包装装置
【課題】接合部を分離することによる開梱を容易に行うことができ、被包装物を取り出しやすい包装装置を提供する。
【解決手段】包装装置において、段ボールからなる外装1と、前記外装1の少なくとも一部を接合する2以上の接合部と、2以上の前記接合部を縫製することにより接合する、1の糸状体3からなる接合手段と、を備え、前記1の糸状体3は、引かれることにより2以上の前記接合部を分離する分離手段を兼ねている構成とする。
【解決手段】包装装置において、段ボールからなる外装1と、前記外装1の少なくとも一部を接合する2以上の接合部と、2以上の前記接合部を縫製することにより接合する、1の糸状体3からなる接合手段と、を備え、前記1の糸状体3は、引かれることにより2以上の前記接合部を分離する分離手段を兼ねている構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来における包装装置として、段ボール製の箱が広く知られている。これは、段ボール板を箱状に形成したものであり、平板状の段ボールを立体的な箱体に組み上げたものである。そして、この平板状の段ボールを立体的な箱体に組み上げる際には、例えば略筒状に形成した段ボール板の端部同士を重ね合わせた上で接合することが多い。
このような段ボールからなる包装装置においては、接合部を糸を用いて縫製するものが従来知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、以上のようにして構成された段ボールからなる包装装置においては、被包装物を包装装置内部に納めた後、蓋部分を閉じテープ等で封じることにより梱包する。そして、梱包された被包装物を包装装置から取り出す際には、蓋部分を開けるか、接合部や包装の一部を分離すること等によって、被包装物の少なくとも一面が外部に開放されるように開梱する必要がある。なお、ここで、この開梱される部分は、保管や輸送中に開放されてしまうことがないよう十分な強度を有し、かつ、容易に開梱可能であって被包装物が取り出し易いことが要求される。
【0004】
そこで、従来における段ボールからなる包装装置においては、段ボール箱の左右の側板に略垂直方向全高にわたってミシン目を形成し、このミシン目に沿って包装体を引き裂くことにより、包装体の箱体前面を開梱することができるように構成されたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、段ボール箱の側板の内面側にカットテープを予め接着し、その端部に舌片を設けておき、舌片を引き起こしてカットテープの方向へと引くことにより、このカットテープに沿って包装体を引き裂いて開梱することができるように構成されたものも、従来知られている(例えば、特許文献3参照)。この特許文献3に記載されたものは、縦方向及び横方向の2つのカットテープを設けておき、開梱部分を横方向に開放することが可能なようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭55−110420号公報
【特許文献2】特許第2563347号公報
【特許文献3】実開平02−148924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、以上のように構成された包装装置から被包装物を取り出せるように開梱するためには、一辺以上にわたる接合部や切断部(ミシン目やカットテープ部分)を分離する必要がある。しかしながら、以上に挙げたような従来における包装装置においては、被包装物が略直方体状、特に大型箱状、である場合、分離が必要である一辺の長さが長くなる、又は、分離が必要である箇所が複数の辺に跨ってしまうことにより、開梱作業が煩雑なものとなり、利便性が低下してしまうという課題がある。
【0008】
例えば、特許文献1に示されたものにおいては、接合部を分離するために当該接合部を縫製する糸を引き解す必要がある。しかしながら、被包装物が略直方体状(特に大型箱状)であって、分離する接合部の一辺が長く、又は、分離する接合部が複数の辺に跨って存在する場合には、糸を引き解す長さが長くなり途中で糸が切れてしまう等の不具合が発生する懸念が高まったり、複数箇所の糸を引き解す必要があって作業が煩雑であったりするという課題がある。
【0009】
また、特許文献2に示されたものにおいても、被包装物が略直方体状であって、分離する切断部の一辺が長く、又は、分離する切断部が複数の辺に跨って存在する場合には、この切断部を分離する作業が非常に煩雑であるという課題がある。そして、特許文献3に示されたものにおいては、分離する切断部が複数箇所存在するため、これらの切断部を分離する作業が非常に煩雑であるという課題がある。
【0010】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、接合部を分離することによる開梱を容易に行うことができ、被包装物を取り出しやすい包装装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る包装装置においては、段ボールからなる外装と、前記外装の少なくとも一部を接合する2以上の接合部と、2以上の前記接合部を縫製することにより接合する、1の糸状体からなる接合手段と、を備え、前記1の糸状体は、引かれることにより2以上の前記接合部を分離する分離手段を兼ねている構成とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る包装装置においては、接合部を分離することによる開梱を容易に行うことができ、被包装物を取り出しやすいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係る包装装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る包装装置の展開図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係る包装装置の全体構成を示す斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る包装装置の展開図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係る包装装置の全体構成を示す斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係る包装装置の展開図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る包装装置の開梱方法を説明する図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係る包装装置の全体構成及び開梱方法を示す斜視図である。
【図9】この発明の実施の形態5に係る包装装置の全体構成を示す斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態5に係る包装装置の展開図である。
【図11】この発明の実施の形態5に係る包装装置の被包装物の取出方法を説明する図である。
【図12】この発明の実施の形態6に係る包装装置の全体構成を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態6に係る包装装置の開梱状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明を添付の図面に従い説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
【0015】
実施の形態1.
図1及び図2は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1は包装装置の全体構成を示す斜視図、図2は包装装置の展開図である。
これらの図において、1は、包装装置の外装である。この外装1の材料は段ボールが用いられている。この外装1は、展開した状態では略長方形状である。そして、この略長方形の対向する辺部同士を互いに接合するように折り曲げることにより、外装1は略角筒状に形成される。この互いに接合される外装1の辺部には複数の接合部が形成されており、これら複数の接合部において接合されることにより、外装1が前記略角筒状を保持している。これらの接合部は、フラップ2と縫製糸3の一部とから構成されている。
【0016】
フラップ2は、互いに接合される外装1の2つの辺部のうちの一方の端部に設けられている。このフラップ2は、所定の間隔だけ離間した状態で複数設けられており、ここでは、当該辺部の両端にそれぞれ1つずつ計2つ設けられている。従って、当該辺部の中央部にはフラップは設けられていない。これらのフラップ2は、接合部の接合代となるものである。ずなわち、これらのフラップ2は、互いに接合される外装1の2つの辺部のうちの他方と重ね合わされた状態で、次に説明する接合手段である縫製糸3により縫製されることにより接合される。
【0017】
縫製糸3は、すぐ前で述べたように、フラップ2を接合するための糸状体からなる接合手段を構成している。すなわち、互いに接合される外装1の2つの辺部のうちの一方に設けられたフラップ2と、他方の辺部とを重ね合わせた状態において、この重合部が1本の縫製糸3によって縫製されている。こうして、外装1は、接合部において縫製糸3により接合されている。
【0018】
ここで、フラップ2は複数あるため重合部も複数あることになるが、これら複数の重合部は、同じ1本の縫製糸3でもって縫製されている。すなわち、フラップ2と前記他方の辺部との重合部においては、これらの両方が縫製糸3によって縫合されており、フラップ2のない当該辺部の中央においては、前記他方の辺部のみが縫製糸3によって縫製されている。そして、この縫製糸3による一連の縫製部4は一続きになっている。
【0019】
こうして、フラップ2と、縫製糸3のうちフラップ2を縫製する部分とにより、外装1の一部を接合する接合部が構成される。そして、この接合部は複数設けられており、これら複数の接合部は1本の糸状体からなる接合手段である縫製糸3により接合されている。
【0020】
また、縫製糸3は、縫製部4の一端である始点4aにおいて、人が掴める程度に外装1の外面側へと延長されている。そして、この始点4aの縫製糸3の一端を人が引くと、引いた箇所から順に縫製部4を引き解すことができる。こうして、縫製部4の他端である終点4bまで縫製部4が引き解されると、縫製糸3により縫合されていたフラップ2における接合は分離される。すなわち、1本の縫製糸3を引き解すことにより、複数の接合部を分離することができる。この意味で、この縫製糸3は、複数の接合部を接合する接合手段と、これら複数の接合部を分離する分離手段と、を兼ねている。
【0021】
このように構成された包装装置においては、複数の接合部が縫製糸3により接合されて外装1が略角筒状(スリーブ状)に形成される。そして、外装1が略垂直に立てられた状態で、その内部に被包装物が収納されることにより、被包装物の四方の側面が覆われて梱包される。なお、この被包装物としては、略長方体状の電気機器を想定している。この包装を開梱する際には、まず、始点4aの縫製糸3の一端を引く。そして、そのまま縫製糸3を終点4bまで引き上げることにより、縫製部4を引き解す。すると、外装1の下端側及び上端側にそれぞれ設けられている複数の接合部における縫製糸3による接合が解かれて、これらの接合部が分離する。
【0022】
接合部が分離すると、略角筒状の外装1の一辺が完全に分離されるため、外装1を横方向に展開することが可能になる。従って、分離した接合部から外装1を横方向に開いて開梱し、被包装物を包装装置から容易に取り出すことができる。
【0023】
なお、ここでは、フラップ2すなわち接合部を2箇所設けたが、3箇所以上設けるようにしてもよい。また、始点4aを下側に設けるようにしたが、外装1の形態やサイズによっては始点4aを上側に、終点4bを下側に設けるようにしてもよい。ただし、外装1が垂直方向に長い場合には、始点4aを下側に設けるようにした方が、上部まで手が届かない場合でも開梱することができる。
【0024】
さらにまた、以上においては、縫製部4を略垂直方向に設けているが、この縫製部4を略水平方向に設けるようにしてもよい。縫製部4を略水平方向に設けた場合には、分離手段によりこの縫製部4を引き解すことにより、外装1が上下に分割されることになる。
【0025】
以上のように構成された包装装置は、接合部を分離して包装の一辺を開くことによって、被包装物を容易に取り出すことができる。従って、一般的な、被包装物の4つの側面を覆うスリーブ状の外装の場合には、外装を上部に引き上げて開梱する必要があり、天井が低い屋内では作業が困難であったが、このような困難を解消することができる。また、一辺を開放するために、より短い縫製部分を引き解すだけでよく、途中で糸が切れて分離できなくなる懸念を少なくすることができる。
【0026】
そして、このため、被包装物を取り出しやすく、特に腕力が少ない高齢者、身体障害者や子供が開梱しやすいユニバーサルデザインの包装を提供することができる。また、加えて、縫製が糸でなされるため、金属ステープルなどを用いることがなく、包装廃棄時の分別が不要であるため、取り扱いが簡単な包装を提供することができる。
【0027】
実施の形態2.
図3及び図4は、この発明の実施の形態2に係るもので、図3は包装装置の全体構成を示す斜視図、図4は包装装置の展開図である。
前述した実施の形態1は、外装が被包装物の四方の側面を覆うスリーブ状のものであった。これに対し、ここで説明する実施の形態2においては、外装は四方の側面に加えて天面も含む五面を覆うようになっている。そして、接合手段及び分離手段である縫製糸により、側面と天面に係る2辺に設けられた複数の接合部を接合/分離するようしたものである。
【0028】
外装1には4つの側面部と天面部が設けられており、4つの側面部を先の実施の形態1と同様に略角筒状とした上で、天面部により略角筒状の上側の開放端を覆うことにより、外装1は底面が開放された略直方体状に形成される。そして、側面部同士が接合する部分と、側面部と天面部とが接合する部分に、それぞれフラップ2が設けられて縫製糸3により縫製されることにより接合部が形成される。
【0029】
すなわち、まず、側面部同士が接合される部分については、先の実施の形態1と同様、互いに接合される2つの側面部のうちの一方の端部に複数のフラップ2が設けられている。そして、当該フラップ2が設けられた側面部における、天面部と接合する端部にも複数のフラップ2が設けられている。これらのフラップ2は、側面部側と天面部側において、それぞれ2つずつ計4つが所定の間隔だけ離間した状態で設けられている。換言すると、複数のフラップ2は外装1の1面における隣接する2辺に設けられている。
【0030】
接合手段である縫製糸3は、これら複数のフラップ2と接合される面との重合部を縫合することにより、側面部同士及び側面部と天面部とをそれぞれ接合している。ここで、フラップ2は複数あるため重合部も複数あることになるが、実施の形態1と同様、これら複数の重合部は、同じ1本の縫製糸3でもって縫製されている。そして、この縫製糸3による一連の縫製部4は一続きになっている。
【0031】
こうして、フラップ2と、縫製糸3のうちフラップ2を縫製する部分とにより、外装1の一部である側面部同士及び側面部と天面部とをそれぞれ接合する複数の接合部が構成される。そして、これら複数の接合部は1本の糸状体からなる接合手段である縫製糸3により接合されている。この縫製糸3による縫製部4は、側面部同士の接合部の下側が始点4aになっており、この始点4aからまず上方へと向かって側面部同士の2つの接合部を縫製している。そして、側面部同士の接合部を縫製し終えると、続けて側面部と天面部との接合部の一方を縫製し、側面部と天面部との接合部の他方を縫製し終えた箇所が終点4bとなっている。
【0032】
また、実施の形態の1と同様、縫製糸3は、縫製部4の一端である始点4aにおいて、人が掴める程度に外装1の外面側へと延長されている。そして、この始点4aの縫製糸3の一端を人が引くと、引いた箇所から順に縫製部4を引き解すことができる。こうして、縫製部4の他端である終点4bまで縫製部4が引き解されると、縫製糸3により縫合されていたフラップ2における接合は分離される。すなわち、1本の縫製糸3を引き解すことにより、複数の接合部を分離することができる。この意味で、この縫製糸3は複数の接合部を分離する分離手段でもある。
【0033】
このように構成された包装装置においては、複数の接合部が縫製糸3により接合されて外装1が底面が開放された略直方体状に形成される。そして、外装1が天面を上方にするように略垂直に立てられた状態で、その内部に被包装物が収納されることにより、被包装物の四方の側面及び天面が覆われて梱包される。この包装を開梱する際には、まず、側面部同士の下側の接合部に設けられた始点4aの縫製糸3の一端を引く。そして、縫製糸3を側面部同士の上側の接合部まで引き上げることにより、側面部同士の接合部の縫製部4を引き解す。その後、そのまま、縫製糸3を引くと今度は側面部と天面部との接合部における縫製部4が引き解される。終点4bまで縫製部4が引き解されると、外装1の側面部同士及び側面部と天面部とをそれぞれ接合する複数の接合部における縫製糸3による接合が解かれて、これらの接合部が分離する。
【0034】
こうして、複数の接合部が分離すると、外装1の側面及び天面を開放することが可能になる。従って、分離した接合部から外装1の側面及び天面を開いて開梱し、被包装物を包装装置から容易に取り出すことができる。
なお、他の構成については実施の形態1と同様であって、その詳細説明は省略する。
【0035】
以上のように構成された包装装置は、実施の形態1の構成において、2以上(複数)の接合部を、外装の異なる面(側面部と天面部)に設けたものである。
このため、実施の形態1と同様の効果を奏することができるのに加えて、被包装物が冷蔵庫や給湯器のように縦長で、天面部に手が届かないような場合に、接合部がテープで止められていたり、あるいは、ミシン目を形成した段ボールを切り開く形態の包装では、天面部を開放するのは容易ではないが、本実施の形態の包装装置においては、分離手段である糸を引き解すことで容易に開放することができる。
【0036】
また、2以上の接合部の少なくとも1つを、被包装物の長辺を含む面に相対する外装の面に設けているため、開梱した際に被包装物を容易に取り出すことができる。
【0037】
実施の形態3.
図5から図7は、この発明の実施の形態3に係るもので、図5は包装装置の全体構成を示す斜視図、図6は包装装置の展開図、図7は包装装置の開梱方法を説明する図である。
ここで説明する実施の形態3は、前述した実施の形態1において、縫製部のうち接合部(フラップの重合部)を縫合していない部分については縫製しないようにし、この部分を外装の外面側に露出させて、当該部分を開梱時の引き位置にしたものである。
【0038】
すなわち、実施の形態1と同じく、外装1は、複数の接合部において接合されることにより、4つの側面部を有する略角筒状に形成されている。複数の接合部は、外装1の側面部同士が接合される辺部分において、上端側と下端側の2箇所に、所定の間隔だけ離間して設けられている。これらの接合部は、フラップ2と接合される面との重合部が1本の縫製糸3により縫合されて形成される。これら2つの接合部における縫製部4同士は、縫製糸3の非縫製部分(縫製されていない部分)によって連結される。そして、この縫製糸3の非縫製部分における略中央が、開梱手段の引き位置3aとなる。引き位置3aを含む縫製糸3の非縫製部分は、外装1の外面側に露出している。
【0039】
この際、2つの接合部の縫製部4は、縫製糸3の引き位置3aに対して略対称に配置されている。ここでは、外装1の側面部同士が接合される辺部分において上端側と下端側の2箇所に接合部が設けられており、これらの接合部の縫製部4の内側同士の間に縫製糸3の非縫製部分が配置されている。そして、縫製糸3の非縫製部分の略中央が引き位置3aであり、すなわち、2つの接合部の縫製部4が、縫製糸3の引き位置3aに対して略対称に配置されている。
【0040】
このように構成された包装装置において包装を開梱する際には、まず、縫製糸3の引き位置3aを引く。すると、上下の接合部の縫製部4が、それぞれ内側から引き解されていく。ここで、前述のごとく接合部の縫製部4は引き位置3aに対して略対称に配置されている。このため、縫製糸3の引き位置3aを引くことにより各縫製部4にかかる力がほぼ等しくなり、各縫製部4が均等に引き解されるようになり、縫製部4を引き解す作業をスムーズに行うことができる。そして、そのまま、縫製糸3の引き位置3aを引き続けると、上下それぞれの接合部における縫製糸3による接合が同時に解かれて、これらの接合部が分離する(図7)。
なお、他の構成については実施の形態1と同様であって、その詳細説明は省略する。
【0041】
以上のように構成された包装装置においては、1箇所の引き位置を引くことによって、略対称の位置に設けた複数の接合部の縫製部分を同時に引き解すことができて、糸を解しとる距離が実施の形態1に比べてさらに短くすることが可能であり、糸が途中で切れる懸念をさらに少なくすることができる。
【0042】
実施の形態4.
図8はこの発明の実施の形態4に係るもので、包装装置の全体構成を示す斜視図である。
ここで説明する実施の形態4は、前述した実施の形態2のように側面部同士及び側面部と天面部との接合部に接合手段及び開梱手段を設けた包装装置において、前述した実施の形態3のように、縫製部のうち接合部(フラップの重合部)を縫合していない部分については縫製しないようにし、この部分を外装の外面側に露出させて、当該部分を開梱時の引き位置とするようにしたものである。
【0043】
図8では、本実施の形態の例として2つの構成を示している。図に向かって左側は縫製糸3の非縫製部分が2つの接合部の内側(互いに近接する側)同士を連結するようにしたものであり、図に向かって右側は縫製糸3の非縫製部分が2つの接合部の外側(互いに離間する側)同士を連結するようにしたものである。
【0044】
これらの構成のいずれにおいても、外装1には4つの側面部と天面部が設けられており、外装1は底面が開放された略直方体状に形成されている。そして、側面部同士が接合する部分と、側面部と天面部とが接合する部分に、それぞれフラップ2が設けられて接合部が形成されている。ただし、ここでは、側面部同士が接合する部分と、側面部と天面部とが接合する部分には、それぞれ1つずつ計2つの接合部が設けられているとする。
【0045】
以上の前提のもと、まず、図8の図に向かって左側の構成について説明する。この構成は前述したように、縫製糸3の非縫製部分が2つの接合部の内側同士を連結するようにしたものである。すなわち、側面部同士及び側面部と天面部のそれぞれの接合部は、接合手段である1本の縫製糸3により接合され縫製部4が形成されている。そして、これら2つ接合部の縫製部4の、互いに近接した側に位置する端部同士は、これらの縫製部4を形成したものと同じ縫製糸3により連結されている。この、2つの縫製部4を連結する縫製糸3の部分は、縫製されていない非縫製部である。そして、この縫製糸3の非縫製部の略中央が引き位置3aになっている。この引き位置3aが設けられた縫製糸3の非縫製部分は、外装1の外面側に露出している。
【0046】
このような構成の包装装置において、包装を開梱する際には、まず、縫製糸3の引き位置3aを引く。すると、2つの接合部の縫製部4が、それぞれ内側の始点4aから引き解されていく。そして、そのまま、縫製糸3の引き位置3aを引き続け、外側の終点4bにまで縫合が解されると、それぞれの接合部における縫製糸3による接合が解かれて、これらの接合部が分離する。
【0047】
次に、図8の図に向かって右側の構成について説明する。この構成は前述したように、縫製糸3の非縫製部分が2つの接合部の外側同士を連結するようにしたものである。すなわち、側面部同士及び側面部と天面部のそれぞれの接合部は、接合手段である1本の縫製糸3により接合され縫製部4が形成されている。そして、これら2つ接合部の縫製部4の、互いに離間した側に位置する端部同士は、これらの縫製部4を形成したものと同じ縫製糸3により連結されている。この、2つの縫製部4を連結する縫製糸3の部分は、縫製されていない非縫製部である。そして、この縫製糸3の非縫製部の略中央が引き位置3aになっている。この引き位置3aが設けられた縫製糸3の非縫製部分は、外装1の外面側に露出している。
【0048】
このような構成の包装装置において、包装を開梱する際には、まず、縫製糸3の引き位置3aを引く。すると、2つの接合部の縫製部4が、それぞれ外側の始点4aから引き解されていく。そして、そのまま、縫製糸3の引き位置3aを引き続け、内側の終点4bにまで縫合が解されると、それぞれの接合部における縫製糸3による接合が解かれて、これらの接合部が分離する。
【0049】
なお、この実施の形態においても先の実施の形態3と同様に、2つの接合部の縫製部4が、縫製糸3の引き位置3aに対して略対称に配置されている。従って、2つの接合部の両方に隣接する側面部の形状は略正方形であるということになる。そして、このような対称性により、縫製糸3の引き位置3aを引くことにより各縫製部4にかかる力がほぼ等しくなり、各縫製部4が均等に引き解されるようになり、縫製部4を引き解す作業をスムーズに行うことができる。
【0050】
また、ここでは、一箇所の引き位置3aから2箇所の縫製部4の始点4aにつながるように構成した例について説明したが、3箇所以上の始点につながり、3箇所以上の縫製部を分離できるような構成としてもよい。このような構成とすることによって、包装の形態やデザインに合わせて、複数の接合部分を分離し、複数の面を開放したり、面の一部のみを開放することができて、開梱した状態のデザインの自由度を高くすることが可能である。
【0051】
実施の形態5.
図9から図11は、この発明の実施の形態5に係るもので、図9は包装装置の全体構成を示す斜視図、図10は包装装置の展開図、図11は包装装置の被包装物の取出方法を説明する図である。
ここで説明する実施の形態5は、開梱手段である1本の縫製糸を引くことにより、外装の2面以上を開放することができるようにしたものである。ここでは、この開梱手段により開放される面を、側面部の1つと天面部の2面とした例について説明する。
【0052】
外装1には4つの側面部と天面部と底面部が設けられており、4つの側面部を略角筒状とした上で、天面部により略角筒状の上側の開放端を、底面部により略角筒状の下側の開放端をそれぞれ覆うことにより、外装1は略直方体状に形成される。そして、1つの側面部に対して、当該側面部の両側の側面部の端部にフラップ2がそれぞれ設けられている。当該フラップ2が設けられた2つの側面部における、天面部と接合する端部にもフラップ2がそれぞれ設けられている。すなわち、側面部同士を接合するフラップ2が2つ、側面部と天面部とを接合するフラップ2が2つの計4つのフラップ2が設けられている。
【0053】
接合手段である縫製糸3は、これら4つのフラップ2と接合される面との重合部を縫合することにより、側面部同士及び側面部と天面部とをそれぞれ接合している。ここで、フラップ2は複数あるため重合部も複数あることになるが、これら複数の重合部は、同じ1本の縫製糸3でもって縫製されている。そして、この縫製糸3による一連の縫製部4は一続きになっている。すなわち、まず、側面部同士を接合するフラップ2の一方の下側が始点4aとされ、この始点4aから上方へと縫製部4が形成される。次に、側面部と天面部とを接合する2つのフラップ2が縫製される。そして、側面部同士を接合するフラップ2の他方が縫製され、このフラップ2の下側に終点4bが形成される。
【0054】
また、縫製糸3は始点4aにおいて人が掴める程度に外装1の外面側へと延長されており、複数の接合部を分離する分離手段にもなっている。従って、このように構成された包装装置において、この包装を開梱する際には、まず、側面部同士の一方の接合部に設けられた始点4aの縫製糸3の一端を引く。そして、縫製糸3を引き上げることにより、この接合部の縫製部4を引き解す。その後、そのまま、縫製糸3を引くと今度は側面部と天面部との2つの接合部における縫製部4が、続けて引き解される。側面部と天面部との2つの接合部の縫製部4が解された後は、縫製糸3を引き下げることにより、側面部同士の他方の接合部の縫製部4が引き解される。そして、この接合部の下端の終点4bまで縫製部4が引き解されると、外装1の側面部同士及び側面部と天面部とをそれぞれ接合する複数の接合部における縫製糸3による接合が解かれて、これらの接合部が分離する。
【0055】
こうして、4つの接合部が分離すると、外装1の側面及び天面の2面を開放することが可能になる。従って、図11に示すように、分離した接合部から外装1の側面及び天面を開いて開梱し、包装装置から被包装物を斜めに引き出すことが可能となり、被包装物を取り出す方向の自由度が増して開梱性が向上する。
【0056】
なお、ここでは、1本の縫製糸3の一端である始点4aを引き位置とする例について説明したが、実施の形態3や4のように、縫製糸3の中間部に非縫製部分を形成して、この非縫製部分に引き位置を設けるようにしてもよい。縫製糸3の中間部に引き位置を設けることにより縫製部を引き解す際に縫製糸を引く距離を短くすることができる。
また、他の構成については実施の形態1等と同様であって、その詳細説明は省略する。
【0057】
このように構成された包装装置は、分離手段である縫製糸により接合部を分離することで、外装の2以上の面が開放可能になるものである。そして、この際、この開放可能となる2以上の面に、被包装物の長辺を含む面に相対する外装の面を含むようにすることにより、被包装物を取り出す方向の自由度が増して開梱性が向上する。
【0058】
実施の形態6.
図12及び図13は、この発明の実施の形態6に係るもので、図12は包装装置の全体構成を示す斜視図、図13は包装装置の開梱状態を示す図である。
ここで説明する実施の形態6は、開梱手段である1本の縫製糸を引くことにより、包装装置の1面全体を包装装置から分離することができるようにしたものである。ここでは、この開梱手段により分離される1面を天面部とした例について説明する。なお、図12及び図13は、包装装置を天面部側から見た図である。
【0059】
外装1には4つの側面部と天面部と底面部が設けられており、4つの側面部を略角筒状とした上で、天面部により略角筒状の上側の開放端を、底面部により略角筒状の下側の開放端をそれぞれ覆うことにより、外装1は略直方体状に形成される。そして、外装1の天面部に隣接する4つの側面部における天面部側の端部には、それぞれフラップ2が設けられて接合部が形成されている。すなわち、天面部の4辺のそれぞれについて1つずつ計4つのフラップ2が設けられている。
【0060】
接合手段である縫製糸3は、これら4つのフラップ2と接合される面との重合部を縫合することにより、側面部と天面部とを接合している。ここで、フラップ2は複数あるため重合部も複数あることになるが、これら複数の重合部は、同じ1本の縫製糸3でもって縫製されている。そして、この縫製糸3による一連の縫製部4は一続きになっている。すなわち、天面部の1つの頂点近傍が始点4aとされ、この始点4aから天面部の周縁に沿うようにして、4つのフラップ2が縫製される。そして、始点4aが設けられたフラップ2に隣接したフラップ2の始点4aと近接した位置に、終点4bが形成される。なお、ここでは、始点4a及び終点4bを天面部の頂点近傍としたが、始点4a及び終点4bは天面部の辺の中央等に配置するようにしてもよい。
【0061】
また、縫製糸3は始点4aにおいて人が掴める程度に外装1の外面側へと延長されており、複数の接合部を分離する分離手段にもなっている。従って、このように構成された包装装置において、この包装を開梱する際には、まず、この始点4aの縫製糸3の一端を引く。そして、縫製糸3を引き続けることにより、天面部と4つの側面部とを接合する4つの接合部の縫製部4が終点4bまで引き解される。外装1の側面部と天面部を接合する複数の接合部における縫製糸3による接合が解かれて、これらの接合部が分離する。
【0062】
こうして、4つの接合部が分離すると、外装1の1面である天面を外装1の他の部分から完全に分離することが可能になる。従って、図13に示すように、分離した接合部から外装1の天面を蓋のように分離することができる。例えば、被包装物が小型である場合、被包装物が梱包された本体を一方の手に持ち、他方の手で開梱手段(縫製糸)の引き位置を引くことによって、蓋を外すように開梱することができる。そして、開口面を下方に向けることによって、被包装物を容易に取り出すことができる。また、本実施の形態では、略直方体ではなく、円柱や多角柱状の包装として、蓋部分を分離するようにしてもよい。さらに、1つの面だけでなく2以上の面が分離されるようにしてもよい。
【0063】
なお、以上説明した実施の形態1〜6において、外装が被包装物の6面全体を覆うように形成する場合、接合手段及び開梱手段が設けられる接合部以外に、別途、被包装物を包装装置内に収納するための開口部を設けるようにすることが好ましい。すなわち、被包装物の梱包工程では、まず、所定の接合部を縫製糸により縫製して接合手段及び開梱手段を設ける。そして、この接合手段及び開梱手段が設けられた接合部以外の別の箇所に設けた開口部から被包装物を入れ、当該開口部をテープや接着剤等により封じる。
【符号の説明】
【0064】
1 外装
2 フラップ
3 縫製糸
3a 引き位置
4 縫製部
4a 始点
4b 終点
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来における包装装置として、段ボール製の箱が広く知られている。これは、段ボール板を箱状に形成したものであり、平板状の段ボールを立体的な箱体に組み上げたものである。そして、この平板状の段ボールを立体的な箱体に組み上げる際には、例えば略筒状に形成した段ボール板の端部同士を重ね合わせた上で接合することが多い。
このような段ボールからなる包装装置においては、接合部を糸を用いて縫製するものが従来知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、以上のようにして構成された段ボールからなる包装装置においては、被包装物を包装装置内部に納めた後、蓋部分を閉じテープ等で封じることにより梱包する。そして、梱包された被包装物を包装装置から取り出す際には、蓋部分を開けるか、接合部や包装の一部を分離すること等によって、被包装物の少なくとも一面が外部に開放されるように開梱する必要がある。なお、ここで、この開梱される部分は、保管や輸送中に開放されてしまうことがないよう十分な強度を有し、かつ、容易に開梱可能であって被包装物が取り出し易いことが要求される。
【0004】
そこで、従来における段ボールからなる包装装置においては、段ボール箱の左右の側板に略垂直方向全高にわたってミシン目を形成し、このミシン目に沿って包装体を引き裂くことにより、包装体の箱体前面を開梱することができるように構成されたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、段ボール箱の側板の内面側にカットテープを予め接着し、その端部に舌片を設けておき、舌片を引き起こしてカットテープの方向へと引くことにより、このカットテープに沿って包装体を引き裂いて開梱することができるように構成されたものも、従来知られている(例えば、特許文献3参照)。この特許文献3に記載されたものは、縦方向及び横方向の2つのカットテープを設けておき、開梱部分を横方向に開放することが可能なようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭55−110420号公報
【特許文献2】特許第2563347号公報
【特許文献3】実開平02−148924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、以上のように構成された包装装置から被包装物を取り出せるように開梱するためには、一辺以上にわたる接合部や切断部(ミシン目やカットテープ部分)を分離する必要がある。しかしながら、以上に挙げたような従来における包装装置においては、被包装物が略直方体状、特に大型箱状、である場合、分離が必要である一辺の長さが長くなる、又は、分離が必要である箇所が複数の辺に跨ってしまうことにより、開梱作業が煩雑なものとなり、利便性が低下してしまうという課題がある。
【0008】
例えば、特許文献1に示されたものにおいては、接合部を分離するために当該接合部を縫製する糸を引き解す必要がある。しかしながら、被包装物が略直方体状(特に大型箱状)であって、分離する接合部の一辺が長く、又は、分離する接合部が複数の辺に跨って存在する場合には、糸を引き解す長さが長くなり途中で糸が切れてしまう等の不具合が発生する懸念が高まったり、複数箇所の糸を引き解す必要があって作業が煩雑であったりするという課題がある。
【0009】
また、特許文献2に示されたものにおいても、被包装物が略直方体状であって、分離する切断部の一辺が長く、又は、分離する切断部が複数の辺に跨って存在する場合には、この切断部を分離する作業が非常に煩雑であるという課題がある。そして、特許文献3に示されたものにおいては、分離する切断部が複数箇所存在するため、これらの切断部を分離する作業が非常に煩雑であるという課題がある。
【0010】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、接合部を分離することによる開梱を容易に行うことができ、被包装物を取り出しやすい包装装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る包装装置においては、段ボールからなる外装と、前記外装の少なくとも一部を接合する2以上の接合部と、2以上の前記接合部を縫製することにより接合する、1の糸状体からなる接合手段と、を備え、前記1の糸状体は、引かれることにより2以上の前記接合部を分離する分離手段を兼ねている構成とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る包装装置においては、接合部を分離することによる開梱を容易に行うことができ、被包装物を取り出しやすいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係る包装装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る包装装置の展開図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係る包装装置の全体構成を示す斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る包装装置の展開図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係る包装装置の全体構成を示す斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係る包装装置の展開図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る包装装置の開梱方法を説明する図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係る包装装置の全体構成及び開梱方法を示す斜視図である。
【図9】この発明の実施の形態5に係る包装装置の全体構成を示す斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態5に係る包装装置の展開図である。
【図11】この発明の実施の形態5に係る包装装置の被包装物の取出方法を説明する図である。
【図12】この発明の実施の形態6に係る包装装置の全体構成を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態6に係る包装装置の開梱状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明を添付の図面に従い説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
【0015】
実施の形態1.
図1及び図2は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1は包装装置の全体構成を示す斜視図、図2は包装装置の展開図である。
これらの図において、1は、包装装置の外装である。この外装1の材料は段ボールが用いられている。この外装1は、展開した状態では略長方形状である。そして、この略長方形の対向する辺部同士を互いに接合するように折り曲げることにより、外装1は略角筒状に形成される。この互いに接合される外装1の辺部には複数の接合部が形成されており、これら複数の接合部において接合されることにより、外装1が前記略角筒状を保持している。これらの接合部は、フラップ2と縫製糸3の一部とから構成されている。
【0016】
フラップ2は、互いに接合される外装1の2つの辺部のうちの一方の端部に設けられている。このフラップ2は、所定の間隔だけ離間した状態で複数設けられており、ここでは、当該辺部の両端にそれぞれ1つずつ計2つ設けられている。従って、当該辺部の中央部にはフラップは設けられていない。これらのフラップ2は、接合部の接合代となるものである。ずなわち、これらのフラップ2は、互いに接合される外装1の2つの辺部のうちの他方と重ね合わされた状態で、次に説明する接合手段である縫製糸3により縫製されることにより接合される。
【0017】
縫製糸3は、すぐ前で述べたように、フラップ2を接合するための糸状体からなる接合手段を構成している。すなわち、互いに接合される外装1の2つの辺部のうちの一方に設けられたフラップ2と、他方の辺部とを重ね合わせた状態において、この重合部が1本の縫製糸3によって縫製されている。こうして、外装1は、接合部において縫製糸3により接合されている。
【0018】
ここで、フラップ2は複数あるため重合部も複数あることになるが、これら複数の重合部は、同じ1本の縫製糸3でもって縫製されている。すなわち、フラップ2と前記他方の辺部との重合部においては、これらの両方が縫製糸3によって縫合されており、フラップ2のない当該辺部の中央においては、前記他方の辺部のみが縫製糸3によって縫製されている。そして、この縫製糸3による一連の縫製部4は一続きになっている。
【0019】
こうして、フラップ2と、縫製糸3のうちフラップ2を縫製する部分とにより、外装1の一部を接合する接合部が構成される。そして、この接合部は複数設けられており、これら複数の接合部は1本の糸状体からなる接合手段である縫製糸3により接合されている。
【0020】
また、縫製糸3は、縫製部4の一端である始点4aにおいて、人が掴める程度に外装1の外面側へと延長されている。そして、この始点4aの縫製糸3の一端を人が引くと、引いた箇所から順に縫製部4を引き解すことができる。こうして、縫製部4の他端である終点4bまで縫製部4が引き解されると、縫製糸3により縫合されていたフラップ2における接合は分離される。すなわち、1本の縫製糸3を引き解すことにより、複数の接合部を分離することができる。この意味で、この縫製糸3は、複数の接合部を接合する接合手段と、これら複数の接合部を分離する分離手段と、を兼ねている。
【0021】
このように構成された包装装置においては、複数の接合部が縫製糸3により接合されて外装1が略角筒状(スリーブ状)に形成される。そして、外装1が略垂直に立てられた状態で、その内部に被包装物が収納されることにより、被包装物の四方の側面が覆われて梱包される。なお、この被包装物としては、略長方体状の電気機器を想定している。この包装を開梱する際には、まず、始点4aの縫製糸3の一端を引く。そして、そのまま縫製糸3を終点4bまで引き上げることにより、縫製部4を引き解す。すると、外装1の下端側及び上端側にそれぞれ設けられている複数の接合部における縫製糸3による接合が解かれて、これらの接合部が分離する。
【0022】
接合部が分離すると、略角筒状の外装1の一辺が完全に分離されるため、外装1を横方向に展開することが可能になる。従って、分離した接合部から外装1を横方向に開いて開梱し、被包装物を包装装置から容易に取り出すことができる。
【0023】
なお、ここでは、フラップ2すなわち接合部を2箇所設けたが、3箇所以上設けるようにしてもよい。また、始点4aを下側に設けるようにしたが、外装1の形態やサイズによっては始点4aを上側に、終点4bを下側に設けるようにしてもよい。ただし、外装1が垂直方向に長い場合には、始点4aを下側に設けるようにした方が、上部まで手が届かない場合でも開梱することができる。
【0024】
さらにまた、以上においては、縫製部4を略垂直方向に設けているが、この縫製部4を略水平方向に設けるようにしてもよい。縫製部4を略水平方向に設けた場合には、分離手段によりこの縫製部4を引き解すことにより、外装1が上下に分割されることになる。
【0025】
以上のように構成された包装装置は、接合部を分離して包装の一辺を開くことによって、被包装物を容易に取り出すことができる。従って、一般的な、被包装物の4つの側面を覆うスリーブ状の外装の場合には、外装を上部に引き上げて開梱する必要があり、天井が低い屋内では作業が困難であったが、このような困難を解消することができる。また、一辺を開放するために、より短い縫製部分を引き解すだけでよく、途中で糸が切れて分離できなくなる懸念を少なくすることができる。
【0026】
そして、このため、被包装物を取り出しやすく、特に腕力が少ない高齢者、身体障害者や子供が開梱しやすいユニバーサルデザインの包装を提供することができる。また、加えて、縫製が糸でなされるため、金属ステープルなどを用いることがなく、包装廃棄時の分別が不要であるため、取り扱いが簡単な包装を提供することができる。
【0027】
実施の形態2.
図3及び図4は、この発明の実施の形態2に係るもので、図3は包装装置の全体構成を示す斜視図、図4は包装装置の展開図である。
前述した実施の形態1は、外装が被包装物の四方の側面を覆うスリーブ状のものであった。これに対し、ここで説明する実施の形態2においては、外装は四方の側面に加えて天面も含む五面を覆うようになっている。そして、接合手段及び分離手段である縫製糸により、側面と天面に係る2辺に設けられた複数の接合部を接合/分離するようしたものである。
【0028】
外装1には4つの側面部と天面部が設けられており、4つの側面部を先の実施の形態1と同様に略角筒状とした上で、天面部により略角筒状の上側の開放端を覆うことにより、外装1は底面が開放された略直方体状に形成される。そして、側面部同士が接合する部分と、側面部と天面部とが接合する部分に、それぞれフラップ2が設けられて縫製糸3により縫製されることにより接合部が形成される。
【0029】
すなわち、まず、側面部同士が接合される部分については、先の実施の形態1と同様、互いに接合される2つの側面部のうちの一方の端部に複数のフラップ2が設けられている。そして、当該フラップ2が設けられた側面部における、天面部と接合する端部にも複数のフラップ2が設けられている。これらのフラップ2は、側面部側と天面部側において、それぞれ2つずつ計4つが所定の間隔だけ離間した状態で設けられている。換言すると、複数のフラップ2は外装1の1面における隣接する2辺に設けられている。
【0030】
接合手段である縫製糸3は、これら複数のフラップ2と接合される面との重合部を縫合することにより、側面部同士及び側面部と天面部とをそれぞれ接合している。ここで、フラップ2は複数あるため重合部も複数あることになるが、実施の形態1と同様、これら複数の重合部は、同じ1本の縫製糸3でもって縫製されている。そして、この縫製糸3による一連の縫製部4は一続きになっている。
【0031】
こうして、フラップ2と、縫製糸3のうちフラップ2を縫製する部分とにより、外装1の一部である側面部同士及び側面部と天面部とをそれぞれ接合する複数の接合部が構成される。そして、これら複数の接合部は1本の糸状体からなる接合手段である縫製糸3により接合されている。この縫製糸3による縫製部4は、側面部同士の接合部の下側が始点4aになっており、この始点4aからまず上方へと向かって側面部同士の2つの接合部を縫製している。そして、側面部同士の接合部を縫製し終えると、続けて側面部と天面部との接合部の一方を縫製し、側面部と天面部との接合部の他方を縫製し終えた箇所が終点4bとなっている。
【0032】
また、実施の形態の1と同様、縫製糸3は、縫製部4の一端である始点4aにおいて、人が掴める程度に外装1の外面側へと延長されている。そして、この始点4aの縫製糸3の一端を人が引くと、引いた箇所から順に縫製部4を引き解すことができる。こうして、縫製部4の他端である終点4bまで縫製部4が引き解されると、縫製糸3により縫合されていたフラップ2における接合は分離される。すなわち、1本の縫製糸3を引き解すことにより、複数の接合部を分離することができる。この意味で、この縫製糸3は複数の接合部を分離する分離手段でもある。
【0033】
このように構成された包装装置においては、複数の接合部が縫製糸3により接合されて外装1が底面が開放された略直方体状に形成される。そして、外装1が天面を上方にするように略垂直に立てられた状態で、その内部に被包装物が収納されることにより、被包装物の四方の側面及び天面が覆われて梱包される。この包装を開梱する際には、まず、側面部同士の下側の接合部に設けられた始点4aの縫製糸3の一端を引く。そして、縫製糸3を側面部同士の上側の接合部まで引き上げることにより、側面部同士の接合部の縫製部4を引き解す。その後、そのまま、縫製糸3を引くと今度は側面部と天面部との接合部における縫製部4が引き解される。終点4bまで縫製部4が引き解されると、外装1の側面部同士及び側面部と天面部とをそれぞれ接合する複数の接合部における縫製糸3による接合が解かれて、これらの接合部が分離する。
【0034】
こうして、複数の接合部が分離すると、外装1の側面及び天面を開放することが可能になる。従って、分離した接合部から外装1の側面及び天面を開いて開梱し、被包装物を包装装置から容易に取り出すことができる。
なお、他の構成については実施の形態1と同様であって、その詳細説明は省略する。
【0035】
以上のように構成された包装装置は、実施の形態1の構成において、2以上(複数)の接合部を、外装の異なる面(側面部と天面部)に設けたものである。
このため、実施の形態1と同様の効果を奏することができるのに加えて、被包装物が冷蔵庫や給湯器のように縦長で、天面部に手が届かないような場合に、接合部がテープで止められていたり、あるいは、ミシン目を形成した段ボールを切り開く形態の包装では、天面部を開放するのは容易ではないが、本実施の形態の包装装置においては、分離手段である糸を引き解すことで容易に開放することができる。
【0036】
また、2以上の接合部の少なくとも1つを、被包装物の長辺を含む面に相対する外装の面に設けているため、開梱した際に被包装物を容易に取り出すことができる。
【0037】
実施の形態3.
図5から図7は、この発明の実施の形態3に係るもので、図5は包装装置の全体構成を示す斜視図、図6は包装装置の展開図、図7は包装装置の開梱方法を説明する図である。
ここで説明する実施の形態3は、前述した実施の形態1において、縫製部のうち接合部(フラップの重合部)を縫合していない部分については縫製しないようにし、この部分を外装の外面側に露出させて、当該部分を開梱時の引き位置にしたものである。
【0038】
すなわち、実施の形態1と同じく、外装1は、複数の接合部において接合されることにより、4つの側面部を有する略角筒状に形成されている。複数の接合部は、外装1の側面部同士が接合される辺部分において、上端側と下端側の2箇所に、所定の間隔だけ離間して設けられている。これらの接合部は、フラップ2と接合される面との重合部が1本の縫製糸3により縫合されて形成される。これら2つの接合部における縫製部4同士は、縫製糸3の非縫製部分(縫製されていない部分)によって連結される。そして、この縫製糸3の非縫製部分における略中央が、開梱手段の引き位置3aとなる。引き位置3aを含む縫製糸3の非縫製部分は、外装1の外面側に露出している。
【0039】
この際、2つの接合部の縫製部4は、縫製糸3の引き位置3aに対して略対称に配置されている。ここでは、外装1の側面部同士が接合される辺部分において上端側と下端側の2箇所に接合部が設けられており、これらの接合部の縫製部4の内側同士の間に縫製糸3の非縫製部分が配置されている。そして、縫製糸3の非縫製部分の略中央が引き位置3aであり、すなわち、2つの接合部の縫製部4が、縫製糸3の引き位置3aに対して略対称に配置されている。
【0040】
このように構成された包装装置において包装を開梱する際には、まず、縫製糸3の引き位置3aを引く。すると、上下の接合部の縫製部4が、それぞれ内側から引き解されていく。ここで、前述のごとく接合部の縫製部4は引き位置3aに対して略対称に配置されている。このため、縫製糸3の引き位置3aを引くことにより各縫製部4にかかる力がほぼ等しくなり、各縫製部4が均等に引き解されるようになり、縫製部4を引き解す作業をスムーズに行うことができる。そして、そのまま、縫製糸3の引き位置3aを引き続けると、上下それぞれの接合部における縫製糸3による接合が同時に解かれて、これらの接合部が分離する(図7)。
なお、他の構成については実施の形態1と同様であって、その詳細説明は省略する。
【0041】
以上のように構成された包装装置においては、1箇所の引き位置を引くことによって、略対称の位置に設けた複数の接合部の縫製部分を同時に引き解すことができて、糸を解しとる距離が実施の形態1に比べてさらに短くすることが可能であり、糸が途中で切れる懸念をさらに少なくすることができる。
【0042】
実施の形態4.
図8はこの発明の実施の形態4に係るもので、包装装置の全体構成を示す斜視図である。
ここで説明する実施の形態4は、前述した実施の形態2のように側面部同士及び側面部と天面部との接合部に接合手段及び開梱手段を設けた包装装置において、前述した実施の形態3のように、縫製部のうち接合部(フラップの重合部)を縫合していない部分については縫製しないようにし、この部分を外装の外面側に露出させて、当該部分を開梱時の引き位置とするようにしたものである。
【0043】
図8では、本実施の形態の例として2つの構成を示している。図に向かって左側は縫製糸3の非縫製部分が2つの接合部の内側(互いに近接する側)同士を連結するようにしたものであり、図に向かって右側は縫製糸3の非縫製部分が2つの接合部の外側(互いに離間する側)同士を連結するようにしたものである。
【0044】
これらの構成のいずれにおいても、外装1には4つの側面部と天面部が設けられており、外装1は底面が開放された略直方体状に形成されている。そして、側面部同士が接合する部分と、側面部と天面部とが接合する部分に、それぞれフラップ2が設けられて接合部が形成されている。ただし、ここでは、側面部同士が接合する部分と、側面部と天面部とが接合する部分には、それぞれ1つずつ計2つの接合部が設けられているとする。
【0045】
以上の前提のもと、まず、図8の図に向かって左側の構成について説明する。この構成は前述したように、縫製糸3の非縫製部分が2つの接合部の内側同士を連結するようにしたものである。すなわち、側面部同士及び側面部と天面部のそれぞれの接合部は、接合手段である1本の縫製糸3により接合され縫製部4が形成されている。そして、これら2つ接合部の縫製部4の、互いに近接した側に位置する端部同士は、これらの縫製部4を形成したものと同じ縫製糸3により連結されている。この、2つの縫製部4を連結する縫製糸3の部分は、縫製されていない非縫製部である。そして、この縫製糸3の非縫製部の略中央が引き位置3aになっている。この引き位置3aが設けられた縫製糸3の非縫製部分は、外装1の外面側に露出している。
【0046】
このような構成の包装装置において、包装を開梱する際には、まず、縫製糸3の引き位置3aを引く。すると、2つの接合部の縫製部4が、それぞれ内側の始点4aから引き解されていく。そして、そのまま、縫製糸3の引き位置3aを引き続け、外側の終点4bにまで縫合が解されると、それぞれの接合部における縫製糸3による接合が解かれて、これらの接合部が分離する。
【0047】
次に、図8の図に向かって右側の構成について説明する。この構成は前述したように、縫製糸3の非縫製部分が2つの接合部の外側同士を連結するようにしたものである。すなわち、側面部同士及び側面部と天面部のそれぞれの接合部は、接合手段である1本の縫製糸3により接合され縫製部4が形成されている。そして、これら2つ接合部の縫製部4の、互いに離間した側に位置する端部同士は、これらの縫製部4を形成したものと同じ縫製糸3により連結されている。この、2つの縫製部4を連結する縫製糸3の部分は、縫製されていない非縫製部である。そして、この縫製糸3の非縫製部の略中央が引き位置3aになっている。この引き位置3aが設けられた縫製糸3の非縫製部分は、外装1の外面側に露出している。
【0048】
このような構成の包装装置において、包装を開梱する際には、まず、縫製糸3の引き位置3aを引く。すると、2つの接合部の縫製部4が、それぞれ外側の始点4aから引き解されていく。そして、そのまま、縫製糸3の引き位置3aを引き続け、内側の終点4bにまで縫合が解されると、それぞれの接合部における縫製糸3による接合が解かれて、これらの接合部が分離する。
【0049】
なお、この実施の形態においても先の実施の形態3と同様に、2つの接合部の縫製部4が、縫製糸3の引き位置3aに対して略対称に配置されている。従って、2つの接合部の両方に隣接する側面部の形状は略正方形であるということになる。そして、このような対称性により、縫製糸3の引き位置3aを引くことにより各縫製部4にかかる力がほぼ等しくなり、各縫製部4が均等に引き解されるようになり、縫製部4を引き解す作業をスムーズに行うことができる。
【0050】
また、ここでは、一箇所の引き位置3aから2箇所の縫製部4の始点4aにつながるように構成した例について説明したが、3箇所以上の始点につながり、3箇所以上の縫製部を分離できるような構成としてもよい。このような構成とすることによって、包装の形態やデザインに合わせて、複数の接合部分を分離し、複数の面を開放したり、面の一部のみを開放することができて、開梱した状態のデザインの自由度を高くすることが可能である。
【0051】
実施の形態5.
図9から図11は、この発明の実施の形態5に係るもので、図9は包装装置の全体構成を示す斜視図、図10は包装装置の展開図、図11は包装装置の被包装物の取出方法を説明する図である。
ここで説明する実施の形態5は、開梱手段である1本の縫製糸を引くことにより、外装の2面以上を開放することができるようにしたものである。ここでは、この開梱手段により開放される面を、側面部の1つと天面部の2面とした例について説明する。
【0052】
外装1には4つの側面部と天面部と底面部が設けられており、4つの側面部を略角筒状とした上で、天面部により略角筒状の上側の開放端を、底面部により略角筒状の下側の開放端をそれぞれ覆うことにより、外装1は略直方体状に形成される。そして、1つの側面部に対して、当該側面部の両側の側面部の端部にフラップ2がそれぞれ設けられている。当該フラップ2が設けられた2つの側面部における、天面部と接合する端部にもフラップ2がそれぞれ設けられている。すなわち、側面部同士を接合するフラップ2が2つ、側面部と天面部とを接合するフラップ2が2つの計4つのフラップ2が設けられている。
【0053】
接合手段である縫製糸3は、これら4つのフラップ2と接合される面との重合部を縫合することにより、側面部同士及び側面部と天面部とをそれぞれ接合している。ここで、フラップ2は複数あるため重合部も複数あることになるが、これら複数の重合部は、同じ1本の縫製糸3でもって縫製されている。そして、この縫製糸3による一連の縫製部4は一続きになっている。すなわち、まず、側面部同士を接合するフラップ2の一方の下側が始点4aとされ、この始点4aから上方へと縫製部4が形成される。次に、側面部と天面部とを接合する2つのフラップ2が縫製される。そして、側面部同士を接合するフラップ2の他方が縫製され、このフラップ2の下側に終点4bが形成される。
【0054】
また、縫製糸3は始点4aにおいて人が掴める程度に外装1の外面側へと延長されており、複数の接合部を分離する分離手段にもなっている。従って、このように構成された包装装置において、この包装を開梱する際には、まず、側面部同士の一方の接合部に設けられた始点4aの縫製糸3の一端を引く。そして、縫製糸3を引き上げることにより、この接合部の縫製部4を引き解す。その後、そのまま、縫製糸3を引くと今度は側面部と天面部との2つの接合部における縫製部4が、続けて引き解される。側面部と天面部との2つの接合部の縫製部4が解された後は、縫製糸3を引き下げることにより、側面部同士の他方の接合部の縫製部4が引き解される。そして、この接合部の下端の終点4bまで縫製部4が引き解されると、外装1の側面部同士及び側面部と天面部とをそれぞれ接合する複数の接合部における縫製糸3による接合が解かれて、これらの接合部が分離する。
【0055】
こうして、4つの接合部が分離すると、外装1の側面及び天面の2面を開放することが可能になる。従って、図11に示すように、分離した接合部から外装1の側面及び天面を開いて開梱し、包装装置から被包装物を斜めに引き出すことが可能となり、被包装物を取り出す方向の自由度が増して開梱性が向上する。
【0056】
なお、ここでは、1本の縫製糸3の一端である始点4aを引き位置とする例について説明したが、実施の形態3や4のように、縫製糸3の中間部に非縫製部分を形成して、この非縫製部分に引き位置を設けるようにしてもよい。縫製糸3の中間部に引き位置を設けることにより縫製部を引き解す際に縫製糸を引く距離を短くすることができる。
また、他の構成については実施の形態1等と同様であって、その詳細説明は省略する。
【0057】
このように構成された包装装置は、分離手段である縫製糸により接合部を分離することで、外装の2以上の面が開放可能になるものである。そして、この際、この開放可能となる2以上の面に、被包装物の長辺を含む面に相対する外装の面を含むようにすることにより、被包装物を取り出す方向の自由度が増して開梱性が向上する。
【0058】
実施の形態6.
図12及び図13は、この発明の実施の形態6に係るもので、図12は包装装置の全体構成を示す斜視図、図13は包装装置の開梱状態を示す図である。
ここで説明する実施の形態6は、開梱手段である1本の縫製糸を引くことにより、包装装置の1面全体を包装装置から分離することができるようにしたものである。ここでは、この開梱手段により分離される1面を天面部とした例について説明する。なお、図12及び図13は、包装装置を天面部側から見た図である。
【0059】
外装1には4つの側面部と天面部と底面部が設けられており、4つの側面部を略角筒状とした上で、天面部により略角筒状の上側の開放端を、底面部により略角筒状の下側の開放端をそれぞれ覆うことにより、外装1は略直方体状に形成される。そして、外装1の天面部に隣接する4つの側面部における天面部側の端部には、それぞれフラップ2が設けられて接合部が形成されている。すなわち、天面部の4辺のそれぞれについて1つずつ計4つのフラップ2が設けられている。
【0060】
接合手段である縫製糸3は、これら4つのフラップ2と接合される面との重合部を縫合することにより、側面部と天面部とを接合している。ここで、フラップ2は複数あるため重合部も複数あることになるが、これら複数の重合部は、同じ1本の縫製糸3でもって縫製されている。そして、この縫製糸3による一連の縫製部4は一続きになっている。すなわち、天面部の1つの頂点近傍が始点4aとされ、この始点4aから天面部の周縁に沿うようにして、4つのフラップ2が縫製される。そして、始点4aが設けられたフラップ2に隣接したフラップ2の始点4aと近接した位置に、終点4bが形成される。なお、ここでは、始点4a及び終点4bを天面部の頂点近傍としたが、始点4a及び終点4bは天面部の辺の中央等に配置するようにしてもよい。
【0061】
また、縫製糸3は始点4aにおいて人が掴める程度に外装1の外面側へと延長されており、複数の接合部を分離する分離手段にもなっている。従って、このように構成された包装装置において、この包装を開梱する際には、まず、この始点4aの縫製糸3の一端を引く。そして、縫製糸3を引き続けることにより、天面部と4つの側面部とを接合する4つの接合部の縫製部4が終点4bまで引き解される。外装1の側面部と天面部を接合する複数の接合部における縫製糸3による接合が解かれて、これらの接合部が分離する。
【0062】
こうして、4つの接合部が分離すると、外装1の1面である天面を外装1の他の部分から完全に分離することが可能になる。従って、図13に示すように、分離した接合部から外装1の天面を蓋のように分離することができる。例えば、被包装物が小型である場合、被包装物が梱包された本体を一方の手に持ち、他方の手で開梱手段(縫製糸)の引き位置を引くことによって、蓋を外すように開梱することができる。そして、開口面を下方に向けることによって、被包装物を容易に取り出すことができる。また、本実施の形態では、略直方体ではなく、円柱や多角柱状の包装として、蓋部分を分離するようにしてもよい。さらに、1つの面だけでなく2以上の面が分離されるようにしてもよい。
【0063】
なお、以上説明した実施の形態1〜6において、外装が被包装物の6面全体を覆うように形成する場合、接合手段及び開梱手段が設けられる接合部以外に、別途、被包装物を包装装置内に収納するための開口部を設けるようにすることが好ましい。すなわち、被包装物の梱包工程では、まず、所定の接合部を縫製糸により縫製して接合手段及び開梱手段を設ける。そして、この接合手段及び開梱手段が設けられた接合部以外の別の箇所に設けた開口部から被包装物を入れ、当該開口部をテープや接着剤等により封じる。
【符号の説明】
【0064】
1 外装
2 フラップ
3 縫製糸
3a 引き位置
4 縫製部
4a 始点
4b 終点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールからなる外装と、
前記外装の少なくとも一部を接合する2以上の接合部と、
2以上の前記接合部を縫製することにより接合する、1の糸状体からなる接合手段と、を備え、
前記1の糸状体は、引かれることにより2以上の前記接合部を分離する分離手段を兼ねていることを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記分離手段は、前記糸状体の中間部において前記外装の外面側に露出して設けられた非縫製部分に配置された引き位置を有し、前記引き位置が引かれることにより2以上の前記接合部を同時に分離することを特徴とする請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記引き位置は、前記糸状体の略中央に配置され、
2以上の前記接合部における前記糸状体による縫製部は、前記糸状体の前記引き位置に対して略対称に配置されることを特徴とする請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
2以上の前記接合部は、前記外装の異なる面に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の包装装置。
【請求項5】
2以上の前記接合部の少なくとも1つは、前記外装内に梱包される被包装物の長辺を含む面に相対する前記外装の面に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の包装装置。
【請求項6】
前記分離手段により前記接合部を分離することで、前記外装内に梱包される被包装物の長辺を含む面に相対する前記外装の面を含む、前記外装の2以上の面が開放可能になることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の包装装置。
【請求項7】
前記分離手段により前記接合部を分離することにより、前記外装の少なくとも1つの面が、前記外装の他の部分から分離されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の包装装置。
【請求項1】
段ボールからなる外装と、
前記外装の少なくとも一部を接合する2以上の接合部と、
2以上の前記接合部を縫製することにより接合する、1の糸状体からなる接合手段と、を備え、
前記1の糸状体は、引かれることにより2以上の前記接合部を分離する分離手段を兼ねていることを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記分離手段は、前記糸状体の中間部において前記外装の外面側に露出して設けられた非縫製部分に配置された引き位置を有し、前記引き位置が引かれることにより2以上の前記接合部を同時に分離することを特徴とする請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記引き位置は、前記糸状体の略中央に配置され、
2以上の前記接合部における前記糸状体による縫製部は、前記糸状体の前記引き位置に対して略対称に配置されることを特徴とする請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
2以上の前記接合部は、前記外装の異なる面に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の包装装置。
【請求項5】
2以上の前記接合部の少なくとも1つは、前記外装内に梱包される被包装物の長辺を含む面に相対する前記外装の面に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の包装装置。
【請求項6】
前記分離手段により前記接合部を分離することで、前記外装内に梱包される被包装物の長辺を含む面に相対する前記外装の面を含む、前記外装の2以上の面が開放可能になることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の包装装置。
【請求項7】
前記分離手段により前記接合部を分離することにより、前記外装の少なくとも1つの面が、前記外装の他の部分から分離されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の包装装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−96834(P2012−96834A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246314(P2010−246314)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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