説明

動的IPアドレス割当てを用いたSIPまたはH.323に基づくサービスのためのユーザの位置を突き止める方法およびシステム

本発明の目的は、アクセスネットワーク(1,2)を用いて、IPサービス(15)にアクセスするときの端末の位置を突き止めることである。この目的のため、端末(10)にIPアドレスを割り当てるための方法が実行され、端末に割り当てられたIPアドレスを、端末またはユーザの識別子および端末がアクセスネットワーク(1,2)にアクセスしているアクセスポイントの識別子と関連付けてデータベース(8)が記憶し、当該アクセスポイントが位置情報と関連付けられており、端末またはユーザの識別子に関連付けられている位置情報をデータベースがサービスに転送する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、IP電話、リアルタイム映像、またはマルチメディアインスタントメッセージサービスのようなIP(Internet Protocol)マルチメディアサービスを供給する構造(アーキテクテャー)の配置に関するものである。
【0002】
このようなアーキテクテャーは、一般に、ユーザへの動的IPアドレス割当てのためのDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)プロトコルだけでなく、IPセッションの開始、および、SIP(Session Initiation Protocol)やH.232(Packet-Based Multimedia Communications Systems)のような制御プロトコルの実行に基づいている。
【0003】
IP接続を提供する有線または無線ネットワークに接続することにより、ユーザは、DHCPサーバからIPアドレスを取得する。DHCPサーバにより、ユーザは、IP通信の経路を定めることができ、SIPやH.232のようなIPシグナリングプロトコルを使用することができる。その後、ユーザは、コールサーバ(SIPまたはH.232のゲートキーパーサーバ)に登録するために、端末にインストールされたSIPまたはH.232のクライアントを使用する。これは、IP上でマルチメディアサービスを提供するサービスプラットフォームにアクセスすることを目的としている。一度登録されると、ユーザは、特に、IP上において音声呼び出し(ボイスコール)の開始および受信を行うことができる。
【0004】
リモートアクセス手順により、ユーザは、動き回ることができるとともに、当該ユーザが加入しているマルチメディアサービスの位置を突き止めることができる。様々は関係者(アクセスネットワークプロバイダー、インターネットアクセスプロバイダー、IPサービスプロバイダーなど)間の合意がある場合には、これは、使用しているアクセスネットワークに関係がない。
【0005】
特定のサービスを実行するには、呼び出しするユーザまたは呼び出しを受けるユーザのいずれかの地理的またはネットワーク上の位置の認識が必要とされることがわかる。この情報は、特に次のようなケースに必要となる。
【0006】
緊急サービスへの呼び出しは、呼び出し者に最も近い緊急応答センターへの経路が定められなければならない。これには、呼び出し者の位置が確実に知られている必要がある。
【0007】
さらに、多数の付加価値サービスは、入ってくる呼び出し又は出て行く呼び出しのルーティングやユーザに提供されるサービスを位置に基づいて適合させるために、ユーザの地理的および/またはネットワーク上の位置を利用している。
【0008】
SIPやH.323プロトコルに基づいた、IPマルチメディアサービスを提供するためのアーキテクテャーに使用される基本原理を図2に示した。
【0009】
ユーザ端末10は、アクセスサーバ3を介してIPネットワークに接続可能とするアクセスネットワークインターフェイスを備えている。この接続は、アクセスネットワークによる端末および/またはユーザの認証21を条件として、実現されてもよい。
【0010】
端末がアクセスネットワークによって提供されるサービスにアクセスした瞬間から、当該端末は、IPアドレスを取得するため、および、IPトランスポート層にアクセスする端末を構成するために必要とされる情報を得るために、DHCPプロトコルによって提供される機構を実行する。当該情報としては、DNSサーバ(ドメインネームサーバ)のアドレス、IPアドレス割当てのリース期間、などである。この手順を終了すると、端末には、IPアドレスの割り当て23がなされる。
【0011】
一度IPアドレスを取得すると、端末10に備えられたSIPまたはH.232のクライアントは、登録要求25をサービスプラットフォームのコールサーバ16に送る。この登録もまた、サービスプラットフォームレベルでの端末および/またはユーザの認証24を条件として、実現されてもよい。
【0012】
一度この登録がなされると、ユーザは、プラットフォームサービスによってアクティブ(実行中)と認識される。プラットフォームサービスにより、ユーザは、マルチメディアセッション26の開始だけでなく、呼び出し(コール)の送信および受信を実行することができる。
【0013】
SIPおよびH.232のようなシグナリングプロトコルは、もともと携帯ユーザをサポートしている。これらのプロトコルは、全てのユーザがどの端末およびアクセスネットワークからでも登録可能な登録処理を実行する。もちろん、ユーザが十分な権利を有していることが条件である。このサービスプラットフォームおよび関連するアプリケーションは、その後、ユーザのIPアドレスを持ち、それにより、接続状況を把握する。
【0014】
しかしながら、いずれの移動管理機構も有していないアクセスネットワークでは、SIPやH.232プロトコルに基づいたサービスプラットフォームが当該アクセスネットワークからユーザの地理的またはネットワーク上の位置情報(ユーザのIP通信量(traffic)を管理する機器のアドレス)を取得することが可能な手順が存在しない。実際問題として、サービスプラットフォームは、ユーザの位置を確実に突き止めるには不十分である、ユーザの身元およびそのIPアドレスのみを把握している。ある特定の状況では、IPアドレスが割り当てられているネットワークを決定するために、IPアドレス解決を使用することができる。しかしながら、当該IPアドレスは、ユーザの位置を証明するためには不確実すぎる情報の1つである。例えば、“アンチスプーフィング(anti-spoofing)”機能(IPアドレスのアンチセフト(anti-theft)機能)のない状態では、悪意のある者が無線インターフェイスを用いてIPネットワークに接続されている端末のIPアドレスを盗むことは容易である。さらに、DHCP手順によって割り当てられたIPアドレスがプライベートIPネットワークに属し、NAT(Network Address Translator)機能が実行されている場合、サービスプラットフォームによって確認されるIPアドレスは、NAT機能によって割り当てられたパブリックIPアドレスであり、アクセス中の端末に割り当てられたプライベートIPアドレス(パブリックネットワークには通知されていない)ではない。このように、このIPアドレスは、ユーザ端末または当該端末が接続された機器によって使用されているものと対応していない。
【0015】
ユーザに対してこの位置情報の提供を要求することが考えられる。しかしながら、宣言モード(declarative mode)を伴うため、提供された情報は信用できない。この情報は、GPSのような地理的位置システムの手法を用いて、端末により自動的に知らされてもよい。しかしながら、近年、これらのシステムは、よく知られており、高価である。
【0016】
あらゆる事項を考慮しても、これまで、SIPやH.232プロトコルに基づいたサービスプラットフォームが、一定のアクセスにおける登録されたユーザについての正確な位置情報を動的に取得することが可能な手順は存在しない。なお、広義において携帯電話ネットワークを除く。
【0017】
本発明の目的は、ユーザが登録に用いた端末のネットワーク上および地理的な位置に関する高い信頼性がありかつ正確な情報を提供することを目的とし、ネットワークへのアクセスポイントの地理的な構成に関してアクセスネットワークのオペレータにより把握されている正確な情報を利用することにより、この不都合をなくすことを目的としている。この目的は、アクセスネットワークの手法により端末がアクセス可能なIPサービスを介してユーザ端末の位置を突き止める方法を提供することにより達成される。この方法は、端末にIPアドレスが割り当てられる、IPアドレスの端末への分配処理の実行を含んでいる。
【0018】
さらに、データベースは、端末に割り当てられたIPアドレスを、端末またはユーザの識別子およびアクセスネットワークへの端末のアクセスポイントを示す識別子と関連づけて記憶する。アクセスポイントは、位置情報に関連付けられている。そして、データベースは、端末またはユーザの識別子に関連付けられた位置情報をサービスに送信する。
【0019】
別の構成によれば、端末は、IPアドレスの要求メッセージをアドレスサーバに送信したとき、当該IPアドレスの要求メッセージに端末またはユーザの識別子を挿入する。
【0020】
さらに別の構成によれば、端末は、IPアドレスの要求メッセージをアクセスサーバを介してアドレスサーバに送信する。そして、アクセスサーバは、当該IPアドレスの要求メッセージにアクセスポイントの識別子を挿入する。
【0021】
さらに別の構成によれば、サービスに対するユーザ識別子に基づいて端末が当該サービスにアクセスするとき、データベースは、当該サービスに対するユーザ識別子を、端末またはユーザの識別子に既に関連付けられている情報と関連付けて記憶する。そして、サービスは、当該サービスに対するユーザ識別子から、端末の位置情報を取得する。
【0022】
さらに別の構成によれば、サービスには、データベースに変更がある場合に、端末に対する位置情報が自動的に通知される。
【0023】
さらに、端末またはユーザの識別子を端末によって生成される乱数として規定することもできる。
【0024】
別の構成によれば、データベースは、アクセスポイントの識別子を用いて、アクセスネットワークおよびIP転送のオペレータの情報システムから端末の位置情報を取得する。
【0025】
本発明はまた、アクセスネットワークを介してIP転送ネットワークに接続されるユーザ端末の位置を突き止める少なくとも1つのIPサービスにアクセス可能なデータベースに関するものである。そして、当該データベースは、
所定のユーザ端末に対して、当該端末に割り当てられたIPアドレスを、端末またはユーザの識別子およびアクセスネットワークへの端末のアクセスポイントを示す識別子に関連付けて記憶し、当該アクセスポイントは当該端末に対する位置情報と関連付けられており、
端末またはユーザの識別子に関連付けられている位置情報を、上記サービスに送信する。
【0026】
別の構成によれば、データベースは、アクセスネットワークおよびIP転送ネットワークのオペレータの情報システムに、ユーザの位置を突き止める要求を送信するように設計されている。当該要求は、端末がアクセスネットワークに接続する際のアクセスポイントを示す識別子を含んでいる。
【0027】
さらに、本発明は、少なくとも1つのアクセスネットワークが接続されたIP転送ネットワークに対するIPアドレスサーバに関するものである。IPアドレスサーバは、端末がIP転送ネットワークにアクセスするために当該端末にIPアドレスを割り当てる手段と、端末がIPサービスにアクセスしている間に端末によって送信されたIPアドレス要求を受信する手段とを備えている。さらに、IPアドレスサーバは、
IPアドレス要求から、端末の識別子と、アクセスネットワークへの端末のアクセスポイントを示す識別子とを抽出する手段と、
IPアドレス要求から抽出された上記の情報を、端末に割り当てられたIPアドレスと関連付けてデータベースに更新する手段と、を備える。
【0028】
また、本発明は、端末がアクセスネットワークおよびIP転送ネットワークを介してIPサービスにアクセス可能とするために、アクセスネットワークおよびIP転送ネットワークに接続されるアクセスサーバに関するものである。当該アクセスサーバは、ユーザ端末によって送信されたIPアドレス要求を受信し、IPアドレスサーバに転送する手段と、受信したIPアドレス要求をIPアドレスサーバに転送する前に、当該IPアドレス要求に、アクセスネットワークへの端末のアクセスポイントを示す識別子を挿入する手段とを備えている。
【0029】
さらに、本発明は、アクセスネットワークおよびIP転送ネットワークを介して少なくとも1つのIPサービスにアクセスする端末であって、IPアドレス要求をIPアドレスサーバに送信する手段と、上記要求に端末またはユーザの識別子を挿入する手段とを備える端末に関するものである。
【0030】
上記端末の別の構成によれば、端末の識別子として使用される乱数を生成する手段が備えられている。
【0031】
本発明の好ましい実施形態を、何ら限定されない実例の目的について、添付の図面を参照して以下に説明する。
【0032】
図1は、SIPまたはH.323のシグナリングプロトコルに基づいたサービスへのアクセスのためのシステムの概要図である。
【0033】
図2は、従来における、SIPまたはH.323プロトコルに基づいたマルチメディアサービスへのアクセスのための概要図である。
【0034】
図3は、本発明に係る、ユーザ端末がIPマルチメディアサービスにアクセスする際の、ダイナミックIPアドレス割当ての処理手順を示すフローチャートである。
【0035】
図4は、本発明に係る、ユーザをIPマルチメディアサービスに登録するための処理手順を示すフローチャートである。
【0036】
図5は、ユーザに対する位置情報を取得するいくつかの処理手順を示すフローチャートである。
【0037】
図1は、端末10を有するユーザがIPマルチメディアサービスにアクセス可能となるシステムを示している。このシステムのセッション制御は、SIPまたはH.323のシグナリングプロトコルに基づいている。
【0038】
このようなサービスは、一般に、コールサーバ16およびアプリケーションサーバ17を含むサービスプラットフォームによって提供される。当該プラットフォームは、サービスプロバイダーのIPネットワーク上で主催される(hosted)。このようなサービスプラットフォームにアクセスするために、端末10を有するユーザは、アクセスネットワーク1・2およびアクセスサーバ3・4を介して、コアネットワークまたはIP転送ネットワーク5にアクセスしなければならない。
【0039】
IP転送ネットワーク5は、アクセスサーバに接続されているDHCPサーバ6およびシグナリングプロキシ7を含む。DHCPサーバは、ユーザ端末が転送ネットワーク5にアクセスできるようにするために、IPアドレスの動的割当てに関与する。
【0040】
SIPまたはH.323のプロトコルに基づくサービスプラットフォームが、オペレータによって保証されたユーザに対する位置情報を、ユーザが登録したときからユーザがIPアドレスを持ったときに取得できるように、本発明は以下のことを提案する。SIPまたはH.323のプロトコルに基づいたIPマルチメディアサービスプラットフォームによって提供されるサービスにアクセスするためにアクセスネットワーク1・2に接続されるユーザの端末によって実行される手順、特に、ユーザにIPアドレスを分配するためのDHCP手順およびユーザをサービスプラットフォームに登録するための手順の間に、ユーザまたは当該ユーザの端末を示す識別子を伝える。
【0041】
この目的のために、本発明に係るアクセスネットワーク1・2およびIP転送ネットワーク5は、アクセスサーバ3・4、DHCPサーバ6およびシグナリングプロキシ7にアクセス可能なデータベース8を含む。このデータベースは、アクセスネットワーク1・2に接続されているユーザのデータ、つまり、各ユーザの身元および接続のために当該ユーザに割り当てらているIPアドレス、の間の相関を保証している。このデータベースは、アクセスサーバ3・4、DHCPサーバ6および信号プロクシ7を経由し、IP転送ネットワークを通じて更新される。そして、このデータベースは、サービスプラットフォームに対してリード・アクセス可能である。さらに、データベース8は、アクセスネットワーク1・2の特徴およびその種々の構成要素の地理的位置、特に、ユーザ端末が接続されるアクセスポイント、に関する情報を提供する。この情報は、前もってアクセスネットワーク1・2のオペレータの情報システム9から取得されている。
【0042】
第1の段階において、IPマルチメディアサービスへのアクセスの間に伝送されたユーザまたは端末の識別子は、DHCPサーバ6によるアドレス割当て処理において、アクセスネットワークのレベルで使用される。その結果、ユーザまたは端末の識別子は、DHCPサーバによって端末10に割り当てられたIPアドレスと関連付けられる。割り当てられたIPアドレスとユーザまたは端末の識別子とは、ユーザ端末10が接続される物理的なアクセスポイントに対する物理的な座標と関連付けて、データベース8に格納される。それから、データベース8は、この物理的なアクセスポイントに対する地理的な座標を決定することができる。
【0043】
第2の段階において、ユーザまたは端末の識別子は、ユーザのサービスプラットフォームへの登録のための処理の間に、シグナリングプロキシ7に送信される。この構成により、シグナリングプロキシは、ユーザがサービスにアクセスする際のサービスアイデンティティを用いて、データベース8を更新することができる。ユーザをサービスプラットフォームに登録する手順は、標準的である。ユーザは、そのサービスアイデンティティを用いて登録する。登録が一旦成功すると、サービスプラットフォームは、データベース8から、ユーザによって登録されているサービスアイデンティティに関連付けられている位置情報を取得することができる。この位置情報は、コンサルテーションモードまたはノーティフィケーションモードの何れかで取得されてもよい。コンサルテーションモードでは、サービスプラットフォームは、データベース8に、ユーザのサービスアイデンティティに対応する位置情報に関する要求を送信する。ノーティフィケーションモードでは、サービスプラットフォームは、データベース8によって位置情報が動的に通知される。
【0044】
図3は、DHCPサーバを介したIPアドレス割当てについての本発明による処理手順を示している。
【0045】
当該処理手順のまず最初のステップ31では、ユーザ端末10は、相関パラメータとして機能するユーザまたは端末の識別子である“クライアント−ID”を、DHCPサーバ6に送信されるDHCP_Discover要求に挿入する。当該端末には、この目的のためのインターフェイスが備え付けられている。“クライアント−ID”識別子は、例えば、DHCPメッセージの“クライアント−識別子”フィールド(オプションコード61)に挿入される。
【0046】
次のステップ32において、DHCP_Discoverメッセージは、DHCPサーバ6の送り先に従って、ユーザ端末10が接続されているアクセスネットワーク1・2に配布される。このメッセージは、端末のネットワークインターフェイスカードのMACアドレス(“chaddr”パラメータ)、処理の識別子(“xid”パラメータ)、および“クライアント−ID”パラメータを含んでいる。
【0047】
次のステップ33において、このメッセージは、ユーザのアクセスネットワーク1・2のためのアクセスサーバ3・4によって傍受される。このアクセスサーバは、その後、メッセージに含まれるMACアドレスおよび“クライアント−ID”識別子を記憶することにより、DHCP中継装置として機能する。次のステップ34において、アクセスサーバは、傍受したメッセージに、ユーザ端末が接続される回線を示す識別子“アクセス−ID”を挿入する。これは、DHCP_Discoverメッセージの“中継手段情報”フィールド(オプションコード82)に挿入される。次のステップ35において、このようにして完成されたメッセージが、DHCPサーバ6に伝送される。
【0048】
次のステップ36において、DHCPサーバは、DHCP_Discoverメッセージを受信し、端末に対して提案されたIPアドレス(パラメータ“yiaddr”)を含むDHCP_Offerメッセージを端末に返信する。。このIPアドレスは、アクセスサーバ3・4に割り当て可能なアドレスのプールの中から選択される。次のステップ37において、アクセスサーバは、このメッセージを受信し、それをユーザ端末に送る。
【0049】
ステップ38において当該メッセージを受信することにより、ユーザ端末は、受信したDHCP_Offerメッセージに含まれるIPアドレスの使用を要求するために、DHCP_RequestメッセージをDHCPサーバに送信する。DHCP_Requestメッセージもまた、端末のネットワークインターフェイスカードのMACアドレス(“chaddr”)、処理を示す識別子(“xid”)、および“クライアント−識別子”を含んでいる。ステップ39において、アクセスサーバは、このメッセージを傍受し、その中、例えば、“中継手段情報”フィールドに回線識別子“アクセス−ID”を挿入する(ステップ40)。そして、アクセスサーバは、それをDHCPサーバ6に送信する(ステップ41)。
【0050】
ステップ42において、DHCPサーバは、このメッセージを受信し、そこに含まれる情報、つまり、端末に割り当てられたIPアドレス、識別子“クライアント−ID”およびアクセスポイントの識別子“アクセス−ID”を抽出する。そして、DHCPサーバは、データベース8の更新要求の際に当該情報を送信する。ステップ43において、データベースは、この情報を受信し蓄積する。そして、データベースは、受信したことを示すメッセージを送信する。その中において、SIP登録を実行するために、ユーザによって接触されるシグナリングプロキシのアドレスを含めることもできる。ステップ44において、このメッセージは、DHCPサーバによって受信される。DHCPサーバは、ユーザがIPアドレスを使用できる期間およびシグナリングプロキシや使用されるDNSサーバのアドレスのような考えられる他の情報を含むDHCP_ACKメッセージを端末に送信することにより、ユーザに対してIPアドレスを使用する権利を承認する。この情報は、データベース8から取得するか、DHCPサーバに予め格納されている。次のステップ45において、DHCP_ACKメッセージは、アクセスサーバによってユーザ端末10に中継される。
【0051】
端末がIPアドレスを有すると、図4に示される登録手順に従って、それはサービスプラットフォームに登録されてもよい。この図に示される手順は、SIPプロトコルに従っている。似たような手順が、H.323プロトコルに従って示され、記述されてもよい。
【0052】
この処理の最初のステップ51において、端末は、登録メッセージ“SIP_Register”を送信するために、前もって受信した情報、つまり、割り当てられたIPアドレス、使用されるシグナリングプロキシ7のアドレスを使用する。登録メッセージ“SIP_Register”もまた、2つの処理の間の相関パラメータとして使用される識別子“クライアント−ID”だけでなく、“from”および“to”フィールドに“Use1_Public1@home.com”の形式のユーザに対するSIP識別子を含む(“home.com”は、ユーザによって要求されたサービスのドメインを指定している)。前者は、例えば、SIPメッセージの“Proxy Authorization”フィールドのパラメータ“ダイジェスト−ユーザネーム”に挿入される。
【0053】
次のステップ52において、SIP_Registerメッセージは、アクセスサーバ3・4を介してシグナリングプロキシ7に伝送される。これは、SIP−トランスペアレントである。ステップ53において、シグナリングプロキシは、このメッセージを受信し、識別子“クライアント−ID”をユーザのSIP識別子と関連付けて記憶する。そして、シグナリングプロキシは、更新要求メッセージにおいて、この情報をデータベース8に送る。識別子“クライアント−ID”により、データベース8は、ユーザのSIP識別子を、当該“クライアント−ID”によって識別されるユーザについて格納されている他の情報と関連付けて記憶することができる。データベースは、その後、この情報の受信を確認する(ステップ54)。続いてステップ55において、シグナリングプロキシ7は、受信したSIP_Registerメッセージから、識別子“クライアント−ID”を含む“プロキシ−認証”フィールドを削除する。そして、シグナリングプロキシ7は、ユーザ端末が接続されているアクセスネットワーク1・2を識別する“P−Visited−Network−ID”フィールドをそれに追加する。ステップ56では、シグナリングプロキシ7は、このようにして作成されたSIP_Registerメッセージを、ユーザによって要求されるサービスのためのコールサーバ16に伝送する。このメッセージの受信により、コールサーバは、ユーザの認証処理57を実行する。ユーザが当該サービスにアクセス可能であると認証された場合、その後ステップ58において、コールサーバは、受信したSIP_Registerメッセージの応答において、承認を示すSIP_OKメッセージを送信する。登録された識別子と関連付けられたいくつかの識別子をユーザが有している場合、コールサーバは、SIP_OKメッセージの“P-Associated_URI”フィールドにおいて、関連する識別子(“User1_Public2@home.com”、“User1_Public3@home.com”、“User1_Public4@home.com”)が暗黙のうちに登録されていることを示す。
【0054】
SIP_OKメッセージを受信することによって(ステップ59)、シグナリングプロキシは、登録されている識別子と関連付けられている識別子を発見するために、メッセージの内容を調査する。そして、シグナリングプロキシは、データベースが“クライアント−ID”によって識別されるユーザに対応する格納情報を完全なものにするために、識別子“クライアント_ID”に関連付けられているこの情報を用いたデータベース8の更新を実行させる。この情報は、ステップ60においてデータベース8によって受信され、データベース8はその受信を確認する。ステップ61においてこの情報を受信することにより、プロキシは、SOP_OKメッセージをアクセスサーバ3・4に送信する。そして、ステップ62において、アクセスサーバ3・4は同様にして当該メッセージを端末に送信する。
【0055】
データベース8は、ユーザの地理的位置に関する情報、例えば、後者のメーリングアドレス、を見つける能力を有する。この目的のために、位置の突き止め手順の最初のステップ71において、データベース8は、アクセスネットワークおよびユーザが接続されているIP転送ネットワークのオペレータの情報システム9にユーザ位置要求を送る。この位置要求は、ユーザが接続されるネットワークへのアクセスポイントを示す識別子であるアクセス−IDを含む。次のステップ72において、情報システムは、要求された情報を返信する。
【0056】
さらに、IPマルチメディアによるユーザ登録の過程の間、例えば、SIP_Registerメッセージの受信時、または、SIP_OKメッセージを送信後に、コールサーバ16または例えば登録時に接触していたサービスプラットフォームの専用アプリケーションサーバは、所定の識別子のもとで登録されているユーザについての(ネットワーク上または地理的な)位置情報を要求してもよい。
【0057】
コールサーバ16または専用アプリケーションサーバ17が前もって通知サービスに参加している場合、データベース8は、識別子“User1_Public1@home.com”で登録されているユーザの地理的な位置の変化を、コールサーバまたはアプリケーションサーバに自動的に通知することができる(ステップ73)。当該サーバが属するドメイン(またはネットワーク)の名(「home.com」)により、正確に通知メッセージを伝達することができる。この通知の受信により(ステップ74)、コールサーバまたは専用アプリケーションサーバは、位置情報の受信を確証する。
【0058】
通知サービスが存在しない場合、もしくは、コールサーバ16または専用アプリケーションサーバ17がそのようなサービスに参加していない場合、サーバ16・17は、形式“User1_Public1@home.com”を有する、サービスのための識別子をもつユーザについての位置情報をデータベースに要求する必要がある(ステップ75)。この要求は、ユーザ識別子を含むリクエストをデータベースに送ることによりなされる。この目的のために、シグナリングプロキシ7によって送信されたSIP_Registerメッセージで伝えられる「P-visited-network」情報から問い合わされるネットワークおよびデータベース8を前もって決定すべきである。
【0059】
前もって設定されている取り決めに基づいて、ユーザが接続しているアクセスネットワークのデータベース8は、ユーザの識別子に関連付けられている地理的な位置情報を、コールサーバ16または専用アプリケーションサーバ17に返信する。
【0060】
具体的な目的のために、本発明は、プライベートネットワークでのIPアドレスの割り当てのためのDHCPプロトコル、および、DHCP中継を含む、サービスのノードレベルでのNAT機能を実行することにより実現されてもよい。さらに、DHCPサーバ6とのインターフェイスは、DHCPプロトコルに従うことができる。採用されているコール制御プロトコルはSIPであってもよい。さらに、アクセスサーバのデータベース8は、SOAP(Simple Object Access Protocol)プロトコルを介してアクセス可能な2つのフロントエンドを有していてもよい。一方が更新用であり、他方が情報読み出し用である。
【0061】
IPアドレス割り当ておよび登録処理と相関して使用されるユーザ識別子は、ユーザ端末によって生成される乱数であってもよい。この場合、識別子として使用されている乱数がすでにユーザを識別するためにデータベースで使用されているとき、データベース8は、ステップ43において更新要求を拒絶する。この拒絶は、DHCPのIPアドレス割り当て要求の拒絶に繋がる。その後、端末は、新しい乱数によるIPアドレス要求を繰り返す。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、SIPまたはH.323のシグナリングプロトコルに基づいたサービスへのアクセスのためのシステムの概要図である。
【図2】図2は、従来における、SIPまたはH.323プロトコルに基づいたマルチメディアサービスへのアクセスのための概要図である。
【図3】図3は、本発明に係る、ユーザ端末がIPマルチメディアサービスにアクセスする際の、ダイナミックIPアドレス割当ての処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明に係る、ユーザをIPマルチメディアサービスに登録するための処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、ユーザに対する位置情報を取得するいくつかの処理手順を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末(10)がアクセスネットワーク(1,2)を介してアクセス可能なIPサービス(15)によって当該ユーザ端末(10)の位置の突き止めを可能とする方法であって、
上記端末(10)にIPアドレスが割り当てられる、IPアドレスの上記端末(10)への配布処理の実行を含み、
データベース(8)が、上記端末(10)に割り当てられたIPアドレスを、端末またはユーザの識別子およびアクセスネットワーク(1,2)への上記端末のアクセスポイントを示す識別子と関連付けて記憶し、当該アクセスポイントが位置情報と関連付けられており、
上記データベース(8)が、端末またはユーザの識別子と関連付けられている上記位置情報を上記サービスに送信することを特徴とする方法。
【請求項2】
上記端末がIPアドレスの要求メッセージをアドレスサーバ(6)に送信するとき、端末またはユーザの識別子を上記IPアドレスの要求メッセージに挿入する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記端末がアクセスサーバ(1,2)を介してIPアドレスの要求メッセージをアドレスサーバ(6)に送信するとき、上記アクセスサーバ(1,2)は、上記アクセスポイントの識別子を上記IPアドレスの要求メッセージに挿入する請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
サービスに対するユーザ識別子に基づいて上記端末(10)が当該サービスにアクセスするとき、上記データベース(8)は、当該サービスに対するユーザ識別子を、端末またはユーザの識別子と既に関連付けられている情報と関連付けて記憶し、
上記サービス(15)は、上記サービスに対するユーザ識別子から上記端末に対する位置情報を取得する請求項1ないし3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
上記サービスは、上記データベース(8)に変更がある場合に、上記端末(10)に対する位置情報が自動的に通知される請求項1ないし4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
上記端末またはユーザの識別子は、上記端末(10)によって生成される乱数である請求項1ないし5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
上記データベース(8)は、アクセスポイントの識別子を用いて、ネットワークアクセスおよびIP転送ネットワークのオペレータの情報システム(9)から上記端末に対する位置情報を取得する請求項1ないし6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
アクセスネットワーク(1,2)を介してIP転送ネットワークに接続されるユーザ端末の位置を突き止めるための少なくとも1つのIPサービスにアクセス可能なデータベース(8)であって、
所定のユーザ端末について、当該端末に割り当てられたIPアドレスを、端末またはユーザの識別子およびアクセスネットワーク(1,2)への当該端末のアクセスポイントを示す識別子と関連付けて記憶し、当該アクセスポイントが当該端末の位置情報と関連付けられており、
上記端末またはユーザの識別子と関連付けられている位置情報を上記サービスに送信するように設計されているデータベース。
【請求項9】
ユーザの位置の要求を、ネットワークアクセスおよびIP転送ネットワークオペレータの情報システム(9)に送信し、当該要求は、上記アクセスネットワークに接続されている上記端末のアクセスポイントを示す識別子を含んでいる請求項8に記載のデータベース。
【請求項10】
少なくとも1つのアクセスネットワーク(1,2)が接続されているIP転送ネットワークのためのIPアドレスサーバ(6)であって、上記端末がIP転送ネットワークにアクセスするために上記端末にIPアドレスを割り当てる手段と、IPサービス(15)へのアクセスの間に上記端末によって送信されたIPアドレス要求を受信するための手段とを備えており、
上記IPアドレス要求から、上記端末(10)を示す識別子と上記アクセスネットワークへの上記端末のアクセスポイントを示す識別子とを抽出する手段と、
上記端末に割り当てられたIPアドレスと関連付けて上記IPアドレス要求から抽出された情報をデータベース(8)に更新する手段とを備えることを特徴とするIPアドレスサーバ。
【請求項11】
端末がアクセスネットワーク(1,2)および転送ネットワーク(5)を介してIPサービスにアクセスできるようにするために、上記アクセスネットワーク(1,2)およびIP転送ネットワーク(5)に接続されるアクセスサーバ(3,4)であって、ユーザ端末によって送信されたIPアドレス要求を受信し、IPアドレスサーバ(6)に送る手段を備えるアクセスサーバ(3,4)において、
受信したIPアドレス要求を上記IPアドレスサーバ(6)に送る前に、当該IPアドレス要求に、上記アクセスネットワークへの上記端末のアクセスポイントを示す識別子を挿入する手段を備えることを特徴とするアクセスサーバ。
【請求項12】
アクセスネットワーク(1,2)およびIP転送ネットワーク(5)を介して少なくとも1つのIPサービスにアクセスする端末(10)であって、IPアドレスの要求をIPアドレスサーバに送信する手段を備えた端末において、
上記要求に端末(10)またはユーザの識別子を挿入する手段を備えることを特徴とする端末。
【請求項13】
端末の識別子として使用される乱数を生成する手段が備えられている請求項12に記載の端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−511229(P2008−511229A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528918(P2007−528918)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【国際出願番号】PCT/FR2005/002099
【国際公開番号】WO2006/024791
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(591034154)フランス テレコム (290)
【Fターム(参考)】