包装体製造方法
【課題】包装体において、包装フィルムが皺になることを抑制することである。
【解決手段】胴部と細い外形の注出部とを有する容器本体について、その外周面全体を熱収縮性フィルムで包装するために、胴部から注出部にかけて容器本体の外形に沿った内径側形状と熱収縮性フィルムを追従させて収縮させるための外径側形状とを有するジグが用いられる。熱収縮性フィルムを容器本体の外周面全体を包むように筒状に配置し(S10)、熱収縮性フィルムの内側においてジグの内径側形状を容器本体の外形に沿って宛がって配置し(S12)、その状態で熱収縮性フィルムを加熱し(S14)、ジグが宛がわれた部分についてジグの外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させ、ジグが宛がわれない部分は容器本体の外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させる。
【解決手段】胴部と細い外形の注出部とを有する容器本体について、その外周面全体を熱収縮性フィルムで包装するために、胴部から注出部にかけて容器本体の外形に沿った内径側形状と熱収縮性フィルムを追従させて収縮させるための外径側形状とを有するジグが用いられる。熱収縮性フィルムを容器本体の外周面全体を包むように筒状に配置し(S10)、熱収縮性フィルムの内側においてジグの内径側形状を容器本体の外形に沿って宛がって配置し(S12)、その状態で熱収縮性フィルムを加熱し(S14)、ジグが宛がわれた部分についてジグの外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させ、ジグが宛がわれない部分は容器本体の外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装体製造方法に係り、特に、容器本体と容器本体を包む包装フィルムとを含む包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を収容するケースは、そのままラベルを付して内容物の表示、宣伝等を行うことができる。しかしながら、ケース自体が小さい場合、あるいはケースの形態上、視覚的に効果のあるラベルを付すことが困難な場合、ケースに付すラベルでは宣伝効果等に限界がある。
【0003】
そこで、ケースを袋に入れて、袋そのものを内容物の表示、宣伝等を行うラベルとして用いることが行われる。この場合には、袋を大きくすることで、視覚的に大きな効果を奏するラベルとして用いることができる。このように、容器本体であるケースより大きなラベルを用いることが行われる。
【0004】
特許文献1には、容器本体に筒状のラベルが装着されたラベル付き容器として、例えば、シート体の両側縁部を重ね合わせて縦方向に熱接着等によって接合することで、容器本体の胴部の外周面全体を包囲可能な筒状となるラベルが述べられている。このラベルは、容器本体の胴部に感熱接着剤等の装着手段によって装着可能な装着部と、装着部の上方に容器の注出部を越えるまで延出された筒状の被覆部と、被覆部を構成するシート体の上方端部が重ねられ熱接着等で接合された接合部とを含み、開封手段として、容器本体の胴部と段部との境界部分の僅かに注出部寄りにミシン目が設けられることが述べられている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−348998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、袋に代えてシート状のラベルを、容器本体の胴部に巻きつけ感熱接着剤等を用いて接着する方法がとられている。この方法によれば、少ない包装材料で大きな宣伝面積を得ることができる。また、感熱接着剤の他に、いわゆるシュリンクラベルを用い、ラベルの装着部の部分のみを熱収縮させて容器本体に密着させることが述べられている。このように、熱収縮性フィルムを容器本体の一部に密着させる方法によって、少ない包装材料で大きな宣伝面積を得ることができる。
【0007】
しかし、熱収縮性フィルムを容器本体の一部に密着させると、加熱されて容器本体に密着装着された部分と、非加熱部分との境界に、熱収縮率の差があるために、皺が生じやすい。これをさけるため、ラベル装着部分の下部のみに熱を当てるようにしても、その余熱等でやはり皺が発生することがある。このように皺が発生することは、包装体の外観上好ましくない。
【0008】
本発明の目的は、容器本体を包む包装フィルムが皺になることを抑制し、仕上がりの美麗な包装体を製造する包装体製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る包装体製造方法は、胴部とその上部であって胴部の最大外周径より細い外形の注出部とを有する容器本体について、その外周面全体を熱収縮性フィルムで包装する包装体製造方法であって、胴部から注出部にかけて容器本体の外形に沿った内径側形状と熱収縮性フィルムを追従させて収縮させるための外径側形状とを有するジグを準備し、熱収縮性フィルムを本体の外周面全体を包むように筒状に配置しながら、熱収縮性フィルムの内側においてジグの内径側形状を容器本体の外形に沿って宛がうジグ配置工程と、容器本体の外形に沿ってジグが宛がわれた状態で熱収縮性フィルムを加熱し、ジグが宛がわれた部分についてジグの外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させ、ジグが宛がわれない部分は容器本体の外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させるジグ付き加熱工程と、ジグを筒状の熱収縮性フィルムから除去するジグ除去工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る包装体製造方法において、ジグ除去工程の後で、熱収縮性フィルムの上端部を封止する工程を含むことが好ましい。
【0011】
本発明に係る包装体製造方法において、ジグ配置工程は、容器本体にジグを宛がったときに、筒状の熱収縮性フィルムの内部側から開口側に向かって外形が大きくなるジグを準備することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
上記構成により、包装体製造方法は、胴部と注出部とを有する容器本体に対応して、胴部から注出部にかけて容器本体の外形に沿った内径側形状と熱収縮性フィルムを追従させて収縮させるための外径側形状とを有するジグを用いる。すなわち、熱収縮性フィルムを本体の外周面全体を包むように筒状に配置しながら、熱収縮性フィルムの内側においてジグの内径側形状を容器本体の外形に沿って宛がう。そして、容器本体の外形に沿ってジグが宛がわれた状態で熱収縮性フィルムを加熱し、ジグが宛がわれた部分についてジグの外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させ、ジグが宛がわれない部分は容器本体の外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させる。その後、ジグを筒状の熱収縮性フィルムから除去する。これにより、ジグが宛がわれたところは、熱収縮性フィルムがジグの外形に追従して収縮するので、容器本体の外形が複雑であっても、その部分にジグを宛がうようにすればよい。例えば、ジグを単純な形状の外形とし、容器外形と連続的に接続するような外形とものとすることで、熱収縮性フィルムの皺の発生を抑制し、包装体の仕上がりを美麗なものとし、消費者に対するアイキャッチ性を高めることができる。
【0013】
また、ジグ付き加熱は、ジグが宛がわれた部分についてジグの外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させる。これにより、容器本体の複雑な形状のために皺が発生することを気にすることなく、ジグ付き容器本体を全面的に加熱して、熱収縮性フィルムを容器本体に密着させることができる。また、ジグの形状により、フィルム上部を所望の形状に成形することもできる。
【0014】
また、包装体製造方法において、ジグ除去工程の後で、熱収縮性フィルムの上端部を封止する工程を含む。このように、熱収縮性フィルムによって、容器本体の外周面全体が包まれるので、注出部を外部から保護し、いわゆるタンパー性を十分に確保できる。
【0015】
また、包装体製造方法において、ジグ配置工程は、容器本体にジグを宛がったときに、筒状の熱収縮性フィルムの内部側から開口側に向かって外形が大きくなるジグを準備する。これによって、熱収縮性フィルムを容器本体及びジグに密着させた後でも、ジグを容易に除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下では、容器本体として、ソースを内容物として収容する容器として説明するが、勿論、内容物は何であってもよい。また、容器本体の胴部の形状として、軸方向に沿って滑らかに変化するものを説明するが、勿論、複雑な外形を有する容器本体であってもよい。
【0017】
図1は、ソースを内容物として収納する容器本体12を熱収縮性フィルム20によって包んだ包装体10の様子を示す図である。図1において、左側の図は正面図で、上部は熱収縮性フィルム20を破断して容器本体12が見えるように示されている。右側の図は、側面図で、熱収縮性フィルムを破断して、容器本体12が見えるように示されている。
【0018】
容器本体12は、注出部14と胴部16と底部18とから構成され、ここでは、ソースを胴部16の内部に収容し、例えば、胴部16を押すことで、注出部14からソースを適量取り出すことができるものである。
【0019】
胴部16及び底部18は、注出部14側に開口部を有するプラスチック容器で、内容物の量に応じて形態が可変できる柔軟材料で構成されるスクィーズ容器である。かかる容器としては、例えば、軟質のポリエチレンテレフタレート、ポリプリピレン等のプラスチック材料を用いて所定の形状に成形したものを用いることができる。
【0020】
注出部14は、胴部16の開口部にネジ機構等で取り付けられ、細い注出口とこれを覆う蓋を有する部品である。かかる注出部14は、硬質のポリエチレンテレフタレート、ポリプリピレン等のプラスチック材料を用いて所定の形状に成形したものを用いることができる。
【0021】
容器本体12の正面に設けられるくぼみ部50は、従来技術であれば、ここに商品名等を大きく表示するラベルを貼り付ける場所である。従来技術においては、ここに、例えば、裏面に粘着材等が設けられたラベルを貼付することができる。図1の構成では、後述するように、フィルムラベル52が容器本体12から脱落せずに残るので、従来技術のようにラベルをくぼみ部50に貼付する必要がない。したがって、くぼみ部50を省略することもできる。
【0022】
もっとも、従来技術においても、くぼみ部を設けないこともできるが、くぼみ部の有無にかかわらず、従来技術では、包装体を開けると、包装体に設けられた表示機能が失われてしまうので、容器本体に何らかの表示をする必要がある。そこで、容器胴体にラベルを貼り、あるいは容器胴体にインクジェット法等を用いて直接印字を行うことが行われる。このためにコストアップが生じている。図1の構成では、容器本体に何らかの表示をする必要がなくなる。
【0023】
熱収縮性フィルム20は、異方性の熱収縮率を有するフィルムで、適当な温度に加熱することで1軸方向に例えば数十%収縮させることができるフィルムである。かかる熱収縮性フィルム20は、ポリエステル系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、塩化ビニル系等の熱可塑性樹脂から選択される1種または2種以上の混合物で構成することができる。これらの間においては、例えば硬質感を求めるときにはポリエチレンテレフタレート(PET)、軟質感を求めるときはオレフィン系、ポリエステル系等のように選択することができる。熱収縮性フィルム20は、単層構造のフィルムでも、複層構造のフィルムでもよい。また、金属蒸着層、発泡樹脂層、不織布等と熱収縮性フィルムとが積層された積層フィルムであってもよい。熱収縮性フィルム20の全体の厚みとしては、好ましくは約20μmから約100μmがよい。
【0024】
熱収縮性フィルム20は、このように、1種の合成樹脂フィルムであって、例えば、Tダイ法、インフレーション法等の公知の方法で製膜し、これを延伸処理することで得ることができる。延伸処理としては、主に、一方向、例えば筒状フィルムとするときはその周方向に、約2倍から約8倍に延伸される。なお、一方向に直交する他方向にも、例えば約1.5倍程度延伸されるものとしてもよい。このようにして製造された熱収縮性フィルム20の熱収縮率の一例を上げると、例えば、90℃の温水中に10秒間、浸漬した場合、一方向に約20%から約80%、他方向に約−3%から約15%の値を得ることができる。なお、ここで熱収縮率とは、[{(一方向(または他方向)の元の長さ)−(一方向(または他方向)の熱収縮密着後の長さ)}/(一方向(または他方向)の元の長さ)]×100%で求められる値である。
【0025】
熱収縮性フィルム20は、実際には、フィルム体を筒状に巻いて両端を適当な接合手段で接合した筒状体を容器本体12の周りに配置し、これを加熱して収縮して用いられる。例えば、容器本体12の胴部16を包む一部と、底部18の周囲が加熱されて熱収縮性フィルム20が容器本体12に密着する。これに対し、注出部14を包む部分については、ジグの外形に沿って加熱が行われるので、その収縮率は胴部等とほぼ同等となる。そこで、ジグを除去した後は、容器本体12の注出部14の外形から熱収縮性フィルム20は離間した状態となる。このように、熱収縮性フィルム20は、加熱収縮により容器本体12の外形に密着している密着部22と、ジグの外形に沿って熱収縮しジグを除去した後は容器本体12の外形から離間している離間部24とを有する。なお、熱収縮性フィルム20は、必ずしも全体が一様に収縮するわけではなく、容器形状とジグの外形によっては、収縮率に差が生じる場合もある。
【0026】
また、離間部24の上端の封止部26は、熱収縮性フィルム20において筒状のままの上端部を合わせて適当な接合手段によって封止される部分である。筒状の熱収縮性フィルム20の下端部側は、密着部22によって容器本体12に密着固定されるので、上端部に封止部26を設けることで、熱収縮性フィルム20は、容器本体12の外周面全体を包む包装袋としての作用をすることになる。これによって、包装体10が形成される。
【0027】
熱収縮性フィルム20に設けられるフィルムラベル52は、熱収縮性フィルム20に印刷等の手段によって表示が行われる部分である。勿論、熱収縮性フィルム20と別体のラベル体を熱収縮性フィルムに貼付するものとしてもよい。フィルムラベル52は、容器本体12に収容される内容物に関する事項等が表示されるもので、また、宣伝広告の内容を表示することもできる。例えば、包装体10に関する商品名、内容物の原材料、その使用例、使用法、賞味期限、製造元等の商品の表示に関する事項が印刷される。上記の例では、商品名「A−0ソース」、その原材料、使用例、製造元がフィルムラベル52に表示されている。フィルムラベル52は、図1に示されるように、容器本体12の底部18に近い胴部16に対応する部位に設けられる。
【0028】
図1において、Sとして示されている位置が、密着部22と離間部24との境界である。このSのところでは、極端な収縮率の差がなく、滑らかな表面形状となっており、皺の発生が抑制されている。
【0029】
図1に示されるように、熱収縮性フィルム20は、Sの位置から下方に、容器本体12の底部18の一部を包んで配置される。開封後の表示効果を活かす意味では、容器本体12の底部18まで熱収縮性フィルム20で覆っておくことが望ましい。この配置は、熱収縮性フィルム20が加熱によって十分に収縮し、容器本体12に密着する形態で行われる。
【0030】
熱収縮性フィルム20に設けられるミシン目28は、密着部22と封止部26によって包装袋の形態となるものを、封止部26の側から引っ張ることで破袋し、容器本体12を露出させるための開封可能部である。ミシン目28は、包装体10の厚み方向に貫通する円形状または線状の貫通穴が断続的に刻設された線である。つまり、貫通穴と非貫通部とが交互に連なって形成された線のことである。ここで、貫通孔の長さは、例えば、約0.5mmから約2mmとすることができる。また、非貫通部の長さは。例えば、約0.5mmから約2.5mmとすることができる。なお、貫通孔の長さとは、貫通孔が円形状の場合にはその直径のことになる。また、開封可能部としては、ミシン目だけに限られず、例えば、ミシン目と切り込みの組み合わせでもよい。また、包装体10の厚み方向に略V字状に切り込んだ刻み部で、いわゆるハーフカット線でもよい。
【0031】
ミシン目28は、加熱前の熱収縮性フィルム筒状体に加工によって予め設けられる。ミシン目28の配置は、基本的には、容器に熱収縮性フィルムが密着しているところにくるように設定される。好ましくは、以下に述べるように破袋によってフィルムラベル52が脱落せずに容器本体12に残るようにすることの他に、封止部26を把持して包装体10をぶら下げたときに、容器本体12の重さによって破断しないように設定されることが好ましい。なお、ミシン目28の孔の大きさ、ピッチも、場合によって考慮される。なお、包装体10の全体の質量としては例えば、約1kg以下のものである。
【0032】
ミシン目28の位置は、熱収縮性フィルム20を破袋したときに、容器本体12にフィルムラベル52の部分が脱落せずに残るように設定される。図1のように、下側に丸みを帯びた外形を有する容器本体12の場合は、例えば、容器本体12の最大外周径の位置よりも離間部24の側寄りで、密着部と離間部との境界であるSの位置よりも密着部22の側寄りの位置に設定されることが好ましい。
【0033】
かかる構成の包装体10の製造方法の1実施例について、図2から図11を用いて詳細に説明する。図2は、包装体10の製造手順を示すフローチャートである。図3から図11は、各手順に対応する構造説明図である。以下では図1と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、以下では、図1の符号を用いて説明する。
【0034】
図2に示されるように、はじめに、容器本体12に加熱収縮前の熱収縮性フィルムが配置される(S10)。この工程は、容器本体12の外形よりも大きい筒状の形状を有し、加熱によって収縮する熱収縮性フィルムを容器本体12の外周面全体を包むように配置することを内容とする。図3には、加熱収縮前の熱収縮性フィルムの筒状体30が容器本体12の周りに配置される様子が示されている。具体的には、容器本体12に筒状体30を被せる。あるいは、加熱収縮前の熱収縮性フィルムのシートを容器本体に巻きつけて筒状としてもよい。
【0035】
次に、熱収縮性フィルムを収縮させるための加熱が行われるが、ここでは、特別なジグが用いられる。すなわち、加熱工程に先立って、ジグ配置(S12)が行われる。そして、このジグを用いてジグ付き加熱(S14)が行われ、加熱工程が終わった後にジグ除去(S22)が行われる。
【0036】
ジグは、複雑な外形形状を有する容器本体12であっても、外形形状の変化の大きいところ、あるいは、熱収縮性フィルムの収縮率が変化するところ等で、熱収縮性フィルムが皺になることを抑制するために用いられる。このようなジグとしては、容器本体12において外形形状が大きく変化する胴部16から注出部14にかけて、容器本体12の外形に沿った内径側形状と、熱収縮性フィルムを追従させて収縮させるための外径側形状とを有するものを用いることができる。
【0037】
ジグの外形側形状としては、容器本体12の外形の変化を緩和するような変化の緩やかな形状、例えば、単純な直線形状、適当な曲率半径を有する円弧形状等で構成されるものとすることが好ましい。また、立体的形状とするときは、軸対称回転体とすることが好ましい。また、ジグの端部の外形形状は、その部分が接触する容器本体12の外形形状と連続的に接続するような形状とすることがよい。このようにすることで、ジグの端部における熱収縮性フィルムの皺の発生を効果的に抑制することができる。
【0038】
ジグ配置(S12)の工程は、このようなジグを準備し、筒状の熱収縮性フィルムの内側においてジグの内径側形状を容器本体12の外形に沿って宛がうことを内容とする。もっとも、熱収縮性フィルムの配置(S10)と、ジグ配置(S12)とは、その順序を逆にしてもよい。順序をどのようにするとしても、この2つの工程によって、容器本体12において外形形状が大きく変化する胴部から注出部にかけて容器本体の外形に沿った内径側形状と熱収縮性フィルムを追従させて収縮させるための外径側形状とを有するジグを準備し、容器本体の外形よりも大きい筒状の形状を有する熱収縮性フィルムを本体の外周面全体を包むように配置しながら、熱収縮性フィルムの内側においてジグの内径側形状を容器本体の外形に沿って宛がうことが行われる。
【0039】
図4には、ジグ60が容器本体12に宛がわれた様子が示され、図5にはジグ60の斜視図が示されている。ジグ60は、容器本体12がやや扁平の楕円断面形状であり、注入部14がほぼ円筒状であることに対応し、この容器本体12の外形に沿った内側形状62を有する。なお、図5の例では、ジグ60の外径側形状68が楕円断面で、内部の貫通穴の底部が容器本体12に対応した楕円穴64となり、内部貫通穴の上部が注出部14に対応した円形穴66となっている。ジグ60の高さは、図4に示すように、ジグ60の上端部が、筒状の熱収縮性フィルム30の開口部の上に来るような高さとすることがよい。このようにすることで、ジグ60の除去が容易になる。勿論、場合によっては、熱収縮性フィルム30からの除去性を考慮したジグの形状として、ジグの高さを筒状の熱収縮性フィルムの内部に納まる高さとしてもよい。
【0040】
ジグ60の内径側形状62は、容器本体12の外形であって、熱収縮性フィルムが容器本体と密着する密着部と容器本体から離間する離間部との境界である位置Sの付近から、注出部14に向かう部分の外形に対応する形状である。外径側形状68は、特に、密着部と離間部との境界である位置S付近における容器本体12の外形から連続的に接続し、単純な直線的形状、あるいは曲率半径の大きな円弧形状とすることが好ましい。
【0041】
ここで連続的とは、文字通り滑らかに接続された形状でなくても、結果的に熱収縮性フィルムの皺につながらない程度の不連続があってもよい。例えば、約0.1mmから約1mm程度の段差の不連続があってもよい。
【0042】
また、連続的でなくても、結果的に熱収縮性フィルムの皺が目立たない位置における形状の食い違いがあってもよい。例えば、図1のような容器本体の形状ではなく、容器本体12が円筒状の胴部を有し、水平方向の肩部を介して急に細い首部となる形状の場合、水平方向における形状の食い違いは皺として目視しにくい場合がある。このような形状の場合には、円筒状の胴部の直径より若干小さめ、あるいは若干大きめの直径を有する外形形状をジグ60の外径側形状とすることができる。このときの直径の食い違いは、例えば約1mm程度でもよい場合がある。
【0043】
かかるジグ60としては、耐熱性のある材料を所定の形状に加工したものを用いることができる。例えば、プラスチック材料で成形したもの、金属板を加工したもの等を用いることができる。
【0044】
換言すれば、この内径側形状62を容器本体12に宛がうと、密着部と離間部との境界である位置Sの上部については、ジグ60の外径側形状68が容器本体12の外形に付加され、全体として容器本体12の長手方向に連続した形状となって、筒状の熱収縮性フィルムの内部に配置される。
【0045】
ここで、ジグ60の外径側形状としては、熱収縮性フィルムを収縮させた後に、ジグ60が除去しやすいように、もう1つの条件を付すことが好ましい。すなわち、容器本体12にジグ60を宛がったときに、筒状の熱収縮性フィルムの内部側から開口側に向かって外径側形状が大きくなることが好ましい。
【0046】
なお、ジグの形状は、容器本体の形状、包装体の外形形状によって、様々な選択が可能である。例えば、図6は、容器本体が円筒形で、包装体もほぼ円筒形とする場合に用いられるジグ61の様子を示す。このジグ61は、外径側形状69が円筒形で、内部の貫通穴の底部が容器本体12に対応した円形穴65となり、内部貫通穴の上部が注出部14に対応した円形穴67となっている。図7は、包装体を扁平形にしたい場合に用いることができるジグ70の例で、平板を加工したものである。ここでは、容器本体12の外形に沿った内径側形状72と、特に密着部22と離間部24との境界である位置S付近で容器本体12の外形と連続的に接続する外径側形状74とを有する。
【0047】
これらのジグは、例えば、プラスチック材料で成形したもの、金属板を加工したもの等を用いることができる。なお、平板状のジグ70の場合には、剛性のある紙板を加工したもの、プラスチック板を加工したものを用いることもできる。図5、図6、図7は例示であって、これ以外に、T字形状のジグ、逆三角形の形状のジグ等であってもよい。また、ジグが軸心方向に移動可能で、ジグ自体が収縮可能な構成となっているものでもよい。
【0048】
再び図2に戻り、筒状の熱収縮性フィルムの内部において、容器本体12に対しジグ60が宛がわれると、次にジグ付き加熱(S14)が行われる。ジグ付き加熱は、例えば、筒状の熱収縮性フィルムの外側から、筒状の軸方向に沿って熱風を当てる等のように、一度の工程で行うこともできるが、好ましくはいくつかの工程に分けて丁寧に行うことがよい。これによって、容器本体12に対する熱収縮性フィルムの密着性を向上でき、また、ゆがみ、変形、皺等の外観上の欠陥の発生を減少させることができる。以下では、図2に従って、ジグ付き加熱を底部加熱(S16)、胴部加熱(S18)、ジグ上部加熱(S20)の3つに分ける場合について説明する。
【0049】
最初に、底部加熱が行われる(S16)。この工程は、容器本体12の胴部16から底部18にかけて、特に底部18の一部を部分的に加熱することを内容とする。具体的には、図8に示されるように、容器本体12の底部18の部分に対応する部分Aが加熱される。これによって、その部分の熱収縮性フィルムが収縮し、容器本体12の底部18の一部に密着した部分34を有する熱収縮性フィルム32が形成される。部分加熱は、所定の部分を局部的に加熱できる熱風吹出装置等を用いることができる。なお、底部部分加熱においては、ジグ60は実質的な役割を行っていない。したがって、場合によっては、底部部分加熱の後でジグ60を挿入して容器本体12に宛がうものとしてもよい。
【0050】
次に、胴部加熱(S18)が行われる。この工程は、ジグ60を用いながら、主に、容器本体12の胴部16の部分の熱収縮性フィルムを加熱することを内容とする。容器本体12にはジグ60が宛がわれているので、熱収縮性フィルムを加熱すると、ジグ60が宛がわれない部分は容器本体12の外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させることになり、ジグ60が宛がわれた部分についてはジグ60の外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させることになる。そして、ジグ60の外径側形状は、容器本体12の外形形状と連続するように形成されているので、ジグ60によって、容器本体12の複雑な形状の影響がジグ60の外径側形状に現れない。したがって、仮に、この工程において熱収縮性フィルムの加熱が胴部16から注出部14にかけて行われたとしても、場所的な収縮率の相違等による皺の発生が抑制される。
【0051】
胴部部分加熱において、具体的には、図9に示されるように、容器本体12の胴部16の部分に対応する領域Bを中心に加熱される。胴部16は、底部18と注出部14の間の広い部分であるが、加熱される部分は、容器本体12の最大外周径の位置を中心として、底部よりも上部でミシン目の位置を含む領域Bと、ジグ60の下端部が容器本体12の外形と連続してつながる接続部分Cの付近までとすることがよい。
【0052】
次にジグ上部加熱(S20)が行われる。ここでは、ジグ60に沿って、注出部14に対応する位置を越えて加熱が行われる。熱収縮性フィルムは、ジグ60の外形に沿って収縮するので、複雑な注出部14の形状に注意を払う必要もなく、また、この加熱によって皺が発生することもない。具体的には、図10に示されるように、熱収縮性フィルムについて、ミシン目28の位置を越えて、ジグ60に掛かる部分が加熱される。胴部加熱工程において、接続部分Cの付近までは既に加熱収縮されているので、ここでは、接続部分C付近からジグ60の上部における部分が加熱される。これによって、ジグ60の上部において、熱収縮性フィルム36がジグ60の外径側形状に沿って滑らかにきれいに追従して収縮する。
【0053】
このように、胴部加熱工程(S18)と、ジグ上部加熱工程(S20)は、加熱する領域が隣接し、重複するので、この2つの工程を1つの工程として処理することができる。胴部加熱工程は、比較的広い帯状の領域Bと接続部分Cの付近に絞って加熱することを内容とするが、ジグ上部加熱工程も連続して行うこととすれば接続部分Cがどこであるかを気にすることなく工程を進めることができる。
【0054】
胴部加熱とジグ上部加熱を1つの工程で行うときには、加熱装置として、例えば、容器本体12の胴部16の所定の範囲を帯状に加熱できる赤外ヒータ装置等を用いることができる。
【0055】
このようにして、ジグ60が宛がわれた容器本体12に対し、底部18の一部から上方、つまり注出部14に向かって、最大外周径の位置、ミシン目の位置を経て、接続部分付近まで、熱収縮性フィルムが順次加熱される。これによって、容器本体12において、底部18の一部から接続部分付近まで、熱収縮性フィルムが密着して配置されて、密着部が形成される。
【0056】
そして、ジグ60を容器本体12の外形に宛がって、熱収縮性フィルムを加熱するときは、熱収縮性フィルムは、ジグ60の外径側形状によって収縮が規制される。ジグ60の外径側形状64は、容器本体12の外形形状と連続的な形状であるので、熱収縮性フィルムは接続部分付近においても、底部18から注出部14に向かって連続的な外形形状に沿って収縮し、収縮率の急激な変化がない。したがって、接続部分付近を含め、全体として皺の発生が抑制される。
【0057】
なお、S16,S18,S20の工程において、熱収縮性フィルム上で加熱される領域は相互に重複するように設定されることが好ましい。また、上記で説明したように、S10とS12との間、S12とS16の間において、これらの工程順序は、場合によっては適当に変更することができる。
【0058】
再び図2に戻り、次に、ジグ除去が行われる(S22)。図10においてジグ60の除去は、熱収縮性フィルムの上部が筒状に開いているので、その開口部からジグ60を取り出すことで行うことができる。上記のように、ジグ60の除去を容易にするために、図5で説明したジグ60の外径側形状68は、容器本体12の注出部14に向かって若干先太りの形状とすることが好ましい。ジグ60の除去は、加熱処理が終了して、その余熱が熱収縮性フィルムを収縮させない程度に低くなってから行うことが好ましい。例えば、加熱処理の終了後、数秒置いてからジグ60を除去するものとできる。
【0059】
次に、図2に示されるように、上端部封止が行われる(S24)。具体的には、熱収縮性フィルム20において筒状のままの上端部を合わせて適当な接合手段によって封止が行われる。例えば、この部分に予め感熱性接着剤を塗布しておき、または、フィルムを積層構造として最内層にヒートシール性の良好な層を用い、適当な加熱シール装置を用いて熱圧着によって接着を行って封止することができる。図11には、封止部26における熱圧着の様子が白抜き矢印で示されている。このようにして、包装体10が形成される。
【0060】
ここで、図4から図10で説明したようにジグ60を用いることで、特に、密着部と離間部との境界の位置Sの付近の部分Dにおいて、熱収縮性フィルム20に皺の発生が抑制されることが、この構成の特徴である。図11には、図4から図10で説明したジグ60を用いない場合について、部分Eとして、熱収縮性フィルムに皺が発生する様子を比較のため示されている。ここで示されているように、熱収縮性フィルムを用いて、部分的に収縮させて容器本体12に密着固定させると、収縮部と非収縮部との境界付近に収縮ムラが発生し、それが皺となって現れる。これに対しジグ60を用いれば、周方向においてフィルムが、容器本体12と容器本体12に連続的に接続されたジグ60とに良好に均一に収縮するので、収縮ムラのない美麗な外観となる。
【0061】
図12は、包装体10をミシン目28において破袋するときの様子を示す図である。以下では、図1から図11と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、以下では図1から図11の符号を用いて説明する。図12において、例えば、包装体10の下部を片手で持ち、熱収縮性フィルム20の封止部26等を引っ張ることで、熱収縮性フィルム20はミシン目28から破袋し、2つの部分46,48に分かれる。1つの部分48は、容器本体12から分離し、例えば破棄される。もう1つの部分46は、容器本体12の胴部16の下部にそのまま密着して脱落せずに残る。したがって、破袋の後も、フィルムラベル52が容器本体12にそのまま密着して脱落せずに残り、宣伝作用等がそのまま維持される。
【0062】
この場合に、ミシン目28による破袋が容易に行われるように、上端部に切り欠き部を設けることができる。ミシン目28は、容器本体12の上端部から底部に向かう縦方向に垂直な横方向に設けられるので、例えば、上端部からミシン目28の方に向かって軸方向の第2のミシン目を設け、封止部26のところに第2のミシン目を破るための切り欠き部を設けるものとできる。そして、切り欠き部から第2のミシン目に沿って縦方向に切り、横方向のミシン目28に達することで、横方向のミシン目28に沿って容易に破袋することができる。
【0063】
また、フィルムラベル52の部分に対応する内面に適当な接着剤を設けることができる。また、熱収縮性フィルムに全面的に印刷が施されていてもよい。要は、開封後にもユーザが商品を識別でき、あるいは賞味期限の確認ができることができるように、熱収縮性フィルムに適当な印刷を施すことができる。
【0064】
なお、図10で説明したジグ上部加熱工程を行わないようにしてもよい。この場合には、図9の状態でジグを除去するので、容易にジグ60の除去を行うことができる。
【0065】
同様に、図10のジグ上部加熱工程を経た場合でも、注出部側において熱収縮性フィルムは容器本体から離間しているが、密着部と、この離間部との境界で、皺の発生が抑制されている。具体的には、熱収縮性フィルムは、容器本体の外形よりも緩やかで連続的な外形を有し、特に、容器本体に密着している部分から離間する部分に遷移するところで、従来の方法では皺の発生が見られる箇所で、皺の発生が見られなくなる。
【0066】
上記では、ジグが容器本体の最大外周径に連続的に接続するものとして説明した。このような場合、一般的にはジグの最大外形の部分は、容器本体の最大外周径と同じかそれ以上の大きさを有する。しかし、ジグは、容器本体の複雑な外形による皺の発生を抑制するために、ジグが宛がわれた部分についてジグの外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させるものであるので、ジグの外形が容器本体の外形より小さくても構わない。
【0067】
図13に示される包装体80は、円筒状の胴部からなだらかに変化する肩部を経て注出部14に至る形状を有する容器本体82を熱収縮性フィルム84で包むものである。ここでは、胴部よりも小さめの外形のジグ90が用いられ、このジグ90が宛がわれた部分は、ジグ90の外形に沿った形状で熱収縮性フィルムが収縮する。この場合でも、ジグ90の外形、特にその端部形状を容器本体82の外形と連続的に接続するものとすることで、皺の発生を抑制することができる。すなわち、熱収縮性フィルム84が容器本体82と密着する密着部と、ジグ90を外したときに熱収縮性フィルム84が容器本体82と離間する離間部との境界部であるFの近傍において、皺の発生をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る実施の形態において、容器本体を熱収縮性フィルムによって包んだ包装体の様子を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態において、包装体の製造手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る実施の形態において、フィルム配置の手順の様子を示す図である。
【図4】本発明に係る実施の形態において、ジグ配置の様子を示す図である。
【図5】本発明に係る実施の形態におけるジグの斜視図である。
【図6】本発明に係る実施の形態において、ジグの別の形態を示す図である。
【図7】本発明に係る実施の形態において、ジグの他の形態を示す図である。
【図8】本発明に係る実施の形態において、底部加熱の手順の様子を示す図である。
【図9】本発明に係る実施の形態において、胴部加熱と境界部加熱の手順の様子を示す図である。
【図10】本発明に係る実施の形態において、さらにジグに沿って加熱する様子を示す図である。
【図11】本発明に係る実施の形態において、上端部封止の手順の様子を示す図である。
【図12】本発明に係る実施の形態において、包装体をミシン目において破袋するときの様子を示す図である。
【図13】本発明に係る実施の形態において、他の包装体の例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
10,80 包装体、12,82 容器本体、14 注出部、16 胴部、18 底部、20,32,36,84 熱収縮性フィルム、22 密着部、24 離間部、26 封止部、28 ミシン目、30 筒状体、34,37,38,46,48 部分、50 くぼみ部、52 フィルムラベル、60,61,70,90 ジグ、62,63,72 内径側形状、64 楕円穴、65,66,67 円形穴、68,69,74 外径側形状。
【技術分野】
【0001】
本発明は包装体製造方法に係り、特に、容器本体と容器本体を包む包装フィルムとを含む包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を収容するケースは、そのままラベルを付して内容物の表示、宣伝等を行うことができる。しかしながら、ケース自体が小さい場合、あるいはケースの形態上、視覚的に効果のあるラベルを付すことが困難な場合、ケースに付すラベルでは宣伝効果等に限界がある。
【0003】
そこで、ケースを袋に入れて、袋そのものを内容物の表示、宣伝等を行うラベルとして用いることが行われる。この場合には、袋を大きくすることで、視覚的に大きな効果を奏するラベルとして用いることができる。このように、容器本体であるケースより大きなラベルを用いることが行われる。
【0004】
特許文献1には、容器本体に筒状のラベルが装着されたラベル付き容器として、例えば、シート体の両側縁部を重ね合わせて縦方向に熱接着等によって接合することで、容器本体の胴部の外周面全体を包囲可能な筒状となるラベルが述べられている。このラベルは、容器本体の胴部に感熱接着剤等の装着手段によって装着可能な装着部と、装着部の上方に容器の注出部を越えるまで延出された筒状の被覆部と、被覆部を構成するシート体の上方端部が重ねられ熱接着等で接合された接合部とを含み、開封手段として、容器本体の胴部と段部との境界部分の僅かに注出部寄りにミシン目が設けられることが述べられている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−348998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、袋に代えてシート状のラベルを、容器本体の胴部に巻きつけ感熱接着剤等を用いて接着する方法がとられている。この方法によれば、少ない包装材料で大きな宣伝面積を得ることができる。また、感熱接着剤の他に、いわゆるシュリンクラベルを用い、ラベルの装着部の部分のみを熱収縮させて容器本体に密着させることが述べられている。このように、熱収縮性フィルムを容器本体の一部に密着させる方法によって、少ない包装材料で大きな宣伝面積を得ることができる。
【0007】
しかし、熱収縮性フィルムを容器本体の一部に密着させると、加熱されて容器本体に密着装着された部分と、非加熱部分との境界に、熱収縮率の差があるために、皺が生じやすい。これをさけるため、ラベル装着部分の下部のみに熱を当てるようにしても、その余熱等でやはり皺が発生することがある。このように皺が発生することは、包装体の外観上好ましくない。
【0008】
本発明の目的は、容器本体を包む包装フィルムが皺になることを抑制し、仕上がりの美麗な包装体を製造する包装体製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る包装体製造方法は、胴部とその上部であって胴部の最大外周径より細い外形の注出部とを有する容器本体について、その外周面全体を熱収縮性フィルムで包装する包装体製造方法であって、胴部から注出部にかけて容器本体の外形に沿った内径側形状と熱収縮性フィルムを追従させて収縮させるための外径側形状とを有するジグを準備し、熱収縮性フィルムを本体の外周面全体を包むように筒状に配置しながら、熱収縮性フィルムの内側においてジグの内径側形状を容器本体の外形に沿って宛がうジグ配置工程と、容器本体の外形に沿ってジグが宛がわれた状態で熱収縮性フィルムを加熱し、ジグが宛がわれた部分についてジグの外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させ、ジグが宛がわれない部分は容器本体の外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させるジグ付き加熱工程と、ジグを筒状の熱収縮性フィルムから除去するジグ除去工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る包装体製造方法において、ジグ除去工程の後で、熱収縮性フィルムの上端部を封止する工程を含むことが好ましい。
【0011】
本発明に係る包装体製造方法において、ジグ配置工程は、容器本体にジグを宛がったときに、筒状の熱収縮性フィルムの内部側から開口側に向かって外形が大きくなるジグを準備することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
上記構成により、包装体製造方法は、胴部と注出部とを有する容器本体に対応して、胴部から注出部にかけて容器本体の外形に沿った内径側形状と熱収縮性フィルムを追従させて収縮させるための外径側形状とを有するジグを用いる。すなわち、熱収縮性フィルムを本体の外周面全体を包むように筒状に配置しながら、熱収縮性フィルムの内側においてジグの内径側形状を容器本体の外形に沿って宛がう。そして、容器本体の外形に沿ってジグが宛がわれた状態で熱収縮性フィルムを加熱し、ジグが宛がわれた部分についてジグの外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させ、ジグが宛がわれない部分は容器本体の外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させる。その後、ジグを筒状の熱収縮性フィルムから除去する。これにより、ジグが宛がわれたところは、熱収縮性フィルムがジグの外形に追従して収縮するので、容器本体の外形が複雑であっても、その部分にジグを宛がうようにすればよい。例えば、ジグを単純な形状の外形とし、容器外形と連続的に接続するような外形とものとすることで、熱収縮性フィルムの皺の発生を抑制し、包装体の仕上がりを美麗なものとし、消費者に対するアイキャッチ性を高めることができる。
【0013】
また、ジグ付き加熱は、ジグが宛がわれた部分についてジグの外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させる。これにより、容器本体の複雑な形状のために皺が発生することを気にすることなく、ジグ付き容器本体を全面的に加熱して、熱収縮性フィルムを容器本体に密着させることができる。また、ジグの形状により、フィルム上部を所望の形状に成形することもできる。
【0014】
また、包装体製造方法において、ジグ除去工程の後で、熱収縮性フィルムの上端部を封止する工程を含む。このように、熱収縮性フィルムによって、容器本体の外周面全体が包まれるので、注出部を外部から保護し、いわゆるタンパー性を十分に確保できる。
【0015】
また、包装体製造方法において、ジグ配置工程は、容器本体にジグを宛がったときに、筒状の熱収縮性フィルムの内部側から開口側に向かって外形が大きくなるジグを準備する。これによって、熱収縮性フィルムを容器本体及びジグに密着させた後でも、ジグを容易に除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下では、容器本体として、ソースを内容物として収容する容器として説明するが、勿論、内容物は何であってもよい。また、容器本体の胴部の形状として、軸方向に沿って滑らかに変化するものを説明するが、勿論、複雑な外形を有する容器本体であってもよい。
【0017】
図1は、ソースを内容物として収納する容器本体12を熱収縮性フィルム20によって包んだ包装体10の様子を示す図である。図1において、左側の図は正面図で、上部は熱収縮性フィルム20を破断して容器本体12が見えるように示されている。右側の図は、側面図で、熱収縮性フィルムを破断して、容器本体12が見えるように示されている。
【0018】
容器本体12は、注出部14と胴部16と底部18とから構成され、ここでは、ソースを胴部16の内部に収容し、例えば、胴部16を押すことで、注出部14からソースを適量取り出すことができるものである。
【0019】
胴部16及び底部18は、注出部14側に開口部を有するプラスチック容器で、内容物の量に応じて形態が可変できる柔軟材料で構成されるスクィーズ容器である。かかる容器としては、例えば、軟質のポリエチレンテレフタレート、ポリプリピレン等のプラスチック材料を用いて所定の形状に成形したものを用いることができる。
【0020】
注出部14は、胴部16の開口部にネジ機構等で取り付けられ、細い注出口とこれを覆う蓋を有する部品である。かかる注出部14は、硬質のポリエチレンテレフタレート、ポリプリピレン等のプラスチック材料を用いて所定の形状に成形したものを用いることができる。
【0021】
容器本体12の正面に設けられるくぼみ部50は、従来技術であれば、ここに商品名等を大きく表示するラベルを貼り付ける場所である。従来技術においては、ここに、例えば、裏面に粘着材等が設けられたラベルを貼付することができる。図1の構成では、後述するように、フィルムラベル52が容器本体12から脱落せずに残るので、従来技術のようにラベルをくぼみ部50に貼付する必要がない。したがって、くぼみ部50を省略することもできる。
【0022】
もっとも、従来技術においても、くぼみ部を設けないこともできるが、くぼみ部の有無にかかわらず、従来技術では、包装体を開けると、包装体に設けられた表示機能が失われてしまうので、容器本体に何らかの表示をする必要がある。そこで、容器胴体にラベルを貼り、あるいは容器胴体にインクジェット法等を用いて直接印字を行うことが行われる。このためにコストアップが生じている。図1の構成では、容器本体に何らかの表示をする必要がなくなる。
【0023】
熱収縮性フィルム20は、異方性の熱収縮率を有するフィルムで、適当な温度に加熱することで1軸方向に例えば数十%収縮させることができるフィルムである。かかる熱収縮性フィルム20は、ポリエステル系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、塩化ビニル系等の熱可塑性樹脂から選択される1種または2種以上の混合物で構成することができる。これらの間においては、例えば硬質感を求めるときにはポリエチレンテレフタレート(PET)、軟質感を求めるときはオレフィン系、ポリエステル系等のように選択することができる。熱収縮性フィルム20は、単層構造のフィルムでも、複層構造のフィルムでもよい。また、金属蒸着層、発泡樹脂層、不織布等と熱収縮性フィルムとが積層された積層フィルムであってもよい。熱収縮性フィルム20の全体の厚みとしては、好ましくは約20μmから約100μmがよい。
【0024】
熱収縮性フィルム20は、このように、1種の合成樹脂フィルムであって、例えば、Tダイ法、インフレーション法等の公知の方法で製膜し、これを延伸処理することで得ることができる。延伸処理としては、主に、一方向、例えば筒状フィルムとするときはその周方向に、約2倍から約8倍に延伸される。なお、一方向に直交する他方向にも、例えば約1.5倍程度延伸されるものとしてもよい。このようにして製造された熱収縮性フィルム20の熱収縮率の一例を上げると、例えば、90℃の温水中に10秒間、浸漬した場合、一方向に約20%から約80%、他方向に約−3%から約15%の値を得ることができる。なお、ここで熱収縮率とは、[{(一方向(または他方向)の元の長さ)−(一方向(または他方向)の熱収縮密着後の長さ)}/(一方向(または他方向)の元の長さ)]×100%で求められる値である。
【0025】
熱収縮性フィルム20は、実際には、フィルム体を筒状に巻いて両端を適当な接合手段で接合した筒状体を容器本体12の周りに配置し、これを加熱して収縮して用いられる。例えば、容器本体12の胴部16を包む一部と、底部18の周囲が加熱されて熱収縮性フィルム20が容器本体12に密着する。これに対し、注出部14を包む部分については、ジグの外形に沿って加熱が行われるので、その収縮率は胴部等とほぼ同等となる。そこで、ジグを除去した後は、容器本体12の注出部14の外形から熱収縮性フィルム20は離間した状態となる。このように、熱収縮性フィルム20は、加熱収縮により容器本体12の外形に密着している密着部22と、ジグの外形に沿って熱収縮しジグを除去した後は容器本体12の外形から離間している離間部24とを有する。なお、熱収縮性フィルム20は、必ずしも全体が一様に収縮するわけではなく、容器形状とジグの外形によっては、収縮率に差が生じる場合もある。
【0026】
また、離間部24の上端の封止部26は、熱収縮性フィルム20において筒状のままの上端部を合わせて適当な接合手段によって封止される部分である。筒状の熱収縮性フィルム20の下端部側は、密着部22によって容器本体12に密着固定されるので、上端部に封止部26を設けることで、熱収縮性フィルム20は、容器本体12の外周面全体を包む包装袋としての作用をすることになる。これによって、包装体10が形成される。
【0027】
熱収縮性フィルム20に設けられるフィルムラベル52は、熱収縮性フィルム20に印刷等の手段によって表示が行われる部分である。勿論、熱収縮性フィルム20と別体のラベル体を熱収縮性フィルムに貼付するものとしてもよい。フィルムラベル52は、容器本体12に収容される内容物に関する事項等が表示されるもので、また、宣伝広告の内容を表示することもできる。例えば、包装体10に関する商品名、内容物の原材料、その使用例、使用法、賞味期限、製造元等の商品の表示に関する事項が印刷される。上記の例では、商品名「A−0ソース」、その原材料、使用例、製造元がフィルムラベル52に表示されている。フィルムラベル52は、図1に示されるように、容器本体12の底部18に近い胴部16に対応する部位に設けられる。
【0028】
図1において、Sとして示されている位置が、密着部22と離間部24との境界である。このSのところでは、極端な収縮率の差がなく、滑らかな表面形状となっており、皺の発生が抑制されている。
【0029】
図1に示されるように、熱収縮性フィルム20は、Sの位置から下方に、容器本体12の底部18の一部を包んで配置される。開封後の表示効果を活かす意味では、容器本体12の底部18まで熱収縮性フィルム20で覆っておくことが望ましい。この配置は、熱収縮性フィルム20が加熱によって十分に収縮し、容器本体12に密着する形態で行われる。
【0030】
熱収縮性フィルム20に設けられるミシン目28は、密着部22と封止部26によって包装袋の形態となるものを、封止部26の側から引っ張ることで破袋し、容器本体12を露出させるための開封可能部である。ミシン目28は、包装体10の厚み方向に貫通する円形状または線状の貫通穴が断続的に刻設された線である。つまり、貫通穴と非貫通部とが交互に連なって形成された線のことである。ここで、貫通孔の長さは、例えば、約0.5mmから約2mmとすることができる。また、非貫通部の長さは。例えば、約0.5mmから約2.5mmとすることができる。なお、貫通孔の長さとは、貫通孔が円形状の場合にはその直径のことになる。また、開封可能部としては、ミシン目だけに限られず、例えば、ミシン目と切り込みの組み合わせでもよい。また、包装体10の厚み方向に略V字状に切り込んだ刻み部で、いわゆるハーフカット線でもよい。
【0031】
ミシン目28は、加熱前の熱収縮性フィルム筒状体に加工によって予め設けられる。ミシン目28の配置は、基本的には、容器に熱収縮性フィルムが密着しているところにくるように設定される。好ましくは、以下に述べるように破袋によってフィルムラベル52が脱落せずに容器本体12に残るようにすることの他に、封止部26を把持して包装体10をぶら下げたときに、容器本体12の重さによって破断しないように設定されることが好ましい。なお、ミシン目28の孔の大きさ、ピッチも、場合によって考慮される。なお、包装体10の全体の質量としては例えば、約1kg以下のものである。
【0032】
ミシン目28の位置は、熱収縮性フィルム20を破袋したときに、容器本体12にフィルムラベル52の部分が脱落せずに残るように設定される。図1のように、下側に丸みを帯びた外形を有する容器本体12の場合は、例えば、容器本体12の最大外周径の位置よりも離間部24の側寄りで、密着部と離間部との境界であるSの位置よりも密着部22の側寄りの位置に設定されることが好ましい。
【0033】
かかる構成の包装体10の製造方法の1実施例について、図2から図11を用いて詳細に説明する。図2は、包装体10の製造手順を示すフローチャートである。図3から図11は、各手順に対応する構造説明図である。以下では図1と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、以下では、図1の符号を用いて説明する。
【0034】
図2に示されるように、はじめに、容器本体12に加熱収縮前の熱収縮性フィルムが配置される(S10)。この工程は、容器本体12の外形よりも大きい筒状の形状を有し、加熱によって収縮する熱収縮性フィルムを容器本体12の外周面全体を包むように配置することを内容とする。図3には、加熱収縮前の熱収縮性フィルムの筒状体30が容器本体12の周りに配置される様子が示されている。具体的には、容器本体12に筒状体30を被せる。あるいは、加熱収縮前の熱収縮性フィルムのシートを容器本体に巻きつけて筒状としてもよい。
【0035】
次に、熱収縮性フィルムを収縮させるための加熱が行われるが、ここでは、特別なジグが用いられる。すなわち、加熱工程に先立って、ジグ配置(S12)が行われる。そして、このジグを用いてジグ付き加熱(S14)が行われ、加熱工程が終わった後にジグ除去(S22)が行われる。
【0036】
ジグは、複雑な外形形状を有する容器本体12であっても、外形形状の変化の大きいところ、あるいは、熱収縮性フィルムの収縮率が変化するところ等で、熱収縮性フィルムが皺になることを抑制するために用いられる。このようなジグとしては、容器本体12において外形形状が大きく変化する胴部16から注出部14にかけて、容器本体12の外形に沿った内径側形状と、熱収縮性フィルムを追従させて収縮させるための外径側形状とを有するものを用いることができる。
【0037】
ジグの外形側形状としては、容器本体12の外形の変化を緩和するような変化の緩やかな形状、例えば、単純な直線形状、適当な曲率半径を有する円弧形状等で構成されるものとすることが好ましい。また、立体的形状とするときは、軸対称回転体とすることが好ましい。また、ジグの端部の外形形状は、その部分が接触する容器本体12の外形形状と連続的に接続するような形状とすることがよい。このようにすることで、ジグの端部における熱収縮性フィルムの皺の発生を効果的に抑制することができる。
【0038】
ジグ配置(S12)の工程は、このようなジグを準備し、筒状の熱収縮性フィルムの内側においてジグの内径側形状を容器本体12の外形に沿って宛がうことを内容とする。もっとも、熱収縮性フィルムの配置(S10)と、ジグ配置(S12)とは、その順序を逆にしてもよい。順序をどのようにするとしても、この2つの工程によって、容器本体12において外形形状が大きく変化する胴部から注出部にかけて容器本体の外形に沿った内径側形状と熱収縮性フィルムを追従させて収縮させるための外径側形状とを有するジグを準備し、容器本体の外形よりも大きい筒状の形状を有する熱収縮性フィルムを本体の外周面全体を包むように配置しながら、熱収縮性フィルムの内側においてジグの内径側形状を容器本体の外形に沿って宛がうことが行われる。
【0039】
図4には、ジグ60が容器本体12に宛がわれた様子が示され、図5にはジグ60の斜視図が示されている。ジグ60は、容器本体12がやや扁平の楕円断面形状であり、注入部14がほぼ円筒状であることに対応し、この容器本体12の外形に沿った内側形状62を有する。なお、図5の例では、ジグ60の外径側形状68が楕円断面で、内部の貫通穴の底部が容器本体12に対応した楕円穴64となり、内部貫通穴の上部が注出部14に対応した円形穴66となっている。ジグ60の高さは、図4に示すように、ジグ60の上端部が、筒状の熱収縮性フィルム30の開口部の上に来るような高さとすることがよい。このようにすることで、ジグ60の除去が容易になる。勿論、場合によっては、熱収縮性フィルム30からの除去性を考慮したジグの形状として、ジグの高さを筒状の熱収縮性フィルムの内部に納まる高さとしてもよい。
【0040】
ジグ60の内径側形状62は、容器本体12の外形であって、熱収縮性フィルムが容器本体と密着する密着部と容器本体から離間する離間部との境界である位置Sの付近から、注出部14に向かう部分の外形に対応する形状である。外径側形状68は、特に、密着部と離間部との境界である位置S付近における容器本体12の外形から連続的に接続し、単純な直線的形状、あるいは曲率半径の大きな円弧形状とすることが好ましい。
【0041】
ここで連続的とは、文字通り滑らかに接続された形状でなくても、結果的に熱収縮性フィルムの皺につながらない程度の不連続があってもよい。例えば、約0.1mmから約1mm程度の段差の不連続があってもよい。
【0042】
また、連続的でなくても、結果的に熱収縮性フィルムの皺が目立たない位置における形状の食い違いがあってもよい。例えば、図1のような容器本体の形状ではなく、容器本体12が円筒状の胴部を有し、水平方向の肩部を介して急に細い首部となる形状の場合、水平方向における形状の食い違いは皺として目視しにくい場合がある。このような形状の場合には、円筒状の胴部の直径より若干小さめ、あるいは若干大きめの直径を有する外形形状をジグ60の外径側形状とすることができる。このときの直径の食い違いは、例えば約1mm程度でもよい場合がある。
【0043】
かかるジグ60としては、耐熱性のある材料を所定の形状に加工したものを用いることができる。例えば、プラスチック材料で成形したもの、金属板を加工したもの等を用いることができる。
【0044】
換言すれば、この内径側形状62を容器本体12に宛がうと、密着部と離間部との境界である位置Sの上部については、ジグ60の外径側形状68が容器本体12の外形に付加され、全体として容器本体12の長手方向に連続した形状となって、筒状の熱収縮性フィルムの内部に配置される。
【0045】
ここで、ジグ60の外径側形状としては、熱収縮性フィルムを収縮させた後に、ジグ60が除去しやすいように、もう1つの条件を付すことが好ましい。すなわち、容器本体12にジグ60を宛がったときに、筒状の熱収縮性フィルムの内部側から開口側に向かって外径側形状が大きくなることが好ましい。
【0046】
なお、ジグの形状は、容器本体の形状、包装体の外形形状によって、様々な選択が可能である。例えば、図6は、容器本体が円筒形で、包装体もほぼ円筒形とする場合に用いられるジグ61の様子を示す。このジグ61は、外径側形状69が円筒形で、内部の貫通穴の底部が容器本体12に対応した円形穴65となり、内部貫通穴の上部が注出部14に対応した円形穴67となっている。図7は、包装体を扁平形にしたい場合に用いることができるジグ70の例で、平板を加工したものである。ここでは、容器本体12の外形に沿った内径側形状72と、特に密着部22と離間部24との境界である位置S付近で容器本体12の外形と連続的に接続する外径側形状74とを有する。
【0047】
これらのジグは、例えば、プラスチック材料で成形したもの、金属板を加工したもの等を用いることができる。なお、平板状のジグ70の場合には、剛性のある紙板を加工したもの、プラスチック板を加工したものを用いることもできる。図5、図6、図7は例示であって、これ以外に、T字形状のジグ、逆三角形の形状のジグ等であってもよい。また、ジグが軸心方向に移動可能で、ジグ自体が収縮可能な構成となっているものでもよい。
【0048】
再び図2に戻り、筒状の熱収縮性フィルムの内部において、容器本体12に対しジグ60が宛がわれると、次にジグ付き加熱(S14)が行われる。ジグ付き加熱は、例えば、筒状の熱収縮性フィルムの外側から、筒状の軸方向に沿って熱風を当てる等のように、一度の工程で行うこともできるが、好ましくはいくつかの工程に分けて丁寧に行うことがよい。これによって、容器本体12に対する熱収縮性フィルムの密着性を向上でき、また、ゆがみ、変形、皺等の外観上の欠陥の発生を減少させることができる。以下では、図2に従って、ジグ付き加熱を底部加熱(S16)、胴部加熱(S18)、ジグ上部加熱(S20)の3つに分ける場合について説明する。
【0049】
最初に、底部加熱が行われる(S16)。この工程は、容器本体12の胴部16から底部18にかけて、特に底部18の一部を部分的に加熱することを内容とする。具体的には、図8に示されるように、容器本体12の底部18の部分に対応する部分Aが加熱される。これによって、その部分の熱収縮性フィルムが収縮し、容器本体12の底部18の一部に密着した部分34を有する熱収縮性フィルム32が形成される。部分加熱は、所定の部分を局部的に加熱できる熱風吹出装置等を用いることができる。なお、底部部分加熱においては、ジグ60は実質的な役割を行っていない。したがって、場合によっては、底部部分加熱の後でジグ60を挿入して容器本体12に宛がうものとしてもよい。
【0050】
次に、胴部加熱(S18)が行われる。この工程は、ジグ60を用いながら、主に、容器本体12の胴部16の部分の熱収縮性フィルムを加熱することを内容とする。容器本体12にはジグ60が宛がわれているので、熱収縮性フィルムを加熱すると、ジグ60が宛がわれない部分は容器本体12の外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させることになり、ジグ60が宛がわれた部分についてはジグ60の外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させることになる。そして、ジグ60の外径側形状は、容器本体12の外形形状と連続するように形成されているので、ジグ60によって、容器本体12の複雑な形状の影響がジグ60の外径側形状に現れない。したがって、仮に、この工程において熱収縮性フィルムの加熱が胴部16から注出部14にかけて行われたとしても、場所的な収縮率の相違等による皺の発生が抑制される。
【0051】
胴部部分加熱において、具体的には、図9に示されるように、容器本体12の胴部16の部分に対応する領域Bを中心に加熱される。胴部16は、底部18と注出部14の間の広い部分であるが、加熱される部分は、容器本体12の最大外周径の位置を中心として、底部よりも上部でミシン目の位置を含む領域Bと、ジグ60の下端部が容器本体12の外形と連続してつながる接続部分Cの付近までとすることがよい。
【0052】
次にジグ上部加熱(S20)が行われる。ここでは、ジグ60に沿って、注出部14に対応する位置を越えて加熱が行われる。熱収縮性フィルムは、ジグ60の外形に沿って収縮するので、複雑な注出部14の形状に注意を払う必要もなく、また、この加熱によって皺が発生することもない。具体的には、図10に示されるように、熱収縮性フィルムについて、ミシン目28の位置を越えて、ジグ60に掛かる部分が加熱される。胴部加熱工程において、接続部分Cの付近までは既に加熱収縮されているので、ここでは、接続部分C付近からジグ60の上部における部分が加熱される。これによって、ジグ60の上部において、熱収縮性フィルム36がジグ60の外径側形状に沿って滑らかにきれいに追従して収縮する。
【0053】
このように、胴部加熱工程(S18)と、ジグ上部加熱工程(S20)は、加熱する領域が隣接し、重複するので、この2つの工程を1つの工程として処理することができる。胴部加熱工程は、比較的広い帯状の領域Bと接続部分Cの付近に絞って加熱することを内容とするが、ジグ上部加熱工程も連続して行うこととすれば接続部分Cがどこであるかを気にすることなく工程を進めることができる。
【0054】
胴部加熱とジグ上部加熱を1つの工程で行うときには、加熱装置として、例えば、容器本体12の胴部16の所定の範囲を帯状に加熱できる赤外ヒータ装置等を用いることができる。
【0055】
このようにして、ジグ60が宛がわれた容器本体12に対し、底部18の一部から上方、つまり注出部14に向かって、最大外周径の位置、ミシン目の位置を経て、接続部分付近まで、熱収縮性フィルムが順次加熱される。これによって、容器本体12において、底部18の一部から接続部分付近まで、熱収縮性フィルムが密着して配置されて、密着部が形成される。
【0056】
そして、ジグ60を容器本体12の外形に宛がって、熱収縮性フィルムを加熱するときは、熱収縮性フィルムは、ジグ60の外径側形状によって収縮が規制される。ジグ60の外径側形状64は、容器本体12の外形形状と連続的な形状であるので、熱収縮性フィルムは接続部分付近においても、底部18から注出部14に向かって連続的な外形形状に沿って収縮し、収縮率の急激な変化がない。したがって、接続部分付近を含め、全体として皺の発生が抑制される。
【0057】
なお、S16,S18,S20の工程において、熱収縮性フィルム上で加熱される領域は相互に重複するように設定されることが好ましい。また、上記で説明したように、S10とS12との間、S12とS16の間において、これらの工程順序は、場合によっては適当に変更することができる。
【0058】
再び図2に戻り、次に、ジグ除去が行われる(S22)。図10においてジグ60の除去は、熱収縮性フィルムの上部が筒状に開いているので、その開口部からジグ60を取り出すことで行うことができる。上記のように、ジグ60の除去を容易にするために、図5で説明したジグ60の外径側形状68は、容器本体12の注出部14に向かって若干先太りの形状とすることが好ましい。ジグ60の除去は、加熱処理が終了して、その余熱が熱収縮性フィルムを収縮させない程度に低くなってから行うことが好ましい。例えば、加熱処理の終了後、数秒置いてからジグ60を除去するものとできる。
【0059】
次に、図2に示されるように、上端部封止が行われる(S24)。具体的には、熱収縮性フィルム20において筒状のままの上端部を合わせて適当な接合手段によって封止が行われる。例えば、この部分に予め感熱性接着剤を塗布しておき、または、フィルムを積層構造として最内層にヒートシール性の良好な層を用い、適当な加熱シール装置を用いて熱圧着によって接着を行って封止することができる。図11には、封止部26における熱圧着の様子が白抜き矢印で示されている。このようにして、包装体10が形成される。
【0060】
ここで、図4から図10で説明したようにジグ60を用いることで、特に、密着部と離間部との境界の位置Sの付近の部分Dにおいて、熱収縮性フィルム20に皺の発生が抑制されることが、この構成の特徴である。図11には、図4から図10で説明したジグ60を用いない場合について、部分Eとして、熱収縮性フィルムに皺が発生する様子を比較のため示されている。ここで示されているように、熱収縮性フィルムを用いて、部分的に収縮させて容器本体12に密着固定させると、収縮部と非収縮部との境界付近に収縮ムラが発生し、それが皺となって現れる。これに対しジグ60を用いれば、周方向においてフィルムが、容器本体12と容器本体12に連続的に接続されたジグ60とに良好に均一に収縮するので、収縮ムラのない美麗な外観となる。
【0061】
図12は、包装体10をミシン目28において破袋するときの様子を示す図である。以下では、図1から図11と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、以下では図1から図11の符号を用いて説明する。図12において、例えば、包装体10の下部を片手で持ち、熱収縮性フィルム20の封止部26等を引っ張ることで、熱収縮性フィルム20はミシン目28から破袋し、2つの部分46,48に分かれる。1つの部分48は、容器本体12から分離し、例えば破棄される。もう1つの部分46は、容器本体12の胴部16の下部にそのまま密着して脱落せずに残る。したがって、破袋の後も、フィルムラベル52が容器本体12にそのまま密着して脱落せずに残り、宣伝作用等がそのまま維持される。
【0062】
この場合に、ミシン目28による破袋が容易に行われるように、上端部に切り欠き部を設けることができる。ミシン目28は、容器本体12の上端部から底部に向かう縦方向に垂直な横方向に設けられるので、例えば、上端部からミシン目28の方に向かって軸方向の第2のミシン目を設け、封止部26のところに第2のミシン目を破るための切り欠き部を設けるものとできる。そして、切り欠き部から第2のミシン目に沿って縦方向に切り、横方向のミシン目28に達することで、横方向のミシン目28に沿って容易に破袋することができる。
【0063】
また、フィルムラベル52の部分に対応する内面に適当な接着剤を設けることができる。また、熱収縮性フィルムに全面的に印刷が施されていてもよい。要は、開封後にもユーザが商品を識別でき、あるいは賞味期限の確認ができることができるように、熱収縮性フィルムに適当な印刷を施すことができる。
【0064】
なお、図10で説明したジグ上部加熱工程を行わないようにしてもよい。この場合には、図9の状態でジグを除去するので、容易にジグ60の除去を行うことができる。
【0065】
同様に、図10のジグ上部加熱工程を経た場合でも、注出部側において熱収縮性フィルムは容器本体から離間しているが、密着部と、この離間部との境界で、皺の発生が抑制されている。具体的には、熱収縮性フィルムは、容器本体の外形よりも緩やかで連続的な外形を有し、特に、容器本体に密着している部分から離間する部分に遷移するところで、従来の方法では皺の発生が見られる箇所で、皺の発生が見られなくなる。
【0066】
上記では、ジグが容器本体の最大外周径に連続的に接続するものとして説明した。このような場合、一般的にはジグの最大外形の部分は、容器本体の最大外周径と同じかそれ以上の大きさを有する。しかし、ジグは、容器本体の複雑な外形による皺の発生を抑制するために、ジグが宛がわれた部分についてジグの外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させるものであるので、ジグの外形が容器本体の外形より小さくても構わない。
【0067】
図13に示される包装体80は、円筒状の胴部からなだらかに変化する肩部を経て注出部14に至る形状を有する容器本体82を熱収縮性フィルム84で包むものである。ここでは、胴部よりも小さめの外形のジグ90が用いられ、このジグ90が宛がわれた部分は、ジグ90の外形に沿った形状で熱収縮性フィルムが収縮する。この場合でも、ジグ90の外形、特にその端部形状を容器本体82の外形と連続的に接続するものとすることで、皺の発生を抑制することができる。すなわち、熱収縮性フィルム84が容器本体82と密着する密着部と、ジグ90を外したときに熱収縮性フィルム84が容器本体82と離間する離間部との境界部であるFの近傍において、皺の発生をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る実施の形態において、容器本体を熱収縮性フィルムによって包んだ包装体の様子を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態において、包装体の製造手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る実施の形態において、フィルム配置の手順の様子を示す図である。
【図4】本発明に係る実施の形態において、ジグ配置の様子を示す図である。
【図5】本発明に係る実施の形態におけるジグの斜視図である。
【図6】本発明に係る実施の形態において、ジグの別の形態を示す図である。
【図7】本発明に係る実施の形態において、ジグの他の形態を示す図である。
【図8】本発明に係る実施の形態において、底部加熱の手順の様子を示す図である。
【図9】本発明に係る実施の形態において、胴部加熱と境界部加熱の手順の様子を示す図である。
【図10】本発明に係る実施の形態において、さらにジグに沿って加熱する様子を示す図である。
【図11】本発明に係る実施の形態において、上端部封止の手順の様子を示す図である。
【図12】本発明に係る実施の形態において、包装体をミシン目において破袋するときの様子を示す図である。
【図13】本発明に係る実施の形態において、他の包装体の例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
10,80 包装体、12,82 容器本体、14 注出部、16 胴部、18 底部、20,32,36,84 熱収縮性フィルム、22 密着部、24 離間部、26 封止部、28 ミシン目、30 筒状体、34,37,38,46,48 部分、50 くぼみ部、52 フィルムラベル、60,61,70,90 ジグ、62,63,72 内径側形状、64 楕円穴、65,66,67 円形穴、68,69,74 外径側形状。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部とその上部であって胴部の最大外周径より細い外形の注出部とを有する容器本体について、その外周面全体を熱収縮性フィルムで包装する包装体製造方法であって、
胴部から注出部にかけて容器本体の外形に沿った内径側形状と熱収縮性フィルムを追従させて収縮させるための外径側形状とを有するジグを準備し、熱収縮性フィルムを本体の外周面全体を包むように筒状に配置しながら、熱収縮性フィルムの内側においてジグの内径側形状を容器本体の外形に沿って宛がうジグ配置工程と、
容器本体の外形に沿ってジグが宛がわれた状態で熱収縮性フィルムを加熱し、ジグが宛がわれた部分についてジグの外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させ、ジグが宛がわれない部分は容器本体の外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させるジグ付き加熱工程と、
ジグを筒状の熱収縮性フィルムから除去するジグ除去工程と、
を含むことを特徴とする包装体製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の包装体製造方法において、
ジグ除去工程の後で、熱収縮性フィルムの上端部を封止する工程を含むことを特徴とする包装体製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の包装体製造方法において、
ジグ配置工程は、
容器本体にジグを宛がったときに、筒状の熱収縮性フィルムの内部側から開口側に向かって外形が大きくなるジグを準備することを特徴とする包装体製造方法。
【請求項1】
胴部とその上部であって胴部の最大外周径より細い外形の注出部とを有する容器本体について、その外周面全体を熱収縮性フィルムで包装する包装体製造方法であって、
胴部から注出部にかけて容器本体の外形に沿った内径側形状と熱収縮性フィルムを追従させて収縮させるための外径側形状とを有するジグを準備し、熱収縮性フィルムを本体の外周面全体を包むように筒状に配置しながら、熱収縮性フィルムの内側においてジグの内径側形状を容器本体の外形に沿って宛がうジグ配置工程と、
容器本体の外形に沿ってジグが宛がわれた状態で熱収縮性フィルムを加熱し、ジグが宛がわれた部分についてジグの外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させ、ジグが宛がわれない部分は容器本体の外形に沿った形状で熱収縮性フィルムを収縮させるジグ付き加熱工程と、
ジグを筒状の熱収縮性フィルムから除去するジグ除去工程と、
を含むことを特徴とする包装体製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の包装体製造方法において、
ジグ除去工程の後で、熱収縮性フィルムの上端部を封止する工程を含むことを特徴とする包装体製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の包装体製造方法において、
ジグ配置工程は、
容器本体にジグを宛がったときに、筒状の熱収縮性フィルムの内部側から開口側に向かって外形が大きくなるジグを準備することを特徴とする包装体製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−184676(P2009−184676A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22973(P2008−22973)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
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