説明

包装物検査装置及び包装物検査方法

【課題】包装物の移動時に生じる包装不良を検査可能な包装物検査装置及び包装物検査方法を提供する。
【解決手段】複数の缶Qを包装したマルチパックPを搬送しながら、マルチパックPをプッシャー24で押し出してカートンCに押し込み、マルチパックPを複数一組としてカートンCに梱包する梱包システム1に適用される包装物検査装置6であって、プッシャー24に押し出されているマルチパックPが通過すべき通過領域Mに対して、上方に位置する検出領域Nに進入するマルチパックPを検出するセンサ61a、61bを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の缶等を一組として包装した包装物の包装不良を検出する包装物検査装置及び包装物検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等の内容物を充填した缶等が複数一組として包装された、いわゆるマルチパックと呼ばれる包装物の包装不良を検査する装置が周知である。例えば、マルチパックの結合部におけるロック不良を下部からセンサで検出する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭57−114428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複数のマルチパックをカートンに梱包する際に、マルチパックをカートンに押し込む工程でマルチパックの移動経路上に段差やガイドがあると、マルチパックを包装している板紙が破損するおそれがある。しかしながら、このような破損を検出する手段がないため、包装不良が生じたままカートンに梱包されてしまう場合がある。
【0004】
そこで、本発明は包装物の移動時に生じる包装不良を検査可能な包装物検査装置及び包装物検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の包装物検査装置は、複数の容器(Q)を包装した包装物(P)を搬送しながら、前記包装物をプッシャー(24)で押し出してカートン(C)に押し込み、前記包装物を複数一組として前記カートンに梱包する梱包システム(1)に適用される包装物検査装置(6)であって、前記プッシャーに押し出されている包装物が通過すべき通過領域(M)に対して、上方に位置する検出領域(N)に進入する包装物を検出する包装不良検出手段(61a、61b)を備えたことにより上記課題を解決する。
【0006】
本発明の包装物検査装置によれば、包装物をカートンに梱包するためにプッシャーが包装物をカートンに押し込んでいる間、包装不良検出手段が動作して検出領域を監視する。包装物の通過領域に設けられている段差やガイド等により包装物の包装が破損するようなことがあれば、包装物が浮き上がって検出領域に進入し、包装不良検出手段に検出される。従って、包装不良の包装物がカートンに梱包されることを防止することができる。
【0007】
本発明の包装物検査装置の一形態において、前記プッシャーの位置を検出する位置検出手段(5)からの位置情報に基づいて、前記包装不良検出手段のオンオフ動作を制御する制御手段(62)をさらに備えてもよい。この形態によれば、制御手段が、位置検出手段からの位置情報に基づいて包装不良検出手段のオンオフ動作を制御することにより、プッシャーの動作中のみ検出領域を監視することができる。包装物がプッシャーに押し出されている間を判別して効率的に監視することができる。
【0008】
本発明の包装物検査装置の一形態において、前記包装物は、包装体(R)を、前記包装物の両側面が開口するようにして前記複数の容器の外周に巻き付けた構成を有し、前記プッシャーにより前記包装物が押し出される方向に、前記包装物の開口する側面(Pf)が向けられていてもよい。包装体が複数の容器の外周に巻き付けられて、包装物の開口する側面がプッシャーにより押し出される方向に対して前方に位置していると、包装物の通過領域に段差等がある場合に包装体が引っ掛かって破れ、めくれ等の破損が生じることがある。この破損で包装物が浮き上がって検出領域に進入することにより、包装不良を検出することができる。
【0009】
本発明の包装物検査方法は、複数の容器(Q)を包装した包装物(P)を搬送しながら、前記包装物をプッシャー(24)で押し出してカートン(C)に押し込み、前記包装物を複数一組として前記カートンに梱包する梱包システム(1)に適用される包装物検査方法であって、前記プッシャーに押し出されている包装物が通過すべき通過領域(M)に対して、上方に位置する検出領域(N)に進入する包装物を検出する包装不良検出工程を備えたことにより上記課題を解決する。
【0010】
本発明の包装物検査方法によれば、包装物をカートンに梱包するためにプッシャーが包装物をカートンに押し込んでいる間、包装不良検出手段が動作して検出領域を監視する。包装物の通過領域に設けられている段差やガイド等により包装物の包装が破損するようなことがあれば、包装物が浮き上がって検出領域に進入し、包装不良検出手段に検出される。従って、包装不良の包装物がカートンに梱包されることを防止することができる。
【0011】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0012】
以上、説明したように、本発明の包装物検査装置及び包装物検査方法においては、包装物をカートンに梱包するためにプッシャーが包装物をカートンに押し込んでいる間、包装不良検出手段が動作して検出領域を監視する。包装物の通過領域に設けられている段差やガイド等により包装物を包装している板紙が破損するようなことがあれば、包装物が浮き上がって検出領域に進入し、包装不良検出手段に検出される。従って、板紙が破損した状態の包装物がカートンに梱包されることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明の一形態に係る包装物検査装置が適用された梱包システムの一部を示す概略図、図2は包装物検査装置と検査対象となるマルチパック製品との位置関係を示す図である。梱包システム1では、飲料等の内容物が充填された容器としての缶Qを複数一組として包装した包装物としてのマルチパックPが、カートンC(図3参照)に梱包される。マルチパックPは、板紙Rを、マルチパックPの両側面Pfが開口するようにして6本の缶Qの外周に巻き付けた構成を有する製品である。カートンCは、4つのマルチパックPを一組として段ボールで梱包したものである。梱包システム1は、半成形のカートンCにマルチパックPを充填する充填装置2と、充填装置2に並走して設置され、充填されたマルチパックPをカートンCに梱包するケース搬送装置3と、充填装置2及びケース搬送装置3を駆動するメインモータ4と、メインモータ4の回転角度等を計測するロータリエンコーダ5と、充填時のマルチパックPの移動を監視する包装物検査装置6とを備えている。
【0014】
充填装置2には、メインモータ4から動力を得て回転駆動する駆動ローラ21と、駆動ローラ21に従動する従動ローラ22と、駆動ローラ21及び従動ローラ22に掛け回されてマルチパックPを搬送する複数のステー23と、ステー23上でマルチパックPをケース搬送装置3側へ押し出すプッシャー24と、プッシャー24の押し出し動作をガイドするカムレール25とが設けられている。ステー23は、搬送方向に対して垂直となる幅方向に亘された板部材で、搬送方向に複数並べられて駆動ローラ21及び従動ローラ22の駆動に伴って回転する。プッシャー24は、充填装置2に複数設けられ、所定の間隔でステー23上に設置される。プッシャー24は、T字状の部材で、駆動ローラ21及び従動ローラ22の周りをステー23に伴って回転移動する。各プッシャー24の間には、図示を省略したが製品用ガイドが設けられており、プッシャー24に押し出されるマルチパックPを案内する。カムレール25は、プッシャー24の押し出し動作をガイドする。カムレール25は、ステー23により形成される、マルチパックPの搬送面Aの下方に固定されて設置され、搬送方向下流側へ向かうに従ってケース搬送装置3側へ近付くようにレールが配置される。また、ステー23も、プッシャー24の押し出し動作のガイドとして機能する。つまり、プッシャー24は、駆動ローラ21及び従動ローラ22の周りをステー23とともに回転移動しながら、順次カムレール25及びステー23により案内されて、搬送方向下流側へ向かうに従ってケース搬送装置3側へ近付くように移動する。充填装置2に搬送されるマルチパックPは、板紙Rで巻かれた面が搬送方向に面している。プッシャー24により押し出される方向に、マルチパックPの側面Pfが向けられている。
【0015】
ケース搬送装置3には、メインモータ4から動力を得てカートンCを搬送するコンベア31が設けられている。コンベア31には、梱包前で未成形、つまりシート状で一部が折り曲げられた状態のカートンCが、充填装置2にて搬送されるマルチパックPと同速度で搬送される。プッシャー24により押し出されたマルチパックPは、コンベア31で搬送されるカートンCへ押し込まれ、その後、マルチパックPは梱包処理される。メインモータ4は、充填装置2及びケース搬送装置3に対する同一の駆動源で、動力伝達機構41を介して充填装置2及びケース搬送装置3に動力を供給する。メインモータ4として各種の電動モータが利用される。ロータリエンコーダ5は、動力伝達機構41に取り付けられてプッシャー24の位置情報に相当する回転量や回転角度を計測し、位置検出手段として機能する。各種市販のロータリエンコーダを利用してもよい。
【0016】
包装物検査装置6には、マルチパックPの上方を監視するセンサ61a、61b(区別する必要がない場合は、参照符号61で代表する。)と、センサ61のオンオフ動作を制御する制御装置62と、センサ61の検出状況を示す情報をオペレータに通知する監視装置63とが設けられている。センサ61は、ケース搬送装置3の搬送経路に隣接して設置され、ケース搬送装置3及び充填装置2を横切る方向に検出範囲が向けられる。センサ61には、反射型投受光器を有する光電センサが利用され、充填装置2及びケース搬送装置3を挟んだ対向には反射板64が設置される。なお、透過型の光電センサ等を利用してもよい。センサ61は、カートンCに押し込まれている間のマルチパックPを監視可能な位置に設置される。センサ61a、61bは、搬送面Aに対して設置される高さが異なる。センサ61aは内容量が350[ml]の缶Qに対応した位置に固定され、センサ61bは内容量が500[ml]の缶Qに対応した位置に固定される。センサ61は搬送されるマルチパックPが通過すべき通過領域Mの上方に位置する検出領域Nを監視し、カートンCに押し込まれるマルチパックPがステー23や製品ガイド、あるいは充填装置2とケース搬送装置3との間の段差等に引っ掛かることにより、板紙Rの破れ、めくれ等の破損によるマルチパックPの浮き上がりを検出する。センサ61はマルチパックPの浮き上がりを検出すると、制御装置62に異常検出信号を出力する。
【0017】
包装物検査装置6の制御装置62は、ロータリエンコーダ5の回転角度情報を取り込んで、センサ61のオンオフ動作を制御する。センサ61のオンオフ動作の制御には、例えば、電子式カムスイッチコントローラが利用され、ロータリエンコーダ5から検出される回転角度が予め設定された設定角度になるとセンサ61をオンし、あるいはオフする。ここで、設定角度は、センサ61の監視位置をマルチパックPが通過する間でセンサ61が動作するように設定される。制御装置62に設けられる記憶装置には、センサ61をオンする動作開始角度と、センサ61をオフする動作終了角度とが記憶される。また、制御装置62は、センサ61から異常検出信号が入力されると、監視装置63にマルチパックPの浮き上がり検出異常をオペレータに通知するための表示をさせる。監視装置63は、モニタ、ランプ、スピーカ等を単独又は組み合わせて構成される。なお、制御装置62には、制御条件等を入力し、あるいは設定するための入力インターフェースが設けられていてもよい。
【0018】
図3A〜図3Dを参照して、包装物検査装置6の動作を説明する。充填装置2及びケース搬送装置3は、メインモータ4の駆動力が伝達され、それぞれマルチパックP及びカートンCを同期して搬送する。充填装置2のプッシャー24は、ステー23及びカムレール25にガイドされて押し出し動作を行う。マルチパックP及びカートンCがそれぞれ搬送されて、それらの前端がセンサ61に差しかかると、制御装置62に記憶された動作開始角度とロータリエンコーダ5の角度が一致して、制御装置62はセンサ61の動作をオンする(図3A)。なお、図3A〜図3Dにおいて、マルチパックP及びカートンCは、図面下側から上側に向かって搬送されるものとし、プッシャー24は図面右側から左側に向かってマルチパックPをカートンC側へ押し出すものとする。
【0019】
プッシャー24により4つのマルチパックPが押されて通過領域Mを通過している間、センサ61によりマルチパックPの上方の検出領域Nが監視される(図3B)。プッシャー24によりマルチパックPがさらに押し出されてカートンCに押し込まれる際に、段差等により板紙Rが破損すると、マルチパックPが浮き上がり、センサ61により検出される(図3C)。センサ61が出力する異常検出信号に基づいて制御装置62は、監視装置63にその旨を表示させ、オペレータに通知する。板紙Rの破損がなければ、マルチパックPはセンサ61に検出されることなく通過領域Mを通過する。そして、4つのマルチパックPがカートンCに押し込まれるとともに、センサ61の監視位置に後端が到達すると、制御装置62に記憶された動作終了角度とロータリエンコーダ5の角度が一致して、制御装置62はセンサ61の動作をオフする(図3D)。
【0020】
上述の動作は、順次搬送されるマルチパックP及びカートンCに対して繰り返される。このようにして、マルチパックPがカートンCに押し込まれている間、センサ61が検出領域Nを監視することにより、検出領域Nに進入したマルチパックPを検出して板紙Rが破損した状態のマルチパックPがカートンCに梱包されることを防止することができる。また、制御装置62が、ロータリエンコーダ5の回転角度情報に基づいてセンサ61のオンオフ動作を制御することにより、マルチパックPがプッシャー24に押し出されている間を判別して効率的に監視することができる。
【0021】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、缶Qを複数本包装したマルチパックPで説明したが、これに限られず、壜を包装したマルチパックでもよい。マルチパックPを包装する板紙Rは、紙に限られず、フィルム等であってもよい。本形態では、設置高さの異なるセンサ61a、61bを設けた例で説明したが、これに限られず、例えば、一つのセンサ61を設置し、検出対象物に合わせて高さを調整してもよい。センサ61は、検出対象物に合わせた位置に固定すればよく、設置個数も限定されない。本形態では、位置検出手段としてロータリエンコーダ5で説明したが、これに限られず、例えば、その他の角度センサや、プッシャー24の位置を検出する光電センサ等の各種センサでもよい。この場合においても、プッシャー24の位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一形態に係る包装物検査装置が適用された生産ラインの一部を示す概略図。
【図2】包装物検査装置と検査対象となるマルチパック製品との位置関係を示す図。
【図3A】包装物検査装置の動作を説明する図。
【図3B】図3Aに続く動作を説明する図。
【図3C】図3Bに続く動作を説明する図。
【図3D】図3Cに続く動作を説明する図。
【符号の説明】
【0023】
1 梱包システム
2 充填装置
3 ケース搬送装置
4 メインモータ
5 ロータリエンコーダ(位置検出手段)
6 包装物検査装置
24 プッシャー
61a、61b センサ(包装不良検出手段)
62 制御装置(制御手段)
C カートン
M 通過領域
N 検出領域
P マルチパック(包装物)
Q 缶(容器)
R 板紙(包装体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器を包装した包装物を搬送しながら、前記包装物をプッシャーで押し出してカートンに押し込み、前記包装物を複数一組として前記カートンに梱包する梱包システムに適用される包装物検査装置であって、
前記プッシャーに押し出されている包装物が通過すべき通過領域に対して、上方に位置する検出領域に進入する包装物を検出する包装不良検出手段を備えたことを特徴とする包装物検査装置。
【請求項2】
前記プッシャーの位置を検出する位置検出手段からの位置情報に基づいて、前記包装不良検出手段のオンオフ動作を制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の包装物検査装置。
【請求項3】
前記包装物は、包装体を、前記包装物の両側面が開口するようにして前記複数の容器の外周に巻き付けた構成を有し、
前記プッシャーにより前記包装物が押し出される方向に、前記包装物の開口する側面が向けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装物検査装置。
【請求項4】
複数の容器を包装した包装物を搬送しながら、前記包装物をプッシャーで押し出してカートンに押し込み、前記包装物を複数一組として前記カートンに梱包する梱包システムに適用される包装物検査方法であって、
前記プッシャーに押し出されている包装物が通過すべき通過領域に対して、上方に位置する検出領域に進入する包装物を検出する包装不良検出工程を備えたことを特徴とする包装物検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【公開番号】特開2009−126564(P2009−126564A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305772(P2007−305772)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【出願人】(392032100)キリンエンジニアリング株式会社 (54)