勾配抽出を備える半鏡面の中空のバックライト
本願において、出力面を含む中空の光リサイクリングキャビティを形成する前面反射体と、背面反射体と、を含むバックライトが開示される。上記バックライトはまた、中空の光リサイクリングキャビティ内に配置された半鏡面素子と、光抽出素子と、を含む。光抽出素子は勾配鏡面性を有する。上記バックライトは、光リサイクリングキャビティ内に光を注入するように配置された1つ以上の光源も含む。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
バックライトは、バックライトの出力エリアに対して光源がどこに位置決めされるかによって2つのカテゴリーのいずれかに分類されると考えられる。ここでバックライトの「出力エリア」とは、ディスプレイ装置の可視領域すなわち可視区域に相当する。本明細書では、このバックライトの「出力エリア」を、出力領域又は表面そのものと、出力領域又は表面の面積(平方メートル、平方ミリメートル、平方インチなどの単位を有する数量)と、を区別するために、時に「出力領域」又は「出力面」と呼ぶ。
【0002】
第1のカテゴリーは「エッジライト(edge-lit)型」である。エッジライト型バックライトでは、平面透視図によると、1つ以上の光源は、通常、出力エリアに対応するエリア又は区域の外側である外縁又は周辺部に沿って配置される。光源はしばしば、バックライトの出力エリアの外縁となるフレームすなわちベゼルによって隠される。光源は一般的に、「ライトガイド」と呼ばれる構成要素に光を放射し、特にノート型コンピュータディスプレイなど、非常に薄い外形のバックライトが望ましい場合に用いられる。このライトガイドは透明、中実であり、長さ及び幅の寸法がバックライト出力エリアの大きさとほぼ同じ、比較的薄いプレートである。ライトガイドは、ライトガイドの全長又は幅をはさんだ縁部に取り付けられたランプからの光をバックライトの反対側の縁部へと移動させる又はガイドするために全内部反射(TIR)を用い、局所的抽出構造体の非均一パターンがライトガイドの表面に提供されて、ライトガイドから出たこの導かれた光の一部を、バックライトの出力エリアに向け直す。こうしたバックライトは、ライトガイドの後ろ又は下に配置される反射材料などの光制御フィルム、並びに、ライトガイドの前方又は上に配置される反射偏光フィルム及びプリズム状BEFフィルムを通常、更に有することによって、法線方向の輝度が高くなっている。
【0003】
出願者の見地では、既存のエッジライト型バックライトの欠点又は限界としては、特にバックライトのサイズがより大きい場合にライトガイドと関連した質量又は重量が比較的大きいこと、特定のバックライトサイズと特定の光源構成用にライトガイドを射出成形、ないしは別の方法で製造しなければならないので、バックライト間で互換性のない構成要素を使用する必要があること、既存の抽出構造パターンと同様にバックライト内の相互の位置における実質的な空間不均一を必要とする構成要素を使用する必要があること、並びにバックライトのサイズが大きくなるほど、長方形の面積に対する周囲の長さの比率が、特徴的な面内寸法L(例えば、所定の縦横比の長方形では、バックライトの出力区域の長さ、幅、又は対角線寸法)と共に線形(1/L)に低下するので、ディスプレイの縁部に沿った空間の制限又は「表面積縮小」のため十分な照明を提供することがより困難になること、が挙げられる。
【0004】
バックライトの第2のカテゴリーは「直下型(direct-lit)」方式である。直下型方式のバックライトでは、平面図の視点で見て、1つ以上の光源が出力エリアに相当する領域又は範囲のほぼ内側に、通常は範囲内の規則的なアレイ又はパターンとして配置される。あるいは、直下型バックライトの光源は、バックライトの出力エリアのすぐ裏側に配置されているとも言える。高拡散性プレートは、通常、光源の上側に取り付けられて、光を出力エリア一面に広げる。この場合もやはり、拡散プレートの上に反射偏光フィルム及びプリズム状BEFフィルムなどの光制御フィルムを更に配置して、法線方向の輝度及び効率を高めることができる。
【0005】
出願人の見地では、既存の直下型バックライトの欠点又は限界としては、高拡散性プレートに関連した非効率性と、LED光源の場合、適切な均一性及び輝度のためにそのような光源が多数必要となり、それに付随する構成要素に関連する高コスト及び発熱と、各光源上の出力エリアに明るいスポットが生じる不均一で好ましくない「パンチスルー」を光源が生じさせるために、バックライトの達成可能な薄さにはそれ以上は薄くできない限界があること、が挙げられる。
【0006】
場合によっては、直下型バックライトではバックライトの周囲に1つ又は複数の光源を含むことができるか、又はエッジライト型バックライトでは出力エリアの裏側に直接1つ又は複数の光源を含むことができる。そのような場合、光の大半がバックライトの出力エリアの裏側から直接発せられる場合は、このバックライトは「直下型」と見なされ、光の大半がバックライトの出力エリアの周囲から発せられる場合は、このバックライトは「エッジライト型」と見なされる。
【0007】
通常、あらゆる種類のバックライトが液晶(LC)ベースのディスプレイと共に使用される。液晶ディスプレイ(LCD)パネルは、その操作の方法が理由で光の1つの偏光状態のみを利用する。したがって、LCD用途に関しては、単純に偏光されていない場合がある光の輝度及び不均一性だけでなく、正しい又は使用可能な偏光状態の光に対するバックライトの輝度及び不均一性を知ることが重要である場合がある。その点に関しては、他の全ての要素を同一にした場合、使用可能な偏光状態が主体の光又は使用可能な偏光状態でのみ光を放射するバックライトは、非偏光の光を放射するバックライトよりも、LCDアプリケーションにおいてより効率的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、使用可能な偏光状態だけではない光を放射するバックライトは、ランダムに偏光された光を放射するという点でも、液晶ディスプレイパネルとバックライトとの間に設けられた吸収偏光子によって、使用できない偏光状態を除去できるので、液晶ディスプレイ用途ではまだ十分使用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本開示は、出力面を有する中空の光リサイクリングキャビティを形成する部分的透過性の前面反射体及び背面反射体を含むバックライトを提供する。バックライトはまた、中空の光リサイクリングキャビティ内に配置された半鏡面素子と、光抽出素子と、を含む。光抽出素子は勾配鏡面性を有する。バックライトは、中空の光リサイクリングキャビティ内に光を注入するように配置された少なくとも1つの光源を更に含む。少なくとも1つの光源は、限定された角度範囲にわたって光を注入するように構成される。
【0010】
別の態様では、本開示は、ディスプレイパネル、及びディスプレイパネルに光を提供するように配置されたバックライトを含むディスプレイシステムを提供する。バックライトは、出力面を有する中空の光リサイクリングキャビティを形成する部分的透過性の前面反射体及び背面反射体を含む。バックライトはまた、中空の光リサイクリングキャビティ内に配置された半鏡面素子と、光抽出素子と、を含む。光抽出素子は勾配鏡面性を有する。バックライトは、中空の光リサイクリングキャビティ内に光を注入するように配置された少なくとも1つの光源を更に含む。少なくとも1つの光源は、限定された角度範囲にわたって光を注入するように構成される。
【0011】
本願のこれらの態様及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかとなろう。しかし、上記の要約は、請求される発明の主題に対して限定するものとして決して解釈されるべきではなく、本発明の主題は、特許請求の範囲によってのみ定義されるものであり、その範囲は手続の際に補正される場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書を通して、添付の図面を参照し、ここで、同じ参照番号は同じ要素を示す。
【図1】エッジライト型中空バックライトの一実施形態の概略断面図。
【図2】エッジライト型中空バックライトの別の実施形態の概略断面図。
【図3】直下型中空バックライトの一実施形態の概略断面図。
【図4A】前面反射体の様々な実施形態の概略断面図。
【図4B】前面反射体の様々な実施形態の概略断面図。
【図4C】前面反射体の様々な実施形態の概略断面図。
【図5a】エッジライト型中空バックライトの様々な実施形態の概略断面図。
【図5b】エッジライト型中空バックライトの様々な実施形態の概略断面図。
【図5c】エッジライト型中空バックライトの様々な実施形態の概略断面図。
【図5d】エッジライト型中空バックライトの様々な実施形態の概略断面図。
【図5e】エッジライト型中空バックライトの様々な実施形態の概略断面図。
【図5f】エッジライト型中空バックライトの様々な実施形態の概略断面図。
【図6】ディスプレイシステムの一実施形態の概略断面図。
【図7】モデル化された出力光束対位置のグラフ。
【0013】
図面は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図面で用いられる同様の番号は同様の又は類似の構成要素を指す。しかし、所与の図中の構成要素を意味する数字の使用は、同一数字でラベルした別の図中の構成要素を制約するものではないことは理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一般的に、本開示は、選択的な出力光束分布を提供するように構成され得る薄型の中空バックライトのいくつかの実施形態を説明する。例えば、いくつかの実施形態では、本開示のバックライトは、均一な光束分布をバックライトの出力面に提供するように構成され得る。「均一」という用語は、視聴者には不快となるであろう観察可能な輝度特性又は不連続性を有さない光束分布を意味する。出力光束分布の許容可能な均一性は、その用途によって決定されることが多く、例えば、一般の照明用途での均一な出力光束分布は、ディスプレイ用途では均一であるとは考えられない。
【0015】
更に、例えば、本開示のバックライトの少なくとも1つ以上の実施形態は、バックライトの端部領域付近の光束と比較して、出力面の中央領域付近の光束が増大している出力光束分布を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、出力面の端部領域付近の輝度に対する出力面の中央領域付近の輝度の比率は、少なくとも約1.10である。そのような出力光束分布は、不均一と考慮され得るが、一部の用途に関しては、この種の分布が望ましい場合もある。任意の好適な出力光束分布を提供することが可能である。
【0016】
これらの実施形態の少なくとも1つでは、バックライトは、出力面を有する中空の光リサイクリングキャビティを形成する部分的透過性の前面反射体及び背面反射体を含む。バックライトは、光リサイクリングキャビティ内に配置された光抽出素子を更に含み、光抽出素子は勾配鏡面性を有する。この代表的なバックライトはまた、キャビティ内に配置された少なくとも1つの半鏡面素子と、限定された角度範囲にわたって光をキャビティ内に光を放射するように配置された1つ以上の光源と、を含む。
【0017】
本明細書で使用する「出力光束分布」という用語は、バックライトの出力面にわたる輝度の変動を意味する。「輝度」という用語は、単位立体角内への、単位面積当たりの光出力(cd/m2)を意味する。
【0018】
いかなる特定の理論に拘束されるものではないが、本明細書で説明するバックライトの出力光束分布は、以下のパラメータの1つ以上を制御することにより調整可能である。
【0019】
1.背面反射体に対する前面反射体の位置決め、
2.前面及び背面反射体のうちの一方又は両方の形状、
3.前面及び背面反射体の反射特性及び透過特性、
4.光抽出素子の反射特性、透過特性、及び拡散特性、
5.少なくとも1つの半鏡面素子の反射特性、並びに
6.1つ以上の光源によりキャビティ内へ放射される光の平均光束偏差角。
【0020】
これらの要因を制御することは、光リサイクリングキャビティを光で充填することと、少なくともその一部分が出力面の所望の位置で前面反射体を透過するように、キャビティ内の光の方向転換又は進路変更させることとの間のバランス調節を伴う。
【0021】
一般的に、キャビティ内を伝搬する光は、2つの角度分布又は帯域、すなわち移送帯域及び透過帯域に分類されるものと考えられる。移送帯域は、光が前面反射体を簡単には透過しないような方向でキャビティ内を伝搬する光を含む。移送帯域内の光の角度範囲は、少なくともある程度は前面と背面の反射鏡における、光抽出素子の反射特性、伝送特性、拡散特性、キャビティ内の半鏡面要素の反射特性、及びキャビティの幾何学といった、反射特性と伝送特性とに依存する。例えば、本明細書で説明するバックライトのいくつかの実施形態では、例えば前面反射体の主表面に対して30度以下の角度をなして入射する光に関して反射率の増大を示す様々な前面反射体が含まれている。それらの前面反射体の場合、移送帯域は、前面反射体の表面と30度以内の方向でキャビティ内を伝搬する光を含むものとして定義できる。他の実施形態では、前面反射体が、オフ角の光に関してこのような反射率の増大を示さない場合もある。それらの実施形態では、移送帯域は、前面反射体の主表面と実質的に平行な方向でキャビティ内を伝搬する光を含むものとして定義できる。
【0022】
透過帯域は、少なくともその一部分が前面反射体を透過することが可能となる方向でキャビティ内を伝搬する光を含む。換言すれば、透過帯域は、移送帯域内にない伝搬する光を含む。
【0023】
実質的に平行な前面反射体及び背面反射体を有するバックライトの場合、バックライトの出力面での光束分布は、少なくともある程度は、移送帯域から透過帯域へ光が変換する比率により決定され得る。この比率は、いくつかの要因、例えば、バックライトの前面、背面、及び端面の反射体の反射率及び鏡面性、バックライトの照光端部の数、1つ以上の光源の光注入角、及びバックライトの厚さHに対する長さLの比率などによって決まる。厚さHを調節することにより、移送帯域から透過帯域へ光が変換する比率を少なくともある程度制御できる。
【0024】
厚さHは、背面反射体の少なくとも一部分が前面反射体に対して非平行となるように、前面及び背面反射体を位置決めすることにより、調節可能である。例えば、本明細書で更に説明するように、前面反射体と共にくさび形中空光リサイクリングキャビティを形成するように背面反射体を位置決めすることもできる。このくさび形は、厚さHを提供し、この厚さは、中空の光リサイクリングキャビティ内の少なくとも1つの方向において変化する。
【0025】
光リサイクリングキャビティの厚さHはまた、前面及び背面反射体の一方又は両方を非平面状に形成することによっても調整できる。本明細書で使用するとき、「非平面状」という用語は、前面であれ背面であれ、1つの平面内に実質的に含まれ得ない反射体を意味する。実質的に平面状の基材上に形成されたミリメートル以下の構造体を有する反射体は、本出願の趣旨としては非平面状とは見なされないであろう。いくつかの実施形態では、バックライトは、前面反射体に向かって傾斜する1つ以上の部分を含む非平面状の背面反射体を含み得る。これらの傾斜部分は、キャビティ内の所望の位置で移送帯域から透過帯域へ光が変換する比率を増大させるように位置決めされ得る。非平面状の背面反射体を有するバックライトは、例えば、米国特許出願第61/030,767号、表題「BACKLIGHTS HAVING SELECTED OUTPUT LIGHT FLUX DISTRIBUTIONS AND DISPLAY SYSTEMS USING SAME」に更に記載されている。
【0026】
本明細書で説明するバックライトの1つ以上によって作り出される光束分布はまた、前面及び背面反射体の一方又は両方の反射及び/又は透過特性を選択することによっても、ある程度制御可能である。例えば、特定の(使用可能な)偏光状態の光のみを放射するよう設計されたバックライトの場合には、前面反射体は、その使用可能な光の横方向の移送又は伝播を支援するため、並びに光線角度をランダム化してバックライト出力の許容可能な空間的均一性を達成するために高い反射率をなしながらも、バックライトの適用輝度が確実に許容可能となるよう用途に使用可能な角度への十分に高い透過率なすことができる。更に、いくつかの実施形態では、リサイクリングキャビティの前面反射体は、一般に入射角と共に増加する反射率、及び一般に入射角と共に減少する透過率をなし、これら反射率及び透過率は、偏光されていない可視光線及び任意の入射平面に関するものであり、及び/又は、使用可能な偏光状態の斜めの光がp偏光であるような平面における、使用可能な偏光状態の光に関するものである(更に、前面反射体は高い値の半球反射率をなし、その一方で、用途に使用可能な光について十分に高い透過率をもなす)。
【0027】
本明細書で説明するバックライトの1つ以上によって作り出される光束分布はまた、光抽出素子の反射特性、透過特性、及び拡散特性を選択することによっても、ある程度制御することができる。光抽出素子は勾配鏡面性を有し、すなわち、光抽出素子との相互作用の後に光線がとる経路は、どこで光線が光抽出素子と交差するかによって決まる。光抽出素子は、屈折、反射、拡散、又は類似のプロセスによって光を正確に抽出するように位置決めされる光抽出パターンを含むことができる。一実施形態では、光抽出素子は、例えば、屈折又は拡散性ビーズ、拡散微粒子、例えば蛍光体などのダウンコンバート材料、ミクロ構造、テクスチャー等を含むことができる。光抽出素子の例は、米国特許第6,845,212号(Gardinerら)及び同第7,223,005号(Lambら)、並びに米国特許出願第11/421,241号にも見出すことができる。蛍光体の例には、他の箇所で記載されているLEDコンバート材料に適したものが挙げられる。抽出機構は、バックライトから光を抽出するように設計された溝、小型レンズ、又は他のミクロ構造化若しくは印刷された機構であってもよい。抽出機構は、鋳造、エンボス加工、微小複製(microreplicating)、印刷、削磨、エッチング、及び当該技術分野において既知の他の方法を含み、しかしこれらに限られないいくつかの複数の方法を使用して、ライトガイドに付与することができる。
【0028】
バックライトの代表的な実施形態の1つはまた、少なくとも1つの半鏡面素子を含み、その反射特性を選択することによっても出力光束分布をある程度決定できる。例えば、この半鏡面素子は、鏡面特性と拡散特性とのバランスがとれた中空の光リサイクリングキャビティを提供することができ、それら素子は、キャビティ内での有意な横方向の光の移送又は混合を支援するに十分な鏡面性を有するが、キャビティ内に狭い角度範囲にわたってのみ光を注入する場合であっても、キャビティ内で定常状態の光の角度分布をほぼ均質化するに十分な拡散性を有している(更に、特定の(使用可能な)偏光状態の光のみを放射するように設計されたバックライトの場合には、キャビティ内でのリサイクリングには、好ましくは、入射光偏光状態に対する反射光偏光のある程度のランダム化が含まれ、これにより、使用不可能な偏光が、使用可能な偏光に変換される機構がもたらされる)。一部の実施形態では、光抽出素子及び半鏡面素子は、キャビティ内に配置された1つの光学素子に組み合わせることができるが、しかしながら、それらはキャビティ内に配置された別個の素子であってもよい。
【0029】
最終的に、1つ以上の光源によりキャビティ内に放射された光の平均光束偏差角を制御して、キャビティ内に注入される光の所望の平行化をもたらす手助けとすることができる。例えば、本明細書で説明するバックライトは、最初にリサイクリングキャビティ内に注入される光を横断面(横断面はバックライトの出力エリア又は出力面に平行)に近い伝搬方向に部分的に平行化又は拘束する光注入光学素子を含むことが可能であり、例えば、注入ビームの、横断面からの平均光束偏差角は、0〜40度、又は0〜30度、又は0〜15度の範囲である。光束偏差角に加えて、光源によりキャビティ内に放射される光の形状もまた制御可能である。例えば、放射される光は、放射軸線を中心として半径方向に対称とすることができる。
【0030】
LCDパネルのバックライトは、最も単純な形態では、LEDダイの活性発光面又はCCFL電球の蛍光体の外側層などの光発生面と、この光を分配又は拡散することにより、拡張された又は広い面積の照明表面又は区域(バックライト出力面と呼ばれる)を作り出す幾何学的及び光学的配列と、からなる。一般に、極めて高輝度の局所的な光源を広い面積の出力面に変換するこの方法は、バックライトのキャビティ表面全てとの相互作用及び、光発生面との相互作用により、光の損失が結果的に生じる。第1の近似として、このプロセスによって前面反射体に関連して出力エリア又は表面を通って届けられないいずれかの光は、(ある場合は)オプションとして望ましいアプリケーションでの視聴者の錐体視細胞内に、並びに(ある場合は)特定の(例えばLCDに使用可能な)偏光状態で、「損失」した光となる。同一出願人による関連出願には、リサイクリングキャビティを包含する任意のバックライトを、2つの主要なパラメータによって独自に特徴付ける方法論が記載されている。米国特許出願第60/939,084号、表題「THIN HOLLOW BACKLIGHTS WITH BENEFICIAL DESIGN CHARACTERISTICS」を参照されたい。
【0031】
線光源、又は点光源を均一で延長された領域の光源に変換するバックライトキャビティ、又はより一般的には任意の光キャビティは、反射性光学構成要素と透過性光学構成要素の組み合わせを用いて作製することができる。多くの場合、所望のキャビティは、その横方向寸法と比較して非常に薄い。
【0032】
従来より、最も薄いバックライトには、一般に中実のライトガイドが使用されており、携帯端末に使用されるような非常に小型のディスプレイを除けば、最も薄いバックライトは、冷陰極蛍光灯(CCFL)などの直線的に連続する光源によって照射されてきた。中実のライトガイドは、ライトガイドの上面及び底面において、光の全内部反射(TIR)現象を介して、損失の少ない光の移動及び鏡面反射を提供する。光の鏡面反射は、ライトガイド内の最も効率的な光の横方向の移送をもたらす。中実のライトガイドの上面又は底面に設置される抽出器は、本質的に部分的反射体を作り出し、光をライトガイドの外に向かわせるために光の進路を変更させる。
【0033】
しかしながら、中実のライトガイドは、大型ディスプレイに関して、コスト、重量及び光の均一性のようないくつかの問題点を提示する。大面積ディスプレイに関する均一性の問題は、バックライトの大きな出力領域の面積と比較すると効率的な点光源である個別の赤/緑/青(RGB)着色LEDの出現と共に大きくなってきている。高輝度点光源は、中実のライトガイドを利用する従来の直下型バックライト並びにエッジライト型に関連する不均一性の問題の原因となり得る。不均一性の問題は、中実のライトガイドと同様に顕著な光の水平移動を更に提供する中空のライトガイドを作製することができれば、大幅に減少し得る。偏光及び光線角度リサイクリングシステムに関する一部の例では、中空のキャビティは中実のキャビティよりも、光をディスプレイの面にわたって横方向に広げる能力がより優れている可能性がある。一般に、中空のライトガイドでこれを効果的に達成するために使用可能な構成要素のいくつかは、バックライト業界でこれまで入手可能ではなく、又は構成要素がすでに存在している場合であっても、中空のライトガイドは今日に至るまで、均一で薄くかつ効率的な中空の光混合キャビティを作り出すための正しい方法で構成されていない。
【0034】
中実のライトガイドは、全内部反射(TIR)現象によって効率的な上部及び下部反射体を提供するにもかかわらず、効率的な中空の反射キャビティは、薄く均一なバックライトを製造するための中実のライトガイドに勝るいくつかの利点を有している。中実のライトガイドは、主として、光が反射偏光子及びその他の輝度向上フィルムなどの他の構成要素と相互作用する前に、光の横方向分散を提供するために使用される。
【0035】
しかしながら、中実のガイドのTIR表面は、近年のバックライトの全てのニーズを満たすには不十分であり、通常、中実のライトガイドの上側及び下側の両方に追加の光制御フィルムが付け加えられる。中実のライトガイドを現在使用しているほとんどのシステムは、BEF及びDBEF(どちらも3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)のような輝度向上フィルムを利用するために、別個の背面反射体も使用している。これらのフィルムは、ライトガイドから抽出されたものの偏光又は伝搬角度が不適切であるためディスプレイに使用することができない光をリサイクルする。後方の反射体は通常白色反射体であり、その反射特性は実質的にランベルトである。しかしながら、横方向の移送の大半は、最初に中実のガイドのTIR表面で達成され、リサイクルされた光はランベルト背面反射体によってディスプレイに転移されて戻される。別個の上部及び下部光制御フィルムがどうしても必要な場合は、中空のライトガイドを作り、かつ更には反射偏光子及びその他の輝度向上フィルムの機能を同時に提供するために、それらを単独で使用するのがより効率的であり得る。この方法で、中実ガイド、並びにその他の輝度向上フィルムを省略することができる。
【0036】
中実のライトガイドを空気で置き換え、中実のライトガイドのTIR表面を、高効率で低損失の反射体で置き換えることを提案する。この種の反射体は、バックライトキャビティ内の、最適な横方向の光の移送を促進するために重要であり得る。光の横方向の移送は、光源の光学的構成によって開始することができ、又は低損失反射体を利用してキャビティ内の光線を高度にリサイクリングすることにより誘発することができる。
【0037】
中実のライトガイドのTIR表面を、2つの一般的カテゴリーに分類される空間的に分離された低損失反射体で置き換えることができる。一方は前面用の部分的透過性又は部分的反射体であり、他方は背面及び側面用の完全反射体である。上記のように、いずれにせよ後者はしばしば、中実のライトガイドシステムに加えられる。キャビティ内で光を最適に移動させかつ光を混合するために、前方及び後方の反射体の両方がランベルト面ではなく鏡面反射鏡又は半鏡面反射鏡であってもよい。ある種の半鏡面構成要素は、キャビティ内のある場所で光の均一な混合を促進するために有用である。大きなライトガイドにおいて、光の水平移動の主要媒体として空気を用いることにより、より軽量で低価格な、かつより均一なディスプレイのバックライトの設計が可能となる。
【0038】
光の横方向の広がりを顕著に促進するための中空のライトガイドにとって、キャビティに光を注入する手段は、中実のライトガイドにおけるのと同様に重要である。中空のライトガイドの形式は、直下型バックライト、特に、複数であるが任意に隔たった区域を有するバックライト内の様々なポイントにおける光の注入に対する選択肢を増やすことができる。中空のライトガイドシステムでは、TIR及びランベルト反射体の機能は、鏡面反射鏡と半鏡面反射前方散乱拡散素子の組み合わせによって達成することができる。
【0039】
本明細書で説明する例示の部分的反射体(前面反射体)、例えば同一出願人に所有された米国特許出願第60/939,079号に記載されている非対称反射性フィルム(ARF)は、低損失反射をもたらし、中実のライトガイドでのTIRのみによって可能なものよりも良好な、偏光の透過率及び反射率の制御をも供給する。よって、ディスプレイ面全体の平面方向の光分布を向上させることに加え、中空のライトガイドによって、大型システム用の改善された偏光制御も提供することができる。上記のARFを用いれば、入射角によって透過率を大幅に制御することも可能である。このように、混合キャビティからの光をかなりの程度コリメートすることができ、加えて、単一フィルム構成で偏光出力を提供する。
【0040】
いくつかの実施形態では、好ましい前面反射体は、キャビティ内での比較的高いリサイクリングを支援するために、比較的高い全体反射率を有する。これを我々は、その上に光があらゆる可能な方向から入射するときの、構成要素(表面、フィルム、又はフィルムの集合体のいずれでも)の合計反射率を意味する、「半球反射率」の観点から特徴付ける。よって、この構成要素は、垂直方向を中心とした半球内の全ての方向からの入射光(及び、別に特定されない限りは全ての偏光)で照らされ、同じ半球内に反射された全ての光が収集される。入射光の光束合計に対する、反射した光束合計の比は、半球反射率、Rhemiとなる。反射体をRhemiについて特性付けると、リサイクリングキャビティのために特に便利である。光は通常、キャビティの内部表面、すなわち前面反射体、背面反射体又は側面反射体であろうとあらゆる角度で入射するからである。更に、垂直入射角の反射率とは違って、Rhemiは入射角による反射率の変動に過敏ではなく、すでに考慮に入れられているため、一部の構成要素(例えばプリズムフィルムなど)については非常に重要となり得る。
【0041】
更に、いくつかの実施形態において、好ましい前面反射体は、少なくとも1つの平面に入射する光に関して、入射角が垂直から離れるにつれて増加する、(方向に特有の)反射率(及び一般に入射角と共に減少する透過率)を示す。このような反射率特性により、垂直に近い(すなわち、バックライトの観測軸に近い)入射角で、前面反射体から光が優先的に透過されるようになる。これは、ディスプレイ業界において重要な、視角でのディスプレイの知覚輝度を高めるのに役立つ(知覚輝度が低くなるという犠牲を払うことで視角が大きくなるが、これは普通あまり重要ではない)。ここで、我々は、角度によって高まる反射率は、「少なくとも1平面における入射光に関する反射率」のことを述べている。その理由は、場合によって、1つだけの観測面での狭い視角が望ましいことがあり、また直交平面においてより広い視角が望ましいことがあるからである。一例として、いくつかの液晶テレビ用途では、水平面では観測のために広い視角が望ましいが、垂直面ではより狭い視角が指定される。他の場合では、法線方向の輝度を最大化するため、直交する平面の両方において狭い視角が望ましいことがある。
【0042】
これを念頭に置き、前面反射体が「入射角と共に一般的に増加する反射率を示す」ように(所望の場合)指定する意味を考える。ここでこの前面反射体は、例えば米国特許出願第60/939,079号に記載されているようなARFである。ARFは、遮断偏光状態の法線入射光線に対して非常に高い反射率を有し、通過偏光状態の法線入射光線に対して低いがなお十分な反射率(例えば、25〜90%)を有する多層構造(例えば、所望の屈折率関係及び所望の反射率特性を生成するように、適切な条件下で配向された共押出ポリマーミクロ層)を含む。遮断状態の光の極めて高い反射率は、全ての入射角に関しても、一般に非常に高いままである。より興味深い現象は、通過状態の光の場合であり、それは垂直入射において中間の反射率を示すためである。入射面の斜め通過状態の光は、s偏光反射率の特性により、入射角の増加と共に増加する反射率を示す(しかしながら、増加の相対量は、垂直入射の通過状態の反射率の初期値に依存する)。よって、観測面内でARFフィルムから放射される光は、部分的に平行化又は角度を拘束されるであろう。しかしながら、出願第60/939,079号で記述されているように、別の入射面における斜めの通過状態の光は、面内の屈折率の差に比べた、マイクロ層間のz軸の屈折率の差の度合と偏光に応じて、3つの現象のうちのいずれかを示し得る。
【0043】
第1の場合は、ブリュースター角が存在する場合、この光の反射率は入射角の増大と共に減少する。これは、出力面に平行な観測面内に軸外の明るいローブを生成し、これは通常、LCD表示用途において好ましくない(しかし、この現象は、他の用途では許容可能の場合もあり、LCD表示用途の場合であっても、このローブ出力は、プリズム状転向フィルムを使用して再度視軸に向け直すことができる)。
【0044】
別の場合は、ブリュースター角は、存在しないか非常に大きく、入射角が増大してもp偏光の反射率が比較的一定である。これは参照される観測面において比較的幅広い視角を生じさせる。
【0045】
第3の場合は、ブリュースター角が存在せず、p偏光の屈折率が入射角と共に著しく増加する。これは、参照される観測面において比較的狭い視角を生じさせることができる。このときコリメートの度合は、ARFのミクロ層間のz軸屈折率の差の度合を制御することによって少なくとも部分的に調整される。
【0046】
当然、反射性表面は、ARFの有する非対称の軸上偏光特性を有している必要はない。例えば、対称性多層反射体は、ミクロ層の数、層の厚さ特性、屈折率等を適切に選択することによって高反射率を有し、しかし同時に著しい透過率を有するよう設計することができる。このような場合、これらs偏光構成要素は、互いに同じように、入射角と共に増加する。これも、s偏光反射率の性質によるものであるが、相対的な増加量は垂直入射角反射率の初期値に依存する。p偏光構成要素は、角度に対して双方同じ現象を有するが、この現象は前述の3つの場合のいずれかであるように制御可能であり、これは、面内の屈折率の差に比べた、マイクロ層間のz軸の屈折率の差の度合と偏光を制御することによって行われる。
【0047】
よって、前方反射体における入射角(あれば)に伴う反射率の増加は、使用可能な偏光状態の斜めの光がp偏光であるような平面内で、使用可能な偏光状態の入射光で表わすことができる。あるいは、このような反射率の増加は、任意の入射面における、非偏光の平均反射率ということができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、背面反射体もまた、可視光線に対する高い半球反射率を有し、これは通常、前面反射体よりもはるかに高いが、これは、必要とされるバックライトの光出力を供給するために、前面反射体は意図的に部分的透過性となるよう設計されていることによる。この背面反射体の半球反射率はRbhemiであり、Rfhemiで表わされる。好ましくは、積Rfhemi*Rbhemiは、少なくとも45%である。
【0049】
図1は、バックライト100の一実施形態の概略断面図である。バックライト100は、中空の光リサイクリングキャビティ130を形成する、部分的透過性の前面反射体110及び背面反射体120を含む。キャビティ130は、出力面135を含む。本明細書に更に記載されているように、キャビティ130は、勾配鏡面性を有する光抽出素子140を更に含む。バックライト100はまた、本明細書で更に説明するように、中空の光リサイクリングキャビティ130内に配置された半鏡面素子150も含む。図1において、背面反射体120の主表面122に隣接して配置された光抽出素子140が示されており、半鏡面素子150は、部分的に透過性の前面反射体110の主表面112に隣接して配置されているように示されている。光抽出素子140及び半鏡面素子150の両方は、キャビティ130内のどこかに配置されてもよく、例えば両方の素子は、前面反射体110に隣接して、背面反射体120に隣接して、又は2つの反射体の間の途中の位置に配置されてもよいと理解され得る。場合によっては、光抽出素子140及び半鏡面素子150は、共通の光学素子(図示せず)に組み合わされてもよい。
【0050】
図1に示すように、バックライト100はまた、光リサイクリングキャビティ130内へ光を放射するために配置された1つ以上の光源160を含む。この1つ以上の光源160は、光リサイクリングキャビティ130内に、限定された角度範囲にわたって光を放射するように構成されている。図1に例示した実施形態では、光源160は、キャビティ130の端部132に近接して配置されている。
【0051】
バックライト100は、任意の好適な寸法及び形状であってよい。いくつかの実施形態では、バックライト100は、1ミリメートル以上〜数メートルの長さL及び幅Wを有してよい。更に、いくつかの実施形態では、2つ以上のバックライトをタイル状に並べ合わせて個別に制御することにより、広範囲のバックライトを提供することが可能である。
【0052】
図示のように、バックライト100は、1つ以上の光源160からの光を光リサイクリングキャビティ130内に向けるのに役立つ注入器又は反射体165を含む。例えば、くさび状、略放物線状の反射体、レンズなどの、任意の好適な注入器又は反射体が、バックライト100と共に使用できる。例えば、米国特許出願第60/939,082号、表題「COLLIMATING LIGHT INJECTORS FOR EDGE−LIT BACKLIGHTS」に記載の注入器を参照されたい。
【0053】
1つ以上の光源160は、バックライト100の一方の側部又は端部に沿って位置決めされているように図示されているが、光源は、バックライト160の2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の側部に沿って位置決めされてもよい。例えば、矩形形状のバックライトであれば、1つ以上の光源は、バックライトの4つの側部のそれぞれに沿って位置決めされてもよい。
【0054】
前面反射体110は、任意の部分的透過性の反射体を含み、例えば、本願出願人の米国特許出願第60/939,079号、表題「BACKLIGHT AND DISPLAY SYSTEM USING SAME」及び同第60/939,084号、表題「THIN HOLLOW BACKLIGHTS WITH BENEFICIAL DESIGN CHARACTERISTICS」に記載の部分的透過性の反射体を含み得る。一部の実施形態では、前面反射体110は、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)、表題「OPTICAL FILM」、同第6,905,220号(Wortmanら)、表題「BACKLIGHT SYSTEM WITH MULTILAYER OPTICAL FILM REFLECTOR」、同第6,210,785号(Weberら)、表題「HIGHT EFFICIENCY OPTICAL DEVICES」、同第6,783,349号(Neavinら)、表題「APPARATUS FOR MAKING MULTILAYER OPTICAL FILMS」、米国特許出願公開第2008/0002256号(Sasagawaら)、表題「OPTICAL ARTICLE INCLUDING A BEADED LAYER」、米国特許第6,673,425号(Hebrinkら)、表題「METHOD AND MATERIALS FOR PREVENTING WARPING IN OPTICAL FILMS」、米国特許出願公開第2004/0219338号(Hebrinkら)、表題「MATERIALS,CONFIGURATIONS,AND METHODS FOR REDUCING WARPAGE IN OPTICAL FILMS」、及び米国特許出願第11/735,684号(Hebrinkら)、表題「OPTICAL ARTICLE AND METHOD OF MAKING」に記載されているような、1つ以上の高分子多層反射偏光フィルムを含むことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、部分的透過性の前面反射体110は、出力面において偏光を提供することができる。好適な偏光前面反射体として、例えば、DBEF、APF、DRPF(全て3M Company(St.Paul,MN)より入手可能)、ARF、TOP、(どちらも出願第60/939,079号に記載)、などが挙げられる。他の実施形態では、部分的透過性の前面反射体は、非偏光を提供し得る。好適な非偏光前面反射体は、例えば、穿孔ミラー、ミクロ構造化フィルムなどを含む。非偏光フィルムの更なる例は、例えば、米国特許出願第60/939,084号に記載されている。
【0056】
前面反射体110は、少なくとも可視光線を部分的に透過しかつ部分的に反射する。前面反射体110の部分的透過性により、キャビティ130内の光の少なくとも一部分が、キャビティ130の出力面135を経て放射されることが可能となる。前面反射体110は、キャビティ130の内側から前面反射体110上に入射する光に部分的な透過及び反射を提供する任意の好適なフィルム及び/又は層を含み得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、前面反射体110は、偏光を透過させるように動作可能である。そのような実施形態では、前面反射体110は、第1の平面内で偏光された可視光線に関する少なくとも約90%の法線方向の平均反射率、及び第1の平面と平行な第2の平面内で偏光された可視光線に関する少なくとも約5%かつ90%未満の法線方向の平均反射率をなす。本明細書で使用する「法線方向の平均反射率」という用語は、反射体の表面に対して実質的に垂直な方向に反射体上に入射する光の平均反射率を指す。更に、「全半球反射率」という用語は、反射体の法線を中心とする半球内の全ての方向から反射体に入射する光に関する、反射体の全体としての反射率を指す。当業者は、第2の平面内で偏光された光を有効な偏光状態であると見なし、すなわち、そのような偏光は、LCパネルの下側吸収偏光子(例えば、図6の下側吸収偏光子658)を通って、LCパネルに入射することになる。更に、当業者は、第1の平面が遮断軸と平行であり、第2の平面が偏光前面反射体110の通過軸と平行であると見なすであろう。
【0058】
更に、ある実施形態では、キャビティ130からの出力が、実質的に所望の偏光状態であるようにするために、有効な偏光状態の軸上の平均透過率が、無効な偏光状態の透過率の数倍大きいことが望ましいことがある。これは、また、キャビティからの有効な光の全損失を減少させるのに役立つ。いくつかの実施形態では、使用不可能な光に対する使用可能な光の軸上の透過性は、少なくとも10である。他の実施形態では、使用不可能な光に対する使用可能な光の透過性の比率は、少なくとも20である。
【0059】
いくつかの実施形態では、前面反射体110は、2つ以上のフィルムを含むことができる。例えば、図4Aは、前面反射体400の一部分の概略断面図である。反射体400は、第2のフィルム404に近接して位置決めされる第1のフィルム402を含む。フィルム402、404は、互いに離間させるか、又は接触させてもよい。あるいは、フィルム402、404は、任意の適切な技術を使用して取り付けられてもよい。例えば、フィルム402、404は、追加の接着層406を使用して、共に積層されてもよい。層406には、任意の適切な接着剤、例えば、感圧接着剤(3M Optically Clear Adhesivesなど)、及び紫外線硬化接着剤(UVX−4856など)を使用することができる。いくつかの実施形態では、接着層406は、屈折率整合流体に置き換えられてもよく、フィルム402、404は、当該技術分野で既知の任意の適切な技術を使用して接触状態で保持されてもよい。
【0060】
フィルム402、404は、前面反射体に関して本明細書で述べたいずれの適切なフィルムも含むことができる。フィルム402、404は、類似の光学特性を有することができ、あるいは、フィルム402、404は、異なる光学特性を提供する異なる構造でもよい。例示的な一実施形態では、フィルム402は、ある平面内に通過軸を有する本明細書に記載したような非対称の反射フィルムを含むことが可能であり、フィルム404は、第1のフィルム402の通過軸と平行でない第2の平面内に通過軸を有する第2の非対称の反射フィルムを含むことが可能である。この非平行関係は、2つの通過軸平面の間に任意の適切な角度を形成することができる。ある実施形態では、通過軸平面はほぼ直角であることが可能である。そのような関係は、前面反射体400の通過軸に高い反射率を提供することになる。
【0061】
更に、例えば、フィルム402は、非対称の反射フィルムを含んでもよく、フィルム404は、BEFなどのプリズム状輝度向上フィルムを含んでもよい。ある実施形態では、BEFは、非対称のフィルムの平行面と直角な平面内でBEFが透過光を平行にするように非対称の反射フィルムに対して向けられてもよい。あるいは、他の実施形態では、BEFは、BEFが非対称の反射フィルムの平行化面内で透過光を平行にするように向けられてもよい。
【0062】
前面反射体400は、2つのフィルム402、404を含むように図4Aに示されているが、前面反射体400は、3つ以上のフィルムを含んでもよい。例えば、3層の反射偏光子(DBEF又はAPFなどで、どちらも3M Company(St.Paul,MN)より入手可能)を使用して、3層の前面反射体を製作することができる。3つの層が、第2の層の偏光軸が第1の層の偏光軸に対して45°になり、かつ第3層の偏光軸が第1の層の偏光軸に対して90°になるように配列された場合、得られる前面反射体は、垂直入射光の約75%を反射する。層間の他の回転角を使用して、異なるレベルの反射を達成することができる。また、ほぼ直交する通過軸を有する2つの反射偏光子の間の複屈折(偏光回転)層又は散乱層が、前面反射体として使用される制御された程度の反射率を有する反射フィルムを作製することができる。
【0063】
本開示の前面反射体は、また、反射体の1つ以上の面内又は面上に位置決めされる光学素子を含んでもよい。例えば、図4Bは、別の実施形態である前面反射体410の一部分の概略断面図である。反射体410は、第1の主表面414及び第2の主表面416を有するフィルム412を含む。フィルム412は、前面反射体に関して本明細書に記載されるいずれの適切なフィルム又は層を含んでもよい。複数個の光学素子418が、第1の主表面414上、又は第1の主表面414内に位置決めされている。光学素子は、第1の主表面414上にのみ位置決めされるように図示されているが、第2の主表面416上、又は第1の主表面414及び第2の主表面416の両方の上に位置決めされてもよい。任意の好適な光学素子、例えば、微小球、プリズム、キューブコーナー、レンズ、レンズ状素子などが、フィルム412上又はフィルム412内に位置決めされてもよい。これらの光学素子は、屈折素子、回折素子、拡散素子等であり得る。この実施形態では、光学素子418は、フィルム412によって透過される光を平行化することができる。他の実施形態では、光学素子418は、光学素子412の位置に応じて、フィルム412上に入射するか、又はフィルム412から出て行くかのいずれかの光を拡散することができる。
【0064】
光学素子418は、フィルム412の主表面上に位置決めされるか、又はフィルム412の主表面内に少なくとも部分的に埋め込まれてもよい。更に、フィルム410は、任意の好適な技法、例えば、米国特許出願第60/939,079号、表題「BACKLIGHT AND DISPLAY SYSTEM USING SAME」に記載のビーズコーティングされたESRを作製するための方法、及び同第60/939,085号、表題「RECYCLING BACKLIGHTS WITH SEMI−SPECULAR COMPONENTS」の技法を使用して作製することができる。
【0065】
光学素子418はまた、フィルム410に近接して位置決めされる基材上に位置決めされてもよい。例えば、図4Cは、別の実施形態である前面反射体420の一部分の概略断面図である。前面反射体420は、フィルム422、及びフィルム422に近接して位置決めされる利得拡散体424を含む。フィルム422は、前面反射体に関して本明細書に記載されるいずれのフィルム及び/又は層も含み得る。利得拡散体424は、第1の主表面428及び第2の主表面430を有する基材426、並びに基材426の第2の主表面430上又は第2の主表面430内に位置決めされた複数個の光学素子432を含む。任意の適切な光学素子432、例えば図4Bの光学素子418を使用することができる。基板426は、任意の適切な光透過基板を含むことができる。
【0066】
図4Cに例示した実施形態では、利得拡散体424の第1の主表面428は、偏光フィルム422に近接して位置決めされている。拡散体424は、フィルム422と離間するか、フィルム422と接触するか、又はフィルム422に取り付けられるかのように、フィルム422に近接して位置決めされてもよい。例えば光学接着剤の使用などの任意の適切な技術を使用して、拡散体424をフィルム422に取り付けることができる。拡散体424には、いずれの適切な利得拡散体が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、光学素子432は、基材426の第1の主表面428上に、素子432が基材426と偏光フィルム422との間にあるように位置決めされてもよい。
【0067】
図1に戻ると、前面反射体110は支持層に取り付けられてもよい。支持層は、例えばポリカーボネート、アクリル、PETなどの、任意の好適な材料を含み得る。一部の実施形態では、前面反射体110は、米国特許出願公開第2006/0257678号、表題「FIBER REINFORCED OPTICAL FILMS」(Bensonら)、米国特許出願第1の1/323,726号、表題「REINFORCED REFLECTIVE POLARIZER FILMS」(Wrightら)、及び同第1の1/322,324号、表題「REINFORCED REFLECTIVE POLARIZER FILMS」(Ouderkirkら)に記載のように、繊維強化光学フィルムによって支持され得る。
【0068】
更に、前面反射体110は、いずれの適切な技術を使用して支持層に取り付けられ得る。ある実施形態では、前面反射体110は、光学接着剤を使用して支持層に接着されてもよい。他の実施形態では、前面反射体110は、ディスプレイシステムのLCパネル(例、図6のディスプレイシステム600のLCパネル650)に取り付けられてもよい。そのような実施形態では、前面反射体110は、吸収偏光子に取り付けられ、次にLCパネルに取り付けられてもよいが、又は別の方法として、吸収偏光子が始めにLCパネルに取り付けられ、次に前面反射体110が吸収偏光子に取り付けられてもよい。更に、非LCDシステムでは、前面反射体110は、着色された前面プレートに取り付けられてもよい。
【0069】
本明細書で述べるように、前面反射体110は、部分的反射性及び部分的透過性の前面反射体を提供する任意の適切なフィルム及び/又は層を含むことができる。一部の実施形態では、前面反射体110は、米国特許出願公開第2006/0193577号(Ouderkirkら)、表題「REFLECTIVE POLARIZERS CONTAINING POLYMER FIBERS」、米国特許出願第1の1/468,746号(Ouderkirkら)、表題「MULTILAYER POLARIZING FIBERS AND POLARIZERS USING SAME」、同第1の1/468,740号(Bluemら)、表題「POLYMER FIBER POLARIZERS」に記載されているように、1つ以上の繊維偏光フィルムを含むことができる。前面反射体110に使用することができる他の代表的なフィルムには、コレステリック偏光フィルム、複屈折プレート積みフィルム、複屈折ポリマーブレンド(例えば、3M Companyから入手可能なDRPF)、及びワイヤグリッド偏光子がある。
【0070】
本明細書に記載の前面及び背面反射体に使用されるフィルムは、任意の適切な技術により製造可能である。例えば、米国特許第6,783,349号(Neavinら)、表題「APPARATUS FOR MAKING MULTILAYER OPTICAL FILMS」を参照されたい。
【0071】
前面反射体110及び背面反射体120は、任意の適切な値Rhemiを示し得る。一般に、中空バックライトに関するRhemiの選択は、所定のシステムのための特定の設計基準による影響を受ける。主要な設計基準としては、ディスプレイの寸法(長さ及び幅)、厚さ、所定の視角に対する輝度目標を達成するために必要な光源のルーメン、輝度及び/又は色の均一性、並びに光源、バックライトの光学的材料、又はキャビティ寸法の変化に対するシステム堅牢性が、しばしば挙げられる。加えて、光源を遠く離間させて配置できることは、必要となる光源の最低数、及びそれによるシステムに関する光源の総コストにも影響を及ぼすため、重要なシステム属性である。最後に、バックライトからの所望の放射角度は、Rhemiの選択に影響を与え得るが、これはポリマー多層光学フィルムにより達成可能な放射角度の特性がそれによって決まり、Rhemiの増大と共により広範囲の角度特性が可能となるためである。
【0072】
より低いRhemiの利点の1つは、システム効率が高まることである。一般に、発生するリサイクリングが少なくなるにつれ、キャビティ内での多重反射による吸収損失も減少する。前面及び背面反射体、側壁、支持構造体(例、支柱)、並びに光源それ自体を含むバックライトキャビティのいずれの材料も光を吸収し得る。光は、キャビティ内の物理的隙間を通って漏れ出すか、又は端部反射体若しくは背面反射体を通って低レベルで透過し得る。反射の回数を減少させることが、これらの損失を低減し、システム効率を向上させて、必要な光源ルーメンを低減する。
【0073】
いくつかの実施形態では、キャビティの厚さに対する長さの比率(例、L/H)が増大するにつれ、一般にキャビティ内での光の移送に必要なRhemiは増大する。したがって、バックライトがより大きく、及び/又はより薄くなるにつれて、均一性を達成するために必要なRhemiの値は一般的に増大する。
【0074】
光源の所望の間隔がより離れるにつれて、光源間の不均一性(いわゆる「ヘッドライト効果」)を最小限に抑えるために必要とされるRhemiは、一般に増大する。多重反射は、光源間のより暗い領域を充填し、RGBシステムの場合には、色を混合することにより色のスポークが低減され、白い外観を生じさせる手助けとなる。
【0075】
光抽出素子の鏡面性を変化させることによって、本発明者は、所与のL/Hに対して、均一性の達成に必要となるRhemiを大幅に低減できるということを示した。これは、システム効率の向上、及び必要な光源ルーメンの低減に有利である。しかしながら、Rhemiの低減は、リサイクリングを減少させ、結果として製造又は構成要素の変化による影響を受けやすくなる。リサイクリングの減少と共に、以下の変化に対するシステムの感度が増大するが、それらの変化とは、厚さHの変化を含む寸法変化、前面及び背面反射体の反射率又は鏡面性における光学的変化、光抽出素子の反射率若しくは鏡面性における光学的変化、側面反射体の不連続性、支持構造体(例、支柱)の視認性、並びに光源の色及び輝度の変化である。光源の出力に対する感度の増大に加えて、使用中の移動、経時変化、又は光源の故障に対するシステム許容量も、Rhemiの低下につれて減少する。
【0076】
2つのRhemi及び同じ均一性を有する2つのシステム(例えば、一方はRhemiの低い形成された背面又は勾配光抽出素子を有し、他方はRhemiの高い真っ直ぐな背面を有する)であるが、低いRhemiのシステム感度が、いくつかの実施形態において高いRhemiのシステムよりも大きいように設計することができる。ここで、製造性の考察は、Rhemiを低下させることにより得られるシステム効率の向上よりも重要であろう。Rhemiの選択は、そのシステムに関する特定の設計基準により決めることができる。
【0077】
図1に示した実施形態では、前面反射体110は、背面反射体120に面して、キャビティ130を形成する。背面反射体120は、高反射性であることが好ましい。例えば、背面反射体120は、光源によって放射された可視光線に関して、いずれの偏光の可視光線の少なくとも90%、95%、98%、99%又はそれ以上の軸上の平均反射率を有することができる。そのような反射率値は、また、高リサイクリングキャビティ内の損失量を減少させることができる。更に、そのような反射率値は、半球内に反射される全ての可視光線を包含するものであり、すなわち、そのような値は、鏡面反射及び拡散反射の両方を含む。
【0078】
背面反射体120は、空間的に均一又はパターン付きにかかわらず、主として鏡面反射体、拡散反射体、又は鏡面/拡散反射体の組み合わせであってもよい。ある実施形態では、背面反射体120は、本明細書で更に詳しく説明されるような半鏡面反射体であり得る。米国特許出願第60/939,085号、表題「RECYCLING BACKLIGHTS WITH SEMI−SPECULAR COMPONENTS」及び同第1の1/467,326号(Maら)、表題「BACKLIGHT SUITABLE FOR DISPLAY DEVICES」も参照のこと。いくつかの実施形態では、背面反射体120は高反射率コーティングを有する硬い金属基材、又は支持基材に積層された高反射率フィルムから作製され得る。適切な高反射率材料には、Vikuiti(登録商標)Enhanced Specular Reflector(強化鏡面反射体、ESR)多層ポリマーフィルム(3M Companyから入手可能);厚さ0.4ミル(10.16μm)のイソオクチルアクリレートアクリル酸感圧接着剤を使用して硫酸バリウム配合ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ2ミル(50.8μm))をVikuiti(登録商標)ESRフィルムに積層することによって作製されたフィルムであって、本明細書で「EDR II」フィルムと呼ばれる、結果として得られたラミネートフィルム;Toray Industries,Inc.から入手可能なE−60シリーズLumirror(登録商標)ポリエステルフィルム;W.L.Gore & Associates,Incから入手可能であるような多孔性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルム;Labsphere,Inc.から入手可能なSpectralon(登録商標)反射材料;Alanod Aluminum−Veredlung GmbH & Co.から入手可能なMiro(登録商標)アルマイト処理アルミニウムフィルム(Miro(登録商標)2フィルムを含む);Furukawa Electric Co.,Ltd.製のMCPET高反射発泡シート材;Mitsui Chemicals Inc.から入手可能なWhite Refstar(登録商標)フィルム及びMTフィルム;並びに、2xTIPS(すなわち、高反射率を有する多孔質ポリプロピレンフィルムは、例えば米国特許第5,976,686号(Kaytorら)に記載されるような熱誘導相分離を使用して製作でき、2枚のTIPSシートは、光学接着剤を使用して共に積層し、1枚のラミネートに形成することができる)が挙げられる。
【0079】
背面反射体120は、実質的に平らで滑らかでもよいし、又は光の散乱又は混合を強化するように関連付けられた構造化面を有してもよい。そのような構造化面は、(a)背面反射体120の表面上に与えられてもよく、(b)表面に付着された透明被覆上に与えられてもよい。前者の場合では、高反射フィルムは、構造化面が予め形成された基板に積層されてもよく、又は高反射フィルムは、平坦な基板(例えば3M Companyから入手可能なVikuiti(登録商標)(DESR−M:Durable Enhanced Specular Reflector−Metalなど)に積層され、その後で刻印操作などにより構造化表面が形成されてもよい。後者の場合、構造化表面を有する透明なフィルムを平坦な反射面に積層することもでき、又は、透明なフィルムを反射体に塗布した後に透明なフィルムの最上部に構造化表面を与えることもできる。
【0080】
直下型構造を含む実施形態(例えば、図3のバックライト300)では、背面反射体120は、光源が取り付けられた連続単一(かつ分断されていない)層でもよいし、個別部分で不連続的に構成されてもよいし、光源が通ることができる孤立した穴を有する限り、別の形の連続層で不連続的に構成されてもよい。例えば、反射材料のストリップが、LEDの列が取り付けられた基材に貼り付けられ、各ストリップが、あるLED列から別のLED列まで延在するのに十分な幅を有し、かつバックライトの出力エリアの対向する境界間にわたるのに十分な長さ寸法を有してもよい。
【0081】
図1に示される実施形態では、背面反射体120は、平面状の反射体であるが、バックライト100は、出願第61/030,767号に記載されているように、キャビティ130にわたって、厚さHが変化するような非平面状の背面反射体であってもよい。一部の実施形態では、背面反射体120及び部分的透過性の前面反射体110は、同じ方向において湾曲されてもよく(未表示)、よって厚さHの距離はキャビティ130全体で本質的に一定で維持される。前面反射体と背面反射体との間の間隔は、任意の好適な技術、例えば剛性プレート、張力フレーム、及び支柱、壁材、又はバンプ若しくは突起部など、背面反射体から延びる突出部を含むキャビティ内の様々な構造体などを使用して維持することができる。
【0082】
また、バックライト100は、バックライト100の外側境界の少なくとも一部分に沿って配置された1つ以上の側面反射体134を含むことができ、側面反射体134は、光損失を低減させ、かつリサイクリング効率を改善するために高反射率の垂直壁が好ましくは裏打ちされるか別の方法で提供されてもよい。これらの壁の形成には、背面反射体120に使用するのと同じ反射材を使用しても、あるいは異なる反射材を使用してもよい。ある実施形態では、側面反射体134と背面反射体120は、単一の材料シートから形成することができる。側面反射体及び壁の一方又は両方は、垂直であってもよく、又は別の方法として、側面反射体は、傾斜、湾曲、若しくは構造化されていてもよい。所望の反射特性を達成するために、側面反射体上に、又は側面反射体に隣接して屈折構造体を使用してもよい。出力光束分布を調節するために、壁材料及び傾斜を選択してもよい。
【0083】
バックライト100は勾配鏡面性(gradient specularity)を有する光抽出素子140を含み、光の勾配抽出となる。勾配抽出は、光抽出の量を局所的に増加させる、又は減少させるいずれかの素子によって達成することができる。部分的透過性の前面反射体は一般に、ある程度の角度選択性透過率を有するため、更に高い透過率の角度範囲内への、追加的な光を逸脱させる抽出素子はその領域における輝度を増加させる。抽出区域は概ね垂直に向かっているが、斜角であるように設計されてもよい。抽出素子に使用される材料は、鏡面、半鏡面若しくは拡散性、半透明、透過反射性(transflective)、屈折性、回折性、ダウンコンバーティング、例えば蛍光体等であってもよい。屈折素子は、プリズム、小型レンズ、水晶体等であってもよい。抽出素子は、印刷、鋳造、コーティング、エンボス加工、エッチング、削磨、転写(例えば接着性裏材付きの点)、積層等によって適用されてもよい。抽出素子は、エンボス加工、ピーニング、ひだつき、研磨、エッチング等など、反射表面に局所的な偏差によっても作製することができる。
【0084】
勾配鏡面性はまた、拡散コーティングの、局所的に又は徐々に表面エリアにわたってのいずれかで、拡散コーティングの光の方向転換特性における変化によって達成することができる。これは、例えば、厚さ、組成物、又は表面特性によって達成することができる。穿孔もまた、例えば穿孔の勾配を有する拡散フィルムに使用できる。更に、1つの鏡面特性(例えばESR)を有する反射フィルムが穿孔され、異なる鏡面特性を有する反射フィルム(例えばFurukawa,Japanから入手可能なMCPETなどの拡散白色反射体)の上に配置されて、勾配鏡面性を提供することができる。
【0085】
本明細書で使用されるとき、用語「勾配鏡面性(gradient specularity)」は、出力エリアと同等の表面上での光抽出能力(すなわち鏡面性)における変化を意味する。一実施形態では、勾配鏡面性は、連続的に可変であり、例えば、光抽出素子の表面にわたって、単調な方式でなだらかに変化する。一部の実施形態では、光抽出素子は、長さ方向、幅方向、又は長さ及び幅方向の両方において勾配を有することができる。一部の実施形態では、勾配は、輝度の中心を作るために、使用される鏡面背面反射体上の円領域など、1つ以上の段階的な変化を含んでもよい。一部の実施形態では、勾配は、抽出の別個のエリアのアレイ、例えば隣接するエリアにおける鏡面性とは異なる均一の鏡面性の領域であってもよい。一部の実施形態では、勾配鏡面性は段階的な鏡面性、鏡面性における別個の変化、鏡面性における連続的変化、鏡面性における不連続的な変化、異なる鏡面性の一連の複数の領域、又は勾配鏡面性の組み合わせであってもよい。
【0086】
バックライト100は、光リサイクリングキャビティ130内に光を放射するように配置された1つ以上の光源160も含む。この実施形態では、光源はバックライト100の端部132に近接して位置決めされる。光源160を概略的に示す。ほとんどの場合、これらの光源160は小型の発光ダイオード(LED)である。この点で、「LED」は、可視、紫外線、又は赤外線にかかわらず、発光するダイオードを指す。それは、従来型又は超放射型の種類にかかわらず、「LED」として販売されている非干渉性封入又は密閉型半導体デバイスを含む。LEDが紫外線などの非可視光線を発する場合、及びLEDが可視光線を発するある特定の場合、LEDは蛍光体を含むようにパッケージ化され(あるいは遠隔配置された蛍光体を照射することができ)、短波長の光を長波長の可視光線に変え、特定の場合には白色光を発する装置を提供する。「LEDダイ」は、最も基本的な形態、すなわち半導体加工手順によって製造される個々の構成要素又はチップの形態のLEDである。構成要素又はチップは、デバイスに電圧を加えるための電力の適用に好適な電気接点を含むことができる。構成要素又はチップの個々の層及びその他の機能的要素は、通常、ウェハスケールで形成された後、仕上がったウェハは個々の小片部に切られて、多数のLEDダイとなることができる。パッケージ化されたLEDの詳細については、前面発光及び側面発光のLEDを含めて、本明細書で更に説明する。
【0087】
多色光源は、白色光の生成に使用されるかどうかにかかわらず、バックライトの出力エリアで色及び輝度の均一性に異なる効果を与えるように、バックライトで多数の形態を取ることができる。ある手法では、複数のLEDダイ(例えば、赤、緑、及び青色を発光するダイ)がリード線フレーム又はその他の基材にすべて互いに隣接して実装され、1つのパッケージを形成するように1つの内包材で一緒に封入される。この場合、パッケージにはレンズ構成要素が1つだけ含まれていてもよい。このような光源は、いずれか1つの個別の色、又は同時にすべての色を発光するように制御可能である。別の手法では、1パッケージにつき1つのLEDダイと1色の発光色を提供する、個別にパッケージ化されたLEDを、所定のリサイクリングキャビティに一緒にまとめて配置してもよく、この集合体には青/黄又は赤/緑/青などの異なる色を発光するパッケージ化LEDの組み合わせが含まれる。また別の手法では、このような個別にパッケージ化された多色LEDを1つ以上の線、アレイ、又はその他のパターン内で位置決めされてもよい。
【0088】
望ましい場合には、開示するバックライトの光源として、別個のLED光源の代わりに、又はLED光源に追加して、線形の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)又は熱陰極蛍光ランプ(HCFL)などの別の可視光線発光体を使用してもよい。更に、例えば冷白色及び温白色を含む(CCFL/LED)、CCFL/HCFL、例えば異なるスペクトルを放射するものなどの複合システムを使用することができる。他の好適な光源としては、キセノンのCCFL、平坦蛍光ランプ、電界放出源、フォトニック格子光源、垂直キャビティ面発光レーザー、外部電極蛍光ランプ、及び有機発光ダイオードが挙げられる。発光体の組み合わせは、幅広く異なってもよく、LEDとCCFL、及び例えば複数のCCFL、異なる色の複数のCCFL、及びLEDとCCFLなどの多数を含むことが可能である。
【0089】
例えば、幾つかの用途では、個別の光源の列を、長い円筒形CCFLのような異なる光源と置き換えるか、又は長さに沿って光を放射し離れた能動素子(LEDダイやハロゲン電球など)に結合された線形面発光導光体と置き換え、また同様に他の光源列と置き換えることが望ましいことがある。このような線状表面発光導光体の例は、米国特許第5,845,038号(Lundinら)及び同第6,367,941号(Leaら)に開示されている。また、ファイバ結合レーザ・ダイオードや他の半導体発光体も既知であり、そのような場合、光ファイバ導波路の出力端は、開示されたリサイクリングキャビティ内の場所又は他の状況ではバックライトの出力エリアの後の場所に対する光源であると考えることができる。電球やLEDダイなどの活性成分から受け取った光を発する、レンズ、屈折体、狭い導光体などの小さな発光領域を有する他の受身の光学構成要素についても、同じことが言える。このような受身の構成要素の一例は、側面発光パッケージ化LEDの成型内包体又はレンズである。
【0090】
1つ以上の光源には、任意の適切な側面発光LED、例えば、Luxeon(登録商標)LED(Lumileds(San Jose,CA)から入手可能)、又は米国特許出願第1の1/381,324号(Leatherdaleら)、表題「LED PACKAGE WITH CONVERGING OPTICAL ELEMENT」及び同第1の1/381,293号(Luら)、表題「LED PACKAGE WITH WEDGE−SHAPED OPTICAL ELEMENT」に記載されるLEDを使用することができる。
【0091】
バックライトがディスプレイパネル(例えば、図6のパネル650)と組み合わせで使用される一部の実施形態では、バックライト100は、白色光を連続的に放射し、LCパネルは、カラーフィルタマトリクスと組み合わされて、多色画素のグループ(黄/青(YB)画素、赤/緑/青(RGB)画素、赤/緑/青/白(RGBW)画素、赤/黄/緑/青(RYGB)画素、赤/黄/緑/シアン/青(RYGCB)画素など)が形成され、その結果、表示画像は多色性になる。あるいは、カラーシーケンシャル技術(color sequential technique)を使用して多色画像を表示することができ、この技術は、LCパネルを白色光で連続的に後ろから照明し、LCパネル内のグループの多色画素を変調して色を生成する代わりに、バックライト100内の個別に色付けされた光源(例えば、赤、オレンジ、琥珀、黄色、緑、シアン、青(紺青を含む)、及び以上の述べた色などの組み合わせの白から選択された)を変調して、バックライトが、空間的に均一な有色光出力を高速に繰り返し連続的(例えば、赤、次に緑、次に青など)に点滅させるものである。次に、この色変調バックライトは、(カラーフィルタマトリクスのない)1つの画素アレイしかないディスプレイモジュールと組み合わされ、この画素アレイは、変調が観察者の視覚システム内で時間的に色混合されるのに十分に高速であるという条件で、バックライトと同期して変調されて、画素アレイ全体にわたってあらゆる達成可能な色(バックライトで光源として使用されている色で可能な色)が生成される。フィールドシーケンシャルディスプレイとしても知られるカラーシーケンシャルディスプレイの例は、米国特許第5,337,068号(Stewartら)及び同第6,762,743号(Yoshiharaら)に記載されている。特定の場合には、単色のみのディスプレイを提供することが望ましい場合もある。このような場合、バックライト100は、フィルタ、又は単一の可視波長若しくは色で優勢に発する特定の光源を含んでもよい。
【0092】
一部の実施形態(例えば、図3に示された実施形態のような直下型バックライト)では、光源は、背面反射体上に位置決めされてもよく、あるいは、光源は背面反射体から離間されてもよい。他の実施形態では、光源は、例えば、本願出願人の、同時係属中の米国特許出願第11/018,608号、同第11/018,605号、同第11/018,961号、及び同第10/858,539号に記載されたように、背面反射体上に位置決めされるか、又はその背面反射体に取り付けられる光源を含んでもよい。
【0093】
光源160は、任意の適切な配列で位置決めされてもよい。更に、光源160は、様々な波長又は色の光を放射する光源を含むことができる。例えば、光源は、第1の波長の照明光を放射する第1の光源と、第2の波長の照明光を放射する第2の光源を含むことがある。第1の波長は、第2の波長と同じでもよく、又は異なってもよい。光源160は、また、第3の波長の光を放射する第3の光源を含んでもよい。例えば、米国特許出願第60/939,083号、表題「WHITE LIGHT BACKLIGHTS AND THE LIKE WITH EFFICIENT UTILIZATION OF COLORED LED SOURCES」を参照されたい。ある実施形態では、種々の光源160は、混合されたときに、ディスプレイパネルや他のデバイスに白色照明光を提供する光を生成することが可能である。他の実施形態では、光源160はそれぞれ白色光を出力することが可能である。
【0094】
更に、ある実施形態では、放射光を少なくとも部分的に平行にする光源が好ましいことがある。そのような光源は、開示されたバックライトの中空の光リサイクリングキャビティ内に所望の出力を提供するためのレンズ、エキストラクタ、成形封入材、又光学素子の組み合わせを含むことができる。代表的な抽出器は、例えば、米国特許出願公開第2007/0257266号、同第2007/0257270号、同第2007/0258241号、同第2007/0258246号、及び米国特許第7,329,982号に記載されている。
【0095】
更に、本開示のバックライトは、リサイクリングキャビティ内に最初に注入された光を、横断面(バックライトの出力エリアと平行な横断面)に近い伝搬方向に、例えば横断面からの平均偏差角が0〜45度、又は0〜30度、又は0〜15度の範囲の注入ビームであるように、部分的に平行化又は拘束する注入光学素子を含むことができる。
【0096】
本開示のある実施形態では、中空の光リサイクリングキャビティ内である程度の拡散が行われることが好ましいことがある。そのような拡散は、キャビティ内でより大きい角度の光の混合を実現することができ、それにより、キャビティ内で光を拡散し出力面を介してキャビティから外に導かれる光の均一性を高めるのに役立つ。換言すると、リサイクリング光学キャビティは、キャビティに鏡面特性と拡散特性を平衡させる構成要素を含み、この構成要素は、キャビティ内の十分な横方向の光の伝達又は混合を提供するのに十分な鏡面性を有するが、狭い範囲の伝搬角度の光しかキャビティに注入されないときでも、キャビティ内の定常状態の光伝搬の角度分布を実質的に均一化するのに十分な拡散率も有する。更に、キャビティ内のリサイクリングの結果、入射光線の偏光状態に対する反射光偏光がある程度ランダムにならなければならない。これにより、有効でない偏光をリサイクリングによって有効な偏光に変換することができる機構が可能になる。拡散は、前面反射体及び背面反射体の一方又は両方、側面反射体、又は本明細書において更に詳しく説明されるような前面反射体と背面反射体の間に位置決めされる1つ以上の層によって提供することができる。
【0097】
ある実施形態では、キャビティ内に提供された拡散は、半鏡面拡散を含むことができる。本明細書で使用されるとき、用語「半鏡面反射体」は、逆方向散乱光より多くの順方向散乱光を実質的に反射する鏡面反射体を指す。同様に、用語「半鏡面拡散体」は、実質的に大部分の入射光線に関して入射光線の法線成分を逆方向に向けず、すなわち、光が実質的に順(z)方向に透過され、x及びy方向にある程度散乱される拡散体を指す。換言すれば、半鏡面反射体及び拡散体(総じて半鏡面素子と呼ばれる)は、光を実質的に順方向に方向付けることから、全ての方向に均等に光線の向きを変えるランベルト構成要素とは非常に異なっている。半鏡面反射体と拡散体は、比較的広い散乱角を示すことができ、あるいは、そのような反射体と拡散体は、鏡面方向からの僅かな量の光偏向を示す。例えば、米国特許出願第60/939,085号、表題「RECYCLING BACKLIGHTS WITH SEMI−SPECULAR COMPONENTS」を参照されたい。本開示の前面反射体及び背面反射体には、いずれの適切な半鏡面材料を使用することができる。
【0098】
更に、例えば、半鏡面背面反射体は、高反射率拡散反射体上に部分的に透過する鏡面反射体を含み得る。適切な部分的に透過する鏡面反射体は、本明細書に示した部分的に透過し反射するフィルム、例えば対称の又は非対称の反射フィルムを含む。適切な高反射率拡散反射体には、EDR IIフィルム(3Mから入手可能)、W.L.Gore & Associates,Inc.から入手可能な多孔性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルム、Labsphere,Inc.から入手可能なSpectralon(登録商標)反射材料、Furukawa Electric Co.,Ltd.から入手可能なMCPET高反射率発泡シート、及びMitsui Chemicals,Inc.から入手可能なWhite Refstar(登録商標)が挙げられる。
【0099】
他の実施形態では、半鏡面背面反射体は、高反射率鏡面反射体上に部分的ランバート拡散体を含み得る。あるいは、高反射率鏡面反射体上の順方向散乱拡散体が、半鏡面背面反射体を提供することができる。
【0100】
前面反射体は、背面反射体と類似の構造を有する半鏡面性であり得る。例えば、部分反射ランバーシアン拡散体が、部分鏡面反射体と組み合わされ得る。あるいは、順方向散乱拡散体が、部分鏡面反射体と組み合わされ得る。更に、前面反射体は、順方向散乱部分反射体を含むことができる。他の実施形態では、上記の前面反射体のいずれかを組み合わせて、半鏡面前面反射体を提供することができる。
【0101】
拡散体がキャビティの中のいずれかの場所に配置される場合、前方及び後方の反射体の一方又は両方は鏡面反射であり得る。反射体の1つはまたランベルト面でもあり得るが、一般にこれは、特にエッジライト型バックライトにとっては、最適な構造ではない。この場合、他の反射体は半鏡面反射又は鏡面反射でなければならない。順方向分散拡散体は、いずれの適切な拡散体であってよく、両方向又は偏光状態に関して対称性又は非対称性であり得る。
【0102】
定量的には、半鏡面性の程度(所与の反射体又はその他構成要素の鏡面反射対ランベルト特性)は、それぞれF及びBと呼ばれる前方及び後方散乱光成分の光束を比較することによって効果的に特徴付けることができる。前方及び後方散乱光する光束は、立体角全てに対する積分反射強度(又は光学透過性構成要素の場合は積分透過強度)から得ることができる。半鏡面性の程度は、次に「移送比率」Tによって特徴付けることができ、T=(F−B)/(F+B)で与えられる。
【0103】
Tは、純粋ランベルトから純粋鏡面まで移動するため、0〜1の範囲となる。純粋鏡面反射体では、逆方向分散が存在しない(B=0)ため、T=F/F=1である。純粋ランベルト反射体では、順方向及び逆方向分散光束が等しいため(F=B)、T=0である。実施例を実験的な測定値と共に以下に示す。任意の実際の反射性又は透過性構成要素の移送比率は、入射角の関数である。前方散乱光の量は、例えば、ほぼ垂直な入射光とグレージング入射光によって異なることが予想されるため、これは論理にかなう。
【0104】
リサイクリングキャビティに関連して、「有効キャビティ移送比率」、すなわち、リサイクリングキャビティの循環又はサイクルの完了後の、所与の入射光腺が経験した移送比率を確定することができる。この量は、特に、少なくとも1つの半鏡面反射成分と少なくとも1つの散乱構成要素と(半鏡面反射面又はランベルト面にかかわらず)を包含するキャビティにおいて興味深い。移送比率は、一般に入射角の関数であるため、キャビティ内に注入される光の特徴的又は平均の入射角、例えば光源の平均電力束偏差角の観点から、有効キャビティ移送比率の検証又は特定が可能であろう。移送比率の更なる説明は、例えば米国特許出願第60/939,085号を参照されたい。
【0105】
図1には示されていないが、バックライト100(又は図6のディスプレイシステム600)は、光源160からの光の輝度及び色の一方又は両方を検出及び制御するための、光センサ及びフィードバックシステムを含んでもよい。例えば、個別の光源160又は光源の集合体の近くに、白色点又は色温度を制御し、維持し、又は調整するために出力を監視し、フィードバックを提供するセンサが配置されてもよい。キャビティ130の端部に沿って又はキャビティ130内に、1つ以上のセンサを配置して混合光をサンプリングすることが有益な場合がある。いくつかの例では、観察環境(例えば、ディスプレイ装置がある部屋)でディスプレイ装置の外部の周囲光を検出するセンサを提供することが有益なことがある。周囲の観察条件に基づいて、光源160の出力を適切に調整するために、制御ロジックを使用することができる。例えば、光−周波数変換センサ又は光−電圧変換センサなど(Texas Advanced Optoelectronic Solutions(Plano,Texas)から入手可能)、適切な1つ以上の任意のセンサを使用することができる。更に、熱センサを使用して光源160の出力を監視及び制御することができる。これらの技法のいずれも、動作条件及び構成要素の経時的変化に対する補償に基づく、光出力の調節に使用することができる。更に、ダイナミックコントラスト、垂直スキャン若しくは水平区域又はフィールドシーケンシャルシステムに関して、制御システムにフィードバック信号を供給するために、センサを使用することができる。
【0106】
バックライト100の出力面135は、キャビティ130の面積に関連した任意の適切な面積を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、出力面135は、キャビティ130の面積(L×W)よりも小さい面積であってもよい。これは、例えば、高反射率の部分を有する前面反射体110を使用し、それにより出力面135の有効面積を低減することによって達成し得る。出力面の面積の低減は、光源160からの所与の入力光束に関しての、バックライトにより提供される輝度を増大させることができる。
【0107】
本明細書で述べるように、本開示のいくつかのバックライトは、バックライトの1つ以上の端部に位置決めされた1つ以上の光源を含み、エッジライト型バックライトを形成することができる。例えば、図2は、エッジライト型バックライト200の別の実施形態の概略断面図である。バックライト200は、出力面235を含む中空の光リサイクリングキャビティ230を形成する、部分的透過性の前面反射体210及び背面反射体220を含む。本明細書に更に記載されているように、キャビティ230は、勾配鏡面性を有する少なくとも1つの光抽出素子(図2において、素子242、244、及び246)を更に含む。バックライト200は、中空の光リサイクリングキャビティ230内に配置された半鏡面素子250、及び光リサイクリングキャビティ230内に光を放射するように配置された少なくとも2つの光源260、270も含む。光源260、270は、光リサイクリングキャビティ230内に限定された角度範囲にわたって光を放射するように構成される。図1のバックライト100の前面反射体110、背面反射体120、半鏡面素子250、及び1つ以上の光源160に関して本明細書で説明された全ての設計上の考察及び可能性は、図2のバックライト200の前面反射体210、背面反射体220、光抽出素子242、244、246、半鏡面素子250、及び光源260、270にも等しく適用される。
【0108】
図2に示した実施形態では、1つ以上の光源260、270は、バックライト200の第1の端部232及び第2の端部234にそれぞれ近接して配置されている。他の実施形態では、光源は、バックライトの任意の数の端部に近接して配置されてもよい。図示のように、バックライト200は、1つ以上の光源260、270からの光を光リサイクリングキャビティ230内に直接向けるのに役立つ1対の注入器又は反射体265、275を含む。例えば、くさび状、略放物線状の反射体などの、任意の好適な注入器又は反射体が、バックライト200と共に使用できる。例えば、米国特許出願第60/939,082号、表題「COLLIMATING LIGHT INJECTORS FOR EDGE−LIT BACKLIGHTS」に記載の注入器を参照されたい。
【0109】
図示された実施形態において、光抽出素子は、3つの区分(242、244、246)に、それらの間の背面反射体220の2つの部分248、249と共に分離される。一部の実施形態では、図1に示されるように、光抽出素子140は、バックライト100の長さLにわたって連続的である。図2で示されるように、一部の実施形態では、光抽出素子(242、244、246)はバックライト200の長さLにわたって不連続性である。一部の実施形態では、示されていないが、光抽出素子は、バックライトの長さ及び幅にわたって区分に更に分離され、出力面から望ましい光束出力を提供することができる。
【0110】
図2のバックライト200は、バックライトの端部付近に位置決めされた1つ以上の光源を有するエッジライト型バックライトであるが、他の実施形態は、光リサイクリングキャビティ内に光を向けるために、背面反射体上への出力面の突起により画定されるキャビティのエリア内で位置決めされた光源を含み、それにより直下型バックライトを形成することができる。例えば、図3は、直下型バックライト300の一実施形態の概略断面図である。バックライト300は、出力面335を有する中空の光リサイクリングキャビティ330を形成する、部分的透過性の前面反射体310及び背面反射体320を含む。バックライト300はまた、中空の光リサイクリングキャビティ330内に配置された少なくとも1つの半鏡面素子(図示せず)、勾配鏡面性を有する光抽出素子340、及び光リサイクリングキャビティ330内に光を放射するように配置された1つ以上の光源360、370も含む。図3に図示されている実施形態では、光抽出素子340は、部分的透過性の前面反射体310に隣接して示されているが、しかしながら、光抽出素子340は、他の箇所で記載されているように、キャビティ330内の他の位置に配置されてもよい。図1のバックライト100の前面反射体110、背面反射体120、勾配鏡面性を有する光抽出素子140、少なくとも1つの半鏡面素子150、及び1つ以上の光源160に関して説明された全ての設計上の考察及び可能性は、図3のバックライト300の前面反射体310、背面反射体320、勾配鏡面性を有する光抽出素子340、少なくとも1つの半鏡面素子、及び1つ以上の光源360及び370にも等しく適用される。
【0111】
図3に例示した実施形態では、1つ以上の光源360、370は、光リサイクリングキャビティ330内に位置決めされる。いくつかの実施形態では、光源360、370は、実質的に横方向に光を放射し、出力面335により画定される横断面に対して0〜40度の範囲の平均光束偏差角を放射光が有するように構成されている。換言すれば、光源360、370は、光の大部分をキャビティ330の移送帯域内に放射するように構成され得る。1つ以上の光源360、370は、キャビティ330内の任意の好適な場所に位置決めされてもよい。
【0112】
いくつかの直下型の実施形態では、一般的に垂直の反射性側面表面332、334は、実際には、特定のバックライトを類似又は同一の隣接するバックライトと分けるための薄いパーティションにすることができ、その各バックライトは実際には、区域で区切られた大きなバックライトの一部分である。その個々のサブバックライト内の光源は、大きなバックライトのための照明及び暗部区域で区切られたパターンを提供するために、任意の望ましい組み合わせで点灯又は消灯することができる。そのような区域で区切られたバックライトは、いくつかのLCDアプリケーションにおいて、コントラストを向上させ、エネルギーを節約するために動的に用いることができる。区域間の反射性パーティションは、前面反射体まで完全に延在していなくてもよいが、区域境界の視認性(視聴者の側から見て)を最小限に抑え、また同時に区域間のブリードスルーを最小限に抑えるように寸法決めされた隙間によって前面反射体から離隔されてもよい。
【0113】
図5a〜5fは、本開示の一態様による、エッジライト型中空バックライトの様々な実施形態の概略断面図である。図5a〜5fにおいて、バックライト500は、中空の光リサイクリングキャビティ530を形成する、部分的透過性の前面反射体510及び背面反射体520を含む。部分的透過性の前面反射体510は、背面反射体520に面する主表面512を含む。背面反射体520は、部分的透過性の前面反射体510に面する主表面522を含む。バックライト530は、他の箇所で記載されたものと同様な1つ以上の光源(図示せず)を更に含む。
【0114】
図5aにおいて、バックライト500は、部分的透過性の前面反射体510の主表面512に隣接して配置される光学素子540を含む。光学素子540は、勾配鏡面性を有する光抽出素子と組み合わされる半鏡面素子である。
【0115】
図5bにおいて、バックライト500は、部分的透過性の前面反射体510の主表面512に隣接して配置された第1の光学素子540、及び背面反射体520の主表面522に隣接して配置された第2の光学素子541を含む。第1の光学素子540及び第2の光学素子541は、勾配鏡面性を有する光抽出素子と組み合わされる半鏡面素子である。図5bに示されるように、光学素子のそれぞれの内部の勾配鏡面性は、異なっていてもよく、又は同じであってもよい。
【0116】
図5cにおいて、バックライト500は、背面反射体520の主表面522に隣接して配置される光学素子541を含む。光学素子541は、勾配鏡面性を有する光抽出素子と組み合わされる半鏡面素子である。
【0117】
図5dにおいて、バックライト500は、背面反射体520の主表面522から、隙間543によって分離される光学素子541を含む。光学素子541は、勾配鏡面性を有する光抽出素子と組み合わされる半鏡面素子である。
【0118】
図5eにおいて、バックライト500は、部分的透過性の前面反射体510の主表面512に隣接して配置された半鏡面素子544、及び背面反射体520の主表面522上の勾配内に配置された光抽出素子545を含む勾配光抽出器を含む。
【0119】
図5fにおいて、バックライト500は、部分的透過性の前面反射体510の主表面512に隣接して配置される半鏡面素子544を含む。半鏡面素子544は、背面反射体520に面する主表面546、及び半鏡面素子544の主表面546上の勾配内に配置された光抽出素子545を含む勾配光抽出器を含む。
【0120】
図1のバックライト100の前面反射体110、背面反射体120、勾配鏡面性を有する光抽出素子140、少なくとも1つの半鏡面素子150、及び1つ以上の光源160に関して説明された全ての設計上の考察及び可能性は、図5a〜5fのバックライト500の前面反射体510、背面反射体520、勾配鏡面性を有する光抽出素子、少なくとも1つの半鏡面素子、及び1つ以上の光源にも等しく適用される。
【0121】
本開示のバックライトは、任意の好適な構成又は用途において実施されてもよい。例えば、本明細書に記載のバックライトは、ディスプレイパネルと共に使用して、ディスプレイシステム、例えばLCディスプレイ又はモニタを形成することができる。図6は、ディスプレイシステム600の一実施形態の概略断面図である。ディスプレイシステム600は、LCパネル650、及びLCパネル650に光を提供するために配置された照明アセンブリ602を含む。LCパネル650は、典型的には、パネルプレート654の間に配置されたLC層652を含む。プレート654の多くはガラスで形成され、LC層652の液晶の配向を制御するための電極構造体及び配向層を内側表面に含んでよい。これら電極構造体は、LCパネル画素、すなわち隣接する領域とは独立して液晶の配向を制御できるLC層の領域を画定するように一般的に配置される。また、1つ以上のプレート652と共に、LCパネル650によって表示された画像に色付けするためのカラーフィルタが含まれてもよい。
【0122】
LCパネル650は、上方吸収偏光子656と下方吸収偏光子658との間に位置決めされている。図示した実施形態では、上方吸収偏光子656及び下方吸収偏光子658は、LCパネル650の外部に位置している。吸収偏光子656、658及びLCパネル650は共に、バックライト610からディスプレイパネル600を介して視聴者に至る光の透過を制御する。例えば吸収偏光子656、658は、透過軸が互いに垂直になるよう配置することができる。非駆動状態では、LC層652の画素は、そこを通過する光の偏光を変えることはない。したがって、下方吸収偏光子658を通過する光は、上方吸収偏光子656によって吸収される。一方、画素がアクティブ化されるとき、通過する光の偏光は回転されて、下方吸収偏光子658を透過した少なくとも一部の光は上方吸収偏光子656も透過する。例えば、制御器604によるLC層652の異なる画素の選択起動は、ディスプレイシステム600からの光を特定の所望の位置で通過させ、それにより視聴者により見られる画像を形成する結果となる。制御器604には、例えば、テレビ画像を受信し表示する、コンピュータ又はテレビ用制御器を挙げることができる。
【0123】
ディスプレイ表面への機械的保護及び/又は環境的保護を提供するために、例えば、上方吸収偏光子656の近くに1つ以上の選択的な層657が提供されてもよい。一つの例示的な実施形態では、層657は、上方吸収偏光子656の上のハードコートを含むことがある。
【0124】
いくつかのLCディスプレイは上記の方式とは異なった方式で作動できることは理解されよう。例えば、吸収偏光子は平行に整列されてもよく、LCパネルは非活性化状態にあるときに光の偏光を回転させてもよい。それにもかかわらず、そのようなディスプレイの基本的な構造は、上述の構造と依然として同様である。
【0125】
照明アセンブリ602は、バックライト610、及び所望により、バックライト610とLCパネル650との間に位置決めされた1つ以上の光制御フィルム640を含む。バックライト610は、本明細書に記載のいずれのバックライト、例えば図1のバックライト100を含んでもよい。
【0126】
光制御ユニットとも呼ばれる場合がある光制御フィルム640の配列は、バックライト610とLCパネル650との間に位置決めされる。光制御フィルム640は、バックライト610から伝搬する照明光に影響を及ぼす。例えば、光制御フィルム640の配列は、所望により拡散体648を含んでもよい。拡散体648は、バックライト610から受ける光を拡散するために使用される。
【0127】
拡散層648は、任意の好適な拡散フィルム又はプレートであってもよい。例えば、拡散層648は、任意の好適な拡散材料を含んでいてもよい。ある実施形態では、拡散層648は、ガラス、ポリスチレンビーズ、及びCaCO3粒子を含む様々な分散相を有するポリメチルメタクリレート(PMMA)の高分子マトリックスを含んでもよい。代表的な拡散体には、3M Company(St.Paul,Minnesota)から入手可能な3M(登録商標)Scotchcal(登録商標)Diffuser Film、タイプ3635−30、3635−70、及び3635−100を挙げることができる。
【0128】
選択的な光制御フィルム640はまた、反射偏光子642を含んでもよい。いくつかの実施形態では、反射偏光子642の透過軸は、LCパネル650の通過軸と揃えることができる。任意の好適な種類の反射偏光子、例えば、多層光学フィルム(MOF)反射偏光子、連続/分散相偏光子のような拡散反射偏光フィルム(DRPF)、ワイヤグリッド反射偏光子、又はコレステリック反射偏光子が、反射偏光子642に使用されてもよい。
【0129】
MOFと連続/分散相反射偏光子の両方が、少なくとも2種類の材料、通常は高分子材料の間における屈折率の差異を利用して、1つの偏光状態の光を選択的に反射し、一方で直交する偏光状態にある光を透過させる。MOF反射偏光子のいくつかの例が、同一出願人に所有された米国特許第5,882,774号(Jonzaら)に記載される。MOF反射偏光子の市販の例には、3M Companyから入手可能な拡散面を含むVikuiti(登録商標)DBEF−D200及びDBEF−D440多層反射偏光子がある。
【0130】
本開示と関連した有用なDRPFの例には、例えば本願出願人の米国特許第5,825,543号(Ouderkirkら)に記載された連続/分散相反射偏光子と、例えば本願出願人の米国特許第5,867,316号(Carlsonら)に記載された拡散反射多層偏光子がある。他の好適なタイプのDRPFが、米国特許第5,751,388号(Larson)に記載される。
【0131】
本開示と関連して使用できるワイヤグリッド偏光子のいくつかの例には、例えば米国特許第6,122,103号(Perkinsら)に記載されたものがある。ワイヤグリッド偏光子は、とりわけMoxtek Inc.(Orem,Utah)から市販されている。
【0132】
本開示と関連して役立つコレステリック偏光子の幾つかの例には、例えば米国特許第5,793,456号(Broerら)と米国特許出願公開第2002/0159019号(Pokornyら)に記載されたものがある。コレステリックの偏光子は多くの場合に、コレステリックの偏光子を透過する光が直線偏光に変換されるように、出力側に4分の1波長遅延層を伴って提供される。
【0133】
いくつかの実施形態では、偏光制御層644を拡散プレート648と反射偏光子642との間に設けてもよい。偏光制御層644の例には、4分の1波長遅延層、及び液晶偏光回転層のような偏光回転層が挙げられる。偏光制御層644は、リサイクリング光の増加した一部が反射偏光子642を透過するように反射偏光子642から反射される光の偏光を変化させるために使用されてもよい。
【0134】
光処理フィルム640の選択的な配列は、1つ以上の輝度向上層を含んでもよい。輝度向上層とは、軸外光をディスプレイの軸線により接近した方向に向け直す表面構造を含んだものである。これは、LC層652を通じて軸線上を伝搬する光の量を増加させ、したがって、視聴者が見る画像の輝度を向上させる。輝度向上層の一例は、照明光を屈折と反射で変化させるいくつかのプリズム隆起部を有するプリズム輝度向上層である。ディスプレイシステム600で使用されることがあるプリズム輝度向上層の例には、BEF II 90/24、BEF II 90/50、BEF IIIM 90/50及びBEF IIITを含む、3M Companyから入手可能なVikuiti(登録商標)BEF II及びBEF III系のプリズムフィルムが挙げられる。いくつかの実施形態では、偏光維持屈折構造体を利用することができる。屈折輝度向上フィルムの多くの種類は、高複屈折率であり、反射偏光子から放射された光の偏光状態を解消し得る。偏光を解消させないために、ポリカーボネートのような基材を十分な等方性に作製することができる。
【0135】
輝度向上は、本明細書で更に詳しく説明される前方反射体の実施形態のいくつかによって提供され得る。
【0136】
図6に示す代表的な実施形態は、反射偏光子642とLCパネル650との間に配置された第1の輝度向上層646aを示す。プリズム状輝度向上層は、典型的に1次元の光学利得をもたらす。また、光制御フィルム640の配列には、第1の輝度向上層646aのプリズム構造に直角に向けられたプリズム構造を有する選択的な第2の輝度向上層646bが含まれてもよい。そのような構成は、ディスプレイシステム600の光学利得を二次元で増大させる。他の例示の実施形態では、輝度向上層646a、646bは、バックライト610と反射偏光子642との間に位置決めされてよい。
【0137】
任意の光制御フィルム640内の様々な層は独立していてもよい。他の実施形態では、例えば本願出願人の米国特許出願第10/966,610(Koら)で言及されているように、光制御フィルム640内の2つ以上の層が一緒に積層されてもよい。他の例示的な実施形態では、例えば本願出願人の米国特許出願第10/965,937号(Gehlsenら)に記載されているように、任意的な光制御フィルム640は、隙間で分離された2つの半組立体を含んでもよい。
【0138】
一態様では、本開示のバックライトの前面及び背面反射体の一方又は両方は、所望の出力光束分布を提供するために位置決めされるか、又は形成され得る。別の態様では、1つ以上の光抽出素子は、所望の出力光束分布を提供するためにキャビティ内部に位置決めされてもよい。任意の技法を使用して、望ましい分布を提供するために、反射体又は光抽出素子がどの形状又は位置をとるべきかを決めてもよい。例えば、出力面を有する中空の光リサイクリングキャビティを形成することができる。このキャビティは、部分的透過性の前面反射体及び平面状の背面反射体を含み得る。1つ以上の光源が、光リサイクリングキャビティ内に限定された角度範囲にわたって光を放射するように位置決めされ得る。所望の出力光束分布が選択され得る。第1の出力光束分布を測定し、所望の出力光束分布と比較し得る。一態様では、前面及び背面反射体の一方又は両方は、次に所望の出力光束分布を提供するために形成、又は位置決めされ得る。別の態様では、光抽出素子は、所望の出力光束分布を提供するためにキャビティ内部に位置決めされてもよい。更に別の態様では、前面反射体及び背面反射体の1つ又は両方が次いで成形又は位置決めされて、抽出素子は所望の出力光束分布を提供するためにキャビティ内部に位置決めされてもよい。第2の出力光束分布を測定し、所望の出力光束分布と比較し得る。前面反射体及び背面反射体の1つ又は両方の更なる成形、形成、若しくは位置決め、又は光抽出素子の勾配鏡面性若しくは位置の変更が次いで実施されて、所望の出力光束分布を提供してもよい。上述の技術のいずれか又は全ては、当該技術分野において既知の、任意の適切なコンピュータモデリング技術を使用して実施され得る。
【0139】
特に断らない限り、「バックライト」に関する記述は、対象とする用途で名目的に均一な照明を提供する他の広域面積照明装置にも当てはまる。他のそのような装置は、偏光出力を提供してもよく、非偏光出力を提供してもよい。例としては、ライトボックス、サイン、チャンネル文字、及び、屋内(例、家庭又はオフィス)又は屋外用の、「照明器具」と称されることもある一般的照明装置が挙げられる。またエッジライト型の装置は、対向する主表面の両方、すなわち、上記で言う「前面反射体」及び「背面反射体」の両方から光を放射するように構成することができ、その場合、前面及び背面反射体の両方が部分的透過性である点にも留意されたい。そうした装置は、2枚の独立したLCDパネル又はバックライトの両側に配される他のグラフィック部材を照明することができる。その場合、前面及び背面反射体は同じ又は類似の構造を有していてもよい。そのような両面バックライトは、例えば、両面サイン、携帯電話などに使用できる。いくつかの実施形態では、両面バックライトは、キャビティ内に位置決めされた反射部材を含み、バックライトの主表面の一方又は両方から外へ光を方向付けることができる。この反射部材は、完全反射性、部分的透過性であってよく、又は反射性及び透過性の組み合わされた特性を有していてもよい。更に、反射部材の主表面の一方又は両方は、本明細書で記載されるように形成されてもよい。任意の好適な反射体がこの反射部材に使用されてもよい。
【0140】
「LED」という語は、可視、紫外線又は赤外線にかかわらず、光を放射するダイオードを指す。これは、従来型か、超放射型かにかかわらず、「LED」として販売されているインコヒーレントな封入又は密閉型の半導体装置を含む。LEDが紫外線などの非可視光線を発する場合、及びLEDが可視光線を発するある特定の場合、LEDは蛍光体を含むようにパッケージ化され(あるいは遠隔配置された蛍光体を照射することができ)、短波長の光を長波長の可視光線に変え、特定の場合には白色光を発する装置を提供する。
【0141】
蛍光体は、結合剤中の蛍光材料の混合物であってもよい。蛍光材料は、無機粒子、有機粒子、若しくは有機分子、又はこれらの組み合わせであってもよい。好適な無機粒子としては、ドープされたガーネット(例えばYAG:Ce及び(Y、Gd)AG:Ce)、アルミネート類(例えば、Sr2Al14O25:Eu、及びBAM:Eu)、シリケート類(例えばSrBaSiO:Eu)、硫化物類(例えば、ZnS:Ag、CaS:Eu、及びSrGa2S4:Eu)、オキシ−硫化物類、オキシ−窒化物類、ホスフェート類、ボレート類、及びタングステート類(例えば、CaWO4)が挙げられる。これらの材料は、従来の蛍光体粉末又はナノ粒子蛍光体粉末の形態であってもよい。別の種類の好適な無機粒子は、Si、Ge、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、PbS、PbSe、PbTe、InN、InP、InAs、AlN、AlP、AlAs、GaN、GaP、GaAs及びこれらの組み合わせを含む半導体ナノ粒子から製造される、いわゆる量子ドット蛍光体である。一般に、量子ドットの表面は、アグロメレーションの防止、及び結合剤との適合性を増大させるために、有機分子によって少なくとも部分的にコーティングされるであろう。一部の例では、半導体量子ドットは、コア−シェル構造にて異なる材料のいくつかの層で構成されていてもよい。好適な有機分子としては、米国特許第6,600,175号に列挙されるもののような蛍光染料が挙げられる。好ましい蛍光材料は、良好な耐久性と安定な光学特性を示すものである。蛍光体層は、単一層又は一連の層にて異なる種類の蛍光体のブレンドからなっていてもよく、それぞれは1以上の種類の蛍光体を含有する。蛍光体層中の無機蛍光体粒子は寸法(直径)が異なっていてもよく、それらは、層の断面にわたって平均粒径が均一ではないように分離されていてもよい。例えば、大きい粒子がフィルムの一方の側にある傾向が見られ、小さい粒子が他方の側に位置する傾向があってもよい。この分離は、結合剤が硬化する前に粒子を沈降させることにより達成されるであろう。他の好適な蛍光体は、薄膜蛍光体、例えば、Lumileds(San Jose,CA)から入手可能なLumiramic(登録商標)蛍光技術が挙げられる。
【0142】
「LEDダイ」は、最も基本的な形態、すなわち半導体加工手順によって製造される個々の構成要素又はチップの形態のLEDである。構成要素又はチップは、デバイスに電圧を加えるための電力の適用に好適な電気接点を含むことができる。構成要素又はチップの個々の層及びその他の機能的要素は、通常、ウェハスケールで形成された後、仕上がったウェハは個々の小片部に切られて、多数のLEDダイとなることができる。LEDは、カップ形状の反射体又は他の反射性基材、単純なドーム形状のレンズ、他の既知の形状若しくは構造体に成型された封入材、抽出材及びその他パッケージング要素で前方発光、側方発光、その他の望ましい光出力分配を行うのに用いられるものを含むことができる。
【0143】
他に指示がない限り、LEDという語の参照は、カラーか、白色かを問わず、並びに偏光か非偏光かを問わず、小さな発光面積で明るい光を放射することができる他の光源にも適用される。例としては、半導体レーザー装置、及び、固体レーザーポンピングを利用した光源、例えばLuminus Devices,Inc.(Billerica,MA)から入手可能なPhlatlight(登録商標)光源のようなフォトニック結晶を組み込んだ固体光源、及び量子ドット又は量子井戸のような量子井戸ダウンコンバート素子を組み込んだ光源(例えば、米国特許出願第60/978,304号、及び米国特許出願公開第2006/0124918号を参照)が挙げられる。
【0144】
指示がない限り、本明細書及び請求項で使用される特性となる大きさ、量、及び物理特性を示す全ての数字は、「約」と言う用語によって修飾されることを理解されたい。それ故に、別の指示がない限りは、本明細書及び添付の請求項に説明される数字のパラメータは近似値であり、本明細書に開示された教示を使用して当業者が獲得しようとする所望の特性に応じて変化し得る。
【実施例】
【0145】
バックライトは、米国特許出願公開第2008/068953号、表題「VIRTUAL BACKLIGHT FRAM(登録商標)EWORK」(代理人整理番号62307WO004)に記載されているように、LightTools(登録商標)6.0.0(Optical Research Associates(Pasadena,CA)から入手可能)及びVirtual Backlightシミュレーションツールを使用して作られた。
【0146】
実施例1:エッジライト型バックライト
対角32”(81.3cm)、16:9のバックライトが作られた。バックライトは以下の寸法を備えて、図1と同様に設計された。長さLは398.5mmであり、高さHは15.0mmであり、略放物線状の反射体(図1における素子165)は、深さ21mm及び幅14mmと計測され(深さは左への距離であり、幅は端部132に沿った開口部である)、光源160は2.6mmと測定された。側面反射体(図1における素子134)は、垂直(素子110に最も近い末端部は、光源により近い)から約3.8°傾けた。ビーズ状の利得拡散体(同時係属の米国特許出願第60/939,085号、「RECYCLING BACKLIGHTS WITH SEMI−SPECULAR COMPONENTS」の実施例1に記載されている手順に従って調製された)は、半鏡面素子として使用された(図1における素子150)。光エンジン及びキャビティの全ての他の内面は、他に指定がない限り、3M companyから入手可能なESRを用いて裏打ちされた。2つの異なる部分的透過性の前面反射体(図1における素子110)を使用して、光抽出素子のないシミュレーションが実施された。第1の部分的透過性の前面反射体(ARFとして設計された)は、通過方向において、32%の透過率及び83%の半球反射率を有する非対象反射性フィルム(ARF)だった。第2の部分的透過性の前面反射体(APFとして設計された)は、51%の半球反射率を有するAdvanced Polarizing Film(高度偏光フィルム)だった。
【0147】
2つの区分の光抽出素子は、図1に示されるように背面反射体に隣接して、キャビティ内に配置された。光抽出素子の2つの区分のそれぞれは、背面反射体上に適用された、様々な密度及びランベルト反射特性を備える白いドットを含んだ。このシミュレーションで使用される白いドットパターンは、Optical Research AssociateからのLightTools(登録商標)6.0.0に「Bezier Placement Option」を使用して算出された。光抽出器の第1の区分は長さ50mmであり、光源の隣であった(図1における素子132で始まり、50mm延びる)。光抽出器の第2の区分は、長さ200mmであり、中間点から側面反射体(図1における素子134)まで広がった。各白いドットは、反射率0.98を有するランベルト反射体だった。白いドットは、表1に示されるように各区分に対してアレイ内に配置された。長さ方向Lに沿った配置は、アスタリスク(*)で示されたパラメータを使用して、Bezierの位置オプションによって測定された。
【0148】
【表1】
【0149】
光抽出素子を備えるシミュレーションが、2つの異なる部分的透過性の前面反射体(図1の素子110)を使用して実施された。第1の部分的透過性の前面反射体(ARF−ドットとして設計された)は、通過方向において、32%の透過率及び83%の半球反射率を有する非対象反射性フィルム(ARF)だった。第2の部分的透過性の前面反射体(APF−ドットとして設計された)は、51%の半球反射率を有するAdvanced Polarizing Film(高度偏光フィルム)だった。図7は、光源からのモデル化された出力光束対位置グラフであり、ARF、ARF−ドット、APF、及びAPF−ドットのシミュレーションを含む。
【0150】
シミュレーションの結果は、ランベルト反射率を備える白い印刷ドットを有する光抽出素子がディスプレイの均一性を改善することができるということを立証している。ディスプレイの均一性は、低い半球反射率及び高い反射率を有する部分的透過性の前面反射体で改善された。バックライトの効率は、低い半球反射率を有する部分的透過性の前面反射体の使用によって、部分的に、中空のキャビティ内部で、より少ないリサイクルによって(並びに、したがって、より少ない吸収損失によって)改善された。
【0151】
本願で引用した全ての参照文献及び刊行物は、本開示と完全には矛盾することのない程度まで、その全てが引用によって本開示に明白に組み込まれる。本開示の例示的実施形態を検討すると共に本開示の範囲内の可能な変形例を参照してきた。本開示のこれらの及び他の変形例及び変更例は開示の範囲から逸脱することなく当業者には明らかであろうと共に、本開示は本明細書に記載された例示的実施形態に限定されないことは理解されよう。したがって、本開示は、冒頭に提示した「特許請求の範囲」によってのみ限定される。
【背景技術】
【0001】
バックライトは、バックライトの出力エリアに対して光源がどこに位置決めされるかによって2つのカテゴリーのいずれかに分類されると考えられる。ここでバックライトの「出力エリア」とは、ディスプレイ装置の可視領域すなわち可視区域に相当する。本明細書では、このバックライトの「出力エリア」を、出力領域又は表面そのものと、出力領域又は表面の面積(平方メートル、平方ミリメートル、平方インチなどの単位を有する数量)と、を区別するために、時に「出力領域」又は「出力面」と呼ぶ。
【0002】
第1のカテゴリーは「エッジライト(edge-lit)型」である。エッジライト型バックライトでは、平面透視図によると、1つ以上の光源は、通常、出力エリアに対応するエリア又は区域の外側である外縁又は周辺部に沿って配置される。光源はしばしば、バックライトの出力エリアの外縁となるフレームすなわちベゼルによって隠される。光源は一般的に、「ライトガイド」と呼ばれる構成要素に光を放射し、特にノート型コンピュータディスプレイなど、非常に薄い外形のバックライトが望ましい場合に用いられる。このライトガイドは透明、中実であり、長さ及び幅の寸法がバックライト出力エリアの大きさとほぼ同じ、比較的薄いプレートである。ライトガイドは、ライトガイドの全長又は幅をはさんだ縁部に取り付けられたランプからの光をバックライトの反対側の縁部へと移動させる又はガイドするために全内部反射(TIR)を用い、局所的抽出構造体の非均一パターンがライトガイドの表面に提供されて、ライトガイドから出たこの導かれた光の一部を、バックライトの出力エリアに向け直す。こうしたバックライトは、ライトガイドの後ろ又は下に配置される反射材料などの光制御フィルム、並びに、ライトガイドの前方又は上に配置される反射偏光フィルム及びプリズム状BEFフィルムを通常、更に有することによって、法線方向の輝度が高くなっている。
【0003】
出願者の見地では、既存のエッジライト型バックライトの欠点又は限界としては、特にバックライトのサイズがより大きい場合にライトガイドと関連した質量又は重量が比較的大きいこと、特定のバックライトサイズと特定の光源構成用にライトガイドを射出成形、ないしは別の方法で製造しなければならないので、バックライト間で互換性のない構成要素を使用する必要があること、既存の抽出構造パターンと同様にバックライト内の相互の位置における実質的な空間不均一を必要とする構成要素を使用する必要があること、並びにバックライトのサイズが大きくなるほど、長方形の面積に対する周囲の長さの比率が、特徴的な面内寸法L(例えば、所定の縦横比の長方形では、バックライトの出力区域の長さ、幅、又は対角線寸法)と共に線形(1/L)に低下するので、ディスプレイの縁部に沿った空間の制限又は「表面積縮小」のため十分な照明を提供することがより困難になること、が挙げられる。
【0004】
バックライトの第2のカテゴリーは「直下型(direct-lit)」方式である。直下型方式のバックライトでは、平面図の視点で見て、1つ以上の光源が出力エリアに相当する領域又は範囲のほぼ内側に、通常は範囲内の規則的なアレイ又はパターンとして配置される。あるいは、直下型バックライトの光源は、バックライトの出力エリアのすぐ裏側に配置されているとも言える。高拡散性プレートは、通常、光源の上側に取り付けられて、光を出力エリア一面に広げる。この場合もやはり、拡散プレートの上に反射偏光フィルム及びプリズム状BEFフィルムなどの光制御フィルムを更に配置して、法線方向の輝度及び効率を高めることができる。
【0005】
出願人の見地では、既存の直下型バックライトの欠点又は限界としては、高拡散性プレートに関連した非効率性と、LED光源の場合、適切な均一性及び輝度のためにそのような光源が多数必要となり、それに付随する構成要素に関連する高コスト及び発熱と、各光源上の出力エリアに明るいスポットが生じる不均一で好ましくない「パンチスルー」を光源が生じさせるために、バックライトの達成可能な薄さにはそれ以上は薄くできない限界があること、が挙げられる。
【0006】
場合によっては、直下型バックライトではバックライトの周囲に1つ又は複数の光源を含むことができるか、又はエッジライト型バックライトでは出力エリアの裏側に直接1つ又は複数の光源を含むことができる。そのような場合、光の大半がバックライトの出力エリアの裏側から直接発せられる場合は、このバックライトは「直下型」と見なされ、光の大半がバックライトの出力エリアの周囲から発せられる場合は、このバックライトは「エッジライト型」と見なされる。
【0007】
通常、あらゆる種類のバックライトが液晶(LC)ベースのディスプレイと共に使用される。液晶ディスプレイ(LCD)パネルは、その操作の方法が理由で光の1つの偏光状態のみを利用する。したがって、LCD用途に関しては、単純に偏光されていない場合がある光の輝度及び不均一性だけでなく、正しい又は使用可能な偏光状態の光に対するバックライトの輝度及び不均一性を知ることが重要である場合がある。その点に関しては、他の全ての要素を同一にした場合、使用可能な偏光状態が主体の光又は使用可能な偏光状態でのみ光を放射するバックライトは、非偏光の光を放射するバックライトよりも、LCDアプリケーションにおいてより効率的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、使用可能な偏光状態だけではない光を放射するバックライトは、ランダムに偏光された光を放射するという点でも、液晶ディスプレイパネルとバックライトとの間に設けられた吸収偏光子によって、使用できない偏光状態を除去できるので、液晶ディスプレイ用途ではまだ十分使用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本開示は、出力面を有する中空の光リサイクリングキャビティを形成する部分的透過性の前面反射体及び背面反射体を含むバックライトを提供する。バックライトはまた、中空の光リサイクリングキャビティ内に配置された半鏡面素子と、光抽出素子と、を含む。光抽出素子は勾配鏡面性を有する。バックライトは、中空の光リサイクリングキャビティ内に光を注入するように配置された少なくとも1つの光源を更に含む。少なくとも1つの光源は、限定された角度範囲にわたって光を注入するように構成される。
【0010】
別の態様では、本開示は、ディスプレイパネル、及びディスプレイパネルに光を提供するように配置されたバックライトを含むディスプレイシステムを提供する。バックライトは、出力面を有する中空の光リサイクリングキャビティを形成する部分的透過性の前面反射体及び背面反射体を含む。バックライトはまた、中空の光リサイクリングキャビティ内に配置された半鏡面素子と、光抽出素子と、を含む。光抽出素子は勾配鏡面性を有する。バックライトは、中空の光リサイクリングキャビティ内に光を注入するように配置された少なくとも1つの光源を更に含む。少なくとも1つの光源は、限定された角度範囲にわたって光を注入するように構成される。
【0011】
本願のこれらの態様及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかとなろう。しかし、上記の要約は、請求される発明の主題に対して限定するものとして決して解釈されるべきではなく、本発明の主題は、特許請求の範囲によってのみ定義されるものであり、その範囲は手続の際に補正される場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書を通して、添付の図面を参照し、ここで、同じ参照番号は同じ要素を示す。
【図1】エッジライト型中空バックライトの一実施形態の概略断面図。
【図2】エッジライト型中空バックライトの別の実施形態の概略断面図。
【図3】直下型中空バックライトの一実施形態の概略断面図。
【図4A】前面反射体の様々な実施形態の概略断面図。
【図4B】前面反射体の様々な実施形態の概略断面図。
【図4C】前面反射体の様々な実施形態の概略断面図。
【図5a】エッジライト型中空バックライトの様々な実施形態の概略断面図。
【図5b】エッジライト型中空バックライトの様々な実施形態の概略断面図。
【図5c】エッジライト型中空バックライトの様々な実施形態の概略断面図。
【図5d】エッジライト型中空バックライトの様々な実施形態の概略断面図。
【図5e】エッジライト型中空バックライトの様々な実施形態の概略断面図。
【図5f】エッジライト型中空バックライトの様々な実施形態の概略断面図。
【図6】ディスプレイシステムの一実施形態の概略断面図。
【図7】モデル化された出力光束対位置のグラフ。
【0013】
図面は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図面で用いられる同様の番号は同様の又は類似の構成要素を指す。しかし、所与の図中の構成要素を意味する数字の使用は、同一数字でラベルした別の図中の構成要素を制約するものではないことは理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一般的に、本開示は、選択的な出力光束分布を提供するように構成され得る薄型の中空バックライトのいくつかの実施形態を説明する。例えば、いくつかの実施形態では、本開示のバックライトは、均一な光束分布をバックライトの出力面に提供するように構成され得る。「均一」という用語は、視聴者には不快となるであろう観察可能な輝度特性又は不連続性を有さない光束分布を意味する。出力光束分布の許容可能な均一性は、その用途によって決定されることが多く、例えば、一般の照明用途での均一な出力光束分布は、ディスプレイ用途では均一であるとは考えられない。
【0015】
更に、例えば、本開示のバックライトの少なくとも1つ以上の実施形態は、バックライトの端部領域付近の光束と比較して、出力面の中央領域付近の光束が増大している出力光束分布を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、出力面の端部領域付近の輝度に対する出力面の中央領域付近の輝度の比率は、少なくとも約1.10である。そのような出力光束分布は、不均一と考慮され得るが、一部の用途に関しては、この種の分布が望ましい場合もある。任意の好適な出力光束分布を提供することが可能である。
【0016】
これらの実施形態の少なくとも1つでは、バックライトは、出力面を有する中空の光リサイクリングキャビティを形成する部分的透過性の前面反射体及び背面反射体を含む。バックライトは、光リサイクリングキャビティ内に配置された光抽出素子を更に含み、光抽出素子は勾配鏡面性を有する。この代表的なバックライトはまた、キャビティ内に配置された少なくとも1つの半鏡面素子と、限定された角度範囲にわたって光をキャビティ内に光を放射するように配置された1つ以上の光源と、を含む。
【0017】
本明細書で使用する「出力光束分布」という用語は、バックライトの出力面にわたる輝度の変動を意味する。「輝度」という用語は、単位立体角内への、単位面積当たりの光出力(cd/m2)を意味する。
【0018】
いかなる特定の理論に拘束されるものではないが、本明細書で説明するバックライトの出力光束分布は、以下のパラメータの1つ以上を制御することにより調整可能である。
【0019】
1.背面反射体に対する前面反射体の位置決め、
2.前面及び背面反射体のうちの一方又は両方の形状、
3.前面及び背面反射体の反射特性及び透過特性、
4.光抽出素子の反射特性、透過特性、及び拡散特性、
5.少なくとも1つの半鏡面素子の反射特性、並びに
6.1つ以上の光源によりキャビティ内へ放射される光の平均光束偏差角。
【0020】
これらの要因を制御することは、光リサイクリングキャビティを光で充填することと、少なくともその一部分が出力面の所望の位置で前面反射体を透過するように、キャビティ内の光の方向転換又は進路変更させることとの間のバランス調節を伴う。
【0021】
一般的に、キャビティ内を伝搬する光は、2つの角度分布又は帯域、すなわち移送帯域及び透過帯域に分類されるものと考えられる。移送帯域は、光が前面反射体を簡単には透過しないような方向でキャビティ内を伝搬する光を含む。移送帯域内の光の角度範囲は、少なくともある程度は前面と背面の反射鏡における、光抽出素子の反射特性、伝送特性、拡散特性、キャビティ内の半鏡面要素の反射特性、及びキャビティの幾何学といった、反射特性と伝送特性とに依存する。例えば、本明細書で説明するバックライトのいくつかの実施形態では、例えば前面反射体の主表面に対して30度以下の角度をなして入射する光に関して反射率の増大を示す様々な前面反射体が含まれている。それらの前面反射体の場合、移送帯域は、前面反射体の表面と30度以内の方向でキャビティ内を伝搬する光を含むものとして定義できる。他の実施形態では、前面反射体が、オフ角の光に関してこのような反射率の増大を示さない場合もある。それらの実施形態では、移送帯域は、前面反射体の主表面と実質的に平行な方向でキャビティ内を伝搬する光を含むものとして定義できる。
【0022】
透過帯域は、少なくともその一部分が前面反射体を透過することが可能となる方向でキャビティ内を伝搬する光を含む。換言すれば、透過帯域は、移送帯域内にない伝搬する光を含む。
【0023】
実質的に平行な前面反射体及び背面反射体を有するバックライトの場合、バックライトの出力面での光束分布は、少なくともある程度は、移送帯域から透過帯域へ光が変換する比率により決定され得る。この比率は、いくつかの要因、例えば、バックライトの前面、背面、及び端面の反射体の反射率及び鏡面性、バックライトの照光端部の数、1つ以上の光源の光注入角、及びバックライトの厚さHに対する長さLの比率などによって決まる。厚さHを調節することにより、移送帯域から透過帯域へ光が変換する比率を少なくともある程度制御できる。
【0024】
厚さHは、背面反射体の少なくとも一部分が前面反射体に対して非平行となるように、前面及び背面反射体を位置決めすることにより、調節可能である。例えば、本明細書で更に説明するように、前面反射体と共にくさび形中空光リサイクリングキャビティを形成するように背面反射体を位置決めすることもできる。このくさび形は、厚さHを提供し、この厚さは、中空の光リサイクリングキャビティ内の少なくとも1つの方向において変化する。
【0025】
光リサイクリングキャビティの厚さHはまた、前面及び背面反射体の一方又は両方を非平面状に形成することによっても調整できる。本明細書で使用するとき、「非平面状」という用語は、前面であれ背面であれ、1つの平面内に実質的に含まれ得ない反射体を意味する。実質的に平面状の基材上に形成されたミリメートル以下の構造体を有する反射体は、本出願の趣旨としては非平面状とは見なされないであろう。いくつかの実施形態では、バックライトは、前面反射体に向かって傾斜する1つ以上の部分を含む非平面状の背面反射体を含み得る。これらの傾斜部分は、キャビティ内の所望の位置で移送帯域から透過帯域へ光が変換する比率を増大させるように位置決めされ得る。非平面状の背面反射体を有するバックライトは、例えば、米国特許出願第61/030,767号、表題「BACKLIGHTS HAVING SELECTED OUTPUT LIGHT FLUX DISTRIBUTIONS AND DISPLAY SYSTEMS USING SAME」に更に記載されている。
【0026】
本明細書で説明するバックライトの1つ以上によって作り出される光束分布はまた、前面及び背面反射体の一方又は両方の反射及び/又は透過特性を選択することによっても、ある程度制御可能である。例えば、特定の(使用可能な)偏光状態の光のみを放射するよう設計されたバックライトの場合には、前面反射体は、その使用可能な光の横方向の移送又は伝播を支援するため、並びに光線角度をランダム化してバックライト出力の許容可能な空間的均一性を達成するために高い反射率をなしながらも、バックライトの適用輝度が確実に許容可能となるよう用途に使用可能な角度への十分に高い透過率なすことができる。更に、いくつかの実施形態では、リサイクリングキャビティの前面反射体は、一般に入射角と共に増加する反射率、及び一般に入射角と共に減少する透過率をなし、これら反射率及び透過率は、偏光されていない可視光線及び任意の入射平面に関するものであり、及び/又は、使用可能な偏光状態の斜めの光がp偏光であるような平面における、使用可能な偏光状態の光に関するものである(更に、前面反射体は高い値の半球反射率をなし、その一方で、用途に使用可能な光について十分に高い透過率をもなす)。
【0027】
本明細書で説明するバックライトの1つ以上によって作り出される光束分布はまた、光抽出素子の反射特性、透過特性、及び拡散特性を選択することによっても、ある程度制御することができる。光抽出素子は勾配鏡面性を有し、すなわち、光抽出素子との相互作用の後に光線がとる経路は、どこで光線が光抽出素子と交差するかによって決まる。光抽出素子は、屈折、反射、拡散、又は類似のプロセスによって光を正確に抽出するように位置決めされる光抽出パターンを含むことができる。一実施形態では、光抽出素子は、例えば、屈折又は拡散性ビーズ、拡散微粒子、例えば蛍光体などのダウンコンバート材料、ミクロ構造、テクスチャー等を含むことができる。光抽出素子の例は、米国特許第6,845,212号(Gardinerら)及び同第7,223,005号(Lambら)、並びに米国特許出願第11/421,241号にも見出すことができる。蛍光体の例には、他の箇所で記載されているLEDコンバート材料に適したものが挙げられる。抽出機構は、バックライトから光を抽出するように設計された溝、小型レンズ、又は他のミクロ構造化若しくは印刷された機構であってもよい。抽出機構は、鋳造、エンボス加工、微小複製(microreplicating)、印刷、削磨、エッチング、及び当該技術分野において既知の他の方法を含み、しかしこれらに限られないいくつかの複数の方法を使用して、ライトガイドに付与することができる。
【0028】
バックライトの代表的な実施形態の1つはまた、少なくとも1つの半鏡面素子を含み、その反射特性を選択することによっても出力光束分布をある程度決定できる。例えば、この半鏡面素子は、鏡面特性と拡散特性とのバランスがとれた中空の光リサイクリングキャビティを提供することができ、それら素子は、キャビティ内での有意な横方向の光の移送又は混合を支援するに十分な鏡面性を有するが、キャビティ内に狭い角度範囲にわたってのみ光を注入する場合であっても、キャビティ内で定常状態の光の角度分布をほぼ均質化するに十分な拡散性を有している(更に、特定の(使用可能な)偏光状態の光のみを放射するように設計されたバックライトの場合には、キャビティ内でのリサイクリングには、好ましくは、入射光偏光状態に対する反射光偏光のある程度のランダム化が含まれ、これにより、使用不可能な偏光が、使用可能な偏光に変換される機構がもたらされる)。一部の実施形態では、光抽出素子及び半鏡面素子は、キャビティ内に配置された1つの光学素子に組み合わせることができるが、しかしながら、それらはキャビティ内に配置された別個の素子であってもよい。
【0029】
最終的に、1つ以上の光源によりキャビティ内に放射された光の平均光束偏差角を制御して、キャビティ内に注入される光の所望の平行化をもたらす手助けとすることができる。例えば、本明細書で説明するバックライトは、最初にリサイクリングキャビティ内に注入される光を横断面(横断面はバックライトの出力エリア又は出力面に平行)に近い伝搬方向に部分的に平行化又は拘束する光注入光学素子を含むことが可能であり、例えば、注入ビームの、横断面からの平均光束偏差角は、0〜40度、又は0〜30度、又は0〜15度の範囲である。光束偏差角に加えて、光源によりキャビティ内に放射される光の形状もまた制御可能である。例えば、放射される光は、放射軸線を中心として半径方向に対称とすることができる。
【0030】
LCDパネルのバックライトは、最も単純な形態では、LEDダイの活性発光面又はCCFL電球の蛍光体の外側層などの光発生面と、この光を分配又は拡散することにより、拡張された又は広い面積の照明表面又は区域(バックライト出力面と呼ばれる)を作り出す幾何学的及び光学的配列と、からなる。一般に、極めて高輝度の局所的な光源を広い面積の出力面に変換するこの方法は、バックライトのキャビティ表面全てとの相互作用及び、光発生面との相互作用により、光の損失が結果的に生じる。第1の近似として、このプロセスによって前面反射体に関連して出力エリア又は表面を通って届けられないいずれかの光は、(ある場合は)オプションとして望ましいアプリケーションでの視聴者の錐体視細胞内に、並びに(ある場合は)特定の(例えばLCDに使用可能な)偏光状態で、「損失」した光となる。同一出願人による関連出願には、リサイクリングキャビティを包含する任意のバックライトを、2つの主要なパラメータによって独自に特徴付ける方法論が記載されている。米国特許出願第60/939,084号、表題「THIN HOLLOW BACKLIGHTS WITH BENEFICIAL DESIGN CHARACTERISTICS」を参照されたい。
【0031】
線光源、又は点光源を均一で延長された領域の光源に変換するバックライトキャビティ、又はより一般的には任意の光キャビティは、反射性光学構成要素と透過性光学構成要素の組み合わせを用いて作製することができる。多くの場合、所望のキャビティは、その横方向寸法と比較して非常に薄い。
【0032】
従来より、最も薄いバックライトには、一般に中実のライトガイドが使用されており、携帯端末に使用されるような非常に小型のディスプレイを除けば、最も薄いバックライトは、冷陰極蛍光灯(CCFL)などの直線的に連続する光源によって照射されてきた。中実のライトガイドは、ライトガイドの上面及び底面において、光の全内部反射(TIR)現象を介して、損失の少ない光の移動及び鏡面反射を提供する。光の鏡面反射は、ライトガイド内の最も効率的な光の横方向の移送をもたらす。中実のライトガイドの上面又は底面に設置される抽出器は、本質的に部分的反射体を作り出し、光をライトガイドの外に向かわせるために光の進路を変更させる。
【0033】
しかしながら、中実のライトガイドは、大型ディスプレイに関して、コスト、重量及び光の均一性のようないくつかの問題点を提示する。大面積ディスプレイに関する均一性の問題は、バックライトの大きな出力領域の面積と比較すると効率的な点光源である個別の赤/緑/青(RGB)着色LEDの出現と共に大きくなってきている。高輝度点光源は、中実のライトガイドを利用する従来の直下型バックライト並びにエッジライト型に関連する不均一性の問題の原因となり得る。不均一性の問題は、中実のライトガイドと同様に顕著な光の水平移動を更に提供する中空のライトガイドを作製することができれば、大幅に減少し得る。偏光及び光線角度リサイクリングシステムに関する一部の例では、中空のキャビティは中実のキャビティよりも、光をディスプレイの面にわたって横方向に広げる能力がより優れている可能性がある。一般に、中空のライトガイドでこれを効果的に達成するために使用可能な構成要素のいくつかは、バックライト業界でこれまで入手可能ではなく、又は構成要素がすでに存在している場合であっても、中空のライトガイドは今日に至るまで、均一で薄くかつ効率的な中空の光混合キャビティを作り出すための正しい方法で構成されていない。
【0034】
中実のライトガイドは、全内部反射(TIR)現象によって効率的な上部及び下部反射体を提供するにもかかわらず、効率的な中空の反射キャビティは、薄く均一なバックライトを製造するための中実のライトガイドに勝るいくつかの利点を有している。中実のライトガイドは、主として、光が反射偏光子及びその他の輝度向上フィルムなどの他の構成要素と相互作用する前に、光の横方向分散を提供するために使用される。
【0035】
しかしながら、中実のガイドのTIR表面は、近年のバックライトの全てのニーズを満たすには不十分であり、通常、中実のライトガイドの上側及び下側の両方に追加の光制御フィルムが付け加えられる。中実のライトガイドを現在使用しているほとんどのシステムは、BEF及びDBEF(どちらも3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)のような輝度向上フィルムを利用するために、別個の背面反射体も使用している。これらのフィルムは、ライトガイドから抽出されたものの偏光又は伝搬角度が不適切であるためディスプレイに使用することができない光をリサイクルする。後方の反射体は通常白色反射体であり、その反射特性は実質的にランベルトである。しかしながら、横方向の移送の大半は、最初に中実のガイドのTIR表面で達成され、リサイクルされた光はランベルト背面反射体によってディスプレイに転移されて戻される。別個の上部及び下部光制御フィルムがどうしても必要な場合は、中空のライトガイドを作り、かつ更には反射偏光子及びその他の輝度向上フィルムの機能を同時に提供するために、それらを単独で使用するのがより効率的であり得る。この方法で、中実ガイド、並びにその他の輝度向上フィルムを省略することができる。
【0036】
中実のライトガイドを空気で置き換え、中実のライトガイドのTIR表面を、高効率で低損失の反射体で置き換えることを提案する。この種の反射体は、バックライトキャビティ内の、最適な横方向の光の移送を促進するために重要であり得る。光の横方向の移送は、光源の光学的構成によって開始することができ、又は低損失反射体を利用してキャビティ内の光線を高度にリサイクリングすることにより誘発することができる。
【0037】
中実のライトガイドのTIR表面を、2つの一般的カテゴリーに分類される空間的に分離された低損失反射体で置き換えることができる。一方は前面用の部分的透過性又は部分的反射体であり、他方は背面及び側面用の完全反射体である。上記のように、いずれにせよ後者はしばしば、中実のライトガイドシステムに加えられる。キャビティ内で光を最適に移動させかつ光を混合するために、前方及び後方の反射体の両方がランベルト面ではなく鏡面反射鏡又は半鏡面反射鏡であってもよい。ある種の半鏡面構成要素は、キャビティ内のある場所で光の均一な混合を促進するために有用である。大きなライトガイドにおいて、光の水平移動の主要媒体として空気を用いることにより、より軽量で低価格な、かつより均一なディスプレイのバックライトの設計が可能となる。
【0038】
光の横方向の広がりを顕著に促進するための中空のライトガイドにとって、キャビティに光を注入する手段は、中実のライトガイドにおけるのと同様に重要である。中空のライトガイドの形式は、直下型バックライト、特に、複数であるが任意に隔たった区域を有するバックライト内の様々なポイントにおける光の注入に対する選択肢を増やすことができる。中空のライトガイドシステムでは、TIR及びランベルト反射体の機能は、鏡面反射鏡と半鏡面反射前方散乱拡散素子の組み合わせによって達成することができる。
【0039】
本明細書で説明する例示の部分的反射体(前面反射体)、例えば同一出願人に所有された米国特許出願第60/939,079号に記載されている非対称反射性フィルム(ARF)は、低損失反射をもたらし、中実のライトガイドでのTIRのみによって可能なものよりも良好な、偏光の透過率及び反射率の制御をも供給する。よって、ディスプレイ面全体の平面方向の光分布を向上させることに加え、中空のライトガイドによって、大型システム用の改善された偏光制御も提供することができる。上記のARFを用いれば、入射角によって透過率を大幅に制御することも可能である。このように、混合キャビティからの光をかなりの程度コリメートすることができ、加えて、単一フィルム構成で偏光出力を提供する。
【0040】
いくつかの実施形態では、好ましい前面反射体は、キャビティ内での比較的高いリサイクリングを支援するために、比較的高い全体反射率を有する。これを我々は、その上に光があらゆる可能な方向から入射するときの、構成要素(表面、フィルム、又はフィルムの集合体のいずれでも)の合計反射率を意味する、「半球反射率」の観点から特徴付ける。よって、この構成要素は、垂直方向を中心とした半球内の全ての方向からの入射光(及び、別に特定されない限りは全ての偏光)で照らされ、同じ半球内に反射された全ての光が収集される。入射光の光束合計に対する、反射した光束合計の比は、半球反射率、Rhemiとなる。反射体をRhemiについて特性付けると、リサイクリングキャビティのために特に便利である。光は通常、キャビティの内部表面、すなわち前面反射体、背面反射体又は側面反射体であろうとあらゆる角度で入射するからである。更に、垂直入射角の反射率とは違って、Rhemiは入射角による反射率の変動に過敏ではなく、すでに考慮に入れられているため、一部の構成要素(例えばプリズムフィルムなど)については非常に重要となり得る。
【0041】
更に、いくつかの実施形態において、好ましい前面反射体は、少なくとも1つの平面に入射する光に関して、入射角が垂直から離れるにつれて増加する、(方向に特有の)反射率(及び一般に入射角と共に減少する透過率)を示す。このような反射率特性により、垂直に近い(すなわち、バックライトの観測軸に近い)入射角で、前面反射体から光が優先的に透過されるようになる。これは、ディスプレイ業界において重要な、視角でのディスプレイの知覚輝度を高めるのに役立つ(知覚輝度が低くなるという犠牲を払うことで視角が大きくなるが、これは普通あまり重要ではない)。ここで、我々は、角度によって高まる反射率は、「少なくとも1平面における入射光に関する反射率」のことを述べている。その理由は、場合によって、1つだけの観測面での狭い視角が望ましいことがあり、また直交平面においてより広い視角が望ましいことがあるからである。一例として、いくつかの液晶テレビ用途では、水平面では観測のために広い視角が望ましいが、垂直面ではより狭い視角が指定される。他の場合では、法線方向の輝度を最大化するため、直交する平面の両方において狭い視角が望ましいことがある。
【0042】
これを念頭に置き、前面反射体が「入射角と共に一般的に増加する反射率を示す」ように(所望の場合)指定する意味を考える。ここでこの前面反射体は、例えば米国特許出願第60/939,079号に記載されているようなARFである。ARFは、遮断偏光状態の法線入射光線に対して非常に高い反射率を有し、通過偏光状態の法線入射光線に対して低いがなお十分な反射率(例えば、25〜90%)を有する多層構造(例えば、所望の屈折率関係及び所望の反射率特性を生成するように、適切な条件下で配向された共押出ポリマーミクロ層)を含む。遮断状態の光の極めて高い反射率は、全ての入射角に関しても、一般に非常に高いままである。より興味深い現象は、通過状態の光の場合であり、それは垂直入射において中間の反射率を示すためである。入射面の斜め通過状態の光は、s偏光反射率の特性により、入射角の増加と共に増加する反射率を示す(しかしながら、増加の相対量は、垂直入射の通過状態の反射率の初期値に依存する)。よって、観測面内でARFフィルムから放射される光は、部分的に平行化又は角度を拘束されるであろう。しかしながら、出願第60/939,079号で記述されているように、別の入射面における斜めの通過状態の光は、面内の屈折率の差に比べた、マイクロ層間のz軸の屈折率の差の度合と偏光に応じて、3つの現象のうちのいずれかを示し得る。
【0043】
第1の場合は、ブリュースター角が存在する場合、この光の反射率は入射角の増大と共に減少する。これは、出力面に平行な観測面内に軸外の明るいローブを生成し、これは通常、LCD表示用途において好ましくない(しかし、この現象は、他の用途では許容可能の場合もあり、LCD表示用途の場合であっても、このローブ出力は、プリズム状転向フィルムを使用して再度視軸に向け直すことができる)。
【0044】
別の場合は、ブリュースター角は、存在しないか非常に大きく、入射角が増大してもp偏光の反射率が比較的一定である。これは参照される観測面において比較的幅広い視角を生じさせる。
【0045】
第3の場合は、ブリュースター角が存在せず、p偏光の屈折率が入射角と共に著しく増加する。これは、参照される観測面において比較的狭い視角を生じさせることができる。このときコリメートの度合は、ARFのミクロ層間のz軸屈折率の差の度合を制御することによって少なくとも部分的に調整される。
【0046】
当然、反射性表面は、ARFの有する非対称の軸上偏光特性を有している必要はない。例えば、対称性多層反射体は、ミクロ層の数、層の厚さ特性、屈折率等を適切に選択することによって高反射率を有し、しかし同時に著しい透過率を有するよう設計することができる。このような場合、これらs偏光構成要素は、互いに同じように、入射角と共に増加する。これも、s偏光反射率の性質によるものであるが、相対的な増加量は垂直入射角反射率の初期値に依存する。p偏光構成要素は、角度に対して双方同じ現象を有するが、この現象は前述の3つの場合のいずれかであるように制御可能であり、これは、面内の屈折率の差に比べた、マイクロ層間のz軸の屈折率の差の度合と偏光を制御することによって行われる。
【0047】
よって、前方反射体における入射角(あれば)に伴う反射率の増加は、使用可能な偏光状態の斜めの光がp偏光であるような平面内で、使用可能な偏光状態の入射光で表わすことができる。あるいは、このような反射率の増加は、任意の入射面における、非偏光の平均反射率ということができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、背面反射体もまた、可視光線に対する高い半球反射率を有し、これは通常、前面反射体よりもはるかに高いが、これは、必要とされるバックライトの光出力を供給するために、前面反射体は意図的に部分的透過性となるよう設計されていることによる。この背面反射体の半球反射率はRbhemiであり、Rfhemiで表わされる。好ましくは、積Rfhemi*Rbhemiは、少なくとも45%である。
【0049】
図1は、バックライト100の一実施形態の概略断面図である。バックライト100は、中空の光リサイクリングキャビティ130を形成する、部分的透過性の前面反射体110及び背面反射体120を含む。キャビティ130は、出力面135を含む。本明細書に更に記載されているように、キャビティ130は、勾配鏡面性を有する光抽出素子140を更に含む。バックライト100はまた、本明細書で更に説明するように、中空の光リサイクリングキャビティ130内に配置された半鏡面素子150も含む。図1において、背面反射体120の主表面122に隣接して配置された光抽出素子140が示されており、半鏡面素子150は、部分的に透過性の前面反射体110の主表面112に隣接して配置されているように示されている。光抽出素子140及び半鏡面素子150の両方は、キャビティ130内のどこかに配置されてもよく、例えば両方の素子は、前面反射体110に隣接して、背面反射体120に隣接して、又は2つの反射体の間の途中の位置に配置されてもよいと理解され得る。場合によっては、光抽出素子140及び半鏡面素子150は、共通の光学素子(図示せず)に組み合わされてもよい。
【0050】
図1に示すように、バックライト100はまた、光リサイクリングキャビティ130内へ光を放射するために配置された1つ以上の光源160を含む。この1つ以上の光源160は、光リサイクリングキャビティ130内に、限定された角度範囲にわたって光を放射するように構成されている。図1に例示した実施形態では、光源160は、キャビティ130の端部132に近接して配置されている。
【0051】
バックライト100は、任意の好適な寸法及び形状であってよい。いくつかの実施形態では、バックライト100は、1ミリメートル以上〜数メートルの長さL及び幅Wを有してよい。更に、いくつかの実施形態では、2つ以上のバックライトをタイル状に並べ合わせて個別に制御することにより、広範囲のバックライトを提供することが可能である。
【0052】
図示のように、バックライト100は、1つ以上の光源160からの光を光リサイクリングキャビティ130内に向けるのに役立つ注入器又は反射体165を含む。例えば、くさび状、略放物線状の反射体、レンズなどの、任意の好適な注入器又は反射体が、バックライト100と共に使用できる。例えば、米国特許出願第60/939,082号、表題「COLLIMATING LIGHT INJECTORS FOR EDGE−LIT BACKLIGHTS」に記載の注入器を参照されたい。
【0053】
1つ以上の光源160は、バックライト100の一方の側部又は端部に沿って位置決めされているように図示されているが、光源は、バックライト160の2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の側部に沿って位置決めされてもよい。例えば、矩形形状のバックライトであれば、1つ以上の光源は、バックライトの4つの側部のそれぞれに沿って位置決めされてもよい。
【0054】
前面反射体110は、任意の部分的透過性の反射体を含み、例えば、本願出願人の米国特許出願第60/939,079号、表題「BACKLIGHT AND DISPLAY SYSTEM USING SAME」及び同第60/939,084号、表題「THIN HOLLOW BACKLIGHTS WITH BENEFICIAL DESIGN CHARACTERISTICS」に記載の部分的透過性の反射体を含み得る。一部の実施形態では、前面反射体110は、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)、表題「OPTICAL FILM」、同第6,905,220号(Wortmanら)、表題「BACKLIGHT SYSTEM WITH MULTILAYER OPTICAL FILM REFLECTOR」、同第6,210,785号(Weberら)、表題「HIGHT EFFICIENCY OPTICAL DEVICES」、同第6,783,349号(Neavinら)、表題「APPARATUS FOR MAKING MULTILAYER OPTICAL FILMS」、米国特許出願公開第2008/0002256号(Sasagawaら)、表題「OPTICAL ARTICLE INCLUDING A BEADED LAYER」、米国特許第6,673,425号(Hebrinkら)、表題「METHOD AND MATERIALS FOR PREVENTING WARPING IN OPTICAL FILMS」、米国特許出願公開第2004/0219338号(Hebrinkら)、表題「MATERIALS,CONFIGURATIONS,AND METHODS FOR REDUCING WARPAGE IN OPTICAL FILMS」、及び米国特許出願第11/735,684号(Hebrinkら)、表題「OPTICAL ARTICLE AND METHOD OF MAKING」に記載されているような、1つ以上の高分子多層反射偏光フィルムを含むことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、部分的透過性の前面反射体110は、出力面において偏光を提供することができる。好適な偏光前面反射体として、例えば、DBEF、APF、DRPF(全て3M Company(St.Paul,MN)より入手可能)、ARF、TOP、(どちらも出願第60/939,079号に記載)、などが挙げられる。他の実施形態では、部分的透過性の前面反射体は、非偏光を提供し得る。好適な非偏光前面反射体は、例えば、穿孔ミラー、ミクロ構造化フィルムなどを含む。非偏光フィルムの更なる例は、例えば、米国特許出願第60/939,084号に記載されている。
【0056】
前面反射体110は、少なくとも可視光線を部分的に透過しかつ部分的に反射する。前面反射体110の部分的透過性により、キャビティ130内の光の少なくとも一部分が、キャビティ130の出力面135を経て放射されることが可能となる。前面反射体110は、キャビティ130の内側から前面反射体110上に入射する光に部分的な透過及び反射を提供する任意の好適なフィルム及び/又は層を含み得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、前面反射体110は、偏光を透過させるように動作可能である。そのような実施形態では、前面反射体110は、第1の平面内で偏光された可視光線に関する少なくとも約90%の法線方向の平均反射率、及び第1の平面と平行な第2の平面内で偏光された可視光線に関する少なくとも約5%かつ90%未満の法線方向の平均反射率をなす。本明細書で使用する「法線方向の平均反射率」という用語は、反射体の表面に対して実質的に垂直な方向に反射体上に入射する光の平均反射率を指す。更に、「全半球反射率」という用語は、反射体の法線を中心とする半球内の全ての方向から反射体に入射する光に関する、反射体の全体としての反射率を指す。当業者は、第2の平面内で偏光された光を有効な偏光状態であると見なし、すなわち、そのような偏光は、LCパネルの下側吸収偏光子(例えば、図6の下側吸収偏光子658)を通って、LCパネルに入射することになる。更に、当業者は、第1の平面が遮断軸と平行であり、第2の平面が偏光前面反射体110の通過軸と平行であると見なすであろう。
【0058】
更に、ある実施形態では、キャビティ130からの出力が、実質的に所望の偏光状態であるようにするために、有効な偏光状態の軸上の平均透過率が、無効な偏光状態の透過率の数倍大きいことが望ましいことがある。これは、また、キャビティからの有効な光の全損失を減少させるのに役立つ。いくつかの実施形態では、使用不可能な光に対する使用可能な光の軸上の透過性は、少なくとも10である。他の実施形態では、使用不可能な光に対する使用可能な光の透過性の比率は、少なくとも20である。
【0059】
いくつかの実施形態では、前面反射体110は、2つ以上のフィルムを含むことができる。例えば、図4Aは、前面反射体400の一部分の概略断面図である。反射体400は、第2のフィルム404に近接して位置決めされる第1のフィルム402を含む。フィルム402、404は、互いに離間させるか、又は接触させてもよい。あるいは、フィルム402、404は、任意の適切な技術を使用して取り付けられてもよい。例えば、フィルム402、404は、追加の接着層406を使用して、共に積層されてもよい。層406には、任意の適切な接着剤、例えば、感圧接着剤(3M Optically Clear Adhesivesなど)、及び紫外線硬化接着剤(UVX−4856など)を使用することができる。いくつかの実施形態では、接着層406は、屈折率整合流体に置き換えられてもよく、フィルム402、404は、当該技術分野で既知の任意の適切な技術を使用して接触状態で保持されてもよい。
【0060】
フィルム402、404は、前面反射体に関して本明細書で述べたいずれの適切なフィルムも含むことができる。フィルム402、404は、類似の光学特性を有することができ、あるいは、フィルム402、404は、異なる光学特性を提供する異なる構造でもよい。例示的な一実施形態では、フィルム402は、ある平面内に通過軸を有する本明細書に記載したような非対称の反射フィルムを含むことが可能であり、フィルム404は、第1のフィルム402の通過軸と平行でない第2の平面内に通過軸を有する第2の非対称の反射フィルムを含むことが可能である。この非平行関係は、2つの通過軸平面の間に任意の適切な角度を形成することができる。ある実施形態では、通過軸平面はほぼ直角であることが可能である。そのような関係は、前面反射体400の通過軸に高い反射率を提供することになる。
【0061】
更に、例えば、フィルム402は、非対称の反射フィルムを含んでもよく、フィルム404は、BEFなどのプリズム状輝度向上フィルムを含んでもよい。ある実施形態では、BEFは、非対称のフィルムの平行面と直角な平面内でBEFが透過光を平行にするように非対称の反射フィルムに対して向けられてもよい。あるいは、他の実施形態では、BEFは、BEFが非対称の反射フィルムの平行化面内で透過光を平行にするように向けられてもよい。
【0062】
前面反射体400は、2つのフィルム402、404を含むように図4Aに示されているが、前面反射体400は、3つ以上のフィルムを含んでもよい。例えば、3層の反射偏光子(DBEF又はAPFなどで、どちらも3M Company(St.Paul,MN)より入手可能)を使用して、3層の前面反射体を製作することができる。3つの層が、第2の層の偏光軸が第1の層の偏光軸に対して45°になり、かつ第3層の偏光軸が第1の層の偏光軸に対して90°になるように配列された場合、得られる前面反射体は、垂直入射光の約75%を反射する。層間の他の回転角を使用して、異なるレベルの反射を達成することができる。また、ほぼ直交する通過軸を有する2つの反射偏光子の間の複屈折(偏光回転)層又は散乱層が、前面反射体として使用される制御された程度の反射率を有する反射フィルムを作製することができる。
【0063】
本開示の前面反射体は、また、反射体の1つ以上の面内又は面上に位置決めされる光学素子を含んでもよい。例えば、図4Bは、別の実施形態である前面反射体410の一部分の概略断面図である。反射体410は、第1の主表面414及び第2の主表面416を有するフィルム412を含む。フィルム412は、前面反射体に関して本明細書に記載されるいずれの適切なフィルム又は層を含んでもよい。複数個の光学素子418が、第1の主表面414上、又は第1の主表面414内に位置決めされている。光学素子は、第1の主表面414上にのみ位置決めされるように図示されているが、第2の主表面416上、又は第1の主表面414及び第2の主表面416の両方の上に位置決めされてもよい。任意の好適な光学素子、例えば、微小球、プリズム、キューブコーナー、レンズ、レンズ状素子などが、フィルム412上又はフィルム412内に位置決めされてもよい。これらの光学素子は、屈折素子、回折素子、拡散素子等であり得る。この実施形態では、光学素子418は、フィルム412によって透過される光を平行化することができる。他の実施形態では、光学素子418は、光学素子412の位置に応じて、フィルム412上に入射するか、又はフィルム412から出て行くかのいずれかの光を拡散することができる。
【0064】
光学素子418は、フィルム412の主表面上に位置決めされるか、又はフィルム412の主表面内に少なくとも部分的に埋め込まれてもよい。更に、フィルム410は、任意の好適な技法、例えば、米国特許出願第60/939,079号、表題「BACKLIGHT AND DISPLAY SYSTEM USING SAME」に記載のビーズコーティングされたESRを作製するための方法、及び同第60/939,085号、表題「RECYCLING BACKLIGHTS WITH SEMI−SPECULAR COMPONENTS」の技法を使用して作製することができる。
【0065】
光学素子418はまた、フィルム410に近接して位置決めされる基材上に位置決めされてもよい。例えば、図4Cは、別の実施形態である前面反射体420の一部分の概略断面図である。前面反射体420は、フィルム422、及びフィルム422に近接して位置決めされる利得拡散体424を含む。フィルム422は、前面反射体に関して本明細書に記載されるいずれのフィルム及び/又は層も含み得る。利得拡散体424は、第1の主表面428及び第2の主表面430を有する基材426、並びに基材426の第2の主表面430上又は第2の主表面430内に位置決めされた複数個の光学素子432を含む。任意の適切な光学素子432、例えば図4Bの光学素子418を使用することができる。基板426は、任意の適切な光透過基板を含むことができる。
【0066】
図4Cに例示した実施形態では、利得拡散体424の第1の主表面428は、偏光フィルム422に近接して位置決めされている。拡散体424は、フィルム422と離間するか、フィルム422と接触するか、又はフィルム422に取り付けられるかのように、フィルム422に近接して位置決めされてもよい。例えば光学接着剤の使用などの任意の適切な技術を使用して、拡散体424をフィルム422に取り付けることができる。拡散体424には、いずれの適切な利得拡散体が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、光学素子432は、基材426の第1の主表面428上に、素子432が基材426と偏光フィルム422との間にあるように位置決めされてもよい。
【0067】
図1に戻ると、前面反射体110は支持層に取り付けられてもよい。支持層は、例えばポリカーボネート、アクリル、PETなどの、任意の好適な材料を含み得る。一部の実施形態では、前面反射体110は、米国特許出願公開第2006/0257678号、表題「FIBER REINFORCED OPTICAL FILMS」(Bensonら)、米国特許出願第1の1/323,726号、表題「REINFORCED REFLECTIVE POLARIZER FILMS」(Wrightら)、及び同第1の1/322,324号、表題「REINFORCED REFLECTIVE POLARIZER FILMS」(Ouderkirkら)に記載のように、繊維強化光学フィルムによって支持され得る。
【0068】
更に、前面反射体110は、いずれの適切な技術を使用して支持層に取り付けられ得る。ある実施形態では、前面反射体110は、光学接着剤を使用して支持層に接着されてもよい。他の実施形態では、前面反射体110は、ディスプレイシステムのLCパネル(例、図6のディスプレイシステム600のLCパネル650)に取り付けられてもよい。そのような実施形態では、前面反射体110は、吸収偏光子に取り付けられ、次にLCパネルに取り付けられてもよいが、又は別の方法として、吸収偏光子が始めにLCパネルに取り付けられ、次に前面反射体110が吸収偏光子に取り付けられてもよい。更に、非LCDシステムでは、前面反射体110は、着色された前面プレートに取り付けられてもよい。
【0069】
本明細書で述べるように、前面反射体110は、部分的反射性及び部分的透過性の前面反射体を提供する任意の適切なフィルム及び/又は層を含むことができる。一部の実施形態では、前面反射体110は、米国特許出願公開第2006/0193577号(Ouderkirkら)、表題「REFLECTIVE POLARIZERS CONTAINING POLYMER FIBERS」、米国特許出願第1の1/468,746号(Ouderkirkら)、表題「MULTILAYER POLARIZING FIBERS AND POLARIZERS USING SAME」、同第1の1/468,740号(Bluemら)、表題「POLYMER FIBER POLARIZERS」に記載されているように、1つ以上の繊維偏光フィルムを含むことができる。前面反射体110に使用することができる他の代表的なフィルムには、コレステリック偏光フィルム、複屈折プレート積みフィルム、複屈折ポリマーブレンド(例えば、3M Companyから入手可能なDRPF)、及びワイヤグリッド偏光子がある。
【0070】
本明細書に記載の前面及び背面反射体に使用されるフィルムは、任意の適切な技術により製造可能である。例えば、米国特許第6,783,349号(Neavinら)、表題「APPARATUS FOR MAKING MULTILAYER OPTICAL FILMS」を参照されたい。
【0071】
前面反射体110及び背面反射体120は、任意の適切な値Rhemiを示し得る。一般に、中空バックライトに関するRhemiの選択は、所定のシステムのための特定の設計基準による影響を受ける。主要な設計基準としては、ディスプレイの寸法(長さ及び幅)、厚さ、所定の視角に対する輝度目標を達成するために必要な光源のルーメン、輝度及び/又は色の均一性、並びに光源、バックライトの光学的材料、又はキャビティ寸法の変化に対するシステム堅牢性が、しばしば挙げられる。加えて、光源を遠く離間させて配置できることは、必要となる光源の最低数、及びそれによるシステムに関する光源の総コストにも影響を及ぼすため、重要なシステム属性である。最後に、バックライトからの所望の放射角度は、Rhemiの選択に影響を与え得るが、これはポリマー多層光学フィルムにより達成可能な放射角度の特性がそれによって決まり、Rhemiの増大と共により広範囲の角度特性が可能となるためである。
【0072】
より低いRhemiの利点の1つは、システム効率が高まることである。一般に、発生するリサイクリングが少なくなるにつれ、キャビティ内での多重反射による吸収損失も減少する。前面及び背面反射体、側壁、支持構造体(例、支柱)、並びに光源それ自体を含むバックライトキャビティのいずれの材料も光を吸収し得る。光は、キャビティ内の物理的隙間を通って漏れ出すか、又は端部反射体若しくは背面反射体を通って低レベルで透過し得る。反射の回数を減少させることが、これらの損失を低減し、システム効率を向上させて、必要な光源ルーメンを低減する。
【0073】
いくつかの実施形態では、キャビティの厚さに対する長さの比率(例、L/H)が増大するにつれ、一般にキャビティ内での光の移送に必要なRhemiは増大する。したがって、バックライトがより大きく、及び/又はより薄くなるにつれて、均一性を達成するために必要なRhemiの値は一般的に増大する。
【0074】
光源の所望の間隔がより離れるにつれて、光源間の不均一性(いわゆる「ヘッドライト効果」)を最小限に抑えるために必要とされるRhemiは、一般に増大する。多重反射は、光源間のより暗い領域を充填し、RGBシステムの場合には、色を混合することにより色のスポークが低減され、白い外観を生じさせる手助けとなる。
【0075】
光抽出素子の鏡面性を変化させることによって、本発明者は、所与のL/Hに対して、均一性の達成に必要となるRhemiを大幅に低減できるということを示した。これは、システム効率の向上、及び必要な光源ルーメンの低減に有利である。しかしながら、Rhemiの低減は、リサイクリングを減少させ、結果として製造又は構成要素の変化による影響を受けやすくなる。リサイクリングの減少と共に、以下の変化に対するシステムの感度が増大するが、それらの変化とは、厚さHの変化を含む寸法変化、前面及び背面反射体の反射率又は鏡面性における光学的変化、光抽出素子の反射率若しくは鏡面性における光学的変化、側面反射体の不連続性、支持構造体(例、支柱)の視認性、並びに光源の色及び輝度の変化である。光源の出力に対する感度の増大に加えて、使用中の移動、経時変化、又は光源の故障に対するシステム許容量も、Rhemiの低下につれて減少する。
【0076】
2つのRhemi及び同じ均一性を有する2つのシステム(例えば、一方はRhemiの低い形成された背面又は勾配光抽出素子を有し、他方はRhemiの高い真っ直ぐな背面を有する)であるが、低いRhemiのシステム感度が、いくつかの実施形態において高いRhemiのシステムよりも大きいように設計することができる。ここで、製造性の考察は、Rhemiを低下させることにより得られるシステム効率の向上よりも重要であろう。Rhemiの選択は、そのシステムに関する特定の設計基準により決めることができる。
【0077】
図1に示した実施形態では、前面反射体110は、背面反射体120に面して、キャビティ130を形成する。背面反射体120は、高反射性であることが好ましい。例えば、背面反射体120は、光源によって放射された可視光線に関して、いずれの偏光の可視光線の少なくとも90%、95%、98%、99%又はそれ以上の軸上の平均反射率を有することができる。そのような反射率値は、また、高リサイクリングキャビティ内の損失量を減少させることができる。更に、そのような反射率値は、半球内に反射される全ての可視光線を包含するものであり、すなわち、そのような値は、鏡面反射及び拡散反射の両方を含む。
【0078】
背面反射体120は、空間的に均一又はパターン付きにかかわらず、主として鏡面反射体、拡散反射体、又は鏡面/拡散反射体の組み合わせであってもよい。ある実施形態では、背面反射体120は、本明細書で更に詳しく説明されるような半鏡面反射体であり得る。米国特許出願第60/939,085号、表題「RECYCLING BACKLIGHTS WITH SEMI−SPECULAR COMPONENTS」及び同第1の1/467,326号(Maら)、表題「BACKLIGHT SUITABLE FOR DISPLAY DEVICES」も参照のこと。いくつかの実施形態では、背面反射体120は高反射率コーティングを有する硬い金属基材、又は支持基材に積層された高反射率フィルムから作製され得る。適切な高反射率材料には、Vikuiti(登録商標)Enhanced Specular Reflector(強化鏡面反射体、ESR)多層ポリマーフィルム(3M Companyから入手可能);厚さ0.4ミル(10.16μm)のイソオクチルアクリレートアクリル酸感圧接着剤を使用して硫酸バリウム配合ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ2ミル(50.8μm))をVikuiti(登録商標)ESRフィルムに積層することによって作製されたフィルムであって、本明細書で「EDR II」フィルムと呼ばれる、結果として得られたラミネートフィルム;Toray Industries,Inc.から入手可能なE−60シリーズLumirror(登録商標)ポリエステルフィルム;W.L.Gore & Associates,Incから入手可能であるような多孔性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルム;Labsphere,Inc.から入手可能なSpectralon(登録商標)反射材料;Alanod Aluminum−Veredlung GmbH & Co.から入手可能なMiro(登録商標)アルマイト処理アルミニウムフィルム(Miro(登録商標)2フィルムを含む);Furukawa Electric Co.,Ltd.製のMCPET高反射発泡シート材;Mitsui Chemicals Inc.から入手可能なWhite Refstar(登録商標)フィルム及びMTフィルム;並びに、2xTIPS(すなわち、高反射率を有する多孔質ポリプロピレンフィルムは、例えば米国特許第5,976,686号(Kaytorら)に記載されるような熱誘導相分離を使用して製作でき、2枚のTIPSシートは、光学接着剤を使用して共に積層し、1枚のラミネートに形成することができる)が挙げられる。
【0079】
背面反射体120は、実質的に平らで滑らかでもよいし、又は光の散乱又は混合を強化するように関連付けられた構造化面を有してもよい。そのような構造化面は、(a)背面反射体120の表面上に与えられてもよく、(b)表面に付着された透明被覆上に与えられてもよい。前者の場合では、高反射フィルムは、構造化面が予め形成された基板に積層されてもよく、又は高反射フィルムは、平坦な基板(例えば3M Companyから入手可能なVikuiti(登録商標)(DESR−M:Durable Enhanced Specular Reflector−Metalなど)に積層され、その後で刻印操作などにより構造化表面が形成されてもよい。後者の場合、構造化表面を有する透明なフィルムを平坦な反射面に積層することもでき、又は、透明なフィルムを反射体に塗布した後に透明なフィルムの最上部に構造化表面を与えることもできる。
【0080】
直下型構造を含む実施形態(例えば、図3のバックライト300)では、背面反射体120は、光源が取り付けられた連続単一(かつ分断されていない)層でもよいし、個別部分で不連続的に構成されてもよいし、光源が通ることができる孤立した穴を有する限り、別の形の連続層で不連続的に構成されてもよい。例えば、反射材料のストリップが、LEDの列が取り付けられた基材に貼り付けられ、各ストリップが、あるLED列から別のLED列まで延在するのに十分な幅を有し、かつバックライトの出力エリアの対向する境界間にわたるのに十分な長さ寸法を有してもよい。
【0081】
図1に示される実施形態では、背面反射体120は、平面状の反射体であるが、バックライト100は、出願第61/030,767号に記載されているように、キャビティ130にわたって、厚さHが変化するような非平面状の背面反射体であってもよい。一部の実施形態では、背面反射体120及び部分的透過性の前面反射体110は、同じ方向において湾曲されてもよく(未表示)、よって厚さHの距離はキャビティ130全体で本質的に一定で維持される。前面反射体と背面反射体との間の間隔は、任意の好適な技術、例えば剛性プレート、張力フレーム、及び支柱、壁材、又はバンプ若しくは突起部など、背面反射体から延びる突出部を含むキャビティ内の様々な構造体などを使用して維持することができる。
【0082】
また、バックライト100は、バックライト100の外側境界の少なくとも一部分に沿って配置された1つ以上の側面反射体134を含むことができ、側面反射体134は、光損失を低減させ、かつリサイクリング効率を改善するために高反射率の垂直壁が好ましくは裏打ちされるか別の方法で提供されてもよい。これらの壁の形成には、背面反射体120に使用するのと同じ反射材を使用しても、あるいは異なる反射材を使用してもよい。ある実施形態では、側面反射体134と背面反射体120は、単一の材料シートから形成することができる。側面反射体及び壁の一方又は両方は、垂直であってもよく、又は別の方法として、側面反射体は、傾斜、湾曲、若しくは構造化されていてもよい。所望の反射特性を達成するために、側面反射体上に、又は側面反射体に隣接して屈折構造体を使用してもよい。出力光束分布を調節するために、壁材料及び傾斜を選択してもよい。
【0083】
バックライト100は勾配鏡面性(gradient specularity)を有する光抽出素子140を含み、光の勾配抽出となる。勾配抽出は、光抽出の量を局所的に増加させる、又は減少させるいずれかの素子によって達成することができる。部分的透過性の前面反射体は一般に、ある程度の角度選択性透過率を有するため、更に高い透過率の角度範囲内への、追加的な光を逸脱させる抽出素子はその領域における輝度を増加させる。抽出区域は概ね垂直に向かっているが、斜角であるように設計されてもよい。抽出素子に使用される材料は、鏡面、半鏡面若しくは拡散性、半透明、透過反射性(transflective)、屈折性、回折性、ダウンコンバーティング、例えば蛍光体等であってもよい。屈折素子は、プリズム、小型レンズ、水晶体等であってもよい。抽出素子は、印刷、鋳造、コーティング、エンボス加工、エッチング、削磨、転写(例えば接着性裏材付きの点)、積層等によって適用されてもよい。抽出素子は、エンボス加工、ピーニング、ひだつき、研磨、エッチング等など、反射表面に局所的な偏差によっても作製することができる。
【0084】
勾配鏡面性はまた、拡散コーティングの、局所的に又は徐々に表面エリアにわたってのいずれかで、拡散コーティングの光の方向転換特性における変化によって達成することができる。これは、例えば、厚さ、組成物、又は表面特性によって達成することができる。穿孔もまた、例えば穿孔の勾配を有する拡散フィルムに使用できる。更に、1つの鏡面特性(例えばESR)を有する反射フィルムが穿孔され、異なる鏡面特性を有する反射フィルム(例えばFurukawa,Japanから入手可能なMCPETなどの拡散白色反射体)の上に配置されて、勾配鏡面性を提供することができる。
【0085】
本明細書で使用されるとき、用語「勾配鏡面性(gradient specularity)」は、出力エリアと同等の表面上での光抽出能力(すなわち鏡面性)における変化を意味する。一実施形態では、勾配鏡面性は、連続的に可変であり、例えば、光抽出素子の表面にわたって、単調な方式でなだらかに変化する。一部の実施形態では、光抽出素子は、長さ方向、幅方向、又は長さ及び幅方向の両方において勾配を有することができる。一部の実施形態では、勾配は、輝度の中心を作るために、使用される鏡面背面反射体上の円領域など、1つ以上の段階的な変化を含んでもよい。一部の実施形態では、勾配は、抽出の別個のエリアのアレイ、例えば隣接するエリアにおける鏡面性とは異なる均一の鏡面性の領域であってもよい。一部の実施形態では、勾配鏡面性は段階的な鏡面性、鏡面性における別個の変化、鏡面性における連続的変化、鏡面性における不連続的な変化、異なる鏡面性の一連の複数の領域、又は勾配鏡面性の組み合わせであってもよい。
【0086】
バックライト100は、光リサイクリングキャビティ130内に光を放射するように配置された1つ以上の光源160も含む。この実施形態では、光源はバックライト100の端部132に近接して位置決めされる。光源160を概略的に示す。ほとんどの場合、これらの光源160は小型の発光ダイオード(LED)である。この点で、「LED」は、可視、紫外線、又は赤外線にかかわらず、発光するダイオードを指す。それは、従来型又は超放射型の種類にかかわらず、「LED」として販売されている非干渉性封入又は密閉型半導体デバイスを含む。LEDが紫外線などの非可視光線を発する場合、及びLEDが可視光線を発するある特定の場合、LEDは蛍光体を含むようにパッケージ化され(あるいは遠隔配置された蛍光体を照射することができ)、短波長の光を長波長の可視光線に変え、特定の場合には白色光を発する装置を提供する。「LEDダイ」は、最も基本的な形態、すなわち半導体加工手順によって製造される個々の構成要素又はチップの形態のLEDである。構成要素又はチップは、デバイスに電圧を加えるための電力の適用に好適な電気接点を含むことができる。構成要素又はチップの個々の層及びその他の機能的要素は、通常、ウェハスケールで形成された後、仕上がったウェハは個々の小片部に切られて、多数のLEDダイとなることができる。パッケージ化されたLEDの詳細については、前面発光及び側面発光のLEDを含めて、本明細書で更に説明する。
【0087】
多色光源は、白色光の生成に使用されるかどうかにかかわらず、バックライトの出力エリアで色及び輝度の均一性に異なる効果を与えるように、バックライトで多数の形態を取ることができる。ある手法では、複数のLEDダイ(例えば、赤、緑、及び青色を発光するダイ)がリード線フレーム又はその他の基材にすべて互いに隣接して実装され、1つのパッケージを形成するように1つの内包材で一緒に封入される。この場合、パッケージにはレンズ構成要素が1つだけ含まれていてもよい。このような光源は、いずれか1つの個別の色、又は同時にすべての色を発光するように制御可能である。別の手法では、1パッケージにつき1つのLEDダイと1色の発光色を提供する、個別にパッケージ化されたLEDを、所定のリサイクリングキャビティに一緒にまとめて配置してもよく、この集合体には青/黄又は赤/緑/青などの異なる色を発光するパッケージ化LEDの組み合わせが含まれる。また別の手法では、このような個別にパッケージ化された多色LEDを1つ以上の線、アレイ、又はその他のパターン内で位置決めされてもよい。
【0088】
望ましい場合には、開示するバックライトの光源として、別個のLED光源の代わりに、又はLED光源に追加して、線形の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)又は熱陰極蛍光ランプ(HCFL)などの別の可視光線発光体を使用してもよい。更に、例えば冷白色及び温白色を含む(CCFL/LED)、CCFL/HCFL、例えば異なるスペクトルを放射するものなどの複合システムを使用することができる。他の好適な光源としては、キセノンのCCFL、平坦蛍光ランプ、電界放出源、フォトニック格子光源、垂直キャビティ面発光レーザー、外部電極蛍光ランプ、及び有機発光ダイオードが挙げられる。発光体の組み合わせは、幅広く異なってもよく、LEDとCCFL、及び例えば複数のCCFL、異なる色の複数のCCFL、及びLEDとCCFLなどの多数を含むことが可能である。
【0089】
例えば、幾つかの用途では、個別の光源の列を、長い円筒形CCFLのような異なる光源と置き換えるか、又は長さに沿って光を放射し離れた能動素子(LEDダイやハロゲン電球など)に結合された線形面発光導光体と置き換え、また同様に他の光源列と置き換えることが望ましいことがある。このような線状表面発光導光体の例は、米国特許第5,845,038号(Lundinら)及び同第6,367,941号(Leaら)に開示されている。また、ファイバ結合レーザ・ダイオードや他の半導体発光体も既知であり、そのような場合、光ファイバ導波路の出力端は、開示されたリサイクリングキャビティ内の場所又は他の状況ではバックライトの出力エリアの後の場所に対する光源であると考えることができる。電球やLEDダイなどの活性成分から受け取った光を発する、レンズ、屈折体、狭い導光体などの小さな発光領域を有する他の受身の光学構成要素についても、同じことが言える。このような受身の構成要素の一例は、側面発光パッケージ化LEDの成型内包体又はレンズである。
【0090】
1つ以上の光源には、任意の適切な側面発光LED、例えば、Luxeon(登録商標)LED(Lumileds(San Jose,CA)から入手可能)、又は米国特許出願第1の1/381,324号(Leatherdaleら)、表題「LED PACKAGE WITH CONVERGING OPTICAL ELEMENT」及び同第1の1/381,293号(Luら)、表題「LED PACKAGE WITH WEDGE−SHAPED OPTICAL ELEMENT」に記載されるLEDを使用することができる。
【0091】
バックライトがディスプレイパネル(例えば、図6のパネル650)と組み合わせで使用される一部の実施形態では、バックライト100は、白色光を連続的に放射し、LCパネルは、カラーフィルタマトリクスと組み合わされて、多色画素のグループ(黄/青(YB)画素、赤/緑/青(RGB)画素、赤/緑/青/白(RGBW)画素、赤/黄/緑/青(RYGB)画素、赤/黄/緑/シアン/青(RYGCB)画素など)が形成され、その結果、表示画像は多色性になる。あるいは、カラーシーケンシャル技術(color sequential technique)を使用して多色画像を表示することができ、この技術は、LCパネルを白色光で連続的に後ろから照明し、LCパネル内のグループの多色画素を変調して色を生成する代わりに、バックライト100内の個別に色付けされた光源(例えば、赤、オレンジ、琥珀、黄色、緑、シアン、青(紺青を含む)、及び以上の述べた色などの組み合わせの白から選択された)を変調して、バックライトが、空間的に均一な有色光出力を高速に繰り返し連続的(例えば、赤、次に緑、次に青など)に点滅させるものである。次に、この色変調バックライトは、(カラーフィルタマトリクスのない)1つの画素アレイしかないディスプレイモジュールと組み合わされ、この画素アレイは、変調が観察者の視覚システム内で時間的に色混合されるのに十分に高速であるという条件で、バックライトと同期して変調されて、画素アレイ全体にわたってあらゆる達成可能な色(バックライトで光源として使用されている色で可能な色)が生成される。フィールドシーケンシャルディスプレイとしても知られるカラーシーケンシャルディスプレイの例は、米国特許第5,337,068号(Stewartら)及び同第6,762,743号(Yoshiharaら)に記載されている。特定の場合には、単色のみのディスプレイを提供することが望ましい場合もある。このような場合、バックライト100は、フィルタ、又は単一の可視波長若しくは色で優勢に発する特定の光源を含んでもよい。
【0092】
一部の実施形態(例えば、図3に示された実施形態のような直下型バックライト)では、光源は、背面反射体上に位置決めされてもよく、あるいは、光源は背面反射体から離間されてもよい。他の実施形態では、光源は、例えば、本願出願人の、同時係属中の米国特許出願第11/018,608号、同第11/018,605号、同第11/018,961号、及び同第10/858,539号に記載されたように、背面反射体上に位置決めされるか、又はその背面反射体に取り付けられる光源を含んでもよい。
【0093】
光源160は、任意の適切な配列で位置決めされてもよい。更に、光源160は、様々な波長又は色の光を放射する光源を含むことができる。例えば、光源は、第1の波長の照明光を放射する第1の光源と、第2の波長の照明光を放射する第2の光源を含むことがある。第1の波長は、第2の波長と同じでもよく、又は異なってもよい。光源160は、また、第3の波長の光を放射する第3の光源を含んでもよい。例えば、米国特許出願第60/939,083号、表題「WHITE LIGHT BACKLIGHTS AND THE LIKE WITH EFFICIENT UTILIZATION OF COLORED LED SOURCES」を参照されたい。ある実施形態では、種々の光源160は、混合されたときに、ディスプレイパネルや他のデバイスに白色照明光を提供する光を生成することが可能である。他の実施形態では、光源160はそれぞれ白色光を出力することが可能である。
【0094】
更に、ある実施形態では、放射光を少なくとも部分的に平行にする光源が好ましいことがある。そのような光源は、開示されたバックライトの中空の光リサイクリングキャビティ内に所望の出力を提供するためのレンズ、エキストラクタ、成形封入材、又光学素子の組み合わせを含むことができる。代表的な抽出器は、例えば、米国特許出願公開第2007/0257266号、同第2007/0257270号、同第2007/0258241号、同第2007/0258246号、及び米国特許第7,329,982号に記載されている。
【0095】
更に、本開示のバックライトは、リサイクリングキャビティ内に最初に注入された光を、横断面(バックライトの出力エリアと平行な横断面)に近い伝搬方向に、例えば横断面からの平均偏差角が0〜45度、又は0〜30度、又は0〜15度の範囲の注入ビームであるように、部分的に平行化又は拘束する注入光学素子を含むことができる。
【0096】
本開示のある実施形態では、中空の光リサイクリングキャビティ内である程度の拡散が行われることが好ましいことがある。そのような拡散は、キャビティ内でより大きい角度の光の混合を実現することができ、それにより、キャビティ内で光を拡散し出力面を介してキャビティから外に導かれる光の均一性を高めるのに役立つ。換言すると、リサイクリング光学キャビティは、キャビティに鏡面特性と拡散特性を平衡させる構成要素を含み、この構成要素は、キャビティ内の十分な横方向の光の伝達又は混合を提供するのに十分な鏡面性を有するが、狭い範囲の伝搬角度の光しかキャビティに注入されないときでも、キャビティ内の定常状態の光伝搬の角度分布を実質的に均一化するのに十分な拡散率も有する。更に、キャビティ内のリサイクリングの結果、入射光線の偏光状態に対する反射光偏光がある程度ランダムにならなければならない。これにより、有効でない偏光をリサイクリングによって有効な偏光に変換することができる機構が可能になる。拡散は、前面反射体及び背面反射体の一方又は両方、側面反射体、又は本明細書において更に詳しく説明されるような前面反射体と背面反射体の間に位置決めされる1つ以上の層によって提供することができる。
【0097】
ある実施形態では、キャビティ内に提供された拡散は、半鏡面拡散を含むことができる。本明細書で使用されるとき、用語「半鏡面反射体」は、逆方向散乱光より多くの順方向散乱光を実質的に反射する鏡面反射体を指す。同様に、用語「半鏡面拡散体」は、実質的に大部分の入射光線に関して入射光線の法線成分を逆方向に向けず、すなわち、光が実質的に順(z)方向に透過され、x及びy方向にある程度散乱される拡散体を指す。換言すれば、半鏡面反射体及び拡散体(総じて半鏡面素子と呼ばれる)は、光を実質的に順方向に方向付けることから、全ての方向に均等に光線の向きを変えるランベルト構成要素とは非常に異なっている。半鏡面反射体と拡散体は、比較的広い散乱角を示すことができ、あるいは、そのような反射体と拡散体は、鏡面方向からの僅かな量の光偏向を示す。例えば、米国特許出願第60/939,085号、表題「RECYCLING BACKLIGHTS WITH SEMI−SPECULAR COMPONENTS」を参照されたい。本開示の前面反射体及び背面反射体には、いずれの適切な半鏡面材料を使用することができる。
【0098】
更に、例えば、半鏡面背面反射体は、高反射率拡散反射体上に部分的に透過する鏡面反射体を含み得る。適切な部分的に透過する鏡面反射体は、本明細書に示した部分的に透過し反射するフィルム、例えば対称の又は非対称の反射フィルムを含む。適切な高反射率拡散反射体には、EDR IIフィルム(3Mから入手可能)、W.L.Gore & Associates,Inc.から入手可能な多孔性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルム、Labsphere,Inc.から入手可能なSpectralon(登録商標)反射材料、Furukawa Electric Co.,Ltd.から入手可能なMCPET高反射率発泡シート、及びMitsui Chemicals,Inc.から入手可能なWhite Refstar(登録商標)が挙げられる。
【0099】
他の実施形態では、半鏡面背面反射体は、高反射率鏡面反射体上に部分的ランバート拡散体を含み得る。あるいは、高反射率鏡面反射体上の順方向散乱拡散体が、半鏡面背面反射体を提供することができる。
【0100】
前面反射体は、背面反射体と類似の構造を有する半鏡面性であり得る。例えば、部分反射ランバーシアン拡散体が、部分鏡面反射体と組み合わされ得る。あるいは、順方向散乱拡散体が、部分鏡面反射体と組み合わされ得る。更に、前面反射体は、順方向散乱部分反射体を含むことができる。他の実施形態では、上記の前面反射体のいずれかを組み合わせて、半鏡面前面反射体を提供することができる。
【0101】
拡散体がキャビティの中のいずれかの場所に配置される場合、前方及び後方の反射体の一方又は両方は鏡面反射であり得る。反射体の1つはまたランベルト面でもあり得るが、一般にこれは、特にエッジライト型バックライトにとっては、最適な構造ではない。この場合、他の反射体は半鏡面反射又は鏡面反射でなければならない。順方向分散拡散体は、いずれの適切な拡散体であってよく、両方向又は偏光状態に関して対称性又は非対称性であり得る。
【0102】
定量的には、半鏡面性の程度(所与の反射体又はその他構成要素の鏡面反射対ランベルト特性)は、それぞれF及びBと呼ばれる前方及び後方散乱光成分の光束を比較することによって効果的に特徴付けることができる。前方及び後方散乱光する光束は、立体角全てに対する積分反射強度(又は光学透過性構成要素の場合は積分透過強度)から得ることができる。半鏡面性の程度は、次に「移送比率」Tによって特徴付けることができ、T=(F−B)/(F+B)で与えられる。
【0103】
Tは、純粋ランベルトから純粋鏡面まで移動するため、0〜1の範囲となる。純粋鏡面反射体では、逆方向分散が存在しない(B=0)ため、T=F/F=1である。純粋ランベルト反射体では、順方向及び逆方向分散光束が等しいため(F=B)、T=0である。実施例を実験的な測定値と共に以下に示す。任意の実際の反射性又は透過性構成要素の移送比率は、入射角の関数である。前方散乱光の量は、例えば、ほぼ垂直な入射光とグレージング入射光によって異なることが予想されるため、これは論理にかなう。
【0104】
リサイクリングキャビティに関連して、「有効キャビティ移送比率」、すなわち、リサイクリングキャビティの循環又はサイクルの完了後の、所与の入射光腺が経験した移送比率を確定することができる。この量は、特に、少なくとも1つの半鏡面反射成分と少なくとも1つの散乱構成要素と(半鏡面反射面又はランベルト面にかかわらず)を包含するキャビティにおいて興味深い。移送比率は、一般に入射角の関数であるため、キャビティ内に注入される光の特徴的又は平均の入射角、例えば光源の平均電力束偏差角の観点から、有効キャビティ移送比率の検証又は特定が可能であろう。移送比率の更なる説明は、例えば米国特許出願第60/939,085号を参照されたい。
【0105】
図1には示されていないが、バックライト100(又は図6のディスプレイシステム600)は、光源160からの光の輝度及び色の一方又は両方を検出及び制御するための、光センサ及びフィードバックシステムを含んでもよい。例えば、個別の光源160又は光源の集合体の近くに、白色点又は色温度を制御し、維持し、又は調整するために出力を監視し、フィードバックを提供するセンサが配置されてもよい。キャビティ130の端部に沿って又はキャビティ130内に、1つ以上のセンサを配置して混合光をサンプリングすることが有益な場合がある。いくつかの例では、観察環境(例えば、ディスプレイ装置がある部屋)でディスプレイ装置の外部の周囲光を検出するセンサを提供することが有益なことがある。周囲の観察条件に基づいて、光源160の出力を適切に調整するために、制御ロジックを使用することができる。例えば、光−周波数変換センサ又は光−電圧変換センサなど(Texas Advanced Optoelectronic Solutions(Plano,Texas)から入手可能)、適切な1つ以上の任意のセンサを使用することができる。更に、熱センサを使用して光源160の出力を監視及び制御することができる。これらの技法のいずれも、動作条件及び構成要素の経時的変化に対する補償に基づく、光出力の調節に使用することができる。更に、ダイナミックコントラスト、垂直スキャン若しくは水平区域又はフィールドシーケンシャルシステムに関して、制御システムにフィードバック信号を供給するために、センサを使用することができる。
【0106】
バックライト100の出力面135は、キャビティ130の面積に関連した任意の適切な面積を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、出力面135は、キャビティ130の面積(L×W)よりも小さい面積であってもよい。これは、例えば、高反射率の部分を有する前面反射体110を使用し、それにより出力面135の有効面積を低減することによって達成し得る。出力面の面積の低減は、光源160からの所与の入力光束に関しての、バックライトにより提供される輝度を増大させることができる。
【0107】
本明細書で述べるように、本開示のいくつかのバックライトは、バックライトの1つ以上の端部に位置決めされた1つ以上の光源を含み、エッジライト型バックライトを形成することができる。例えば、図2は、エッジライト型バックライト200の別の実施形態の概略断面図である。バックライト200は、出力面235を含む中空の光リサイクリングキャビティ230を形成する、部分的透過性の前面反射体210及び背面反射体220を含む。本明細書に更に記載されているように、キャビティ230は、勾配鏡面性を有する少なくとも1つの光抽出素子(図2において、素子242、244、及び246)を更に含む。バックライト200は、中空の光リサイクリングキャビティ230内に配置された半鏡面素子250、及び光リサイクリングキャビティ230内に光を放射するように配置された少なくとも2つの光源260、270も含む。光源260、270は、光リサイクリングキャビティ230内に限定された角度範囲にわたって光を放射するように構成される。図1のバックライト100の前面反射体110、背面反射体120、半鏡面素子250、及び1つ以上の光源160に関して本明細書で説明された全ての設計上の考察及び可能性は、図2のバックライト200の前面反射体210、背面反射体220、光抽出素子242、244、246、半鏡面素子250、及び光源260、270にも等しく適用される。
【0108】
図2に示した実施形態では、1つ以上の光源260、270は、バックライト200の第1の端部232及び第2の端部234にそれぞれ近接して配置されている。他の実施形態では、光源は、バックライトの任意の数の端部に近接して配置されてもよい。図示のように、バックライト200は、1つ以上の光源260、270からの光を光リサイクリングキャビティ230内に直接向けるのに役立つ1対の注入器又は反射体265、275を含む。例えば、くさび状、略放物線状の反射体などの、任意の好適な注入器又は反射体が、バックライト200と共に使用できる。例えば、米国特許出願第60/939,082号、表題「COLLIMATING LIGHT INJECTORS FOR EDGE−LIT BACKLIGHTS」に記載の注入器を参照されたい。
【0109】
図示された実施形態において、光抽出素子は、3つの区分(242、244、246)に、それらの間の背面反射体220の2つの部分248、249と共に分離される。一部の実施形態では、図1に示されるように、光抽出素子140は、バックライト100の長さLにわたって連続的である。図2で示されるように、一部の実施形態では、光抽出素子(242、244、246)はバックライト200の長さLにわたって不連続性である。一部の実施形態では、示されていないが、光抽出素子は、バックライトの長さ及び幅にわたって区分に更に分離され、出力面から望ましい光束出力を提供することができる。
【0110】
図2のバックライト200は、バックライトの端部付近に位置決めされた1つ以上の光源を有するエッジライト型バックライトであるが、他の実施形態は、光リサイクリングキャビティ内に光を向けるために、背面反射体上への出力面の突起により画定されるキャビティのエリア内で位置決めされた光源を含み、それにより直下型バックライトを形成することができる。例えば、図3は、直下型バックライト300の一実施形態の概略断面図である。バックライト300は、出力面335を有する中空の光リサイクリングキャビティ330を形成する、部分的透過性の前面反射体310及び背面反射体320を含む。バックライト300はまた、中空の光リサイクリングキャビティ330内に配置された少なくとも1つの半鏡面素子(図示せず)、勾配鏡面性を有する光抽出素子340、及び光リサイクリングキャビティ330内に光を放射するように配置された1つ以上の光源360、370も含む。図3に図示されている実施形態では、光抽出素子340は、部分的透過性の前面反射体310に隣接して示されているが、しかしながら、光抽出素子340は、他の箇所で記載されているように、キャビティ330内の他の位置に配置されてもよい。図1のバックライト100の前面反射体110、背面反射体120、勾配鏡面性を有する光抽出素子140、少なくとも1つの半鏡面素子150、及び1つ以上の光源160に関して説明された全ての設計上の考察及び可能性は、図3のバックライト300の前面反射体310、背面反射体320、勾配鏡面性を有する光抽出素子340、少なくとも1つの半鏡面素子、及び1つ以上の光源360及び370にも等しく適用される。
【0111】
図3に例示した実施形態では、1つ以上の光源360、370は、光リサイクリングキャビティ330内に位置決めされる。いくつかの実施形態では、光源360、370は、実質的に横方向に光を放射し、出力面335により画定される横断面に対して0〜40度の範囲の平均光束偏差角を放射光が有するように構成されている。換言すれば、光源360、370は、光の大部分をキャビティ330の移送帯域内に放射するように構成され得る。1つ以上の光源360、370は、キャビティ330内の任意の好適な場所に位置決めされてもよい。
【0112】
いくつかの直下型の実施形態では、一般的に垂直の反射性側面表面332、334は、実際には、特定のバックライトを類似又は同一の隣接するバックライトと分けるための薄いパーティションにすることができ、その各バックライトは実際には、区域で区切られた大きなバックライトの一部分である。その個々のサブバックライト内の光源は、大きなバックライトのための照明及び暗部区域で区切られたパターンを提供するために、任意の望ましい組み合わせで点灯又は消灯することができる。そのような区域で区切られたバックライトは、いくつかのLCDアプリケーションにおいて、コントラストを向上させ、エネルギーを節約するために動的に用いることができる。区域間の反射性パーティションは、前面反射体まで完全に延在していなくてもよいが、区域境界の視認性(視聴者の側から見て)を最小限に抑え、また同時に区域間のブリードスルーを最小限に抑えるように寸法決めされた隙間によって前面反射体から離隔されてもよい。
【0113】
図5a〜5fは、本開示の一態様による、エッジライト型中空バックライトの様々な実施形態の概略断面図である。図5a〜5fにおいて、バックライト500は、中空の光リサイクリングキャビティ530を形成する、部分的透過性の前面反射体510及び背面反射体520を含む。部分的透過性の前面反射体510は、背面反射体520に面する主表面512を含む。背面反射体520は、部分的透過性の前面反射体510に面する主表面522を含む。バックライト530は、他の箇所で記載されたものと同様な1つ以上の光源(図示せず)を更に含む。
【0114】
図5aにおいて、バックライト500は、部分的透過性の前面反射体510の主表面512に隣接して配置される光学素子540を含む。光学素子540は、勾配鏡面性を有する光抽出素子と組み合わされる半鏡面素子である。
【0115】
図5bにおいて、バックライト500は、部分的透過性の前面反射体510の主表面512に隣接して配置された第1の光学素子540、及び背面反射体520の主表面522に隣接して配置された第2の光学素子541を含む。第1の光学素子540及び第2の光学素子541は、勾配鏡面性を有する光抽出素子と組み合わされる半鏡面素子である。図5bに示されるように、光学素子のそれぞれの内部の勾配鏡面性は、異なっていてもよく、又は同じであってもよい。
【0116】
図5cにおいて、バックライト500は、背面反射体520の主表面522に隣接して配置される光学素子541を含む。光学素子541は、勾配鏡面性を有する光抽出素子と組み合わされる半鏡面素子である。
【0117】
図5dにおいて、バックライト500は、背面反射体520の主表面522から、隙間543によって分離される光学素子541を含む。光学素子541は、勾配鏡面性を有する光抽出素子と組み合わされる半鏡面素子である。
【0118】
図5eにおいて、バックライト500は、部分的透過性の前面反射体510の主表面512に隣接して配置された半鏡面素子544、及び背面反射体520の主表面522上の勾配内に配置された光抽出素子545を含む勾配光抽出器を含む。
【0119】
図5fにおいて、バックライト500は、部分的透過性の前面反射体510の主表面512に隣接して配置される半鏡面素子544を含む。半鏡面素子544は、背面反射体520に面する主表面546、及び半鏡面素子544の主表面546上の勾配内に配置された光抽出素子545を含む勾配光抽出器を含む。
【0120】
図1のバックライト100の前面反射体110、背面反射体120、勾配鏡面性を有する光抽出素子140、少なくとも1つの半鏡面素子150、及び1つ以上の光源160に関して説明された全ての設計上の考察及び可能性は、図5a〜5fのバックライト500の前面反射体510、背面反射体520、勾配鏡面性を有する光抽出素子、少なくとも1つの半鏡面素子、及び1つ以上の光源にも等しく適用される。
【0121】
本開示のバックライトは、任意の好適な構成又は用途において実施されてもよい。例えば、本明細書に記載のバックライトは、ディスプレイパネルと共に使用して、ディスプレイシステム、例えばLCディスプレイ又はモニタを形成することができる。図6は、ディスプレイシステム600の一実施形態の概略断面図である。ディスプレイシステム600は、LCパネル650、及びLCパネル650に光を提供するために配置された照明アセンブリ602を含む。LCパネル650は、典型的には、パネルプレート654の間に配置されたLC層652を含む。プレート654の多くはガラスで形成され、LC層652の液晶の配向を制御するための電極構造体及び配向層を内側表面に含んでよい。これら電極構造体は、LCパネル画素、すなわち隣接する領域とは独立して液晶の配向を制御できるLC層の領域を画定するように一般的に配置される。また、1つ以上のプレート652と共に、LCパネル650によって表示された画像に色付けするためのカラーフィルタが含まれてもよい。
【0122】
LCパネル650は、上方吸収偏光子656と下方吸収偏光子658との間に位置決めされている。図示した実施形態では、上方吸収偏光子656及び下方吸収偏光子658は、LCパネル650の外部に位置している。吸収偏光子656、658及びLCパネル650は共に、バックライト610からディスプレイパネル600を介して視聴者に至る光の透過を制御する。例えば吸収偏光子656、658は、透過軸が互いに垂直になるよう配置することができる。非駆動状態では、LC層652の画素は、そこを通過する光の偏光を変えることはない。したがって、下方吸収偏光子658を通過する光は、上方吸収偏光子656によって吸収される。一方、画素がアクティブ化されるとき、通過する光の偏光は回転されて、下方吸収偏光子658を透過した少なくとも一部の光は上方吸収偏光子656も透過する。例えば、制御器604によるLC層652の異なる画素の選択起動は、ディスプレイシステム600からの光を特定の所望の位置で通過させ、それにより視聴者により見られる画像を形成する結果となる。制御器604には、例えば、テレビ画像を受信し表示する、コンピュータ又はテレビ用制御器を挙げることができる。
【0123】
ディスプレイ表面への機械的保護及び/又は環境的保護を提供するために、例えば、上方吸収偏光子656の近くに1つ以上の選択的な層657が提供されてもよい。一つの例示的な実施形態では、層657は、上方吸収偏光子656の上のハードコートを含むことがある。
【0124】
いくつかのLCディスプレイは上記の方式とは異なった方式で作動できることは理解されよう。例えば、吸収偏光子は平行に整列されてもよく、LCパネルは非活性化状態にあるときに光の偏光を回転させてもよい。それにもかかわらず、そのようなディスプレイの基本的な構造は、上述の構造と依然として同様である。
【0125】
照明アセンブリ602は、バックライト610、及び所望により、バックライト610とLCパネル650との間に位置決めされた1つ以上の光制御フィルム640を含む。バックライト610は、本明細書に記載のいずれのバックライト、例えば図1のバックライト100を含んでもよい。
【0126】
光制御ユニットとも呼ばれる場合がある光制御フィルム640の配列は、バックライト610とLCパネル650との間に位置決めされる。光制御フィルム640は、バックライト610から伝搬する照明光に影響を及ぼす。例えば、光制御フィルム640の配列は、所望により拡散体648を含んでもよい。拡散体648は、バックライト610から受ける光を拡散するために使用される。
【0127】
拡散層648は、任意の好適な拡散フィルム又はプレートであってもよい。例えば、拡散層648は、任意の好適な拡散材料を含んでいてもよい。ある実施形態では、拡散層648は、ガラス、ポリスチレンビーズ、及びCaCO3粒子を含む様々な分散相を有するポリメチルメタクリレート(PMMA)の高分子マトリックスを含んでもよい。代表的な拡散体には、3M Company(St.Paul,Minnesota)から入手可能な3M(登録商標)Scotchcal(登録商標)Diffuser Film、タイプ3635−30、3635−70、及び3635−100を挙げることができる。
【0128】
選択的な光制御フィルム640はまた、反射偏光子642を含んでもよい。いくつかの実施形態では、反射偏光子642の透過軸は、LCパネル650の通過軸と揃えることができる。任意の好適な種類の反射偏光子、例えば、多層光学フィルム(MOF)反射偏光子、連続/分散相偏光子のような拡散反射偏光フィルム(DRPF)、ワイヤグリッド反射偏光子、又はコレステリック反射偏光子が、反射偏光子642に使用されてもよい。
【0129】
MOFと連続/分散相反射偏光子の両方が、少なくとも2種類の材料、通常は高分子材料の間における屈折率の差異を利用して、1つの偏光状態の光を選択的に反射し、一方で直交する偏光状態にある光を透過させる。MOF反射偏光子のいくつかの例が、同一出願人に所有された米国特許第5,882,774号(Jonzaら)に記載される。MOF反射偏光子の市販の例には、3M Companyから入手可能な拡散面を含むVikuiti(登録商標)DBEF−D200及びDBEF−D440多層反射偏光子がある。
【0130】
本開示と関連した有用なDRPFの例には、例えば本願出願人の米国特許第5,825,543号(Ouderkirkら)に記載された連続/分散相反射偏光子と、例えば本願出願人の米国特許第5,867,316号(Carlsonら)に記載された拡散反射多層偏光子がある。他の好適なタイプのDRPFが、米国特許第5,751,388号(Larson)に記載される。
【0131】
本開示と関連して使用できるワイヤグリッド偏光子のいくつかの例には、例えば米国特許第6,122,103号(Perkinsら)に記載されたものがある。ワイヤグリッド偏光子は、とりわけMoxtek Inc.(Orem,Utah)から市販されている。
【0132】
本開示と関連して役立つコレステリック偏光子の幾つかの例には、例えば米国特許第5,793,456号(Broerら)と米国特許出願公開第2002/0159019号(Pokornyら)に記載されたものがある。コレステリックの偏光子は多くの場合に、コレステリックの偏光子を透過する光が直線偏光に変換されるように、出力側に4分の1波長遅延層を伴って提供される。
【0133】
いくつかの実施形態では、偏光制御層644を拡散プレート648と反射偏光子642との間に設けてもよい。偏光制御層644の例には、4分の1波長遅延層、及び液晶偏光回転層のような偏光回転層が挙げられる。偏光制御層644は、リサイクリング光の増加した一部が反射偏光子642を透過するように反射偏光子642から反射される光の偏光を変化させるために使用されてもよい。
【0134】
光処理フィルム640の選択的な配列は、1つ以上の輝度向上層を含んでもよい。輝度向上層とは、軸外光をディスプレイの軸線により接近した方向に向け直す表面構造を含んだものである。これは、LC層652を通じて軸線上を伝搬する光の量を増加させ、したがって、視聴者が見る画像の輝度を向上させる。輝度向上層の一例は、照明光を屈折と反射で変化させるいくつかのプリズム隆起部を有するプリズム輝度向上層である。ディスプレイシステム600で使用されることがあるプリズム輝度向上層の例には、BEF II 90/24、BEF II 90/50、BEF IIIM 90/50及びBEF IIITを含む、3M Companyから入手可能なVikuiti(登録商標)BEF II及びBEF III系のプリズムフィルムが挙げられる。いくつかの実施形態では、偏光維持屈折構造体を利用することができる。屈折輝度向上フィルムの多くの種類は、高複屈折率であり、反射偏光子から放射された光の偏光状態を解消し得る。偏光を解消させないために、ポリカーボネートのような基材を十分な等方性に作製することができる。
【0135】
輝度向上は、本明細書で更に詳しく説明される前方反射体の実施形態のいくつかによって提供され得る。
【0136】
図6に示す代表的な実施形態は、反射偏光子642とLCパネル650との間に配置された第1の輝度向上層646aを示す。プリズム状輝度向上層は、典型的に1次元の光学利得をもたらす。また、光制御フィルム640の配列には、第1の輝度向上層646aのプリズム構造に直角に向けられたプリズム構造を有する選択的な第2の輝度向上層646bが含まれてもよい。そのような構成は、ディスプレイシステム600の光学利得を二次元で増大させる。他の例示の実施形態では、輝度向上層646a、646bは、バックライト610と反射偏光子642との間に位置決めされてよい。
【0137】
任意の光制御フィルム640内の様々な層は独立していてもよい。他の実施形態では、例えば本願出願人の米国特許出願第10/966,610(Koら)で言及されているように、光制御フィルム640内の2つ以上の層が一緒に積層されてもよい。他の例示的な実施形態では、例えば本願出願人の米国特許出願第10/965,937号(Gehlsenら)に記載されているように、任意的な光制御フィルム640は、隙間で分離された2つの半組立体を含んでもよい。
【0138】
一態様では、本開示のバックライトの前面及び背面反射体の一方又は両方は、所望の出力光束分布を提供するために位置決めされるか、又は形成され得る。別の態様では、1つ以上の光抽出素子は、所望の出力光束分布を提供するためにキャビティ内部に位置決めされてもよい。任意の技法を使用して、望ましい分布を提供するために、反射体又は光抽出素子がどの形状又は位置をとるべきかを決めてもよい。例えば、出力面を有する中空の光リサイクリングキャビティを形成することができる。このキャビティは、部分的透過性の前面反射体及び平面状の背面反射体を含み得る。1つ以上の光源が、光リサイクリングキャビティ内に限定された角度範囲にわたって光を放射するように位置決めされ得る。所望の出力光束分布が選択され得る。第1の出力光束分布を測定し、所望の出力光束分布と比較し得る。一態様では、前面及び背面反射体の一方又は両方は、次に所望の出力光束分布を提供するために形成、又は位置決めされ得る。別の態様では、光抽出素子は、所望の出力光束分布を提供するためにキャビティ内部に位置決めされてもよい。更に別の態様では、前面反射体及び背面反射体の1つ又は両方が次いで成形又は位置決めされて、抽出素子は所望の出力光束分布を提供するためにキャビティ内部に位置決めされてもよい。第2の出力光束分布を測定し、所望の出力光束分布と比較し得る。前面反射体及び背面反射体の1つ又は両方の更なる成形、形成、若しくは位置決め、又は光抽出素子の勾配鏡面性若しくは位置の変更が次いで実施されて、所望の出力光束分布を提供してもよい。上述の技術のいずれか又は全ては、当該技術分野において既知の、任意の適切なコンピュータモデリング技術を使用して実施され得る。
【0139】
特に断らない限り、「バックライト」に関する記述は、対象とする用途で名目的に均一な照明を提供する他の広域面積照明装置にも当てはまる。他のそのような装置は、偏光出力を提供してもよく、非偏光出力を提供してもよい。例としては、ライトボックス、サイン、チャンネル文字、及び、屋内(例、家庭又はオフィス)又は屋外用の、「照明器具」と称されることもある一般的照明装置が挙げられる。またエッジライト型の装置は、対向する主表面の両方、すなわち、上記で言う「前面反射体」及び「背面反射体」の両方から光を放射するように構成することができ、その場合、前面及び背面反射体の両方が部分的透過性である点にも留意されたい。そうした装置は、2枚の独立したLCDパネル又はバックライトの両側に配される他のグラフィック部材を照明することができる。その場合、前面及び背面反射体は同じ又は類似の構造を有していてもよい。そのような両面バックライトは、例えば、両面サイン、携帯電話などに使用できる。いくつかの実施形態では、両面バックライトは、キャビティ内に位置決めされた反射部材を含み、バックライトの主表面の一方又は両方から外へ光を方向付けることができる。この反射部材は、完全反射性、部分的透過性であってよく、又は反射性及び透過性の組み合わされた特性を有していてもよい。更に、反射部材の主表面の一方又は両方は、本明細書で記載されるように形成されてもよい。任意の好適な反射体がこの反射部材に使用されてもよい。
【0140】
「LED」という語は、可視、紫外線又は赤外線にかかわらず、光を放射するダイオードを指す。これは、従来型か、超放射型かにかかわらず、「LED」として販売されているインコヒーレントな封入又は密閉型の半導体装置を含む。LEDが紫外線などの非可視光線を発する場合、及びLEDが可視光線を発するある特定の場合、LEDは蛍光体を含むようにパッケージ化され(あるいは遠隔配置された蛍光体を照射することができ)、短波長の光を長波長の可視光線に変え、特定の場合には白色光を発する装置を提供する。
【0141】
蛍光体は、結合剤中の蛍光材料の混合物であってもよい。蛍光材料は、無機粒子、有機粒子、若しくは有機分子、又はこれらの組み合わせであってもよい。好適な無機粒子としては、ドープされたガーネット(例えばYAG:Ce及び(Y、Gd)AG:Ce)、アルミネート類(例えば、Sr2Al14O25:Eu、及びBAM:Eu)、シリケート類(例えばSrBaSiO:Eu)、硫化物類(例えば、ZnS:Ag、CaS:Eu、及びSrGa2S4:Eu)、オキシ−硫化物類、オキシ−窒化物類、ホスフェート類、ボレート類、及びタングステート類(例えば、CaWO4)が挙げられる。これらの材料は、従来の蛍光体粉末又はナノ粒子蛍光体粉末の形態であってもよい。別の種類の好適な無機粒子は、Si、Ge、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、PbS、PbSe、PbTe、InN、InP、InAs、AlN、AlP、AlAs、GaN、GaP、GaAs及びこれらの組み合わせを含む半導体ナノ粒子から製造される、いわゆる量子ドット蛍光体である。一般に、量子ドットの表面は、アグロメレーションの防止、及び結合剤との適合性を増大させるために、有機分子によって少なくとも部分的にコーティングされるであろう。一部の例では、半導体量子ドットは、コア−シェル構造にて異なる材料のいくつかの層で構成されていてもよい。好適な有機分子としては、米国特許第6,600,175号に列挙されるもののような蛍光染料が挙げられる。好ましい蛍光材料は、良好な耐久性と安定な光学特性を示すものである。蛍光体層は、単一層又は一連の層にて異なる種類の蛍光体のブレンドからなっていてもよく、それぞれは1以上の種類の蛍光体を含有する。蛍光体層中の無機蛍光体粒子は寸法(直径)が異なっていてもよく、それらは、層の断面にわたって平均粒径が均一ではないように分離されていてもよい。例えば、大きい粒子がフィルムの一方の側にある傾向が見られ、小さい粒子が他方の側に位置する傾向があってもよい。この分離は、結合剤が硬化する前に粒子を沈降させることにより達成されるであろう。他の好適な蛍光体は、薄膜蛍光体、例えば、Lumileds(San Jose,CA)から入手可能なLumiramic(登録商標)蛍光技術が挙げられる。
【0142】
「LEDダイ」は、最も基本的な形態、すなわち半導体加工手順によって製造される個々の構成要素又はチップの形態のLEDである。構成要素又はチップは、デバイスに電圧を加えるための電力の適用に好適な電気接点を含むことができる。構成要素又はチップの個々の層及びその他の機能的要素は、通常、ウェハスケールで形成された後、仕上がったウェハは個々の小片部に切られて、多数のLEDダイとなることができる。LEDは、カップ形状の反射体又は他の反射性基材、単純なドーム形状のレンズ、他の既知の形状若しくは構造体に成型された封入材、抽出材及びその他パッケージング要素で前方発光、側方発光、その他の望ましい光出力分配を行うのに用いられるものを含むことができる。
【0143】
他に指示がない限り、LEDという語の参照は、カラーか、白色かを問わず、並びに偏光か非偏光かを問わず、小さな発光面積で明るい光を放射することができる他の光源にも適用される。例としては、半導体レーザー装置、及び、固体レーザーポンピングを利用した光源、例えばLuminus Devices,Inc.(Billerica,MA)から入手可能なPhlatlight(登録商標)光源のようなフォトニック結晶を組み込んだ固体光源、及び量子ドット又は量子井戸のような量子井戸ダウンコンバート素子を組み込んだ光源(例えば、米国特許出願第60/978,304号、及び米国特許出願公開第2006/0124918号を参照)が挙げられる。
【0144】
指示がない限り、本明細書及び請求項で使用される特性となる大きさ、量、及び物理特性を示す全ての数字は、「約」と言う用語によって修飾されることを理解されたい。それ故に、別の指示がない限りは、本明細書及び添付の請求項に説明される数字のパラメータは近似値であり、本明細書に開示された教示を使用して当業者が獲得しようとする所望の特性に応じて変化し得る。
【実施例】
【0145】
バックライトは、米国特許出願公開第2008/068953号、表題「VIRTUAL BACKLIGHT FRAM(登録商標)EWORK」(代理人整理番号62307WO004)に記載されているように、LightTools(登録商標)6.0.0(Optical Research Associates(Pasadena,CA)から入手可能)及びVirtual Backlightシミュレーションツールを使用して作られた。
【0146】
実施例1:エッジライト型バックライト
対角32”(81.3cm)、16:9のバックライトが作られた。バックライトは以下の寸法を備えて、図1と同様に設計された。長さLは398.5mmであり、高さHは15.0mmであり、略放物線状の反射体(図1における素子165)は、深さ21mm及び幅14mmと計測され(深さは左への距離であり、幅は端部132に沿った開口部である)、光源160は2.6mmと測定された。側面反射体(図1における素子134)は、垂直(素子110に最も近い末端部は、光源により近い)から約3.8°傾けた。ビーズ状の利得拡散体(同時係属の米国特許出願第60/939,085号、「RECYCLING BACKLIGHTS WITH SEMI−SPECULAR COMPONENTS」の実施例1に記載されている手順に従って調製された)は、半鏡面素子として使用された(図1における素子150)。光エンジン及びキャビティの全ての他の内面は、他に指定がない限り、3M companyから入手可能なESRを用いて裏打ちされた。2つの異なる部分的透過性の前面反射体(図1における素子110)を使用して、光抽出素子のないシミュレーションが実施された。第1の部分的透過性の前面反射体(ARFとして設計された)は、通過方向において、32%の透過率及び83%の半球反射率を有する非対象反射性フィルム(ARF)だった。第2の部分的透過性の前面反射体(APFとして設計された)は、51%の半球反射率を有するAdvanced Polarizing Film(高度偏光フィルム)だった。
【0147】
2つの区分の光抽出素子は、図1に示されるように背面反射体に隣接して、キャビティ内に配置された。光抽出素子の2つの区分のそれぞれは、背面反射体上に適用された、様々な密度及びランベルト反射特性を備える白いドットを含んだ。このシミュレーションで使用される白いドットパターンは、Optical Research AssociateからのLightTools(登録商標)6.0.0に「Bezier Placement Option」を使用して算出された。光抽出器の第1の区分は長さ50mmであり、光源の隣であった(図1における素子132で始まり、50mm延びる)。光抽出器の第2の区分は、長さ200mmであり、中間点から側面反射体(図1における素子134)まで広がった。各白いドットは、反射率0.98を有するランベルト反射体だった。白いドットは、表1に示されるように各区分に対してアレイ内に配置された。長さ方向Lに沿った配置は、アスタリスク(*)で示されたパラメータを使用して、Bezierの位置オプションによって測定された。
【0148】
【表1】
【0149】
光抽出素子を備えるシミュレーションが、2つの異なる部分的透過性の前面反射体(図1の素子110)を使用して実施された。第1の部分的透過性の前面反射体(ARF−ドットとして設計された)は、通過方向において、32%の透過率及び83%の半球反射率を有する非対象反射性フィルム(ARF)だった。第2の部分的透過性の前面反射体(APF−ドットとして設計された)は、51%の半球反射率を有するAdvanced Polarizing Film(高度偏光フィルム)だった。図7は、光源からのモデル化された出力光束対位置グラフであり、ARF、ARF−ドット、APF、及びAPF−ドットのシミュレーションを含む。
【0150】
シミュレーションの結果は、ランベルト反射率を備える白い印刷ドットを有する光抽出素子がディスプレイの均一性を改善することができるということを立証している。ディスプレイの均一性は、低い半球反射率及び高い反射率を有する部分的透過性の前面反射体で改善された。バックライトの効率は、低い半球反射率を有する部分的透過性の前面反射体の使用によって、部分的に、中空のキャビティ内部で、より少ないリサイクルによって(並びに、したがって、より少ない吸収損失によって)改善された。
【0151】
本願で引用した全ての参照文献及び刊行物は、本開示と完全には矛盾することのない程度まで、その全てが引用によって本開示に明白に組み込まれる。本開示の例示的実施形態を検討すると共に本開示の範囲内の可能な変形例を参照してきた。本開示のこれらの及び他の変形例及び変更例は開示の範囲から逸脱することなく当業者には明らかであろうと共に、本開示は本明細書に記載された例示的実施形態に限定されないことは理解されよう。したがって、本開示は、冒頭に提示した「特許請求の範囲」によってのみ限定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力面を含む中空の光リサイクリングキャビティを形成する、部分的透過性の前面反射体及び背面反射体と、
前記中空の光リサイクリングキャビティ内に配置された半鏡面素子と、
前記中空の光リサイクリングキャビティ内に配置された光抽出素子であって、勾配鏡面性を有する光抽出素子と、
光を前記中空の光リサイクリングキャビティ内に注入するように配置された少なくとも1つの光源であって、限定された角度範囲にわたって光を注入するように構成される、少なくとも1つの光源と、を含む、バックライト。
【請求項2】
前記光抽出素子が勾配拡散体を含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項3】
前記勾配拡散体が前記光抽出素子の表面上に分散したビーズを含む、請求項2に記載のバックライト。
【請求項4】
前記勾配拡散体が前記光抽出素子内に分散した微粒子を含む、請求項2に記載のバックライト。
【請求項5】
前記光抽出素子が抽出器機構のアレイを含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項6】
前記抽出器機構のアレイが、ミクロ構造、テクスチャー、又はバンプを含む、請求項5に記載のバックライト。
【請求項7】
前記抽出器機構のアレイが、エンボス加工された、削磨された、又はコーティングされた抽出機構を含む、請求項5に記載のバックライト。
【請求項8】
前記勾配鏡面性の少なくとも一部分が、前記中空の光リサイクリングキャビティの長さLに沿って単調に変化する、請求項1に記載のバックライト。
【請求項9】
前記部分的透過性の前面反射体が、前記背面反射体から距離Hによって分離される、請求項1に記載のバックライト。
【請求項10】
前記部分的透過性の前面反射体及び前記背面反射体が平面状である、請求項1に記載のバックライト。
【請求項11】
前記部分的透過性の前面反射体が、非偏光可視光線に対して半球反射率Rfhemiを含み、前記背面反射体が、非偏光可視光線に対して半球反射率Rbhemiを含み、Rfhemi*Rbhemiは、少なくとも0.45である、請求項1に記載のバックライト。
【請求項12】
Rbhemiが、約0.95より大きい、請求項11に記載のバックライト。
【請求項13】
Rfhemiが約0.50より大きい、請求項11に記載のバックライト。
【請求項14】
前記出力面が横断面を画定し、前記光源が、前記横断面に対して0〜40度の範囲の平均光束偏差角で、前記中空のリサイクリングキャビティ内に光を注入する、請求項1に記載のバックライト。
【請求項15】
前記半鏡面素子が、15度の入射角で15%より大きい移送比率、及び45度の入射角で95%未満の移送比率を含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項16】
前記半鏡面素子が前記光抽出素子を含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項17】
前記半鏡面素子が、前記背面反射体に面する前記部分的透過性の前面反射体の主表面上に配置される、請求項16に記載のバックライト。
【請求項18】
前記半鏡面素子が、前記部分的透過性の前面反射体に面する前記背面反射体の主表面上に配置される、請求項16に記載のバックライト。
【請求項19】
前記光抽出素子が、印刷されたドット、エンボス加工されたバンプ、コーティングされたビーズ、又はこれらの組み合わせのアレイを含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項20】
前記半鏡面素子及び前記光抽出素子のうちの少なくとも1つが、ダウンコンバート材料を含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項21】
前記部分的透過性の前面反射体が、高度偏光フィルム(APF)、デュアル輝度向上フィルム(DBEF)、バルク拡散体、表面拡散体、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項22】
前記背面反射体が、金属、金属化フィルム、強化鏡面反射体(ESR)フィルム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項23】
前記少なくとも1つの光源が、発光ダイオード(LED)及びLEDアレイ、平行LED、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項24】
フィードバック制御に信号を提供することができる、少なくとも1つの光センサを更に含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項25】
第1の光センサを含む第1の区域と、
第2の光センサを含む第2の区域と、を更に含む、バックライトであって、
前記第1の光センサ及び第2の光センサのそれぞれが、前記第1の区域内の第1の光出力及び第2の区域内の第2の光出力を制御するための信号を提供することができる、請求項1に記載のバックライト。
【請求項26】
請求項1に記載のバックライトを含む、サイン。
【請求項27】
請求項1に記載のバックライトを含む、照明器具。
【請求項28】
ディスプレイパネル、及び
前記ディスプレイパネルに光を提供するように配置されたバックライトを含む、ディスプレイシステムであって、前記バックライトは、
出力面を含む中空の光リサイクリングキャビティを形成する部分的透過性の前面反射体及び背面反射体と、
前記中空の光リサイクリングキャビティ内に配置された半鏡面素子と、
前記中空の光リサイクリングキャビティ内に配置された光抽出素子であって、勾配鏡面性を有する光抽出素子と、
光を前記中空のリサイクリングキャビティ内に注入するように配置された少なくとも1つの光源であって、限定された角度範囲にわたって光を注入するように構成される、少なくとも1つの光源と、を含む、ディスプレイシステム。
【請求項1】
出力面を含む中空の光リサイクリングキャビティを形成する、部分的透過性の前面反射体及び背面反射体と、
前記中空の光リサイクリングキャビティ内に配置された半鏡面素子と、
前記中空の光リサイクリングキャビティ内に配置された光抽出素子であって、勾配鏡面性を有する光抽出素子と、
光を前記中空の光リサイクリングキャビティ内に注入するように配置された少なくとも1つの光源であって、限定された角度範囲にわたって光を注入するように構成される、少なくとも1つの光源と、を含む、バックライト。
【請求項2】
前記光抽出素子が勾配拡散体を含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項3】
前記勾配拡散体が前記光抽出素子の表面上に分散したビーズを含む、請求項2に記載のバックライト。
【請求項4】
前記勾配拡散体が前記光抽出素子内に分散した微粒子を含む、請求項2に記載のバックライト。
【請求項5】
前記光抽出素子が抽出器機構のアレイを含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項6】
前記抽出器機構のアレイが、ミクロ構造、テクスチャー、又はバンプを含む、請求項5に記載のバックライト。
【請求項7】
前記抽出器機構のアレイが、エンボス加工された、削磨された、又はコーティングされた抽出機構を含む、請求項5に記載のバックライト。
【請求項8】
前記勾配鏡面性の少なくとも一部分が、前記中空の光リサイクリングキャビティの長さLに沿って単調に変化する、請求項1に記載のバックライト。
【請求項9】
前記部分的透過性の前面反射体が、前記背面反射体から距離Hによって分離される、請求項1に記載のバックライト。
【請求項10】
前記部分的透過性の前面反射体及び前記背面反射体が平面状である、請求項1に記載のバックライト。
【請求項11】
前記部分的透過性の前面反射体が、非偏光可視光線に対して半球反射率Rfhemiを含み、前記背面反射体が、非偏光可視光線に対して半球反射率Rbhemiを含み、Rfhemi*Rbhemiは、少なくとも0.45である、請求項1に記載のバックライト。
【請求項12】
Rbhemiが、約0.95より大きい、請求項11に記載のバックライト。
【請求項13】
Rfhemiが約0.50より大きい、請求項11に記載のバックライト。
【請求項14】
前記出力面が横断面を画定し、前記光源が、前記横断面に対して0〜40度の範囲の平均光束偏差角で、前記中空のリサイクリングキャビティ内に光を注入する、請求項1に記載のバックライト。
【請求項15】
前記半鏡面素子が、15度の入射角で15%より大きい移送比率、及び45度の入射角で95%未満の移送比率を含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項16】
前記半鏡面素子が前記光抽出素子を含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項17】
前記半鏡面素子が、前記背面反射体に面する前記部分的透過性の前面反射体の主表面上に配置される、請求項16に記載のバックライト。
【請求項18】
前記半鏡面素子が、前記部分的透過性の前面反射体に面する前記背面反射体の主表面上に配置される、請求項16に記載のバックライト。
【請求項19】
前記光抽出素子が、印刷されたドット、エンボス加工されたバンプ、コーティングされたビーズ、又はこれらの組み合わせのアレイを含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項20】
前記半鏡面素子及び前記光抽出素子のうちの少なくとも1つが、ダウンコンバート材料を含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項21】
前記部分的透過性の前面反射体が、高度偏光フィルム(APF)、デュアル輝度向上フィルム(DBEF)、バルク拡散体、表面拡散体、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項22】
前記背面反射体が、金属、金属化フィルム、強化鏡面反射体(ESR)フィルム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項23】
前記少なくとも1つの光源が、発光ダイオード(LED)及びLEDアレイ、平行LED、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項24】
フィードバック制御に信号を提供することができる、少なくとも1つの光センサを更に含む、請求項1に記載のバックライト。
【請求項25】
第1の光センサを含む第1の区域と、
第2の光センサを含む第2の区域と、を更に含む、バックライトであって、
前記第1の光センサ及び第2の光センサのそれぞれが、前記第1の区域内の第1の光出力及び第2の区域内の第2の光出力を制御するための信号を提供することができる、請求項1に記載のバックライト。
【請求項26】
請求項1に記載のバックライトを含む、サイン。
【請求項27】
請求項1に記載のバックライトを含む、照明器具。
【請求項28】
ディスプレイパネル、及び
前記ディスプレイパネルに光を提供するように配置されたバックライトを含む、ディスプレイシステムであって、前記バックライトは、
出力面を含む中空の光リサイクリングキャビティを形成する部分的透過性の前面反射体及び背面反射体と、
前記中空の光リサイクリングキャビティ内に配置された半鏡面素子と、
前記中空の光リサイクリングキャビティ内に配置された光抽出素子であって、勾配鏡面性を有する光抽出素子と、
光を前記中空のリサイクリングキャビティ内に注入するように配置された少なくとも1つの光源であって、限定された角度範囲にわたって光を注入するように構成される、少なくとも1つの光源と、を含む、ディスプレイシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2012−507118(P2012−507118A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533229(P2011−533229)
【出願日】平成21年10月12日(2009.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/060308
【国際公開番号】WO2010/062485
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月12日(2009.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/060308
【国際公開番号】WO2010/062485
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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