説明

包装装置および吸引制御装置

【課題】フィルム搬送部における省電力を行うことが可能な包装装置および包装装置に含まれる吸引制御装置を得る。
【解決手段】制御部10は、終端検知部10aと、真空度制御部10bとを有する。制御部10は、記憶部71、液晶ディスプレイ8、操作スイッチ類7、真空ポンプ72、真空度検出器73などと、接続されている。ここで、真空ポンプ72は、吸気ボックス14d内を吸気して、吸気ボックス14d内に負圧を生じさせる。真空度検出器73は、吸気ボックス14d内の真空度を検知する。記憶部71は、フィルムFにおける送り量、搬送速度、及び搬送時間、真空度検出器73によって検出された真空度、操作スイッチ類7を用いて予め入力された各種設定値、その他の各種情報を記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋を形成し、当該袋を用いて物品を包装する包装装置と、包装装置に含まれる吸引制御装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、包装装置は公知となっている(例えば、下記特許文献1、2参照)。
特許文献1は、充填包装装置を開示する。充填包装装置は、フィルムローラーから送り出されるフィルムを縦,横シール機構によって縦,横シールすることで連続包装袋を形成し、連続包装袋P内に被充填物を充填する。当該充填包装機は、シール板と、温度検出手段と、温度調整手段と、制御手段とを備える。シール板は、縦,横シール機構が設けられる一対のヒートシールロールに配設される。また、シール板は、電気ヒータよって加熱される。温度検出手段は、シール板の温度を検出する。温度調整手段は、温度検出手段によって検出される温度情報に基づいてシール板の温度を調整する。制御手段は、省電力モードを備える。省電力モードは、温度調整手段K4における適正温度の設定を可能とするとともに、シール板への発熱を中断するか、もしくは適正温度よりも低い設定温度となるように温度調整手段を制御する。
特許文献2の包装装置は、前後一対のシールジョーと、一対の回転軸とを備える。また、包装装置は、シールジョーを回転軸回りに駆動する第1サーボモータと、回転軸を水平方向で互いに接近離反するように駆動する第2サーボモータとをさらに備える。包装装置は、第1サーボモータと第2サーボモータとを協働させて、各シールジョーがD字状の軌跡を描くように移動させる。当該包装装置は、両サーボモータへの通電がONされている間は縦シール装置及び横シール装置の各ヒータへの通電を禁止する。一方、両サーボモータへの通電がOFFされている間は各ヒータへの通電を許容すると共に各ヒータへの通電期間が互いにオーバラップしないように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−166904号公報
【特許文献2】特開2004−155465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1、2に開示された包装装置は、包装装置に含まれるシール装置については、消費電力を抑えることができるが、包装装置に含まれる他の装置については、消費電力を抑えることが困難であった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、包装装置全体の消費電力を低減させる包装装置または包装装置に含まれる吸引制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、帯状のフィルムを吸引式フィルム搬送部で吸引しながら搬送して製袋する包装装置、に用いられる吸引制御装置であって、検出部と、真空度制御部とを備える。検出部は、吸引式フィルム搬送部の真空度を検出する。真空度制御部は、真空度を、基準値よりも低い第1値に設定する。ここで、基準値とは、フィルムの表面状態、材質、及び厚み、製袋された際の袋の形状などの特性、並びに、環境(気温、湿度など)に関係なく、フィルムを十分に搬送することができる真空度をいう。
【0007】
実際の真空度を検出しつつ、真空度を基準値よりも低い第1値に設定する制御が行われるため、従来よりも吸引に使用するエネルギーを低減させることができる。
【0008】
さらに、吸引制御装置は、搬送状態検出部と、記憶部とを備えることが好ましい。搬送状態検出部は、フィルムの搬送速度又は搬送時間を検出する。搬送時間は、フィルムを所定長さ搬送するために必要な時間である。記憶部は、搬送速度の設定速度値又は搬送時間の設定時間値を記憶する。また、真空制御部は、搬送速度が搬送速度の所定範囲値となるように、または、搬送時間が搬送時間の所定範囲値となるように、真空度の制御を行うことが好ましい。ここで、搬送速度の所定範囲値とは、設定速度値を基準として定められる範囲に含まれる値(搬送速度値)であり、搬送時間の所定範囲値とは、設定時間値を基準として定められる範囲に含まれる値(搬送時間値)である。
【0009】
記憶部に記憶された搬送速度の設定速度値又は搬送時間の設定時間値に基づいて、搬送速度値が搬送速度の所定範囲値又は搬送時間が搬送速度の所定範囲となるように、真空度の制御が行われる。これにより、例えば、最小の使用エネルギーで吸引式フィルム搬送部を運転し、効率よくフィルムを搬送できる。その結果、包装装置全体の消費エネルギーを低減させることができる。
【0010】
また、搬送状態検出部は、フィルムに印刷されたレジマークを検知するレジマークセンサであることが好ましい。レジマークを検出することで、フィルムの位置合わせだけでなく、フィルムの搬送速度、又はフィルムの搬送時間も、確実に検出できる。特に、フィルムが吸引式フィルム搬送部に対して滑ってしまっているときでも、確実に搬送速度又は搬送時間を検出することが可能である。
【0011】
さらに、真空度制御部は、フィルムの表面状態、材質、及び厚み、並びに、製袋された際の袋の形状を含む複数の条件のうち少なくとも一つの条件に関する条件情報と、前記条件情報に対応する条件下で真空度検出器によって予め検出した適正な真空度の情報とに基づいて、真空度を、基準値から適正な真空度である第1値に下げることが好ましい。条件情報と、条件情報に対応する条件下において予め検出した適正な真空度の情報とを設定しておくことにより、設定後の運転から、フィルムの各態様又は袋の各態様に合わせた適正な真空度で吸引式フィルム搬送部を使用できる。その結果、フィルム又は袋の態様の如何にかかわらず、従来よりも使用エネルギーを低減させることができる。
【0012】
さらに、記憶部は、仮情報を記憶してもよい。仮情報は、本運転前の仮運転中に真空度検出器によって検出した適正な真空度に関する情報である。また、真空度制御部は、仮情報に基づいて、適正な真空度で吸引式フィルム搬送部に含まれる真空度調整部の制御を行ってもよい。ここで、本運転とは、実際に商品を製造する運転である。また、仮運転とは、本運転前に中身が入っていない袋をいくつか製袋する、またはサンプルフィルムで袋をいくつか製袋する運転である。例えば、仮運転で、適正な真空度の情報を予め得ておく。仮運転で得た適正な真空度の情報を本運転で用いることにより、本運転の開始当初から適正な真空度で運転できる。これにより、運転初期から、従来よりも使用エネルギーを低減させることができる。
【0013】
また、記憶部は、本情報を記憶してもよい。本情報は、本運転中に真空度検出器によって検出した適正な真空度の情報である。また、真空度制御部は、本情報に基づいて、適正な真空度で吸引式フィルム搬送部に含まれる真空度調整部の制御を行ってもよい。これにより、商品を製造している際(本運転中)に、適正な真空度の情報を得るとともに、該情報を用いて適正な真空度で運転できる。その結果、運転中であっても、従来よりも使用エネルギーを低減させることができる。
【0014】
また、包装装置は、吸引制御装置と、吸引式フィルム搬送部とを備える。吸引式フィルム搬送部は、吸引制御装置によって制御され、帯状のフィルムを吸引しながら搬送する。吸引制御装置は、吸引式フィルム搬送部で使用されるエネルギーを低減させるため、包装装置全体の使用エネルギーを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るフィルム供給装置(フィルム供給ユニット)を含む組合せ計量システムの外観図である。
【図2】図1の組合せ計量システム1に含まれる製袋包装ユニットの構成を示す斜視図である。
【図3】図2の製袋包装ユニットにおけるプルダウンベルト機構(吸引式フィルム搬送部)の断面図である。
【図4】図1の組合せ計量システムの包装装置に含まれるフィルム供給ユニットの構成を示す正面図である。
【図5】図4のフィルム供給ユニットに含まれるオートスプライサ部の構成を示す正面図である。
【図6】フィルムロールのレジマークを示す説明図である。
【図7】図4のフィルム供給ユニットを構成する制御ブロック図である。
【図8】図4のフィルム供給ユニットに含まれるテンションローラの構成例を示す正面図である。
【図9】本実施形態におけるプルダウンベルト機構(吸引式フィルム搬送部)の真空度制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図10】図9における適正な真空度を検出する処理の手順を示したフローチャートである。
【図11】実施例1において厚フィルム1を用いた場合であって、吸気ボックス内の真空度制御をした場合における真空ポンプの消費電力の時間変化と、真空度制御をしなかった場合における真空ポンプの消費電力の時間変化とを示したグラフである。
【図12】実施例1において角フォーマ用フィルムを用いた場合であって、吸気ボックス内の真空度制御をした場合における真空ポンプの消費電力の時間変化と、真空度制御をしなかった場合における真空ポンプの消費電力の時間変化とを示したグラフである。
【図13】実施例1において12インチ用フィルムを用いた場合であって、吸気ボックス内の真空度制御をした場合における真空ポンプの消費電力の時間変化と、真空度制御をしなかった場合における真空ポンプの消費電力の時間変化とを示したグラフである。
【図14】実施例1において角フォーマ用フィルムを用いた場合であって、吸気ボックス内の真空度制御をした場合における実機全体の消費電力の時間変化と、真空度制御をしなかった場合における実機全体の消費電力の時間変化とを示したグラフである。
【図15】実施例2において薄フィルムを用いた場合であって、吸気ボックス内の真空度制御をした場合における真空ポンプの消費電力の時間変化と、真空度制御をしなかった場合における真空ポンプの消費電力の時間変化とを示したグラフである。
【図16】実施例2において厚フィルム2を用いた場合であって、吸気ボックス内の真空度制御をした場合における真空ポンプの消費電力の時間変化と、真空度制御をしなかった場合における真空ポンプの消費電力の時間変化とを示したグラフである
【図17】実施例2において厚フィルム2を用いた場合であって、吸気ボックス内の真空度制御をした場合における実機全体の消費電力の時間変化と、真空度制御をしなかった場合における実機全体の消費電力の時間変化とを示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1〜図10を参照して、本発明の実施形態に係る包装装置3を搭載した組合せ計量システム1について説明する。なお、包装装置3に含まれ、吸引制御装置として機能する各機構73,10b,・・・についても併せて説明する。
【0017】
図1は、組合せ計量システム1の外観を示す。組合せ計量システム1は、被包装物となるポテトチップス等の商品C(図2参照)を計量し、計量済の商品Cを、フィルムを筒状にして覆い、筒状フィルムを縦横にシールして袋詰の商品Bを製造する装置である。
【0018】
組合せ計量システム1は、主として、組合せ計量装置2と、包装装置3と、を備えている。
【0019】
組合せ計量装置2は、図1に示すように、後述する包装装置3の上部に配置される。組合せ計量装置2は、計量ホッパで商品Cを所定重量ずつ計量した後、各計量ホッパ内に商品Cを貯留しておく。さらに、組合せ計量装置2は、商品Cの計量値が所定の合計重量になるように組み合わせる。さらに、組合せ計量装置2は、所定の合計重量となるように組み合わせられた商品Cを計量ホッパから順次排出する。
【0020】
包装装置3は、組合せ計量装置2における計量の結果、所定の合計重量毎に排出された商品Cを、フィルムFを用いて袋詰めする。なお、この包装装置3については、後段にて詳述する。
【0021】
包装装置3は、図1に示すように、主として、製袋包装ユニット5と、フィルム供給ユニット6とから構成されている。製袋包装ユニット5は、商品Cの袋詰めを行う本体部分である。フィルム供給ユニット6は、製袋包装ユニット5に袋となるフィルムFを供給する。製袋包装ユニット5の前面には操作スイッチ類7が配置されている。また、操作スイッチ類7を操作する操作者が視認できる位置に液晶ディスプレイ8が配置されている。液晶ディスプレイ8は、操作状態を示す。
【0022】
フィルム供給ユニット6は、後述する製袋包装ユニット5の成形機構13にシート状のフィルムFを供給するユニットである。ここでは、フィルム供給ユニット6は、製袋包装ユニット5に隣接して設けられている。フィルム供給ユニット6にはフィルムFが巻回されたフィルムロールFR1,FR2(図4参照)がセットされ、フィルムFは、フィルムロールFR1,FR2から繰り出される。なお、フィルム供給ユニット6については後段にて詳述する。
【0023】
製袋包装ユニット5は、図1,図2に示すように、成形機構13と、プルダウンベルト機構14と、縦シール機構15と、横シール機構16と、これらの各機構を支える支持フレーム12とから構成されている。成形機構13は、シート状のフィルムFを筒状に成形する。プルダウンベルト機構(吸引式フィルム搬送部)14は、筒状となったフィルムF(以下、筒状フィルムFという。)を下方に搬送する。縦シール機構15は、筒状フィルムFの重ね合わせ部分を縦にシール(熱封止)する。横シール機構16は、筒状フィルムFを横にシールすることで袋の上下端を閉止する。また、支持フレーム12の周囲には、ケーシング9が取り付けられている。
【0024】
(製袋包装ユニット5の詳細構成)
成形機構13は、図2に示すように、チューブ13aと、フォーマー13bとを有する。チューブ13aは、円筒形状の部材であり、上下端が開口している。チューブ13aの上端の開口部には、組合せ計量装置2から計量された商品Cが投入される。フォーマー13bは、チューブ13aを取り囲むように配置されている。フォーマー13bの形状は、フィルム供給ユニット6から送られてきたシート状のフィルムFがフォーマー13bとチューブ13aとの間を通るときに筒状に成形されるような形状とされている。
【0025】
プルダウンベルト機構14は、図2、図3に示すように、チューブ13aに巻き付いた筒状フィルムFを吸着して下方に搬送する機構である。プルダウンベルト機構14は、主として、駆動ローラ14aおよび従動ローラ14bと、ベルト14cと、吸気ボックス14dと、真空ポンプ72とから構成されている。ベルト14cは、駆動ローラ14aおよび従動ローラ14bに架けられる。また、ベルト14cは、多数の吸気孔14eを有する。吸気ボックス14dは、チューブ13a側に第1面を有する。第1面は、摺動するベルト14cと接する。吸気ボックス14dの第1面には、複数の吸気用スリット14fが併設されている。真空ポンプ72は、吸気ボックス14d内を吸気する。なお、図2及び図3では、駆動ローラ14a等を回転させる駆動モーターと、真空ポンプ72との図示を省略している。真空ポンプ72については後段で説明する。
【0026】
縦シール機構15は、図2に示すように、チューブ13aに巻き付けられた筒状フィルムFの重なり部分を、一定の加圧力でチューブ13aに押しつけながら加熱して縦にシールする機構である。縦シール機構15は、ヒータや、ヒーターベルト等を有している。ヒーターベルトは、ヒータにより加熱され筒状フィルムFの重なり部分に接触する。また、縦シール機構15は、図示しないが、ヒーターベルトをチューブ13aに近づけたり遠ざけたりするための駆動装置も備えている。
【0027】
横シール機構16は、図2に示すように、ヒーターベルト等を内蔵する一対のシールジョー16a,16aと、図示しないが、シールジョー16a,16aを筒状フィルムFに近づけたり遠ざけたりするための駆動装置を含む。
シールジョー16a,16aは、左右側方向に延びて形成された部材である。シールジョー16a,16aのシール面は、内蔵されたヒーターベルト等によって加熱される。筒状フィルムFは、左右のシールジョー16a,16aによって挟み込まれることによって熱シールされる。
【0028】
フィルム供給ユニット6は、下流側に配置された製袋包装ユニット5に対してフィルムFを供給する装置である。フィルム供給ユニット6は、図4、図5及び図7のいずれかに示すように、ロール取付部17と、カッター11と、オートスプライサ部(スプライサ部)20と、搬送機構30と、ピンチローラ(ローラ対)35と、テンションローラ40と、を有している。
【0029】
(フィルム供給ユニット6の詳細構成)
ロール取付部17は、図4に示すように、フィルム供給ユニット6の下部に配置されている。ロール取付部17は、2つのシャフト(ロール支持部)18a,18bと、シャフト駆動部(駆動部)19a,19b(図7参照)とを含む。2つのシャフト18a,18bは、長尺のフィルムFが巻回されたフィルムロールを回転可能に支持する。
【0030】
以下、シャフト18aに供給用フィルムロール(供給用のフィルムロール)FR1、シャフト18bに予備用フィルムロール(交換用のフィルムロール)FR2が支持されているものとして説明する。
【0031】
シャフト18aは、図4に示すように、供給用フィルムロールFR1を、回転可能な状態で支持している。供給用フィルムロールFR1のフィルムFは、予備用フィルムロールFR2のフィルムFよりも先に製袋包装ユニット5に対して供給される。
【0032】
シャフト18bは、図4に示すように、予備用フィルムロールFR2を回転可能な状態で支持している。予備用フィルムロールFR2は、シャフト18aに支持された供給用フィルムロールFR1のフィルムFが無くなった後で使用される。
【0033】
シャフト駆動部19a,19bは、シャフト18a,18bをそれぞれ回転させる駆動部である(図7参照)。
【0034】
なお、フィルムFには、図6に示すように、マークMが印刷されている。マークMはレジマークと呼ばれる。レジマークは、形成される袋の同一位置に、フィルムFに印刷された絵柄を配置するために、長手方向に沿って等間隔に印刷されている。このため、レジマークMの間隔は、袋の長さと対応している。製袋包装ユニット5においては、このレジマークMを検出することによって横シールや、切断のタイミング等を調整している。また、フィルム供給ユニット6は、レジマークMを目印として、供給用フィルムFの終端と、予備用フィルムの始端とを継ぎ合わせる継ぎ合わせ処理を行っている。
【0035】
カッター11は、図4に示すように、ロール取付部17とヒートシール部25との間に配置されている。ヒートシール部25は、オートスプライサ部20に含まれる。カッター11は、シャフト18aにセットされたフィルムロールFR1が固定タイプのフィルムロールであった場合に、フィルムロールFR1のフィルムFの終端部分を切断して、フィルムFが巻回され固定されている紙管から分離する。
【0036】
オートスプライサ部20は、製袋包装ユニット5に対してフィルムFを供給する供給用フィルムロールFR1がなくなると、フィルムFの搬送を一旦停止させて、フィルムFの終端部分近傍と、後述する交換用フィルムロールFR2のフィルムFの始端部分近傍とをヒートシールして自動的に継ぎ合わせる。これにより、先に使用される供給用フィルムロールFR1のフィルムFがなくなった場合でも、予備用フィルムロールFR2のフィルムFとつなぐことで、継続してフィルムFの搬送を行うことができる。なお、オートスプライサ部20は、図4または図5に示すように、レジマークセンサ(搬送状態検出部)21と、フロントスプライサ部22と、バックスプライサ部23と、仮止め部24と、ヒートシール部25と、シリンダ26と、支持板28と、を含むように構成されている。
【0037】
レジマークセンサ21は、図5に示すように、オートスプライサ部20の最下流側に配置されている。レジマークセンサ21は、上述したフィルムFに印刷されたレジマークMを検知する。検知されたレジマークMの位置を基準にフィルムFの位置決めを行う。具体的には、検知されたレジマークMの位置を基準に供給中のフィルムFを所定の位置に停止させる。また、レジマークセンサ21は、フィルムFの搬送中、一のレジマークMを検知した後、次のレジマークMを検知するまでの時間を検知し、フィルムFの搬送時間を検知する。すなわち、レジマークセンサ21は、フィルムFを所定長さ搬送するために必要な搬送時間を検出する。レジマークセンサ21によって検知されたフィルムFの搬送時間と、レジマークMが印刷された距離間隔とに基づいて、後述する制御部10は、フィルムFの搬送速度を算出する。
【0038】
フロントスプライサ部22は、図4に示すように、供給用フィルムロールFR1から送り出される長尺のフィルムFを、ローラ22e,22fを介して下流側へ搬送する。すなわち、長尺のフィルムFは、フロントスプライサ部22の上方に搬送される(図5参照)。また、図5に示すように、ハンドル22bがバックスプライサ部23から離間させる方向に引っ張られることで、フロントスプライサ部22は、回動軸22cを中心として本体部22aを回動させる。これにより、フロントスプライサ部22とバックスプライサ部23との間が開くため、供給用フィルムロールFR1と予備用フィルムロールFR2との交換時の作業性を向上させることができる。なお、本体部22aを回動させる際は、本体部22aに固定された突出部22dが支持板28に形成された誘導穴28aに沿って移動し、突出部22dは、所定の角度で誘導穴28aの下端部に接触する。これにより、本体部22aの回動を所定の回動角度で停止させる。さらに、フロントスプライサ部22の上方には、後述するヒートシール部25が配置されている。ヒートシール部25によって、供給用フィルムロールFR1から送り出されるフィルムFの終端部近傍の継ぎ合わせ位置と、予備用フィルムロールFR2から送り出されるフィルムFの始端近傍における継ぎ合わせ位置とが、フロントスプライサ部22の上面において、熱シールされ、継ぎ合わされる。
【0039】
バックスプライサ部23は、図4に示すように、予備用フィルムロールFR2から送り出される長尺のフィルムFを、ローラ23e,23fを介して下流側へ搬送する。すなわち、長尺のフィルムFは、バックスプライサ部23の上方に搬送される(図5参照)。また、図5に示すように、フロントスプライサ部22と同様に、ハンドル23bがフロントスプライサ部22から離間させる方向に引っ張られることで、バックスプライサ部23は、回動軸23cを中心として本体部23aを回動させることができる。これにより、フロントスプライサ部22とバックスプライサ部23との間が開くため、供給用フィルムロールFR1と予備用フィルムロールFR2との交換時の作業性を向上させることができる。なお、本体部23aを回動させる際は、本体部23aに固定された突出部23dが支持板28に形成された誘導穴28bに沿って移動し、突出部23dが所定の回動角度で誘導穴28bの下端部に接触する。これにより、本体部22aの回動を所定の角度で停止させる。
【0040】
仮止め部24は、図5に示すように、バックスプライサ部23の上面に配置されている。仮止め部24は、バックスプライサ部23の上面にあるフィルムFの始端部を仮止めするために設けられている。フィルムFは、予備用フィルムロールFR2から送り出された後、フロントスプライサ部22とバックスプライサ部23との間の隙間を経由して、バックスプライサ部23の上面に到達する。そして、仮止め部24は、回動軸24aと、クリップ部24bとを有している。クリップ部24bは、回動軸24aを中心に回動する。本実施形態においては、フィルムFに印刷されたレジマークM部分をクリップ部24bに合わせるようにして仮止めする。
【0041】
ヒートシール部25は、図5に示すように、フロントスプライサ部22の上面に配置されている。ヒートシール部25は、フィルムFのヒートシールする部分に対して所定の圧力をかけながら加熱部25aを当接させる。ヒートシールする部分とは、供給用フィルムロールFR1のフィルムFの終端近傍部と予備用フィルムロールFR2のフィルムFの始端部近傍とが継ぎ合わせられる部分である。これにより、供給用フィルムロールFR1から送り出されるフィルムFの終端部近傍と予備用フィルムロールFR2から送り出されるフィルムFの始端近傍部との重なり部分に対して、熱と圧力とを付与し、両者を容易に継ぎ合わせることができる。
【0042】
シリンダ26は、図5に示すように、バックスプライサ部23の側面に配置されている。シリンダ26は、図示しない挿入板をフロントスプライサ部22の上面まで前進させる。このとき、フロントスプライサ部22の上面とヒートシール部25との間には、予備用フィルムロールFR2のフィルムFの始端部と、供給用フィルムロールFR1のフィルムFの終端部とが、図示しない挿入板とともに挿入される。供給用フィルムロールFR1のフィルムFと予備用フィルムロールFR2のフィルムFとは、互いに位置決めされた状態で停止している。すなわち、供給用フィルムロールFR1のフィルムFは、レジマークMを所定位置に停止させて位置決めされており、予備用フィルムロールFR2のフィルムFは、レジマークMを仮止め部に固定させて位置決めされている。これにより、フロントスプライサ部22の上面において、予備用フィルムロールFR2のフィルムFの始端部近傍の継ぎ合わせ位置と供給用フィルムロールFR1のフィルムFの終端部近傍の継ぎ合わせ位置とを重ね合わせた状態を形成することができる。
【0043】
支持板28は、製袋包装ユニット5側の支持フレーム12に対してオートスプライサ部20を固定するための板材である。支持板28には、図5に示すように、誘導孔28a,28bが形成されている。誘導孔28a,28bは、上述したフロントスプライサ部22の突出部22dおよびバックスプライサ部23の突出部23dを誘導する。これにより、製袋包装ユニット5の直上流側に、オートスプライサ部20を配置することができる。
【0044】
搬送機構30は、図5に示すように、ローラ30a,30b,30c等によって構成されており、下流側に配置された製袋包装ユニット5へとフィルムFを搬送する。
【0045】
ピンチローラ35は、図5に示すように、ローラ30a〜30cの下流側に配置されている。ピンチローラ35は、互いに対向する2つのローラ35a,35bによって構成されている。また、2つのローラ35a,35bは、接離可能に配置されている。2つのローラ35a,35bは、互いに接近した状態(以後、閉じた状態と示す)ではフィルムFを支持し、互いに離れた状態(以後、開いた状態と示す)では、フィルムFと接しない位置に待避する。
【0046】
ローラ35aには、第1エンコーダ(送り量計測部)36が取り付けられている(図7参照)。第1エンコーダ36は、ローラ35aの回転に基づいてフィルムFの送り量を算出する。なお、第1エンコーダ36で算出した送り量に基づいて、後述する制御部10は、フィルムFの搬送速度を算出する。
【0047】
テンションローラ40は、図7に示すように、ピンチローラ35の下流側に配置されている。テンションローラ40は、フィルムFに一定の張力を付加することによって、フィルムFにかかる張力を計測する。例えば、テンションローラ40は、フィルムFを送る搬送機構30の各ローラにおける回転数を切り換えることによって張力を一定に保つことができる。テンションローラ40は、フィルムFの搬送角度を変えるための第1ガイドローラ41、第2ガイドローラ42、およびダンサーローラ43と、第2エンコーダ51と、を含む。
【0048】
ダンサーローラ43は、両端に軸部43aを有する。ダンサーローラ43の両端側には、左右一対のガイド板46が配置されている。左右一対のガイド板46には、上下方向に延びるガイドスリット47が形成されている。ダンサーローラ43の軸部43aは、図8に示すように、ガイドスリット47に挿入されて支持されている。これにより、ダンサーローラ43は、上下方向に移動可能な構成になっている。また、ダンサーローラ43の上下方向への変位量を検出するために、検出手段が設けられている。図8の例では、検出手段として、上下方向に伸びるラック49が用いられている。ラック49は、ガイド板46のガイドスリット47から突出するダンサーローラ43の軸部43aに、ブラケット48を介して取り付けられている。ラック49には、常時噛み合うピニオン50が装着されている。ピニオン50は、図示しないフレームに回転自在に装着される。ピニオン50には、第2エンコーダ51が取り付けられる。第2エンコーダ51は、ピニオン50の回転量に対応した、ダンサーローラ43の上下方向変位量を検出する。これにより、上下方向の変位量に基づいてフィルムFにかかる張力等を監視することができる。
【0049】
(制御部位の説明)
図7に示すように、制御部10は、終端検知部10aと、真空度制御部10bとを有する。制御部10は、記憶部71、液晶ディスプレイ8、操作スイッチ類7、真空ポンプ72、および真空度検出器73などと接続されている。真空ポンプ72は、吸気ボックス14d内を吸気して、吸気ボックス14d内に負圧を生じさせる。真空度検出器73は、吸気ボックス14d内の真空度を検知する。記憶部71は、フィルムFの送り量、搬送速度、及び搬送時間(フィルムFを所定長さ搬送するために必要な時間)、真空度検出器73によって検出された真空度、操作スイッチ類7を用いて予め入力された各種設定値、その他の各種情報を記憶する。
【0050】
また、制御部10は、(1)シャフト駆動部19a,19b、ピンチローラ35、搬送機構30、ダンサーローラ43などの各駆動部位の制御、(2)記憶部71に記憶された情報を読み込む制御、(3)液晶ディスプレイ8にメッセージを表示させる制御、(4)操作スイッチ類7から入力された情報を記憶部71に記憶させる制御、など、組合せ計量システム1を適切に運転する様々な制御を行う。特に、終端検知部10aおよび真空度制御部10bは、下記のような制御をそれぞれ行う。
【0051】
以下、終端検知部10aと、真空度制御部10bとをそれぞれ説明する。
終端検知部10aは、シャフト駆動部19a,19b、ピンチローラ35、搬送機構30、ダンサーローラ43などの各駆動部位と接続されている。終端検知部10aは、前記各駆動部位の制御を行ってフィルムFの送り量を調整する。また、終端検知部10aは、レジマークセンサ21および第2エンコーダ51で検出したフィルムFの送り量の情報に基づいて、オートスプライサ部20において供給用フィルムロールFR1のフィルムFの終端部近傍と予備用フィルムロールFR2のフィルムFの始端部近傍とを継ぎ合わせるための位置決め等の制御を行う。具体的には、終端検知部10aは、ダンサーローラ43の鉛直方向における位置からフィルムFにかかる張力を監視する。また、終端検知部10aは、張力の変化から供給用フィルムロールFR1の終端を検知する。さらに、終端検知部10aは、レジマークセンサ21がレジマークMを検知した時点からフィルムFを所定長さ巻き取るように、シャフト駆動部19aを制御してシャフト18aを回転させる。なお、ここでいうフィルムロールFR1の終端を検知した時とは、フィルムロールFR1からフィルムFをさらに送り出すことができなくなって、シャフト18aが回転できなくなった瞬間を検知したことをいう。また、終端検知部10aは、例えば、ダンサーローラ43にかかる張力が一時的に大きくなったことを検知することにより、フィルムロールFR1の終端を判断してもよい。
【0052】
真空度制御部10bには、内部でPID演算を行うインバータ(図示せず)が含まれている。また、真空度制御部10bは、真空ポンプ72と真空度検出器73とに接続されている。このような構成において、真空度制御部10bは、真空度検出器73で検出された吸気ボックス14dの真空度の値を受信する。真空度制御部10bは、終端検知部10aと連携しつつ、上記インバータによって、真空ポンプ72の運転を適宜制御する。真空度制御部10bによる、真空ポンプ72の制御を真空度制御という。これにより、真空度制御部10bは、吸気ボックス14dの真空度を適正な真空度に制御する。ここで、「適正な真空度」とは、真空度制御後のフィルム搬送速度又はフィルム搬送時間が、真空度制御前の、予め設定されたフィルム搬送速度又は予め設定されたフィルム搬送時間となるようにフィルムFを搬送し、かつ、真空ポンプ72を最小エネルギーで運転するような吸気ボックス14d内の真空度のことをいう。
【0053】
以下、真空度制御部10bによる制御の詳細について説明する。
まず、真空度制御部10bによって、真空ポンプ72を一定の出力で作動させ、吸気ボックス14d内の真空度を予め設定しておいた基準値(記憶部71に記憶されている値)に合わせる。ここで、「基準値」とは、フィルムの表面状態、材質、及び厚み、製袋された際の袋の形状などの特性、並びに、環境(気温、湿度など)に関係なく、プルダウンベルト機構14が十分にフィルムFを吸着できるとともに、所望量のフィルムFを搬送することができる真空度である。
【0054】
次に、図9に示すように、ステップS1において、適正な真空度を検出する処理を行う。なお、ステップS1における適正な真空度を検出する処理は、図10に示した処理手順によって行われる。なお、吸気ボックス14dに設定される真空度の初期値は、基準値であるものとする。すなわち、真空度制御前に吸気ボックス14dの真空度として設定されている値(設定値)は、基準値である。
【0055】
具体的に、ステップA1では、吸気ボックス14d内の真空度を設定値から第1所定値分、下げる処理が行われる。言い換えると、基準値に合わせられた吸気ボックス14d内の真空度が、基準値よりも低い値に設定される。すなわち、基準値を第1所定値下げた値が新たな設定値となる。ここで、「第1所定値」とは、操作スイッチ類7の操作又は出荷時に適宜設定された値である。第1所定値は、操作スイッチ類7を操作することによって必要に応じて変更が可能である。
【0056】
次に、ステップA2において、フィルムFの送り量が基準量と一致するか否かが判定される。ここで、基準量とは、予め設定されている、時間当たりのフィルムFの搬送量(搬送長さ)である。フィルムFの送り量が基準量と一致する場合(ステップA2:Yes)には、ステップA1に戻り、吸気ボックス14d内の真空度の設定値をさらに第1所定値下げる。一方、フィルムFの送り量が基準量と一致しない場合(ステップA2:No)には、ステップA3に進む。
【0057】
ステップA3においては、フィルムFの変化量が許容範囲内であるか否かが判定される。ここで、フィルムFの変化量とは、フィルムFの送り量と、基準量との差であって、フィルムFの送り量が基準量からどの程度ずれているかを示す量である。また、「許容範囲」とは、許容可能な変化量の範囲であって、許容可能な誤差の範囲である。ステップA3において、フィルムFの変化量が許容範囲内でない場合(ステップA3:No)には、ステップA4に進んで、真空度の設定値を第2所定値分上げる。ここで、「第2所定値」とは、上述した第1所定値よりも小さい値である。第2所定値は、操作スイッチ類7の操作又は出荷時に微調整用に設定された値である。また、第2所定値は、操作スイッチ類7を操作することによって、必要に応じて変更が可能である。ステップA4で真空度の設定値が第2所定値分上げられると、その後ステップA3に戻り、再度、フィルムFの変化量が許容範囲内であるか否かを判定する。ステップA3において変化量が許容範囲内である場合(ステップA3:Yes)には、このときに検出された真空度を「適正な真空度」として決定し(ステップA5)、適正な真空度を検出する処理を終了する。
【0058】
上述のステップS1の後は、図9に示したステップS2において、適正な真空度を記憶部71に記憶させる。ステップS2の後は、ステップS3において、記憶部71に記憶された適正な真空度を保持する。具体的には、吸気ボックス14d内の真空度を真空度検出器73で所定時間ごとに検出して記憶部71に記憶させる。そして、検出した真空度の情報及び上述の適正な真空度の情報に基づいて、真空度制御部10bが真空ポンプ72の運転を制御し、吸気ボックス14dの真空度を適正な真空度に保持する。
【0059】
本実施形態によれば、終端検知部10aで検出されたフィルムFの長さと、記憶部71に記憶されたフィルムFの長さとの誤差が許容範囲内でおさまるように、吸気ボックス14d内の真空度が制御される。言い換えると、実際に搬送したフィルムFの長さと、搬送すべきフィルムFの長さとの誤差が許容範囲内でおさまるように真空度が制御される。また、真空度の基準値、真空度検出器73によって検出された吸気ボックス14d内の真空度、及び、真空度制御部10bによって検出された(特定された)適正な真空度に基づいて、吸気ボックス14d内の真空度が適正な真空度に設定されるとともに、吸気ボックス14d内の真空度が適正な真空度に保られる。具体的には、吸気ボックス14d内の真空度が、予め定められている基準値から、適正な真空度に下げられ、適正な真空度に保たれる。これにより、真空ポンプ72を運転するための電力を大幅に低減させることができる。すなわち、包装装置3の運転に使用される総エネルギーを従来よりも大幅に低減させることができる。
【0060】
また、レジマークセンサ21を用いて、フィルムFに印刷されたレジマークを検出することで、フィルムFの位置合わせだけでなく、搬送中のフィルムFの搬送速度及びフィルムFの搬送方向所定長さごとの搬送時間も確実に検出できる。特に、フィルムFの搬送速度及びフィルムFの搬送時間を確実に検出することができるため、フィルムFがプルダウンベルト機構14に対して滑ってしまっていることを検知することが可能である。フィルムFがプルダウンベルト機構14に対して滑ってしまっていることを検知した際には、例えば、包装装置3の運転を一時的に停止させたり、フィルムFの搬送を正常な状態に戻すように制御したり、真空ポンプ72の出力を上げるように制御したりすることができる。
【実施例】
【0061】
(実施例1)
上述した包装装置3と同様の構成を有した包装装置(ATLAS202(株式会社イシダ製))を用いて、吸気ボックス内の真空度制御の有無で、消費電力がどのように変化するか測定した。なお、試験に供したフィルムは、厚フィルム1、角フォーマ用フィルム、および12インチ用フィルムである。厚フィルム1は、幅340mm、厚さ80μmで4層からなる。角フォーマ用フィルムは、幅380mm、厚さ55μmで3層からなる。12インチ用フィルムは、幅545mm、厚さ70μmで3層からなる。また、真空圧センサにはPPX−R01NH−M(シーケーディ株式会社製)、インバータには3G3JX−A2015(オムロン株式会社製)を使用した。
【0062】
吸気ボックス内の真空度は、「適正な真空度」になるように制御した。具体的には、予め真空度制御を行わずに包装装置を運転し、フィルムFの搬送量を記憶しておく。さらに、吸気ボックス内の真空度の設定値を、基準値から第1所定値ずつ下げていきながら、真空度制御を行う前と同程度にフィルムFを搬送でき、かつ、真空ポンプ72の運転エネルギーが最小になる値に、吸気ボックス内の真空度を設定した。なお、基準値は、真空ポンプを一定の周波数(ここでは、60Hz)で動作させて発生させた吸気ボックス内の真空度の値である。ここでは、基準値を、−50kPa(G)(51.33kPa(abs))とする。
ここで、下記表1に、試験に供した「フィルムの種類」と、フィルムを製袋して得られる袋の目標値である「袋長(設定値)」及び「袋幅(設定値)」と、包装装置の「運転速度」及び「フィルム搬送速度」と、実際に製袋された袋(100部)の「袋長平均」とを示す。
【0063】
【表1】

【0064】
図11、図12、および図13は、上述した条件下で、吸気ボックス内の真空度制御をした場合の真空ポンプの消費電力の時間変化と、真空度制御をしなかった場合の真空ポンプの消費電力の時間変化とを示す。図11は、厚フィルム1を用いた場合の消費電力の時間変化を示す。図12は、角フォーマ用フィルムを用いた場合の消費電力の時間変化を示す。また、図13は、12インチ用フィルムを用いた場合の消費電力の時間変化を示す。図11により、真空度制御を行った場合の真空ポンプの消費電力は、真空度制御を行わない場合の真空ポンプの消費電力に比べて、約75%程度まで低減されていることが分かる。図12、図13からは、真空度制御を行った場合の真空ポンプの消費電力は、真空度制御を行わない場合の真空ポンプの消費電力に比べて、約50%以下まで低減されていることが分かる。
【0065】
また、図14は、上述した条件下で、吸気ボックス内の真空度制御をした場合における包装装置全体の消費電力の時間変化と、真空度制御をしなかった場合における包装装置全体の消費電力の時間変化とを示す。図14は、角フォーマ用フィルムを用いた場合の包装装置全体の消費電力の時間変化を示す。図14から、真空度制御を行った場合の包装装置全体の消費電力は、真空度制御を行わない場合の包装装置全体の消費電力に比べて、約75%程度まで低減されていることがわかる。なお、真空ポンプ以外の電力消費部位は、フィルムをシールするために用いるヒータ、フィルム搬送の動力となるモーター、液晶ディスプレイなどの各機器である。後述する実施例2においても同様である。
【0066】
また、表1に示したように、製袋した袋の袋長平均の値は、本実施例の包装装置において真空度制御を行った場合と、真空度制御を行わなかった場合とで、ほぼ同様の結果となっている。したがって、本実施例の包装装置は、従来の包装装置よりも消費電力を大幅に低減させることが可能であるにもかかわらず、従来の包装装置と同様にフィルムを搬送し製袋することが可能である。なお、表1で「袋長(設定値)」と「袋長平均」との値に差異があるが、この差異は許容範囲内の差異である。
【0067】
(実施例2)
真空度制御に関する系について、上述した実施例1の包装装置と同様の構成を有する包装装置(ASTRO−S101R(株式会社イシダ製))を用いて、吸気ボックス内の真空度制御の有無で、消費電力がどのように変化するか測定した。なお、試験に供したフィルムは、薄フィルムと、厚フィルム2である。薄フィルムは、幅295mm、厚さ40μmで2層からなる。厚フィルム2は、幅280mm、厚さ70μmで5層からなる。また、実施例1と同様の真空圧センサ及びインバータを使用する。吸気ボックス内の真空度は、「適正な真空度」になるように制御した。具体的には、上述したように、真空度制御を行わずに予め包装装置を運転し、フィルムFの搬送量を記憶しておく。さらに、吸気ボックス内の真空度の設定値を、基準値から第1所定値ずつ下げていきながら、真空度制御を行う前と同程度にフィルムFを搬送でき、かつ、真空ポンプ72の運転エネルギーが最小になる値に、吸気ボックス内の真空度を設定した。なお、基準値は、真空ポンプを一定の周波数(ここでは、60Hz)で動作させて発生させた吸気ボックス内の真空度の値である。ここでも、基準値は、−50kPa(G)(51.33kPa(abs))とする。
【0068】
ここで、下記表2に、試験に供した「フィルムの種類」と、フィルムを製袋して得られる袋の目標値である「袋長(設定値)」及び「袋幅(設定値)」と、包装装置の「運転速度」及び「フィルム搬送速度」と、実際に製袋された袋(100部)の「袋長平均」とを示す。
【0069】
【表2】

【0070】
図15および図16は、上述した条件下で、吸気ボックス内の真空度制御をした場合の真空ポンプの消費電力の時間変化と、真空度制御をしなかった場合の真空ポンプの消費電力の時間変化とを示す。図15は、薄フィルムを用いた場合の消費電力の時間変化を示し、図16は、厚フィルム2を用いた場合の消費電力の時間変化を示す。図15から、真空度制御を行った場合の真空ポンプの消費電力は、真空度制御を行わない場合の真空ポンプの消費電力に比べて約60%程度まで低減されていることが分かる。図16から、真空度制御を行った場合の真空ポンプの消費電力は、真空度制御を行わない場合の真空ポンプの消費電力に比べて約40%以下まで低減されていることが分かる。
【0071】
また、図17は、上述した条件下で、吸気ボックス内の真空度制御をした場合の包装装置全体の消費電力の時間変化と、真空度制御をしなかった場合の包装装置全体の消費電力の時間変化と示す。図17は、厚フィルム2を用いた場合の包装装置全体の消費電力の時間変化を示す。図17から、真空度制御を行った場合の包装装置全体の消費電力は、真空度制御を行わない場合の包装装置全体の消費電力に比べて、約75%程度まで低減されていることがわかる。
【0072】
また、表2に示したように、製袋した袋の袋長平均の値は、本実施例の包装装置において真空度制御を行った場合と、真空度制御を行わなかった場合とでほぼ同様の結果となっている。したがって、本実施例の包装装置は、従来の包装装置よりも消費電力を大幅に低減させることができるにもかかわらず、従来の包装装置と同様にフィルムを搬送し製袋することが可能である。なお、表2で「袋長(設定値)」と「袋長平均」との値に差異があるが、この差異は許容範囲の差異である。
【0073】
<変形例>
(1)
なお、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で設計変更できるものであり、上記実施形態及び実施例などに限定されるものではない。
【0074】
(2)
例えば、フィルムFの表面状態、材質、及び厚み、並びに、製袋された際の袋の形状を含む複数の条件のうち少なくとも一つの条件に関する条件情報と、前記条件情報に対応する条件下で予め検出した適正な真空度の情報とを記憶部71に記憶させておく。そして、真空度制御部10bによって、包装装置3の運転を開始するごとに、現在のフィルムFの表面状態、材質、及び厚み、並びに、製袋された際の袋の形状を含む条件をセンサなどで自動的に割り出す。且つ、記憶部71に記憶された各条件情報から現在の条件に見合った条件情報を取り出す。真空度制御は、現在の条件に見合った条件情報に基づいて、設定値を、基準値から適正な真空度に下げる制御を自動的に行うようにしてもよい。なお、フィルムFや袋の形状を含む現在の条件は、センサなどによって自動的に割り出されてもよいし、操作スイッチ類7の操作によって手入力されてもよい。
【0075】
(3)
また、上述の「適正な真空度」の検出は、包装装置の出荷前、又は包装装置の現場設置後の仮運転中にしておき、本運転開始時には従来の包装装置と比較して省電力で包装装置を使用できるようにしてもよい。また、「適正な真空度」の検出を本運転中に行い、「適正な真空度」の検出後から従来よりも省電力で包装装置を使用できるようにしてもよい。
【0076】
(4)
また、上記実施形態では、設定値を第1所定値ずつ下げていくことにより、適正な真空度を特定したが、記憶部71に予め複数の真空度を記憶させておき、記憶された複数の真空度のうち、いずれかに変更することで、適正な真空度を特定してもよい。具体的には、吸気ボックス内の真空度は、操作スイッチ類7を操作することにより、予め記憶部71に記憶させておいた真空度に変更することができてもよい。特に、操作スイッチ類7におけるボタンなどを用いて、吸気ボックス内の真空度を、すでに設定している真空度に、ワンタッチ操作で変更できるようにしてもよい。
【0077】
(5)
また、「適正な真空度」は、真空度制御部10bによって一定時間ごとに自動的に検出される構成であってもよいし、手動で適宜検出するような構成であってもよい。また、「適正な真空度」の検出が終了するごとに、吸気ボックス14d内の真空度を、新しく検出された適正な真空度に合わせるように、真空度制御部10bによって真空ポンプ72が制御されるようになっていてもよい。
【0078】
(6)
また、上記実施形態及び各実施例では、真空度制御部10bによって、「適正な真空度」を検出する処理を1度行う例を示した。これに代えて、「適正な真空度」の平均値を、実際の制御に用いる「適正な真空度」としてもよい。具体的には、「適正な真空度」を複数回繰り返して検出し、検出された各真空度を「仮の適正な真空度」とする。得られた複数の「仮の適正な真空度」に基づいて平均値を算出し、該平均値を実際の制御に用いる「適正な真空度」としてもよい。
他に、「適正な真空度」の移動平均値を実際の制御に用いる「適正な真空度」としてもよい。具体的には、真空度制御部10bによって一定時間ごとに「適正な真空度」を検出し、検出された各真空度を「仮の適正な真空度」とする。また、一定時間毎に得られた複数の「仮の適正な真空度」に基づいて移動平均値を算出する。
【0079】
(7)
さらに、上記実施形態では、フィルムFの搬送速度を、第1エンコーダ36で算出した送り量に基づいて算出したが、フィルムFの搬送速度は、カメラによって得られた情報に基づいて算出されてもよい。例えば、カメラによってフィルムFが有するレジマークを判別し、レジマークの判別される時間間隔に基づいてフィルムFの搬送速度が算出されてもよい。
【0080】
(8)
また、真空度検出器(真空圧センサ)73は、吸気ボックス内部の真空度を計測できる位置であれば、いずれの場所に設置されていてもよい。例えば、真空度検出器73は、吸気ボックス内部の他、真空ポンプ72と吸気ボックスとを繋ぐ吸気パイプの内部、吸気ボックスと吸気パイプとの接続部分、もしくは、真空ポンプ72と吸引パイプとの接続部分に設置されていてもよい。すなわち、吸気ボックスの真空度は、真空度検出器73によって検出された値そのものであってもよいし、真空度検出器73によって検出された値を加工または補正した推定値であってもよい。
【0081】
(9)
真空度の基準値は、プルダウンベルト機構14の種類(材質等)に応じて変更されてもよい。さらに、基準値を下げる程度もまた、プルダウンベルト機構14の種類に応じて変更してもよい。
【0082】
(10)
上記実施形態に係る吸引制御装置は、二つのプルダウンベルト機構14,14で、筒状フィルムFの両側を吸着しながら、筒状フィルムFを下方に搬送する場合に適用した。しかし、吸引制御装置は、一つのプルダウンベルト機構14でフィルムFの一箇所を吸着しながらフィルムFを下方に搬送する場合にも適用することができる。
【0083】
一つのプルダウンベルト機構14でフィルムFの吸引および搬送を行う場合には、筒状フィルムFを確実に吸引および搬送するために、吸気ボックスの真空度を予め非常に高い値に設定することが一般的である。一方、二つのプルダウンベルト機構14,14でフィルムFの吸引および搬送を行う場合には、筒状フィルムFを両側から吸引するため、吸気ボックスの真空度を高い値に設定する必要がない。したがって、一のプルダウンベルト機構14を用いる場合には、二つのプルダウンベルト機構14,14を用いる場合と比較して、真空ポンプ72の消費電力が高くなる傾向がある。
【0084】
しかし、上記実施形態に係る吸引制御装置を用いることにより、フィルムFの搬送状態を悪化させることなく真空ポンプ72の消費電力を低減させることができる。これにより、一つのプルダウンベルト機構14でフィルムFの搬送を行う包装装置の消費電力を効果的に低減させることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 計量システム
2 計量装置
3 包装装置
5 製袋包装ユニット
6 フィルム供給ユニット
7 操作スイッチ類
8 液晶ディスプレイ
9 ケーシング
10 制御部
10a 終端検知部
10b 真空度制御部
11 カッター
12 支持フレーム
13 成形機構
13a チューブ
13b フォーマー
14 プルダウンベルト機構
14a 駆動ローラ
14b 従動ローラ
14c ベルト
14d 吸気ボックス
14e 吸気孔
14f 吸気用スリット
15 縦シール機構
16 横シール機構
16a,16a シールジョー
17 ロール取付部
18a,18b シャフト
19a,19b シャフト駆動部
20 オートスプライサ部
21 レジマークセンサ
22 フロントスプライサ部
22a 本体部
22b ハンドル
22c 回動軸
22d,23d 突出部
22e,22f,23e,23f,30a,30b,30c,35a,35b ローラ
23 バックスプライサ部
23a 本体部
23b ハンドル
23c 回動軸
24 仮止め部
24a 回動軸
24b クリップ部
25 ヒートシール部
25a 加熱部
26 シリンダ
28 支持板
28a,28b 誘導穴
30 搬送機構
35 ピンチローラ
36,51 エンコーダ
40 テンションローラ
41,42 ガイドローラ
43 ダンサーローラ
43a 軸部
46 ガイド板
47 ガイドスリット
48 ブラケット
49 ラック
50 ピニオン
71 記憶部
72 真空ポンプ
73 真空度検出器
B,C 商品
F フィルム
FR1,FR2 フィルムロール
M レジマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のフィルムを吸引式フィルム搬送部で吸引しながら搬送して製袋する包装装置、に用いられる吸引制御装置であって、
前記吸引式フィルム搬送部の真空度を検出する検出部と、
前記真空度を、基準値よりも低い第1値に設定する真空度制御部と、
を備えた吸引制御装置。
【請求項2】
前記フィルムの搬送速度又はフィルムを所定長さ搬送するために必要な搬送時間を検出する搬送状態検出部と、
前記搬送速度の設定速度値又は前記搬送時間の設定時間値を記憶する記憶部と、
を備え、
前記搬送速度が搬送速度の所定範囲値となるように、または、前記搬送時間が搬送時間の所定範囲値となるように、前記真空度制御部が前記真空度の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の吸引制御装置。
【請求項3】
前記搬送状態検出部が、前記フィルムに印刷されたレジマークを検知するレジマークセンサである請求項1又は2に記載の吸引制御装置。
【請求項4】
前記フィルムの表面状態、材質、及び厚み、並びに、製袋された際の袋の形状を含む複数の条件のうち少なくとも一つの条件に関する条件情報と、前記条件情報に対応する条件下で前記真空度検出器によって予め検出した適正な真空度の情報とに基づいて、前記真空度制御部が、前記真空度を、前記基準値から前記第1値である前記適正な真空度に下げる請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸引制御装置。
【請求項5】
前記記憶部は、本運転前の仮運転中に前記真空度検出器によって検出した適正な真空度の情報である仮情報を記憶し、
前記真空度制御部は、前記仮情報に基づいて、前記適正な真空度で前記吸引式フィルム搬送部に含まれる真空度調整部の制御を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸引制御装置。
【請求項6】
前記記憶部は、本運転中に前記真空度検出器によって検出した適正な真空度の情報である本情報を記憶し、
前記真空度制御部は、前記本情報に基づいて、前記適正な真空度で前記吸引式フィルム搬送部に含まれる真空度調整部の制御を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸引制御装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかの吸引制御装置と、
前記吸引制御装置によって制御され、前記帯状のフィルムを吸引しながら搬送する前記吸引式フィルム搬送部と、
を備える、
包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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