説明

包装用容器

【課題】容器本体に取り付けられた蓋を容易に取り外すことができると共に、容器本体に取り付けられた状態を確実に維持することができる包装用容器を提供する。
【解決手段】容器本体1と、該容器本体1に着脱自在の蓋3とを備える包装用容器において、容器本体1は、本体部10と、外周部13とを備え、該外周部13の所定箇所に、外方又は内方の何れか一方に突出する係合用凸部19が設けられ、蓋3は、本体部10と共に蓋本体部30と、該蓋本体部30の外周に設けられる蓋外周部34とを備えると共に、該蓋外周部34に、外方又は内方の何れか他方に突出して容器本体1の係合用凸部19と係合する係合用凸部42が設けられ、しかも、容器本体の係合用凸部19又は蓋の係合用凸部42の何れか一方は、少なくともコーナー部側において、その突出高さがコーナー部に向かって漸次又は段階的に低くなるように構成されてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を収容するのに適した包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、弁当、寿司、惣菜、肉や刺身等の生鮮品、調理素材といった各種の食品を収容する包装用容器として、食品の収容部を有するプラスチック製の容器本体と、該容器本体を透明な蓋体で覆うようにした包装用容器が知られている。この種の包装用容器は、容器本体が内容物の収容部を構成する本体部と、該本体部の外周に沿って設けられる外周部とを備える一方、蓋は、容器本体に対して着脱自在に構成されている。
【0003】
具体的には、この種の包装用容器は、蓋が容器本体の開口を覆うようにして容器本体に取り付けられ、容器本体のうち、外周部に係合用凸部が設けられる一方、蓋には、容器本体の係合用凸部と係合する係合用凸部が設けられ、容器本体の係合用凸部と蓋の係合用凸部とが係合することにより、蓋が容器本体に着脱自在に取り付けられる、いわゆる外嵌合タイプのものが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−83089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような包装用容器は、蓋を容器本体に取り付けた状態で、係合用凸部同士が全体的に重なり合うようにして係合しているため、係合する力が強い反面、蓋を取り外す際に取り外しにくい面があった。例えば、蓋を取り外す際には、蓋のコーナー部を上方に引き上げるようにするが、係合用凸部同士が全体的に重なり合うようにして係合しているため、蓋の係合用凸部が容器本体の係合用凸部を乗り越えるために大きな力が必要となる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、容器本体に取り付けられた蓋を容易に取り外すことができると共に、容器本体に取り付けられた状態を確実に維持することができる包装用容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる包装用容器は、上記課題を解決すべく構成されたもので、コーナー部を有する容器本体と、該容器本体の開口を覆うようにして容器本体に着脱自在に取り付けられる蓋とを備える包装用容器において、容器本体は、内容物の収容部を構成する本体部と、該本体部の外周に沿って設けられる外周部とを備えると共に、該外周部の所定箇所に、外方又は内方の何れか一方に突出する係合用凸部が設けられ、蓋は、容器本体の本体部と共に内容物の収容部を構成する蓋本体部と、該蓋本体部の外周に沿って設けられる蓋外周部とを備えると共に、該蓋外周部に、外方又は内方の何れか他方に突出して容器本体の係合用凸部と係合する係合用凸部が設けられ、しかも、容器本体の係合用凸部又は蓋の係合用凸部の何れか一方は、少なくともコーナー部側において、その突出高さがコーナー部に向かって漸次又は段階的に低くなるように構成されてなることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、容器本体の係合用凸部又は蓋の係合用凸部の何れか一方の突出高さが、少なくともコーナー部側において、コーナー部に向かって漸次又は段階的に低くなることで、蓋を容器本体に取り付けた状態で、係合用凸部同士の係合がコーナー部へ向かって漸次又は段階的に浅くなるため、コーナー部に近い位置ほど蓋の係合用凸部が容器本体の係合用凸部を乗り越えるために必要な力が小さくなる。このため、例えば、蓋のコーナー部を上方に引き上げて蓋を取り外す場合には、コーナー部の近傍から容易に係合が解除され、蓋を容易に取り外すことができる。また、コーナー部から離れた位置においては、蓋を取り付けた状態で、係合用凸部同士が深く係合されるため、蓋を容器本体に取り付けた状態を確実に維持することができる。また、蓋を取り付ける際には、コーナー部に近い位置ほど容器本体の係合用凸部と蓋の係合用凸部とを係合させ易いため、容易に蓋の取り付けを行なうことができる。
【0008】
また、本発明にかかる包装用容器は、前記容器本体を取り囲むようにして取り付けられる周側枠をさらに備え、前記蓋は、容器本体及び周側枠のそれぞれ開口を覆うようにして容器本体に着脱自在に取り付けられることが好ましい。
【0009】
かかる構成によれば、容器本体と蓋体とからなる包装用容器よりも見栄えが良くなり、商品価値を高めることができる。さらに、周側枠が発泡プラスチック等の断熱性を有す場合には、内容物が電子レンジ等で加熱されても、周側枠が備える断熱性のために持ち手が熱くなることがない。
【0010】
また、本発明にかかる包装用容器は、前記容器本体の外周部は、容器本体の各辺の中間部に向かうに従って漸次低くなるよう構成されてなることが好ましい。
【0011】
かかる構成によれば、容器に収容された内容物をより視認し易くすることができ、弁当や惣菜など、消費者の購買意欲の向上が期待できる。
【発明の効果】
【0012】
以上の如く、本発明は、容器本体の係合用凸部と蓋の係合用凸部の何れか一方の突出高さが、少なくともコーナー部側において、コーナー部に向かって漸次又は段階的に低くなるように形成されることで、係合用凸部同士が係合した際に、係合力の弱い部分と強い部分とが形成されるため、係合力の弱い部分に力を加えることで蓋を容易取り外すことができると共に、係合力の強い部分が蓋を取り付けた状態に確実に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る包装用容器(以下、単に「容器」という)について、図1〜図3を参酌しつつ説明する。また、以下の説明において、「外方」、「内方」なる用語が用いられることがあるが、「外方」とは、容器の中心から見て水平方向に広がる方向をいい、「内方」とは、水平方向において外側から容器の中心側に向かう方向をいう。但し、これら「外方」、「内方」なる用語は、水平方向と一致する場合のみならず、それに対してある程度の角度範囲で傾斜する方向も含むものである。
【0014】
図1は、本実施形態に係る容器の平面図を示す。容器は、容器本体1と、該容器本体1の外周を取り囲むようにして容器本体1の外周縁に取り付けられる周側枠2と、容器本体1に着脱自在に取り付けられる蓋3とを備える。言い換えれば、容器は、周側枠2の内側に容器本体1が設けられ、該容器本体1を蓋体3で覆うように構成したものである。尚、図1においては、蓋3は、一部(右上の四分の一の領域)のみ表され、それ以外は表していない。従って、図1の右上の四分の一の領域は、蓋3が容器本体1及び周側枠2を覆った状態で表され、その他の四分の三の領域は、蓋3が無い状態、即ち、容器本体1及び周側枠2が露出した状態で表される。
【0015】
容器は、閉蓋状態、即ち、容器本体1に蓋3が取り付けられた状態で、略直方体をなす、いわゆる角形容器である。そのため、容器は、平面視にて四角形(長方形)を呈しており、容器本体1、周側枠2、蓋3の何れもが平面視にて四角形を呈する。但し、厳密に言えば、容器の各コーナー部は、直角ではなく、角を取って丸みが付けられる。本実施形態においては、このコーナー部(容器の四隅)において、容器本体1と蓋3との嵌合構造が採用され、容器本体1に蓋3を着脱自在に取り付けることができるようになっているが、これについては後述する。
【0016】
容器本体1及び蓋3は、プラスチックシート(合成樹脂製シート)を熱成形して構成され、プラスチックとしては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、あるいはポリスチレン(PS)等を単独、或いは、2種類以上を混合したものが用いられる。また、これらの樹脂にタルクや炭酸カルシウムなどの無機物を添加してもよく、2種類以上の樹脂を混合して用いる際には相溶化剤を添加してもよい。また、容器本体1は、着色が施された非発泡シート、もしくは、発泡シートであってもよく、蓋3を介して内容物を視認することができる点で、蓋3は透明であるのが好ましい。一方、周側枠2は、発泡プラスチック製の帯状素材を容器本体1の外周縁に沿うようにして四角形(方形)に折り曲げ、さらに、端部同士を接着剤で固定したものである。周側枠2は、高級感を醸し出すために外側表面に木目等の装飾が施されるようにしてもよい。
【0017】
蓋3の大きさは、周側枠2の大きさと同じかそれよりもやや大きく構成され、蓋3の外周縁が周側枠2の外側に張り出すように構成されている。また、その外周縁は、図示しないが、熱成形による細かな凹凸加工やエンボス加工を施すことにより、側面視にて波形(正弦波、三角波、台形波等)の外縁線、即ち、直線ではない外縁線を備えるようになっている。これらにより、蓋3の外周縁のエッジの鋭利さが解消されるため、蓋3を開閉する際の指先を保護することができ、また、包装フィルム(図示しない)を使用してラッピングする際に包装フィルムが裂断するのを防止することができる。さらに、蓋3の外周縁の強度が増し、蓋3が裂断するのを防止する効果もある。尚、蓋3の外周縁の一部に開蓋用の指掛けを設けてもよく、また、上記した外周縁のエッジの鋭利さを解消するための種々の施策は、容器本体1の外周縁に施してもよい。
【0018】
図2は、容器本体1と蓋3との嵌合構造が設けられる容器のコーナー部における拡大断面図(図1のA−A線断面図)を示す。容器本体1は、大きく分けると、(下方に)窪んで食品の収容部を構成する本体部10と、該本体部10の外周に沿って設けられる外周部13とからなる。また、蓋3は、大きく分けると、(上方に)膨らんで容器本体1の本体部10と共に食品の収容部を概略的に構成する蓋本体部30と、該蓋本体部30の外周に沿って設けられる蓋外周部34とからなる。
【0019】
容器本体1の本体部10は、底部11と、該底部11の外周から上方に延びる(立ち上がる)、より詳しくは、上方側ほど外方に膨らむように傾斜して上方に延びる、食品の収容部の周壁を構成する周壁部12とからなる。底部11は、さらに、底面部11aと、該底面部11aの周りに配置される環状凹部11bとからなり、周壁部12は、環状凹部11bにて底部11と接続される。このように、容器本体1は、底が平坦で、上方に向かって横断面積が漸次増加する形状となっている。また、容器本体1の底部11は、周側枠2の下端よりも高い位置に設定され、容器本体1の底を浮かせるようにしている。このような構成は、容器本体1を積み重ねて載置するのに適している。
【0020】
容器本体1の外周部13は、周壁部12からさらに上方に延びる(立ち上がる)、より詳しくは、傾斜することなく上方に延びる起立部14と、該起立部14から外方に延びる(張り出す)、より詳しくは、傾斜することなく外方に延びる頂部15と、該頂部15から下方に延びる(垂下する)、より詳しくは、傾斜することなく下方に延びる垂下部16と、該垂下部16から外方に延びる(張り出す)、より詳しくは、階段状に屈曲しつつ外方に延びる取付部17とからなる。
【0021】
垂下部16は、さらに、起立部14と対峙し且つ該起立部14に対応した高さを有する第一部位16aと、該第一部位16aから下方に延び(垂下し)、周壁部12と対峙する第二部位16bとからなる。周壁部12の上端、即ち、起立部14の下端は、垂下部16の第二部位16bの上端、即ち、垂下部16の第一部位16aの下端、と同じ又は略同じ高さ位置に設定され、しかも、それは、周側枠2の上端と同じ又は略同じ高さ位置に設定されている。
【0022】
そこで、起立部14、頂部15及び垂下部16は、容器本体1の外周部13において、上方から下方に折り返される折返部18を構成し、また、起立部14、頂部15及び垂下部16の第一部位16aは、容器本体1の外周部13において、(上方に)膨らんだ凸部18a、より詳しくは、周側枠2よりも上方に突出した凸部18aを構成する。即ち、凸部18aは、折返部18の一部であり、より詳しくは、折返部18の上端側に位置する構成である。
【0023】
取付部17は、周側枠2の内壁に設けられた、より詳しくは、内壁のうち、中間箇所よりも上方箇所にて周回方向に沿って設けられたスリット21に挿入され、例えば、取付部17を固着するために接着剤(図示しない)を使用して容器本体1と周側枠2とを一体化させる。尚、容器本体1と周側枠2を一体化する手段としては、容器本体1と周側枠2の上端面、もしくは、下端面とを接着や熱融着することで一体化させてもよい。また、接着剤や熱融着といった固着手段に限定されず、例えば、取付部17が周側枠2の内壁又はスリット21に食い込むようにしてもよいし、取付部17がスリット21から脱落することが無いのであれば、接着剤や熱融着といった固着手段を用いることなく、単に周側枠2を容器本体1の周りに巻いて取り付けるだけであってもよい。
【0024】
蓋本体部30は、天井部31と、該天井部31の外周から下方に延びる(垂下する)、より詳しくは、下方側ほど外方に膨らむように傾斜して下方に延びる、食品の収容部の周壁を構成する周壁部32と、該周壁部32から外方に延びる(張り出す)、より詳しくは、傾斜することなく外方に延びる段落部33とからなる。このように、蓋3は、天井が平坦で、下方に向かって横断面積が漸次増加する形状となっている。
【0025】
蓋外周部34は、段落部33から上方に延びる(立ち上がる)、より詳しくは、傾斜することなく上方に延びる起立部35と、該起立部35から外方に延びる(張り出す)、より詳しくは、傾斜することなく外方に延びる頂部36と、該頂部36から下方に延びる(垂下する)、より詳しくは、傾斜することなく下方に延びる垂下部37と、該垂下部37から外方に延びる(張り出す)、より詳しくは、傾斜することなく外方に延びる第一鍔部38と、該第一鍔部38から下方に延びる(垂下する)、より詳しくは、傾斜することなく下方に延びる第二鍔部39と、該第二鍔部39から外方に延びる(張り出す)、より詳しくは、傾斜することなく外方に延びる縁部40(容器の外周縁)とからなる。
【0026】
段落部33の先端、即ち、起立部35の下端は、第一鍔部38の基端、即ち、垂下部37の下端、と同じ又は略同じ高さ位置に設定され、しかも、それは、周側枠2の上端と同じ又は略同じ高さ位置に設定されている。そして、起立部35は、容器本体1の起立部14より僅かに高く形成され、該起立部14と密接又はそれに近い状態で対峙する。頂部36は、容器本体1の頂部15より僅かに幅広に形成され、該頂部15と密接又はそれに近い状態で対峙する。垂下部37は、容器本体1の垂下部16の第一部位16aよりも僅かに高く形成され、該第一部位16aと密接又はそれに近い状態で対峙する。
【0027】
そのため、起立部35、頂部36及び垂下部37は、蓋外周部34において、(上方に)窪んだ凹部41、より詳しくは、周側枠2よりも上方に位置して下方が開放された凹部41を構成する。そして、該凹部41が容器本体1の凸部18aに外嵌する、言い換えれば、容器本体1の凸部18aが蓋3の凹部41に嵌入することにより、蓋3は、容器本体1に着脱自在に取り付けられる。
【0028】
容器本体1の凸部18aは、(内方に)膨らんだ係合用凸部19を備える一方、蓋3の凹部41は、(外方に)膨らんだ係合用凸部42を備える。該係合用凸部42は、蓋3が容器本体1に取り付けられ、蓋3の凹部41が容器本体1の凸部18aに外嵌した状態で、係合用凸部42よりも上方に位置する係合用凸部19と係合されるようになっている。しかも、係合用凸部19及び係合用凸部42は、容器本体1に対する蓋3の着脱方向と交差する方向において互いに係合されるため、係合用凸部19を備える容器本体1の凸部18aは、嵌合凸部としての機能を有する一方、係合用凸部42を備える蓋3の凹部41は、嵌合凹部としての機能を有し、このような容器本体1と蓋3との嵌合構造(蓋の取り付け構造)は、いわゆる内外嵌合タイプとなっている。
【0029】
ここで、係合用凸部19及び係合用凸部42についてより詳しく言及すると、係合用凸部19は、起立部14の頂部15側の部位が容器本体1の中心側に向かって突出するように成形され、外面側が係合用凸部19として機能する一方、係合用凸部42は、起立部35の段落部33側の部位が蓋3の中心側(容器本体1の中心側と同じ)と反対側に向かって突出するように成形され、内面側が係合用凸部42として機能する。別の言い方をすれば、係合用凸部19は、凸部18aのうち、内側の側壁(起立部14)が内方に膨らむように形成される一方、係合用凸部42は、凹部41のうち、内側の側壁(起立部35)が外方に膨らむように形成され、係合用凸部42の膨らみが係合用凸部19の膨らみを乗り越えて係合用凸部19に上方から係合されることにより、容器本体1と蓋3とが一体化される。
【0030】
また、係合用凸部19は、突出高さ(膨らみの高さ)が少なくとも容器本体1のコーナー部側において、コーナー部に向かって漸次低くなるように形成される。より詳しくは、係合用凸部19は、容器本体1の各辺のコーナー部周辺に形成され、コーナー部へ向かって、係合用凸部19の突出する高さが漸次低くなるように形成される。一方、係合用凸部42は、係合用凸部19に係合可能な位置に形成され、係合用凸部19の最も高く突出した部分(最も膨らんだ部分)と同じ高さで全体に渡って均一に突出するように形成される。このため、係合用凸部19と係合用凸部42とが係合した状態で、係合用凸部19と係合用凸部42とが係合する領域(係合用凸部19と係合用凸部42とが重なる領域)がコーナー部に向かって漸次狭くなる。言い換えれば、係合用凸部19と係合用凸部42との係合がコーナー部に向かって漸次浅くなるように構成される。なお、図1において、係合用凸部19は、突出高さがコーナー部に向かって漸次低くなるように示されているが、段階的に低くなるように係合用凸部19が形成されてもよく、他の図面において、係合用凸部19が漸次又は段階的に低くなる旨が詳しく示されている。
【0031】
前記第一鍔部38は、周側枠2の上面と対峙し、該上面に重ねられる部位であり、前記第二鍔部39は、周側枠2の上端側の外面と対峙し、該外面に重ねられる部位であり、そのため、周側枠2の上端に第一鍔部38、第二鍔部39及び縁部40からなる外周縁部43が覆い被せられる。これにより、容器本体1の開口はもちろん、周側枠2の開口が蓋3(の外周縁部43)によって完全に覆われ得る。尚、上述した蓋3の外周縁のエッジの鋭利さを解消するための種々の施策は、縁部40に施されるものである。
【0032】
ところで、容器本体1の凸部18a(周側枠2から上方に突出する部位)は、図3に示す如く、容器本体1のコーナー部(容器本体1の四隅)に意図して設けられるものである。従って、容器本体1の各辺の中間部では、凸部18aは小さくなっているか、無くなっている。より詳しくは、容器本体1のコーナー部における凸部18aは、所定範囲においては一定形状であるのに対し、そこから外れると、各辺の中間部に向かうに従って漸次縮小していく形状となっており、各辺の中間箇所には形成されていない形態になっている。これは、容器本体1の長辺側(同図(a))、短辺側(同図(b))の何れにおいてでもある。
【0033】
また、言い方を変えると、容器本体1の折返部18(容器本体1の本体部10と容器本体1の取付部17とを連結する部位)の上端側は、容器本体1のコーナー部の所定範囲においては一定形状であるのに対し、そこから外れると、各辺の中間部に向かうに従って漸次低くなり、各辺の中間箇所にて最も低くなって周側枠2の上端と同じ又は略同じ高さ位置になる。これは、容器本体1の長辺側(同図(a))、短辺側(同図(b))の何れにおいてでもある。
【0034】
また、係合用凸部19及び係合用凸部42は、容器本体の周方向及び蓋の周方向に沿って所定の長さで形成され、容器本体1あるいは蓋3のコーナー部においてのみ形成される(図1参照)。尚、係合用凸部19及び係合用凸部42は、各コーナー部において、互いに交差する二辺のそれぞれに一対ずつ設けられている。
【0035】
本実施形態に係る容器は、以上の構成からなり、容器本体1に蓋3を取り付けた状態で、係合用凸部19と係合用凸部42との係合がコーナー部に向かって漸次浅くなるので、コーナー部へ向かうほど係合用凸部42が係合用凸部19を乗り越える際の力が小さくなり、例えば、コーナー部を上方に引き上げることによって、容易に係合を解除することができると共に、コーナー部から離れた部分においては、係合用凸部19と係合用凸部42とが深く係合するため、蓋を取り付けた状態を確実に維持することができる。即ち、本実施形態に係る容器によれば、蓋3の取り外しを容易にすると共に、蓋を取り付けた状態を確実に維持するといった一見相反する二つの効果を奏するものとなる。
【0036】
また、容器本体1の各辺の中間部では、コーナー部における段落部33が形成されておらず、該段落部33は、周壁部32に吸収された格好となる。そのため、容器本体1の各辺の中間部では、周壁部32の傾斜が緩やかになっており、且つ、その先端が外方にせり出すようになっている。このように構成されることで、透明な蓋3を通して容器本体1内に収容された食品を見やすくすると共に、容器のコーナー部における外観と、容器の各辺の中間部における外観とが大きく異なることになり、全体のデザインを斬新なものにすることが可能となる。
【0037】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0038】
例えば、上記実施形態においては、係合用凸部19が容器本体1のコーナー部に向かって突出高さが漸次低くなるように形成されているが、これに限定されるものではなく、図4及び図5に示すように、係合用凸部19’がコーナー部に向かってテーパー状となるように形成されてもよい。より詳しくは、係合用凸部19’は、図4(a)(b)に示すように、突出高さが均一の均一凸部60と、該均一凸部60からコーナー部に向かってテーパー状に形成されたテーパー凸部61とから構成されてもよい。均一凸部60は、図5(a)に示すように、突出高さが係合用凸部42の突出高さと等しいか略等しい高さで形成されることが好ましい。また、均一凸部60は、円弧状に形成された外周面を備えることが好ましい。テーパー凸部61は、均一凸部60よりもコーナー部側に形成され、図5(b)(c)に示すように、コーナー部側に向かうに従って突出高さが低くなると共にその幅も小さくなるように形成されることが好ましい。また、テーパー凸部61は、図5(b)(c)に示すように、先端部に向かうに従って(コーナー部に向かうに従って)容器本体1の頂部15側に向かって先細りとなるように形成されることが好ましい。
【0039】
このように構成されることで、図5(a)に示すように、均一凸部60と係合用凸部42とが深く係合可能となる。一方、テーパー凸部61は、同図(b)(c)に示すように、係合用凸部42と接触することはなく、また、コーナー部に向かうに従って、テーパー凸部61と係合用凸部42との係合が浅くなるため、蓋3のコーナー部を上方に引き上げることで、係合用凸部42がテーパー凸部61側に傾斜し、テーパー凸部61を乗り越え易くなる。よって、蓋の取り外しを容易にすることが可能となる。
【0040】
また、上記実施形態においては、係合用凸部19は、コーナー部に向かうに従って漸次突出高さが低くなるように形成されているが、これに限定されるものではなく、図6及び図7に示すように、係合用凸部19''が、コーナー部に向かって突出高さが段階的に低くなるように形成されてもよい。具体的には、図6(a)(b)に示すように、係合用凸部19''が、突出高さの高い高凸部62と、該高突出部62よりも低く突出する低凸部63と、高凸部62から低凸部63へ漸次高さが低くなる傾斜凸部64とから構成されてもよい。より詳しくは、高凸部62及び低凸部63は、それぞれの突出する高さが均一となるように形成され、低凸部63が高凸部62よりもコーナー部側に形成されることが好ましい。そして、高凸部62と低凸部63との高低差を連結するように傾斜凸部64が形成されることが好ましい。また、上記実施形態においては、係合用凸部19が起立部14に設けられるが、これに限定されるものではなく、図7(a)〜(c)に示すように、係合用凸部19''が垂下部16に設けられ、外方に突出するように形成されてもよい。また、これに伴い、係合用凸部42’が内方に突出するように垂下部37に設けられてもよい。
【0041】
また、上記実施形態においては、係合用凸部19は、容器本体1の各辺に水平に形成されるが、これに限定されるものではなく、図8及び図9に示すように、係合用凸部19'''が形成される容器本体1の各辺の中間部に向かって、係合用凸部19'''が傾斜するように設けられてもよい。具体的には、図8(a)(b)に示すように、係合用凸部19'''は、容器本体1の各辺の中間部に向かって傾斜する傾斜上端部65と、係合用凸部42を係止する係止下端部66とを備えることが好ましい。該係止下端部66は、容器本体1の中間部に向かって傾斜する傾斜下端部67と、該傾斜下端部67と連結し、容器本体1の周方向に沿って水平或いはほぼ水平に形成された水平下端部68とを備えることが好ましい。一方、係合用凸部42''は、係止下端部66、つまりは、傾斜下端部67及び水平下端部68に対応するように形成された傾斜上端部69及び水平上端部70と、容器本体1の周方向に沿って水平に形成された水平下端部71とを備えることが好ましい。
【0042】
このように構成されることで、係合用凸部19'''と係合用凸部42''とを係合させる際に、係合用凸部19'''の上端部72と水平下端部71とが接触するため、接触面が小さく、係合用凸部42''が係合用凸部19'''を乗り越える際の力を少ないものとすることができる。また、傾斜上端部69及び水平上端部70が傾斜下端部67及び水平下端部68に対応した形状を備えることで、図9(a)〜(c)に示すように、係合用凸部19'''と係合用凸部42''とが、傾斜下端部67から水平下端部68に至る広い部分で接触するため、係合用凸部19'''と係合用凸部42''とを確実に係合することができると共に、係合用凸部19'''の突出高さがコーナー部に向かって漸次低くなるように形成されるため、上記実施形態と同様に蓋の取り外しも容易に行なうことができる。
【0043】
また、図10及び図11に示すように、図8及び図9にかかる実施形態の係合用凸部42''の水平下端部71の一部、より詳しくは、容器本体1のコーナー部側の一部が傾斜上端部69と平行或いは略平行となるように形成されて傾斜底部73となってもよい。また、係合用凸部19''''と係合用凸部42'''とが、容器本体1の凸部18aの内方に形成されるようにしてもよい。
【0044】
また、図4〜図11に示す実施形態においては、容器本体1の係合用凸部19の突出高さが容器本体1のコーナー部に向かって漸次又は段階的に低くなるように形成されているが、これに限定されるものではなく、蓋3の係合用凸部42の突出する高さを上記のように蓋3のコーナー部に向かって漸次又は段階的に低くなるように形成されてもよい。
【0045】
また、上記実施形態においては、容器本体1の外周を取り囲むようにして周側枠2が容器本体1の外周縁に取り付けられているが、これに限定されるものではなく、周側枠を取り付けずに容器本体1と蓋3とから容器が構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装用容器の平面図を示す。
【図2】図1のA−A線断面図を示す。
【図3】(a)は、図1のB矢視図、(b)は、図1のC矢視図、を示す。
【図4】(a)(b)は、それぞれ本発明の他実施形態に係る包装用容器の要部拡大図であり、(a)は、容器本体の係合用凸部と蓋の係合用凸部とが係合した状態の上面図、(b)は、容器本体の係合用凸部と蓋の係合用凸部とが係合した状態の側面図、を示す。
【図5】(a)〜(c)は、それぞれ本発明の他実施形態に係る包装用容器の要部拡大断面図であり、(a)は、図4のD−D線断面図、(b)は、図4のE−E線断面図、(c)は、図4のF−F線断面図、を示す。
【図6】(a)(b)は、それぞれ本発明の他実施形態に係る包装用容器の要部拡大図であり、(a)は、容器本体の係合用凸部と蓋の係合用凸部とが係合した状態の上面図、(b)は、容器本体の係合用凸部と蓋の係合用凸部とが係合した状態の側面図、を示す。
【図7】(a)〜(c)は、それぞれ本発明の他実施形態に係る包装用容器の要部拡大断面図であり、(a)は、図6のG−G線断面図、(b)は、図6のH−H線断面図、(c)は、図6のI−I線断面図、を示す。
【図8】(a)(b)は、それぞれ本発明の他実施形態に係る包装用容器の要部拡大図であり、(a)は、容器本体の係合用凸部と蓋の係合用凸部とが係合した状態の上面図、(b)は、容器本体の係合用凸部と蓋の係合用凸部とが係合した状態の側面図、を示す。
【図9】(a)〜(c)は、それぞれ本発明の他実施形態に係る包装用容器の要部拡大断面図であり、(a)は、図8のJ−J線断面図、(b)は、図8のK−K線断面図、(c)は、図8のL−L線断面図、を示す。
【図10】(a)(b)は、それぞれ本発明の他実施形態に係る包装用容器の要部拡大図であり、(a)は、容器本体の係合用凸部と蓋の係合用凸部とが係合した状態の上面図、(b)は、容器本体の係合用凸部と蓋の係合用凸部とが係合した状態の側面図、を示す。
【図11】(a)〜(c)は、それぞれ本発明の他実施形態に係る包装用容器の要部拡大断面図であり、(a)は、図10のM−M線断面図、(b)は、図10のN−N線断面図、(c)は、図10のO−O線断面図、を示す。
【符号の説明】
【0047】
1…容器本体、10…本体部、11…底部、11a…底面部、11b…環状凹部、12…周壁部、13…外周部、14…起立部、15…頂部、16…垂下部、16a…第一部位、16b…第二部位、17…取付部、18…折返部、18a…凸部(嵌合凸部)、19,19’,19'',19''',19''''…係合用凸部、2…周側枠、21…スリット、22…接着剤、3…蓋、30…蓋本体部、31…天井部、32…周壁部、33…段落部、34…蓋外周部、35…起立部、36…頂部、37…垂下部、38…第一鍔部、39…第二鍔部、40…縁部、41…凹部(嵌合凹部)、42,42’,42'',42'''…係合用凸部、43…外周縁部、60…均一凸部、61…テーパー凸部、62…高凸部、63…低凸部、64…傾斜凸部、65…傾斜上端部、66…係止下端部、67…傾斜下端部、68…水平下端部、69…傾斜上端部、70…水平上端部、71…水平下端部、73…傾斜下端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーナー部を有する容器本体と、該容器本体の開口を覆うようにして容器本体に着脱自在に取り付けられる蓋とを備える包装用容器において、容器本体は、内容物の収容部を構成する本体部と、該本体部の外周に沿って設けられる外周部とを備えると共に、該外周部の所定箇所に、外方又は内方の何れか一方に突出する係合用凸部が設けられ、蓋は、容器本体の本体部と共に内容物の収容部を構成する蓋本体部と、該蓋本体部の外周に沿って設けられる蓋外周部とを備えると共に、該蓋外周部に、外方又は内方の何れか他方に突出して容器本体の係合用凸部と係合する係合用凸部が設けられ、しかも、容器本体の係合用凸部又は蓋の係合用凸部の何れか一方は、少なくともコーナー部側において、その突出高さがコーナー部に向かって漸次又は段階的に低くなるように構成されてなることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記容器本体を取り囲むようにして取り付けられる周側枠をさらに備え、前記蓋は、容器本体及び周側枠のそれぞれ開口を覆うようにして容器本体に着脱自在に取り付けられる請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記容器本体の外周部は、容器本体の各辺の中間部に向かうに従って漸次低くなるよう構成されてなる請求項1又は2に記載の包装用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−13125(P2010−13125A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172208(P2008−172208)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(000239138)株式会社エフピコ (98)
【Fターム(参考)】