説明

包装用袋

【課題】物品が外部から視認可能であるとともに、環境に負荷をかけない(又はかけることが小さい)ようにする。
【解決手段】食品等の物品が収容される包装用袋であって、袋本体10と、窓孔部35と、窓用フィルム50とを有する。袋本体10は、一対の長辺及び一対の短辺を有して長方形状をなす底シート部20と、底シート部20の各長辺/各短辺から上方に延びる一対の長辺壁シート部30/一対の短辺壁シート部40からなる周壁シート部12とを有し、一対の短辺壁シート部40が内側に折り込まれるとともに底シート部20が一方の長辺壁シート部30に対して折り畳まれることによって、ほぼ一平面状になる。窓孔部35は、長辺壁シート部30に形成されており、窓用フィルム50は、生分解性樹脂によって形成されており、窓孔部35に対して取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の物品が収容される包装用袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、スーパーマーケット等の販売店において、食品等の商品(物品)は、紙製(すべてが紙の場合と、紙を主体とする場合とを含む)の包装用袋に収容されて販売される場合がある。
そのうちでも、特に、長方形の平面状をなす底シート部と、その底シート部(その周縁部)から上方に延びる周壁シート部(ともに一対の長辺壁シート部及び短辺壁シート部)と、その周壁シート部の上縁部に形成される開口部とを有する包装用袋が好適に使用される。
【0003】
しかしながら、上述のような紙製の袋では、外から中身(商品)が見えない。
そこで、特許文献1に示されているように、一部が透明なフィルムによって形成されている袋も提案されている。その袋は、紙によって形成された袋本体(底シート部及び周壁シート部を有する)と、その袋本体の周壁シート部(長辺壁シート部)に窓孔部と、透視性を有し窓孔部に対して取り付けられた窓用フィルムとを有している。
こうして、窓用フィルムを通して、中身(商品)が視認される。
【0004】
ところで、近年、社会において環境意識が高まっている。
このため、上記のような包装用袋についても、使用後においては適切に処理することが求められている。
ここで、袋本体は、紙製のため、生ゴミとして堆肥にすることも可能であり、焼却されても有害物質は発生せず、埋め立てられれば腐敗して土壌の一部となる。
【0005】
一方、窓用フィルムは、従来はポリプロピレンやポリスチレンによって形成されることが一般的である。
しかしながら、それでは、その窓用フィルムは、堆肥にすることは不可能であり、焼却されると有害物質が発生し、埋め立てられても腐敗せず土壌の一部とならないため、環境に負荷をかけることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3092329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、収容された食品等の物品が外部から視認可能であるとともに、環境に負荷をかけない(又はかけることが小さい)包装用袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、請求項1に係る発明は、食品等の物品が収容される包装用袋であって、紙を主体として形成され、面状をなす底シート部と、前記底シート部の周縁部から上方成分を有する方向に延びる周壁シート部と、前記周壁シート部の上縁部に形成される開口部とを有する袋本体と、前記袋本体の前記周壁シート部に形成された窓孔部と、透視性を有し、前記窓孔部に対して取り付けられた窓用フィルムとを有し、前記窓用フィルムが、生分解性樹脂によって形成されている、包装用袋である。
【0009】
この発明の包装用袋では、窓用フィルムを通して内部の物品が視認され得る。また、面状をなす底シート部を有するため、直立させやすい。こうして、商品の販売等を適切に行うことができる。
【0010】
そして、この発明の包装用袋では、袋本体が紙を主体として形成されているとともに、窓用フィルムが生分解性樹脂によって形成されているため、袋本体と窓用フィルムとを分離することなく、そのままの状態で、生ゴミとして堆肥にしたり、有害物質を発生させることなく焼却したり、埋め立てることによって腐敗させて土壌の一部にさせたりすることができる。
このようにして、この包装用袋は、袋本体と窓用フィルムとを分離することなく、そのままの状態で、環境に負荷をかけることなく(又は負荷をかけることが小さく)適切に処分することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の包装用袋であって、前記袋本体の前記底シート部は、一対の長辺及び一対の短辺を有して長方形状をなすものであり、前記袋本体の前記周壁シート部は、前記底シート部の前記各長辺から上方に延びる一対の長辺壁シート部、及び、前記底シート部の前記各短辺から上方に延びる一対の短辺壁シート部からなり、前記袋本体は、前記一対の短辺壁シート部が内側に折り込まれるとともに前記底シート部が前記一対の長辺壁シート部のうちの一方に対して折り畳まれることによって、ほぼ一平面状になるものであり、前記窓孔部は、前記長辺壁シート部に形成されている、包装用袋である。
【0012】
この発明の包装用袋では、請求項1に係る発明の包装用袋の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この包装用袋は一対の短辺壁シート部が内側に折り込まれるとともに、底シート部が一方の長辺壁シート部に対して折り畳まれることによってほぼ一平面状となる。
このため、商品を収容しない際には、ほぼ一平面状とされることによって、省スペースが図られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例の包装用袋を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例の包装用袋(折り畳まれた状態)を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例の包装用袋を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施例について、図面に基づいて説明する。
この包装用袋は、袋本体10,窓用フィルム50を有している。
【0015】
袋本体10は、紙を主体として形成されている。すなわち、紙層の内側に、コーティングがされている(そのコーティング層については図示省略)。
紙層は、上質紙,晒クラフト紙,未晒クラフト紙,薄葉紙,純白ロール紙等によって形成されている。
コーティングは、フッ素樹脂,エチレン変性ポリビニルアルコール系樹脂等によってされている。こうして、袋本体10は、耐油性及び耐水性を有している。
【0016】
なお、上記の態様に限らず、袋本体10は、上記コーティングの材質が添加されつつ、上記の紙層を形成する紙が製造されて、耐油性及び耐水性を有するようにされてもよい。
また、パルプ繊維が叩解加工されて質量密度が高められることによって、耐油性及び耐水性を有するようにされてもよい。
【0017】
袋本体10は、全体として直方体状をしており、底シート部20,一対の長辺壁シート部30,一対の短辺壁シート部40を有している。
底シート部20は長方形状をしており、ともに一対の長辺及び短辺(いずれも符号省略)を有している。
各長辺壁シート部30は、底シート部20の各長辺(底シート部20の周縁部の一部)から上方に延びている。各短辺壁シート部40は底シート部20の各短辺(底シート部20の周縁部の一部)から上方に延びている。隣接する長辺壁シート部30の側縁部と短辺壁シート部40の側縁部とはつながっており、全体で四角筒状の周壁シート部12を形成する。
周壁シート部12(一対の長辺壁シート部30及び一対の短辺壁シート部40)の上縁部によって、開口部15が形成されている。
【0018】
表側の長辺壁シート部30(そのほぼ下半部)には、窓孔部35が形成されている。窓孔部35は横長のほぼ長方形状をしている。
【0019】
両短辺壁シート部40には、折り目42a,42b,42cが形成されている。
折り目42aは、短辺壁シート部40のうちの幅方向における中央部分(下部を除く)において、縦方向に延びている。折り目42aは、内側方向に向かうように折り曲げられて形成されている。
折り目42bは、短辺壁シート部40のうちの下部において、底シート部20の短辺を底辺とする直角二等辺三角形の一対の斜辺に該当する部分に形成されている。折り目42bも内側方向に向かうように折り曲げられて形成されている。
折り目42cは、短辺壁シート部40のうち、両折り目42bの交点(直角二等辺三角形の直角の頂点)から、裏側の長辺壁シート部30との境界部分にまで及んでいる。
また、裏側の長辺壁シート部30には、折り目32が形成されている。折り目32は、両短辺壁シート部40の折り目42c(その各端部)をつなぐように形成されている。折り目32は、内側方向に向かうように折り曲げられて形成されており、折り目42cも、折り目32の折り曲げられた方向に対応して折り曲げられて形成されている。
こうして、折り目42a及び折り目42bに沿って両短辺壁シート部40が内側に折り込まれるとともに、折り目32及び折り目42cに沿って底シート部20が裏側の長辺壁シート部30に対して折り畳まれることによって、この包装用袋は、ほぼ一平面状となる。
このため、この包装用袋は、商品を収容しない際には、ほぼ一平面状とされることによって、省スペースが図られる。
【0020】
窓用フィルム50は、窓孔部35に対して設けられている。
窓用フィルム50は、透明又は半透明であり、透視性を有している。
窓用フィルム50は、窓孔部35よりも大きな長方形状をしている。窓用フィルム50は、表側の長辺壁シート部30の内側から、窓孔部35を塞ぐように、表側の長辺壁シート部30に対して接着剤によって接着されている。すなわち、窓用フィルム50(その周縁部)は、接着剤層(図示省略)を介して、表側の長辺壁シート部30(窓孔部35の近傍)に対して取り付けられている。
その接着剤(接着剤層)については、エチレン−酢酸ビニル共重合体,アクリル系のエマルジヨン等、適宜選定して用いることができる。
【0021】
次に、この包装用袋の使用方法及び作用効果について説明する。
この包装用袋は、スーパーマーケット等の販売店において、コロッケ,天ぷら,菓子等の商品が収容されて、販売に供される。
その際、窓用フィルム50を通して、消費者は、内部に収容された商品を視認することができるため、便利である。
また、袋本体10の内側にはコーティングがされており、袋本体10は耐油性及び耐水性を有しているため、商品に含まれる油分や水分が袋本体10を通して外部に滲出したり、それによって袋本体10が破損したりすることが防止される。
また、この包装用袋は、長方形状(面状)の底シート部20を有しているため、直立させやすく、適切に販売することができる。
【0022】
そして、この包装用袋に収容された状態で商品が販売され、この包装用袋から消費者が商品を取り出した後には、この包装用袋は不要となる。
ここで、この包装用袋では、袋本体10が紙を主体として形成されているとともに、窓用フィルム50が生分解性樹脂によって形成されている。
このため、消費者は、包装用袋ごと(さらには内部に生ゴミを収容した状態で)、生ゴミとして堆肥にすることも可能である。また、焼却しても有害物質は発生しないため、焼却することも可能である。また、埋め立てられれば腐敗して土壌の一部となるため、埋め立てることも可能である。
このようにして、この包装用袋は、袋本体10と窓用フィルム50とを分離することなく、そのままの状態で、環境に負荷をかけることなく(又は負荷をかけることが小さく)適切に処分することができるのである。
【0023】
なお、上記のものはあくまで本発明の一実施例にすぎず、当業者の知識に基づいて種々の変更を加えた態様で本発明を実施できることはもちろんである。
【符号の説明】
【0024】
10 袋本体
12 周壁シート部
15 開口部
20 底シート部
30 長辺壁シート部
35 窓孔部
40 短辺壁シート部
50 窓用フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品等の物品が収容される包装用袋であって、
紙を主体として形成され、面状をなす底シート部と、前記底シート部の周縁部から上方成分を有する方向に延びる周壁シート部と、前記周壁シート部の上縁部に形成される開口部とを有する袋本体と、
前記袋本体の前記周壁シート部に形成された窓孔部と、
透視性を有し、前記窓孔部に対して取り付けられた窓用フィルムとを有し、
前記窓用フィルムが、生分解性樹脂によって形成されている、
包装用袋。
【請求項2】
請求項1に記載の包装用袋であって、
前記袋本体の前記底シート部は、一対の長辺及び一対の短辺を有して長方形状をなすものであり、
前記袋本体の前記周壁シート部は、前記底シート部の前記各長辺から上方に延びる一対の長辺壁シート部、及び、前記底シート部の前記各短辺から上方に延びる一対の短辺壁シート部からなり、
前記袋本体は、前記一対の短辺壁シート部が内側に折り込まれるとともに前記底シート部が前記一対の長辺壁シート部のうちの一方に対して折り畳まれることによって、ほぼ一平面状になるものであり、
前記窓孔部は、前記長辺壁シート部に形成されている、
包装用袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−245998(P2012−245998A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118176(P2011−118176)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(592110808)株式会社吉良紙工 (11)
【Fターム(参考)】