説明

包装用容器

【課題】容器本体と蓋体とが強く嵌合されることで、収容物が洩れ難く密閉性が良いという機能を担保しつつ、これと相反する、閉め易いという機能を兼ね備えた包装用容器を提供する。
【解決手段】容器本体1には、周壁12の開口縁から外方に向けて延出したフランジ張出部131と、当該フランジ張出部131の外側に連接したフランジ外縁部132とが形成され、周壁12における外側テーパ部124は、前記フランジ張出部131の内側に連接し、容器本体1の内側、かつ、下方向に向かうように形成され、周壁12における嵌合部123は、前記外側テーパ部124の内側に連接し、蓋体を内嵌合させるため、容器本体1の下方へ向かうにつれ外方向に拡開する部分を有し、前記外側テーパ部124にて、平面視多角形における角部のうち少なくとも一つの角部付近の部位には、他の部位よりも傾斜を緩やかにした緩傾斜部124bが、前記嵌合部123に連接して設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体と蓋体とで構成される包装用容器に関し、特に合成樹脂シートにより成形されてなる密閉性に優れた内嵌合構造の包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、1人暮らし人口が増えていることから、1人で食べ切れるサイズの惣菜などに適した個食化容器の需要が増えている。また、このような惣菜などには水分などを多く含むものがあるため、収容物(特に水分など)が洩れ難く密閉性の高い容器が求められている。
【0003】
コンビニやスーパーマーケットのバックヤードなどでは、食品などの収容物を容器本体に詰めてから閉蓋する作業が行われる。ここで、密閉性の高い容器では、容器本体と蓋体との嵌合強度を強くすることにより、両者の隙間を無くして水分などの洩れを防止することから、蓋体が閉め難い。よって、閉蓋の作業性が悪い。
【0004】
また、閉蓋する作業に大きな力が必要となることから、その力が足りない場合、蓋体の閉め方が不十分となることがある。その場合には、惣菜などが収容された容器を消費者が持ち帰る途中で、容器本体と蓋体との間に隙間ができてしまい、水分などが容器内部から外部に洩れ出てしまうことがあって問題であった。
【0005】
これらのことから、蓋体を閉めやすく、しかも、持ち帰りの際にも容器内部から水分などが洩れ難い容器の要望が多くなってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4061092号公報
【特許文献2】特開2011−37510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、これらの包装用容器は、合成樹脂シート(例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂やポリスチレンなどのスチレン系樹脂やポリプロピレンなどのオレフィン樹脂など)や、これらを延伸した延伸シートや、また発泡した発泡シートなどを材料として、真空成形、圧空成形、両面真空成形、熱板成形などの熱成形によって製造されるものである。
【0008】
また、容器内部から水分などが洩れ難い容器として、特許文献1や特許文献2に記載された、いわゆる内嵌合構造の包装用容器が知られている。
【0009】
特許文献1に記載された容器は、容器本体と蓋体との内嵌合面を2軸延伸フィルム同士が密着するよう構成させることで密着性を向上させるという容器であるが、閉蓋及び開蓋し難く、また、開蓋の際に力を入れすぎたために収容物をこぼしてしまう、といったことが起こる。
【0010】
また、特許文献2に記載された容器は、容器本体の内嵌合部とフランジ張出部の間に僅かにテーパ部が設けられているが、このテーパ部は、容器の全周に均等に設けられており、閉蓋し難い点についてはやはり特許文献1と同様である。
【0011】
これらの容器では、密閉性が良く、容器内部から水分などが洩れ難いという点においては、その機能を発揮できている。しかしながら、この機能のために嵌合強度を強く設計しているものが多く、その結果として、蓋体の閉め難さを助長することとなっている。特に、大量の個食化容器に食品を詰めて閉蓋するという作業を行う、バックヤードなどの現場においては、この閉め難さが作業性の低下を招くため大きな問題となっている。
【0012】
そこで本発明は、前記問題に鑑み、容器本体と蓋体とが強く嵌合されることで、収容物が洩れ難く密閉性が良いという機能を担保しつつ、これと相反する、閉め易いという機能を兼ね備えた包装用容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の発明者は、前記のように強く嵌合されることで収容物が洩れ難く密閉性が良いという機能を担保しつつ、これと相反する、閉め易いという機能を兼ね備えた包装用容器とするにはどうしたらよいかについて種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0014】
すなわち、本発明は、底部、及び、当該底部の外周から起立した周壁を備えて上向きに開口する、平面視多角形状の容器本体と、当該開口を閉塞するべく当該容器本体に内嵌合される蓋体とを備えた包装用容器において、前記容器本体には、前記周壁の開口縁から外方に向けて延出したフランジ張出部と、当該フランジ張出部の外側に連接したフランジ外縁部とが形成され、前記周壁は、外側テーパ部と嵌合部とを有し、前記外側テーパ部は、前記フランジ張出部の内側に連接し、容器本体の内側、かつ、下方向に向かうように傾斜して形成され、前記嵌合部は、前記外側テーパ部の内側に連接し、前記蓋体を内嵌合させるため、容器本体の下方へ向かうにつれ外方向に拡開する部分を有し、前記外側テーパ部における、前記平面視多角形における角部のうち少なくとも一つの角部に対応する部位は、他の部位よりも傾斜を緩やかにした緩傾斜部とされたことを特徴としている。
【0015】
本発明では、容器本体の下方へ向かうにつれ外方向に拡開する部分を有する嵌合部を備えつつ、これと連接する外側テーパ部には、角部のうち少なくとも一つの付近において緩傾斜部が設けられている。その結果、この緩傾斜部が設けられた外側テーパ部は、他の部位よりも内外方向に長い傾斜面を有する。このため、容器本体に蓋体を取り付ける際、蓋体を前記長い傾斜面に沿わせて滑らせることで、閉蓋状態へと導くことが容易である。よって、嵌合部により容器本体と蓋部との密閉性を担保しつつ、これと相反する機能である、蓋体の閉め易さを両立できる。
【0016】
また、本発明においては、前記緩傾斜部における外縁の、平面視における曲率が、当該緩傾斜部が設けられた角部での、前記フランジ外縁部における周縁の同曲率に比べて小さい。
【0017】
この構成では、緩傾斜部における外縁の曲率がフランジ外縁部における周縁の曲率よりも小さい。このため、容器本体の角部に蓋体を位置合わせすることが容易であって、蓋体を閉め易い。
【発明の効果】
【0018】
内嵌合構造の包装用容器は、外嵌合構造の包装用容器と対比して密閉性に優れ、水分などが多く含まれる食品などの収容物に対しても、水分などが外へ洩れ出し難く、持ち帰り容器として好適に使用できる。本発明によれば、この内嵌合構造の包装用容器にて、密閉性を確保しつつも蓋体を閉め易いという、相反する機能を同時に発揮することができる。このため、食品などを容器本体に詰めてこれを閉蓋するという作業現場において作業性を低下させず、好適に使用できる。さらに、このような、相反する機能を同時に発揮させる容器でありながら、特別複雑な形状とすることなく、従来の製造方法によって、容器本体と蓋体とを容易かつ良好に成形できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装用容器のうち、容器本体を示す斜視図である。
【図2】同包装用容器のうち、蓋体を示す斜視図である。
【図3】同包装用容器のうち、容器本体を示す平面図である。
【図4】(a)は図3のA−A矢視のうち部分的な端面図、(b)は図3のB−B矢視のうち部分的な端面図である。
【図5】蓋体における蓋体フランジ部周辺を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る包装用容器について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の位置関係の表現のうち、「上下」とは、下側に配置された容器本体に上方から蓋体を取り付けることができるようにした場合における上下方向を指し、「内外」とは、包装用容器における収容空間を基準とし、包装用容器の周囲へと向かう方向を外方向、それとは逆の方向を内方向と定めたものである。
【0021】
[包装用容器]
この包装用容器は、図1及び図3に示す容器本体1と、図2に示す蓋体2とから構成されている。容器本体1は、上方に開口部を有し、この開口部から収容物を収容可能とされている。蓋体2は、容器本体1に対して嵌合により着脱可能とされている。そして、蓋体2が容器本体1に取り付けられた状態(閉蓋状態)では、蓋体2と容器本体1との間に、収容物を収容できる収容空間が形成される。
【0022】
この包装用容器の形状は、平面視にて略正方形状とされている。より詳しく述べると、この包装用容器を構成する容器本体1及び蓋体2の外形形状が、四隅の角部にアールを有する(「隅丸」とも言う)、略正方形状とされている。この四隅の形状については、本実施形態のようなアールを有するものの他、面取りされたもの(「隅切り」とも言う)であっても良い。
【0023】
この包装用容器を構成する容器本体1及び蓋体2は、従来と同様、合成樹脂製シートが熱成形されて形成されている。合成樹脂製シートとしては、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン樹脂などのシートや、これらを延伸した延伸シートなどが挙げられる。熱成形としては、例えば真空成形、圧空成形、両面真空成形、熱板成形などが挙げられる。そして、容器本体1としては、前記合成樹脂を発泡させた合成樹脂製シートや、これらに適宜、合成樹脂シートをラミネートした積層シートを熱成形して形成することができる。特に、蓋体2を形成するためには、(成形後に)透明な合成樹脂製シートを用いることが、収容物の視認性を確保できる点で好ましい。このように、本実施形態の包装用容器は、従来の製造方法によって、容器本体1と蓋体2とを容易かつ良好に成形できる。
【0024】
[容器本体]
次に、容器本体1について説明する。この容器本体1は、図1に示すように、底部11と、本体周壁部12と、本体フランジ部13とから構成されている。
【0025】
底部11は、上面に収容物が載置される部位である。この底部11は、平坦に形成されていても良いが、図示したような、補強または収容物のズレ止めを目的としたリブや凹凸が設けられていても良い。
【0026】
本体周壁部12は、前記底部11に連接して形成されている。この本体周壁部12は、底部11の周縁から上方向に延びる面を有する。そして、この本体周壁部12の上端部によって容器本体1の開口部が規定される。そして、この本体周壁部12には、内方向に突出した補強リブ121が上下方向に設けられている。
【0027】
図4(a)(b)に示すように、後述する嵌合部123と略水平部124cとを除き、この本体周壁部12は上広がりの斜面を有している。これにより、平面視における断面積が、底部11側から上方側(開口部側)に向かうにつれ広くなる。これにより、複数の容器本体1同士を重ねる際には、上側に位置する容器本体1を下側に位置する容器本体1の内側に入れ込んで重ねることができ、その結果、複数の容器本体1をコンパクトに重ねることができる。
【0028】
本体周壁部12のうち下側部分は周壁下側部122である。この周壁下側部122は、容器本体1の四隅においては、図4(b)に示すように、四隅以外の部位に比べて傾斜が緩やかな角部周壁下側部122aとされている。この角部周壁下側部122aには、後述する本体側ズレ防止部14が形成されている。
【0029】
図4(a)(b)に示すように、周壁下側部122の上方には、嵌合部123が連接して形成されている。この嵌合部123は、容器本体1の下方へ向かうにつれ拡開する部分を有している。これにより、この嵌合部123はいわゆる逆テーパ面を有する。この嵌合部123は、本体周壁部12の全周にわたって均一に形成されており、同じく逆テーパ面を有する蓋体フランジ部23の立ち上げ部232と係合することで、容器本体1と蓋体2とを嵌合でき、容器本体1に蓋体2を取り付けた状態(閉蓋状態)を保持できる。
【0030】
本実施形態の包装用容器は、容器本体1の内側に形成された面に対して蓋体2が係合することにより、容器本体1と蓋体2とが嵌合する、いわゆる内嵌合構造の包装用容器である。この内嵌合構造における嵌合は、シール性に優れており、惣菜など、水分などの液体を多く含む収容物を包装用容器に収容しても外部への液体の洩れが発生しにくいメリットがある。よって、この嵌合部123と蓋体2における蓋体フランジ部23の立ち上げ部232とにより、本実施形態における包装用容器の密閉性は担保されるため、収容物(特に液体)が洩れ難い。なお、内嵌合構造における、蓋体2と容器本体1との具体的な嵌合態様は、本実施形態のものに限られず種々の態様とできる。
【0031】
嵌合部123の上方には、外側テーパ部124が連接して形成されている。この外側テーパ部124のうち内側寄りの部位は、内方かつ下方に傾斜した斜面(平面)を有する面取部124aである。そして特に、容器本体1における四隅の角部では、図4(b)に示すように、(当該角部以外の部位で)面取部124aに相当する部位が、当該面取部124aよりも傾斜の緩い斜面(平面)を有する緩傾斜部124bとされている。つまり、この緩傾斜部124bは、面取部124aと同一の高さ範囲で形成されながら、面取部124aよりも傾斜の緩い斜面を有することから、面取部124aよりも内外方向に長い傾斜面を有する。
【0032】
このように、容器本体1の角部に長い傾斜面を有する緩傾斜部124bが形成されたことにより、容器本体1に蓋体2を取り付ける際、蓋体2における蓋体フランジ部23の立ち上げ部232を、この緩傾斜部124bに沿わせて内方かつ下方に滑らせることで、容器本体1の嵌合部123と蓋体2の立ち上げ部232とが係合した状態へと導くことができる。この内方かつ下方に滑らせる距離を長くできることから、前記のように包装用容器の密閉性を担保しつつも、蓋体2を閉め易くできる。よって、相反する機能(密閉性と易閉蓋性)を両立できる。
【0033】
そして、この緩傾斜部124bは、面取部124aよりも傾斜が緩いことから、周壁下側部122及び嵌合部123の角部における形状に比べ、外方に膨出する(図3参照)。よって、平面視における形状はアール状となる。より詳しく述べると、この緩傾斜部124bにおける外縁124b1の、平面視における曲率が、容器本体1の角部付近での、フランジ外縁部132の周縁132aの曲率に比べて小さく形成されている。このように、緩傾斜部124bがアール状に形成されたことにより、曲率の大きいものに比べ、閉蓋前に、容器本体1の角部に蓋体2を位置合わせすることが容易であって、その結果、蓋体2を閉め易い。
【0034】
一方、この外側テーパ部124のうち、面取部124a及び緩傾斜部124bのおのおの外方には、略水平部124cが連接して形成されている。この略水平部124cは、面取部124aに連接する部位も、緩傾斜部124bに連接する部位も、同一高さの略平面とされている。この略水平部124cには、閉蓋状態にて蓋体2における蓋体フランジ部23の外縁部233が重なり合う。
【0035】
そして、前記略水平部124cの更に外方には、立ち上げ部124dが連接して形成されている。この立ち上げ部124dは、外方へ向かうにつれ上方に向かう、端面視凹状の湾曲面を有している。
【0036】
本体フランジ部13は、図4(a)(b)に示すように、本体周壁部12に連接して形成されている。この本体フランジ部13は、フランジ張出部131とフランジ外縁部132とから構成されている。
【0037】
フランジ張出部131は、本体周壁部12の周縁から外方に向けて延出している。つまり、このフランジ張出部131は、本体周壁部12における外側テーパ部124(より詳しくは立ち上げ部124d)の上端から外方向に延びる部位である。このような位置関係であるため、閉蓋状態にて、このフランジ張出部131は、蓋体2の蓋体フランジ部23における外縁部233よりも高い位置となる。つまり、蓋体2は、外縁部233のうちで角部233bを除く部位が、フランジ張出部131に取り囲まれることから、蓋体2が引掛かることにより、不用意に蓋体2が開くことを抑制できる。
【0038】
フランジ外縁部132は、フランジ張出部131の外方に連接するもので、フランジ張出部131の周縁から下外方に延びている。
【0039】
このフランジ外縁部132は、その少なくとも周縁132aに、極細の多数の凹凸を形成することで補強するとともに、指などが当たっても創傷することがないようにされている。この凹凸は、側面から拡大して見たときに波形状とされ、多数の山と谷の方向が各辺において幅方向に短く形成され、角部において角部と中心部とを結ぶ方向(放射方向)に平行に形成されている。また、この凹凸は、例えば、平目ローレット目や綾目ローレット目のようなローレット目によって形成され、更には、滑りにくいようにするため、綾目ローレット目によって形成することが好ましい。
【0040】
また、本体周壁部12における角部、つまり、角部周壁下側部122aが形成された部位には、本体側ズレ防止部14が形成されている。この本体側ズレ防止部14は補強リブを兼ねて設けられており、図1に示すように、容器本体1の内方向に突出している。この本体側ズレ防止部14のうち下側部141は下方を向いた面を有しており、包装用容器を複数積み重ねた際に、蓋体2における蓋体側ズレ防止突起24の上側部241と係合する。これにより、上下に積み重ねられた包装用容器同士が四隅において係合されることで、包装用容器同士の水平方向へのズレを抑制できる。
【0041】
[蓋体]
次に、蓋体2について説明する。この蓋体2は、容器本体1に嵌合することで容器本体1の開口部を覆うことができるように形成されている。具体的に、この蓋体2は、図2に示すように、天板部21と、蓋体周壁部22と、蓋体フランジ部23とから構成されている。
【0042】
天板部21は、閉蓋状態では、容器本体1の開口部の上方に位置するように形成されている。本実施形態の天板部21は、蓋体側ズレ防止突起24が形成された部位を除いて水平方向に延びる面とされている。この天板部21は、容器本体1の開口部よりも平面視にて小さな形状(具体的には、平面視にて四隅にアールを有する略正方形状)に形成されている。
【0043】
なお、この天板部21には、暖かい惣菜など、蒸気を発する可能性のある収容物を収容する場合のために、蒸気抜きのスリットや小孔などが設けられることで、蓋部1の内面が曇らないようにされていても良い。
【0044】
蓋体周壁部22は、前記天板部21の周縁に連接して形成されている。この蓋体周壁部22は、天板部21の周縁から外方向かつ下方向に延びる面(斜面)を有する。この蓋体周壁部22のうちで、四面の各中央には補強リブ221が設けられている。この補強リブ221は、蓋体周壁部22の表面から内方向に凹むように形成された凹部であり、蓋体周壁部22の上端から下端に至って設けられている。この補強リブ221が蓋体周壁部22に形成されたことにより、蓋体2にかかる下方向の外力に対する、蓋体2の強度を向上できるので、このように補強リブ221を形成した態様は好ましい態様である。なお、この補強リブ221に代えて、あるいは、補強リブ221と共に、蓋体周壁部22に凸条、波型などを形成することにより、蓋体2の強度を向上させても良い。
【0045】
また、蓋体周壁部22の下端周辺には、当該蓋体周壁部22の表面から外方向に突出するブロッキング防止突起222が設けられている。このブロッキング防止突起222は、合成樹脂製シートから蓋体2が熱成形された後の工程において、複数の蓋体2…2を重ね合わせる(スタッキングする)際に、重ねられた複数の蓋体2同士の間に隙間を設けることで、これら複数の蓋体2同士が密着して離れ難くなることを防止するものである。このブロッキング防止突起222の存在により、重ねられた複数の蓋体2を個々の蓋体2に分離させることが容易となる。このブロッキング防止突起222は、合成樹脂製シートから同時に成形される複数の蓋体2ごとに、別々の位置に設けられている。よって、同時に成形され、その後に重ね合わされた複数の蓋体2におけるブロッキング防止突起222が同一の位置に存在しないようにできるため、蓋体2同士が密着してしまうことを有効に防止できる。
【0046】
蓋体フランジ部23は、図5に示すように、前記蓋体周壁部22に連接して形成されている。この蓋体フランジ部23は、張出部231、立ち上げ部232、外縁部233から構成されている。張出部231は、蓋体周壁部22の下端から外方向に延びる略水平面を有する部位である。立ち上げ部232は、前記張出部231の周縁から上方向に延びる部位であり、上方に向かうにつれ内方に向かう逆テーパ面を有する。言い換えると、この立ち上げ部232は、容器本体1の嵌合部123と同様、下方へ向かうにつれ外方向に拡開する部分を有している。この立ち上げ部232は、容器本体1の嵌合部123と係合することで、容器本体1と蓋体2とを嵌合できる。
【0047】
外縁部233は、立ち上げ部232の上端から略水平方向に突出して設けられている。この外縁部233のうち、内側寄りの部位である段部233aは、外側寄りの部位よりも一段低く形成されており、この段部233aは閉蓋状態にて蓋体1の面取部124a及び緩傾斜部124bに重なり合う。この段部233aについても、蓋体1における緩傾斜部124bに重なり合う部位については、緩傾斜部124bの形状に合わせ、平面視における形状がアール状とされている。
【0048】
この外縁部233のうち、四隅に位置する角部233bは、特に外方向に突出した形状である。具体的に述べると、閉蓋状態にて、この角部233bの端縁は、容器本体1における本体フランジ部13のフランジ張出部131よりも外方にはみ出る形状とされている。これにより、このフランジ張出部131からはみ出た部位を摘み部として機能させることができる。そのため、消費者などがこの角部233bを摘み、蓋体2を持ち上げることで、容易に開蓋できる。
【0049】
そして、この外縁部233は、前記角部233bを除き、閉蓋状態において、容器本体1における外側テーパ部124の略水平部124cに当接する。
【0050】
この外縁部233の少なくとも周縁233cには、極細の多数の凹凸を形成することで補強するとともに、指などが当たっても創傷することがないようにされている。この凹凸は、側面から拡大して見たときに波形状とされ、多数の山と谷の方向が各辺において幅方向に短く形成され、角部において角部と中心部とを結ぶ方向(放射方向)に平行に形成されている。また、この凹凸は、例えば、平目ローレット目や綾目ローレット目のようなローレット目によって形成され、更には、滑りにくいようにするため、綾目ローレット目によって形成することが好ましい。
【0051】
また、角部には、天面部21から蓋体周壁部22にわたって蓋体側ズレ防止突起24が形成されている。この蓋体側ズレ防止突起24は、前記容器本体1の本体側ズレ防止部14と対応した形状を有している。この蓋体側ズレ防止突起24のうち天面部21に位置する上側部241は上方を向いた面を有しており、この上側部241が容器本体1における本体側ズレ防止部14の下側部141と係合する。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明の包装用容器は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0053】
例えば、蓋体2と容器本体1につき、本実施形態では別々に構成され、両者が嵌合可能とされているが、これに限られず、いわゆる「フードパック」など、蓋体2と容器本体1とが連接部(ヒンジ部)を介して一体に構成されていても良い。
【0054】
また、本実施形態の包装用容器の形状は、平面視にて略正方形状とされているが、これに限らず、種々の多角形状であって良い。
【0055】
また、本実施形態の容器本体1では、緩傾斜部124bは四隅全てに設けられているが、少なくとも一つの角部付近の部位に設けられていれば良い。
【符号の説明】
【0056】
1 容器本体
11 底部
12 周壁、本体周壁部
123 嵌合部
124 外側テーパ部
124b 緩傾斜部
124b1 緩傾斜部の外縁
131 フランジ張出部
132 フランジ外縁部
132a フランジ外縁部の周縁
2 蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部、及び、当該底部の外周から起立した周壁を備えて上向きに開口する、平面視多角形状の容器本体と、当該開口を閉塞するべく当該容器本体に内嵌合される蓋体とを備えた包装用容器において、
前記容器本体には、前記周壁の開口縁から外方に向けて延出したフランジ張出部と、当該フランジ張出部の外側に連接したフランジ外縁部とが形成され、
前記周壁は、外側テーパ部と嵌合部とを有し、
前記外側テーパ部は、前記フランジ張出部の内側に連接し、容器本体の内側、かつ、下方向に向かうように傾斜して形成され、
前記嵌合部は、前記外側テーパ部の内側に連接し、前記蓋体を内嵌合させるため、容器本体の下方へ向かうにつれ外方向に拡開する部分を有し、
前記外側テーパ部における、前記平面視多角形における角部のうち少なくとも一つの角部に対応する部位は、他の部位よりも傾斜を緩やかにした緩傾斜部とされたことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記緩傾斜部における外縁の、平面視における曲率が、当該緩傾斜部が設けられた角部での、前記フランジ外縁部における周縁の同曲率に比べて小さいことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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