説明

包装部材

【課題】容易に物品の包装をすることが可能な包装部材を提供すること。
【解決手段】物品を包装するための包装部材100であって、物品101を包むためのシート状のシート部10と、シート部10に形成されたスリット21、61、71と、シート部10に形成された、スリット21、61、71に差し込む差込部30、40、50とを備え、スリット21、61、71に差込部30、40、50を差し込むことによって、シート部10の物品101を包んだ状態が保持される、包装部材100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装部材に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の現像に使用するトナーが消費されると、ユーザーによって装置内の古いトナーカートリッジが、新しいトナーカートリッジに交換される。ところで、トナーカートリッジは、その輸送の際にトナーが水分を吸収した場合、現像剤粒子の表面抵抗が低下し、トナーの保持すべき電荷量が維持できずに現像効率が低下するという問題が発生する場合がある。このような水分の吸収を防ぐことを目的として、トナーカートリッジは、例えばポリエチレン製の袋に密封されて輸送されていた。
【0003】
しかしながら、トナーカートリッジの表面には突起等も形成されているため、輸送の際の振動等によって袋が破れる場合があった。
【0004】
そこで、図18(a)〜(d)に示すように梱包が行われていた。図18(a)、(b)に示すように、トナーカートリッジ3000をプラスチックフィルムなどの包装部材3001で覆い、図18(c)のようにテープ3002で包装部材3001をとめることによりトナーカートリッジ3000を覆った状態が保持される。最後に、図18(d)に示すように、包装部材3001で包んだトナーカートリッジ3000は、袋3003に収納され、密閉された後、外箱に入れられて梱包が終了する。
【0005】
このように梱包することによって、突起によって袋が破れにくくなり、密閉性をより保つことが出来る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、包装部材3001がトナーカートリッジ3000を覆った状態を保持するため、袋3003に入れる前に、作業者がテープ3002などを貼る必要があり、作業に手間がかかっていた。又、テープではなくゴムやステープラーでとめることも考えられるが、いずれにしろ手間がかかるものであった。
【0007】
尚、上記では、包装する物品としてトナーカートリッジを例に挙げて説明したが、トナーカートリッジに限らず、例えば百貨店などで購入した物品によって袋が破れないようにプラスチックフィルムで包装してもよく、そのような場合にも同様の課題が生じる。
【0008】
本発明は、従来の包装部材の課題を考慮し、容易に物品の包装をすることが可能な包装部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
物品を包装するための包装部材であって、
前記物品を包むためのシート部と、
前記シート部に形成されたスリットと、
前記シート部に形成された、前記スリットに差し込む差込部とを備え、
前記スリットに前記差込部を差し込むことによって、前記シート部の前記物品を包んだ状態が保持される、包装部材である。
【0010】
また、第2の本発明は、
前記差込部は、
前記スリットに差し込まれる頭部と
前記頭部と前記頭部の後端に設けられた前記頭部よりも幅の小さい首部とを有し、
前記スリットに前記差込部を差し込んだ状態において、前記シート部の前記スリットを挟む2つの部分のうち、前記首部側に配置されている部分に形成された、前記頭部が前記スリットから抜けることを防止するための抜け防止部とを備えた、第1の本発明の包装部材である。
【0011】
また、第3の本発明は、
前記抜け防止部は、
前記スリットに沿って、前記首部側に配置されている部分の一部が切り欠かれて形成された切り欠き部と、
前記スリットに垂直に、その両端から前記切り欠き部が形成されている側に設けられた切り込みによって、前記切り欠き部の両端に形成された2つの干渉部とを有し、
前記2つの干渉部の間隔は、前記首部の幅よりも大きく、且つ前記頭部の幅よりも小さく、
前記頭部が前記2つの干渉部に干渉され、前記抜けることが防止される、第2の本発明の包装部材である。
【0012】
また、第4の本発明は、
前記差込部は、矢印状又はキノコ状である、第1〜3のいずれかの本発明の包装部材である。
【0013】
また、第5の本発明は、
前記頭部は、前記首部側から先端に向かって幅が狭くなる多角形状であり、
前記首部は、長方形状又は正方形状であり、
前記首部は、前記頭部の底辺の中央に、その辺に対して実質上垂直に接続されており、
前記底辺の両端部分が、前記2つの干渉部に干渉されて、前記抜けることが防止される、第3の本発明の包装部材である。
【0014】
また、第6の本発明は、
前記差込部は、前記シート部に設けられた切り込みから形成されており、
前記スリットに前記差込部を差し込んでいない状態において、前記差込部は、前記頭部が前記シート部の中央側を向くように形成されている、第2〜5のいずれかの本発明の包装部材である。
【0015】
また、第7の本発明は、
前記差込部は、前記シート部に設けられた切り込みから形成されており、
前記首部の根本の両端から前記スリットと平行になるように、前記切り込みを延長して形成された第1切り込み延長部を備えた、第2〜6のいずれかの本発明の包装部材である。
【0016】
また、第8の本発明は、
前記第1切り込み延長部の両端から前記首部側に、前記切り込みを更に延長して形成された第2切り込み延長部を備えた、第7の本発明の包装部材である。
【0017】
また、第9の本発明は、
前記シート部は、
前記物品が載置される長方形状の載置部と、
前記長方形状の載置部の2つの長辺のうち一方の長辺に接続して設けられた第1覆い部と、
前記長方形状の載置部の2つの長辺のうち他方の長辺に接続して設けられた第2覆い部と、
前記長方形状の載置部の2つの短辺のうち一方の短辺に接続して設けられた第3覆い部と、
前記長方形状の載置部の2つの短辺のうち他方の短辺に接続して設けられた第4覆い部とを有し、
前記スリットと前記差込部の組は、少なくとも3組設けられており、
第1組の前記スリットと前記差込部は、前記スリットが前記第1覆い部に、前記差込部が前記第2覆い部に設けられており、
第2組の前記スリットと前記差込部は、前記スリットが前記第2覆い部に、前記差込部が前記第3覆い部に設けられており、
第3組の前記スリットと前記差込部は、前記スリットが前記第2覆い部に、前記差込部が前記第4覆い部に設けられている、第1〜8のいずれかの本発明の包装部材である。
【0018】
また、第10の本発明は、
前記物品を包んだ状態で、前記包装部材よりも弾力性の小さい袋状部材に収納される、第1〜9のいずれかの本発明の包装部材である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、容易に物品の包装をすることが可能な包装部材を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明にかかる包装部材の一例について、図面を用いて説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明にかかる実施の形態1の包装部材100の展開図である。本実施の形態の包装部材100は、シート状の部材であるシート部10から形成されており、シート部10は、中央に設けられた物品が載置される長方形状の載置部1(図中点線参照)と、載置部1の各辺に載置部1に載置された物品を覆うための覆い部2、3、4、5によって構成されている。尚、包装部材100は、PET(ポリエチレンテレフタレート)などを材料として形成された透明のフィルム部材である。
【0022】
図1に示すように、この覆い部2及び覆い部4は、載置部1の対向する長辺12、14に設けられており、実質上台形状に形成されている。また、覆い部3及び覆い部5は、載置部1の対向する短辺13、15に設けられており、実質上台形状に形成されている。
【0023】
この実質上台形状の覆い部2の、長辺12と平行に形成されている端部2a近傍に、スリット形成部20が設けられている。図2(a)は、覆い部2の拡大図である。図2(a)に示すように、スリット形成部20は、端部2aと平行に形成されたスリット21と、スリット21の端部2aと反対側に、覆い部2がスリット21に沿って切りかかれて形成された切り欠き部23を有している。また、スリット21の両端から切り欠き部23側に、スリット21と垂直に切り込み22が形成されている。この切り欠き部23と切り込み22によって、2つの干渉部24が形成される。尚、切り欠き部23は斜線で示されている。
【0024】
一方、覆い部2と対向する覆い部4には、長辺14と平行に形成されている端部4a近傍に、上述したスリット21に挿入するための差込部40が設けられている。図2(b)は、覆い部4の拡大図である。図2(b)に示すように、差込部40は、覆い部4に矢印形状の切り込みを入れることによって形成されており、その矢印が、シート部10の中央側を向くように端部4aに対して垂直に配置されている。また、差込部40は、矢印の先端側の頭部41と、頭部41の後端に接続されている首部42から構成されている。又、首部42の根本から上記スリット21と平行になるように、差込部40を形成する切り込みから延長された第1切り込み延長部43が設けられている。この第1切り込み延長部43の両端から差込部40側に、更に切り込みが延長された第2切り込み延長部44が設けられている。
【0025】
また、頭部41は、先端41aの辺と底辺41bが平行であり、底辺41bから先端41aに向かって幅が狭くなる左右対称の6角形状であり、その底辺41bの中央に首部42が繋がっている。この底辺41bが、本発明の首部の後端の一例に相当する。
【0026】
尚、底辺41bの長さ41Lは、首部42の幅42Lよりも長くなっており、図2(a)に示すスリット21の長さ21Lよりも短くなっている。更に、スリット形成部20の2つの干渉部24の間隔は、切り欠き部23のスリット21に沿った長さ23Lに相当するが、この23Lは、図2(b)の底辺41bの長さ41Lよりも短く、首部42の幅42Lよりも長くなっている。
【0027】
また、図1及び図2(b)に示すように、覆い部2の右端4bと左端4cの近傍には、それぞれスリット形成部60とスリット形成部70が設けられている。このスリット形成部60には、覆い部4に切り込みを入れることによってスリット61が形成されており、このスリット61は端部4aに対して垂直になるように設けられている。このスリット61の右端4bの反対側には、覆い部4がスリット61に沿って切りかかれて形成された切り欠き部63が形成されている。また、スリット61の両端から切り欠き部63側に切り込み62が形成されている。この切り欠き部63と切り込み62によって、2つの干渉部64が形成されている。同様に、スリット形成部70側にも、スリット71と、左端4cの反対側に切り欠き部73が形成されており、スリット71の両端から切り欠き部73側に切り込み72が形成されている。この切り欠き部73と切り込み72によって、2つの干渉部74が形成されている。
【0028】
また、図1に示すように覆い部3には、短辺13と平行に形成されている端部3a近傍に、上述したスリット71に挿入するための差込部30が設けられている。図2(c)は、覆い部3の拡大図である。図2(c)に示すように、差込部30は、覆い部3に矢印形状の切り込みを入れることによって形成されており、その矢印が、シート部10の中央側を向くように端部3aに対して垂直に配置されている。また、差込部30は、矢印の先端側の頭部31と首部32から構成されており、首部32の根本から上記スリット71と平行になるように、差込部30を形成する切り込みが延長された第1切り込み延長部33が設けられている。この第1切り込み延長部33の両端から差込部30側に、第1切り込み延長部33と垂直に切り込みが更に延長された第2切り込み延長部34が設けられている。また、頭部31は、首部32側から先端31aに向かって幅が狭くなる左右対称の台形状に形成されており、その底辺31bに首部32が繋がっている。
【0029】
尚、底辺31bの長さ31Lは、首部32の幅32Lよりも長くなっており、図2(b)に示すスリット71の長さ71Lよりも短くなっている。更に、2つの干渉部74の間隔は、切り欠き部73のスリット71に沿った長さ73Lに相当するが、この73Lは、底辺31bの長さ31Lよりも短く、首部32の幅32Lよりも長くなっている。
【0030】
尚、図2(d)は、覆い部5の拡大図であり、覆い部5には、スリット61に挿入するための差込部50が、その矢印方向(図中先端51a)がシート部10の中央側を向くように覆い部3と同様に設けられている。又、頭部51、首部52、第1切り込み延長部53、及び第2切り込み延長部54も形成されている。尚、差込部30と差込部50は同一の形状であり、スリット61、切り込み62、及び切り欠き部63の形状もスリット71、切り込み72、及び切り欠き部73と同一である。すなわち、長さ63Lは、長さ73Lと同じであり、長さ61Lも、長さ71Lと同じ長さである。
【0031】
尚、本発明の第1覆い部の一例は、本実施の形態の覆い部2に相当し、本発明の第2覆い部の一例は、本実施の形態の覆い部4に相当する。また、本発明の第3覆い部の一例は、本実施の形態の覆い部3に相当し、本発明の第4覆い部の一例は、本実施の形態の覆い部5に相当する。
【0032】
又、本発明の第1組のスリットと差込部の一例は、本実施の形態のスリット21と差込部40に相当し、本発明の第2組のスリットと差込部の一例は、本実施の形態のスリット71と差込部30に相当し、本発明の第3組のスリットと差込部の一例は、本実施の形態のスリット61と差込部50に相当する。
【0033】
次に、本実施の形態の包装部材100によって物品を包装する動作について説明する。尚、以下の図において、例えば、覆い部4の下側に覆い部2が配置されている場合であっても、本実施の形態の包装部材100は透明であるため、覆い部2は視認されるが、説明のため、他の構成の下側に配置されている構成については、点線で示されている。
【0034】
図3に示すように、本実施の形態1の包装部材100の載置部1に、包装される物品101が載置される。次に、物品101を覆うように覆い部2が矢印A方向に曲げられ、続いて、覆い部4が矢印B方向に曲げられる。尚、シート部10はこしがあるため、図1に示す長辺12、14及び短辺13、15において折り曲げられず、湾曲することになる。
【0035】
図4(a)は、覆い部2の上に覆い部4を重ねた状態を示す図である。尚、説明のため、物品101は図示されていない。図4(a)に示すように、差込部40の先端41a側が覆い部4の面上より押し下げられ、その先端41aから差込部40がスリット21に差し込まれる。図4(b)は、スリット21に差込部40が差し込まれた状態を示す図である。尚、図4(a)と図4(b)では、視点が反対側に位置している。また、図4(a)に示すように、差込部40を押し下げることによって切り欠き部分45が形成されるが、この切り欠き部分45は、図4(b)では図示していない。同様に、差込部によって形成される切り欠き部分は、下記の図6においても説明のために省略している。
【0036】
次に、覆い部3の差込部30が、覆い部4のスリット71に差し込まれる。図5は、差込部30をスリット71に差し込む動作を説明するための図である。図5に示すように、覆い部3が矢印C方向に曲げられる(図中一点鎖線参照)と共に、差込部30の先端31aが覆い部3の面より押し出され、スリット71に挿入される。差込部30がスリット71に差し込まれる方向が矢印Dで示されている。
【0037】
最後に、図5と同様に、覆い部5の差込部50が、覆い部4のスリット61に差し込まれて、物品101の包装が完了する。図6は、本実施の形態の包装部材100の包装状態を示す外観図である。尚、物品101がトナーカートリッジ等であり、水分の吸収を防ぐ必要がある場合には、従来の図18(d)で示したようなポリエチレン製の袋3003に入れられ、密閉される。そして、袋3003に入れられた物品101を図示しない外箱(ダンボール等)に入れ、梱包が完成する。
【0038】
以上のように、本実施の形態の包装部材100は、各差込部を各スリットに差し込むだけで容易に物品を包装することが出来るものである。
【0039】
又、本実施の形態の包装部材100は、スリットから差込部が容易に抜けることを防止することが出来る。以下に、この点について説明する。尚、スリット形成部20及び差込部40と、スリット形成部70及び差込部30と、スリット形成部60及び差込部50の組は、同様の構成であるため、スリット形成部20と差込部40を例に挙げて説明する。
【0040】
図7(a)は、図6のEE´間の断面模式図である。図7(b)は、(a)のS部拡大図である。尚、覆い部2、4は、シート状の部材であるため、厚みが薄くなっているが、図7及び下記図9では、説明のため覆い部2、4の厚みを増加して示している。又、図7(b)に示すように、覆い部2に設けられている干渉部24は、覆い部2が湾曲しているため、素材の弾性力によって湾曲面から少し起立している。
【0041】
又、図8(a)は、差込部40をスリット21に差し込んだ状態の双方の関係を示す図である。尚、覆い部4の上側に覆い部2が配置されているが、図8では、説明のために、覆い部4の面については差込部40、第1切り込み延長部43、及び第2切り込み延長部44以外は図示されていない。
【0042】
物品を包装した状態では、シート状部材の弾性力によって覆い部4と覆い部2は、図7(a)の矢印F方向に示すように、開く方向に力が働くことになる。この状態のスリット21と差込部40の位置関係が図8(b)に示されている。覆い部4と覆い部2を矢印Fに従って開こうとした場合、差込部40は、スリット21に対して相対的に(a)の矢印M方向に移動することになり、差込部40はスリット21内により深く差し込まれることになる。そして、スリット21と第1切り込み延長部43の縁同士が当接し、開くことが抑制される。このように開く方向に力が働くと、差込部40がスリット21内により押し込まれるのは、差込部40の頭部41がシート部の中央側を向いているためである。
【0043】
一方、図7(a)に示す矢印Gに従って、覆い部4と覆い部2を更に重ねる方向に押した場合のスリット21と差込部40の位置関係が図8(c)に示されている。覆い部4と覆い部2を更に重ねようとした場合、差込部1040は、スリット1021に対して相対的に(a)の矢印L方向に移動することになり、差込部40はスリット21から抜ける方向に移動することになる。
【0044】
ここで、干渉部24は、覆い部2の湾曲によって面上から起立しており、2つの干渉部24の間隔は、底辺41bの長さ41Lよりも短く、首部42の幅42Lよりも長くなっているため、差込部40がスリット21から抜ける方向に移動すると、首部42が切り欠き部23内に入り込み、頭部41の底辺41bが2つの干渉部24の根本に引っかかる。そのため、差込部40がスリット21から抜けることが抑制される。
【0045】
以上のように、本実施の形態の包装部材100は、容易に包装することが出来、更に、その包装状態を保持することが出来る。
【0046】
また、本実施の形態の包装部材100では、ユーザーが簡易に包装部材100を開くことが可能である。以下に、この点について説明する。尚、上記包装時の手順からは、差込部30、50をスリット61、71から抜いた後に、差込部40をスリット21から抜くことになるが、3組とも同様の動作を行えばよいため、差込部40をスリット21から抜く際の動作について説明する。
【0047】
図9は、包装を解く際の動作を説明するための覆い部4と覆い部2の部分拡大図である。図10は、差込部40とスリット21の位置関係を説明するための断面図である。尚、図10は、図9のNN´間の断面図である。差込部40をスリット21から抜く際には、図9、及び図10に示すように端部4aが上方に持ち上げられる。これによって、差込部40はスリット21の端部2a側の縁21aに当接することなる。この状態で差込部40が引き上げられると、切り欠き部23に首部42が嵌らないため、容易にスリット21から差込部40を引き抜くことが出来る。
【0048】
以上のように、本実施の形態の包装部材100は、包装状態を保持出来るとともに、容易に包装を開き、物品を取り出すこともできる。
【0049】
尚、本発明の抜け防止部の一例は、本実施の形態の切り欠き部23及び干渉部24、又は切り欠き部63及び干渉部64、又は切り欠き部73又は干渉部74に相当する。このうち、切り欠き部23及び干渉部24を例に挙げて説明すると、例えばスリット21のみが設けられており、干渉部24及び切り欠き部23が設けられていない構成であってもよい。但し、上述したように、差込部40がスリット21から抜けることを抑制する点からは、干渉部24及び切り欠き部23が設けられた方がより好ましい。
【0050】
又、本実施の形態では、例えば、覆い部4には、第2切り込み延長部44が形成されているが、無くても良い。しかしながら、第2切り込み延長部44が形成された方がより好ましく、差込部40をスリット21から引き抜く際に、首部42の根本が回動し易くなるため、より引き抜きやすくなる(図9参照)。
【0051】
また、第2切り込み延長部44とともに、第1切り込み延長部43も形成されていなくてもよいが、ユーザーが差込部40を引き抜く際に容易になるという点からは、形成されていた方がより好ましい。
【0052】
また、切り欠き部23、干渉部24、第2切り込み延長部44、及び第1切り込み延長部43が設けられておらず、スリット21と差込部40のみ形成されていてもよく、作業者がテープなどによってはらなくても物品の包装を行うことが可能になるという効果を発揮することが出来る。尚、上記では、差込部40とスリット21の組について説明したが、差込部30とスリット71、及び差込部50とスリット61の組についても同様である。
【0053】
又、本実施の形態では、差込部40は、覆い部4に入れられた切り込みによって形成されていたが、切り込みを設けず、別途用意された差込部40を覆い部4に接着してもよい。
【0054】
又、本実施の形態では、差込部40の頭部41が6角形状であり、差込部30、50の頭部31、51は台形状であるが、この形状に限らず、図11(a)に示すように頭部81が半円形状であるキノコ状の差込部80であってもよいし、若しくは三角形状であってもよい。また、頭部31、41、51は、本発明の矢印形状であって、多角形状の一例に相当するが、他の例として、図11(b)に示すような差込部90であってもよい。この差込部90は、頭部91の先端91aが尖っており、頭部91の首部92の両側の辺91bは、首部92と垂直ではなく、首部92との間で形成される角αが鋭角になるように配置されている。また、首部42、62、72も正方形状、又は長方形状でなくてもよい。要するに、頭部41の幅41Lが、首部42の幅42Lよりも大きければよい。尚、頭部41の幅41Lは、差し込み部の抜け防止の観点から、2つの干渉部24の間隔23L(切り欠き部23のスリット21に沿った長さ)よりも長い方が好ましい。
【0055】
(実施の形態2)
次に、本発明にかかる実施の形態2について説明する。本実施の形態2は、実施の形態1と基本的な構成は同じであるが、差込部が実施の形態1と反対に、端部に向いて形成されている。そのため本相違点を中心に説明する。
【0056】
図12は、本実施の形態2の包装部材1100の展開図である。図12に示すように、本実施の形態2の包装部材1100は、載置部1と覆い部2、3、4、5を備えている。本実施の形態2の覆い部2には、実施の形態1のスリット形成部20と同様のスリット形成部1020が形成されているが、図中において上下逆に配置されている。すなわち、切り欠き部1023がスリット1021の端部2a側に形成されており、スリット1021の両端からスリット1021と実質上垂直に、切り欠き部1023側に切り込み1022が形成されている。この切り欠き部1023及び切り込み1022によって干渉部1024が形成される。
【0057】
又、覆い部4の差込部1040は、実施の形態1と異なり、その頭部1041が端部4a側に向くように形成されている。尚、首部1042の根本から、実施の形態1と同様に第1切り込み延長部1043が形成されており、この第1切り込み延長部1043の端から頭部1041側に向けて第2切り込み延長部1044が形成されている。すなわち、差込部1040、第1切り込み延長部1043、及び第2切り込み延長部1044が、実施の形態1とは図12中において上下逆に形成されている。
【0058】
又、覆い部4の右端4b近傍に設けられているスリット形成部1060は、実施の形態1のスリット形成部60の構成と左右逆に形成されており、左端4c近傍に形成されているスリット形成部1070は、実施の形態1のスリット形成部70の構成と左右逆に形成されている(図1参照)。
【0059】
また、覆い部3、5に形成されている差込部1030、1050も実施の形態1の差込部30、50と左右反対に形成されており、それぞれ端部3a、5a側を向いている。
【0060】
次に、本実施の形態2の包装部材1100によって物品を包装する動作について説明する。
【0061】
以上の構成の包装部材1100によって物品を包装する際には、実施の形態1と同様に差込部1040がスリット1021に差し込まれて覆い部2と覆い部4で物品が覆われる。図13は、差込部1040をスリット1021に差し込んだ状態を示す図である。これと同様に、差込部1030がスリット1071に差込まれ、差込部1040がスリット1061に差し込まれて物品を包装することが出来る。尚、図13においても、差込部1040によって覆い部4に形成される切り欠き部分は、説明のために省略している。
【0062】
図14(a)は、図13のHH´間の断面模式図である。図14(b)は、(a)のS部拡大図である。尚、図14では、説明のため、覆い部2、4の厚みが分厚く示されている。
【0063】
また、図15(a)は、差込部1040をスリット1021に差し込んだ際の位置関係を示す図である。尚、図15では、説明のために、覆い部4の面については差込部1040、第1切り込み延長部1043、及び第2切り込み延長部1044以外については図示されていない。
【0064】
ここで、実施の形態1における説明と同様に、物品を包装した状態では、シート部10の弾性力によって覆い部4と覆い部2は、図14(a)の矢印F方向に示すように、開く方向に引っ張られる。この状態のスリット1021と差込部1040の位置関係が図15(b)に示されている。覆い部4と覆い部2を矢印Fに従って開こうとした場合、差込部1040は、スリット1021に対して相対的に図15(a)の矢印P方向に移動することになる。しかしながら、覆い部2が湾曲されているため、干渉部1024が覆い部2の湾曲面から起立している(図14(b)参照)。差込部1040がスリット1021から抜ける方向に移動すると、首部1042が切り欠き部1023内に入り込み、差込部1040の頭部1041の底辺1041bが2つの干渉部1024の根本に引っかかるため、差込部1040がスリット1021から抜けることが抑制される。
【0065】
一方、図14(a)に示す矢印Gに従って、覆い部4と覆い部2を更に重ねる方向に押した場合のスリット1021と差込部1040の位置関係が図15(c)に示されている。覆い部4と覆い部2を更に重ねようとした場合、差込部1040は、スリット1021に対して相対的に図15(a)の矢印Q方向に移動することになり、差込部1040はスリット1021内により深く差し込まれることになる。そして、スリット1021と第1切り込み延長部1043の縁同士が当接し、それ以上は、覆い部4と覆い部2を重ねることは出来なくなる。
【0066】
すなわち、本実施の形態2の包装部材1100では、実施の形態1の包装部材100とは逆に、開く方向(矢印F)の際に、底辺1041bが干渉部1024と当接し、重ねる方向(矢印G)の際に、第1切り込み延長部1043とスリット1021の縁が違いに干渉することになる。
【0067】
以上のように、本実施の形態2の包装部材1100は、容易に包装することが出来、更に、その包装状態を保持することが出来る。
【0068】
尚、本実施の形態2においても、実施の形態1での説明と同様に、切り欠き部及び干渉部が設けられていなくてもよく、第1切り込み延長部、第2切り込み延長部等が設けられていなくてもよい。また、差込部1040の形状も図13で述べたのと同様に変更しても良い。
【0069】
尚、上記実施の形態の包装部材100、1100に示すように、シート部10の縁が、角が形成されないように丸められている方が、袋が破れにくいためより好ましい。
【0070】
また、上記実施の形態の包装部材は、覆い部2、3、4、5を備えているが、例えば、覆い部2と覆い部4のみが設けられていてもよく、要するに、袋を突き破りやすい突起部分等を覆うことが出来さえすればよい。
【0071】
また、スリット及び差込部の位置及び数は適宜変更しても良い。例えば、図16の包装部材1200の展開図に示すように、実施の形態1の包装部材100の構成において、スリット形成部60、70と対向する覆い部2の位置にスリット形成部1260、1270を形成してもよい。この場合、覆い部2と覆い部4を重ねた後に、差込部30は、2つのスリット61とスリット1261の双方に差し込まれ、差込部50は、2つのスリット71とスリット1271の双方に差し込まれる。
【0072】
また、例えば、図17に示す包装部材1300のように、実質上正方形状の載置部1´を有し、対向する覆い部2´と覆い部4´に、実施の形態1と同様の一組のスリット形成部20と差込部40を備え、対向する覆い部3´と覆い部5´にも、一組のスリット形成部20と差込部40を備える構成であってもよい。また、差込部40には、第1切り込み延長部43、及び第2切り込み延長部44が形成されている。このような包装部材1300によって物品を包装する際には、覆い部2´のスリット21に覆い部4´の差込部40が挿入され、覆い部5´のスリット21に覆い部3´の差込部40が挿入される。
【0073】
また、上記実施の形態1、2の包装部材によって包装される物品として、トナーカートリッジを例に挙げたが、複写機などの画像形成装置に用いる感光体ドラムなどであってもよいし、百貨店等で購入した物品であってもよい。
【0074】
また、上記実施の形態では、包装部材の材料としてPETが用いられているが、他の材料であってもよく、要するに本発明の袋状部材の一例の袋3003よりも破れにくければよい。
【0075】
また、袋に入れずに、箱などに梱包する場合であっても上記実施の形態の包装部材で覆うことによって、品物の突起によって箱が突き破られないように保護することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の包装部材は、容易に物品の包装をすることが可能な効果を有し、物品を袋などにいれて輸送する際に、袋が破れないようにするための中間の包装部材等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明にかかる実施の形態1における包装部材100の展開図
【図2(a)】本発明にかかる実施の形態1における包装部材100の覆い部2の拡大図
【図2(b)】本発明にかかる実施の形態1における包装部材100の覆い部4の拡大図
【図2(c)】本発明にかかる実施の形態1における包装部材100の覆い部5の拡大図
【図2(d)】本発明にかかる実施の形態1における包装部材100の覆い部3の拡大図
【図3】本発明にかかる実施の形態1における包装部材100に物品101を載置した状態を示す図
【図4(a)】本発明にかかる実施の形態1における包装部材100で物品101を包装する動作を説明するために図
【図4(b)】本発明にかかる実施の形態1における包装部材100で物品101を包装する動作を説明するために図
【図5】本発明にかかる実施の形態1における包装部材100で物品101を包装する動作を説明するために図
【図6】本発明にかかる実施の形態1における包装部材100で物品101を包装した状態を示す図
【図7】(a)図6のEE´間の断面模式図、(b)(a)のS部拡大図、
【図8】(a)本発明にかかる実施の形態1におけるスリット21と差込部40の関係を示す図、(b)包装状態におけるスリット21と差込部40の関係を示す図、(c)覆い部2と覆い部4を重ねる方向に移動した場合におけるスリット21と差込部40の関係を示す図
【図9】本発明にかかる実施の形態1におけるスリット21から差込部40を引き抜く動作を説明するための図
【図10】本発明にかかる実施の形態1におけるスリット21から差込部40を引き抜く動作を説明するためのNN´間の断面模式図
【図11】(a)本発明にかかる実施の形態の変形例の差込部80を示す図、(b)本発明にかかる実施の形態の変形例の差込部90を示す図
【図12】本発明にかかる実施の形態2における包装部材100の展開図
【図13】本発明にかかる実施の形態1における包装部材100で物品101を包装する動作を説明するために図
【図14】(a)図13のHH´断面図、(b)(a)のS部拡大図、
【図15】(a)本発明にかかる実施の形態2におけるスリット1021と差込部1040の関係を示す図、(b)包装状態におけるスリット1021と差込部1040の関係を示す図、(c)覆い部2と覆い部4を重ねる方向に移動した場合におけるスリット1021と差込部1040の関係を示す図
【図16】本発明にかかる実施の形態の変形例の包装部材1200の展開図
【図17】本発明にかかる実施の形態の変形例の包装部材2100の展開図
【図18】(a)〜(d)従来の物品の包装を説明するための図
【符号の説明】
【0078】
1 載置部
2、3、4、5 覆い部
10 シート部
12、14 長辺
13、15 短辺
20、60、70 スリット形成部
21、61、71 スリット
22、62、72 切り込み
23、63、73 切り欠き部
24、64、74 干渉部
30、40、50 差込部
31、41、51 頭部
32、42、52 首部
33、43、53 第1延長切り込み部
34、44、54 第2延長切り込み部
100、1100、1200、1300 包装部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を包装するための包装部材であって、
前記物品を包むためのシート部と、
前記シート部に形成されたスリットと、
前記シート部に形成された、前記スリットに差し込む差込部とを備え、
前記スリットに前記差込部を差し込むことによって、前記シート部の前記物品を包んだ状態が保持される、包装部材。
【請求項2】
前記差込部は、
前記スリットに差し込まれる頭部と
前記頭部と前記頭部の後端に設けられた前記頭部よりも幅の小さい首部とを有し、
前記スリットに前記差込部を差し込んだ状態において、前記シート部の前記スリットを挟む2つの部分のうち、前記首部側に配置されている部分に形成された、前記頭部が前記スリットから抜けることを防止するための抜け防止部とを備えた、請求項1記載の包装部材。
【請求項3】
前記抜け防止部は、
前記スリットに沿って、前記首部側に配置されている部分の一部が切り欠かれて形成された切り欠き部と、
前記スリットに垂直に、その両端から前記切り欠き部が形成されている側に設けられた切り込みによって、前記切り欠き部の両端に形成された2つの干渉部とを有し、
前記2つの干渉部の間隔は、前記首部の幅よりも大きく、且つ前記頭部の幅よりも小さく、
前記頭部が前記2つの干渉部に干渉され、前記抜けることが防止される、請求項2記載の包装部材。
【請求項4】
前記差込部は、矢印状又はキノコ状である、請求項1〜3のいずれかに記載の包装部材。
【請求項5】
前記頭部は、前記首部側から先端に向かって幅が狭くなる多角形状であり、
前記首部は、長方形状又は正方形状であり、
前記首部は、前記頭部の底辺の中央に、その辺に対して実質上垂直に接続されており、
前記底辺の両端部分が、前記2つの干渉部に干渉されて、前記抜けることが防止される、請求項3記載の包装部材。
【請求項6】
前記差込部は、前記シート部に設けられた切り込みから形成されており、
前記スリットに前記差込部を差し込んでいない状態において、前記差込部は、前記頭部が前記シート部の中央側を向くように形成されている、請求項2〜5のいずれかに記載の包装部材。
【請求項7】
前記差込部は、前記シート部に設けられた切り込みから形成されており、
前記首部の根本の両端から前記スリットと平行になるように、前記切り込みを延長して形成された第1切り込み延長部を備えた、請求項2〜6のいずれかに記載の包装部材。
【請求項8】
前記第1切り込み延長部の両端から前記首部側に、前記切り込みを更に延長して形成された第2切り込み延長部を備えた、請求項7記載の包装部材。
【請求項9】
前記シート部は、
前記物品が載置される長方形状の載置部と、
前記長方形状の載置部の2つの長辺のうち一方の長辺に接続して設けられた第1覆い部と、
前記長方形状の載置部の2つの長辺のうち他方の長辺に接続して設けられた第2覆い部と、
前記長方形状の載置部の2つの短辺のうち一方の短辺に接続して設けられた第3覆い部と、
前記長方形状の載置部の2つの短辺のうち他方の短辺に接続して設けられた第4覆い部とを有し、
前記スリットと前記差込部の組は、少なくとも3組設けられており、
第1組の前記スリットと前記差込部は、前記スリットが前記第1覆い部に、前記差込部が前記第2覆い部に設けられており、
第2組の前記スリットと前記差込部は、前記スリットが前記第2覆い部に、前記差込部が前記第3覆い部に設けられており、
第3組の前記スリットと前記差込部は、前記スリットが前記第2覆い部に、前記差込部が前記第4覆い部に設けられている、請求項1〜8のいずれかに記載の包装部材。
【請求項10】
前記物品を包んだ状態で、前記包装部材よりも破れやすい袋状部材に収納される、請求項1〜9のいずれかに記載の包装部材。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図2(c)】
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【図2(d)】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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