説明

包装袋積層体

【課題】包装袋を大きく開口させることが可能な包装袋積層体を提供する。
【解決手段】複数枚の包装スリーブ15を重ねて束ねることでスリーブ積層体14が形成される。包装スリーブ15は、表側シート20とこれに対向する裏側シート21とを備える。裏側シート21には接合片22が形成され、積層される複数の接合片22は互いに接合される。包装スリーブ15の両側辺は熱溶着によって接合され、包装スリーブ15には上方に開口する開口部24が形成される。この開口部24の幅寸法W2は、接合片22の幅寸法W1よりも大きく形成されている。これにより、接合片22に制限されることなく開口部24の開口端24aを動かすことが可能となる。よって、吸着具32によって表側シート20を引き上げた際に、開口部24の開口端24aをスリーブ積層体14から引き上げることができ(矢印α)、包装スリーブ15を大きく開口させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の包装袋を積層した包装袋積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
花束を包装するため、スリーブ状に形成された包装袋が開発されている(例えば、特許文献1参照)。この包装袋を用いることにより、簡単に花束を包装することが可能であるが、更なる包装作業の簡素化を達成するため、花束の自動包装装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。この自動包装装置においては、包装袋が一対の吸着具によって挟み込まれており、一対の吸着具を引き離すことで包装袋を大きく開口させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−17557号公報
【特許文献2】特開平5−305915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されるように、包装袋の取扱いを容易にするため、複数の包装袋を積層させて固定することが多い。複数の包装袋を固定する際には、各包装袋の裏側シートに接合片を形成するとともに、各接合片を熱溶着によって接合している。このような包装袋積層体を使用する際には、包装袋積層体の前面に位置する包装袋に花束を挿入した後に、花束と共に包装袋を積層体から切り離すようにしている。
【0005】
この包装袋積層体においては、複数の包装袋が積層されることから、包装袋を挟み込むように吸着具を配置することが不可能であった。このため、自動包装装置を用いて包装袋積層体に花束を挿入する際には、包装袋の表側シートだけを吸着具で引き離して開口させていた。しかしながら、包装袋の裏側シートは接合片によって拘束されることから、包装袋を大きく開口させることが困難となっていた。このことは、花束の包装不具合を招く要因であることから、包装袋積層体においても包装袋を大きく開口させることが望まれている。
【0006】
本発明の目的は、包装袋を大きく開口させることが可能な包装袋積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装袋積層体は、表側シートとこれに対向する裏側シートとによって形成される包装袋が複数積層される包装袋積層体であって、前記表側シートと前記裏側シートとの両側辺を互いに接合し、前記包装袋に上方に開口する開口部を形成し、前記表側シートよりも前記裏側シートを上方に伸ばし、前記裏側シートの上部にミシン目を境に接合片を形成し、前記裏側シート間で互いに接合される前記接合片よりも、前記開口部の幅寸法を大きく形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、接合片よりも開口部の幅寸法を大きく形成したので、接合片によって拘束されずに開口部の開口端を動かすことが可能となる。これにより、スリーブ積層体から表側シートを大きく引き離すことができ、包装袋を大きく開口させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】花束加工装置を示す斜視図である。
【図2】花束加工装置による花束の加工手順を示す説明図である。
【図3】(a)は包装スリーブを示す斜視図であり、(b)はスリーブ積層体を示す斜視図である。
【図4】(a)は包装スリーブを示す正面図であり、(b)は図4(a)のA−A線に沿って包装スリーブを示す断面図である。
【図5】(a)〜(e)は花束の包装手順を示す説明図である。
【図6】(a)は本発明のスリーブ積層体の開口状態を示す説明図であり、(b)は従来のスリーブ積層体の開口状態を示す説明図である。
【図7】(a)は本発明の他の実施の形態であるスリーブ積層体を構成する包装スリーブを示す正面図であり、(b)は図7(a)のA−A線に沿って包装スリーブを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は花束加工装置10を示す斜視図であり、図2は花束加工装置10による花束Fの加工手順を示す説明図である。図1および図2に示すように、花束加工装置10は、包装スリーブ15に花束Fを収容する包装ステージ11と、包装された花束Fを結束する結束ステージ12とによって構成されている。前工程において余分な茎や葉が切除された花束Fは、ベルトコンベヤ13を介して前工程から包装ステージ11に投入される。この包装ステージ11には、本発明の一実施の形態である包装袋積層体としてのスリーブ積層体14がセットされている。スリーブ積層体14は複数の包装スリーブ(包装袋)15によって構成されており、包装ステージ11においてはスリーブ積層体14の包装スリーブ15に対して花束Fが挿入される。このように、包装スリーブ15に収容された花束Fは、ステージ間に配置される搬送アーム16に把持されるとともに、スライド移動する搬送アーム16によって包装ステージ11から結束ステージ12に投入される。このとき、搬送アーム16によって花束Fとともに包装スリーブ15が把持されることから、スリーブ積層体14から1枚の包装スリーブ15が破り取られるようになっている。続く結束ステージ12においては、結束機17を用いて包装スリーブ15上から結束具18を巻き付けることにより、包装スリーブ15から花束Fが脱落しないように保持されている。
【0011】
ここで、図3(a)は包装スリーブ15を示す斜視図であり、図3(b)はスリーブ積層体14を示す斜視図である。また、図4(a)は包装スリーブ15を示す正面図であり、図4(b)は図4(a)のA−A線に沿って包装スリーブ15を示す断面図である。図3および図4に示すように、包装スリーブ15は、表側シート20とこれに対向する裏側シート21とを備えており、それぞれのシート20,21は熱可塑性樹脂によって形成されている。表側シート20は、天辺20aと、この天辺20aに平行となる底辺20bと、天辺20aの両端から傾斜して伸びる傾斜辺20cと、この傾斜辺20cと底辺20bとを結ぶ側辺20dとを有している。また、裏側シート21は、表側シート20の底辺20b,傾斜辺20c,側辺20dに重なる底辺21b,傾斜辺21c,側辺21dを有するとともに、表側シート20の天辺20aよりも上方に伸びる接合片22を有している。また、裏側シート21には、表側シート20の天辺20aよりもやや上方にミシン目21aが形成されており、このミシン目21aを境に本体部23と接合片22とが区画されている。このようなシート20,21の両側辺20d,21dは熱溶着によって互いに接合されており、包装スリーブ15には上方に開口する開口部24が形成されている。なお、ミシン目21aとは切取線として機能する点線状の孔であるが、図示するように直線に沿って点線状に孔を形成しても良く、曲線や波線に沿って点線状に孔を形成しても良い。
【0012】
図3(b)に示すように、複数枚の包装スリーブ15を重ねて束ねることでスリーブ積層体14が形成されている。図示する場合には、重なる接合片22に図示しない棒状の発熱部材が押し付けられており、接合片22に対して溶融された貫通孔22aが形成されている。このように、溶融された貫通孔22aによって各接合片22を接合することにより、各包装スリーブ15は接合片22を介して互いに連結されている。このスリーブ積層体14を用いて包装する際には、最前面に位置する包装スリーブ15に対して花束Fを挿し込んだ後に、包装スリーブ15をミシン目21aに沿って破り取ることになる。すなわち、スリーブ積層体14から包装スリーブ15を切り離すことにより、包装スリーブ15のミシン目21aに沿って新たな天辺が現れることになる。
【0013】
続いて、包装ステージ11において実行される花束Fの包装手順について説明する。図5(a)〜(e)は花束Fの包装手順を示す説明図である。図5においては、包装ステージ11が図2の矢印A方向から示されている。図5(a)に示すように、包装ステージ11には、ロッドチェーン30が水平に配置されており、このロッドチェーン30上には、スリーブ積層体14が横たえられた状態で固定される。なお、スリーブ積層体14の接合片22にはカセット31が取り付けられており、このカセット31を介してロッドチェーン30上にスリーブ積層体14がセットされている。また、スリーブ積層体14の上方には、上下動自在となる吸着具32が配置されており、スリーブ積層体14の底辺側には、ストッパ33およびリフター34が配置されている。
【0014】
図5(a)に示すように、包装ステージ11のベルトコンベヤ35には花束Fが載せられており、花束Fはスリーブ積層体14に向けて搬送される。また、吸着具32はスリーブ積層体14に向けて下降移動し、図5(b)に示すように、吸着具32はスリーブ積層体14の最前面に位置する包装スリーブ15の表側シート20を吸着する。続いて、図5(c)に示すように、表側シート20を吸着したまま吸着具32を上昇移動させることにより、表側シート20を引き上げて包装スリーブ15を大きく開口させる。次いで、図5(d)に示すように、大きく開口した包装スリーブ15には、ベルトコンベヤ35によって花束Fがストッパ33に接触するまで挿し込まれる。このように、包装スリーブ15内に花束Fが収容されると、吸着具32は表側シート20から離れて上昇移動するとともに、リフター34が上昇移動して花束Fの根本を持ち上げる。そして、搬送アーム16によって包装スリーブ15の底辺20b,21b近傍が把持されるとともに、搬送アーム16によって包装スリーブ15がスリーブ積層体14から破り取られる。
【0015】
このように、スリーブ積層体14の包装スリーブ15に対して花束Fを挿し込むためには、吸着具32によって包装スリーブ15の開口部24を大きく開口させることが重要である。そこで、本発明のスリーブ積層体14を構成する包装スリーブ15は、図4(a)に示すように、接合片22の幅寸法W1よりも開口部24の幅寸法W2が大きくなるように形成されている。なお、接合片22や開口部24の幅寸法W1,W2とは、包装スリーブ15の中心線CLに直交する方向の幅寸法である。ここで、図6(a)は本発明のスリーブ積層体14の開口状態を示す説明図であり、図6(b)は従来のスリーブ積層体100の開口状態を示す説明図である。なお、従来のスリーブ積層体100として、接合片101の幅寸法W3と開口部102の幅寸法W4とが同じ寸法となるスリーブ積層体を示している。
【0016】
図6(a)に示すように、本発明においては、接合片22よりも開口部24の幅寸法を大きく形成するようにしたので、接合片22に拘束されることなく開口部24の開口端24aを動かすことが可能となる。これにより、図6(a)に矢印αで示すように、吸着具32によって表側シート20を引き上げた際に、開口部24の開口端24aをスリーブ積層体14から引き上げることができ、包装スリーブ15を大きく開口させることが可能となる。これに対し、図6(b)に示すように、接合片101よりも開口部102の幅寸法が大きく形成されていない場合には、開口部102における開口端102aの動きが接合片101によって制限されることから、開口端102aをスリーブ積層体100から引き上げることができずに、包装スリーブ103を大きく開口させることが不可能となっている。
【0017】
また、図4(a)に示すように、包装スリーブ15の開口部24を傾斜辺20c,21cによって形成したので、吸着具32によって表側シート20を引き上げる際に、包装スリーブ15を大きく開口させることが可能となる。すなわち、図4(b)に矢印αで示すように、吸着具32によって表側シート20を引き上げる際に、表側シート20の天辺20aを底辺20b側にずらすことが可能となる。このように、包装スリーブ15の開口部24を自在に動かすことができるため、包装スリーブ15を大きく開口させることが可能となる。これにより、花束加工装置10における包装不具合を未然に防止することができ、花束Fの加工コストを引き下げることが可能となる。なお、本発明のスリーブ積層体14を用いることにより、花束加工装置10だけでなく人手による包装作業においても、作業効率を大幅に向上させることが可能である。
【0018】
また、図4(a)に示すように、図示する包装スリーブ15には、包装スリーブ15の中心線CLに対して傾斜する傾斜辺20c,21cが形成されるが、これに限られることはなく、傾斜辺20c,21cを持たない包装スリーブ15によってスリーブ積層体14を構成しても良い。ここで、図7(a)は本発明の他の実施の形態であるスリーブ積層体を構成する包装スリーブ(包装袋)40を示す正面図であり、図7(b)は図7(a)のA−A線に沿って包装スリーブ40を示す断面図である。図7に示すように、包装スリーブ40は、表側シート41とこれに対向する裏側シート42とを備えており、表側シート41は、天辺41aと、この天辺41aに平行となる底辺41bと、天辺41aと底辺41bとを結ぶ側辺41cとを有している。また、裏側シート42は、表側シート41の底辺41b、側辺41cに重なる底辺42b、側辺42cを有するとともに、表側シート41の天辺41aよりも上方に伸びる接合片43を有している。また、裏側シート42には、表側シート41の天辺41aよりもやや上方にミシン目42aが形成されており、このミシン目42aを境に本体部44と接合片43とが区画されている。このようなシート41,42の両側辺41c,42cは熱溶着によって互いに接合されており、包装スリーブ40には上方に開口する開口部45が形成されている。
【0019】
このように、傾斜辺を備えていない包装スリーブ40であっても、接合片43の幅寸法W5よりも開口部45の幅寸法W6が大きく形成されることから、接合片43に拘束されることなく開口部45の開口端45aを動かすことが可能となる。これにより、傾斜辺を持たない包装スリーブ40を備えるスリーブ積層体であっても、前述したスリーブ積層体14と同様の効果を得ることが可能である。
【0020】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、図示する場合には、包装袋積層体として上下に開口した包装スリーブ15,40が示されているが、包装スリーブ15,40の底辺20b,21b,41b,42bを閉じて形成しても良い。また、表側シート20,41や裏側シート21,42の外形形状(輪郭形状)は、図示する形状に限られることはなく、曲線や波線等を用いた他の形状であっても良い。また、包装スリーブ15,40は樹脂製に限られることはなく、薄紙等を用いて包装スリーブ15,40を形成しても良い。さらに、各シート20,21,41,42を熱溶着によって接合しているが、これに限られることはなく、各シート20,21,41,42を接着剤によって接合しても良い。
【符号の説明】
【0021】
10 花束加工装置
11 包装ステージ
12 結束ステージ
13 ベルトコンベヤ
14 スリーブ積層体(包装袋積層体)
15 包装スリーブ(包装袋)
16 搬送アーム
17 結束機
18 結束具
20 表側シート
20a 天辺
20b 底辺
20c 傾斜辺
20d 側辺
21 裏側シート
21a ミシン目
21b 底辺
21c 傾斜辺
21d 側辺
22 接合片
22a 貫通孔
23 本体部
24 開口部
24a 開口端
30 ロッドチェーン
31 カセット
32 吸着具
33 ストッパ
34 リフター
35 ベルトコンベヤ
40 包装スリーブ(包装袋)
41 表側シート
41a 天辺
41b 底辺
41c 側辺
42 裏側シート
42a ミシン目
42b 底辺
42c 側辺
43 接合片
44 本体部
45 開口部
45a 開口端
100 スリーブ積層体
101 接合片
102 開口部
102a 開口端
103 包装スリーブ
F 花束
CL 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側シートとこれに対向する裏側シートとによって形成される包装袋が複数積層される包装袋積層体であって、
前記表側シートと前記裏側シートとの両側辺を互いに接合し、前記包装袋に上方に開口する開口部を形成し、
前記表側シートよりも前記裏側シートを上方に伸ばし、前記裏側シートの上部にミシン目を境に接合片を形成し、
前記裏側シート間で互いに接合される前記接合片よりも、前記開口部の幅寸法を大きく形成することを特徴とする包装袋積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−91822(P2012−91822A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240603(P2010−240603)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(593038930)インパック株式会社 (7)
【Fターム(参考)】