説明

包み込み型ベルトコンベヤ

【課題】 粉塵及び漏炭の発生を防止する。
【解決手段】 ベルト1の短辺方向両端にベルト1上の石炭を包み込む、上下方向に開閉自在のカバーベルト11を設けるとともに、受入部Iの前方にベルト1上の閉口したカバーベルト11を開口する受入部カバーベルト開口手段2を設け、受入部Iの後方にベルト上に石炭を供給した後、開口したカバーベルト11を閉口する受入部カバーベルト閉口手段3を設け、かつ、払出部IIにベルト1上の石炭を包み込んで閉口したカバーベルト11を開口し、石炭を落下させた後、開口したカバーベルト11を閉口する払出部カバーベルト開口・閉口手段4を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、包み込み型ベルトコンベヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、石炭火力発電所に使用されている石炭は、その受け入れに当たって石炭運搬船からベルトコンベヤによって石炭火力発電所建屋外に運搬されて貯蔵され、その払い渡しに当たってはベルトコンベヤによって石炭火力発電所建屋内に運搬されている。この石炭の受け入れ、払い渡しに使用されているベルトコンベヤにおいては、石炭はベルト上に露呈している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このため、粉塵を発生し、また、運搬中に石炭がベルト上から落ちる、いわゆる漏炭を発生している。この従来技術においては、粉塵及び漏炭により環境面及び作業能率・安全面を害しているという課題がある。
【0004】なお、石炭火力発電所においては、石灰石、石炭灰、石膏を運搬するために、図11に示すような、円周上に複数のローラRを配置した円筒形コンベヤCが用いられている。その使用目的は、直線路ではなく、曲線路の運搬にある。そして、ローラRの数が多いため、設備が複雑であり、また、輸送量も小さい。したがって、直線路であって、一時間当たり輸送量(1200トン)が大きい石炭の運搬には転用できるものではない。
【0005】この発明は、このような従来技術の課題を解決する目的でなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための手段を、実施の1形態に対応する図1、2を用いて以下、説明する。この発明は、ベルト1の短辺方向両端にベルト1上の石炭を包み込む、上下方向に開閉自在のカバーベルト11を設けるとともに、受入部Iの前方にベルト1上の閉口したカバーベルト11を開口する受入部カバーベルト開口手段2を設け、受入部Iの後方にベルト上に石炭を供給した後、開口したカバーベルト11を開口する受入部カバーベルト閉口手段3を設け、かつ、払出部IIにベルト1上の石炭を包み込んで閉口したカバーベルト11を開口し、石炭を落下させた後、開口したカバーベルト11を閉口する払出部カバーベルト開口・閉口手段4を設けるものである。
【0007】このように構成されたものにおいては、ベルト1上の石炭は、受入部I及び払出部IIを除き、カバーベルト11によって包み込まれて露呈していない。
【0008】
【発明の実施の形態】図1、2は、この発明の実施の1形態を示す図である。図1、2において、1はベルト、2は受入部カバーベルト開口手段、3は受入部カバーベルト閉口手段、4は払出部カバーベルト開口・閉口手段、56はテールプーリ、58はヘッドプーリ、61はトラフ形キャリアーローラ、62はリターンローラ、Iは受入部、IIは払出部である。
【0009】ベルト1には、その短辺方向両端にベルト1上の石炭を包み込む、カバーベルト11が設けられている(図3、4参照)。
【0010】受入部カバーベルト開口手段2は、図5、6に示すように、受入部Iにおいて、ベルト1上に石炭を供給するために、ベルト1上に石炭がなくて閉じているカバーベルト11を開くもので、コンベヤフレーム51に一定の間隔をもって立設された一対の門型の支持部材21と、支持部材21の間に架設された連絡部材22と、連絡部材22から一定の間隔をもって吊設された、閉口したカバーベルト11を順次、押し開いて開口する2個の開口部材23、24とから構成されている。受入部カバーベルト開口手段2は、この装置の一端部(右端)の上部に配置されている(図1、2参照)。
【0011】開口部材23には、その下端にはベルト1の底面21に接触して、これを押し下げる水平ローラ23Bが装着され、その中間部には逆コ字状のローラ支持部材23Aが固定されている。ローラ支持部材23Bの両端にはカバーベルト11の内面と接触する垂直ローラ23Cが装着されている。
【0012】開口部材24には、その下端にはベルト1の底面12に接触して、これを押し下げる水平ローラ24Bが装着され、その中間部には逆コ字状のローラ支持部材24Aが固定されている。ローラ支持部材24Aの両端にはカバーベルト11の内面と接触する垂直ローラ24Cが装着されている。
【0013】水平ローラ24Bの位置は、水平ローラ23Bより低く設定され、ローラ支持部材24Aの間隔は、ローラ支持部材23Aより広く設定され、垂直ローラ24Cの長さは、垂直ローラ23Cより大きく設定されている。閉口したカバーベルト11は、開口部材23、24により順次、押し開らかれて開口する。カバーベルト11は、開口部材24により90°に立っており、完全に開口している(図4参照)。なお、トラフ形キャリアーローラ61は、その角度が35°に設定されている。
【0014】受入部カバーベルト閉口手段3は、図7、8に示すように、ベルト上に石炭が供給されて開いているカバーベルト11を閉じるもので、コンベヤフレーム51に一定の間隔をもって立設された一対の門型の支持部材31と、支持部材31の間に架設された連絡部材32と、連絡部材32から一定の間隔をもって吊設された、開口したカバーベルト11を順次、閉口する閉口部材33、34、35とから構成されている。受入部が、ベルト閉口手段3は、この装置の一端部(右端)の上部に配置されている(図1、2参照)。
【0015】閉口部材33は、開口部材24とともに開口したカバーベルト11の状態を維持するもので、その下端部には逆コ字状のローラ支持部材33Aが固定され、ローラ支持部材33Aの両端には垂直ローラ33Bが装着されている。
【0016】閉口部材34は、カバーベルト11の外面と接触するもので、その下端部には逆コ字状のローラ支持部材34Aが固定され、ローラ支持部材34Aの両端には水平ローラ34Bが装着されている。
【0017】閉口部材35は、カバーベルト11の外面と接触するもので、その下端部には逆コ字状のローラ支持部材35Aが固定され、ローラ支持部材35Aの両端には水平ローラ35Bが装着されている。
【0018】水平ローラ35Bの位置は、水平ローラ34Bより低く設定され、水平ローラ35Bの間隔は、水平ローラ34Bより狭く設定されている。
【0019】払出部カバーベルト開口・閉口手段4は、図9、10に示すように、天地が逆転したカバーベルト11を開いて石炭を落下させるもので、コンベヤフレーム51を支持するポスト52の間に架設されたビーム53と、コンベヤフレーム51に吊設された一対の門型の支持部材41と、支持部材41の間に架設された連絡部材42と、ビーム53に設けられた水平部材54に立設された、閉口したカバーベルト11を順次、開口する開口部材43と、コンベヤフレーム51に吊設された閉口したカバーベルト11を順次、開口する一対の開口部材44と、連絡部材42から一定の間隔をもって立設された、開口したカバーベルト11を順次、閉口する2個の閉口部材45、46とから構成されている。払出部カバーベルト開口・閉口手段4は、この装置の他端部(左端)の下部に配置されている(図1参照)。
【0020】開口部材43は、天地が逆転したカバーベルト11の外面と接触するもので、その上端には逆コ字状のローラ支持部材43Aが固定され、ローラ支持部材43Aの両端には水平ローラ43Bが装着されている。
【0021】開口部材44は、天地が逆転したカバーベルト11の内面と接触するもので、その先端に固定されたローラ支持部材44Aに垂直ローラ44Bが装着されている。
【0022】閉口部材45は、石炭が落下した後の天地が逆転したカバーベルト11の外面と接触するもので、その上端にはコ字状のローラ支持部材45Aが固定され、ローラ支持部材45Aの両端には水平ローラ45Bが装着されている。
【0023】閉口部材46は、石炭が落下した後の天地が逆転したカバーベルト11の外面と接触するもので、その上端にはコ字状のローラ支持部材46Aが固定され、ローラ支持部材46Aの両端には水平ローラ46Bが装着されている。
【0024】水平ローラ43B、水平ローラ45B、水平ローラ46Bの位置は、順次高く設定され、かつ、水平ローラ45Bの間隔は、水平ローラ46Bより広く設定されている。
【0025】図1、2に示すように、この装置の一端(右端)にはブランマブロック55を介してテールプーリ56が、この装置の他端(左端)にはブランマブロック57を介してヘッドプーリ58が、固定されている。ブランマブロック57の一方には、ベルト1の速度を調整するスプロケットチェーン59を介してベルト1を駆動するギヤモータ60が接続されている。コンベヤフレーム51の上部にはトラフ型キャリアーローラ61が、コンベヤフレーム51の下部にはリターンローラ62が、複数、装着されている。この装置の中央部の下部にはテークアップ装置63が配置されている。
【0026】ベルト1は、テールプーリ56及びヘッドプーリ58に掛けられ、テークアップ装置63を通ってトラフ型キャリアーローラ61及びリターンローラ62に置かれ、受入部カバーベルト開口手段2、受入部カバーベルト閉口手段3及び払出部カバーベルト開口・閉口手段4と接している。ギヤモータ60を作動すると、ベルト1は、受入部カバーベルト開口手段2から受入部カバーベルト閉口手段3、払出部カバーベルト開口・閉口手段4と移動する。
【0027】石炭は、受入部Iからカバーベルト11が完全に開口しているベルト1の底面12に供給され、その後、カバーベルト11が閉じた状態で運搬され、払出部IIにおいてカバーベルト11が開いて、落下する。したがって、粉塵及び漏炭は、発生しない。
【0028】以上は、石炭火力発電所で石炭を運搬する場合を説明してきたが、石炭火力発電所以外で、また石炭以外を運搬する場合にも、この装置を使用できることは、いうまでもない。
【0029】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明は、ベルトの短辺方向両端にベルト上の石炭を包み込む、上下方向に開閉自在のカバーベルトを設けるとともに、受入部の前方にベルト上の閉口したカバーベルトを開口する受入部カバーベルト開口手段を設け、受入部の後方にベルト上に石炭を供給した後、開口したカバーベルトを閉口する受入部カバーベルト閉口手段を設け、かつ、払出部にベルト上の石炭を包み込んで閉口したカバーベルトを開口し、石炭を落下させた後、開口したカバーベルトを閉口する払出部カバーベルト開口・閉口手段を設けたものである。それゆえ、ベルト上の石炭は、受入部及び払出部を除き、カバーベルトによって包み込まれて露呈していない。したがって、この発明によれば、粉塵及び漏炭の発生は防止されるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の1形態を示す正面図である。
【図2】この発明の実施の1形態を示す平面図である。
【図3】図1のA−A矢視図である。
【図4】図1のB−B矢視図である。
【図5】この発明を構成する受入部カバーベルト開口手段を示す図で、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図6】この発明を構成する受入部カバーベルト開口手段の要部の斜視図である。
【図7】この発明を構成する受入部カバーベルト閉口手段を示す図で、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図8】この発明を構成する受入部カバーベルト閉口手段の要部の斜視図である。
【図9】この発明を構成する払出部カバーベルト開口・閉口手段を示す図で、(A)は正面図、(B)は底面図である。
【図10】この発明を構成する払出部カバーベルト開口・閉口手段の要部の斜視図である。
【図11】従来技術を示す図である。
【符号の説明】
1 ベルト
2 受入部カバーベルト開口手段
3 受入部カバーベルト閉口手段
4 払出部カバーベルト開口・閉口手段
11 カバーベルト
56 テールプーリ
58 ヘッドプーリ
61 トラフ形キャリアーローラ
62 リターンローラ
I 受入部
II 払出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ベルトの短辺方向両端にベルト上の石炭を包み込む、上下方向に開閉自在のカバーベルトを設けるとともに、受入部の前方にベルト上の閉口したカバーベルトを開口する受入部カバーベルト開口手段を設け、受入部の後方にベルト上に石炭を供給した後、開口したカバーベルトを閉口する受入部カバーベルト閉口手段を設け、かつ、払出部にベルト上の石炭を包み込んで閉口したカバーベルトを開口し、石炭を落下させた後、開口したカバーベルトを閉口する払出部カバーベルト開口・閉口手段を設けた包み込み型ベルトコンベヤ
【請求項2】 受入部カバーベルト開口手段は、コンベヤフレームに一定の間隔をもって立設された一対の門型の支持部材と、該支持部材の間に架設された連絡部材と、該連絡部材から一定の間隔をもって吊設された、閉口したカバーベルトを順次、押し開いて開口する2個の開口部材とから構成されている請求項1の包み込み型ベルトコンベヤ
【請求項3】 一方の開口部材は、その下端に装着された、ベルトの底面に接触する水平ローラと、その中間部に固定された逆コ字状のローラ支持部材の両端に装着された、カバーベルトの内面と接触する垂直ローラとから構成されているとともに、他方の開口部材は、その下端に装着された、ベルトの底面に接触する水平ローラと、その中間部に固定された逆コ字状のローラ支持部材の両端に装着された、カバーベルトの内面と接触する垂直ローラとから構成され、他方の開口部材の水平ローラの位置は、一方の開口部材の水平ローラより低く設定され、他方の開口部材のローラ支持部材の間隔は、一方の開口部材のローラ支持部材より広く設定され、他方の開口部材の垂直ローラの長さは、一方の開口部材の垂直ローラより大きく設定されている請求項2の包み込み型ベルトコンベヤ
【請求項4】 受入部カバーベルト閉口手段は、コンベヤフレームに一定の間隔をもって立設された一対の門型の支持部材と、該支持部材の間に架設された連絡部材と、該連絡部材から一定の間隔をもって吊設された、開口したカバーベルトを順次、閉口する3個の閉口部材とから構成されている請求項1乃至請求項3の包み込み型ベルトコンベヤ
【請求項5】 先端の閉口部材は、その下端部に固定された逆コ字状のローラ支持部材の両端に装着された、開口したカバーベルトの状態を維持する垂直ローラから構成され、中間の閉口部材は、その下端部に固定された逆コ字状のローラ支持部材の両端に装着された、カバーベルトの外面と接触する水平ローラから構成され、後端の閉口部材は、その下端部に固定された逆コ字状のローラ支持部材の両端に装着された、カバーベルトの外面と接触する水平ローラから構成され、後端の閉口部材の水平ローラの位置は、中間の閉口部材の水平ローラより低く設定され、後端の閉口部材の水平ローラの間隔は、中間の閉口部材の水平ローラより狭く設定されている請求項4の包み込み型ベルトコンベヤ
【請求項6】 払出部カバーベルト開口・閉口手段は、コンベヤフレームを支持するポストの間に架設されたビームと、前記コンベヤフレームに吊設された一対の門型の支持部材と、該支持部材の間に架設された連絡部材と、前記ビームに設けられた水平部材に立設された、閉口したカバーベルトを順次、開口する開口部材と、前記コンベヤフレームに吊設された、閉口したカバーベルトを順次、開口する一対の開口部材と、前記連絡部材から一定の間隔をもって立設された、開口したカバーベルト11を順次、閉口する2個の閉口部材とから構成されている請求項1乃至請求項5の包み込み型ベルトコンベヤ
【請求項7】 一方の開口部材は、その上端に固定された逆コ字状のローラ支持部材の両端に装着された、天地が逆転したカバーベルトの外面と接触する水平ローラから構成され、他方の一対の開口部材は、その先端に固定されたローラ支持部材に装着された、天地が逆転したカバーベルトの内面と接触する垂直ローラから構成され、一方の閉口部材は、その上端に固定されたコ字状のローラ支持部材の両端に装着された、石炭が落下した後の天地が逆転したカバーベルトの外面と接触する水平ローラから構成され、他方の閉口部材は、その上端に固定されたコ字状のローラ支持部材の両端に装着された、石炭が落下した後の天地が逆転したカバーベルトの外面と接触する水平ローラから構成され、一方の開口部材の水平ローラ、一方の閉口部材の水平ローラ、他方の閉口部材の水平ローラの位置は、順次高く設定され、かつ、一方の閉口部材の水平ローラの間隔は、他方の閉口部材の水平ローラより広く設定されている請求項6の包み込み型ベルトコンベヤ

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図11】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開平9−169413
【公開日】平成9年(1997)6月30日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−349515
【出願日】平成7年(1995)12月22日
【出願人】(591195031)開発電気株式会社 (8)