説明

包装体

【課題】縛り作業性、コスト、見た目のいずれをも満足させる包装袋などの包装体を提供する。
【解決手段】前後に互いに連通する連通孔33,34が幅方向両端部に設けられた前後両壁部31,32を有し開口部3aを絞れるように構成された袋状の袋本体部3と、一端部51に他端部52を挿通させる挿通ループ状部51aを有し、一端部51が前後両壁部31,32の幅方向右側の両連通孔33に挿通されているとともに他端部52が左側の両連通孔34に挿通されていることにより両端部51,52が袋本体部3の正面側に配置され、袋本体部3の開口部3aを絞止する絞止用リボン5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋などの包装本体の内部に各種商品などの被包装物を収納して開口部を絞った状態で縛ることにより該被包装物を包装する包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品などの被包装物を袋体の内部に収納してその上部をリボンなどの紐体で縛ることにより開口部を閉塞する包装袋や、いわゆる巾着袋型の包装袋、すなわち袋の開口部を折返して固定するなどして袋の上部に袋周面に沿った紐通し孔が設けられ、この紐通し孔に2本の紐を通してそれぞれの両端部を互いに結んで両側から各紐を引っ張ることにより開口部を閉塞するものなどが一般的に広く知られている。
【0003】
また、このような包装袋において、開口部を縛るテープが袋本体と一体になったものも知られている(特許文献1)。具体的には、この包装袋は、特許文献1に示すように、合成樹脂製の袋本体の開口周縁部に、該開口上辺と略平行で一端が一方の側辺に達するミシン目が設けられたものである。この包装袋は、使用時にミシン目に沿って切り裂くことにより袋本体に連設するテープが形成され、このテープを用いて絞られた袋本体の上部を縛ることにより開口部を閉塞するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3066527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記に列挙した各包装袋は各々種々の問題を有している。
【0006】
すなわち、袋体の上部を紐体で縛る単純な包装袋では、袋体の開口部を絞ってリボンによって縛る際にリボンの位置決めが難しいとともに、このリボンによって蝶々結びなど結びによる装飾をする場合などに途中で結び目が緩むなどして袋体の開口部を絞った状態で維持するのが困難になることがあり、このリボンの縛り作業性の点で問題を有する。
【0007】
一方、巾着型の包装袋では、各紐を反対側に引っ張るだけで開口部を閉塞できるため、作業性の点では良好であるものの、2本の紐を通す紐通し孔の形成に手間暇がかかるだけでなく、その形成やリボンの本数増によるコスト高が懸念されるところである。
【0008】
一方、特許文献1に記載の包装袋では、袋の一部を切り裂くことによりテープを形成することができることからコスト面では優れているものの、縛り作業については単純な包装袋と同様の問題があるばかりでなく、テープが袋本体に連設されていることから袋本体の上部がテープにより引っ張られバランスが悪くなることから、見た目が損なわれるという問題もある。
【0009】
すなわち、これらの各種包装袋では、縛り作業性、コスト、見た目のいずれかに欠点を有し、これらを全て満足するものではなかった。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、縛り作業性、コスト、見た目のいずれをも満足させる包装袋などの包装体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、この発明に係る包装体は、前後に互いに連通する連通孔が幅方向両端部に設けられた前後両壁部を少なくとも有し開口部を絞れるように構成された袋状の包装本体部と、一端部に他端部を挿通させる挿通ループ状部を有し、該一端部が上記前後両壁部の幅方向一方側の両連通孔に挿通されているとともに他端部が上記前後両壁部の幅方向他方側の両連通孔に挿通されていることにより両端部が上記包装本体部の同一側面側に配置され、上記包装本体部の開口部を絞止する絞止体とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
この発明によれば、上記のように構成されているので、絞止体の他端部を一端部の挿通ループ状部に挿通させることができ、さらに該他端部を引っ張ると、この絞止体によって包装本体部の開口部を所定の位置において絞った状態で維持することができる。しかも、絞止体の他端部を引っ張ることにより挿通ループ状部も引っ張られ、該ループ状部によってその内側を通した絞止体を押止することができるため、絞止体の他端部を離しても絞止体が直ちに緩むことが緩和され、この仮止状態で他端部を確実に結ぶことができ、包装体の縛り作業性を担保することができる。
【0013】
また、この包装体は、包装本体部の前後両壁部における幅方向両端部に連通孔を設け、これらの幅方向各端部の連通孔に絞止体の端部をそれぞれ挿通させた状態にするだけで良いので、簡易かつ低コストで製造することができる。
【0014】
加えて、包装本体部と絞止体とを別体に構成しているため、包装本体部の上端部に偏りが生じることがなく、見た目を損なうことがない。しかも、絞止体の他端部を挿通ループ状部に通して引っ張ることにより包装本体部の開口部を絞った状態で仮止めすることができるので、装飾性を伴った結び目を簡単かつ確実に作ることができ、見た目を向上させることも可能になる。
【0015】
この発明において、上記絞止体は、一本の紐体の一端部だけを所定範囲だけ折返し、この折返し端部を紐体に接合させることにより構成されるものや、別途製作したループ部を紐体の一端部に接合させるもの等であってもよく、その具体的構成を特に限定するものではないが、上記絞止体は、長尺の紐体が二つ折りにされることにより構成されているのが好ましい。この場合、紐体において折り返される折返し部分は、紐体の丁度真ん中だけに限定されるものではない。紐体を折り返した場合に、絞止体の一端部である折返し部が包装本体部の幅方向一方側の連通孔に挿通されるとともに、絞止体の他端部である紐体の両端部(両遊端部)がともに、包装本体部の幅方向他方側の連通孔に挿通される状態であれば、折返し部分の位置を特に限定するものではない。
【0016】
このように構成すれば、長尺の紐体を二つ折りにするだけで、一端部に折返しによるループ状部を構成することができ、しかもこの折返し部分を接合等する必要もないので、絞止体を極めて簡単かつ低コストで構成することができる。しかも、絞止体の他端部が、二つ折りされた紐体の両端部によって構成されるので、この紐体の両端部を用いて挿通ループ状部に係合する結び目等を構成することができ、簡単且つ迅速に包装本体部の開口部を絞った状態で維持することができる。しかも、この紐体の両端部を用いて、蝶々結びなど装飾性を伴った結び目を作ることにより、見た目を簡単に向上させることができる。
【0017】
また、この発明において、包装本体部は、内部に被包装物を収納することができ、開口部を絞れるように構成された袋状のものであれば、その具体的構成を特に限定するものではない。例えば、包装体について、底部に上方に開口する箱体を有し、この箱体の上部に連設された筒状の柔軟な素材(例えば布地、不織布、ビニール等の合成樹脂)を含んで構成され、この柔軟な素材部分で開口部を絞って絞止するものであってもよいが、上記包装本体部は、全体が柔軟な素材により構成されているのが好ましい。
【0018】
このように構成すれば、この柔軟な素材で包装本体部を一気に作製することができ、製造コストを抑えることができ、また嵩張ることがないので、運搬や保管等においても有利である。
【0019】
上記絞止体の具体的構成は特に限定するものではなく、布、麻、化学繊維、紙、革などの各種素材で作製された種々の紐体等であればよい。また、連通孔についても円形、楕円形、長円形、矩形等、その具体的構成については特に限定されるものではない。例えば上記絞止体は、細幅帯状の織物紐として構成され、上記連通孔は、上下に切り込まれ上記絞止体幅に対応したスリットとして構成されているのが好ましい。
【0020】
このように構成すれば、絞止体が細幅帯状の織物紐(具体的にはリボンなど)として構成され、この絞止体の幅に対応したスリットが連通孔として包装本体部に設けられているので、絞止体と連通孔の周縁部との摩擦により絞止体の不測の引き抜きを抑制することができ、また該摩擦によって絞止体の挿通ループ状部とともに絞止体を効果的に仮止めすることができる。
【0021】
この発明において、上記絞止体は、装飾品やタグなどを取り付けず、そのままで用いることもできるが、上記連通孔を通して上記絞止体の一端部を引き抜く場合に連通孔の周縁部に係合して上記絞止体の引き抜きを防止する引き抜き防止具が上記絞止体の挿通ループ状部に取り付けられているのが好ましい。
【0022】
このように構成すれば、引き抜き防止具によって絞止体一端部の不測の引き抜きを効果的に抑制することができる。また、縛り作業時にこの引き抜き防止具を引っ張ることにより、絞止体の挿通ループ状部を簡単に引き出して絞止体の他端部を該挿通ループ状部に挿通させることができ、縛り作業性を向上させることもできる。さらに、この引き抜き防止具として、商品説明や値札、デザインカードなどのタグや、造花やリボン装飾などの装飾品を兼用することにより、利便性や装飾性をさらに向上させることができる。
【0023】
この発明に係る別の態様の包装体は、前後に互いに連通する連通孔が幅方向両端部に設けられた前後両壁部を少なくとも有し開口部を絞れるように構成された袋状の包装本体部と、一端部に上記包装本体部の上端部を挿通させる挿通ループ状部を有し、該一端部が上記包装本体部の幅方向一方側の各連通孔に挿通されているとともに他端部が上記包装本体部の幅方向他方側の各連通孔に挿通されていることにより両端部が上記包装本体部の同一側面側に配置され、上記包装本体部の開口部を絞止する絞止体とを備えることを特徴とするものである。
【0024】
この発明によれば、上記請求項1に係る包装体と同様に、上記包装本体部の上端部を絞止体の一端部の挿通ループ状部に挿通させて引っ張ると、この絞止体によって包装本体部の開口部を絞った状態で維持することができる。しかも、絞止体の他端部を引っ張ることにより挿通ループ状部も引っ張られ、包装本体部の上端部も連通孔を有する高さ位置で絞られるので、この絞りに伴い連通孔に挿通された絞止体を押止することができるため、絞止体の他端部を離しても絞止体が直ちに緩むことが緩和され、この仮止状態で他端部を確実に結ぶことができ、包装体の縛り作業性を担保することができる。また、この包装体においても、簡易かつ低コストで製造することができるとともに、包装本体部と絞止体とを別体に構成しているため、包装本体部の開口部に偏りが生じることがなく、見た目を損なうことがない。
【0025】
なお、これらの発明において、上記連通孔の上下方向中心部を、上記前後両壁部の高さに対して該両壁部の上端から4分の1から3分の1の範囲内に設定することもできる。
【0026】
このように構成すれば、絞止体によって包装本体部の開口部を絞止した状態で、該包装本体部の上部を折り返すなどして装飾することもでき、包装状態における見た目を更に向上させることもできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る包装体によれば、簡単な構成で、絞止体によって包装本体部の開口部を絞った状態で維持することができるとともに、この絞った状態で絞止体を押止することができるため、絞止体の他端部を離しても絞止体が直ちに緩むことが緩和され、この仮止状態で他端部を確実に結ぶことができ、包装体の縛り作業性を担保することができる。また、この包装体によれば、簡易かつ低コストで製造することができ、しかも包装本体部の開口部に偏りが生じることがなく、見た目を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装体を示す正面図である。
【図2】同包装体を示す背面図である。
【図3】同包装体を示す分解図である。
【図4】同包装体による包装工程を示す説明図であり、(a)は初期状態、(b)は挿通工程、(c)は絞り工程、(d)は結束工程、(e)は包装状態を示す。
【図5】本発明の第2実施形態に係る包装体を、包装前後で示す正面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る包装体を、包装前後で示す正面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る包装体を、包装前後で示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態における包装体は、被包装物の形状や大きさに応じて大きさや素材を種々変更することができ、その具体的な例示については後述するが、被包装物としては、例えば、アクセサリー、ミニコスメ、ハンカチなどの小物から、お菓子、財布、ポーチ、CDなどの中程度の大きさのもの、ステーショナリー、ベビー用品、ランジェリー、ぬいぐるみ、衣料品など比較的大きなもの至るまで多種多様なものが挙げられる。
【0030】
図1は本実施形態の包装袋を示す正面図であり、図2は同包装袋を示す背面図である。なお、これらの図中、+X方向を右方向、+Y方向を上方向として説明するが、これはあくまでも説明の便宜のためであり、各々相対的な位置関係を示すに過ぎない。
【0031】
これらの図に示すように、包装袋1(包装体に相当)は、開口部3aを通して内部に被包装物(不図示)が収納されるとともにこの開口部3aを絞り可能に構成された袋本体部3(包装本体部に相当)と、この袋本体部3の開口部3aを絞止する(絞って止める)絞止用リボン5(絞止体に相当)とを備える。
【0032】
図3は、袋本体部と絞止用リボンとを分離した状態で包装袋を示す正面図である。以下、図1〜図3を用いて、包装袋1について具体的に説明する。
【0033】
袋本体部3は、正面視矩形状(縦長方形)を呈し、全体が合成繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエステルなど)からなる不織布により構成された柔軟かつ偏平な袋体である。
【0034】
具体的には、袋本体部3は、帯状の不織布が所定の長さで切断されて長手方向に二つ折りされて左右両側が溶着されることにより構成されている。これにより、袋本体部3は、前壁部31と、この前壁部31に対向する後壁部32とを備え、上方に開口する開口部3aを有する偏平な袋体として構成されている。また、袋本体部3は、全体が柔軟な不織布から構成されているので、その開口部3aを絞止可能に構成されている。
【0035】
この袋本体部3を構成する素材(材料)としては、不織布に限定されず、織布、紙、セロハン、プラスチックフィルム、プラスチックシート等が挙げられ、これらを単体または重ね合わせるなど組み合わせて使用することができる。
【0036】
また、袋本体部3は、上記のように、帯状の不織布を二つ折りしその両側を溶着して製造されるものだけでなく、例えば、上記溶着に代えて両側を縫製するもの、筒状の不織布を所定長さで切断し下端部を溶着するもの、2枚の不織布を重ねて開口部を除く3辺をシール或いは縫製するもの等であってもよく、その製造方法について特に限定されるものではない。
【0037】
前壁部31及び後壁部32は、その上部の左右両端部に前後両壁部31,32を前後に貫通することにより前後互いに連通する連通孔33,34がそれぞれ設けられている。この連通孔33,34は、上下に延びて絞止用リボン5が挿通されるスリット部33a,34aと、これらのスリット部33a,34aの両端部に配置された微小な円孔33b,34bとを備え、この円孔33b,34bによって引き裂き力を分散させてスリット部33a,34aの拡大を抑制するものとなされている。なお、左右の連通孔33,34は、前壁部31または後壁部32の同一高さ位置に設けられている。
【0038】
スリット部33a,34aの上下幅は、絞止用リボン5の幅に対応して設定され、具体的には絞止用リボン幅5よりも若干広く寸法設定されている。このように連通孔33,34について、スリット部33a,34aを有して構成されているので、連通孔33,34が目立たず見た目が良好になる。しかも、このスリット部33a,34aが絞止用リボン5の幅に対応して設定されることにより、この連通孔33,34に挿通される絞止用リボン5と連通孔33,34との接触範囲が増え、これが該絞止用リボン5の挿通抵抗となって、絞止用リボン5の不測の引き抜きが効果的に抑制される。
【0039】
なお、これらの連通孔33,34の配置位置は特に限定されるものではないが、連通孔33,34の上下方向中心を、前後両壁部31,32の高さに対して該両壁部31,32の上端から4分の1から3分の1の範囲内に設定するのが好ましい。本実施形態では、連通孔33,34の上下方向中心が、前後両壁部31,32の上端から各壁部31,32の4分の1程度に設定されている。このように、連通孔33,34を上記の範囲内に設けることにより、袋本体部3の開口部3aを絞止した状態においても該袋本体部3の上端部を活用することができ、この上端部を折り曲げるなど、その装飾性を高めることもできる。
【0040】
また、この連通孔33,34は、例えば複数枚の袋本体部3を重ね、この連通孔33,34の形状に対応する金型を所定の位置にセットして、プレス機(不図示)で複数枚の前後両壁部31,32を一気に貫通させて作製することができる。
【0041】
一方、絞止用リボン5は、袋本体部3の開口部3aを絞った状態で止めるものであり、細幅帯状の織物紐、いわゆるリボンなどによって構成され、該長尺のリボン50が長手方向中間部で折り返される(二つ折りされる)ことにより構成されている。
【0042】
具体的には、この絞止用リボン5は、リボン50の二つ折り状態で、その長さが袋本体部3の幅よりも長く寸法設定され、本実施形態では袋本体部3の幅の1.4倍に設定されている。なお、この絞止用リボン5の長さは、袋本体部3の幅の1.2倍以上、2.0倍以下に設定されるのが好ましい。すなわち、絞止用リボン5の長さが袋本体部3の幅の1.2倍よりも小さければ、包装袋1の取扱いにあたって不測に絞止用リボン5が袋本体部3から脱落するするおそれがあり、一方2.0倍よりも大きければコスト増になるばかりか、長尺になり過ぎて結束時等の取扱いが不便になる。
【0043】
この絞止用リボン5は、上記のようにリボン50が二つ折りされることにより、一端部51に他端部52を挿通させる挿通ループ状部51aが設けられ、他端部52にリボン50の2本の遊端部52aが配置される。すなわち、挿通ループ状部51aは、リボン50の折返し部として構成されている。なお、この絞止用リボン5の幅は、装飾性や絞止作業の容易性等を勘案の上、適宜設定される。
【0044】
また、絞止用リボン5の他端部に配置される遊端部52aは互いに揃っている必要はなく(折返し部から遊端部52aまでの長さがそれぞれ揃っている必要はなく)、後述するように、絞止用リボン5が袋本体部3に取り付けられた状態で、2本の遊端部52aがともに連通孔34に挿通される状態であれば、各遊端部52aの位置が互いにずれていても良い。
【0045】
この絞止用リボン5は、例えば次のようにして袋本体部3に取り付けられる。すなわち、絞止用リボン5の一端部51を、袋本体部3の正面側からその前壁部31における左側連通孔34に挿入し、続いて後壁部32における左側連通孔34に挿入する。言い換えれば、絞止用リボン5の一端部51を、袋本体部3の正面側からその前後両壁部31,32における左側両連通孔34,34にそれぞれ挿通する。
【0046】
次に、袋本体部3の背面側に配置された一端部51を、前後両壁部31,32の右側両連通孔33,33にそれぞれ挿通し、絞止用リボン5の両端部51,52を、それぞれ連通孔33,34を通じて袋本体部3の正面側に配置する。
【0047】
これにより、絞止用リボン5は、一端部51が前後両壁部31,32の幅方向右側の両連通孔33,33に挿通されているとともに、他端部52が前後両壁部31,32の幅方向左側の両連通孔34,34に挿通されることにより、両端部51,52が袋本体部3の正面側に配置された状態となっている。
【0048】
この包装袋1により被包装物を包装する場合には、例えば次の手順により行われる。図4は、包装手順を示す説明図である。
【0049】
図4(a)は、包装袋1の初期状態を示す。まず、この初期状態において、包装袋1における袋本体部3の内部に開口部3aを通じて被包装物を収納する。
【0050】
次に、絞止用リボン5の両端部51,52を把持し、図4(b)に矢印で示すように、一端部51の挿通ループ状部51aに、他端部52の遊端部52aを2本とも挿通し、続いて該両遊端部52a,52aを引くことにより絞止用リボン5によって袋本体部3の上部が連通孔33,34の高さ位置で絞られ(図4(c)の絞り部37を参照)、これにより袋本体部3の開口部3aも絞った状態で閉塞される。このように、連通孔33,34の高さ位置によって、絞止用リボン5の絞止位置が決まるので、簡単に袋本体部3の開口部3aを所定の位置で絞ることができる。
【0051】
このとき、絞止用リボン5の他端部52を引っ張ることにより挿通ループ状部51aも引っ張られ、該ループ状部51aによってその内側を通した絞止用リボン5が所定位置において押止される。このため、絞止用リボン5の他端部52を離してもこの絞止用リボン5が直ちに緩むことが緩和され、絞止用リボン5を袋本体部3の開口部3aを絞った状態で仮止めすることができる。
【0052】
この仮止め状態で、さらに絞止用リボン5の他端部における遊端部52aをそれぞれ摘んで、図4(c)に矢印で示すように、各遊端部52aをそれぞれ左右に開く。続いて、図4(d)に示すように、この各遊端部52aを蝶々結びすれば、この結び目が挿通ループ状部51aに係合することにより、図4(e)に示すように、絞止用リボン5によって袋本体部3を確実に絞止することができる。
【0053】
このとき、この絞止用リボン5の遊端部52aを蝶々結びする場合の一連の作業は、絞止用リボン5の仮止め状態で一気に行うことができ、絞止用リボン5の他端部52をその絞止状態を可及的に緩めることなく、確実に結ぶことができる。このため、包装袋1における袋本体部3の絞止用リボン5による縛り作業性が簡単かつ確実になる。
【0054】
なお、本実施形態の包装袋1では、絞止用リボン5がリボン50によって構成され、この絞止用リボン5の幅に対応したスリット部33a,34aが連通孔33,34として袋本体部3に設けられているので、絞止用リボン5と連通孔33,34の周縁部との摩擦により絞止用リボン5の不測の引き抜きをより確実に抑制することができ、また該摩擦によって上記仮止め効果を一層顕著に得ることができる。
【0055】
また、この包装袋1は、袋本体部3の前後両壁部31,32における左右の連通孔33,34を一気に穿設することができ、しかも複数枚の袋本体部3を重ねることによりこれらの連通孔33,34を一気に穿設することができる。また、この袋本体部3の連通孔33,34にリボン50を二つ折りして構成された絞止用リボン5を挿通させるだけで包装袋1を製造することができる。従って、この包装袋1は、簡易かつ低コストで製造することができる。
【0056】
加えて、袋本体部3と絞止用リボン5とを別体に構成しているため、図4(c)に示すように袋本体部3を絞った状態にしても、袋本体部3の上端部が絞止用リボン5によって一方側に引っ張られることがなく、このため袋本体部3の上端部に偏りが生じることがなく、バランスのとれた良好な見た目を呈する。
【0057】
しかも、上記のように、絞止用リボン5の他端部52を引っ張ることにより袋本体部3を絞った状態で絞止用リボン5を仮止めすることができ、その他端部52における遊端部52aの蝶々結びを簡単かつ確実に作ることができるので、見た目を一層向上させることができる。さらに、図示していないが、絞り部37よりも上側の袋本体部3を折り返す等して装飾性を高めることもできる。
【0058】
また、本実施形態の包装袋1では、袋本体部3の前後両壁部31,32の左右両端部に連通孔33,34が設けられているので、連通孔33,34に邪魔されることなく、袋本体部3の比較的広い範囲に印刷等を施すことができ、さらに見た目を良好なものにすることができる。
【0059】
なお、以上に説明した包装袋1は、本発明の包装体の一実施形態であり、その具体的構成等についてはその趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、本実施形態の変形例について説明する。
【0060】
(1)上記実施形態では、絞止用リボン5の一端部51における挿通ループ状部51aに、絞止用リボン5の他端部52である遊端部52aが挿通されるものとなされているが、この挿通ループ状部51aには他端部52に代えて袋本体部3の上端部を挿通させるものであってもよい。
【0061】
具体的には、第2実施形態の包装袋10は、図5(a)に示すように、基本構成としては上記実施形態の包装袋1と同様に構成されているものの、この挿通ループ状部51aには他端部52に代えて袋本体部3の上端部を挿通させるものとなされている。
【0062】
この第2実施形態の包装袋10においても、上記包装体1と同様に、袋本体部3の開口部3aを絞った状態で、袋本体部3の上端部を絞止用リボン5の一端部51の挿通ループ状部51aに挿通させて引っ張ると、図5(b)に示すように、この絞止用リボン5によって袋本体部3の開口部3aを絞った状態で維持することができる。しかも、絞止用リボン5の他端部52を引っ張ることにより挿通ループ状部51aも引っ張られ、袋本体部3の上端部も連通孔33,34の高さ位置で絞られるので、この絞りに伴い絞止用リボン5を押止することができるため、絞止用リボン5の他端部52を離してもこの絞止用リボン5が直ちに緩むことが緩和され、この仮止状態で他端部52を確実に結ぶことができ、包装袋10の縛り作業性を担保することができる。また、この包装袋10においても、簡易かつ低コストで製造することができるとともに、袋本体部3と絞止用リボン5とを別体に構成しているため、袋本体部3の開口部3aに偏りが生じることがなく、見た目を損なうことがない。
【0063】
(2)上記実施形態では、包装体としての包装袋1は、袋本体部3と絞止用リボン5とを備えているが、これらに加えて連通孔33を通して絞止用リボン5の一端部51を引き抜く場合に連通孔33の周縁部に係合して絞止用リボン5の引き抜きを防止する引き抜き防止具が絞止用リボン5の挿通ループ状部51aに取り付けられているものであっても良い。
【0064】
すなわち、第3実施形態の包装袋11は、図6(a)に示すように、袋本体部3と絞止用リボン5とに加え、引き抜き防止具7が設けられている。
【0065】
この引き抜き防止具7は、袋本体部3の幅方向右側の連通孔33よりも大きくなるように寸法設定され、上端部に絞止用リボン5を挿通するための挿通孔72が穿設された本体部71を備え、絞止用リボン5の一端部51を引き抜く場合に連通孔33の周縁部に係合して絞止用リボン5の引き抜きを防止するものとなされている。
【0066】
具体的には、この引き抜き防止具7は、本第3実施形態では星形に象られた装飾品として構成され、正面視におけるいずれの姿勢においてもその最大幅が連通孔33の最大幅よりも大きく設定されている。
【0067】
なお、この引き抜き防止具7は、上記のように星形に限定されるものではなく、円形、矩形、筒形、その他の形状であってもよく、その形状が特に限定されるものではない。また、その素材についても、厚紙などの紙類、布地、プラスチックフィルムやフィルムシート等、特に限定されるものではない。
【0068】
この第3実施形態の包装袋11では、絞止用リボン5の他端部52が不測に引っ張られても、引き抜き防止具7によって絞止用リボン5における一端部51の不測の引き抜きを効果的に防止することができる。また、縛り作業時に絞止用リボン5の一端部51の連通孔33からの突出量が小さくても、この引き抜き防止具7を引っ張ることにより、絞止用リボン5の挿通ループ状部51aを簡単に引き出すことができ、縛り作業性を向上させることもできる。さらに、この引き抜き防止具7が星形の装飾品として構成されているため、装飾性を向上させることができ、しかも被包装物の内容を記載するなどタグとしての機能をも兼用させることにより利便性も向上させることができる。
【0069】
加えて、この包装袋11では、引き抜き防止具7が挿通ループ状部51aに取り付けられているので、図6(b)に示すように、絞止用リボン5を絞止した状態では、引き抜き防止具7が袋本体部3の幅方向中央部に位置することになり、この引き抜き防止具7を目立たせることができる。
【0070】
なお、この第3実施形態の包装袋11では、絞止用リボン5を袋本体部3にセットする場合には、絞止用リボン5の他端部52を順次連通孔33,34に挿通させることになる。
【0071】
(3)上記第3実施形態では、引き抜き防止具を絞止用リボンの一端部に取り付けたものについて説明したが、この引き抜き防止具は絞止用リボンの他端部に設けるものであってもよい。
【0072】
すなわち、第4実施形態の包装袋11は、図7(a)に示すように、袋本体部3と絞止用リボン5とに加え、引き抜き防止具8,9が設けられている。
【0073】
この引き抜き防止具8,9は、絞止用リボン5の他端部52の遊端に接合されるとともに、袋本体部3の幅方向右側の連通孔34よりも大きくなるように寸法設定され、これにより絞止用リボン5の他端部52を引き抜く場合に連通孔34の周縁部に係合して絞止用リボン5の引き抜きを防止するものとなされている。
【0074】
具体的には、この引き抜き防止具8,9は、第4実施形態では、星形又は月形に象られた装飾品として構成され、いずれもが正面視におけるいずれの姿勢においてもその最大幅が連通孔34の最大幅よりも大きく設定されている。
【0075】
なお、この引き抜き防止具8,9は、その形状、素材が特に限定されるものではないことは上記第3実施形態と同様である。
【0076】
この第4実施形態の包装袋12でも、絞止用リボン5の一端部51が不測に引っ張られ
ても、引き抜き防止具8,9によって絞止用リボン5における他端部52の不測の引き抜きを効果的に防止することができる。また、縛り作業時に絞止用リボン5の他端部52の連通孔34からの突出量が小さくても、この引き抜き防止具8,9を引っ張ることにより、絞止用リボン5の他端部52を簡単に把持することができ、縛り作業性を向上させることもできる。
【0077】
また、これらの引き抜き防止具8,9が装飾品として構成されているため、図7(b)に示す包装状態においても、装飾性を向上させることができ、しかも被包装物の内容を記載するなどタグとしての機能をも兼用させることにより利便性も向上させることができる。
【0078】
なお、この第4実施形態の包装袋12では、絞止用リボン5を袋本体部3にセットする場合には、絞止用リボン5の一端部51を順次連通孔34,33に挿通させることになる。
【0079】
(4)上記各実施形態では、包装本体部としての袋本体部3が偏平な袋体として構成されているが、該包装本体部は襠を有する袋体であってもよく、また上方に開口する箱体とこの箱体の開口部に接続された柔軟な素材からなる筒状体とを含んで構成されるものであっても良い。要は、内部に被包装物を収納することができ、開口部を絞った状態で止めることができるものであれば、その具体的構成は特に限定されるものではない。
【0080】
ただし、上記各実施形態のように、袋本体部3の全体が柔軟な素材によって構成される場合には、袋本体部3を一気に作製することができ、製造コストを抑えることができ、また一部に箱体を用いる場合に比べて、運搬、保管等にあたっても嵩張ることがないため利便性を向上させることができる。
【0081】
(5)上記各実施形態では、絞止体として絞止用リボン5を用いているが、絞止体としてはこれに限定されるものではなく、紐、ロープ、バンド等、紐を含めた紐状のものであって、包装本体部の開口部を絞止可能であれば特に限定されるものではない。
【0082】
また、上記各実施形態では、絞止体としての絞止用リボン5が長尺のリボン50が二つ折りにされることにより構成されているが、絞止体としてはこれに限定されるものではない。例えば、絞止体として、一本の紐の一端部だけを所定長さだけ折返し、この折返し端部を紐体の所定位置に接合することにより一端部に挿通ループ状部が設けられたものや、又は別途作製したループ部を紐体の一端部に接合させたものであってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 包装袋
3 袋本体部(包装本体部に相当)
3a 開口部
5 絞止用リボン(絞止体に相当)
7 引き抜き防止具
31 前壁部
32 後壁部
33,34 連通孔
33a,34a スリット部
50 リボン(紐体に相当)
51 一端部
51a 挿通ループ状部
52 他端部
52a 遊端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後に互いに連通する連通孔が幅方向両端部に設けられた前後両壁部を少なくとも有し開口部を絞れるように構成された袋状の包装本体部と、
一端部に他端部を挿通させる挿通ループ状部を有し、該一端部が上記前後両壁部の幅方向一方側の両連通孔に挿通されているとともに他端部が上記前後両壁部の幅方向他方側の両連通孔に挿通されていることにより両端部が上記包装本体部の同一側面側に配置され、上記包装本体部の開口部を絞止する絞止体とを備えることを特徴とする包装体。
【請求項2】
上記絞止体は、長尺の紐体が二つ折りにされることにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の包装体。
【請求項3】
上記包装本体部は、全体が柔軟な素材により構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の包装体。
【請求項4】
上記絞止体は、細幅帯状の織物紐として構成され、
上記連通孔は、上下に切り込まれ上記絞止体幅に対応したスリットとして構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項5】
上記連通孔を通して上記絞止体の一端部を引き抜く場合に連通孔の周縁部に係合して上記絞止体の引き抜きを防止する引き抜き防止具が上記絞止体の挿通ループ状部に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項6】
前後に互いに連通する連通孔が幅方向両端部に設けられた前後両壁部を少なくとも有し開口部を絞れるように構成された袋状の包装本体部と、
一端部に上記包装本体部の上端部を挿通させる挿通ループ状部を有し、該一端部が上記包装本体部の幅方向一方側の各連通孔に挿通されているとともに他端部が上記包装本体部の幅方向他方側の各連通孔に挿通されていることにより両端部が上記包装本体部の同一側面側に配置され、上記包装本体部の開口部を絞止する絞止体とを備えることを特徴とする包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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