説明

包装袋

【課題】文房具であるボールペンや小刀など固い長尺形の物品を包装する袋において、大人は開封することが出来るが、幼児等の子供が開封し難い包装袋を提供することにある。
【解決手段】包装袋1のシール部に包装袋1を引き裂くためのノッチ8を設け、引き裂く部分にはミシン目8aを入れてガイドとして直線状に引き裂く様にし、引き裂いた先に引き裂き停止線8cを設けて引き裂きを止め、次に引き裂き停止線8cを新たなノッチとして用いて包装袋1の収容部5に引き裂くことにより開口部が形成され物品を取り出すことを特徴とする包装袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールペンや小刀など主に長尺物の文房具などを包装するプラスチックフィルムによる包装袋、さらに詳しくいえば、幼児等が誤って開封し小刀などで怪我をすることを防止する機能を考慮した包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
透明なプラスチックの包装フィルム容器に入れて商品が販売されている。
商品の形状,大きさは千差万物で、例えば、文房具などのボールペンや小刀などの形状が長くて固いもの、多数の小さいものが集まった商品,食品、液体状のもの、粉状のものなどがある。
各包装容器では購入者が商品を購入して開封する場合、開封がより簡単であるように種々の開封方法が講じられている。
例えば、包装フィルムの上部や側部に三角形状の溝を設け、容器の上部と下部を摘んで引き裂くことにより容器の上部を切り裂いて内部の商品を取り出すもの、切り裂く部分にミシン目などを入れて切り裂きやすいような手段を講じているもの、2枚のフィルムを両端縁部でシールして袋状にした容器の一方のフィルムを手前側に切り裂いて取り出し口を作るものが存在する。
【0003】
その開封に工夫を凝らしたものが多数提案されている。
特許文献1は開封のための三角溝を包装袋の側面に設けたものである。これは、基材層とシーラント層を積層したシート材2枚を、シーラント層を内面側にして重ね合わせ、シート材の縁部同士を接着させて密閉袋形態に形成し、開封側となる一辺付近を、一側辺の接着部を始点として引き裂くことにより開封されるようにしている。途中に引き裂き方向と交差するように引き裂き停止線を形設することにより引き裂き伝播を確実に止め、引き裂き片部を袋面に確実に残すことを目的としたものである。
【0004】
特許文献2は縦シール部又は横シール部に設ける開封用ノッチを、その一端がシール部の外側縁より外方に開封されないように、シール部の範囲内に設けたことを特徴とする包装袋であり、子供等がこのノッチを用いて簡単に包装パックを開封することができないように工夫した誤開封防止型包装パックを提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−276823号公報
【特許文献2】実用新案登録第3073049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ボールペンや小刀など固くて長尺形の文房具などを包装する包装袋において子供が開け難く大人が開け易い包装袋を対象とした場合、上述した特許文献1では1回の動作で開封してしまうので子供が開け難いことにはならない。また特許文献2ではシール部に設けられた小さなノッチの位置に合わせて包装袋を折らなければいけないので、ノッチが見つけにくく、大人が開け易い開封構造であるとは言えない。
そこで、比較的長い商品の包装を前提として開封をする場合、より簡単で大人が確実に開封でき、幼児等の子供がより開封しづらいものが要請されている。
【0007】
本発明の目的は、例えば文房具であるボールペンや小刀など固い長尺形の物品を包装する袋において、包装袋の一辺に設けられたシール部の外縁側にあるノッチより引き裂き線に沿って包装袋のシール部を引き裂き停止線まで引き裂き、次に引き裂き停止線を新たなノッチとして使用してフィルムを物品収容部方向に引き裂くという2度の作業で開口部を作り、物品を取り出すことができる包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明による請求項1記載の包装袋は、包装袋のシール部にフィルムを引き裂くためのノッチを設け、シール部に引き裂き停止線を設け、ノッチから引き裂き停止線までの交差する位置に引き裂き線を設けたことを特徴とする包装袋である。
本発明による請求項2記載の包装袋は、請求項1記載の発明において前記引き裂き線にミシン目を用いることを特徴とする包装袋である。
本発明による請求項3記載の包装袋は、請求項1または2記載の発明において前記包装袋の引き裂き停止線が開封時に引き裂き開始の手段の端緒としてのノッチを兼ねることを特徴とする包装袋である。
本発明の請求項4記載の包装袋は、請求項1,2または3記載の発明において縦長の矩形形状であることを特徴とする包装袋である。
本発明の請求項5記載の包装袋は、請求項1,2,3または4記載の発明においてシール部に該包装袋を吊り下げるための孔を有することを特徴とする包装袋である。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、本発明による包装袋に入った商品を取り出すため開封する場合、手で包装袋をノッチから引き裂き停止線まで引き裂き、次に引き裂き停止線から収容部に引き裂くことで開口部が形成され物品を取り出すことが出来る。物品を取り出すために2度にわたって包装袋を引き裂くという行為が必要となるため、幼児等の子供には容易に物品を取り出すことが出来ない。しかし大人は包装袋に印刷された開封方法を読んで容易に開封することが出来、且つシール部には直線状に綺麗に引き裂く様にミシン目が入れられている。なお、包装袋を形成する包装用のフィルム構造は、延伸ポリプロピレン(OPP)基材の厚さを略20μm,無延伸ポリプロピレン(CPP)基材の厚さを略30μmとした場合が無理なく良好に開封できるものである。CPP基材の厚さが30μmを超えると、引き裂きに抵抗感が発生し、開封する際の手の力をより大きめにしないといけない。また、30μm未満の例えば20μmにすると加える力は少なくて済むが一寸した力で破けやすくなる。したがって、OPPの厚さ20μm,CPP基材の厚さ30μmが、開封をするフィルム構造には適している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による包装袋の実施の形態を示す正面図である。
【図2】本発明による包装袋に物品としてボールペンを収容した状態を示す図である。
【図3】本発明による包装袋の開封方法を説明するための部分図である。
【図4】包装袋の構造を説明するための部分図である。
【図5】包装袋を形成する2枚のフィルムをヒートシールで接合した構造を説明するための部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面等を参照して本発明を詳細に説明する。
なお説明にあたってはOPPとCPPを貼り合わせた構成を用いる。
図1は、本発明による包装袋の実施の形態を示す正面図である。
包装袋1は長方形の透明フィルムで形成されており、横寸法および縦寸法は例えば50mm,225mmである。ボールペンや小刀などの物品の包装に適した形状および大きさとなっている。
表包装フィルム1aと裏包装フィルム1bが、頭部ヒートシール部2と側ヒートシール部3,4との接合により袋状となり、内部に収容部5が形成されている。
【0012】
頭部ヒートシール部2のヒートシール領域の縦方向の寸法および側ヒートシール部3,4の幅は、例えばそれぞれ35mm,5mmである。頭部ヒートシール部2の略中央に陳列棚の鍵型突起などに係止するための孔7が形成されている。
物品を物品挿入開口6から収容部5内に入れ、物品挿入開口6をヒートシールすることにより物品を包装することができる。
【0013】
頭部ヒートシール部2の収容部5の境界2aより上方にノッチ8が設けられている。ノッチ8はV型や五角の他、切れ目だけがあっても良い。ノッチ8を用いて包装袋を短辺方向に引き裂く。さらに引き裂き線の位置に真っ直ぐに引き裂くためのガイドとなるミシン目8aが設けられている。またもし引き裂く際に真っ直ぐではなく斜めに切れても、その引き裂き方向がミシン目8aに戻る様に、ハの字型ミシン目8bがミシン目8aの両側にあり、このハの字型ミシン目8bが更なるガイドの役目となって真っ直ぐ引き裂かれる。引き裂かれた先には引き裂き停止線8cがあり、この引き裂き停止線8cで引き裂きが止まる様になっている。引き裂き停止線8cは包装袋の表包装フィルム1aから裏包装フィルム1bまでを貫通する切れ目であり、その長さは略10mmである。なお引き裂き停止線8cはミシン目8aのほぼ中央の位置に形成されている。なおミシン目8aの繰り返し形成される結合部と切れ目の寸法は例えば、それぞれ0.5mm,0.5mmである。
ミシン目8a及び引き裂き停止線8cの付近には開封方法を分かりやすく表示した開封方法表示矢印9a及び9bが存在する。
【0014】
図2に本発明による包装袋に物品としてボールペンを収容した状態を示す。
クリップ22を有するボールペン20が収容部5に収容されている。ボールペン20を挿入した後、ヒートシールを行い底ヒートシール部27を形成して密封する。
【0015】
図3に本発明による包装袋を開封する方法を示す。
点線で示す部分が開封前の状態である。まず一方の手で袋上部24aを掴み、もう一方の手で袋上部24cを掴んで、袋上部24aを包装袋の短辺方向に引き裂く。これは図3の矢印Aの方向となる。引き裂かれたフィルムは引き裂き停止線8cで止まり、この引き裂き停止線8cが新たな長辺方向へ引き裂くためのノッチの役目も果たす。この時点ではミシン目8aをガイドとして引き裂かれた部分はヒートシールされた部分のため開口部は形成されない。ここで袋上部24aを持っていた手を袋上部24bに持ち変えて、袋上部24cを持っていた手で包装袋を袋の長辺方向に引き裂く。これは図3の矢印Bの方向となる。長辺方向に引き裂かれたフィルム包装袋が頭部ヒートシール部24から境界24dを超えて収容部26に達して開口部28が形成される。開口部28の大きさは袋上部24cを引き裂く距離により調整することが出来る。図3の場合、開口部28がボールペン20を取り出せる適度な大きさになった時点で引き裂きを止め、ボールペン20を取り出す。
この様な複雑な開封を行うには開封方法の表示等が必要となり、表示を読んで理解出来る大人には開封しやすい包装袋であるが、表示を読んで理解出来ない幼児等の子供には容易に開封することが出来ない。
【0016】
図4は本発明による包装袋の構造を説明するための部分図である。
包装袋1を構成する表包装フィルム1aおよび裏包装フィルム1bの積層構造は、20μm厚のOPP10と、文字,図形,写真などの印刷層12と、接着剤層13と、30μm厚のCPP11の各層より構成されている。OPP10とCPP11の厚さは開封における切りやすさ,粘りの程度を考慮してそれぞれ決められる。例えば、OPP10の厚さを図4に示すように20μmにし、CPP11の厚さを20μm〜40μmにした場合、CPP11の厚さ20μmでは粘りが比較的無く、開封のとき弱い力でミシン目が切り離されやすく、反対にCPP11の厚さ40μmでは粘りが比較的有り、簡単にミシン目を切り離すことができないという特性がある。本発明による実施の形態で示すOPP20μm,CPP30μmが最も開封に適した構造である。
【0017】
図5は包装袋を形成する2枚のフィルムをヒートシールで接合した構造を説明するための部分図である。
図5の構造の表包装フィルム1aと裏包装フィルム1bを接合する場合、表包装フィルム1aのCPP11aと裏包装フィルム1bのCPP11bをヒートシールする領域に熱を加えて溶融して接合する。ヒートシール14が表包装フィルム1aのCPP11aと裏包装フィルム1bのCPP11bとの間に形成され、確実に接合される。
【0018】
以上の実施の形態は、包装袋が長方形状であるが、このような形状に限らず、他の縦横比の矩形形状や合掌製袋、ガセット製袋されたもの、外形が曲線形状のものも同様に実施することができる。また、ミシン目の形状として直線状のものとハの字形状のものの例を示したが、いずれか一方のみであってもよい。
さらに、袋を形成する包装フィルムはOPP20μmとCPP30μmを接合したフィルムを用いる例を示したが、包装フィルムの構造はこのような材質や厚さの比率のものでなくても同様に実施することができる。包装フィルムの接合をヒートシールで行う例を示したが、接着剤を用いて接合してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
文房具などの商品をフィルムで包装する包装袋である。
【符号の説明】
【0020】
1 包装袋
1a 表包装フィルム
1b 裏包装フィルム
2,24 頭部ヒートシール部
2a,24a,24d 境界
3,4,25,26 側ヒートシール部
5,26 収容部
6 物品挿入開口
7,29 孔
8 ノッチ
8a ミシン目
8b ハの字ミシン目
8c 引き裂き停止線
9a,9b 開封方向表示矢印
10 OPP(延伸ポリプロピレン)
11 CPP(無延伸ポリプロピレン)
12 印刷層(インキ)
13 接着剤層
20 ボールペン
21 ノック部
22 クリップ
23 ボールペン先
24a,24b,24c 袋上部
27 底ヒートシール部
28 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール部と収容部を有する包装袋であってシール部の一端にノッチを有し、該ノッチにより誘導される引き裂き線と、該引き裂き線と交差する引き裂き停止線とを有することを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記引き裂き線はミシン目であることを特徴とする請求項1記載の包装袋。
【請求項3】
前記引き裂き停止線は引き裂き開始手段の端緒を兼ねることを特徴とする請求項1または2記載の包装袋。
【請求項4】
前記包装袋の形状は、縦長の矩形形状であることを特徴とする請求項1,2または3記載の包装袋。
【請求項5】
前記包装袋のシール部には該包装袋を吊り下げるための孔を有することを特徴とする請求項1,2,3または4記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−192973(P2012−192973A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76521(P2011−76521)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000239563)福島印刷工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】