説明

包装菓子

【課題】個別包装により包装した菓子の外観を、立体感あるものにする。
【解決手段】小片状のおかき1を樹脂製の透明フィルム2からなる小袋10で個別包装し、上記小袋10の外面に、にぎり寿司のネタの写真を描いた表示部3を設け、おかき1はにぎり寿司のシャリ玉に、表示部3はにぎり寿司のネタとし、透明フィルム2を介して外側から見える前記おかき1の外観と前記表示部3の外観とをにぎり寿司の外観に見立てたものである。両者は、あたかも一つの立体的な物品に見えるので、外観上の単調さを解消し得る。また、小袋10は、筒状の上記フィルム2の両端開口を平行にシールすることにより封止したので、表示部はフラットなものとなり、そのフラットなフィルムに印刷された写真又は絵の部分が、同じくフラットな形状を有する前記にぎり寿司のネタとそっくりに見えるようになる。したがって、よりリアリティのある物品の外観を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装菓子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、おかき、あられ、せんべい、クッキー、ビスケットなどの焼き菓子、あるいは、キャンディー、粒状のチョコレートなどの小片状の菓子類は、いわゆる個別包装、すなわち、その菓子の片又は粒を、一つ一つ又はある程度の個数まとめて別々の小袋に入れて密封し、その小袋に包装された菓子を大きな袋に詰めて販売される機会が増えている。
これは、菓子を個別包装することにより、食べる菓子のみを開封できるようにし、他の菓子は未開封のまま保存できるようにしたものである。
【0003】
この個別包装の小袋に使用される素材は、多くの場合、合成樹脂製のフィルムであり、その個別包装の手法としては、例えば、所定の大きさのフィルムの一方の縁部に、あらかじめ接着剤を塗布しておき、フィルムを押し返してその一方の縁部と対側の縁部とを接着して筒状にするとともに、その内側に菓子を入れて両端開口をシールすることにより封止するものが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−335598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の個別包装のフィルムには、その外側に印刷により模様や図柄を施したり、あるいは商品名等の商品情報を付したりする。また、透明のフィルムを使用し、内容物の菓子が外側から見えるようにする場合もある。
【0005】
しかし、フィルムに印刷される模様や図柄等は、いずれも平面的であり、そのフィルムを用いた個別包装の菓子の外観は立体感に乏しく単調であるという問題がある。
【0006】
そこで、この発明は、個別包装により包装した菓子の外観を、立体感あるものにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明は、小袋のフィルムを透明にして内容物を外側から見えるようにし、その内容物とフィルムに描いた写真又は絵とを一体に他の物品に見立てたのである。
【0008】
このようにすれば、小袋のフィルムに印刷された平面的な写真又は絵と、立体的な形状を有する内容物とが調和して、外観上、一体に一つの物品に見えるので商品が立体的となる。
したがって、上記構成によれば、商品の外観上の単調さを解消し得るとともに、その商品は、あたかも内容物と異なる物品に見えるので、商品の娯楽性が高まりその商品価値も向上する。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、個別包装により包装した菓子の外観を、立体感あるものにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上記手段の実施形態として、小片状の菓子を樹脂製のフィルムからなる小袋で個別包装した包装菓子において、上記小袋の外面に、上記菓子以外の物品の一面の写真又は絵を描いた表示部を設け、その小袋の前記表示部以外の部分は透明部とし、前記表示部の内側に上記菓子を配置して小袋を封止し、前記透明部を介して外側から見える前記菓子の外観と前記表示部の外観とを前記物品の外観に見立てたものである。
【0011】
このようにすれば、小袋内の内容物(菓子)は、その小袋の印刷されていない透明部を介して外側から見えるので、小袋のフィルムに印刷された平面的な写真又は絵と、その立体的な形状を有する内容物とが調和して、外観上、一体に一つの物品に見える。このため、商品が立体的に見えるので、その商品の外観上の単調さを解消し得る。
また、その菓子は、あたかも、その菓子とは異なる物品に見えるので、商品の娯楽性が高まりその商品価値も向上する。
【0012】
また、上記の構成において、上記物品は、厚みを有する構成品と、その構成品の上に載せられるフラットな形状を有する載置物とからなり、上記菓子は、前記構成品の形状と色彩とを似せた外観とし、上記表示部は、前記載置物を平面視した写真又は絵とした構成を採用し得る。
【0013】
このようにすれば、上記表示部のフィルムはフラットなものであり、そのフラットなフィルムに印刷された写真又は絵の部分が、同じくフラットな形状を有する前記載置物とそっくりに見えるようになる。したがって、内容物である菓子とその表示部との一体感がさらに増し、リアリティのある物品の外観を実現することができる。
【0014】
上記物品を、厚みを有する構成品と、その構成品の上に載せられるフラットな形状を有する載置物とした構成において、例えば、その物品をにぎり寿司とし、構成品をにぎり寿司のシャリ玉、載置物を寿司ネタとすれば、その菓子は、表示部と一体になって外観上にぎり寿司に見える。
【0015】
また、上記構成品と載置物とからなる構成において、上記小袋を、筒状のフィルムの両端開口を平行にシールすることにより封止したものとすれば、表示部がよりフラットな形状で維持されるので、さらにリアリティのある物品の外観を実現することができる。
その包装菓子の外観をにぎり寿司にした態様において、その包装菓子を寿司ケースに収納すれば、より本物の外観に近づくので商品価値がさらに高まる。
【0016】
また、上記物品をぎょうざ又はしゅうまいとし、上記菓子は前記ぎょうざ又はしゅうまいの形状と色彩とを似せた外観とし、上記表示部は、そのぎょうざ又はしゅうまいを平面視した写真又は絵としてもよい。
このようにすれば、表示部のぎょうざ又はしゅうまいの平面的な写真又は絵と、中身の菓子とが調和して、外観上、一体にぎょうざ又はしゅうまいに見える。このため、商品が立体的に見えるとともに、上記の場合と同様、商品の娯楽性が高まりその商品価値も向上する。
【0017】
なお、上記の各構成において、上記菓子をおかきとすれば、焼き色を変えることにより色彩を物品に似せるように近づけることができ、また、形状の細工が容易である。
例えば、物品がにぎり寿司の場合は、おかきを、白色を主体とした焼き色に仕上げれば、よりシャリの外観に近づき、また、物品がぎょうざの場合には、おかきを、ぎょうざの皮の表面の色、あるいは、その皮が部分的に焦げた色の焼き色に仕上げれば、よりリアリティが高まる。さらに、物品がしゅうまいの場合には、おかきを、しゅうまいの皮が蒸し上がった状態の色の焼き色に仕上げればよい。
【実施例1】
【0018】
実施例1を図1乃至図5に示す。この実施形態の包装菓子20は、図5に示すように、筒状に形成したフィルム2の両端開口を平行にシールすることにより封止した小袋10内に小片状おかき(菓子)1を一つ入れて個別包装したものである。その小袋10は、前記両端開口を平行にシールすることにより、その上下面がともにフラットな面となっている。
【0019】
フィルム2は、無色透明の合成樹脂製であり、その小袋10のフラットな上面には、各種にぎり寿司のネタ(載置物b)の平面視写真がカラー印刷された表示部3が設けられている。また、その表示部3以外の部分は、無色透明の透明部4となっている。
内側の収納されているおかき1は、幾分厚みを有する平面視楕円形となっており、その大きさ、形状、色彩ともに本物のにぎり寿司のシャリ玉(構成品a)に似た外観とし、そのおかき1が、前記表示部3の内側に位置するようになっている。
【0020】
上記小袋10内に立体的な形状を有するおかき1が収納されることにより、この商品を見る需要者、取引者は、上記透明部4を介して外側から見えるおかき1の外観と、その表示部3の外観とが相まって、全体としてにぎり寿司(物品A)のように見えるようになっている。すなわち、おかき1がにぎり寿司のシャリ玉(構成品a)に、表示部3が寿司のネタ(載置物b)に相当し、両者の外観が、全体としてにぎり寿司(物品A)に見立てられる。
【0021】
このとき、上記フラットな面に設けられた表示部3は、幾分おかき1の外面に沿って外側凸状に湾曲するので、実際のにぎり寿司のネタがシャリ玉の外面に沿って湾曲している姿に近づく。このため、包装菓子20の外観がより実物の握り寿司に近づいて、商品のリアリティがさらに高まるのである。
【0022】
また、この実施例1では、図1に示すように、上記個別包装による包装菓子20を、仕切板12a付きのトレー12上に複数個配置し、そのトレー12を大きな包装袋13に収納して、シールにより封止している(図3参照)。この包装袋13は、無色透明の合成樹脂製のものである。
その包装菓子20としては、ネタの異なるものを並べており、図2に示すように、こはだ(包装菓子21)、うに(包装菓子22)、まぐろ(包装菓子23)、いくら(包装菓子24)、たい(包装菓子25)、とろ(包装菓子26)、さより(包装菓子27)、サーモン(包装菓子28)、えび(包装菓子29)、たこ(包装菓子30)、あかがい(包装菓子31)、あなご(包装菓子32)をそれぞれ寿司ネタとしたものを揃えている。
【0023】
その包装袋13入りの包装菓子20を、図4に示す寿司ケース11に収納する。寿司ケース11は、同じく合成樹脂製で、矩形凹状の本体11bと無色透明の蓋11aとからなり、本物の寿司を詰めて販売される寿司ケースとするか、あるいはそれに近い外観のものを使用する。
また、上記各包装菓子20(21〜32)は、その外観が、本物のにぎり寿司と同視され得るように、ほぼ実物大に形成されることを基本とするが、商品の娯楽性を高めるために、実際のにぎり寿司よりも縮小した大きさとして、いわゆるミニチュア態様の商品としてもよい。また、逆に、実際のにぎり寿司よりも拡大した大きさの商品としてもよい。
【実施例2】
【0024】
実施例2を図6(a)に示す。この包装菓子20は、小袋10のフラットな上面には、ぎょうざの平面視写真がカラー印刷された表示部3が設けられている。また、内側の収納されているおかき1は、幾分厚みを有する平面視楕円形となっており、その大きさ、形状、色彩ともに本物のぎょうざに似た外観とし、そのおかき1が、前記表示部3の内側に位置するようになっている。
また、そのおかき1の前記表示部3に臨む面以外の面は、ぎょうざの皮の表面の色、あるいは、その皮が部分的に焦げた色の焼き色に仕上げられている。
【実施例3】
【0025】
実施例3を図6(b)に示す。この包装菓子20は、小袋10のフラットな上面には、しゅうまいの平面視写真がカラー印刷された表示部3が設けられている。また、内側の収納されているおかき1は、幾分厚みを有する平面視円形となっており、その大きさ、形状、色彩ともに本物のしゅうまいに似た外観とし、そのおかき1が、前記表示部3の内側に位置するようになっている。表示部3の外径とおかき1の平面視外径とはほぼ同一となっている。
また、そのおかき1の前記表示部3に臨む面以外の面は、しゅうまいの皮が蒸し上がった状態の色の焼き色に仕上げられている。
【実施例4】
【0026】
実施例4を図7に示す。この包装菓子20は、小袋10の上面に、こけし(物品A)の平面視写真がカラー印刷された表示部3が設けられている。また、内側の収納されているおかき1は球形となっており、その大きさ、形状、色彩ともにこけしの頭部、及び胴部に似た外観とし、そのあられ(菓子)1が、前記表示部3の内側に位置するようになっている。
表示部3には、こけしの頭部において、髪や目、鼻、口など、その表情を表す部位と、胴部の衣装の部分が印刷されており、それ以外の部分は、透明部4を介してあられ1が外側から見えるようになっているので、その表示部3の外観と、あられ1の外観とが一体となって、包装菓子20は、こけし(物品A)のように見えるようになっている。
このように、物品Aは、寿司やぎょうざ等の食品に限定されるものではなく、この実施例4に示すこけしのように、食品以外の物品であってもよい。その物品Aとして、例えば、人形や玩具、日用品であったり、また、物品Aを人形とする場合には、実写の顔写真を用いた人形とすることも考えられる。また、小袋10の内部に収納される菓子1の種類も自由である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】一実施形態の斜視図
【図2】同実施形態の平面図
【図3】図2の内容物を示す平面図
【図4】図2の寿司ケースを示す斜視図
【図5】菓子と小袋とを示し、(a)は菓子を小袋に入れてシールにより密封した状態を示す斜視図、(b)は(a)の正面図
【図6】(a)(b)は、他の実施形態を示す斜視図
【図7】(a)さらに他の実施形態を示す平面図、(b)は(a)の正面図
【図8】図1の実施形態を示す写真図面で、寿司ケースの蓋を外した状態を示す斜視図
【図9】図1の実施形態を示す写真図面で、寿司ケースの斜視図
【図10】図8の内容物単品を示す拡大写真図面
【図11】図8の内容物単品を示す拡大写真図面
【図12】図8の内容物単品を示す拡大写真図面
【図13】図8の内容物単品を示す拡大写真図面
【符号の説明】
【0028】
1 菓子
2 フィルム
3 表示部
4 透明部
10 小袋
11 寿司ケース
11a 蓋
11b 本体
12 トレー
12a 仕切板
13 包装袋
20 包装菓子
21 包装菓子(こはだ)
22 包装菓子(うに)
23 包装菓子(まぐろ)
24 包装菓子(いくら)
25 包装菓子(たい)
26 包装菓子(とろ)
27 包装菓子(さより)
28 包装菓子(サーモン)
29 包装菓子(えび)
30 包装菓子(たこ)
31 包装菓子(あかがい)
32 包装菓子(あなご)
A 物品
a 構成品
b 載置物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小片状の菓子1を樹脂製のフィルム2からなる小袋10で個別包装した包装菓子において、
上記小袋10の外面に、上記菓子1以外の物品Aの一面の写真又は絵を描いた表示部3を設け、その小袋10の前記表示部3以外の部分は透明な透明部4とし、前記表示部3の内側に上記菓子1を配置して小袋10を封止し、前記透明部4を介して外側から見える前記菓子1の外観と前記表示部3の外観とを前記物品Aの外観に見立てたことを特徴とする包装菓子。
【請求項2】
上記物品Aは、厚みを有する構成品aと、その構成品aの上に載せられるフラットな形状を有する載置物bとからなり、
上記菓子1は、前記構成品aの形状と色彩とを似せた外観とし、上記表示部3は、前記載置部bを平面視した写真又は絵としたことを特徴とする請求項1に記載の包装菓子。
【請求項3】
上記物品Aはにぎり寿司であり、上記構成品aを前記にぎり寿司のシャリ玉とし、上記載置品bを前記にぎり寿司のネタとしたことを特徴とする請求項2に記載の包装菓子。
【請求項4】
上記小袋10は、筒状の上記フィルム2の両端開口を平行にシールすることにより封止したものであることを特徴とする請求項2又は3に記載の包装菓子。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の包装菓子を、寿司ケース11に収納したことを特徴とする包装菓子。
【請求項6】
上記物品Aはぎょうざ又はしゅうまいであり、上記菓子1は前記ぎょうざ又はしゅうまいの形状と色彩とを似せた外観とし、上記表示部3は、そのぎょうざ又はしゅうまいを平面視した写真又は絵としたことを特徴とする請求項1に記載の包装菓子。
【請求項7】
上記菓子1をおかきとしたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の包装菓子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−290381(P2006−290381A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−111232(P2005−111232)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(505128463)株式会社ニューエスト (3)
【Fターム(参考)】