説明

包装容器

【課題】十分な記憶容量を備えた小型の情報記録媒体が添付され、当該情報記録媒体を、内容物を開封状態にすることなく取り出すことができるとともに容易に再生することのできる、包装容器を提供する。
【解決手段】包装容器は、複数のフィルムが、内容物の充填される空間を形成する第1の部分と、前記空間に対するシール領域を有するように前記第1の部分に隣接して拡がる第2の部分と、を有するように接合された状態に形成されたパウチと、前記パウチの前記第2の部分に設けられた封入領域に封入された、USBメモリあるいはカード型メモリからなる情報記録媒体とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物が密封充填される包装容器に関し、より特定的には、内容物に加えて情報記録媒体が添付されたパウチを備える包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食料品、飲料品、日用品、医薬品などを収容する包装容器に、これら内容物に加えて情報記録媒体を添付する技術が開示されている。当該情報記録媒体には、商品情報、キャンペーン情報、映像、音楽、ゲームといった商品の購入者に対して提供する情報が格納されている。購入者は、購入商品の開梱とともに情報記録媒体の取り出しが可能であり、情報記録媒体を再生機器で再生することにより、製造元あるいは販売元から提供された情報を取得することができる。
【0003】
特許文献1には、図9に示すように、カップ本体101の中に商品102と個包装された情報記録媒体103とが収容されるとともに蓋体104によりカップ本体101の開口部が密封された構成の包装容器P1が記載されている。ここでは、情報記録媒体103としてCDやDVDなどのディスク状の記録媒体が挙げられている。また、情報記録媒体103の個包装として、情報記録媒体103を樹脂フィルム等で作製された袋体P2の中に収納することが行われている。
【0004】
また、上記特許文献1の技術とは別に、商品や製品に関する情報が記録された媒体が商品あるいは製品に付加される例として、包装容器にICチップや無線ICタグを取り付ける技術が一般的に実施されている。
【0005】
また、情報記録媒体を添付する代わりに、包装容器に二次元バーコード等の読取りマークを印刷することも行われている。この場合には、商品の購入者に携帯端末のカメラ等を用いて当該読み取りマークを読み取らせる。そして、購入者にこれにより得たインターネットアドレスにアクセスさせることで、製造元あるいは販売元から購入者に商品情報やキャンペーン情報を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−27710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1の技術のように、内容物が密封される容器と同じ容器内に情報記録媒体が収容される構成では、商品の購入者は内容物を開封状態としなければ情報記録媒体から情報を取得することができない。従って、商品購入後にまず提供された情報だけを閲覧あるいは視聴して、内容物は後で開封したいという購入者の要望に応えることができない。また上記の収容態様では、購入者は、情報記録媒体の情報を再生するまでに、包装容器全体の開封を行って情報記録媒体を商品とは選別して取り出し、さらに情報記録媒体を個別の包装体から取り出してから、再生機器に装填する動作を行うこととなる。従って、購入者は、情報記録媒体を商品自体から分離するための多くのアクションを強いられ、情報再生意欲を削がれやすい。
【0008】
一方、包装容器にICチップや無線ICタグを取り付けることによる情報記録媒体の添付については、これら情報記録媒体は、内容物と分離された箇所に配置され得るものの、記憶容量が小さい上に、一般の購入者がこれらの情報記録媒体を読み取る装置を有していないことから、購入者向けの汎用の情報記録媒体としては採用しにくい。また、CDやDVDなどのディスク状の記録媒体は、大容量であって汎用の再生装置が普及しているが、包装容器に添付するには嵩張るほどの大きさであるので、単に貼り付けたり同梱したりする程度に留まり、購入者による取り扱いの利便性を配慮した添付レイアウトを提供するまでには至っていない。
【0009】
さらに、包装容器に二次元バーコード等の読取りマークを印刷することによる情報提供方法には、購入者に読取りマークを読み取る手間をかけさせることになるとともに、インターネットへの接続環境が整備されていない場所ではサービスを利用することができないという不都合が発生する。従って、この方法を情報記録媒体の包装容器への添付に代えることは難しい。
【0010】
以上のように、情報記憶媒体が添付された従来の包装容器には、十分な記憶容量を備えた小型の情報記録媒体を、内容物を開封状態にすることなく取り出すことができるとともに容易に再生可能なように添付する技術が提案されていなかった。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するものであり、十分な記憶容量を備えた小型の情報記録媒体が添付され、当該情報記録媒体を、内容物を開封状態にすることなく取り出すことができるとともに容易に再生することのできる包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明はパウチと情報記録媒体とを備えた包装容器である。前記パウチは、複数のフィルムが、内容物の充填される空間を形成する第1の部分と、前記空間に対するシール領域を有するように前記第1の部分に隣接して拡がる第2の部分とを有するように接合された状態に形成されている。前記情報記録媒体は、前記パウチの前記第2の部分に設けられた封入領域に封入されたUSBメモリあるいはカード型メモリからなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の構成によれば、USBメモリあるいはカード型メモリという小型大容量の情報記録媒体が、パウチに設けられた封入領域に封入されることで包装容器に一体化された状態に添付されている。当該情報記録媒体は、前記封入領域を開封することにより、内容物が充填された空間を開封することなく取り出すことが可能である。また、情報記録媒体がUSBメモリまたはカード型メモリであるので、包装容器から情報記録媒体を取り出した開封者は、身近な情報再生機器によって即座に情報を再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る包装容器の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の包装容器の一部の構成を正面から詳細に示す平面図である。
【図3】図1の包装容器をA−A’線で切断した場合の構成を示す断面図である。
【図4】図1の包装容器から情報記録媒体を取り出すときの状態を説明する図である。
【図5】包装容器から取り出した情報記録媒体を情報再生機器に接続する状態を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態の変形例に係る包装容器から情報記録媒体を取り出すときの状態を説明する図である。
【図7】図1の包装容器から内容物を取り出すときの状態を説明する図である。
【図8】本発明の実施形態の他の変形例に係る包装容器における情報記録媒体の封入領域の構成を示す断面図である。
【図9】従来技術を示すものであり、包装容器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について図1ないし図8を用いて説明すれば以下の通りである。
【0016】
〔包装容器の構成〕
図1に、本実施形態に係る包装容器1の外観斜視図を示す。
包装容器1は、パウチ2と情報記録媒体3とを備えている。
パウチ2は、第1の部分2aと第2の部分2bとを有するように、複数のフィルムが接合されて構成されている。第1の部分2aは、内容物が充填される空間50を形成する。当該内容物として、食品、飲料品、シャンプー、化粧品などを始め、任意のものが対象となる。第2の部分2bはパウチ2に剛性を付加する部分であり、空間50に対するシール領域を有するように第1の部分2aに隣接して拡がる。図1では、一例としてスタンディングパウチ(自立パウチ)の形態を有するパウチ2が示されている。
【0017】
第1の部分2aは、開封領域21、リクローズチャック22、および、収容本体領域23を、パウチ2の正面視において上部側から下部側に向かってこの順に連続して配置されるように備えている。開封領域21は、内容物を取り出すときに空間50を開封するための領域であり、上記正面視における水平方向に細長く延伸している。後述するように、上記正面視における開封領域21の両側方に設けられた開封ノッチN3・N4により空間50の開封が可能である。リクローズチャック22は、開封後の空間50を再封するために設けられた、開封領域21に平行に細長く延伸する領域である。リクローズチャック22は包装容器1に設けられていなくてもよい。収容本体領域23は、開封領域21およびリクローズチャック22を通して充填された内容物を保持する領域であり、空間50の大部分を形成する。
【0018】
第2の部分2bは、上部シール領域24、側部シール領域25、および、底部シール領域26を備えている。左右の側部シール領域をまとめて上記側部シール領域25と呼ぶ。ここで、「上部」、「側部」、および「底部」という表現は、パウチ2の正面視における位置関係を表す。
【0019】
上部シール領域24は第1の部分2aの開封領域21に隣接しており、少なくとも開封領域21との境界において空間50に対するトップシールを形成している。側部シール領域25は第1の部分2aの左右両側に1つずつ隣接して設けられており、少なくとも第1の部分2aとの境界において空間50に対するサイドシールを形成している。底部シール領域26は収容本体領域23の底部に隣接しており、少なくとも収容本体領域23との境界において空間50に対するボトムシールを形成している。当該底部シール領域26は、スタンディングパウチであるパウチ2においてはガセットを構成している。
【0020】
上部シール領域24は、タブ(第1のタブ)24aおよびタブ(第2のタブ)24bを備えている。タブ24bは第1の部分2aに隣接するように配置されており、上記トップシールを含んでいる。タブ24aは、図2の正面図に示すように、上部シール領域24の一方のサイドエッジE1を含む位置で、直線状の境界線B−B’を境にタブ24bの上部側に突設して隣接するように形成されている。当該境界線B−B’は、タブ24aを切除するためにパウチ周縁に設けられた開封ノッチ(第1の開封ノッチ)N1と開封ノッチ(第2の開封ノッチ)N2とを結んだ直線である。
【0021】
開封ノッチN1はサイドエッジE1上に形成されている。開封ノッチN2は、タブ24aとタブ24bとの境界の、サイドエッジE1とは反対側の端部に形成されている。また、開封ノッチN1と開封ノッチN2との中間位置に貫通孔Hが形成されており、タブ24aの切除をいっそう容易にしている。貫通孔Hと開封ノッチN1との間に後述の情報記録媒体3が封入された封入領域241が挟まれている。タブ24aはこの封入領域241を開封するためのタブとして機能する。貫通孔Hは、例えば長軸方向が境界線B−B’に沿った細長楕円形状をなす。貫通孔Hの代わりに、境界線B−B’に沿ってミシン目が設けられていてもよい。
【0022】
また、タブ24aとタブ24bとは、上部シール領域24の上端において、タブ24aの開封ノッチN2が底に位置するようなV字状の切欠きで分離されている。ここでは、特に、タブ24aのV字に沿う周縁が外に凸の滑らかな曲線形状をなしており、上記切欠きはν字状をなす。タブ24bはサイドエッジE1とは反対側のサイドエッジE2まで延設されており、空間50を開封するためのタブとして機能する。
【0023】
なお、上述したタブ24aとタブ24bとの境界線B−B’は、開封ノッチN1、貫通孔H、および開封ノッチN2によって規定されるものとして定めたものである。開封ノッチN1、貫通孔H、および開封ノッチN2のそれぞれは、包装容器1に必ずしも備わっている必要はなく、タブ24aが実際に切除されることとなった箇所がタブ24aとタブ24bとの境界として残る。
【0024】
上部シール領域24にはさらに、図2に示すように、開封ノッチN1と貫通孔Hとの間にタブ24aとタブ24bとの境界を跨ぐように設けられた、情報記録媒体3を封入する封入領域241が設けられている。封入領域241は透明カバー部分(透明な領域)241aと非透明カバー部分241bとを備えている。透明カバー部分241aは、例えば非透明カバー部分241bから印刷層を除去した積層構成を有するフィルムからなる。透明カバー部分241aの少なくとも一部は境界線B−B’よりもタブ24a側にある領域を覆っている。非透明カバー部分241bの少なくとも一部は境界線B−B’よりもタブ24b側にある領域を覆っている。これにより、情報記録媒体3が封入されていることが包装容器1の外部から目視によって認識しやすくなる。従って、購入者に情報記録媒体3が添付されていることを強くアピールすることができるとともに、封入されている情報記録媒体3の外観に基づいて得られるバージョン情報や特性の情報などを購入者に伝達することができる。なお、透明カバー部分241aと非透明カバー部分241bとの境界は境界線B−B’と重なっていてもいなくてもよい。また、封入領域241の全体が透明カバーで覆われていてもよい。
【0025】
情報記録媒体3は、USBメモリあるいはカード型メモリからなる。すなわち、情報記録媒体3は、パーソナルコンピュータ、携帯端末などのコンピュータ構成を有する機器に備えられたインタフェース・コネクタへの接続によって情報再生機器に接続可能な小型大容量のメモリである。図1には情報記録媒体3としてUSBメモリを備える例が示されている。これらUSBメモリおよびカード型メモリとしてフラッシュメモリを内蔵したものが一般的に使用可能である。カード型メモリの形態としては、一般にメモリカードと呼ばれるフラッシュメモリを内蔵したものの他に、磁気抵抗メモリ、強誘電体メモリ、相変化メモリなど、考えられる任意の種類のメモリデバイスが使用可能である。また、カード型メモリにUSBコネクタが付属していてもよい。
【0026】
情報記録媒体3の封入領域241において、ここでは、情報記録媒体3のコネクタ3a側の端部が境界線B−B’よりもタブ24a側にある領域に位置するように、また、コネクタ3a側とは反対側の端部が境界線B−B’よりもタブ24b側にある領域に位置するように、封入される情報記録媒体3の向きが設定されている。従って、透明カバー部分241aからは、概略、情報記録媒体3のコネクタ3a側が見えるようになっている。
【0027】
なお、図2は包装容器1を正面視した図であるが、図2に示された面とその反対側の面とに表裏の区別がなされない場合には、いずれの面側を正面側とみなしてもよい。
【0028】
図3に、図1のA−A’線断面図を示す。当該A−A’線断面図は、図2のように包装容器1を正面から見たときに、正面およびパウチ2の底面に垂直な平面で、封入領域241を通るように切断した場合の包装容器1の断面を示す。
【0029】
パウチ2は、胴部フィルムF1と胴部フィルムF2と底部フィルムF3とが接合された状態に形成されている。胴部フィルムF1・F2には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、印刷層、接着剤層、延伸ナイロン(ONY)、および、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を積層したものを用いた。底部フィルムF3には、例えば、ONY、LLDPEを積層したものを用いた。いずれのフィルムにおいても、最内層はシーラント層として機能するLLDPEである。
【0030】
胴部フィルムF1と胴部フィルムF2との接合部であるシール部S1は、ここでは、上部シール領域24における封入領域241以外の全領域を構成している他、図1の側部シール領域25の全領域を構成している。また、ここでは、胴部フィルムF1と底部フィルムF3との接合部であるシール部S2と、胴部フィルムF2と底部フィルムF3との接合部であるシール部S3とは、底部シール領域26の全領域を構成している。シール部S1・S2・S3はヒートシールにより形成することが可能である。なお、上部シール領域24、側部シール領域25、および、底部シール領域26のそれぞれにおいて、第1の部分24aとの境界以外の任意の部分に未シール領域が含まれていてもよい。
【0031】
開封領域21は、胴部フィルムF1と胴部フィルムF2とによって、内容物の取出し口として機能する空間を挟んだ状態に形成されている。内容物を取り出すときの開封は、開封領域21の一方のサイドエッジE1に形成された開封ノッチN3と他方のサイドエッジE2に形成された開封ノッチN4とを結ぶように、開封領域21の胴部フィルムF1・F2を引き裂くことで可能である。
【0032】
リクローズチャック22は、当該領域に対応する部分の胴部フィルムF1・F2と、胴部フィルムF1上に設けられた凸条22aと、胴部フィルムF2上に設けられた凹条22bとを備えている。凸条22aと凹条22bとの嵌合によりリクローズチャック22の閉鎖が行われ、凸条22aと凹条22bとの離脱によりリクローズチャック22の開放が行われる。
【0033】
収容本体領域23は、リクローズチャック22との境界を除いて胴部フィルムF1と胴部フィルムF2と底部フィルムF3とで空間50を囲むように構成されている。
【0034】
上部シール領域24の封入領域241は、胴部フィルムF1と胴部フィルムF2とで上方記録媒体3を挟み込むように、情報記録媒体3の保持空間を形成している。当該保持空間の周辺部で胴部フィルムF1と胴部フィルムF2とがヒートシールによって接合されている。すなわち、封入領域241はシール部S1に囲まれることで規定されている。これにより、情報記録媒体3は、後述する図4あるいは図6の状態のように、封入領域241が引き裂かれても、パウチ2の本体側あるいは破断片側に残った封入領域241の部分領域に保持された状態とすることができる。このように、情報記録媒体3は包装容器1に一体化された状態で添付されている。
【0035】
また、情報記録媒体3の筐体を溶着可能な材質で形成しておき、封入領域241の、境界線B−B’(図2参照)よりもタブ24b側にある領域の少なくとも一部を占める領域Gにおいて、情報記録媒体3を低温でヒートシールを行うなどして胴部フィルムF2に軽度に溶着してもよい。このように情報記録媒体3の筐体を胴部フィルムF2に溶着した場合には、情報記録媒体3の包装容器1への一体性が強化される。なお、包装容器1を正面視した図2では胴部フィルムF1にのみ透明な領域としての透明カバー部分241aが設けられていたが、胴部フィルムF2にのみ同様の透明な領域が設けられていてもよいし、胴部フィルムF1と胴部フィルムF2との両方に透明な領域が設けられていてもよい。
【0036】
〔情報記録媒体の取り出し/再生および内容物の取り出し〕
図4に、情報記録媒体3を包装容器1から取り出すときの状態を示す。
包装容器1の開封者が、開封ノッチN1、貫通孔H、および開封ノッチN2を利用してタブ24aをねじり引き抜くように切除すると、情報記録媒体3の封入領域241は略境界線B−B’に沿って2分割される。このとき、タブ24aは破断片となる。開封者が情報記録媒体3を封入領域241の外部から摘まむことなくタブ24aを切除すれば、コネクタ3a側がパウチ2の本体から外部に露出した状態で情報記録媒体3がパウチ2の本体側に残る。しかし、図3のように領域Gにおいて情報記録媒体3の筐体が胴部フィルムF2すなわちパウチ2に溶着されていれば、開封時のハンドリング状態に関わらず、上記のように情報記録媒体3をパウチ2の本体側に残すことを容易にする。
【0037】
図5に示すように、開封者は、パウチ2の本体から露出したコネクタ3aをそのまま、ノート型、携帯型、デスクトップ型、タブレット型などのパーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、PHS、電子手帳などの携帯端末、あるいは、パーソナルコンピュータや携帯端末に接続された周辺機器、といった情報再生機器10のインタフェース・コネクタ10aに接続することができる。例えば、情報記録媒体3がUSBメモリであれば、コネクタ3aはインタフェース・コネクタ10aとしてのUSB接続端子に挿入され、情報記録媒体3がカード型メモリであれば、コネクタ3aはインタフェース・コネクタ10aとしてのカードスロットあるいはカードアダプタに装着される。また、情報記録媒体3がUSBコネクタの付属したカード型メモリであれば、コネクタ3aはインタフェース・コネクタ10aとしてのUSB接続端子に挿入される。
【0038】
小型大容量の情報記録媒体3には予め、商品自体の情報、販売メーカーの広告、キャンペーン情報などが格納されている。また、商品に関連した映像、ゲーム等も格納対象となる。情報記録媒体3は、第2の部分2bに備えられているので、第1の部分2aが形成している内容物が充填された空間50を開封することなく取り出すことが可能である。また、情報記録媒体3がUSBメモリまたはカード型メモリであるので、包装容器1から情報記録媒体3を取り出した開封者は、対応するインタフェース・コネクタ10aを標準装備していることが多い身近な情報再生機器10によって即座に情報を再生して、メッセージや映像を閲覧したりゲームを楽しんだりすることができる。情報記録媒体3は、CDやDVDなどのディスク状の記録媒体のように包装容器に添付するのに嵩張ることはなく、また、従来、包装容器に添付されていたICチップや無線ICタグよりも十分に大きな記憶容量を有している。また、情報記録媒体3が包装容器1に添付されることにより、2次元バーコードなどの読取りマークの読み取りのような面倒な作業やインターネット接続環境も不要である。
【0039】
また、情報記録媒体3の封入領域241において、図2および図3の場合とは逆に、コネクタ3a側とは反対側の端部が境界線B−B’よりもタブ24a側にある領域に位置するように、また、コネクタ3a側の端部が境界線B−B’よりもタブ24b側にある領域に位置するように、封入される情報記録媒体3の向きが設定されていても構わない。この場合には、図6に示すように、包装容器1の開封者が、情報記録媒体3を封入領域241の外部から摘まみながらタブ24aを切除すると、破断片となったタブ24a側に、コネクタ3a側が外部に露出した状態で情報記録媒体3が残りやすい。情報記録媒体3のタブ24a側にある領域で筐体が胴部フィルムF2すなわちパウチ2に溶着されていると、情報記録媒体3を上記のように破断片側に残すことを容易にする。
【0040】
図6の場合にも、開封者は、パウチ2の破断片から露出したコネクタ3aをそのまま情報再生機器10のインタフェース・コネクタ10aに接続することができる。情報記録媒体3に破断片が付着しているだけであるので、開封者は情報記録媒体3をパウチ2から離れた別の所望する場所で保管することができる。
【0041】
また、開封者は、図4あるいは図6の状態から、情報記録媒体3を、パウチ2の本体あるいは破断片から引き抜いて、あるいはさらに胴部フィルムF2との溶着箇所から引き剥がして、単体で利用することも可能である。この場合にも、情報の再生の容易さおよび迅速さは従来技術として説明したものよりも向上する。開封者は、情報記録媒体3を、パウチ2との一体性を保持した状態で使用するか、単体で使用するかを選択することができる。図6に示す方法は、情報記録媒体3を単体で使用することとほぼ等しい。情報記録媒体3の全体がカードスロット内やアダプタ内に収容されて情報の再生が行われるような場合には、上記のように情報記録媒体3が包装容器1から単体で取り出せると好都合である。また、図6のように破断片に情報記録媒体3を一旦保持してから、カードスロットやアダプタへ装着しながら情報記録媒体3を破断片から押し出して分離するようにしてもよい。
【0042】
以上により、封入領域241が2分割されることにより生じる2つの部分領域のいずれか一方に溶着などによる情報記録媒体3の固着要因が付加されていない状態では、情報記録媒体3を、パウチ2の本体側に残る状態で取り出すか、図6のように破断片側に残る状態で取り出すかがユーザの意志で決定される。2つの部分領域のうちコネクタ3a側とは反対側の端部が位置する部分領域に固着要因が付加された状態では、通常はこのような包装容器1の構成に従って、情報記録媒体3が、図4あるいは図6のように取り出される。情報記録媒体3が、封入領域241が2分割されることにより生じる2つの部分領域の一方側にコネクタ3a側の端部が位置するとともに、コネクタ3aの情報再生機器10へ接続される向きが2つの部分領域の他方側から一方側へと向くように、封入領域241に封入されていれば、コネクタ3a側が露出するように封入領域241を破断した場合に、露出したコネクタ3aをそのまま情報再生機器10に接続することができる。
【0043】
開封者は、パウチ2の内容物を取り出すときには、開封ノッチN3・N4を利用して図7に示すように開封領域21を引き裂き、リクローズチャック22を開放する。上部シール領域24が切除された残りの袋部分Wは、リクローズチャック22による再封性が備えられていることから、保存袋として利用することが可能である。
【0044】
〔包装容器の他の構成〕
また、図3で示したような、情報記録媒体3の封入領域241を覆う透明カバー部分241aを、透明な樹脂パーツを用いて構成してもよい。図8には、封入領域241の全体を覆う透明カバーとして、セラミックが蒸着されたガスバリア性を有する無色透明の樹脂層(ガスバリア性を有する透明樹脂層)41を用いる例を示す。樹脂層41を用いることにより、封入領域241内に封入された情報記録媒体3に対して外部から水分や酸素を遮断することができ、情報記録媒体3の材質劣化を防ぐことができる。樹脂層41は封入領域241のみを覆っていてもよいが、封入領域241を超えて胴部フィルムF1の構成部分として広い範囲に設けられていてもよい。また、樹脂層41は、胴部フィルムF1側のみ、胴部フィルムF2側のみ、および、胴部フィルムF1側と胴部フィルムF2側との両方、のいずれに設けられていてもよい。
【0045】
また、図8には、上記樹脂層41を有する透明カバーとして、樹脂層41の内層側に低温シール層42が設けられた積層構成を用いる例が示されている。低温シール層42は、樹脂層41のシール温度よりも低温で封入領域241を形成するヒートシールを行うことができる。樹脂層41と低温シール層42との他に、帯電防止層などのさらなる層が備えられていてもよい。樹脂層41を直接に胴部フィルムF2とヒートシールにより接合するには、情報記録媒体3に耐熱温度を超えるような熱を与える虞があるが、低温シール層42を胴部フィルムF2とヒートシールにより接合するようにすれば、情報記録媒体3へ熱損傷を与えることを回避することができる。例えば、USBメモリやメモリカードの動作環境温度の上限は数十度〜85℃程度に設定されている。通常のシール温度では情報記録媒体3が100℃を超えるような高温に晒されてしまうところを、シーラント層に低温シール層42を用いることによって、情報記録媒体3のヒートシール時の温度を上記動作環境温度の上限温度以下あるいは上限温度に近い温度にまで抑制することが可能である。低温シール層42として、例えば、LLDPEやエチレン系アイオノマーを低温シールした層が挙げられる。
【0046】
あるいは、低温シール層42を用いる代わりに、情報記録媒体3の筐体の表面に耐熱性樹脂によるコーティングを施してもよい。情報記録媒体3にこのような耐熱コーティングを施せば、封入領域241を覆うフィルムを通常のシール温度によってシールを実施しても、情報記録媒体3へ熱損傷を与えることを回避することが可能になる。
【0047】
〔包装容器の製造方法〕
図1ないし図3で示される包装容器1を製造するには、例えば以下の工程を実施する。(1)まず、凸条22aを溶着した胴部フィルムF1と、凹条22bを溶着した胴部フィルムF2と、底部フィルムF3とを用意する。
(2)次に、胴部フィルムF1、胴部フィルムF2、および、底部フィルムF3を接合して、リクローズチャック22、収容本体領域23、側部シール領域25、および、底部シール領域26を形成する。
(3)そして、開封領域21およびリクローズチャック22を通して本体収容領域23の内部に内容物を充填する。
(4)その後、情報記録媒体3の封入領域241に相当する位置に情報記録媒体3を載置し、胴部フィルムF1と胴部フィルムF2とを接合して上部シール領域24を形成する。(5)タブ24a・24bを含めてパウチ2の外周の片抜きを行う。
【0048】
上記の工程(3)および工程(4)の代わりに次の工程(6)および工程(7)を実施してもよい。
(6)開封領域21の上端側で空間50に対するトップシールを形成せずに、先に情報記録媒体3を封入領域241に封入するように胴部フィルムF1と胴部フィルムF2とを接合する。
(7)次いで、空間50に対する未シール部分から本体収容領域23の内部に内容物を充填し、その後に当該未シール部分をシールすることによりトップシールを形成して上部シール領域24の形成を完成させる。
【0049】
また、封入領域241に対するカバーを、図8の説明で例示したような、胴部フィルムF1とは異なる部材として取り付ける場合には、工程(4)あるいは工程(6)において、当該カバーを溶着する工程を設ければよい。
【0050】
なお、以上の全ての例では、パウチ2の形態例としてスタンディングパウチ(自立パウチ)を示したが、これは一例であり、平パウチ等の他種類の形状のパウチでも構わない。また、スタンディングパウチでは3枚のフィルムで、平パウチでは2枚のフィルムでそれぞれパウチ全体を構成可能であるが、任意の複数枚のフィルムを接合してパウチを構成するように設計することは自在に可能である。また、パウチ2が口栓を有していても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の包装容器は、パウチに詰めた食品、飲料品、シャンプー、化粧品などに、販売促進効果や消費者とのコミュニケーション性を付加することに特に利用効果がある。
【符号の説明】
【0052】
1 包装容器
2 パウチ
2a 第1の部分
2b 第2の部分
3 情報記録媒体
3a コネクタ
10 情報再生機器
24a タブ(第1のタブ)
24b タブ(第2のタブ)
41 樹脂層(ガスバリア性を有する透明樹脂層)
42 低温シール層
50 空間
241 封入領域
241a 透明カバー部分(透明な領域)
E1 サイドエッジ
F1 胴部フィルム(フィルム)
F2 胴部フィルム(フィルム)
F3 底部フィルム(フィルム)
H 貫通孔
N1 開封ノッチ(第1の開封ノッチ)
N2 開封ノッチ(第2の開封ノッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフィルムが、内容物の充填される空間を形成する第1の部分と、前記空間に対するシール領域を有するように前記第1の部分に隣接して拡がる第2の部分と、を有するように接合された状態に形成されたパウチと、
前記パウチの前記第2の部分に設けられた封入領域に封入された、USBメモリあるいはカード型メモリからなる情報記録媒体とを備えていることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記封入領域が2分割されて開封されるように前記封入領域の破断を導く開封ノッチが、前記パウチの周縁に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記情報記録媒体は、前記情報記録媒体を情報再生機器に接続するためのコネクタを備えており、
前記情報記録媒体は、前記封入領域が2分割されることにより生じる2つの部分領域の一方側に前記コネクタ側の端部が位置するとともに、前記コネクタの前記情報再生機器へ接続される向きが前記2つの部分領域の他方側から前記一方側へと向くように、前記封入領域に封入されていることを特徴とする請求項2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記2つの部分領域の前記他方側に位置する前記情報記録媒体の少なくとも一部の筐体が前記パウチに溶着されていることを特徴とする請求項3に記載の包装容器。
【請求項5】
前記第2の部分は、前記封入領域を開封するために切除される第1のタブと、前記空間を開封するために切除される第2のタブとを備えており、
前記パウチを正面視した場合に、前記第2のタブは前記空間に対するトップシールを形成するように設けられているとともに、前記第1のタブは前記パウチの一方のサイドエッジを含む位置で前記第2のタブの上部側に隣接するように設けられており、
前記封入領域の破断を導く開封ノッチとして、前記第1のタブと前記第2のタブとの境界の前記サイドエッジ上にある一端を規定する第1の開封ノッチと、前記境界の他端を規定する第2の開封ノッチとが形成されていることを特徴とする請求項2から4までのいずれか1項に記載の包装容器。
【請求項6】
前記境界上の前記第1の開封ノッチと前記第2の開封ノッチとの中間位置に、前記第1の開封ノッチとの間に前記封入領域を挟むように貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の包装容器。
【請求項7】
前記パウチの前記封入領域を覆っている少なくとも1つのフィルムは、透明な領域を有していることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の包装容器。
【請求項8】
前記パウチの前記封入領域を覆っている少なくとも1つのフィルムは、ガスバリア性の透明樹脂層を有していることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の包装容器。
【請求項9】
前記透明樹脂層の内層側に、前記透明樹脂層のシール温度よりも低温で前記封入領域を形成するヒートシールを行うことのできる低温シール層が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の包装容器。
【請求項10】
前記情報記録媒体の筐体が耐熱性樹脂によってコーティングされていることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−56681(P2013−56681A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195498(P2011−195498)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】