説明

包装紙

【課題】アルミニウム箔を使用しなくても、デッドホールド性、内容物との剥離性、耐油性、また廃棄処理性に優れた包装紙を提供することにある。
【解決手段】紙基材の表面全面にワニス層、裏面全面にワックス層を積層した包装紙であって、前記紙基材の坪量が25〜45g/m、前記ワックス層の塗布量が5〜30g/mであり、前記ワックス層の表面と金属との動摩擦係数(JIS K−7125により測定した値)が、0.1〜0.2であることを特徴とする包装紙である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャラメルや飴などを個装するための折りたたみ包装紙に関するものである。特に包装紙からアルミニウム箔を除き、デッドホールド性を有し、廃棄処理に優れた包装紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飴などの個包装の包装材料として、薄紙で折り曲げ性(デッドホールド性)のある包装材料が要求されている。その対応として、従来は、薄紙にアルミニウム箔をラミネートした包装材料を使用し、デッドホールド性の機能をもたせ、充填適性を満たしていた。
【0003】
しかし、その反面、充填ライン上で包装紙を断裁する際、金属粉が発生し内容物に付着し、内容物充填後の金属探知機による金属異物の混入検査ができない問題がある。またアルミニウム箔を使用することにより包装紙の製造コストも割高となり、また使用後の廃棄性についても、焼却時に残留するなどの問題点がある。
【0004】
アルミニウム箔を使用しない構成の包装紙(以下、アルミレス包装紙と記す)では、例えばセロハン、紙/セロハン、蝋やワックスを含浸させた蝋紙がある。これらの包装紙ではアルミニウム箔の使用による欠点は解消されるが、逆に、アルミニウム箔の使用による長所が失われてしまう。
【0005】
セロハンを使用した構成では、アルミニウム箔を用いた包装紙と同様に製造コストが高く、また鋭角に折りたたんだ場合のデッドホールド性は良好であるが、鈍角に折りたたんだ場合には、反発力が強いため、充填設備の調整が必要となる。図5に示すように、セロハン6が折りたたまれても、戻ろうとする反発力7で開いてしまいデッドホールド性が不足している状態になる。
【0006】
また蝋紙では、蝋やワックスを紙基材に含浸させているため、蝋やワックスが紙基材の表裏に余剰に付着しており、特に充填ライン上を包装済みの商品が搬送される際、摩擦により蝋やワックスが脱落し、異物混入の原因となる。またデッドホールド性については、折りたたみラインの押さえ治具にヒーターを入れることにより表裏の蝋やワックスを溶着させ、その擬似接着力により包装適性を改善している。しかしヒーターを使用することにより、特に加熱によって軟化し易いキャラメルなどのソフトキャンディーでは、内容物のヒーターへの溶着が発生し、生産効率が低下し、コストアップに繋がる。また加熱より内容物がべたつき、包装紙からの離型性も低下し、消費者が内容物を食する際に、包装紙の一部が剥離して内容物に混入するなどの問題がある。
【0007】
いずれのアルミレス包装紙においても、機械搬送時に発生する静電気を帯電し易いために、充填機上での包装紙の詰まり、断裁ズレ、充填ズレなどの不具合が発生する問題がある。
【0008】
また、デッドホールド性を付与するために、紙基材にワックスを塗布量2〜8g/m塗布した包装材料で、該ワックス中に無機フィラーの長辺方向の平均粒径が50μm以下の粒状またはフレーク状を分散させた提案がある(特許文献1)。
【0009】
しかし、デッドホールド性を向上させる効果はあるが、無機フィラーの分散のバラツキにより、安定して効果が得られない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−280063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、背景技術の問題に鑑みて、アルミニウム箔を使用しなくても、デッドホールド性、内容物との剥離性、耐油性、また廃棄処理性に優れた包装紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、発明者らは鋭意検討を行い、本発明を完成した。
【0013】
本発明の請求項1に係る発明は、紙基材の表面全面にワニス層、裏面全面にワックス層を積層した包装紙であって、前記紙基材の坪量が25〜45g/m、前記ワックス層の塗布量が5〜30g/mであり、前記ワックス層の表面と金属との動摩擦係数(JIS
K−7125により測定した値)が、0.1〜0.2であることを特徴とする包装紙である。
【0014】
本発明の請求項2に係る発明は、前記紙基材の裏面が、エンボス型によりエンボスされ、該エンボスされた面に前記ワックス層を積層したこと特徴とする請求項1記載の包装紙である。
【0015】
本発明の請求項3に係る発明は、前記紙基材の耐油性(JAPAN TAPPI No.41:キッド法により測定した値)が、5以上であることを特徴とする請求項1または2記載の包装紙である。
【0016】
本発明の請求項4に係る発明は、前記ワニス層を含めた紙基材層の耐油性(JAPAN
TAPPI No.41:キッド法により測定した値)が、5以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の包装紙である。
【0017】
本発明の請求項5に係る発明は、前記ワックス層の軟化点が、70℃以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の包装紙である。
【0018】
本発明の請求項6に係る発明は、前記紙基材と前記ワックス層との接着強度(JIS Z−1707法により測定した値)が、0.1〜0.4N/15mmであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の包装紙である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1によれば、紙基材の表面全面にワニス層、裏面全面にワックス層を積層した包装紙であって、前記紙基材の坪量が25〜45g/m、前記ワックス層の塗布量が5〜30g/mであり、前記ワックス層の表面と金属との動摩擦係数(JIS K−7125により測定した値)が、0.1〜0.2であることを特徴とする。本発明の包装紙は紙基材の表面にワニス層、裏面にワックス層が積層された包装紙である。これによって金属探知機の使用を差し支えないものとし、断裁時に発生する金属粉を解消した。
【0020】
また包装紙をアルミレスにすることから、折りたたみ適性の低下、機械上搬送時に発生する静電気の帯電により断裁ズレ、充填ズレなどの発生を解消するために、紙層の坪量を25〜45g/mとする。坪量が25g/m未満の場合、腰強度が不足し折りたたみ
適性、保形性が良くない。逆に坪量が45g/mを超えると、折りたたみ時の反発力が強く、折りたたみ形状を保持できない。
【0021】
またワックスの塗布量を5〜30g/mとする。ワックスの塗布量が5g/m未満の場合は、紙基材の繊維の影響が大きく、折りたたみ形状の保持性、即ちデッドホールド性が改善されない。また紙基材の繊維内へのワックスの染み込みが不足し、折り曲げ線による罫線割れが生じたりして包装紙としての強度が低下する。逆に30g/mを超えるとワックスの柔軟性より折りたたみ時の反発力が強く、保形性が得られない。また過剰なワックスの付与は、充填機上でのワックスの脱落による異物混入の原因ともなり、またコストアップにも繋がる。
【0022】
次に、ワックス面と金属との動摩擦係数(JIS K−7125による測定した値)が0.1〜0.2とする。充填機などの装置やガイドロールなどの金属には、通常、アルミニウム、鉄/クロムメッキ、ステンレス鋼などが使用される。これらの金属との動摩擦係数が0.1未満の場合は、充填時に過剰に滑り、充填ズレが発生する。また包装紙の紙面同士の滑り性も過剰となることから、包装紙の巻取りにおいて巻きズレが発生するなどの問題がある。逆に動摩擦係数が0.2を超える場合は、包装紙が搬送される際に、摩擦による静電気が帯電し、断裁ズレ、充填ズレ、包装紙詰まりなど、充填上の不具合が発生する問題がある。
【0023】
本発明の請求項2によれば、前記紙基材の裏面が、エンボス型によりエンボスされ、該エンボスされた面に前記ワックス層を積層したこと特徴とする。紙基材にエンボスすることは、紙基材繊維の影響を低減し、折りたたみ加工時の紙基材繊維の反発力を抑制し、デッドホールド性を改善させるのである。折りたたみ包装において、ワックス層側が内面側となって折りたたまれるため、内面側からエンボス型を押圧した方が、内面谷折加工がし易い。またエンボス型が押圧した面にワックス層を積層することにより、エンボスによる紙基材繊維の反発抑制効果が発揮される。
【0024】
本発明の請求項3によれば、前記紙基材の耐油性(JAPAN TAPPI No.41:キッド法により測定した値)が、5以上であることを特徴とする。紙基材は、抄紙される段階で、耐油剤が内添された耐油紙である。特に内容物が油脂、練乳を含むようなキャラメルタイプの内容物である場合、油脂成分の染み出しを防ぐことができる。耐油性を有した紙基材に加えてワックス層を積層することで染み出しを回避することができる。また耐油剤を塗布したコート紙では、罫線部の耐油性の悪化が顕著であるのに対し、内添された耐油紙では、折り曲げによる低下が少なく、折りたたみ包装に適している。
【0025】
本発明の請求項4によれば、請求項1または2記載の包装紙において、前記ワニス層を含めた紙基材層の耐油性(JAPAN TAPPI No.41:キッド法により測定した値)が、5以上であることを特徴とする。紙基材の耐油性が5未満でも、紙基材表面にワニス層を積層することで、耐油性を向上させることができる。ワニス層と紙基材で総合的に5以上あればよい。
【0026】
本発明の請求項5によれば、請求項1〜4の何れか1項に記載の包装紙において、前記ワックス層の軟化点が、70℃以上であることを特徴とする。70℃未満の融点のワックス層を紙基材の裏面に形成した場合、溶融粘度が低いため、紙基材への染み込み、均一なワックス層が形成されないため、キャラメルを含むソフトキャンディータイプの油脂や水分を多く含む内容物では、油脂や水分が紙基材繊維を通じて包装紙の表面、外部に流出する場合がる。そのためにワックスの融点が70℃以上であることが必要である。
【0027】
本発明の請求項6によれば、請求項1または2記載の包装紙において、前記紙基材と前
記ワックス層との接着強度(JIS Z−1707法により測定した値)が、0.1〜0.4N/15mmであることを特徴とする。外装包材などの流通形態によっては、充填時に包装紙をヒートシールで仮留めする場合がある。その場合、接着強度が0.1N/15mm未満である場合、強度不足により仮留め効果が得られず、0.4N/15mmを超える場合は、接着強度過剰となり開封の際に包装紙に破れが生じ、開封適性が得られないことになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の包装紙の構成の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の包装紙の印刷層を含む構成の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の包装紙の紙基材の裏面をエンボスした構成の一例を示す説明図である。
【図4】図3に示した包装紙のデッドホールド性の一例を示した説明図である。
【図5】セロハンのデッドホールド性の一例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態につき説明する。
【0030】
図1は、本発明の包装紙の構成の一例を示す説明図である。図1は、紙基材1の表面全面にワニス層3、裏面全面にワックス層4が積層されている。
【0031】
図2は、絵柄インキからなる印刷層を含む構成の一例を示す説明図である。図2は、紙基材1の表面に絵柄インキからなる印刷層2、該印刷層の上に全面にワニス層3、裏面全面にワックス層4が積層されている。内容物が油脂、練乳を含むようなキャラメルタイプの内容物である場合、紙基材を耐油紙にする、またワニス層3を有していることから油成分の染み出しを回避することができる。
【0032】
図3は、本発明の包装紙の紙基材の裏面をエンボスした構成の一例を示す説明図である。紙基材の裏面にエンボスを施し、その上にワックス層を積層が積層されている。
【0033】
紙基材に使用される基材としては、上質紙、純白ロール紙、コート紙、グラシン紙、混抄紙、耐油紙などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0034】
いずれの紙も坪量が25〜45g/mの範囲でないと目的の包装形態に折りたたみ加工ができなくなる。薄すぎると、腰強度が低下し、折りたたみ加工時の潰れが懸念される。またワックス層4を積層する際、加工裏面からの染み出しが懸念される。厚すぎると紙層の繊維からの反発力が高まり、折りたたみ加工が適性に行えない。好ましくは、30〜40g/mであれば、柔軟性と強度のバランスがよくなる。
【0035】
次にワックス層4であるが、本発明に用いることが可能なものは、以下のような定義ができる。
・融点が40℃以上(一般的には50〜160℃)の固体。
・低溶融粘度(融点より10℃高い温度での溶融粘度が10Pa・s以下)。
・溶融時に分解しない。
・摩擦により光沢が得られ、燃焼によりすすが発生する。
このような定義に入るものは使用が可能である。
【0036】
ワックス層4を形成するワックス剤としては、例えば、パラフィンワックス、モンタンワックス、カルナバワックスなどの天然ワックス、アマイドワックス、変性モンタンワックスなどの半合成ワックス、ポリエチレンワックス、エチレンー酢酸ビニルワックスなどの合成ワックスが挙げられ、これらのワックスを主成分として、パラフィンや樹脂成分で
接着性や流動性を調整したものが使用される。
【0037】
またワニス層3を形成する樹脂としては、例えば、有機溶剤に溶解する樹脂や、水系溶媒に分散できる樹脂などが使用できる。例えばポリウレタン系樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂などを使用することができる。特に絵柄インキのバインダーに用いられる樹脂を使用すれば、絵柄印刷とインラインでワニス層3を形成することができる。
【0038】
更に詳しく本発明を説明する。
【0039】
本発明の包装紙を製造する方法について説明する。所定の紙基材1をロール状にて使用する。坪量は30〜40g/mを標準とするが、これ以外でも本特許の限定範囲であれば使用してもかまわない。
【0040】
次に紙基材1の表面に絵柄印刷を行う。この絵柄印刷は、要求があれば行えばよい。印刷方式は、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などを用いることができる。次に印刷層2の上全面にワニス層を塗布する。ワニス層を塗布する方法は、例えばグラビア印刷なら絵柄印刷とインラインでグラビアコートして可能である。他にフレキソ印刷、オフセット印刷でコートしてしてもよい。
【0041】
次に紙基材1の裏面にワックス層4を塗布する方法としては、ロールコート方式、グラビアコート方式、コンマーコート方式などを使用できる。紙基材1の特性、塗布量、塗布面の状態により、これらを使い分けすることが可能である。
【0042】
紙基材1の裏面へのエンボスは、例えば、エンボス型として、金属ロールの表面にエンボスパターンを施したロールに、紙基材を離面側を抱かせ、上面側からゴムロールを押圧し、エンボスロール表面のパターンを紙基材1の裏面に転移することによりエンボスができる。
【0043】
本発明の包装紙の製造する方法について説明したが、包装紙としての用途を考慮し、要求される剛性や耐久性などを向上する目的で、他の層を更に積層してもよい。
【0044】
本発明の包装紙は、図4に示すように優れたデッドホールド性を有している。図4は、図3に示した包装紙のデッドホールド性の一例を示した説明図である。図4−1は、折りたたまれた状態の一例を示し、図4−2は、その後開いた状態の一例を示している。戻ろうとする反発力7が働いてもデッドホールド性を有している。
【0045】
本発明の包装紙は、デッドホールド性、開封性、またキャラメルなどのソフトキャンディーにおいての耐油性、内容物との離型性などを有している。またヒーターを使わずに折りたたみ充填も可能である。また金属探知機での検査が可能で、焼却廃棄性に優れたアルミレス包装紙である。
【0046】
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
【実施例1】
【0047】
紙基材として、坪量が30g/mの耐油紙{天間特殊製紙(株)製:商品名EC耐油紙}の表面にグラビアインキ{DIC(株)製:商品名GINK}の色インキおよびワニスで、着肉面積20%の絵柄印刷とこの絵柄印刷の上に着肉面積100%のワニス印刷をグラビア印刷で行い、紙基材の裏面にワックス剤{東洋アドレ(株)製:商品名K−35
0、軟化点75℃}を液温140℃で溶融し、ロールコートにて、加工速度70m/minで塗工し、塗布量10g/mの包装紙を得た。
【実施例2】
【0048】
実施例1のワックスの塗布量を20g/mとした以外は、実施例1と同様にして包装紙を得た。
【実施例3】
【0049】
実施例1において、紙基材の坪量を45g/mとし、印刷した後、裏面に1mmピッチの微細な格子目エンボス版を使用し、押圧しエンボスした後、このエンボス面にワックス層を実施例1と同様に行い包装紙を得た。
【実施例4】
【0050】
エンボス面が、印刷層が積層された表面であること以外は、実施例3と同様にして包装紙を得た。
【0051】
以下に、本発明の比較例について説明する。
【0052】
<比較例1>
実施例1において、紙基材の坪量が50g/mであること以外は、実施例1と同様にして包装紙を得た。
【0053】
<比較例2>
実施例1において、紙基材の坪量が20g/mであること以外は、実施例1と同様にして包装紙を得た。
【0054】
<比較例3>
実施例1において、ワニス印刷を除いた以外は実施例1と同様にして包装紙を得た。
【0055】
<比較例4>
実施例1において、ワックス剤{東洋アドレ(株)製:商品名K−05、軟化点65℃}を液温130℃で溶融し、実施例1と同様にして行い包装紙を得た。
【0056】
実施例1〜4、比較例1〜4のそれぞれの包装紙について以下の評価を行った。
・充填適性の評価は、キャラメル成形充填機GD社(イタリア)製にて、キャラメルの充填折りたたみ包装のテストをした。充填適性があれば「○」と判定した。
・耐油性については、包装した充填サンプルを40℃―75%RHの恒温恒湿槽に1ヶ月保存した後、キャラメルからの油成分が包装紙の表面まで浸透した有無を評価した。浸透無しであれば「○」と判定した。
・包装した充填サンプルを、40℃―75%RHの恒温恒湿槽に1ヶ月保存した後、内容物の包装紙からの剥離性を評価した。完全に剥離したものを「○」と判定した。
・動摩擦係数は、アルミニウム板にて測定した値である。
その結果を表1に示す。
【0057】
【表1】

<評価結果>
・実施例1〜3においては、充填適性、耐油性、剥離性とも良好であった。実施例4については、エンボス版の押圧面が印刷面であることから、実施例3と比較して折りたたみ加工における紙基材の繊維の反発力を十分低減するには至らず、また折り曲げ罫線部の紙基材の毛羽立ちも目立つ結果となった。比較例1においては、紙基材の坪量過剰により、折
りたたみ加工時の反発が強く、充填適性が得られなかった。比較例2については、紙基材に坪量不足により、折りたたみ加工時の形状保持性が低下、また紙基材の耐油性も低下した結果、包装紙としての耐油性も不足した。比較例3においては、充填適性、剥離性は良好であるが、印刷層が絵柄印刷のみでワニス層がないために、耐油性が不足する結果となった。比較例4においては、充填適性は良好なものの、ワックスの軟化点が低いために耐油性、剥離性が良くなかった。
【符号の説明】
【0058】
1 紙基材
2 印刷層
3 ワニス層
4 ワックス層
5 エンボス面
6 セロハン
7 戻ろうとする反発力
10 包装紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材の表面全面にワニス層、裏面全面にワックス層を積層した包装紙であって、前記紙基材の坪量が25〜45g/m、前記ワックス層の塗布量が5〜30g/mであり、前記ワックス層の表面と金属との動摩擦係数(JIS K−7125により測定した値)が、0.1〜0.2であることを特徴とする包装紙。
【請求項2】
前記紙基材の裏面が、エンボス型によりエンボスされ、該エンボスされた面に前記ワックス層を積層したこと特徴とする請求項1記載の包装紙。
【請求項3】
前記紙基材の耐油性(JAPAN TAPPI No.41:キッド法により測定した値)が、5以上であることを特徴とする請求項1または2記載の包装紙。
【請求項4】
前記ワニス層を含めた紙基材層の耐油性(JAPAN TAPPI No.41:キッド法により測定した値)が、5以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の包装紙。
【請求項5】
前記ワックス層の軟化点が、70℃以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の包装紙。
【請求項6】
前記紙基材と前記ワックス層との接着強度(JIS Z−1707法により測定した値)が、0.1〜0.4N/15mmであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の包装紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−224369(P2012−224369A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93951(P2011−93951)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】