説明

包装体

【課題】省資源、低コストにして、緩衝性や防傷性を付与しつつ、収納や保管時における梱包の安定性、若しくは整然と詰め込むための収納性、或いは展示時における陳列性などを向上させると共に、開封の有無を証する未開封性を有し、被包装物を被覆する樹脂膜の破れなどを防ぐ防破性を向上させながらも、開封時には開封し易くした包装体を提供することを課題とする。
【解決手段】被包装物のほぼ全体を熱収縮性樹脂膜で覆い、前記膜で被覆された被包装体の上下面位置の該膜の外表上に、前記両面をそれぞれ覆うように、紙等を主成分として形成された所定の面積を有する保護部材をそれぞれ粘着剤を介して貼着配置するようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
被包装物を被覆する或いは保護するための包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
熱収縮性の合成樹脂フィルムによって被包装物を予め覆い、これに所定の熱を加えることによって該被包装物に密着した包装を行う所謂シュリンク包装は、広く一般に普及していることは周知である。このような熱収縮性の樹脂膜を包装材として採用しているものは、日用雑貨から耐久消費財に至るまで様々である。そのような包装材は、一般に、その熱収縮性フィルムの肉厚が大変薄く、開封の容易性を向上させる目的で破れやすいように構成されている。従って、自ずと緩衝性などは皆無であり、被包装物を衝撃や傷などから保護する役割を有さない。それらのような被包装物に対する保護性が要求される場合には、被包装物を緩衝材などで囲繞し箱詰めなどした上から上述の如くの熱収縮性フィルムなどで被覆するという手段が採られてきた。
【0003】
これに対して、前述の如くの緩衝材と包装材とを合わせ、さらに合理化されたもの、例えば、特開昭59−51027号公報や特開昭59−51066号公報或いは特開昭60−2466号公報に開示されているような工夫がなされたものなどがある。それらの技術に共通する特徴は、発泡性を有する熱収縮性樹脂膜によって被包装物を被覆し、被覆効果と共に緩衝効果が得られるという優れた特徴を有する。しかし、その一方で、包装材である樹脂膜の透明性の低下や開封の容易性の低下などといった問題点がある。
【0004】
この他、販売促進情報を表示するなどした台紙上に被包装物を載置して被包装物の背面を保護しつつ、表面を透明な熱収縮性樹脂膜で被覆して未開封性などを証するように工夫した包装体があった。このようなものの代表例としては、特開昭60−134867号公報や特開平8−40456号公報或いは特開平10−316164公報に開示されている技術が挙げられる。これらの技術は、販売促進効果の向上を期待できるものの包装作業に手間が掛り、コスト高となるという問題がある。また、保管時や梱包時には、形状が歪で荷崩れの原因となるなどの畏れがあった。
【0005】
【特許文献1】特開昭59−051027号公報
【特許文献2】特開昭59−051066号公報
【特許文献3】特開昭60−002466号公報
【特許文献4】特開昭60−134867号公報
【特許文献5】特開平08−040456号公報
【特許文献6】特開平10−316164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常の箱形包装体より省資源にして、被包装物を衝撃や傷などから保護する緩衝性や防傷性を付与しつつ、収納や保管時における梱包の安定性、若しくは整然と詰め込むための収納性、或いは展示時における陳列性などを向上させると共に、開封の有無を証する未開封性を有し、被包装物を被覆する樹脂膜の破れなどを防ぐ防破性を向上させながらも、開封時には開封し易い低コストな包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
被包装物のほぼ全体を高透明度の熱収縮性樹脂膜で覆い、省資源・低コストにして被包装物を外部からも視認することができるようにすると共に、未開封性を付与する。ここで勿論、前記膜の透明性は必ずしもなければならないというものではないことに注意する。そして、前記膜で被覆された被包装体の少なくとも略平行な二面好ましくは上下面位置の該膜の外表上に、前記両面をそれぞれ覆うように、紙等を主成分として形成された所定の面積を有する保護部材をそれぞれ粘着剤等を介して貼着配置するようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、前記保護部材は、連結部を介して互いに連結され、全体として略帯状をなし、一側面形状が略コの字形をなすように形成されたものであることを特徴とする。また、保護部材の所定の面積内に、所定形状の型抜きを施し、装飾性を向上させたことを特徴とする。また、熱収縮性フィルムの所定カ所にミシン目状のハーフカットラインを予め形成して、開封の容易性を向上させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来のシュリンク包装と同様に、開封の有無を示す未開封性を確保することができるという効果がある。また、従来のシュリンク包装のみからなる包装体と比較すれば、被包装物を傷や衝撃などから保護する効果を高度に向上させることができ、従来の包装材としての箱体と比較すれば、低コストで省資源でありながら、ある程度の保護作用が得られるという効果がある。
【0010】
また、従来の箱体よりも包装工程の作業効率を向上することができると共に、開封の容易性を向上させ、利便性を向上することができるという効果がある。また、熱収縮性フィルム内ではなく、熱収縮性フィルム外に保護部材を配置するようにしたことによって、傷付き易く破れ易い熱収縮性フィルムをも保護することができるという効果もある。
【0011】
また、被包装物の平面形状を上回るように形成された上下面に配置される保護部材により、被包装物が準箱詰め状態となり、箱詰めしたかの如くに、安定的な収納や保管がし易くなるという効果がある。また、箱体と異なり、保護部材は周囲の少なくとも一部を欠くような構成としたことにより、側面や正面等から被包装体を視認することができるという効果がある。さらに、当該包装体等に販売促進情報を表示した場合には、販促効果を期待できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の好ましい実施の形態を、図1乃至8を参照しながら以下に詳細に説明する。図1は、当該発明の包装体(1)の包装対象である被包装物(2)の斜視図であって、図2は、方形筒形状に形成された加熱収縮前の熱収縮性フィルム(3)内のほぼ中央に被包装物(2)を収容した状態を示す斜視図である。図3は、図2の状態で熱収縮フィルム(3)を加熱して収縮させ、該フィルム(3)を被包装物(2)に密着させた状態を示す斜視図である。図4は、展開状態が長方形である帯状の保護部材(4)の所定カ所を折り曲げて一側面形状がコの字形に形成された保護部材(4)の斜視図である。図5は、当該発明を適用してなる包装体(1)を用いて被包装物(2)に包装を施した状態を示す斜視図である。図6は、図4の展開図であり、図7は保護部材(4)の一変形の展開図で、図8は図7の保護部材(4)を立体化した状態を示す斜視図である。
【0013】
当該発明の包装体(1)の包装対象である被包装物(2)は、熱収縮性フィルム(3)を収縮させるために加熱する際に変形等による損傷が生じないものであることが必要であるが、これ以外特に限定されるものではない。ここにおいて、図1に示す被包装物(2)は、例えば、化粧料や整髪料等を収容した蓋体と容器本体とからなる蓋付容器である。
【0014】
図2に示すように、本発明の包装体(1)をなす熱収縮性フィルム(3)は、被包装体(1)を囲繞し得る幅と長さを有する1枚の熱収縮性樹脂膜の対向する二辺同士を溶融圧着して繋いで略方形筒形状に形成してなる。この方形筒形状の熱収縮性フィルム(3)の内部のほぼ中央に前記被包装物(2)を収容する。熱収縮性樹脂膜は、従来一般に使用されている汎用品から適宜選択することができるが、熱収縮性を有する膜体であればよく、これ以外特に限定されないが、そのような汎用品の中でも、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやポリスチレン(PS)フィルム等の高度な透明性を有するフィルムを用いる場合、外部から被包装物(2)をより鮮明に視認することができるようになる。
【0015】
そして、被包装物(2)を内部に収容した状態で、略方形筒形状の熱収縮性フィルム(3)を適宜の温度で加熱して収縮させた状態を示したのが図3である。図3に示すように、筒状の熱収縮性フィルム(3)を加熱しているので、その前後の開口部(5)は開口したまま収縮し、開封の際にはこの円く収縮した開口部(5)の縁から熱収縮性フィルム(3)を破りとることができ、開封の容易性が向上される。また、このとき、さらに開封の容易性の向上を図る目的で、熱収縮性フィルム(3)の所定カ所にミシン目状のハーフカットラインを予め形成しておくことも可能である。
【0016】
図4に示すように、本例における保護部材(4)は、一側面形状がコの字形となるように形成されたものである。この保護部材(4)は、展開状態が長方形の板状の厚紙の所定カ所を折り曲げて形成される。ここで、保護部材(4)の材料を紙としているが、所望の保護効果が得られるものであればよく、紙に限定されるものではない。また、この保護部材(4)のサイズは、図4の如くの折り曲げ状態において対向する二面が、被包装物(2)の所定の面、ここでは上下面を覆い尽くすように、それぞれの面の大きさが規定される。勿論、被包装物(2)の上下面を覆う保護部材(4)の面の形状は、方形に限るものではなく、円みを帯びた形状などとしてもよいことは言うまでもない。また、前記上下面を保護する保護部材(4)の上下二面を連結する側面の高さは、当然、少なくとも被包装物(2)の高さ相当必要である。また、この保護部材(4)の対向する二面のそれぞれの内側のほぼ中央部には、粘着剤からなる、保護部材(4)と熱収縮性フィルムとを貼り合わせるための接着部(6)が形成される。この接着剤としては、従来公知の技術、例えば両面粘着テープ等を好適に使用することができる。ここで、接着部(6)の位置をほぼ中央としているが、勿論、周縁部であってもよいし、点状の接着部でも線状でも面状であってもよい。
【0017】
特に、図5に示すように保護部材(4)の上下面を熱収縮性フィルム(3)を加熱被覆した被包装物(2)の上下面の所定位置に接着部(6)を介して貼着し、開封の際には、保護部材(4)を熱収縮性フィルム(3)から引き剥がすようにし、このとき、引き剥がしの力によって熱収縮性フィルム(3)が保護部材(4)と共に破り取れて開封するようにハーフカットラインと接着部(6)を形成してもよい。
【0018】
以上説明したように構成される包装体(1)の保護部材(4)は、図6に示すように展開状態は、長方形であるが、勿論、これに限定されず、図7及び8に示す保護部材(4)のように連結部の幅員部を内側に湾曲させたり、或いは、保護部材(4)の上面(7)若しくは下面(8)をなすそれぞれの面に所望の型抜きの貫通孔(9)を設けて、意匠性等の向上をはかることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】当該発明の包装体の包装対象である被包装物の斜視図
【図2】方形筒形状に形成された加熱収縮前の熱収縮性フィルム内のほぼ中央に被包装物を収容した状態を示す斜視図
【図3】図2の状態で熱収縮フィルムを加熱して収縮させ、該フィルムを被包装物に密着させた状態を示す斜視図
【図4】展開状態が長方形である帯状の保護部材の所定カ所を折り曲げて一側面形状がコの字形に形成された保護部材の斜視図
【図5】当該発明を適用してなる包装体を用いて被包装物に包装を施した状態を示す斜視図
【図6】図4の展開図
【図7】保護部材の一変形の展開図
【図8】図7の保護部材を立体化した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
(1)包装体
(2)被包装物
(3)熱収縮性フィルム
(4)保護部材
(5)開口部
(6)接着部
(7)上面
(8)下面
(9)貫通孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性フィルムでほぼ全体に渡って被覆された被包装物の少なくとも略平行な二面の前記熱収縮性フィルム包装材の外表上に、前記面をそれぞれ覆うように形成される所定の面積を有する保護部材を配置して構成されることを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記二面を被覆して保護する所定の面積を有する保護部材が、連結部を介して互いに連結され、保護部材が全体として略帯状をなすものであることを特徴とする請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
保護部材の一側面形状が、略コの字形に形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の包装体。
【請求項4】
保護部材が、紙を主原料として構成されるものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の包装体。
【請求項5】
前記二面が被包装物品の上下面であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の包装体。
【請求項6】
前記二面に配置される保護部材が、該二面を覆う熱収縮性フィルム上に設けられた接着剤を構成要素としてなる接着部を介して貼着されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の包装体。
【請求項7】
保護部材の所定の面積内に、所定形状の型抜きを施したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の包装体。
【請求項8】
熱収縮性フィルムの所定カ所にミシン目状のハーフカットラインを予め形成しておくことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の包装体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−240682(P2006−240682A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−59652(P2005−59652)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】