説明

包装体

【課題】包装袋内の収容物を容易に確認するとともに情報の表示場所を容易に確保する。
【解決手段】包装体6は、複数の吸収性物品1が、透明な包装シート部材にて形成された略直方体の包装袋5に収容されたものである。袋部51の前面513には、不透明な情報表示部53、および、情報表示部53の周囲を囲む脆弱線54が設けられ、包装袋5が脆弱線54に沿って破断されることにより、開口形成部55が複数の吸収性物品1から離間して開口が形成される。情報表示部53の外面531には、必須表示情報を含む第1情報533が表示され、内面には補助情報を含む第2情報が表示される。包装体6では、包装袋5の情報表示部53以外の部位を介して吸収性物品1の大きさや色等を容易に確認することができる。また、情報表示部53の両面に異なる情報を表示することにより、包装袋5において情報の表示場所を容易に確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物を受ける吸収性物品、または、吸収性物品を着用する際に吸収性物品の外側を覆う外装物品である収容物が包装袋に収容された包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い捨ておむつや使い捨ておむつの内側に取り付けられる補助吸収具(例えば、尿取りパッド)等の吸収性物品は、通常、多数個(例えば、数十個)が積層された状態で包装袋に収容されて販売されており、包装袋には、収容物である吸収性物品の名称やサイズ等の情報が表示されている。
【0003】
特許文献1では、吸収性物品を収容するパッケージにおいて、包装袋内の吸収性物品を視認するための小さい窓を包装袋に設けることが提案されている。また、特許文献2の包装体では、一括包装フィルムの側面に模様や色等のデザインが描かれ、当該デザインが描かれた部分の一部に透明窓が形成される。特許文献2では、吸収性物品のサイズや吸収能力等の情報が各吸収性物品に表示されており、当該情報が、上記透明窓を介して視認可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−523424号公報
【特許文献2】特開2008−239196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1および特許文献2のような包装体では、包装袋に設けられた透明窓が小さいため、吸収性物品の大きさや形状等を把握できる程度に吸収性物品を視認することができない。一方、透明窓を大きくすると、包装袋において情報を表示可能な場所が小さくなり、十分な情報を表示することができなくなってしまう。また、特許文献2のように吸収性物品に係る情報を、包装袋の外部から視認可能なように吸収性物品に表示すると、吸収性物品上の情報表示領域が大きくなって吸収性物品の見栄えが悪くなるおそれがある。特に、包装袋における情報表示を減らして、吸収性物品における情報表示を増やした場合、吸収性物品の見栄えはさらに悪くなるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、包装袋内の収容物を容易に確認するとともに情報の表示場所を容易に確保することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、排泄物を受ける吸収性物品、または、吸収性物品を着用する際に吸収性物品の外側を覆う外装物品である収容物が包装袋に収容された包装体であって、透明のシート部材にて形成された包装袋と、前記包装袋に収容された複数の収容物とを備え、前記包装袋に、不透明の情報表示部が設けられ、前記情報表示部の外面に第1情報が表示され、前記情報表示部の内面に第2情報が表示される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の包装体であって、前記包装袋が、4つの側面、上面および下面を有する略直方体であり、前記4つの側面のうち一の側面が、前記情報表示部が設けられた情報表示面であり、前記情報表示面の面積に対する前記情報表示部の面積の割合が50%以下である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の包装体であって、前記4つの側面のうち、前記情報表示面以外の少なくとも1つの側面の全体が透明である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の包装体であって、前記包装袋が脆弱線に沿って破断されて前記包装袋の一部が前記複数の収容物から離間することにより、収容物の取り出しに利用される開口が形成され、前記包装袋の前記一部に前記情報表示部の少なくとも一部が設けられる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の包装体であって、前記包装袋が前記脆弱線に沿って破断されることにより、前記包装袋の前記一部が、周囲の部位から切り離される。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の包装体であって、前記第2情報が、前記複数の収容物の使用方法の写真または絵を用いた説明を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、包装袋内の収容物を容易に確認することができるとともに情報の表示場所を容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一の実施の形態に係る包装体を示す斜視図である。
【図2】包装体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る包装体6を示す斜視図である。図1に示すように、包装体6は、排泄物を受ける複数の吸収性物品1(例えば、使い捨ておむつや補助パッド)が包装袋5に収容されたものであり、略直方体である。包装袋5は、非通気性の透明な包装シート部材にて形成される。複数の吸収性物品1は、個別包装されることなく、折り畳まれた上で所定の積層方向(本実施の形態では、図1中のX方向)に積層され、当該積層方向に圧縮された状態で略直方体の包装袋5に直接収容される。
【0016】
包装袋5は、複数の吸収性物品1を収容する袋状の部位である袋部51、および、袋部51と連続する持ち手部52を備える。持ち手部52は、袋部51の上側(すなわち、(+Z)側)に位置する帯状の部位であり、持ち手部52の左右方向(すなわち、X方向)のおよそ中央には持ち手開口521が形成されている。包装体6の購入者等が持ち手部52を持つ際には、購入者等の指が持ち手開口521に挿入され、持ち手開口521の上側の部位が把持される。
【0017】
以下の説明では、包装袋5の袋部51において、複数の吸収性物品1の図1中における(+Z)側および(−Z)側をそれぞれ覆う面を、上面511および下面512と呼ぶ。また、上面511と下面512とを接続する4つの側面のうち、複数の吸収性物品1の(−Y)側および(+Y)側をそれぞれ覆う面を、前面513および後面514と呼び、複数の吸収性物品1の(+X)側および(−X)側をそれぞれ覆う面を、第1側面515および第2側面516と呼ぶ。
【0018】
袋部51の前面513には、略矩形状の不透明な情報表示部53が設けられる。情報表示部53は、インクジェット印刷やグラビア印刷等により形成される。具体的には、不透明の略矩形状の背景が印刷された上に様々な情報が印刷される。前面513の面積に対する情報表示部53の面積の割合は、10%以上50%以下であることが好ましい。袋部51の4つの側面のうち、情報表示面である前面513以外の3つの側面、すなわち、第1側面515、後面514および第2側面516は、その全体が透明である。また、袋部51の上面511および下面512、並びに、持ち手部52も、その全体が透明である。すなわち、包装袋5では、情報表示部53以外の部位(袋部51の角部も含む。)は全て透明である。
【0019】
包装袋5では、袋部51の前面513に、情報表示部53の周囲を囲む脆弱線54が設けられる。脆弱線54により囲まれる部位55は、略矩形状である。本実施の形態では、脆弱線54は、断続的に形成された直線状の切れ目により形成されるミシン目である。脆弱線54は、包装袋5を形成する包装シート部材を貫通しておらず、包装シート部材は脆弱線54においても非通気性である。なお、脆弱線54は、必ずしもミシン目である必要はなく、例えば、周囲の部位に比べて強度が小さい溝(すなわち、包装シート部材を貫通しない切り込み)であってもよい。
【0020】
脆弱線54は、情報表示部53の(+Z)側および(−Z)側にてX方向に略平行に延びる第1横線部541および第2横線部542、並びに、情報表示部53の(+X)側および(−X)側にてY方向に略平行に延びる第1縦線部543および第2縦線部544を有する。第1縦線部543の上端部は、(+X)側に膨らむ凸状部545である。
【0021】
包装体6では、脆弱線54の凸状部545が破断され、凸状部545の(−X)側の部位が摘まれて手前側に引っ張られる。これにより、包装袋5が脆弱線54の第1縦線部543、第1横線部541および第2横線部542に沿って破断され、包装袋5の一部である略矩形状の部位55が、図2に示すように、複数の吸収性物品1から離間する。これにより、吸収性物品1の取り出しに利用される開口50が包装袋5に形成される。以下の説明では、包装袋5の部位55を「開口形成部55」という。
【0022】
開口形成部55には情報表示部53の全体が設けられており、図1に示すように、情報表示部53の外面531には、吸収性物品1に係る第1情報533が表示される。第1情報533は、法律等にて表示が義務づけられている必須表示情報等、いわゆる、重要情報を含む。第1情報533に含まれる情報は、例えば、吸収性物品1の製品名やサイズ、吸収性物品1の使用方法に関する基本的な事項等である。また、図2に示すように、情報表示部53の内面532には、必須表示情報ではない補助情報を含む第2情報534が表示される。第2情報534に含まれる情報は、例えば、吸収性物品1の詳細な使用方法を写真や絵を用いて説明したものである。なお、情報表示部53の外面531には、内面532にも情報が表示されている旨の注意書きが表示されることが好ましい。
【0023】
以上に説明したように、包装体6では、包装袋5が透明の包装シート部材により形成されることにより、吸収性物品1の購入者や使用者が、包装袋5に収容された吸収性物品1を、包装袋5の情報表示部53以外の部位を介して容易に視認し、吸収性物品1の大きさや色等を容易に確認することができる。また、包装体6では、包装袋5に設けられた不透明の情報表示部53において、外面531に第1情報533が表示され、内面532に第2情報534が表示される。このように、情報表示部53の両面に異なる情報を表示することにより、包装袋5において情報の表示場所を容易に確保することができる。
【0024】
包装体6では、袋部51の4つの側面のうち、前面513のみに情報表示部53が設けられ、残りの3つの側面の全体が透明であるため、包装袋5内に収容された吸収性物品1をより容易に確認することができる。また、前面513の面積に対する情報表示部53の面積の割合が50%以下であるため、前面513を介しても包装袋5内の吸収性物品1を容易に確認することができる。さらに、当該割合が10%以上であるため、包装袋5において情報の表示場所を容易に確保することができる。
【0025】
包装袋5では、情報表示部53が開口形成部55に設けられるため、包装袋5が脆弱線54の第1縦線部543、第1横線部541および第2横線部542に沿って破断されて開口形成部55が複数の吸収性物品1から離間することにより、情報表示部53の外面および内面の情報を容易に確認することができる。包装体6では、包装袋5が、図2に示す第2縦線部544に沿って破断されることにより、開口形成部55が周囲の部位から切り離されてもよい。これにより、情報表示部53を見やすい位置に容易に移動することができ、情報表示部53の外面および内面の情報をより容易に確認することができる。
【0026】
上述のように、包装体6では、情報表示部53の内面に表示される第2情報534が、吸収性物品1の使用方法の写真または絵を用いた説明を含む。吸収性物品1の使用者は、包装袋5に開口50を形成した後、上記説明を見ることにより、吸収性物品1の詳細な使用方法を容易に理解することができる。また、開口50の形成前においては、吸収性物品1の使用方法の写真や絵等、包装体6の見栄えを損なう可能性がある情報が、実質的に視認できない状態となっているため、吸収性物品1の購入予定者の購入意欲が当該情報により削がれることが防止される。
【0027】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0028】
情報表示部53は、必ずしも開口形成部55に含まれる必要はなく、開口形成部55は、例えば、情報表示部53が設けられる前面513以外の側面に設けられてもよい。ただし、情報表示部53の少なくとも一部は、開口形成部55に設けられることが好ましい。これにより、開口50の形成後に情報表示部53の外面531および内面532の情報の少なくとも一部をを容易に確認することができる。
【0029】
包装袋5では、必ずしも、情報表示面である前面513以外の全ての部位が透明である必要はなく、前面513以外の部位にも不透明な部位が設けられてよい。当該不透明な部位は、情報が表示される他の情報表示部であってもよく、単なるデザイン等であってもよい。ただし、前面513以外の少なくとも1つの側面の全体が透明であることが好ましい。これにより、全体が透明である側面を介して包装袋5内に収容された吸収性物品1をより容易に確認することができる。また、前面513以外の部位にも情報表示部が設けられる場合、袋部51の全表面積に対する情報表示部の全面積の割合は10%以上50%以下であることが好ましい。これにより、包装袋5において情報の表示場所を容易に確保することができるとともに包装袋5内の吸収性物品1を容易に確認することができる。
【0030】
情報表示部53は、必ずしも、透明な包装シート部材上に印刷されたものである必要はなく、例えば、包装シート部材とは別部材である不透明な情報表示シートの一方の面に第1情報533が表示され、他方の面に第2情報534が表示され、当該情報表示シートが包装シート部材の外面または内面に接合されてもよい。あるいは、帯状の情報表示シートが、前面513、第1側面515、後面514および第2側面516に当接しつつ巻き付けられて包装シート部材に取り付けられてもよい。
【0031】
包装体6では、複数の吸収性物品1は、吸収性物品1の大きさや形状等が視認可能な状態で個別包装された上で包装袋5に収容されてもよい。包装袋5に収容される収容物は、必ずしも吸収性物品1には限定されず、吸収性物品を着用する際に吸収性物品の外側を覆う外装物品(例えば、おむつカバー)であってもよい。包装袋5の形状は、必ずしも、略直方体である必要はなく、収容物の形状や収容個数に応じて適宜変更されてよい。
【0032】
上記実施形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0033】
1 吸収性物品
5 包装袋
6 包装体
50 開口
53 情報表示部
54 脆弱線
55 開口形成部
511 上面
512 下面
513 前面
514 後面
515 第1側面
516 第2側面
531 外面
532 内面
533 第1情報
534 第2情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物を受ける吸収性物品、または、吸収性物品を着用する際に吸収性物品の外側を覆う外装物品である収容物が包装袋に収容された包装体であって、
透明のシート部材にて形成された包装袋と、
前記包装袋に収容された複数の収容物と、
を備え、
前記包装袋に、不透明の情報表示部が設けられ、
前記情報表示部の外面に第1情報が表示され、前記情報表示部の内面に第2情報が表示されることを特徴とする包装体。
【請求項2】
請求項1に記載の包装体であって、
前記包装袋が、4つの側面、上面および下面を有する略直方体であり、
前記4つの側面のうち一の側面が、前記情報表示部が設けられた情報表示面であり、
前記情報表示面の面積に対する前記情報表示部の面積の割合が50%以下であることを特徴とする包装体。
【請求項3】
請求項2に記載の包装体であって、
前記4つの側面のうち、前記情報表示面以外の少なくとも1つの側面の全体が透明であることを特徴とする包装体。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の包装体であって、
前記包装袋が脆弱線に沿って破断されて前記包装袋の一部が前記複数の収容物から離間することにより、収容物の取り出しに利用される開口が形成され、前記包装袋の前記一部に前記情報表示部の少なくとも一部が設けられることを特徴とする包装体。
【請求項5】
請求項4に記載の包装体であって、
前記包装袋が前記脆弱線に沿って破断されることにより、前記包装袋の前記一部が、周囲の部位から切り離されることを特徴とする包装体。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の包装体であって、
前記第2情報が、前記複数の収容物の使用方法の写真または絵を用いた説明を含むことを特徴とする包装体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−163(P2013−163A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131118(P2011−131118)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】