説明

包装容器のための逃がし弁

本発明は、包装容器(5)のための逃がし弁(10,10a,40)に関し、該逃がし弁は支持体(11,11a,50)とダイヤフラム(22,22a,48)とから成っている。支持体(11,11a,50)に凹部(15,15a,42)を設けてある。ダイヤフラム(22,22a,48)は凹部(15,15a,42)を覆っていて、発生したガスの、貫通孔(19,20,44)からの流出を可能にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器のための逃がし弁に関する。
【0002】
ドイツ連邦共和国特許第3147321C2号明細書に記載の逃がし弁は、カップ状若しくはキャップ状の支持体を有しており、該支持体は側壁としての環状のフランジ領域を有しており、フランジ領域は、包装容器を形成するための帯材の内面に結合されるようになっている。ダイヤフラムは、該ダイヤフラムの縁が支持体に対して遊びを有するように支持体のベースに配置されている。ダイヤフラムは、適当な押さえ部材によって支持体のベースに向けて締め付けられようになっている。このように該公知の逃がし弁は3つの構成部分を必要としており、特に支持体内へのダイヤフラム及び押さえ部材の組み付けは煩雑である。
【0003】
請求項1に記載の構成を有する本発明に基づく逃がし弁においては利点として、逃がし弁はもっぱら2つの構成部分から成るものであり、従って経済的に製造可能である。
【0004】
本発明に基づく逃がし弁の有利な構成を従属請求項に記載してある。本発明の有利な実施態様では、凹部は、互いに部分的に重ねられた少なくとも2つの円のなす形状を有している。このような特殊な形状の凹部によって、逃がし弁の特に良好な応答特性が得られ、即ち、逃がし弁は例えばすでに2ミリバールの過圧で開く。
【0005】
凹部を、商号若しくは保護された商標の形状で形成することも可能であり、これによって逃がし弁の良好な識別効果が得られる。さらに有利には、弁ダイヤフラムの上面と支持体の縁部領域の上面との間に、所定の間隙(間隔)を設けてある。これによって、包装容器同士が互いに密接している場合にも、包装容器の開口部へのガスの確実な流過を保証することができる。ダイヤフラムをストリップ状に形成することによって、ダイヤフラムの特に簡単な成形と共に包装容器の開口部へのガスの流過路の形成が達成される。
【0006】
次に本発明を図示の実施例に基づき詳細に説明する。図面において、
図1は、本発明に基づく逃がし弁の平面図であり、
図2は、図1のII−II線に沿った断面図であり、
図3は、図1及び図2の逃がし弁に用いられるダイヤフラムの平面図であり、
図4は、本発明に基づく別の逃がし弁の平面図であり、
図5は、接着剤によって包装容器に結合される形式の本発明に基づく逃がし弁の断面図であり、
図6は、逃がし弁を備えた包装容器の斜視図である。
【0007】
図1及び図2には、第1の逃がし弁(放圧弁)10を示してある。逃がし弁10はプラスチック、特にポリエチレンから成る支持体11を有しており、支持体は有利には射出成形によって製造されている。実施例では支持体11は平面図で見て円形の形状を有しているものの、別の形状、例えば正方形の形状を有していてもよい。支持体11は扁平なカップ状の物体として形成されていて、図2から明らかなように、中央領域12に対して高くなっている環状の縁部領域13を有している。縁部領域13の上面は、断面で見てほぼ三角形の同じく環状の1つの隆起部14を有している。隆起部14のこのような形状は、逃がし弁10若しくは支持体11を超音波溶接(若しくは別の熱封止手段)によって包装容器に結合することを可能にするものである。これとは異なって、有利には互いに同心的に配置された複数の隆起部14を設けることも可能である。中央領域12に凹部15を設けてあり、該凹部は、互いに部分的に重ねられた2つの円16,17によって描かれた輪郭の形状を有している。凹部15は中央領域12の表面18からほぼ0.2mmだけ低くなっている。有利な実施例では、支持体11において各円16,17の中心点にそれぞれ貫通孔19,20を設けてある。貫通孔19,20の直径は例えば1mmである。凹部15は支持体11に対して中心に位置決めして配置されている。
【0008】
中央領域12の上面18には部分的にダイヤフラム22を張設してある。図3に個別に示してあるダイヤフラム22は、縁部領域13の内側輪郭23に適合された形状を有しており、この場合、相対する両方の側にそれぞれ直線的な縁24,25を設けてある。同じくプラスチック、有利にはポリエステルから成るダイヤフラム22は、最大ほぼ0.1mmの厚さを有していて、該ダイヤフラムの材料(封止可能な被覆を備えたポリエステル)に基づき支持体11の中央領域12の上面18に対して封止される。
【0009】
支持体11の内側輪郭23内でのダイヤフラム22の配置は、縁24,25が円16,17の中心点を通る中心点軸線26に対して垂直を成すように行われる。これによって、縁24,25と支持体11の内側輪郭13との間にそれぞれダイヤフラムのない区域27,28が生じている。
【0010】
図1にはさらに、相対する2つの封止区域31,32を示してあり、該封止区域を介してストリップ状のダイヤフラム22と支持体11の表面18との結合が行われる。図面から明らかなように、封止区域31,32は縁24,25の外側の領域からダイヤフラム22のそれぞれ円弧形の輪郭33,34まで達している。
【0011】
支持体11の中央領域の上面18とダイヤフラム22との間に、シール液、特にシリコンオイルを設けてある。さらに図2から明らかなように、弾性的なダイヤフラム22の上面と支持体11の縁部領域の上面との間に所定の間隔aを設けてある。
【0012】
図5に示す逃がし弁10aは、図1及び図2の逃がし弁10に対して次の点で異なっており、即ち、支持体11の縁部領域13aの上面に環状の接着剤層37を施してある。接着剤層37は、逃がし弁10における三角形の隆起部14の代わりに、逃がし弁10aと包装帯材3の内面2との結合のために用いられている。包装帯材3は、例えばコーヒーの包装のために用いられる包装容器(図5には、図示せず)の構成部分である。縁部領域13内側で包装帯材3に複数の開口部4を設けてある。開口部4は、一般的に公知であるように例えば適当な突き刺し器具を用いて、包装帯材3への逃がし弁10aの装着に際して若しくは装着の後に生ぜしめられ、この場合に開口部4の数及び大きさは、使用例に応じて異なっていてよい。
【0013】
逃がし弁10,10aの機能について述べると、包装品内に生じるガスは該ガスの過圧に基づき、まず貫通孔19,20内に入り込む。ガスの過圧は凹部15内でダイヤフラム22の、凹部に向いた側に作用し、その結果、内圧の十分に高い場合にダイヤフラム22は封止区域31と封止区域32との間で持ち上がり、凹部15からダイヤフラムのない区域27,28へ延びる通路を形成し、該通路を介してガスは支持体11,11aの中央領域の上面18とダイヤフラム22との間を通して導き出される。ダイヤフラムのない区域27,28から、ガスは包装品の包装帯材3の開口部4を経て周囲に達する。包装品内の過圧が消滅すると、通路は再び閉じ、その際にダイヤフラム22と支持体11,11aの中央領域の上面18との間に施されているシール液は、周囲、即ち大気に対するシール作用を生ぜしめ、その結果、空気が包装品内部に達することはない。実験により明らかなことは、互いに部分的に重なる2つの円16,17によって規定して形成された凹部15は特に低い、例えば2ミリバールの開放圧力を可能し、即ち、包装品内の極めて低い過圧で逃がし弁10,10aを開き、ひいては包装品内の過圧を消滅させる。
【0014】
包装容器5への逃がし弁10,10aの適当な配置を、図6に示してある。図6に示してあって例えばコーヒーの包装のために用いられる直六面体状の包装容器5は、包装帯材の裁断片からそれ自体公知の適当な包装容器製造装置を用いて製造される。充填された包装容器5は、封止されたトップ閉鎖部6並びに、包装容器の下側の封止されたボトム閉鎖部7を有している。図示の実施例では逃がし弁10は1つの側壁8の内面に取り付けられており、外側からは逃がし弁10と包装材との超音波溶接による円形の輪郭9並びに側壁8の開口部38が見えている。
【0015】
図4に別の逃がし弁40を示してある。該逃がし弁40は、前述の逃がし弁10,10aに対して、凹部42を図案化されたアンカーマーク43の形状で形成してあることによって異なっている。保護された図形商標であるアンカーマーク43の形状は、外部から逃がし弁40の製造者の識別を可能にするものである。逃がし弁40の中央領域で凹部42内に3つの貫通孔44を設けてある。ダイヤフラムのない区域45,46は、3つの貫通孔44を通る軸線47に対して平行にダイヤフラム48の外側にある。支持体50の上面へのダイヤフラム48の結合は、ストリップ状のダイヤフラム48の側方の領域と凹部42の外側の結合区域51,52との間で行われ、即ちダイヤフラム48は、貫通孔44とダイヤフラムのない区域45,46との間の領域では、支持体50と結合されておらず、その結果、ガスはダイヤフラムのない区域45,46へ逃がされる。
【0016】
前述の逃がし弁10,10a,40は、本発明の枠を逸脱することなしに多様に変更可能であり、本発明の要旨は、逃がし弁10,10a,40がもっぱら2つの構成部分からのみ成っており、即ち支持体11,11a,50とダイヤフラム22,48とから成っており、両方の構成部分(支持体とダイヤフラム)が紛失防止のために互いに結合されており、前記支持体の貫通孔(逃がし孔)19,20,44の領域に凹部15,42を設け、該凹部が前記ダイヤフラム22,48によって覆われていることにある。別の実施例として、ダイヤフラム22,48は、超音波溶接を用いる代わりに接着によって支持体11,11a,50に結合されてよい。さらに凹部は、できるだけ小さい開放圧力を達成するために種々の形状で形成されていてよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】逃がし弁の平面図
【図2】図1のII−II線に沿った断面図
【図3】図1及び図2の逃がし弁に用いられるダイヤフラムの平面図
【図4】別の逃がし弁の平面図
【図5】さらに別の逃がし弁の断面図
【図6】逃がし弁を備えた包装容器の斜視図
【符号の説明】
【0018】
3 包装帯材、 4 開口部、 5 包装容器、 6 トップ閉鎖部、 7ボトム閉鎖部、 8 側壁、 9 輪郭、 10,10a 逃がし弁、 11 支持体、 12 中央領域、 13 縁部領域、 14 隆起部、 15 凹部、 16,17 円、 18 表面、 19,20 貫通孔、 22 ダイヤフラム、 24,25 縁、 26 中心点軸線、 27,28 区域、 31,32 封止区域、 37 接着層、 40 逃がし弁、 42 凹部、 43 アンカーマーク、 44 貫通孔、 45,46 区域、 47 軸線、 48 ダイヤフラム、 50 支持体、 51,52 結合区域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装容器(5)のための逃がし弁(10,10a,40)であって、2つの構成部分から成っており、カップ状の剛性の1つの支持体(11,11a,50)を含んでおり、該支持体は高くされた環状の縁部領域(13,13a)を有しており、該縁部領域の上面は、包装容器(5)の内面(2)を形成する包装帯材(3)に結合可能であり、前記支持体の中央領域(12)にガスのための少なくとも1つの逃がし孔(19,20,44)を設けてあり、並びに1つの弁ダイヤフラム(22,22a,48)を含んでおり、該弁ダイヤフラムは前記支持体(11,11a,50)の前記逃がし孔(19,20,44)を包装容器(5)内の所定の過圧まで閉鎖していて、該過圧が越えられた際に流出するガスのための通路を形成するようになっており、該流出するガスは、前記縁部領域(13,13a)の内側で包装容器(5)の包装帯材(3)に設けられた少なくとも1つの開口部(4,38)を経て包装容器(5)から流出するようになっており、この場合に前記弁ダイヤフラム(22,22a,48)は失われないように前記支持体(11,11a,50)に結合されており、前記中央領域(12)内で前記逃がし孔(19,20,44)の領域に少なくとも1つの凹部(15,15a,42)を設けてあることを特徴とする、包装容器のための逃がし弁。
【請求項2】
凹部(15,15a)は、互いに部分的に重ねられた少なくとも2つの円(16,17)のなす形状を有しており、各円(16,17)の中心点に逃がし孔(19,20)を設けてある請求項1に記載の逃がし弁。
【請求項3】
凹部(42)は、商号若しくは保護された商標(43)の形状を有している請求項1に記載の逃がし弁。
【請求項4】
弁ダイヤフラム(22,22a,48)は、支持体(11,11a,50)の縁部領域(13,13a)の内側の相対する少なくとも2つの側で支持体(11,11a,50)に結合されており、弁ダイヤフラム(22,22a,48)の上面と支持体(11,11a,50)の縁部領域(13,13a)の上面との間に、所定の間隔(a)を設けて、これによって包装容器(5)の開口部(4,38)へのガスの流過を可能にしてある請求項1から3のいずれか1項に記載の逃がし弁。
【請求項5】
支持体(11,11a,50)は、回転対称的な扁平な物体として形成されており、弁ダイヤフラム(22,22a,48)は、相対する両方の側に直線的な縁(24,25)を有していてストリップ状に形成されている請求項4に記載の逃がし弁。
【請求項6】
弁ダイヤフラム(22,22a,48)は、支持体(11,11a,50)と結合された領域(31,32,51,52)で、支持体(11,11a,50)の縁部領域(13,13a)まで達しており、かつ弁ダイヤフラム(22,22a,48)は、支持体(11,11a,50)と結合されていない領域で、支持体(11,11a,50)の縁部領域(13,13a)に対して離隔されていて、ガスのための流過路を生ぜしめるようになっている請求項5に記載の逃がし弁。
【請求項7】
支持体(11)の上面で包装容器(5)若しくは包装帯材(3)との結合領域に、支持体(11)と包装帯材(3)との間の相互の超音波溶接のための環状の少なくとも1つの隆起部(14)を形成してある請求項1から6のいずれか1項に記載の逃がし弁。
【請求項8】
支持体(11)の上面で包装容器(5)若しくは包装帯材(3)との結合領域に、接着剤層(37)を施してある請求項1から6のいずれか1項に記載の逃がし弁。
【請求項9】
凹部(15,15a,42)は、支持体の中央領域(12)に対してほぼ0.2mmの深さを有している請求項1から8のいずれか1項に記載の逃がし弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−507997(P2006−507997A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555994(P2004−555994)
【出願日】平成15年10月13日(2003.10.13)
【国際出願番号】PCT/DE2003/003388
【国際公開番号】WO2004/050505
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】