説明

包装機におけるフィルム自動接合方法及びスプライサー

【課題】片面にコーティング層が設けられているため接合しにくいフィルムであっても、自動でフィルムの交換を行えること
【解決手段】接合を行う帯状フィルム3bの先端を全幅にわたりカットして短冊状の接合用フィルムを作成し、包装機に供給している帯状フィルム3aの後端と、予備用のフィルムの前端を突き合わせた状態にセットし、接合用フィルムを反転させてシール可能な非コーティング面が向き合うようにしつつ、両フィルムに跨るように配置する。次いで、シール装置31にて両フィルムの端部及び接合用フィルムを挟持すると共に加熱して熱シールすることで、フィルムの接合を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機に実装され、使用中の原反ロールを使いきった際に、その原反ロールから繰り出されていた包装用フィルムの後端に、新しい原反ロールに巻き取られている包装用フィルムの先端を自動で接合する接合方法及びスプライサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、自動包装機は、フィルム供給装置から連続して供給される帯状の包装用フィルムを用いて被包装物を包み込み、所定位置をシール・カットして包装体を製造する。
【0003】
このフィルム供給装置は、包装用フィルムをロール状に巻き取った原反ロールを回転自在に支持し、その原反ロールから包装用フィルムを繰り出して包装機本体側に供給する。当然のことながら、1本の原反ロールからの包装用フィルムの供給は有限であり、巻き取られている包装用フィルムがすべて繰り出された場合には、別の原反ロールから包装用フィルムを供給することになるが、この切り替えを自動的に行うスプライサーがある。このスプライサーは、複数(通常は2本)の原反ロールをそれぞれ回転自在に支持する。そして、一方の原反ロールからの包装用フィルム(A)の終端部位に、他方の原反ロールの包装用フィルム(B)の先端を接続することで、包装用フィルム(B)は包装用フィルム(A)に続いて連続して包装機本体側に供給されることになる。
【0004】
この係る2つの包装用フィルム(A),(B)の接続は、通常、両包装用フィルム(A),(B)の端部同士を重ねた状態で接着テープを用いて行うことが多い。また、特許文献1に開示されたフィルムの自動継ぎ方法のように、フィルムの端部をオーバーラップさせて熱プレスにより溶着して接合する方法などもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−139455公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
粘着テープで接合する方法の場合、あらかじめ作業者が粘着テープをフィルム端部にセットしておく必要があるため手間がかかる。また、フィルム同士を重ねて熱プレスにより溶着して接合する方法の場合、フィルムの片面にコーティングが施されていると接合できないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、(1)接合を行うフィルム端部の一方を全幅にわたりカットして短冊状の接合用フィルムを作成し、包装機に供給しているフィルムの後方の端部と、予備用のフィルムの前方の端部を突き合わせた状態にセットし、前記接合用フィルムを反転させてシール可能な非コーティング面が向き合うようにしつつ、前記両フィルムに跨るように配置し、前記両フィルムの端部及び前記接合用フィルムを共にシーラによって挟持して接合するようにした。
【0008】
(2)予備用の原反ロールから繰り出されるフィルムの先端をカットして短冊状の接合用フィルムを作成する接合用フィルム作成手段と、包装機に供給しているフィルムの後方の端部と、前記接合用フィルムを作成後の前記予備用のフィルムの前方の端部を突き合わせた状態にセットする手段と、前記接合用フィルム作成手段で作成された前記接合用フィルムを受け取るとともに、その接合用フィルムのシール可能な非コーティング面が向き合うようにしつつ、前記両フィルムに跨るように配置する移送手段と、前記両フィルムの端部及び前記接合用フィルムを熱シールするシール手段と、を備えた。
【0009】
(3)前記移送手段は、前記接合用フィルム作成手段で作成された前記接合用フィルムを受け取るとともに、受け渡し位置まで移送する第1移送手段と、その受け渡し位置に移動してきた前記第1移送手段が保持する前記接合用フィルムを受け取るとともに、受け取った前記接合用フィルムを前記両フィルムに跨るように配置する第2移送手段と、を備えるとよい。第1移送手段は、実施形態では第1バキューム部26aと支持アーム26b等により実現される。第2移送手段は、実施形態では、第2バキューム26c等で実現される。このようにすると、第1移送手段で保持した接合用フィルムの面が非コーティング面の場合、第2移送手段で反対の面を保持することから非コーティング面を露出し、フィルムに重ねることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、シールテープが不要になるので、シール用のテープを用意し、セットする必要もなく、作業性が向上する。また、接合用フィルムは、包装用のフィルムをそのまま用いるので包装処理時に異物が存在せず、きれいな包装処理が行える。片面にコーティング層が設けられているため接合しにくいフィルムであっても、自動でフィルムの交換を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のスプライサーが組み込まれた包装機の一例を示す正面図である。
【図2】本発明に係るスプライサーの好適な一実施形態を示す平面図である。
【図3】そのスプライサーの一部の構成を拡大して示す図である。
【図4】フィルム自動接合方法を説明する図である。
【図5】フィルム自動接合方法を説明する図である。
【図6】フィルム自動接合方法を説明する図である。
【図7】フィルム自動接合方法を説明する図である。
【図8】フィルム自動接合方法を説明する図である。
【図9】フィルム自動接合方法を説明する図である。
【図10】フィルム自動接合方法を説明する図である。
【図11】フィルム自動接合方法を説明する図である。
【図12】フィルム自動接合方法を説明する図である。
【図13】フィルム自動接合方法を説明する図である。
【図14】フィルム自動接合方法を説明する図である。
【図15】フィルム自動接合方法を説明する図である。
【図16】フィルム自動接合方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明のスプライサーが組み込まれた包装機の一例を示しており、図2は、本発明のスプライサーの一実施形態を示し、図3は、そのスプライサーの一部の構成を拡大して示している。さらに、図4以降は、スプライサーの作用を説明する図を示している。この包装機1は、PTPシートを製造するブリスター包装機(PTP包装機)であり、図では、そのブリスター包装機の上流側の一部を示している。
【0013】
PTP(Press Through Packaging)シートは、プラスチックシートのシート面に複数のポケット部を形成し、そのポケット部に錠剤やカプセル等を収納するとともにそのシート面をアルミフォイル等のシート材で気密に被覆シールした構造となる。そして、本実施形態のスプライサー10は、ポケット部を形成するプラスチックシート用のものである。簡単に包装機1を説明すると、スプライサー10からフィードローラ2により連続して繰り出される帯状フィルム3は、適宜位置に配置されたローラ等に掛け渡されて所定の経路を通り、テンション調整装置(ダンサローラ)4を経て搬送装置5へ供給される。搬送装置5は、帯状フィルム3の両側端縁をガイドに案内された状態で搬送する。この搬送装置5の搬送路の所定位置には、成型装置6が設けられ、帯状フィルム3の所定位置に、下に突出する凹部からなるポケット部を形成する。さらに、搬送装置5の上方には、ホッパー7が設けられ、そのホッパー7内に供給された錠剤等の被包装物が被包装物供給装置8にて各ポケット部内に供給される。さらに図示省略するが、この搬送装置5の下流側には、帯状フィルム3の上面を覆うように上側フィルムを供給する装置や、その上側フィルムと帯状フィルム3の接触部位をシールするシール装置や、シールされた所定部位を縦・横にカットして個々のPTPシートを形成するカッター装置等が配置される。
【0014】
次に、本実施形態のスプライサー10の構成を説明する。本実施形態のスプライサー10は、原反ロールを3つ保持することができ、いずれか1つが包装機本体へ帯状フィルムを供給するために使用され、残りが予備用となる。すなわち、装置の所定位置に設置された起立壁11に、鉛直面内で回転する回転軸12を回転可能に軸受支持させる。この回転軸12に対し、120度間隔でアーム13を介して第1,第2,第3回転支持軸14a,14b,14cを片持ち支持するように取り付け、それら各回転支持軸14a,14b,14cに、原反ロール15a,15b,15cを装着する。
【0015】
図では、第1回転支持軸14aが真上に位置し、反時計回りに第2回転支持軸14b,第3回転支持軸14cが配置される。図示のように、1つの回転支持軸が真上に位置し、残りの二つの回転支持軸が下方の左右に配置される状態が基準状態であり、この基準状態における上方に位置する原反ロール(図では第1回転支持軸14aに装着された原反ロール15a)が包装機本体側へ帯状フィルム3を要求するために使用され、残りの原反ロールは予備用となる。そして、この予備用の原反ロールのうち、図中左下に位置する原反ロール(図では第2回転支持軸14bに装着された原反ロール15b)は、先行して現在供給している帯状フィルムがなくなった場合に、先行する帯状フィルムに接合し、連続して供給することになる。また、係る接合・供給が完了したならば、適宜のタイミングで回転軸12が時計方向に120度回転し、連続して帯状フィルムを供給している原反ロール(上記の例では、原反ロール15b)が真上に位置し、この場合に新たに左下に位置する原反ロール(上記の例では、原反ロール15c)が、供給中の帯状フィルムが無くなった場合に、接合して継続して供給するようになる。このようにして、両原反ロールは、順次包装機本体に対して帯状フィルムを供給するものとなる。
【0016】
なお、説明の便宜上、必要に応じて第1回転支持軸14aに装着された原反ロール15aから繰り出される帯状フィルムは、符号3aとし、第2回転支持軸14bに装着された原反ロール15bから繰り出される帯状フィルムは、符号3bとし、第3回転支持軸14cに装着された原反ロール15cから繰り出される帯状フィルムは、符号3cとする。いずれの帯状フィルム3a〜3cも、包装機1に供給された場合には、上記の帯状フィルム3となる。
【0017】
また、回転軸12には、各回転支持軸15a,15b,15cの間に、中心から外周に向けて延びる支持板17を3枚取り付けている。この支持板17も120度間隔で配置している。そして、支持板17の外側には、第1ローラ18aと第2ローラ18bを回転自在に取り付けている。これら第1,第2ローラ18a,18bは、原反ロール15a,15b,15cから繰り出された帯状フィルムが掛け渡され、その進路を案内する。より具体的には、左下に位置する原反ロール(図では、第2回転支持軸14bに取り付けられた原反ロール15b)から繰り出される帯状フィルム3bが、その上方に位置する第2ローラ18b,第1ローラ18aに掛け渡されて進路が上方に変更される。さらに、第1ローラ18aに対向する位置には、駆動ローラ19が配置され、その駆動ローラ19と第1ローラ18aとの間で、帯状フィルム3bが挟み込まれる。よって、駆動ローラ19が回転駆動すると、第1ローラ18aとの間で挟み込まれた帯状フィルム3bが引き出され、上方に向けて前進移動する。
【0018】
さらにまた、支持板17の第1,第2ローラ18a,18bが取り付けられた面には、エア吸引口が設けられ、予備用の原反ロール(図では、符号15b,15c)から繰り出される帯状フィルム(図では、符号3b,3c)の先端は、その支持板17の当該取り付けられた面に接触すると共にそのエア吸引口にて吸引された状態で待機する。
【0019】
この駆動ローラ19は、駆動モータ20の出力軸に連携され、駆動モータ20が回転すると回転する。そして、その駆動モータ20は、上下に延びるように配置された支持プレート21の下方に取り付けられている。この支持プレート21は、上方の回転軸21aを中心に所定角度範囲内で正逆回転する。そして、支持プレート21は、回転軸21aと下端との間の中間地点に第1シリンダ22のシリンダロッド22aを連携し、第1シリンダ22のシリンダロッド22aの伸長/短縮にともない、支持プレート21が回転する。つまり、シリンダロッド22aが最小短縮位置に位置した場合、図中実線で示すように、支持板21は、まっすぐに垂下した姿勢(基準姿勢)を取り、駆動ローラ19と第1ローラ18aとの間で帯状フィルム3bを挟み込む。一方、シリンダロッド22aが最大伸長位置に位置した場合、支持プレート21は、回転軸21aを中心に時計方向に回転して傾斜した姿勢(待避姿勢)を採るので、駆動ローラ19が帯状フィルム3bから離反する。
【0020】
また、支持プレート21の回転軸21aと同軸上に、可動ガイド部材23の一端(下端)を設ける。この可動ガイド部材23は、支持プレート21と独立して正逆回転する。
【0021】
具体的には可動ガイド部材23は、第2シリンダ27のシリンダロッドの伸長/短縮動作に追従してその一端を中心に、正逆回転する。そして、シリンダロッドが最小短縮位置にあるとき、図2,図3に示すように可動ガイド部材23は、その他端(上端)が原反ロール15aから離反する方向に斜めに傾斜した状態(第1姿勢)となり、シリンダロッドが最大伸長位置にあるとき、図9以降に示すように、可動ガイド部材23は、上下に延びるように起立した状態(第2姿勢)となる。
【0022】
また、可動ガイド部材23の帯状フィルムに対向する面の両側縁に断面コ字状のガイドレール23aを備えている。このガイドレール23aの下端側先端は、可動ガイド部材23よりも突出しているとともに、その突出した部分は逆L字状(コ字状のうち、可動ガイド部材23の表面に接する部分が欠如した状態)に構成される。これにより、図3,図4等に示すように、シリンダロッド22aが短縮位置にあって支持プレート21(本体)がまっすぐに垂下した基準姿勢にあり、可動ガイド部材23が傾斜する第1姿勢にあるとき、ガイドレール23aの下方先端は、駆動ローラ19と第1ローラ18aとで挟まれて上方に移送される帯状フィルム3bの進路を遮る。
【0023】
その結果、図4に示すように、駆動ローラ19,第1ローラ18aで挟まれるとともに駆動力を受けた帯状フィルム3bが所定長さ分だけ繰り出され、その先端が支持プレート21の回転軸21a付近まで導かれた状態にあるときから、さらに駆動ローラ19が回転して帯状フィルム3bを繰り出すと、帯状フィルム3bの先端の両側縁は、ガイドレール23aの下方先端に当たり、その進路がガイドレール23aに沿って曲げられる。よって、図5に示すように、帯状フィルム3bの先端の両側縁は、ガイドレール23aに案内されて進むことから、帯状フィルム3は可動ガイド部材23とガイドレール23aとの間(可動ガイド部材23の帯状フィルム側表面)に沿って進むことになる。
【0024】
一方、図9以降に示すように、第2シリンダ27のシリンダロッドが伸長して可動ガイド部材23が起立して上下方向にまっすぐになった第2姿勢をとると、帯状フィルム3bは、第2ロール18b,第1ロール18aを結ぶ線上をほぼまっすぐに上昇移動することができる。
【0025】
また、可動ガイド部材23が第1姿勢(傾斜姿勢)をとっているときのガイドレール23aの上方延長線上に、受け台25を設けるとともに、可動ガイド部材23の斜め上方に、第1カッター装置24を配置している。この第1カッター装置24は、先端にカッター刃24aを備え、シリンダーその他の駆動手段により受け台25と共に一体的に前後進移動可能にしている。そして、図4等に示すように、第1カッター装置24が前進移動して受け台25の表面(受け面側)が可動ガイド部材23のフィルム搬送面(ガイドレール23a)よりも帯状フィルム3a側に位置した状態が待機状態となり、帯状フィルムをカットするときに後退移動する。さらに、本実施形態では、カッター刃24aは円板状の回転式であるので、横方向(帯状フィルム3bの幅方向)に進むことができるようになっている。また、カッター刃24aに対向する受け台25の表面には、溝部25aが形成される。この溝部25aは、水平(横)方向、つまり、帯状フィルムの進行方向と直交する幅方向に延びるように形成されている。さらに、待機状態にあるとき、カッター刃24aは、帯状フィルム3bの通過する領域よりも外側にずれた位置で待機する。
【0026】
これにより、図5に示すように、第1カッター装置24が後進して、受け台25の表面(受け面側)が可動ガイド部材23のフィルム搬送面(ガイドレール23a)とほぼ同一平面上に位置したカット動作位置に至ると共に、帯状フィルム3bが前進移動して帯状フィルム3bの先端が受け台25の表面を覆う位置にあるとき、カッター刃24aが駆動し、図6に示すように、カッター刃24aが受け台25の溝部25aに沿って横方向に移動させることで帯状フィルム3bの先端をカットする。これにより、帯状フィルム3bの先端がカットされて分離されることで、その分離された短冊状のフィルム部位が、接合用フィルム(接合用テープ)28となる。
【0027】
この第1カッター装置24の上方には、上記の短冊状の接合用フィルム28を移送する移送装置26が設けられている。この移送装置26は、第1カッター装置24で帯状フィルム3bの先端がカットされて受け台25上に位置する接合用フィルム28を吸着する第1バキューム部26aと、その第1バキューム部26aを支持する支持アーム26bと、第1バキューム部26aに吸着された接合用フィルム28を受け取りシール位置(帯状フィルム3aと帯状フィルム3bの接合位置)にセットする第2バキューム部26cと、それら支持アーム26bや第2バキューム部26cが取り付けられるベース板26dを備えている。このベース板26も、前後進移動可能となっている。また、支持アーム26bは、第3シリンダ26eのシリンダロッドに連携され、正逆回転する複数の歯車26fによる動力伝達機構により所定角度範囲内で正逆回転する。具体的には、上述したように第1バキューム部26aが受け台25に対向する位置と、ベース板26dと重なる位置との間を往復する。
【0028】
一方、帯状フィルム3bを挟んで、移送装置26の反対側には、第2カッター装置30並びにシール装置31を配置している。また、第2カッター装置30に対向する位置には、受け台32が配置される。
【0029】
第2カッター装置30は、包装機1に供給中の帯状フィルム(図では、原反ロール15aからの帯状フィルム3a)の後方部位をカットするものであり、この第2カッター装置30は、先端に回転式のカッター刃30aを備えるとともに、帯状フィルム3aの幅方向に移動可能としている。また、カッター刃30aに対向する受け台32の表面には、溝32aが形成される。よって、カッター刃30aは溝32aに沿って移動する。また、第1カッター装置24と同様に、カッター刃30aは、待機状態では、帯状フィルム3aの進路の外側によけた状態に位置する。そして、第2カッター装置30と受け台32とは、所定位置に固定されている。この第2カッター装置30と受け台32は、第1カッター装置24と受け台26と同様の構成を採り、第1カッター装置24及び受け台26は一体となって前後進移動可能となるのに対し、第2カッター装置30と受け台32は固定されている点で相違する。
【0030】
これにより、図11等に示すように、搬送中の帯状フィルム3aが受け台32の表面を覆う位置にあるとき、カッター刃30aを駆動すると、図12に示すように、カッター刃30aが受け台32の溝32a内に沿って移動し、帯状フィルム31の後方所定部位をカットする。このカット処理後(実際には、カットする前から)フィードローラ2の動作を一時停止し、帯状フィルム3aの搬送を一時停止することで、帯状フィルム3aの後端位置が所望位置(カッター刃30a,溝部32aの設置位置)で位置決めされる。
【0031】
シール装置31は、第2カッター装置30よりも帯状フィルム3aの搬送方向の下流側に位置し、第4シリンダ31a及びその第4シリンダ31aにより帯状フィルム3a,3bに向けて前後進移動するシーラ31bとを備える。
【0032】
さらに、真上に位置する原反ロール(図では、原反ロール15a)からの帯状フィルム3aの進路を上方に変更するローラ33と、そのローラ33にて進路が変えられた帯状フィルム3aの進路を案内する固定ガイド部材34を備えている。この固定ガイド部材34は、帯状フィルム3a側の表面の両側縁に上下に延びるコ字状のガイドレール34aを備え、帯状フィルム3aの両側縁がそのガイドレール34aに案内されて、安定して所望の経路を通り、まっすぐに上昇移動させることができる。さらに、この固定ガイド部材34のガイドレール34aは、可動ガイド部材23が第2姿勢にあるときのガイドレール23aと可動ガイド部材23との間に形成される間隙と同一直線上に位置し、そのガイドレール23aに沿って上昇移動してきた帯状フィルム3bをそのままさらにまっすぐ上昇移動するように案内する。
【0033】
さらに、移送装置26の上方には、帯状フィルム3を掛け渡すためのローラ36が配置され、そのローラ36により進路をフィードローラ2側に変更される。また、このローラ36は、昇降する取り付け台39に軸受支持され、その取り付け台39と共に昇降移動可能となっている。さらにこの取り付け台39には、クランプ40が設けられ、取り付け台39の側面に沿って上昇移動する帯状フィルム3aを挟み込んで固定することができるようになっている。このクランプ40は、通常は開いていて、帯状フィルム3aは上昇移動し、ローラ36に沿ってその進路を変換できるようになっている。
【0034】
さらに、ローラ36とフィードローラ2との間には、テンションローラ37が配置され、帯状フィルム3を下方に付勢することで、一定のテンションを与えるようにしている。
【0035】
次に、上記の構成のスプライサー10の作用を説明しつつ、各構成要素の機能を説明する。まず、図4に示すように、第1回転支持軸14aに支持された原反ロール15aから繰り出される帯状フィルム3aが、ローラ33に掛け渡されてその進路が上向きに変更され、固定ガイド部材34に沿って上昇移動が案内され、図外の包装機1へ供給される。一方、この原反ロール15aに巻き取られている帯状フィルム3aが全て繰り出されて供給終了になる前の所定のタイミングで、次の供給に備えた予備用の原反ロール15bから帯状フィルム3bを引き出し、その先端が支持プレート21の回転軸31a近傍に位置させた状態でその帯状フィルム3bを駆動ローラ19と第1ローラ18aとの間で挟み込んだ状態にセットし、そのまま待機させる。また、この状態では、支持板17の先端部分が、支持プレート21に近接し、その支持板17と支持プレート21との間で帯状フィルム3bの先端部分を挟み込み、当該先端部分が起立した状態を保持させることができる。また、このとき、可動ガイド部材23は、第1姿勢をとっている。
【0036】
センサにより原反ロール15aに巻き取られている帯状フィルム3aの残りが少なくなったことを検知すると、駆動モータ20が動作し、駆動ローラ19が所定量だけ回転する。これにより、待機状態の帯状フィルム3bが原反ロール15bから繰り出され、その先端が上昇する。その結果、図5に示すように、帯状フィルム3bの先端が、第1姿勢をとる可動ガイド部材23・ガイドレール23aに沿って斜め上方に進み、さらにその可動ガイド部材23の上端から突出して後進した受け台25の表面を覆う位置に至る。この状態に至ったならば駆動ローラ19は停止する。なお、図示のように帯状フィルム3bの先端が受け台25の位置に至ったことは、別途センサを設けて監視しても良いし、駆動モータ20がサーボモータ等の回転角度が制御できるものにした場合、基準回転角度だけ回転させた場合の帯状フィルム3bの進む距離がわかっていると共に、図4の状態から図5の状態になるまでに帯状フィルム3bを搬送させる距離もわかっているので、駆動モータ20の回転角度を制御することで図5の状態にすることができる。
【0037】
次に、図6に示すように、移送装置26の支持アーム26bを回転させ、第1バキューム部26aを第1位置(図5等に示すベース板26dと重なった位置)から受け台25に対向する第2位置に移動させ、受け台25と第1バキューム部26aとの間で帯状フィルム3bの先端を挟み込む。なお、第1バキューム部26aは、溝部25aよりも先端側に対向する。その状態で、第1カッター装置24を動作させ、カッター刃24aを受け台25側に接近させて溝部25aに挿入させるとともに、溝部25aに沿ってカッター刃24aを移動させる。これにより、帯状フィルム3bの先端が切断されて分離される。
【0038】
次いで、図7に示すように、第1カッター装置24及び受け第25を前進させて待機位置に移動させつつ、図8に示すように、支持アーム26bを時計方向に回転させ、第1バキューム部26aを、ベース板26dと重なる第1位置に復帰させる。また、第1バキューム部26aは、少なくとも受け台25から離反する前には吸引を開始する。これにより、第1位置に復帰した第1バキューム部26aには、接合用フィルム28が吸引保持される。
【0039】
次に、図9に示すように、第2バキューム26cが約180度回転し、そのバキューム面26c′が第1バキューム部26aに対向する。これにより、第2バキューム26cのバキューム面26c′は、接合用フィルム28に接触する。その状態で第2バキューム26cは吸引を開始する。
【0040】
また、第2シリンダ24のシリンダロッドが伸長して可動ガイド部材23が起立した第2姿勢になり、可動ガイド部材23が起立した状態となる。これにより、可動ガイド部材23は固定ガイド部材34に近接し、可動ガイド部材23に取り付けたガイドレール23aと、固定ガイド部材34が備えたガイドレールがほぼ同一直線上に上下に並ぶことになる。よって、ガイドレール23aの上方より突出する帯状フィルム3bの先端は、固定ガイド部材34のガイドレール34a内に挿入配置される。
【0041】
なお、先の帯状フィルム3bの先端を切断して接合用フィルム28を形成した際、残った帯状フィルム3bの先端は、可動ガイド部材23の先端から受け台25の溝部25aまでのフィルム部位が可動ガイド部材23から外部に突出した状態となっている。一方、図9等から明らかなように、第2姿勢にある可動ガイド部材23の先端(上端)と固定ガイド部材34の下端は近接しているので、上記のように帯状フィルム3bの先端が可動ガイド部材23から突出した状態では、スムーズに固定ガイド部材34のガイドレール34a内に供給されないおそれがある。そこで、第2姿勢になる前に、一旦駆動ローラ19を逆回転させて帯状フィルム3bを後退移動させてその先端を可動ガイド部材23内に挿入した後、第2姿勢になった後で駆動ローラ19を正転させる。これにより、図9等に示すように帯状フィルム3bの先端が固定ガイド部材34a内に位置する状態にスムーズに移行することができる。
【0042】
次いで、第1バキューム部26aの吸引を停止すると共に、第3シリンダ26eを作動させて支持アーム26bを回転させて第1バキューム部26aを一旦第2位置に移動する。これにより、図10に示すように、接合用フィルム28は、第2バキューム26cに移し替えられる。また、第2バキューム26cのバキューム面26c′側が開放され、第2バキューム26cが回転可能となる。
【0043】
よって、図11に示すように、第2バキューム26cがさらに180度回転し、バキューム面26c′は、帯状フィルム3a側を向き、シール装置31のシーラ31bに対向する。また、このとき、支持アーム26bも回転して第1バキューム部26aも第1位置に復帰する。
【0044】
次に、第2カッター装置30が作動し、カッター刃30aが受け台32の溝32aに沿って横方向に移動することで帯状フィルム3aを横方向カットし、原反ロール15aから繰り出されている帯状フィルムと分離する。これにより、現在包装機へ供給中の帯状フィルム3bの後端位置が、位置決めされる。
【0045】
その後、図13に示すように、クランプ40が閉じて帯状フィルム3aをクランプしつつ、取り付け台39が下降移動することで、上方のローラ36が下降移動し、帯状フィルム3aもクランプ40でクランプして固定されていることからその下降した分だけ、帯状フィルム3aの下端位置が下がる。具体的には、シール装置31のシーラ31bに対向する位置に至る。また、駆動ローラ19を回転させて帯状フィルム3bを繰り出させ、その先端をシール装置31のシーラ31bに対向する位置まで移動させる。これにより、シーラ31bに対向する位置で、帯状フィルム3aの後端と帯状フィルム3bの先端とがつきあわされた状態になると共に、両帯状フィルム3a,3bを跨ぐように、第2バキューム26cにより保持された接合用フィルム28が重なる。
【0046】
そこで、図14に示すように、シール装置31の第4シリンダ31aが作動し、シーラ31bが帯状フィルム3a,3bに向けて前進移動し、シーラ31bと第2バキューム26cとの間で、帯状フィルム3a,3bと、接合用フィルム28とが加圧・加熱され、熱シールされる。このとき、帯状フィルム3a,3bは、片面のみシール可能なフィルム材からなり、両帯状フィルム3a,3bは、外側(接合用フィルム28側)がシール可能な面となるように配置されている。そして、接合用フィルム28も第2バキューム26cでその向きを反転させることで、接合用フィルム28のシール可能な面を両帯状フィルム3a,3bのシール可能な面に向けることができ、熱シールでき、両帯状フィルム3a,3bが接合される。
【0047】
その後、図15に示すように、シーラ31bが後退移動するとともに、ローラ36も上昇移動し、クランプ40も開放されて帯状フィルム3aも前進移動できるようになるため、帯状フィルム3bは、帯状フィルム3aの前進移動に伴い引っ張られて搬送される。よって、以後、包装機1への帯状フィルムの供給は、原反ロール15bの帯状フィルム3bにより行われる。
【0048】
その後、原反ロール15bからの帯状フィルム3bが終了した場合のフィルムの連続供給に備え、図16に示すように、支持プレート21を待避位置に位置されると共に、回転軸12を回転させて、回転支持軸14a,14b,14cを時計方向に120度公転移動させる。これにより、回転支持軸14b,原反ロール15bが真上に位置し、回転支持軸14c,原反ロール15cが左下に位置し、回転支持軸14aが右下に位置する状態となる。
【0049】
以後、原反ロール15cから帯状フィルムを繰り出し、図4以降で説明した処理手順を実行することで、帯状フィルム3bの後端に原反ロール15cから繰り出される帯状フィルム3cの先端を自動的につなげることができる。また、適宜のタイミングで、右下の回転支持軸14aに新たな原反ロールを供給する。これらの処理を繰り返すことで、帯状フィルムの自動接合・供給処理が行える。
【0050】
なお、上記の実施形態では、PTPシートのポケット部を形成するための帯状フィルムに対するスプライサーについて説明したが、上側のフィルム用のスプライサーでも良いし、その他各種の包装機用のスプライサーとして適用することができる。さらに、フィルムの材質も各種のものを用いることができる。
【符号の説明】
【0051】
3,3a,3b,3c 帯状フィルム
15a,15b,15c 原反ロール
18a 第1ローラ
18b 第2ローラ
19 駆動ローラ
20 駆動モータ
21 支持プレート
23 可動ガイド部材23
25 受け台
26 移送装置
26a 第1バキューム部
26b 支持アーム
26c 第2バキューム部
28 接合用フィルム
33 ローラ
34 固定ガイド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合を行うフィルム端部の一方を全幅にわたりカットして短冊状の接合用フィルムを作成し、
包装機に供給しているフィルムの後方の端部と、予備用のフィルムの前方の端部を突き合わせた状態にセットし、
前記接合用フィルムを反転させてシール可能な非コーティング面が向き合うようにしつつ、前記両フィルムに跨るように配置し
前記両フィルムの端部及び前記接合用フィルムを共にシーラによって挟持して接合することを包装機におけるフィルム自動接合方法。
【請求項2】
予備用の原反ロールから繰り出されるフィルムの先端をカットして短冊状の接合用フィルムを作成する接合用フィルム作成手段と、
包装機に供給しているフィルムの後方の端部と、前記接合用フィルムを作成後の前記予備用のフィルムの前方の端部を突き合わせた状態にセットする手段と、
前記接合用フィルム作成手段で作成された前記接合用フィルムを受け取るとともに、その接合用フィルムのシール可能な非コーティング面が向き合うようにしつつ、前記両フィルムに跨るように配置する移送手段と、
前記両フィルムの端部及び前記接合用フィルムを熱シールするシール手段と、
を備えたことを特徴とするスプライサー。
【請求項3】
前記移送手段は、前記接合用フィルム作成手段で作成された前記接合用フィルムを受け取るとともに、受け渡し位置まで移送する第1移送手段と、その受け渡し位置に移動してきた第1移送手段が保持する前記接合用フィルムを受け取るとともに、受け取った前記接合用フィルムを前記両フィルムに跨るように配置する第2移送手段と、を備えたことを特徴とする請求項2に記載のスプライサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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