説明

包装体

【課題】被包装体と包装フィルムの双方にバーコードのような機械読み取り可能な情報を表示した場合でも、情報の誤読や認識不能を有効に防止することができる包装体を提供する。
【解決手段】樹脂製の包装フィルム4により被包装体2が包装され、被包装体2の表面に、機械読み取り可能な情報が表示された第1のラベル14aが貼付ないし印刷され、包装フィルム4の表面に、機械読み取り可能な情報10が表示された第2のラベル14bが貼付され、第2のラベル14bには不透明領域が形成され、その不透明領域に機械読み取り可能な情報10が表示されており、第2のラベル14bの不透明領域によって、第1のラベル14aに表示された情報の少なくとも一部が隠蔽されている包装体1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ティシュカートンやポケットティシュのマルチパックのように、樹脂製の包装フィルムにより、被包装体が包装された包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ロール状薄葉紙(トイレットペーパー、キッチンペーパー、タオルペーパー、クッキングシート等)、カートン入り薄葉紙(ティシュペーパー等)、生理用ナプキン、使い捨ておむつ等の使い捨て紙製品は、樹脂製の包装フィルムによって包装された状態で市販されている。
【0003】
このような包装体には、被包装体に関する情報が表示されたラベルが貼付されることがある。例えば、被包装体を包装する包装フィルムの表面に、POS(Point−Of−Sale、販売時点情報管理)システム等で用いられるバーコード等の機械読み取り可能な情報が表示されたラベルを貼付することがよく行われている(例えば、特許文献1又は2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平8−26238号公報
【特許文献2】特開2003−72846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ティシュカートンやポケットティシュのマルチパックのように、被包装体であるティシュカートンやポケットティシュが独立して取引可能な商品となり得る場合には、包装フィルムのみならず被包装体自体にも前記情報が表示されたラベルが貼付ないし印刷されることがある。
【0006】
このような場合、被包装体のラベルに表示された情報と、包装フィルムに表示された情報との双方が読み取り可能な状態となったり、或いは、2つの情報が重畳的に表示されたりすることによって、情報の誤読や認識不能の原因となるおそれがあった。特に、包装フィルムとして透明フィルムや半透明フィルム等の透光性のあるフィルムを用いた場合、前記のような情報の誤読や認識不能が頻発する可能性が高い。
【0007】
従って、被包装体と包装フィルムの双方にバーコードのような機械読み取り可能な情報を表示した場合でも、情報の誤読や認識不能を有効に防止することができる包装体が切望されている。本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであって、被包装体と包装フィルムの双方にバーコードのような機械読み取り可能な情報を表示した場合でも、情報の誤読や認識不能を有効に防止することができる包装体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、被包装体の表面に貼付ないし印刷された第1のラベルを隠蔽するように、包装フィルムの上から第2のラベルを貼付し又は印刷することによって、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の包装体が提供される。
【0009】
[1] 樹脂製の包装フィルムにより被包装体が包装され、前記被包装体の表面に、機械読み取り可能な情報が表示された第1のラベルが貼付ないし印刷され、前記包装フィルムの表面に、機械読み取り可能な情報が表示された第2のラベルが貼付され、前記第2のラベルには不透明領域が形成され、前記不透明領域に機械読み取り可能な情報が表示されており、前記第2のラベルの前記不透明領域によって、前記第1のラベルに表示された前記情報の少なくとも一部が隠蔽されている包装体。
【0010】
[2] 前記第2のラベルが樹脂製のラベルである前記[1]に記載の包装体。
【0011】
[3] 樹脂製の包装フィルムにより被包装体が包装され、前記被包装体の表面に、機械読み取り可能な情報が表示された第1のラベルが貼付ないし印刷され、前記包装フィルムの表面に、機械読み取り可能な情報が表示された第2のラベルが印刷され、前記第2のラベルには不透明領域が形成され、前記不透明領域に機械読み取り可能な情報が表示されており、前記第2のラベルの前記不透明領域によって、前記第1のラベルに表示された前記情報の少なくとも一部が隠蔽されている包装体。
【0012】
[4] 前記被包装体がティシュカートンであり、前記ティシュカートンが複数個積重された状態で一体的に包装されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載の包装体。
【発明の効果】
【0013】
本発明の包装体は、被包装体と包装フィルムの双方にバーコードのような機械読み取り可能な情報を表示した場合でも、情報の誤読や認識不能を有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の包装体を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える包装体を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「ラベル」というときは、被包装体に関する情報が表示された表示物を広く包含するものとし、包装フィルムに貼付されるものの他、包装フィルムに直接印刷されたものをも含むものとする。
【0015】
[1]本発明の第1の実施形態(第1の包装体):
本発明の第1の実施形態(第1の包装体)は、樹脂製の包装フィルムにより被包装体が包装され、被包装体の表面に、機械読み取り可能な情報が表示された第1のラベルが貼付ないし印刷され、前記包装フィルムの表面に、機械読み取り可能な情報が表示された第2のラベルが貼付され、前記第2のラベルには不透明領域が形成され、前記不透明領域に機械読み取り可能な情報が表示されており、前記第2のラベルの前記不透明領域によって、前記第1のラベルに表示された前記情報の少なくとも一部が隠蔽されている包装体である。
【0016】
ティシュカートンやポケットティシュのマルチパックのように、被包装体であるティシュカートンやポケットティシュが独立して取引可能な商品となり得る場合には、包装フィルムのみならず被包装体自体にも前記情報が表示されたラベルが貼付ないし印刷されることがある。例えば、各々のティシュカートンやポケットティシュに、そのティシュカートン等に固有の情報が表示された上で、更に、複数のティシュカートン等を包装する包装フィルムに、そのマルチパックに関する情報が表示されたラベルが貼付されることがある。このような場合、被包装体のラベルに表示された情報と、包装フィルムに表示された情報との双方が読み取り可能な状態となったり、或いは、2つの情報が重畳的に表示されたりすることによって、情報の誤読や認識不能の原因となるおそれがある。特に、包装フィルムとして透明フィルムや半透明フィルム等の透光性のあるフィルムを用いた場合には、前記のような情報の誤読や認識不能が頻発する可能性が高い。包装フィルムに透明フィルム等を用いると、双方の情報が重畳的に表示され、誤読や認識不能の原因となるおそれがある。
【0017】
そこで、本発明の第1の実施形態(第1の包装体)においては、包装フィルムの表面に貼付された第2のラベルに不透明領域を形成し、その不透明領域に機械読み取り可能な情報を表示した上で、第2のラベルの不透明領域によって、被包装体の表面に貼付ないし印刷された第1のラベルの機械読み取り可能な情報の少なくとも一部を隠蔽することとした。
【0018】
バーコードやQRコード等の「機械読み取り可能な情報」は、その一部を隠蔽すれば情報の読み取りが不能となる。従って、前記の構成によって、包装フィルムに表示された情報を機械読み取りする際に、誤って被包装体に表示された情報を読み取ってしまう事態を有効に防止することができる。なお、被包装体に表示された情報は、各々の被包装体に固有の情報であることが多いため、複数の被包装体が一体的に包装された包装体の状態では必要とされることは少ない。即ち、被包装体を包装する前、或いは包装を解いて複数の被包装体を取出した後に必要となる情報であると解される。
【0019】
図1は、カートン入りティシュペーパー(ティシュカートン)を被包装体2とする包装体1を示す図面であり、(a)図は包装体を上面側から見た状態を示す斜視図、(b)図は包装体を底面側からみた状態を示す斜視図である。この図1に示す包装体1は、包装フィルム4の表面に貼付された第2のラベル14bの全体に不透明領域が形成されており、その不透明領域によって、被包装体2に印刷された第1のラベル14aに表示された機械読み取り可能な情報の一部が隠蔽されている例である。
【0020】
図1に示す包装体1のように、第2のラベル14bに不透明領域を形成し、その不透明領域によって、第1のラベル14aに表示された情報を隠蔽すると、包装フィルム4として透明フィルムや半透明フィルム等の透光性のあるフィルムを用いた場合でも第1のラベル14aに表示された情報が確実に隠蔽できることに加え、第2のラベル14bに表示された情報10が、被包装体2の表面に表示された情報やデザインによって読み取り難くなる事態を有効に防止することができる。また、包装フィルム4自体に模様等が付されている場合でも、第2のラベル14bに表示された情報10がその模様等によって読み取りが阻害され難いという利点がある。
【0021】
本明細書にいう「不透明」とは、被包装体の表面に表示された情報やデザインが第2のラベルに表示された情報の読み取りを阻害しない程度に光透過性が制限されていることを意味する。即ち、このような条件を満足する限り、「不透明」には、完全な「不透明」の他、いわゆる「半透明」も含まれる。「不透明」である限り、その色彩については特に限定されないが、表示された情報を明確化する効果が高い白色不透明とすることが好ましい。例えば、樹脂フィルムを形成する際に、原料樹脂に白色顔料を混合することにより得られる白色の樹脂フィルム等を用いて第2のラベルを構成してもよいし、透明ラベルの表面に印刷等の手法により不透明領域を形成してもよい。
【0022】
第1の包装体においては、ラベルの少なくとも一部(具体的には「情報」を表示したい部分)に不透明領域が形成されていればよいが、ラベルの全部が不透明領域となっていてもよい。例えば、図1に示す包装体1は、白色不透明な樹脂フィルムでラベル14(第1のラベル14a)を構成し、ラベル14(第1のラベル14a)の全体に不透明領域を形成した例である。
【0023】
ラベルを貼付する部位については、包装フィルムの表面のうち、第1のラベルの情報の少なくとも一部を隠蔽し得る部位である限り特に制限はない。但し、被包装体上面や側面にデザインが施され、意匠的効果を奏するティシュカートンのような被包装体の場合には、その意匠的効果を阻害しないように被包装体の底面に第1のラベルが貼付ないし印刷されることが多い。そのような場合には、被包装体の底面に貼付ないし印刷された第1のラベルの情報の少なくとも一部を隠蔽するように、包装フィルムの表面のうち、包装体の底面に相当する部分に第2のラベルを貼付することが好ましい。例えば、図1に示す包装体1は、包装フィルム4の表面のうち包装体1の底面16に相当する部分に、第2のラベル14bを貼付した例である。
【0024】
図1に示す包装体1は、第1のラベル14aに、機械読み取り可能な情報であるバーコード(図示せず)が表示されており、第2のラベル14bには、情報10として機械読み取り可能な情報であるバーコード12が表示されており、第2のラベル14bの不透明領域(この例では第2のラベル14bの全体)によって第1のラベル14aに表示された情報の少なくとも一部が隠蔽されている。この例では、包装フィルム4の表面に、被包装体2の表面に印刷された第1のラベル14aと交差するように、第2のラベル14bを貼付することによって、第1のラベル14aに印刷された情報の一部を隠蔽している。
【0025】
なお、図1に示す包装体1は、第1のラベル14aに対して第2のラベル14bを交差させるように貼付しているが、第2のラベルを貼付する形態はこのようなものには制限されない。即ち、第1のラベルに表示された情報を隠蔽することができる限り、いかなる形態であってもよい。
【0026】
図2は、第1のラベルと第2のラベルの位置関係の具体的な実施形態の例を示す図である。例えば、図2の(a)図のように、第2のラベル14bを第1のラベル14aの上下方向にずらすように貼付してもよいし、図2の(b)図のように、第2のラベル14bを第1のラベル14aの左右方向にずらすように貼付してもよい。また、第1のラベルと第2のラベルの大きさや形状が同じである必要もない。例えば、図2の(c)図のように、第2のラベル14bを第1のラベル14aよりも面積を大きく構成し、第1のラベル14a全体が被覆されるように貼付してもよいし、逆に、図2の(d)図のように、第2のラベル14bを第1のラベル14aよりも面積を小さく構成し、第2のラベル14bの外縁から第1のラベル14aの外縁がはみ出すように貼付してもよい。更に、図2の(e)図のように、第2のラベル14bを第1のラベル14aの斜め方向にずらすように貼付してもよい。これらの形態の中では、誤読防止の効果が高いという理由から、図2の(c)図に示す形態が好ましいといえる。
【0027】
第1の包装体では、ラベルに「機械読み取可能な情報」が表示されている。本明細書にいう「機械読み取り可能な情報」とは、人間の視覚ではなく、機械・装置によって認識できる情報を意味し、例えば、電子的方法、磁気的方法、光学的方法等によって読み取り可能な情報を挙げることができる。より具体的には、磁気コード情報や光学読み取り可能な情報等を挙げることができ、代表的なものとしては、POS(Point−Of−Sale、販売時点情報管理)システム等で用いられるバーコード、QRコードのような二次元コード等を挙げることができる。
【0028】
第1の包装体においては、ラベルに表示されている情報が、バーコードやQRコード等の「光学読み取り可能な情報」であることが好ましい。バーコードやQRコード等の光学読み取り可能な情報は、その表示情報を不透明な部材で被覆することにより、確実にその情報を隠蔽することができるため、本発明の包装体のような、第2のラベルの不透明領域によってその情報を隠蔽するという方法が有効だからである。
【0029】
「情報」の内容は特に限定されないが、通常は、被包装体や包装体に関する情報が表示される。例えば、わが国で最も普及しているバーコード規格であるJANコードでは、国別コード、会社別コード、商品コードの3種類の情報がコードされている。従って、第1の包装体でも、「情報」としてこれらの情報、或いはこれらに類する情報を表示することが好ましい。
【0030】
第1の包装体は、第2のラベルが樹脂製のラベルであることが好ましい。このような形態では、樹脂製の包装フィルムの表面に、樹脂製のラベルを貼付しているので、包装フィルムとラベルがともに樹脂によって構成されることになる。従って、ラベルが貼付された包装フィルムをそのままプラスチックゴミとして廃棄することができる。即ち、包装フィルムを廃棄するに際し、ラベルを切除して分別する必要はなく、廃棄の手間がかからないことに加えて、ラベルが貼付された包装フィルムがそのまま可燃ゴミとして廃棄される事態が防止され、貴重な資源のリサイクルに資することになる。
【0031】
第2のラベルを構成する樹脂について特に制限はないが、リサイクルに適した熱可塑性樹脂(いわゆるプラスチック)であることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレン等)、ポリエステル(PET等)、ポリアミド(ナイロン等)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等、従来公知の熱可塑性樹脂を挙げることができる。最近では、樹脂の種類によって更に分類し、分別廃棄を徹底することも行われている。従って、包装フィルムと同質の樹脂によってラベルを構成することがより好ましい。例えば、包装フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンによって構成されることが多いので、ラベルもポリオレフィンによって構成すればよい。このような構成により、ポリオレフィンのみを選択的に回収することが可能となり、再生素材の品質を向上させることができる。
【0032】
包装体のその他の構成については、従来公知の包装体と同様の構成を採用すればよい。「包装フィルム」を構成する樹脂について特に制限はなく、ラベルの項で既に例示した熱可塑性樹脂等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、延伸性や強度の面で、ポリエチレンが更に好ましい。包装フィルムの厚さは、被包装体の種類や重量によっても異なるが、ティシュカートンを被包装体とする場合には、フィルムの厚さを10〜35μmとすることが好ましい。また、トイレットペーパーのようなロール状薄葉紙の包装にはガセットチューブが利用されることが多い。この場合には、フィルムの厚さを50〜110μmとすることが好ましく、65〜90μmとすることが更に好ましい。
【0033】
「被包装体」についても特に制限はないが、例えば、ロール状薄葉紙(トイレットペーパー、キッチンペーパー、タオルペーパー、クッキングシート等)、カートン入り薄葉紙(ティシュカートン等)、生理用ナプキン、使い捨ておむつ等の使い捨て紙製品を挙げることができる。中でも、個別包装された使い捨て紙製品、例えば、生理用ナプキン、ポケットティシュ、ティシュカートン等が好ましく、ティシュカートンが更に好ましい。
【0034】
既に説明したように、第1の包装体は、複数のティシュカートンやポケットティシュが一体的に包装されたマルチパックのように、個別包装された各々のティシュカートンやポケットティシュに、被包装体(ティシュカートン)等に固有の情報が表示された上で、更に、複数の被包装体(ティシュカートン)等を包装する包装フィルムに、そのマルチパックに関する情報が表示されたラベルが貼付される包装体に特に好適に用いることができるからである。例えば、図1に示す包装体1は、樹脂製の包装フィルム4により、鉛直方向に積重された5個の被包装体2(ティシュカートン)が一体的に包装されたマルチパックを示している。
【0035】
包装体には、持ち運びの際の便宜のため、運搬用の把手を付設してもよい。「把手」は、包装体を持ち運び可能である限り、形状や構造の制限はない。少なくとも包装体に手指を差し入れることが可能な開口部ないし空間を形成し得る部材であれば「把手」となり得る。例えば、図1に示す包装体1は、包装体1の上面6側に帯状の把手8を備えたものである。この把手8は、包装体1の上面6の中央部に、被包装体2の長手方向に沿って配置され、その両端部が包装体1の側面に固定されている。この場合であれば、帯状の把手8と包装体1の上面6との間に手指を差し入れることが可能な空間が形成される。
【0036】
また、「把手」は、包装フィルムと一体的に形成されたものであってもよいし、包装フィルムとは別の部材を付設したものであってもよい。例えば、図1に示す包装体1は、包装フィルム4とは別部材である帯状の把手8を包装フィルム4に接合したものである。図示の包装体1は、把手8が包装体1の側面20に接合された例であるが、包装体の運搬が可能である限り、把手は包装体の上面に接合されていてもよいし、包装体の底面に接合されていてもよい。
【0037】
なお、第1の包装体には、包装体を開封して被包装体を取り出すためのミシン目を形成してもよい。このようなミシン目を形成することにより、比較的簡便に、力を要することなく内容物である被包装体を取り出すことができる。ミシン目の形成位置は特に限定されるものではなく、被包装体の取出しが容易となる位置に形成すればよい。
【0038】
第1の包装体は、従来公知の包装体の製造方法に準じて製造することができる。以下、図1に示す包装体1の例により説明する。図1に示す包装体1は、複数の被包装体2がキャラメル包装された包装体の例である。
【0039】
まず、被包装体2には機械読み取り可能な情報が表示された第1のラベル14aを形成しておく。この第1のラベル14aは被包装体2の表面に貼付してもよいし、印刷してもよい。図1に示す包装体1は、被包装体2の表面に機械読み取り可能な情報として図示されないバーコードを印刷している。
【0040】
次いで、複数の被包装体2を包装フィルム4によりキャラメル包装した後、所望の位置に帯状の把手8を包装体の上面6に固着させる。把手を固着させる方法としては、例えば、ヒートシール、超音波溶着、接着剤による接着等の従来公知の方法を用いればよい。
【0041】
前記のように包装体1を形成した後、被包装体2に関する情報10が表示された第2のラベル14bを貼付する。このラベルには不透明領域を形成しておく。例えば、樹脂フィルムを形成する際に、原料樹脂に白色顔料を混合することにより得られる白色の樹脂フィルム等をラベルの材料として用いたり、或いは、透明な樹脂フィルムの表面に印刷等の手法により不透明領域を形成したりして第2のラベル14bを得る。
【0042】
この第2のラベル14bの不透明領域に、機械読み取り可能な情報10を表示する。表示の方法について特に制限はないが、通常は、印刷によって第2のラベル14bの表面に情報が付加される。被包装体に関する情報についても特に制限はないが、POS(Point−Of−Sale、販売時点情報管理)システム等で用いられるバーコード、QRコードのような二次元コード等を挙げることができる。図1に示す包装体1では、情報10としてバーコード12を表示している。
【0043】
前記のような第2のラベル14bを、その不透明領域によって、第1のラベル14aに表示された機械読み取り可能な情報の少なくとも一部が隠蔽されるように、包装フィルム4の表面に貼付する。図1に示す包装体1の場合、包装フィルム4の表面に、被包装体2の表面に印刷された第1のラベル14aと交差するように、第2のラベル14bを貼付することによって、第1のラベル14aに印刷された情報の一部を隠蔽している。
【0044】
[2]本発明の第2の実施形態(第2の包装体):
本発明の第2の実施形態(第2の包装体)は、樹脂製の包装フィルムにより被包装体が包装され、前記被包装体の表面に、機械読み取り可能な情報が表示された第1のラベルが貼付ないし印刷され、前記包装フィルムの表面に、機械読み取り可能な情報が表示された第2のラベルが印刷され、前記第2のラベルには不透明領域が形成され、前記不透明領域に機械読み取り可能な情報が表示されており、前記第2のラベルの前記不透明領域によって、前記第1のラベルに表示された前記情報の少なくとも一部が隠蔽されている包装体である。
【0045】
第2の包装体は、第2のラベルを包装フィルムの表面に貼付するのではなく、包装フィルムの表面に直接印刷するものである。このように、第2のラベルを包装フィルムの表面に直接印刷した場合でも、第1の包装体と同様に、被包装体と包装フィルムの双方にバーコードのような機械読み取り可能な情報を表示しても、情報の誤読や認識不能を有効に防止することができる。
【0046】
図3は、カートン入りティシュペーパー(ティシュカートン)を被包装体2とする包装体1を示す図面であり、(a)図は包装体を上面側から見た状態を示す斜視図、(b)図は包装体の側面の底面近傍の部分を拡大した状態を示す一部拡大側面図である。この図3に示す包装体100は、包装フィルム4の表面に印刷された第2のラベル14bの全体が不透明な白色に印刷されることによって、不透明領域が形成されている。そして、その不透明領域によって、被包装体2に印刷された第1のラベル14aの機械読み取り可能な情報の一部が隠蔽されている例である。
【0047】
図3に示す包装体100は、カートン入りティシュペーパー(ティシュカートン)を被包装体2とした場合の例であり、樹脂製の包装フィルム4により被包装体2が包装され、包装フィルム4の表面に、被包装体2に関する情報10が表示されたラベル14が印刷されたものである。この例では、包装フィルム4の表面のうち、包装体100の側面18に相当する部分に第2のラベル14b)を印刷している。
【0048】
第2の包装体は、第2のラベルを印刷により形成する点を除いては、第1の包装体と同様の構成を採用することができる。従って、第1の包装体と重複する構成については説明を割愛し、第2の包装体固有の構成についてのみ説明する。
【0049】
第2の包装体は、包装フィルムの表面に、情報が表示されたラベルが直接印刷されているので、包装フィルムとラベルが一体的に構成されることになる。従って、ラベルが印刷された包装フィルムをそのままプラスチックゴミとして廃棄することができる。即ち、包装フィルムを廃棄するに際し、ラベルを切除して分別する必要はなく、廃棄の手間がかからないことに加えて、ラベルが貼付された包装フィルムがそのまま可燃ゴミとして廃棄される事態が防止され、貴重な資源のリサイクルに資することになる。
【0050】
第2の包装体においても、ラベルを印刷する部位は、包装フィルムの表面のうち、第1のラベルの情報の少なくとも一部を隠蔽し得る部位である限り特に制限はない。但し、第2の包装体は包装フィルムの表面に直接ラベルを印刷するため、包装フィルムの表面のうち皺や折り目が少ない部位にラベルを印刷することが好ましい。例えば、図3に示す包装体100のように、キャラメル包装された包装体の場合には、その包装形態に起因して上面6や底面16には皺や折り目が多くなる。従って、包装フィルムの表面のうち、包装体の側面の部分にラベルを印刷することが好ましい。例えば、図3に示す包装体100は、包装フィルム4の表面のうち包装体1の側面18に相当する部分に、第2のラベル14bを印刷した例である。
【0051】
第2の包装体は、第1の包装体と同様に、ラベルに不透明領域を形成し、その不透明領域に被包装体に関する情報を表示することが好ましい。前記構成を採用することにより、包装フィルムとして透明フィルム等を用いた場合であっても、ラベルに表示された情報が、被包装体の表面に表示された情報やデザインによって読み取り難くなる事態を有効に防止することができる。また、包装フィルム自体に模様等が付されている場合でも、ラベルに表示された情報がその模様等によって読み取りが阻害され難くなる。「不透明」の意義については第1の包装体と同義であり、不透明領域の形成についても、第1の包装体と同様の方法により形成することができる。
【0052】
なお、図3に示す包装体100は、第1のラベル14aに対して第2のラベル14bを斜め方向にずらすように、包装フィルム4の表面に印刷しているが、第2のラベルを印刷する形態はこのようなものには制限されない。即ち、第1のラベルに表示された情報を隠蔽することができる限り、いかなる形態であってもよい。具体的には、図2に示した第2のラベルの貼付形態に準じて、印刷することができる。
【0053】
第2の包装体も、第1の包装体と同様に、複数のティシュカートンやポケットティシュが一体的に包装されたマルチパックのように、個別包装された各々のティシュカートンやポケットティシュに、その被包装体(ティシュカートン)等に固有の情報が表示された上で、更に、複数の被包装体(ティシュカートン)等を包装する包装フィルムに、そのマルチパックに関する情報が表示されたラベルが貼付される包装体に特に好適に用いることができる。例えば、図3に示す包装体100は、ティシュカートンを被包装体2とした例であり、樹脂製の包装フィルム4により、鉛直方向に積重された5個の被包装体2(ティシュカートン)が一体的に包装されたマルチパックを示している。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の包装体は、例えば、ロール状薄葉紙(トイレットペーパー、キッチンペーパー、タオルペーパー、クッキングシート等)、カートン入り薄葉紙(ティシュペーパー等)、生理用ナプキン、使い捨ておむつ等の使い捨て紙製品を被包装体とする包装体、中でも、個別包装された使い捨て紙製品(例えば、生理用ナプキン、ポケットティシュ、ティシュカートン等)を被包装体とする包装体として好適に用いることができる。
【0055】
そして、複数のティシュカートンやポケットティシュが一体的に包装されたマルチパックのように、個別包装された各々のティシュカートンやポケットティシュに、その被包装体(ティシュカートン)等に固有の情報が表示された上で、更に、複数の被包装体(ティシュカートン)等を包装する包装フィルムに、そのマルチパックに関する情報が表示されたラベルが貼付ないし印刷される包装体に特に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の包装体の一の実施形態を示す斜視図である。
【図2】第1のラベルと第2のラベルの位置関係の具体的な実施形態の例を示す模式図である。
【図3】本発明の包装体の別の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
1,100:包装体、2:被包装体、4:樹脂フィルム、6:上面、8:把手、10:情報、12:バーコード、14:ラベル、14a:第1のラベル、14b:第2のラベル、16:底面、18,20:側面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の包装フィルムにより被包装体が包装され、
前記被包装体の表面に、機械読み取り可能な情報が表示された第1のラベルが貼付ないし印刷され、
前記包装フィルムの表面に、機械読み取り可能な情報が表示された第2のラベルが貼付され、
前記第2のラベルには不透明領域が形成され、前記不透明領域に機械読み取り可能な情報が表示されており、
前記第2のラベルの前記不透明領域によって、前記第1のラベルに表示された前記情報の少なくとも一部が隠蔽されている包装体。
【請求項2】
前記第2のラベルが樹脂製のラベルである請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
樹脂製の包装フィルムにより被包装体が包装され、
前記被包装体の表面に、機械読み取り可能な情報が表示された第1のラベルが貼付ないし印刷され、
前記包装フィルムの表面に、機械読み取り可能な情報が表示された第2のラベルが印刷され、
前記第2のラベルには不透明領域が形成され、前記不透明領域に機械読み取り可能な情報が表示されており、
前記第2のラベルの前記不透明領域によって、前記第1のラベルに表示された前記情報の少なくとも一部が隠蔽されている包装体。
【請求項4】
前記被包装体がティシュカートンであり、前記ティシュカートンが複数個積重された状態で一体的に包装されている請求項1〜3のいずれかに記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−120431(P2008−120431A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307659(P2006−307659)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】