サイレント期間開始制御メッセージを送信する際には、そのメッセージに、来たるべきサイレント期間中にアクティベートされるスペクトルセンシング構成エンティティの一意の識別子を含めることができる。サイレント期間開始制御メッセージに含まれるスペクトルセンシングエンティティ識別子に関連付けられたスペクトルセンシングを実行するように求められている、サイレント期間開始制御メッセージを受信中のCRノードは、スペクトルセンシングを実行すること、およびサイレント期間の終了時にその結果をDSMに送信することを担当する。
【0084】
図11Aおよび図11Bは、上記プロシージャの一例と、(非同期サイレント期間のコールフロー)、非同期サイレント期間のトリガに伴う各動作を示す。
【0085】
本例では、サイレント期間は、干渉、範囲、または周波数の使用状況に基づきCRノード1102とCRノード1103の間で局所的にトリガされる。ノード1102(ノード A)とノード1103(ノード B)の間の直接リンク、およびノード1104(ノード C)とノード1105(ノード D)の間の直接リンクは既に確立済みであってよい(1106)。DSM 1101は、ポジションデータベースまたは周波数の使用状況から、ノード1102と1103およびノード1104と1105に対して局所的に限定されたサイレント期間を作成することを決定することができる(1107)。センシング構成制御メッセージは、識別子iと共にDSM 1101からノード1102に送信される(1108)。センシング構成制御メッセージは、識別子jと共にDSM 1101からノード1104に送信される(1109)。サイレント期間トリガ制御メッセージは、ノード1103からDSM 1101に送信される(1110)。DSM 1101は原因と位置を調査し、かつ非同期サイレント期間を開始することを決定することができる(1111)。サイレント期間開始制御メッセージは、識別子iおよび持続時間tと共にDSM 1101からノード1102に、またノード1102からノード1103に送信される(1112)。ノード1102は、識別子1のエンティティに対するスペクトルセンシングのためにのみ構成することができ(1113)、周波数範囲1に対してスペクトルセンシングを実行することができ(1114)、かつ周波数範囲Nに対してスペクトルセンシングを実行することができる(1115)。これらはすべてサイレント期間の持続時間tの期間中に発生する。ノード1102は、測定報告制御メッセージをDSM 1101に送信することができる(1116)。DSM 1101は、ノード1102および1103に対して、スペクトルセンシングの結果に基づいて別の周波数上にリンクを再構成するように指示することができる(1117)。DSM 1101は、ノード1102と1103に対して次に予定されたサイレント期間の期間を開始することができる(1118)。サイレント期間開始制御メッセージは、DSM 1101からノード1102に、またノード1102からノード1103に送信される(1119)。
【0086】
非同期サイレント期間の発生は、通常の周期的サイレント期間のタイミングを移動する。例えば、スケジューリングされている周期的サイレント期間、すなわち直近で行われるべき周期的サイレント期間の必要性が非同期サイレント期間によって解消される場合、それに応じて、DSMはその直近のサイレント期間を取り消すかまたは周期的サイレント期間のタイミングを再スケジューリングすることを選択できる。
【0087】
別の実施形態では、図7のプロトコルスタックにおいてDSMレイヤがMACサブレイヤの上に置かれる場合、DSMサイレント期間制御メッセージは802.11管理フレームを使用する。図12は、802.11管理フレームの形式を示す。フレーム本体1201は、フレームのタイプ(サイレント期間開始制御メッセージ、サイレント期間トリガ制御メッセージ、測定報告制御メッセージ、またはセンシング構成制御メッセージ)の識別子1202、並びに各メッセージに必要とされる情報を含むことができる。
【0088】
図13は、上記のセンシング構成メッセージ管理フレームのそれぞれを示す図である。各メッセージは一意の制御コードフィールドで識別される。図12に示すように、フレーム本体1301はフレームのタイプの識別子1302を含むことができる。サイレント期間開始制御メッセージ1303は、サイレント期間のビーコン期間数による持続時間1304と、サイレント期間中に実行されるべきスペクトルセンシング動作ごとのスペクトルセンシングエンティティID 1305のフィールドを含むことができる。このメッセージに含まれて受け取られたIDに関連付けられたスペクトルセンシングエンティティのためにスペクトルセンシングを実行するようにノードが事前に構成された場合、そのノードはこのサイレント期間中にスペクトルセンシングを実行することができる。特定のサイレント期間に複数のスペクトルセンシング動作が、例えば様々な周波数範囲にわたって実行されるので、サイレント期間開始制御メッセージ1303は複数のスペクトルセンシングエンティティID 1305をアクティベートすることができる。サイレント期間トリガ制御メッセージ1306は、サイレント期間がトリガされた理由1307のフィールドを含むことができる。このフィールドは、当該CRノードによって送信されるべきメッセージの原因となったプロトコルレイヤまたはメカニズムを特定することができる。PHY/MAC測定値が特定の値を超えた結果、サイレント期間トリガ制御メッセージが送信される例を以下に示す。最後に、測定報告制御メッセージ1308とセンシング構成制御メッセージ1309の両方は特定のセンシングエンティティ識別子1310に関連付けられることができ、この識別子を管理フレームのフィールドとして含むことができる。各スペクトルセンシングエンティティは、感知されるべき1つまたは複数の連続的な周波数範囲または非連続的な周波数範囲と関連付けられる。各周波数範囲に対して実行されるべきスペクトルセンシングのタイプ並びにこのスペクトルセンシングのためのパラメータ1312は、センシング構成制御メッセージ1309の対応するフィールドを使用して送信することができる。各周波数範囲のスペクトルセンシングの結果のフォーマット1311は、測定報告制御メッセージ1308の別個のフィールドで指定することができる。
【0089】
非同期サイレント期間はまた、特定の周波数によるCRノードのトラフィック利用状態に基づいてそれらCRノードによってもトリガされる。直接リンクに参加しているノードが特定の期間中にスリープモードまたは休眠モードにある場合、または直接リンクが固定の期間中に送信するデータを持たない場合、CRノードは「スリープ」に構成されたトリガ理由(Trigger Reason)と共にサイレント期間トリガ制御メッセージを使用してDSMに通知することができる。DSMは、各CRノードによって受信されたメッセージを監視することができ、また、スペクトルセンシングを実行する機会があるかどうかを判定することができる。あるノードが、当該直接リンク上で固定の期間中に通常よりもトラフィック量が低下していることを検出した場合、上記と同じプロシージャが使用される。いずれのケースにおいても、結果は、効率を最大限に高める戦略的時刻(strategic time)にサイレント測定期間をスケジューリングすることである。これら非同期サイレント期間の存在は、この場合、DSMが周期的サイレント期間の頻度を低減することを可能とする。
【0090】
図14は、MACレイヤチャネル品質指標(CQI)に基づいて提示されるイベントトリガリングの一例を示す図である。MACレイヤCQIは、特定チャネルで観測されたパケット再送信回数、すなわちMACレイヤエラー数と定義することができる。イベント構成とイベント報告は、イベントに関連付けられた測定を提供するMACレイヤの支援により、DSMとCRノードのDSMレイヤによってそれぞれ扱われる。DSMノード1401のDSMレイヤは、CRノード1402それぞれにイベント構成メッセージ1403を送信して、CRノード1402と別のCRノード1402のアクティブなリンク中に当該CRノード1402によって監視されるべきイベントを構成することができる。このイベント構成メッセージは、上記のセンシング構成制御メッセージに包含することができる。イベントは、そのイベントに関連付けられた測定のタイプによっては、アクティブにリンク接続していないCRノード1402によっても監視される。センシング構成制御メッセージは、イベントの監視に関与する各CRノード1402に別個の制御チャネルを介して送信される。次いでCRノードのMACレイヤは、上記で定義したチャネルのCQIを監視するように指示される1404。イベント構成メッセージを既に受信している可能性のあるアクティブなリンク接続内のすべてのCRノードのMACレイヤはそれぞれのDSMレイヤにチャネル品質測定値1405を周期的に送信することができ、それぞれのDSMレイヤはさらにそれぞれの測定値をイベント構成に基づいて処理、すなわちフィルタリングすることができる。
【0091】
フィルタリングは、頻繁なイベントトリガリングと不要なスペクトルセンシング期間を回避するために実行することができる。これは、イベントがDSMレイヤフィルタリング論理によってトリガされることを目的として、チャネル品質が一定量下回る最低期間であるTTT(Time−to−Trigger)を導入することによって達成することができる。一度イベントがトリガされると、CRノード1402のDSMレイヤは、サイレント期間トリガ制御メッセージによりイベント報告1406を送信して、イベントの発生とイベントが発生したCRノード1002とをDSM 1401に通知することができる。
【0092】
図14は、MAC、LLC、およびDSMレイヤの一般的なプロトコルスタックのケースにおける、DSM関連イベントを構成し、報告するために必要なDSMレイヤ信号通信およびDSMレイヤとMACレイヤの対話を示している。これと同じメッセージフローは、802に基づく管理フレームにDSMレイヤが組み込まれる802に基づくシステムに適用可能であり、また、メッセージがRRCレイヤで送信可能なセルラープロトコルスタックにも適用可能である。一般性を失うことなく、2つのCRノード間のリンクで測定されたチャネル品質がその長期平均から一定量急激に低下した場合にイベントAはトリガされ、また、MACからDSMエンティティに送信される測定値はチャネル品質指標(CQI)測定値であってよい。
【0093】
CRノードによって現在使用されている認可された帯域に一次利用者が到達するとこの帯域に大量の干渉が生じる可能性があり、また、その干渉はMACレイヤエラー数または再送信回数の変化に基づいてCRノードによって即座に検出することができる。さらに、一次利用者が近隣の帯域を利用し始めると、当該CRノードによって現在使用されている帯域においてCQIの急激な低下という形で一定量の干渉が検出可能となる。いずれのケースでも、使用可能な周波数のデータベースをアップデートするために、また、当該認可された帯域を占有していたCR利用者を別の帯域に再割当てするために、DSMは一次利用者の存在に関する情報を有することができる。
【0094】
図15は、MACレイヤから受信したCQI測定値のDSMによるフィルタリングを示す図である。CRノードは、検出された環境の変化をDSMに通知することができる。各CRノードは、直近の過去における時間枠Wに特定リンクに対して測定された平均CQI(CQIAVG)と、最終時間枠Mに基準信号を使用して測定された即時CQI(CQIINST)とを維持することができる。トリガするための特定期間(TTT)に関する何らかの閾値DよりもCQIの急激な低下(CQIAVG − CQIINST)が依然として大きい場合、CRノードはイベントAを生成することができる。
【0095】
D、M、TTT、およびWの値は、イベントA構成(RRC)メッセージを使用してDSMによって全体的に命令することができる。リンク確立前とリンク確立中に別個の制御チャネル上でユニキャスト方式により送信することのできるこのメッセージは、上記のパラメータを搬送することができ、また、スペクトルの使用を最適化するためにそれらのパラメータの動的な変更をDSMに可能とすることができる。具体的には、過去の統計結果を使用して容易に監視される以下に示す確率要件に基づいて、DSMはそれらの値を変更することができる。
【0096】
第1の確率要件は、CRノードによって現在使用されている帯域に一次利用者が到達した際にイベントAをトリガする確率であり、これはx%より大きい確率である必要がある。第2の確率要件は、CRノードによって使用されている帯域の近隣の帯域に一次利用者が到達した際にイベントAをトリガする確率であり、これはy%より大きい確率である必要がある。第3は、一次利用者の到達が起こらない場合にイベントAをトリガする誤警報の確率であり、これはz%より大きい確率である必要がある。
【0097】
xの値はできる限り100%の近くに選択される必要があり、一方zの値はできる限り0%の近くに選択される。yの値は、DSMによって使用される周期的スペクトルセンシング期間の頻度により異なる。例えば周期的スペクトルセンシング期間の頻度が低い場合は、DSM管理エリア下のCRノードによって現在使用されている帯域以外の帯域における使用可能なスペクトル機会が非同期サイレント期間を使用するDSMによって追跡できるように、yを比較的大きくする必要がある。管理エリア内のCRノード数もまた、yの値を決定することのできる要因である。
【0098】
トリガされたイベントAは、イベント報告によって別個の制御チャネルでDSMに送信される。DSMは、それ自体の管理エリア内のCRノードからイベントAを一度受信すると、非同期サイレント期間をスケジューリングするためにサイレント期間開始制御メッセージを別個の制御チャネルで送出することができる。
【0099】
システムの堅牢性を向上させ、サイレント期間の信号通信の待ち時間を低減するには、DSMとCRノード間で送信される通常のデータとは別個の周波数である制御チャネルで制御メッセージを送信することができる。制御チャネルは、CRネットワークによって使用される1つの専用周波数に属する複数の無線チャネルからなる。この周波数はCRネットワークのために確保することができるか、または他の一次利用者と共有することができる。後者の場合、複数の可能な周波数を制御チャネルに定義することができ、また、すべての可能な周波数が占有されている場合は、制御チャネル情報が低電力で送信されるアンダーレイアプローチ(underlay approach)を使用することができる。
【0100】
一例として、DSM機能は複数の周波数チャネル機能と共に802.11 APに属する。別個の制御チャネルが802.11に基づくMAC/PHYを使用し続けることができるが、但しこれはサイレント期間制御メッセージと他のスペクトルセンシング関連情報とに必要な管理フレームとデータだけを送信するためである。サイレント期間制御メッセージを802.11に基づく制御チャネル上で経路指定し、その一方で上位レイヤからのいかなる他のメッセージもデータチャネルを介して経路指定されるように、MACサブレイヤの上に導入された上位MACレイヤを導入することができる。
【0101】
別個の制御チャネルのもう1つの選択肢は、記載された制御メッセージのある場所が代わりにPHYレイヤ制御チャネルで置き換えられる場合である。これは、すべてのCRノードを1つの共通タイムベースに同期させることのできる同期チャネルの存在を想定している。ダウンリンクチャネルは、制御情報をDSMからCRノードに伝達するために使用される。アップリンク制御チャネルは、スペクトルセンシングの結果とイベントをCRノードからDSMに送信するために使用される。
【0102】
定常状態の動作では、CRノードが定期的なTX動作とRX動作を実行する場合、サイレント期間は周期的および散発的に発生し、サイレント期間とサイレント期間の間に期間があけられる。サイレント期間の持続時間と発生頻度はDSMによって制御することができ、また、ダウンリンク制御チャネル周期的スペクトルセンシング制御メッセージ(PSCM)の特別フィールドを使用してすべてのCRノードに伝達することができる。すべてのCRノードに対するダウンリンク制御チャネル上のメッセージのタイミングは同期チャネルを介して確立されるので、すべてのCRノードはPSCMを受信するためにいつダウンリンク制御チャネルを読むべきかを認識する。数量T、T、T、TD1、およびTD2は、図16に示すようにPSCMから読み取ることができる。Tは、サイレント期間パターンのフレーム内の繰り返し周期である。Tは、現代のNフレーム命番方式におけるフレーム0と比べて、サイレント期間パターンの第1のサイレント期間の開始フレームである。Tは、サイレント期間パターンの第1のサイレント期間と第2のサイレント期間の間のオフセットである。TD1とTD2は、パターンのサイレント期間1601の持続時間である。残り時間1602に、CRノードは定期的なTX/RX動作を実行することができる。
【0103】
セルラータイプのシステムでは、(また同様に、WiFiに基づくシステムでは)、図17に示すように、イベント構成とイベント報告は、イベントに関連付けられた測定を提供するPHYレイヤの支援により、DSM 1701とCRノード1702のRRCレイヤによってそれぞれ扱われる。RRC−DSM 1701は、RRC−CR 1702それぞれにイベント構成メッセージ1703を送信して、CRノード1702と別のCRノード1702のアクティブなリンク中に当該CRノード1702によって監視されるべきイベントを構成することができる。イベントは、そのイベントに関連付けられた測定のタイプによっては、アクティブにリンク接続していないCRノード1702によっても監視できる。イベント構成制御メッセージは、イベントの監視に関与する各CRノード1702にダウンリンク制御チャネルを介して送信される。次いでCRノード1702のPHYレイヤは、CRノード1702のRRCとPHYの間で、構成されたイベントに関するPHYレイヤ数量を監視するように1704測定メッセージを使用して指示を受けることになる。イベント構成メッセージは、リンクに関連付けられたチャネル品質の監視を要求する。イベント構成メッセージを既に受信している可能性のあるアクティブなリンク接続内のすべてのCRノード1702のPHYレイヤはそれぞれのRRC−CRにチャネル品質測定値1705を周期的に送信することができ、それぞれのRRC−CRはさらにそれぞれの測定値をイベント構成に基づいて処理、すなわちフィルタリングすることができる。フィルタリングは、頻繁なイベントトリガリングと不要なスペクトルセンシング期間を回避するために実行される。これは、イベントがRRCフィルタリング論理によってトリガされることを目的として、チャネル品質が一定量下回る最低期間であるTTT(Time−to−Trigger)を導入することによって達成することができる。一度イベントがトリガされると、RRC−CR 1702はRRC−DSM 1701にイベント報告1706を送信して、イベントの発生とイベントが発生したCRノード1702とをDSM 1701に通知する。これは、このケースにおける測定値をPHYレイヤのCQI測定値として図17に示されている。
【0104】
図17は、PHYレイヤの測定がチャネル品質に関してなされるケースにおける、DSM関連イベントを構成し、報告するために必要なRRC信号通信およびRRCレイヤとPHYレイヤの対話を示している。一般性を失うことなく、2つのCRノード間のリンクで測定されたチャネル品質がその長期平均から一定量急激に低下した場合にイベントAはトリガされ、また、PHYからRRCエンティティに送信される測定値はPHYレイヤのチャネル品質指標(CQI)測定値であってよい。
【0105】
通信状態にある2つのCRノード間の直接リンク、すなわち直接チャネルはCQI測定を目的としているので、送信側の各CRノードは、周知の固定電力基準信号をデータチャネルに埋め込むことができる。受信側CRノードは、それらの周知の基準信号を使用して、送信側CRノードによって使用されるデータリンクのCQIを特定することができる。これと同じ基準信号の集合が、別のノードとのアクティブなリンクを有するすべてのCRノードによって送信される。したがって、CRノードによってアクティブに使用されるすべての認可された帯域のチャネル品質に関する情報が、CRノードネットワーク全体に与えられることになる。CDMA(符号分割多元接続)など、他のPHYに対して別の基準信号を可能としてよい。
【0106】
図18では、トリガされたイベントAは、イベント報告によってアップリンク制御チャネルでDSM 1801に送信される(1803)。DSM 1801は、それ自体の管理エリア内のCRノード1802からイベントAを一度受信すると、メッセージ自体の中に指定されている特定時刻に特定の持続時間で非同期サイレント期間をスケジューリングするためにサイレント期間メッセージをダウンリンク制御チャネルで送出することができる(1804)。サイレント期間の開始は、次に示す遅延t、t、tのいずれかの後で起こる。DSMの管理エリア内にある最も遠いノードへの伝達遅延(t)は、ダウンリンク制御チャネルとアップリンク制御チャネル上でのメッセージ伝達により特定することができる。CRノードが静寂になるために必要な遅延(t)は、PHYバッファをクリアするために必要な遅延を含むことができる。データ送信のためのクワイエッティング期間(t)は、サイレント期間メッセージを受信する直前にCRノードによって送信することができる。
【0107】
サイレント時間の開始は、サイレント期間メッセージの送信後少なくともt + t + tの時刻にスケジューリングされる(1805)。この情報に加え、サイレント期間メッセージは、CRノード1802がそれぞれのスペクトルセンシングの結果の送信後に取る挙動を示すフィールドも含むことができる。CRノード1802は、要求されるサイレント時間にわたってスペクトルセンシングを実行することができる(1807)。CRノード1802は、スペクトルセンシングの結果をアップリンク制御チャネルを介してDSM 1801に送信することができる(1808)。DSM 1801は、スペクトルセンシングの結果の信頼性を評価することができる(1809)。DSM 1801は、PHY再構成メッセージまたはサイレント期間メッセージをダウンリンク制御チャネルで送信することができる(1810)。2つの可能な挙動が予想される(1811)。第1に、CRノード1802は、DSM 1801に送信された結果をさらに洗練するためにスペクトルセンシングを継続することが求められる。この場合、サイレント期間は、DSM 1801によって次のメッセージが受信されるまで暗黙裡に延長される。第2に、CRノード1802は、DSM 1801が別のサイレント期間を命じるまで、またはDSM 1801がスペクトルセンシングの結果に基づいていずれかのCRノード1802を別の周波数に再構成するまで、予め中断したTX/RX動作を継続することが求められる。
【0108】
検討中のシステムは、複数の中央制御装置を有する中央集中型ネットワーク内の広範囲に分配されたCRノードの集合であってよい。すべてのCRノードを1つの中央制御装置に関連付けることができる。このようなネットワークでは、すべてのノードが任意のスロット付きアロハ方式に類似の中央制御装置とスロット同期(slot synchronized)されることを保証する専用同期チャネルを想定することが妥当である。すべてのノードはスロット同期されるが、必ずしもフレーム同期される必要はなくてよいことが想定される。さらに、アクティブに相互通信するアクティブペアと呼ばれる任意のノード対は、必ずしもフレーム同期される必要はなくてよいことも想定される。
【0109】
また、すべてのアクティブペアは同期したクワイエット期間を有する。すなわち、アクティブペアの両方のノードは、1つのフレーム内の全く同じ1つまたは複数のスロットを使用して静寂を維持し、スペクトルを感知することができる。但し、そのようなアクティブペアがN個ある場合には、すべてのペアの1つまたは複数のクワイエット期間はフレーム同期していないので時間的に重なる。各フレーム内のランダムなクワイエット期間を使用して、すべてのアクティブペアのノードを同時に静寂のまま維持する必要性に対処することができる。DSMは、システム内のすべてのアクティブペアのクワイエット期間スケジュールの情報を有することができる。したがって、同期したクワイエット期間は、ネットワーク全体にわたって確率Pquietで確立することができる。
【0110】
この動作方法では、Mを各フレームのスロット数とし、Kを、スペクトルを感知するためにK個のスロットを使用することのできる場合のフレームあたりのクワイエットスロット数とする。M個のスロット中のK個のスロットを、
【0111】
【数1】

【0112】
個の方法のうちの1つの方法によって各フレームでランダムに選択できるものとする。しかし、すべてのアクティブペアのノードは同じK個のクワイエットスロットを選択して同期方式ですべてのフレームの別のパターンにホッピングすることができる。K個のクワイエットスロットは、任意の2つの異なるアクティブペアの間で異なる。
【0113】
ここで、1つのフレーム内の少なくとも1つのスロット内で同時に静寂となるすべてのアクティブノードに対して有限確率Pquietがある。これはどのフレームでもランダムに発生する。例えば、Pquiet=0.3の場合、平均で10個のフレームのうち3個のフレームの少なくとも1つのスロットについては、すべてのアクティブノードが同時に静寂のまま維持されることになる。したがって、任意の時点における所与のN個のアクティブペアについては、その時点の事前定義されたPquiet>x%でノードが静寂に維持されるようにパラメータMとパラメータKが選択される。
【0114】
図19および20を参照すると、ネットワーク内のすべてのノードは、縦方向に引かれた点線で示されるスロットの境界線を共通して認知する。両矢印は、フレームの持続時間とフレーム番号とを示す。矩形波の山はクワイエット期間を示し、矩形波の谷は送信/受信活動を示す。本例では、K=1、M=6、およびN=3である。図19では、すべてのアクティブペアのノードは、各フレームの同じスロット番号で周期的に静寂に維持される。すなわち、アクティブペアAは各フレームの第3のスロットで静寂に維持される一方で、アクティブペアBは各フレームの第2のスロットで静寂に維持される。アクティブペアは相互に同期したフレームではありえないので、すべてのアクティブペアのクワイエット期間は同時に重なりえない。
【0115】
図20に示す例では、各アクティブペアはクワイエットタイムスロットをすべてのフレームの別の位置にランダムに変更することができる。すなわち、アクティブペアAは、フレーム#Nのスロット#3と、フレーム#N+1のスロット#2と、フレーム#Nのスロット#1にクワイエットスロットを持つことができる。アクティブペアBは、フレーム#Nのスロット#2と、フレーム#N+1のスロット#4と、フレーム#Nのスロット#2でクワイエットスロットを持つことができる。アクティブペアCは、フレーム#Nのスロット#5と、フレーム#N+1のスロット#1と、フレーム#Nのスロット#3でクワイエットスロットを持つことができる。クワイエット期間は1つのフレームから別のフレームにランダムにジャンプするので、すべてのアクティブノードが同じスロットで静寂になる有限確率がある。
【0116】
本例はランダムなクワイエットインターバル期間中はK=1を使用するが、各フレームで1つのクワイエットスロットを使用することができる。1つのフレーム内のクワイエットスロット数が増すと、1回の時間枠ですべてのノードを同時に静寂にする確率が高まる。しかしKを高めることで通信時間が低減される。したがって、パラメータを適切に選択して、スペクトルセンシングの持続時間と通信時間との間の最適なトレードオフを確保することができる。
【0117】
実施形態
1.ネットワークの周期的サイレント期間を調整するために動的スペクトルマネージャー(DSM)で使用する方法において、
所定期間中に帯域幅の使用を監視するステップを含むことを特徴とする方法。
【0118】
2.周期的サイレント期間の長さと頻度とを構成するステップと、
構成された頻度で周期的サイレント期間をスケジューリングするステップであって、周期的サイレント期間は、ネットワークのコグニティブ無線(CR)ノードに対する最大サービス品質を維持するステップとをさらに含むことを特徴とする実施形態1記載の方法。
【0119】
3.DSMはアクセスポイント(AP)に存在することを特徴とする実施形態1又は2に記載の方法。
【0120】
4.DSMはホーム進化型ノードB(H(e)NB)に存在することを特徴とする実施形態1又は2に記載の方法。
【0121】
5.ネットワークの非同期サイレント期間を調整するために動的スペクトルマネージャー(DSM)で使用する方法において、
ネットワークの一次利用者を検出するステップを含むことを特徴とする方法。
【0122】
6.ネットワークの1つまたは複数のコグニティブ無線(CR)ノードにサイレント期間開始制御メッセージを送信するステップであって、メッセージは、サイレント期間の開始と持続時間とを示し、スペクトルセンシングを開始するステップをさらに具えたことを特徴とする実施形態5に記載の方法。
【0123】
7.ネットワークにおいて、1つまたは複数のCRノードからスペクトルセンシングの結果を示す測定報告制御メッセージを受信するステップと、
1つまたは複数のCRノードにメッセージを送信するステップであって、メッセージは、スペクトルセンシング結果に基づいて1つまたは複数のCRノードに別の周波数に移動するように指示するステップと
をさらに具えたことを特徴とする実施形態6記載の方法。
【0124】
8.DSMはアクセスポイント(AP)に存在することを特徴とする実施形態5ないし7のいずれかに記載の方法。
【0125】
9.DSMはホーム進化型ノードB(H(e)NB)に存在することを特徴とする実施形態5ないし7のいずれかに記載の方法。
【0126】
10.ネットワークの一次利用者を検出するステップは、チャネル品質指標(CQI)測定値に基づくことを特徴とする実施形態8又は9記載の方法。
【0127】
11.CQI測定値は、2つのCRノード間のリンクの測定されたチャネル品質であることを特徴とする実施形態10記載の方法。
【0128】
12.非同期サイレント期間を調整するために1つまたは複数のコグニティブ無線(CR)ノードで使用する方法において、
サイレント期間トリガ制御メッセージを送信するステップを含むことを特徴とする方法。
【0129】
13.サイレント期間開始制御メッセージを受信するステップであって、このメッセージは、サイレント期間の開始と持続時間とを示し、スペクトルセンシングを開始するステップをさらに含むことを特徴とする実施形態12記載の方法。
【0130】
14.スペクトルセンシングの結果を示す測定報告制御メッセージを送信するステップと、
DSMからメッセージを受信するステップであって、メッセージは、スペクトルセンシング結果に基づいて1つまたは複数のCRノードに別の周波数に移動するように指示するステップとを含むことを特徴とする実施形態13記載の方法。
【0131】
15.サイレント期間トリガ制御メッセージを送信するステップは、CRノードによって検出された環境の変化に基づくことを特徴とする実施形態12ないし14のいずれかに記載の方法。
【0132】
16.環境の変化は、アクティブリンクに関連付けられたキーパラメータの局所的変化からCRノードによって検出されることを特徴とする実施形態15記載の方法。
【0133】
17.キーパラメータは、チャネル品質と、リンクスループットと、再送信回数とを含むことを特徴とする実施形態16記載の方法。
【0134】
18.スペクトルセンシングは、スペクトルセンシングの結果が一次利用者の検出に至らないという条件においてある期間延長されることを特徴とする実施形態13ないし17のいずれかに記載の方法。
【0135】
19.コグニティブ無線(CR)ノードネットワークにおける基本クワイエットインターバルスケジューリングのために動的スペクトルマネージャー(DSM)で使用する方法において、
CRノードネットワークの1つまたは複数のDSMにクワイエットインターバル要求を送信するステップを含むことを特徴とする方法。
【0136】
20.CRノードネットワークの1つまたは複数のDSMからクワイエットインターバル応答を受信するステップであって、クワイエットインターバル要求は、1つまたは複数のDSMのうちのいくつかのDSMによって受諾されるステップと、
CRノードネットワークの1つまたは複数のDSMにクワイエットインターバル要求を送信するステップと
をさらに含むことを特徴とする実施形態19記載の方法。
【0137】
特徴および要素は特定の実施形態で示したが、当業者には、各特徴または各要素は、単独で使用されるか、または他の特徴または要素との任意の組み合わせで使用されることが理解されよう。さらに、本明細書に記載の方法は、コンピュータまたはプロセッサによる実行のためにコンピュータ可読媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、またはファームウエアの形式で実施することができる。コンピュータ可読媒体の例は、(有線接続または無線接続を介して送信される)電子信号とコンピュータ可読記憶媒体とを含む。コンピュータ可読記憶媒体の例は、限定はしないが、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、磁気媒体(内蔵ハードディスクおよび取り外し可能ディスクなど)、光磁気ディスク媒体、および光媒体(CD−ROMなど)、およびデジタル多用途ディスク(DVD)を含むことができる。ソフトウェアに関連付けられたプロセッサは、WTRU、UE端末、基地局、RNC、または任意のホストコンピュータのための無線周波数を実施するために使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークの周期的サイレント期間を調整するために動的スペクトルマネージャー(DSM)で使用する方法であって、
所定期間中に帯域幅の使用を監視するステップと、
周期的サイレント期間の長さと頻度とを構成するステップと、
前記構成された頻度で前記周期的サイレント期間をスケジューリングするステップであって、前記周期的サイレント期間は、前記ネットワークのコグニティブ無線(CR)ノードに対する最大サービス品質(QoS)を維持するステップと
を具えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記DSMは、アクセスポイント(AP)に存在することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記DSMは、ホーム進化型ノードB(H(e)NB)に存在することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
ネットワークの非同期サイレント期間を調整するために動的スペクトルマネージャー(DSM)で使用する方法において、
前記ネットワークの一次利用者を検出するステップと、
前記ネットワークの1つまたは複数のコグニティブ無線(CR)ノードにサイレント期間開始制御メッセージを送信するステップであって、前記メッセージは、サイレント期間の開始と持続時間とを示し、スペクトルセンシングを開始するステップと、
前記ネットワークにおいて、前記1つまたは複数のCRノードからスペクトルセンシングの結果を示す測定報告制御メッセージを受信するステップと、
前記1つまたは複数のCRノードにメッセージを送信するステップであって、前記メッセージは、前記スペクトルセンシング結果に基づいて前記1つまたは複数のCRノードに別の周波数に移動するように指示するステップと
を具えたことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記DSMは、アクセスポイント(AP)に存在することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記DSMは、ホーム進化型ノードB(H(e)NB)に存在することを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記ネットワークの一次利用者を検出する前記ステップは、チャネル品質指標(CQI)測定値に基づくことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項8】
前記CQI測定値は、2つのCRノード間のリンクの測定されたチャネル品質であることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
非同期サイレント期間を調整するために1つまたは複数のコグニティブ無線(CR)ノードで使用する方法であって、
サイレント期間トリガ制御メッセージを送信するステップと、
サイレント期間開始制御メッセージを受信するステップであって、前記メッセージは、サイレント期間の開始と持続時間とを示し、スペクトルセンシングを開始するステップと、
スペクトルセンシングの結果を示す測定報告制御メッセージを送信するステップと、
前記DSMからメッセージを受信するステップであって、前記メッセージは、前記スペクトルセンシング結果に基づいて前記1つまたは複数のCRノードに別の周波数に移動するように指示するステップと
を具えたことを特徴とする方法。
【請求項10】
サイレント期間トリガ制御メッセージを送信するステップは、前記CRノードによって検出された環境の変化に基づくことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記環境の変化は、アクティブリンクに関連付けられたキーパラメータの局所的変化から前記CRノードによって検出されることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記キーパラメータは、チャネル品質と、リンクスループットと、再送信回数とを含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記スペクトルセンシングは、前記スペクトルセンシングの結果が一次利用者の検出に至らないという条件においてある期間延長されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項14】
コグニティブ無線(CR)ノードネットワークにおける基本クワイエットインターバルスケジューリングのために動的スペクトルマネージャー(DSM)で使用する方法であって、
前記CRノードネットワークの1つまたは複数のDSMにクワイエットインターバル要求を送信するステップと、
前記CRノードネットワークの前記1つまたは複数のDSMからクワイエットインターバル応答を受信するステップであって、前記クワイエットインターバル要求は、前記1つまたは複数のDSMのうちのいくつかのDSMによって受諾されるステップと、
前記CRノードネットワークの前記1つまたは複数のDSMにクワイエットインターバル確認メッセージを送信するステップと
を具えたことを特徴とする方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2013−511240(P2013−511240A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539964(P2012−539964)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/056738
【国際公開番号】WO2011/060376
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
2.GSM
【出願人】(510030995)インターデイジタル パテント ホールディングス インコーポレイテッド (229)
【Fターム(参考)】