説明

包装展示兼用箱

【課題】店頭での展示作業を簡単に行なうことができ、また、包装時の組立作業も手作業で簡単にできるようにする。
【解決手段】端壁11及び側壁12を備えた外装体1と、端壁21及び側壁22並びに底壁23を備えたトレー2とから成り、端壁11,21及び側壁21,22をそれぞれ対応させて、トレー2の外周に外装体1を嵌めた包装展示兼用箱において、外装体1には、端壁11の下端中央部に切目を入れて切取片16を設け、トレー2には、端壁21と底壁23の稜部に突出する刃部25を形成しておき、商品包装に際し、底壁23から切取片16へかけてテープTを貼り付けることにより、外装体1とトレー2とを固定し、商品展示に際し、切取片16を端壁11から切り取って、トレー2から外装体1を上方へ引き抜き、テープTを刃部25で切断して、切取片16をトレー2から離脱させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商品の輸送及び店頭での展示に兼用できる箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の包装展示兼用箱として、下記特許文献1には、トレーと外装体とを接着剤で貼り合わせて固定しておき、商品展示に際し、その接着部の周りを切目線沿いに切断して、トレーから外装体を上方へ引き抜き、商品をトレーから露出させて展示するものが記載されている。
【0003】
ところが、この包装展示兼用箱では、トレーに外装体を被せる際、接着剤が他の部分に摺り広げられて、開封性に支障を来たすことがある。
【0004】
一方、トレーの底壁から外側板の端壁下部へかけてテープを貼り付けることにより、トレーと外装体とを、テープにより簡便に固定しておき、商品展示時には、テープを剥がして、トレーから外装体を上方へ引き抜く包装展示兼用箱も多用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3151355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようなテープ貼りによる包装展示兼用箱では、商品展示に際し、テープを剥がす作業に手間がかかるという問題がある。
【0007】
また、商品包装時に、上下反転させた状態でテープを手作業により貼り付けようとすると、トレーが外装体に落ち込むことがあり、組立作業が難しいという問題がある。
【0008】
そこで、この発明は、店頭での展示作業を簡単に行なうことができ、また、包装時の組立作業も手作業で簡単にできるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明は端壁及び側壁を備えた外装体と、端壁及び側壁並びに底壁を備えたトレーとから成り、端壁及び側壁をそれぞれ対応させて、トレーの外周に外装体を嵌めた包装展示兼用箱において、外装体には、端壁の下端中央部に切目を入れて切取片を設け、トレーには、端壁と底壁の稜部に突出する刃部を形成しておき、商品包装に際し、底壁から切取片へかけてテープを貼り付けることにより、外装体とトレーとを固定し、商品展示に際し、切取片を端壁から切り取って、トレーから外装体を上方へ引き抜き、テープを刃部で切断して、切取片をトレーから離脱させるようにしたのである。
【0010】
また、前記切取片の内部に下端から上方へ切目を入れて揺動片を設け、揺動片の下部となる先端側を内方向へ揺動させて、トレーの端壁の外面に当接させ、テープを底壁から揺動片の部分へ貼り付けるようにしたのである。
【0011】
さらに、前記外装体の周壁に切目を入れて係止片を設け、係止片の下部となる先端側を内方向へ揺動させると、トレーの上端となる端縁が係止片の先端に当接し、上下反転状態でトレーが係止片により支持されるようにしたのである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る包装展示兼用箱では、商品を展示する際、外装体の端壁から切取片を切り取るだけで、トレーと外装体とを分離して、トレーから外装体を上方へ引き抜き、商品をトレーから露出させて展示することができるので、店頭での展示作業を簡単に行なうことができる。
【0013】
また、切取片の内部に設けた揺動片を揺動させてトレーの端壁の外面に当接させると、外装体とトレーの隙間を大きく確保して外装体の引き抜きを容易にしても、揺動片の部分では、外装体とトレーの隙間をなくすことができるので、テープが貼りやすくなる。
【0014】
さらに、外装体の周壁に設けた係止片を揺動させて、上下反転状態でトレーが係止片により支持されるようにすると、トレーが外装体に落ち込むことがなく、テープを手作業により貼り付けて、包装時の組立作業を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施形態に係る包装展示兼用箱の外装体のブランクを示す図
【図2】同上のトレーのブランクを示す図
【図3】同上の組立過程を示す分解斜視図
【図4】同上の上下反転した底貼り状態を示す斜視図
【図5】同上の上下正転させた開蓋状態を示す斜視図
【図6】同上の揺動片の部分を示す拡大斜視図
【図7】図6のVII−VII線に沿った拡大断面図
【図8】同上の包装展示兼用箱の包装状態を示す斜視図
【図9】同上の展示状態への変換過程を示す斜視図
【図10】同上のトレーから外装体を引き抜いた状態を示す斜視図
【図11】同上のテープ切断過程を示す拡大斜視図
【図12】同上のトレーでの展示状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
この包装展示兼用箱は、図1に示すA段等の厚手の段ボールを材料とする外装体1のブランクと、図2に示すE段等の薄手の段ボールを材料とするトレー2のブランクとから組み立てられる。
【0018】
図1に示す外装体1のブランクでは、幅方向の端壁11及び長さ方向の側壁12が横方向に各一対交互に連設され、一方の側壁12の外側に継代片13が連設されている。端壁11及び側壁12の上端には、それぞれ蓋フラップ14,15が連設されている。
【0019】
端壁11の下端中央部には、門型に切目を入れて切取片16が設けられ、切取片16の内部には、下端から上方へ切目を入れて揺動片17が設けられている。これらの端縁を形成する切目には繋部が設けられ、揺動片17の上端には折目が入れられている。また、切取片16の上縁に臨んで、端壁11には指入穴16aが設けられている。
【0020】
側壁12の中間部には、上下反転した門型に切目を入れて係止片18が設けられ、その端縁を形成する切目には、繋部が設けられている。
【0021】
図2に示すトレー2のブランクでは、幅方向の端壁21及び長さ方向の側壁22が長方形状の底壁23の周囲に各一対連設され、側壁22の両側端には連結片24が連設されている。側壁22の両側部分には、折畳用の折目22aが底角部から先端縁まで斜め方向に入れられている。
【0022】
端壁21と底壁23の稜部には、端壁21を切り込んで刃部25が形成され、刃部25は、細かい波形状とされている。
【0023】
いま、上記のようなブランクから手作業で包装展示兼用箱を組み立てるには、図3に示すように、外装体1のブランクにおいて、各一対の端壁11及び側壁12を角筒状に折り曲げ、継代片13を反対側の端壁11及び蓋フラップ14の内面に貼り付けて、周壁を形成し、揺動片17及び係止片18を内側へ押し込む。
【0024】
また、トレー2のブランクにおいて、底壁23から各一対の端壁21及び側壁22を起立させ、連結片24を隣り合う端壁21の内面に貼り付ける。そして、外装体1にトレー2を上方から挿入する。
【0025】
ここで、展示作業時におけるトレー2からの外装体1の引き抜きを容易にするため、トレー2は、外装体1よりも平面積が一回り小さくなっており、外装体1とトレー2の隙間は、大きく確保されている。
【0026】
なお、この包装展示兼用箱を商品の包装を行う事業所へ配送して保管しておく際には、外装体1とトレー2とを分離した状態で、外装体1を、周壁の対角線上に位置する罫線に沿って扁平に折り畳み、トレー2を、折目22aに沿って扁平に折り畳んでおくと、嵩張ることがない。
【0027】
上記のような包装展示兼用箱で商品を包装する際には、図4に示すように、外装体1にトレー2を挿入した状態で、上下反転する。このとき、トレー2は、側壁22の先端縁が内方向へ揺動した係止片18に当接して、係止片18により支持されるので、外装体1の中で下降することがない。
【0028】
次に、この上下反転状態で、底壁23から両方の切取片16へかけて、揺動片17の部分を通るようにテープTを貼り付ける。このとき、揺動片17の部分では、その揺動に伴い、外装体1とトレー2の隙間がなくなるので、テープTによる底貼りを行ないやすくなり、切取片16の端縁を形成する切目の繋部が破断する現象も防止される。
【0029】
そして、図5に示すように、上下正転させ、箱の内部に商品を収納する。このとき、底貼りした揺動片17の部分は、図6及び図7に示すような状態となっている。
【0030】
その後、図8に示すように、蓋フラップ14,15を順次重なり合うように内側へ折り曲げ、蓋フラップ15の突合部から両方の端壁11へかけて封緘用のテープTを貼りつけると、商品の包装が完了する。
【0031】
なお、包装機械を使用する場合には、封緘作業と同様、正転状態のままで外装体1とトレー2とをテープTで固定する底貼りを行うことができる。
【0032】
一方、上記のように包装した商品を小売店へ配送し、店頭で商品を展示する際には、指入穴16aに指を入れて、図9に示すように、切取片16を外方向へ引き、切取片16の端縁を形成する切目の繋部を破断させて、切取片16を端壁11から切り取る。
【0033】
そして、図10に示すように、トレー2から外装体1を上方へ引き抜くと、トレー2に収納された商品Gが整列した状態で現れる。
【0034】
この状態で、切取片16は、テープTが貼り付いてトレー2に繋がったままとなるが、図11に示すように、切取片16の一端部を引き上げて、テープTを刃部25に沿って捻るように切断すると、切取片16をトレー2から離脱させることができ、図12に示すように、トレー2に載せた商品Gを見映えよく展示することができる。
【0035】
なお、上記実施形態では、直方体状の包装展示兼用箱について例示したが、外装体1及びトレー2の周壁の上下方向の稜部に面取部分を有する包装展示兼用箱についても、同様の構成を適用できる。
【0036】
また、外装体1の側壁12に係止片18を設けたものを例示したが、係止片18は、端壁11に設けてもよく、端壁11及び側壁12の双方に設けてもよい。
【0037】
また、外装体1に蓋フラップ14,15を設けて、外装体1の天面を閉止するようにしたが、商品が野菜や果実等の場合には、蓋フラップ14,15を短いものとして、天面に開口部が形成されるようにしてもよく、蓋フラップ14,15を省略した外装体1に別体の蓋を被せるようにしてもよい。
【0038】
さらに、切取片16に揺動片17を設けたものを例示したが、外装体1とトレー2の隙間が小さい場合には、揺動片17を省略してもよい。
【0039】
そのほか、トレー2が薄手の段ボールから成るものを例示したが、トレー2は、板紙から成るものとしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 外装体
11 端壁
12 側壁
13 継代片
14,15 蓋フラップ
16 切取片
16a 指入穴
17 揺動片
18 係止片
2 トレー
21 端壁
22 側壁
22a 折目
23 底壁
24 連結片
25 刃部
T テープ
G 商品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端壁(11)及び側壁(12)を備えた外装体(1)と、端壁(21)及び側壁(22)並びに底壁(23)を備えたトレー(2)とから成り、端壁(11,21)及び側壁(12,22)をそれぞれ対応させて、トレー(2)の外周に外装体(1)を嵌めた包装展示兼用箱において、外装体(1)には、端壁(11)の下端中央部に切目を入れて切取片(16)を設け、トレー(2)には、端壁(21)と底壁(23)の稜部に突出する刃部(25)を形成しておき、商品包装に際し、底壁(23)から切取片(16)へかけてテープ(T)を貼り付けることにより、外装体(1)とトレー(2)とを固定し、商品展示に際し、切取片(16)を端壁(11)から切り取って、トレー(2)から外装体(1)を上方へ引き抜き、テープ(T)を刃部(25)で切断して、切取片(16)をトレー(2)から離脱させるようにしたことを特徴とする包装展示兼用箱。
【請求項2】
前記切取片(16)の内部に下端から上方へ切目を入れて揺動片(17)を設け、揺動片(17)の下部となる先端側を内方向へ揺動させて、トレー(2)の端壁(21)の外面に当接させ、テープ(T)を底壁(23)から揺動片(17)の部分へ貼り付けるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の包装展示兼用箱。
【請求項3】
前記外装体(1)の周壁に切目を入れて係止片(18)を設け、係止片(18)の下部となる先端側を内方向へ揺動させると、トレー(2)の上端となる端縁が係止片(18)の先端に当接し、上下反転状態でトレー(2)が係止片(18)により支持されるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装展示兼用箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−86866(P2012−86866A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234381(P2010−234381)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】