説明

化合物ヒステリシスおよびタイヤ転がり抵抗を低減し、ウェットトラクションを向上させるためのエラストマーにおける表面処理カーボンブラックの使用

表面処理カーボンブラック、およびポリマー鎖に沿って官能化された官能化ポリマーを含み、該ポリマーはBR、NR、およびEPDMとのSBR(PBR4003)の混合物を含むがそれに限定されない溶液重合SBRを表し、該SBRポリマー官能化は極性で含酸素の官能基を含み、乗用車、トラックおよびレース用のタイヤに使用されるように、低減された化合物ヒステリシスおよび転がり抵抗、ならびに優れた耐摩耗性と共に向上したウェットトラクションを有する、複合組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者:
COLUMBIAN CHEMICALS COMPANY,1800 West Oak Commons Court,Marietta,Georgia,30062,US
HERD,Charles、米国(Woodstock,Georgia)の米国民
EDWARDS,Charles、米国(Rosewell,Georgia)の米国民
CURTIS,John、米国(Kennesaw,Georgia)の米国民
CROSSLEY,Steve、米国(Marietta,Georgia)の米国民
SCHOMBERG,K,Cory、米国(Marietta,Georgia)の米国民
LANXESS DEUTSCHLAND GMBH,Leverkusen,Germany
GROSS,Thomas、ドイツ(Wuelfrath)のドイツ国民
STEINHAUSER,Norbert、ドイツ(Monheim)のドイツ国民
KLOPPENBERG,Heike、ドイツ(Duesseidorf)のドイツ国民
HARDY,David、オランダ(Leiderdorp)の英国民
LUCASSEN,Alex、オランダ(Saasveld)のオランダ国民
【0002】
関連出願の相互参照
2009年8月27日に出願された米国特許仮出願第61/237,593号の優先権を主張するものであり、当該出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
連邦政府による資金提供を受けた研究又は開発の記載
該当なし
「マイクロフィッシュ付録」の参照
該当なし
発明の背景
本発明は表面処理カーボンブラックを利用した複合組成物(compound composition)に関する。より具体的には、本発明は、官能化エラストマーと併せて使用される表面処理カーボンブラックに関し、本エラストマーはポリマー鎖に沿って官能化され、カーボンブラックとエラストマーとの間の相互作用を向上させるより高い可能性を与え、ゴム加硫物ヒステリシスの実質的な低減を提供し、タイヤを含むゴム製品の製造に対して有用である。
【背景技術】
【0003】
タイヤトレッド化合物における転がり抵抗の低減は、乗り物の燃費向上および二酸化炭素排出削減において重要である。タイヤトレッド化合物は通常スチレン・ブタジエン共重合体およびブタジエンまたは天然ゴムポリマーブレンド、ならびにカーボンブラックで構成され、その転がり抵抗を低減する1つの方法は、充填剤と充填剤との間の相互作用を低減し充填剤とエラストマーとの間の相互作用を増大させるように充填剤特性を変化させることである。これは、カーボンブラック充填エラストマー化合物の中の最も高い発熱源が通常、その充填剤と充填剤との間の高い相互作用を介してスルーゴーイング(through−going)ネットワークを形成する傾向の結果としてカーボンブラックから生じるために、機能する。この充填剤と充填剤との間の相互作用を低減し、充填剤とエラストマーとの間の相互作用を増大させることは、充填剤ネットワーク形成および化合物ヒステリシスの度合いを実質的に低減することができ、したがってタイヤトレッド化合物の転がり抵抗を低減し最終的にタイヤそのものの抵抗を低減することができる。通常、低減された充填剤と充填剤との間の相互作用またはネットワーク形成は低歪み動的係数の減少によって測定され、これは、低歪み動的弾性係数と高歪み動的弾性係数との間の差異における変化はより小さくなる。この現象はペイン効果と呼ばれる。
【0004】
このペイン効果は図1に示され、ここではエラストマー化合物を含む標準的カーボンブラックに対し、歪みの関数として動的係数においてより少ない変化(より平坦な曲線)を伴う化合物が示されており、また歪みの関数としてより低いタンジェントデルタも示され、そこでタンジェントデルタは動的弾性係数に対する動的損失係数の比率であり、またより低い発熱特性を有する化合物を表すより低いタンジェントデルタ値と合わせ、エラストマー化合物の温度上昇の指標として動的試験に使用される一般的なパラメータである。
【0005】
エラストマー化合物組成物(elastomeric compound composition)において充填剤と充填剤との間の相互作用を低減し充填剤とエラストマーとの間の相互作用を増大するために使用することができる方法は、下記を含む:
‐凝集体間の平均距離を増大するための、またしたがって充填剤と充填剤との間のネットワーク形成の度合いを低減するための広域分散カーボンブラックの使用、(例えば、米国特許第7,238,741号を参照)
‐カーボンブラックとエラストマーとの間の相互作用を増大するための、カーボンブラックと併せた結合剤の使用。そこで結合剤は充填剤およびエラストマーの両方と直接的に結び付くことにより機能する;(例えば、米国特許第5,494,955号を参照)
‐シリカ分散を促進し充填剤と充填剤との間の相互作用を減少させるための、シリカと併せた結合剤の使用(例えば、米国特許第5,227,425号を参照)
‐酸化カーボンブラックと組み合わせて鎖末端において官能化されたSBRエラストマーとともに成されたように、互換性のある官能化充填剤と併せた官能化エラストマーの使用、(例えば、米国特許第5,248,722号および2006/0178467を参照)
上記の方法の幾つかの難点が明らかにされている。
【0006】
第1に、広域分散カーボンブラックの使用と併せた加硫物ヒステリシスにおける変化の度合いは最小であり、約3から10%であって、これは60℃から75℃でのタンジェントデルタ測定に基づく。
【0007】
第2に、複合組成物におけるカーボンブラックおよびシリカに対する結合剤の使用は追加費用を加え、付加的な混合手順および、反応混合によって充填剤とエラストマーとの間の相互作用を増大するために使用される結合剤の活性化の結果として生じるエタノール放出に対する特別なVOC放出処理システムを必要とする。
【0008】
3番目に、また結合剤と併せてカーボンブラックが使用される際、化合物ヒステリシス低減の観点からは得られる利益は比較的小さい。
【0009】
最後に、シリカが結合剤と併せて使用される際、加硫ヒステリシスの約40%以上の著しい低減を提供せず、不利益はまたシリカおよび結合剤の費用の観点から発生するだけでなく、シリカ自体に非常に研磨性があり工業工場で使用されるゴム混合機の損耗率を増加させる。シリカはまた長い混合および分散時間を必要とし、その結果より高いエネルギー使用とより低い工場生産高をもたらす。
【発明の概要】
【0010】
したがって、この発明の目的は、表面処理カーボンブラックおよび官能化ポリマーに基づく新規なゴム化合物組成物(rubber compound composition)を提供することであり、それは高価な結合剤の使用を必要とせず、また工場のゴム混合機の早すぎる損耗をもたらすものでなく、しかしなお化合物ヒステリシスの著しい低減を提供し、よりシリカに類似した化合物ウェットトラクションを維持しまたは向上し、優れた耐摩耗性を提供し、またシリカベースの複合組成物と対比してより短い混合周期に対する容易な分散、より低いエネルギー費用、およびより高い工場処理量を提供するものである。加えて、この独自の性能利益は表面処理カーボンブラックおよび官能化溶液重合SBRの組合せから得られ、それは末端および鎖末端官能化を伴うエラストマーと対比して、充填剤とエラストマーとの間の相互作用を増大する可能性をはるかに高めるポリマー鎖に沿った官能化を有する。先行技術は、特に溶液重合SBRに対して、鎖末端におけるポリマー官能化の使用を教示する。
【0011】
Columbian Chemicals CompanyおよびLanxessに雇用される科学者が、合同で本明細書に開示される本発明を開発した。本発明を要約すると、表面処理カーボンブラックは官能化エラストマーと併せて使用され、エラストマーは鎖に沿って官能化し、カーボンブラックとエラストマーとの間の相互作用の増大の可能性をより高め、従来のカーボンブラックを含む化合物に比較して驚くべきかつ十分なヒステリシスの低減およびウェットトラクションにおける利益を提供し、シリカを含む化合物により近い先述の化合物ヒステリシスにおける低減およびウェットトラクションの増大と併せて、カーボンブラック化合物の優れた耐磨耗性も維持する。
【0012】
本発明の性質、目的、および利点の更なる理解のため以下の詳細な説明を参照し、以下の図と併せて読むべきであり、図中では同様の参照番号は同様の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ペイン効果および標準(非官能化)エラストマー系における広範囲のカーボンブラックに対するタンジェントデルタへの対応効果を示す。
【図2】官能化(鎖に沿って)BUNA VSL VP PBR−4003における過酸化およびオゾン処理(様々な時間における)されたN234対、標準BUNA VSL5025−2(0.2phrDPGを含む)における非処理N234統制群およびシリカへの、ペイン効果減少を示す。
【図3】官能化(鎖に沿って)BUNA VSL VP PBR−4003における過酸化、オゾンおよびアミン処理されたN234対、標準BUNA VSL5002−2(0.2phrDPGを含む)における非処理N234統制群およびシリカへの、ペイン効果減少を示す。
【図4】官能化(鎖に沿って)BUNA VSL VP PBR−4003における過酸化およびオゾン処理(様々な時間における)されたN234対、標準BUNA VSL5025−2(0.2phrDPGを含む)における非処理N234統制群およびシリカへの、動的歪みの関数としてのタンジェントデルタを示す。
【図5】官能化(鎖に沿って)BUNA VSL VP PBR−4003における過酸化、オゾンおよびアミン処理(様々な時間における)されたN234対、標準BUNA VSL5025−2(0.2phrDPGを含む)における非処理N234統制群およびシリカへの、動的歪みの関数としてのタンジェントデルタを示す。
【図6】官能化(鎖に沿って)されたBUNA VSL VP PBR−4003における過酸化およびオゾン処理(様々な時間における)されたN234対、標準BUNA VSL5025−2(0.2phrDPGを含む)における非処理N234統制群およびシリカへの、温度の関数としてのタンジェントデルタを示す。
【図7】官能化(鎖に沿って)されたBUNA VSL VP PBR−4003における過酸化、オゾンおよびアミン処理(様々な時間における)されたN234と対、標準BUNA VSL5025−2(0.2phrDPGを含む)における非処理N234統制群およびシリカへの、温度の関数としてのタンジェントデルタを示す。
【図8】官能化(鎖に沿って)されたBUNA VSL VP PBR−4003におけるオゾン処理(5.5時間)されたN234およびより高表面積なカーボンブラック(N115、N134、CD2115)対、標準BUNA VSL5025−2(2.0phrDPGを含む)における非処理N234統制群およびシリカへの、ペイン効果減少を示す。
【図9】官能化(鎖に沿って)されたBUNA VSL VP PBR−4003におけるオゾン処理(5.5時間)されたN234およびより高表面積なカーボンブラック(N115、N134、CD2115)対、標準BUNA VSL5025−2(2.0phrDPGを含む)における非処理N234統制群およびシリカへの、タンジェントデルタ減少を示す。
【図10】官能化(鎖に沿って)されたBUNA VSL VP PBR−4003におけるオゾン処理されたN234およびより高表面積なカーボンブラック対、標準BUNA VSL5025−2(2.0phrDPGを含む)における非処理N234統制群およびシリカへの、温度の関数としてのタンジェントデルタを示す。
【図11】0℃および60℃でのタンジェントデルタの変化を示し、本発明化合物8、過酸化N234と併せたBUNA VSL VP PBR4003/BRに対して、ウェットトラクションおよび転がり抵抗を、表11〜13に示されるシリカ参照化合物10と同等以上であると予測する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい実施形態において、モデルタイヤトレッド化合物における本研究の結果は、タンジェントデルタ(動的用途における温度上昇を低減するためのゴム化合物の潜在力を評価するために使用される主要なパラメータ)の著しい低減を示す。実際には、これらの結果はタンジェントデルタの減少の大きさ及び対応する予測ウェットトラクション(0℃〜マイナス10℃の幅におけるタンジェントデルタ)の向上の観点からは予測外であった。このような働き、つまり60℃から75℃(より低い転がり抵抗予測)でのより低いタンジェントデルタ、および0℃(より高いウェットトラクション予測)でのより高いタンジェントデルタは、カーボンブラックとしては意外であった。
【0015】
通常、化合物ヒステリシス低減はカーボンブラックに対し、一般的かつ標準的SBR、BR、NRまたはEPDM化合物と組み合わされた際に、製造時の状態でまたは表面処理されて使用されても相対的に小さく、通常は1つまたは他のパラメータ(転がり抵抗または湿潤反応)が向上され得るが、どちらも同時にではなく、また有意な度合いでもない。本発明において、表面処理カーボンブラックとポリマー鎖に沿った官能化を伴う官能化エラストマーとの組合せは、有意なタンジェントデルタ低減を伴う複合組成物を提供し、潜在的ウェットトラクション反応を維持および向上させる。
【0016】
提供されるものは表面処理カーボンブラックを含む複合組成物であり、そのカーボンブラックは酸化、塩基による処理がその後に続く酸化、または塩基による処理がその後に続く塩素化によって処理され、それは酸素官能基、塩基性官能基、または酸素と塩基性の官能基の組合せから成る表面官能基を伴うカーボンブラックと、ポリマー鎖に沿った官能化を有する官能化ポリマーを提供し、ポリマーは溶液重合SBRを意味し、その官能化はカルボン酸(−COOH)または水酸化物(−OH)官能性を意味する。
【0017】
加えて、官能化カーボンブラックと官能化エラストマーとの間の化学的相互作用を促進するため反応的に混合された化合物を提供し、そこで反応混合は化合物を145℃から160℃の範囲の高温に2分から8分間保つことによりゴム混合機の中で達成される。
【0018】
本発明は、表1に示された標準的なタイヤトレッド複合組成物を利用し、その化合物は全体にLanxess官能化溶液重合SBRであるBUNA VSL VP PBR4003(以後PBR4003とする)から成り、しかしまた表2に示されるように、SBR/BR比が60/40から100/0のSBR/BR混合物としても示される。加えて、表面処理されたN234カーボンブラックおよび/または、表面処理されたカーボンブラックと製造時のカーボンブラックまたはシリカとの50/50から100/0の範囲の比率の混合物が使用されることができ、40から120phrの範囲の量で2から50phrの範囲の標準的な処理油と併せて使用され、タイヤに使用されることができる標準的なタイヤトレッド配合の代表である。
【0019】
本発明はまた表3に示されるような代表的な混合方式を利用し、そこで示された原料添加の手順は代表的なゴム混合方式であり、しかし更に、標準混合時間および温度が使用され、標準混合方式に対してより時間が長く温度が高い反応混合時間および温度と比較されている。反応混合方式は、表面処理カーボンブラックおよびポリマー鎖に沿った官能化を有する官能化ポリマーとのカーボンブラックとエラストマーとの間の相互作用を促進し、上述のような低ヒステリシス、優れたウェットトラクションおよび耐磨耗性の化合物の利点を実現するために求められる。
【0020】
本発明の1つの好ましい実施形態は、ポリマー鎖に沿った官能化を有する官能化ポリマーと乗的に相互に作用させるために、異なる化学的性質を持つ幾つかの異なるカーボンブラック表面処理方式で調製された複合組成物を提供し、またポリマー鎖に沿ったカルボン酸性官能化を用いた場合において、低歪み係数の低減から明らかなようにペイン効果によって充填剤とエラストマーとの間の相互作用を増大しかつ充填剤と充填剤との間の相互作用を低減し、また化合物ヒステリシスを有意に低減し化合物ウェットトラクションおよび耐磨耗性を維持および向上させるために提供する。
【0021】
N234を含む複合組成物に加えて、表4に定義および記載されたようなカーボンブラックは、60から300m2/gの範囲の窒素吸着比表面積(NSA、ASTM D6556参照)と、50から180cc/100gの範囲の構造レベルまたは油吸着レベル(OAN、ASTM D2414参照)を有するカーボンラックを含み、加熱炉を介して製造されるように、ランプブラック処理上で衝突する。
【0022】
充填剤とエラストマーとの間の相互作用の増大、充填剤と充填剤との間の相互作用の低減、およびペイン効果の低減をもたらすポリマー鎖に沿った官能化と共に、カーボンブラック表面上の酸素ベースの官能基と、官能化ポリマーのポリマー鎖に沿ったカルボン酸性官能化との間の極性‐極性および/または分子間水素の結合のメカニズムを提供するために、ポリマー鎖に沿った官能化を有する官能化ポリマーの複合組成物および、過酸化物(例えば、米国特許第6,120,594号を参照)またはオゾン(例えば、米国特許第6,471,933号を参照)を用いたカーボンブラック表面の酸化によるカーボンブラック表面処理を提供する。
【0023】
ポリマー鎖に沿った官能化を有する官能化ポリマーの複合組成物および、アミンベースの化合物(例えば、米国特許第5,708,055号を参照)、好ましくはジアミン化合物による処理がその後に続くカーボンブラックの酸化によるカーボンブラック表面処理を提供し、それは充填剤とエラストマーとの間の相互作用の増大、充填剤と充填剤との間の相互作用の低減およびペイン効果の低減をもたらすポリマー鎖に沿った官能化と共に、カーボンブラック上の塩基性アミン官能基と官能化ポリマーのポリマー鎖に沿ったカルボン酸基の、酸と塩基との間の相互作用を提供する。
【0024】
ポリマー鎖に沿った官能化を有する官能化ポリマーの複合組成物と、アミンベースの化合物、好ましくは水酸化物または他の極性で含酸素の官能基を伴うアミン化合物による処理をカーボンブラックの酸化によるカーボンブラック表面処理の後に提供し、それは充填剤とエラストマーとの間の相互作用の増大、充填剤と充填剤との間の相互作用の低減およびペイン効果の低減をもたらすポリマー鎖に沿った官能化と共に、カーボンブラック上の官能基と官能化ポリマーのポリマー鎖に沿ったカルボン酸基の、酸と塩基との間の相互作用および/または酸‐塩基と極性‐極性間の相互作用を提供する。
【0025】
ポリマー鎖に沿った官能化を有する官能化ポリマーの複合組成物と、水酸基ベースの化合物による処理がその後に続くカーボンブラックの酸化によるカーボンブラック表面処理を提供し、それは、充填剤とエラストマーとの間の相互作用の増大、充填剤と充填剤との間の相互作用の低減およびペイン効果の低減をもたらすポリマー鎖に沿った官能化と共に、カーボンブラック上の官能基および官能化ポリマーのポリマー鎖に沿ったカルボン酸基の、極性‐極性間の相互作用および/または分子間水素結合を提供する。
【0026】
ポリマー鎖に沿った官能化を有する官能化ポリマーの複合組成物と、アンモニアによる処理がその後に続くカーボンブラックの塩素化によるカーボンブラック表面処理を提供し、それは充填剤とエラストマーとの間の相互作用の増大、充填剤と充填剤との間の相互作用の低減およびペイン効果の低減をもたらすポリマー鎖に沿った官能化と共に、カーボンブラック上の官能基と官能化ポリマーのポリマー鎖に沿ったカルボン酸基との間に酸と塩基との間の相互作用を提供する。
【0027】
乗用車、貨物自動車およびレース用タイヤを含む優れた耐磨耗性を維持しつつ、化合物ヒステリシスおよび転がり抵抗を低減しタイヤにおけるウェットトラクションを向上するための、表面処理カーボンブラックおよびポリマー鎖に沿ったカルボン酸性官能化を有する官能化ポリマーを含む複合組成物で、そのポリマーは溶液重合SBRを意味する。
【0028】
本発明は更に、加硫物の製造に対する本発明の複合組成物の使用を提供し、それは次いで高強化成形物の製造、特にタイヤの製造に対して役立つ。
【0029】
本発明は更に、ゴム混合物の製造に対する本発明の複合組成物の使用を提供する。
【実施例】
【0030】
実験:ポリマーおよびカーボンブラックの調製
本複合組成物発明において使用されるポリマーおよび、製造時のおよび表面処理されたカーボンブラックは表5に記載され、表面処理の影響を示す分析的結果は表6に示される。
【0031】
カーボンブラックのオゾン処理試料は1.5から5.5時間の範囲の様々な時間の間回転ドラムの中で処理されたSturdivantで粉砕したビーズ化カーボンブラックを含んでおり、約2%のオゾン濃度を含んだエアフローを伴い、続いて湿潤ビーズ化し、次に125℃で6時間オーブン内において試料を乾燥させた。
【0032】
過酸化水素試料は、コロンビアインターナルバッチラボ手順(Columbian Internal Batch Lab)LSO−1に従いピンヘッダの中で35%から50%の過酸化水素の50/50質量パーセントで湿潤ビーズ化されたカーボンブラック粉体を含んだ。得られた湿潤ビーズは、次に流動層乾燥機において125℃で2時間乾燥された。
【0033】
カーボンブラックのアミン試料は、6リットルLab Max反応槽内の2.5リットルの水および25ミリリットルのアセトンに添加された50グラムのオゾン処理N234粉体を処理することで調製された。蒸留水の中で1%溶液に希釈されたエチレンジアミンは、目的とするpHに達するまで常にかき混ぜられながらゆっくりとそのLab Maxに添加された。カーボンブラックは加圧ろ過によって水から分離され、蒸留水と共に16時間ソックスレー抽出された。カーボンブラック試料は次にコーヒーミルにかけられ、湿潤ビーズ化され、125℃で6時間オーブン内において乾燥された。
【0034】
この表面処理の影響の代表的な例は表6に示され、揮発性成分(コロンビアインターナル手順LS2−700)およびpH(ASTM D1512)および温度滴定(コロンビアインターナル手順LS2−702)値が示され、それは表面処理の結果としての表面特性の変化を反映している。表に示されるように、オゾン酸化カーボンブラックはpHの劇的な低下および温度滴定(カーボンブラック表面部分と塩基、すなわち滴下剤として使用されるブチルアミンとの間の反応熱の尺度)の増加と併せて、揮発性成分において4.7%の絶対的増加を示し、同様に吸湿性の増加(より多い極性基)も示し、この結果が酸化カーボンブラックに通常観察される表面酸性度の標準的な増加を示す通り、酸化処理が成功したことを意味している。
【0035】
アミン処理されたカーボンブラックは、温度滴定値の大幅な低下とともにpHの大幅な増加(酸化CBが原料として使用され、酸性基は中和されている)を示している。
【0036】
アミン処理は成功のように見えるが、pH値が7未満であることから明らかなように、幾つかの酸性部位は残った可能性があり、二重表面官能性を有するカーボンブラックが得られた(塩基性アミンおよび極性基、および/または酸素に基づいた酸性部位がどちらも存在する)可能性を示す。
【0037】
表6に示されるこれら3つのカーボンブラックに対する表面処理の結果は標準値を表し、高いゴム評価に対して主として使用されるカーボンブラック種を表す。
【0038】
表5に記載された本発明の複合組成物において使用されるポリマーは、Lanxess Buna VSL‐5025‐2、50%のビニルおよび25%のスチレンを含有する溶液重合SBR、37.5phrのTDAE油、および47MUの100℃でのムーニー粘度ML(1+4)、およびLanxess PBR4003、ポリマー鎖に沿ったカルボン酸性官能化を含む官能化ポリマー、を含み、以下で構成される、
SBR部分の質量当たり45%+/−7%のビニル含有量
質量当たり25%+/−5%のスチロール含有量
質量当たり27%+/−1.5%の油含有量(TDAE)
55MU+/−10MUの100℃でのムーニー粘度ML(1+4)
油展ゴムkg当たり35ミリモル+/−10ミリモルの官能COOH‐基含有量
【0039】
実験的試験
この評価において使用される化合物変数は表7に記載され、本発明の複合組成物の化合物性能は標準SBRポリマー(Lanxess Buna VSL‐5025‐2)と比較され、標準のまたはオゾン処理、水酸化またはアミノ処理されたカーボンブラックおよびシリカを含む充填剤と併せて、シランと併せてならびにシランなしで、反応混合と併せてならびに反応混合なしで比較される。本ゴム内化合物性能特性は表8から13に記載される。Lanxessによって推奨されるSi69の使用に対する反応混合手順は、2回それぞれに、150℃〜160℃の温度まで混合しまたその温度を3分間維持することを含み、次にミル上での硬化剤の添加が続く。全てのSBR化合物(表1および表8から10)はBrabender Plasticorderミニ混合機で混合され、SBR/BR化合物(表2および表11から13)はGK1.5リットルかみ合い(intermeshing)混合機で混合される。表2に示されるSBR/BR化合物に対する動的特性は、歪み振幅掃引に対するMTSサーボ油圧機を用いて決定され、温度掃引の決定に対してはGabo Explexor機が使用された。振幅掃引は以下の条件下で行われた:周波数1Hzおよび0.2から80%の範囲のDSA振幅で60℃における、2面せん断試験片。 温度掃引は以下の条件下で行われた:平均歪み1%、周波数10Hz、0.1%振幅、マイナス120℃から100℃。硬化促進剤、DPG(N,N‐ジフェニルグアニジン)は、カーボンブラックの様々な表面化学から生じるこの特性への影響による硬化率を向上し最適化するために、0.2から2.0phrまで変更された。向上された硬化率およびゴム内特性は、より多量のDPG(2.0phr)で得られた。
【0040】
化合物試験結果
評価されたゴム内特性は以下を含んだ:MDR(ASTM D5289)、ショアA硬度(ASTM D2240)、反発(ASTM D1054)および応力‐歪み(ASTM D412)。表1内の全てのSBR化合物に対する動的特性はTA Instruments Advanced Rheometric Expansion System(ARES)モデルLS/M DMAを用いて決定され、せん断において行われた。振幅掃引は以下の条件下で行われた:平均歪み0%、周波数10Hz、75℃で0.2〜125%の範囲のptp振幅。温度掃引は以下の条件下で行われた;平均歪み0%、周波数10Hz、8%(40℃以下)の振幅および15%ptp(50℃以上)、マイナス5℃から60℃の範囲の温度。
【0041】
表8は、標準複合組成物もしくは代表的に用いられる参照化合物組成物に対する本発明の化合物組成物の性能利点を示し、図2、4、6は、動的弾性係数に対するこのデータへの結果を図示しており、それぞれ歪みの関数としてのG、歪みの関数としての75℃におけるタンジェントデルタ最大値、および転がり抵抗とウェットトラクション予測に対する温度の関数としてのタンジェントデルタを示す。表8における化合物1は、参照化合物1として標準Buna VSL5025−2の中の標準N234を示す。化合物2は、化学的に修飾されたPBR−4003の中の標準N234を示し、75℃でのタンジェントデルタにおけるわずか10%の低減、およびペイン効果における17%の低減が実現されている。しかし、本発明の化合物3、4、5、6に対しては、タンジェントデルタのより大きな減少をもたらす酸化のレベルが増加し、19%から39%の範囲で有意かつ驚くべきタンジェントデルタの減少が実現されている。全シリカ化合物7は、転がり抵抗の標準と考えることができ、化合物1と比較して79%のタンジェントデルタ減少を示した。ペイン効果も同様に、本発明の化合物3、4、5、6に対して、参照化合物1および2とそれぞれ比較して33から42%の範囲の有意な減少を示す。この特徴は方向的に、参照化合物1および2と対比し化合物3、4、5、6に対するマイナス5℃におけるより高いタンジェントデルタに示されるように、マイナス5℃におけるより優れたウェットトラクション予測をもたらすように見える。より高いオゾン処理時間(より高い酸化レベル)は、表面酸化のより高いレベルと、より低い予測転がり抵抗および向上された予測ウェットトラクションの観点から複合組成物のより優れた性能を意味し、75℃でのタンジェントデルタの低減およびマイナス5℃でのタンジェントデルタの増大(ウェットトラクションの増大を予測する)において、最も向上をもたらすことに留意されたい。
【0042】
表9は、標準複合組成物もしくは代表的に用いられる参照化合物組成物に対する本発明の化合物組成物の性能利点を示し、図3、5、7はこのデータへの結果を図示しており、それぞれ歪みの関数としてのG、歪みの関数としての75℃におけるタンジェントデルタ、および転がり抵抗とウェットトラクション予測に対する温度の関数としてのタンジェントデルタを示す。表9における化合物1は、参照化合物として標準Buna VSL5025−2の中の標準N234を示す。化合物2は、化学的に修飾されたPBR−4003の中の標準N234を示す。表9は、アミン処理されたカーボンブラックを含む本発明の化合物5および6を、参照化合物である化合物1、2および7、ならびに酸化カーボンブラックを含む本発明の化合物3および4と比較する。アミン処理されたカーボンブラックを含む化合物5および6はまた、75℃でのタンジェントデルタにおいて標準化合物1と対比しそれぞれ約34および39%の大きな低減を示すことに留意されたい。本発明の化合物5および6に対するこれらのタンジェントデルタ低減は、表8における本発明の化合物5(表9における化合物4としても示される)に非常に類似しており、酸化カーボンブラックを含む本発明の全化合物の中で最も低いタンジェントデルタ反応を有する。アミノ処理されたカーボンブラックを含む本発明の化合物5および6の1つの付加的利点は、アミノ処理されたカーボンブラック上にある塩基性表面化学により硬化率、または90%硬化までの時間、(t90)もまた低減されることであり、望ましい特徴である。ペイン効果もまた、本発明の化合物5および6に対しそれぞれ57%から62%の範囲で有意な減少を示し、オゾン処理のみのカーボンブラックを含む本発明の化合物に対するよりも大きい減少である。この特徴は方向的に、参照化合物1および、表8におけるオゾン処理された本発明の化合物5(および、表8における化合物4として示される)と対比し、化合物5および6に対するより高いタンジェントデルタに示されるように、マイナス5℃におけるより優れたウェットトラクション予測をもたらすように見える。したがって、本発明の複合組成物におけるオゾン処理のみのカーボンブラックと対比し、アミン処理されたカーボンブラックの利用は、より優れた硬化特徴、および類似した低い転がり抵抗特性を伴う向上されたウェットトラクション予測をもたらすように見える。
【0043】
表10は、N115、N134およびCD2115といったN234より高い表面積のオゾン処理カーボンブラックを含む本発明の化合物を比較し、図8、9、10は、このデータに対するこれらの結果を図示しており、それぞれ歪み関数としてのG、歪み関数としての75℃でのタンジェントデルタ、および転がり抵抗とウェットトラクション予測に対する温度の関数としてのタンジェントデルタに対するデータである。表10における参照化合物1および2は、標準BUNA VSL5025−2の中の標準N234およびN134の結果をそれぞれ示す。化合物3、4、5、6は、Lanxess PBR−4003の中のオゾン処理N234、N134、N115およびCD2115を含む本発明の化合物に対する結果をそれぞれ示し、このデータセットに対して、DPG量は2.0phrまで増大され、それはその表面化学により二次促進剤を要するシリカ化合物に対してゴム製造業で使用される、より代表的な配合である。結果は全ての化合物に対して全般的により良い硬化均衡、応力−歪みおよび動的特性を示している。このデータセットにおいて、本発明の化合物3(オゾン処理N234、5.5時間)は参照化合物1と比較し50%のより有意で驚くべきタンジェントデルタの低下を示し、この場合において、今回参照化合物1と比較し60%のタンジェントデルタの低下を有する全シリカ参照化合物7とより近い。驚くべきことに、より高い表面積カーボンブラック、N115、N134およびCD2115もまた、75℃でのタンジェントデルタ最大値においてN234を含む参照化合物1と比較し約40%の大幅な減少を示している。通常より高い表面積カーボンブラックは、スルーゴーイングネットワークを形成するより強い傾向のため、より高い熱上昇およびタンジェントデルタ値を与え、標準Buna VSL5025−2の中の標準N134を含む表10における参照化合物2はこの現象(N234を含む参照化合物1と比較して15%高いタンジェントデルタ)を実証している。N134を含む参照化合物2と比較し、オゾン処理N134を含む本発明の化合物はタンジェントデルタにおいて64%の低下を示し、それは有意で驚くべき結果である。有意により細かい、またはより高い表面積カーボンブラックであるN115、ならびに特にCD115に対しても、同じことが言える。ペイン効果も本発明の化合物3、4、5、6に対して40%から75%の範囲で有意な減少を示し、それもまた大きな変化ならびに有意な結果である。全シリカ化合物7は、ペイン効果において参照化合物1と比較して64%の減少を示すことに留意されたい。表10における結果はまた方向的に、参照化合物1と対比して本発明の化合物3および4へのより高いタンジェントデルタによって示されるように、本発明の化合物3および4へのより優れたマイナス5℃でのウェットトラクション予測を示す。したがって、PBR4003を含む複合組成物において使用されるより高い表面積カーボンブラック(N234より高い表面積)の表面修飾は、N234またはそれらの各対応物を含む標準参照化合物と対比し、有意により低い熱上昇および、方向的にそれ以上もしくは同等の予測ウェットトラクションを伴う予測転がり抵抗を有する化合物をもたらすことができる。
【0044】
表11〜13は、標準または代表的に使用される参照化合物組成物と対比した本発明の化合物の組成物の性能長所を示すが、この場合において、表2に記載されるように実際のタイヤトレッド化合物の特色をより有するSBR/BR混合物が示されている。表11は、標準参照カーボンブラック化合物組成物1、9およびシリカ化合物組成物10、11と対比した、本発明の化合物4、6、8への非常に優れた係数の均衡、引張強さおよび伸張を表す基本的な応力−歪み特性を示す。表12は、60℃での振幅掃引動的特性を示し、N234への参照化合物1および9と比較して、全ての本発明の化合物4、6、8が9%から21%の範囲でタンジェントデルタを低減することを示す。本発明の化合物4および6に対するオゾン処理およびアミン処理は、本発明の化合物8よりも高いタンジェントデルタ最大値を有し、本発明の化合物8は最適量の表面酸素基または5%レベルより大きい揮発性成分を有する。それ故、表9に示されるように、革新的な化合物8へのタンジェントデルタ反応は、シリカ化合物10および11へのタンジェントデルタ反応にもっとも近い。表12はまた、SBR/BR参照化合物および本発明の化合物に対する温度掃引値を示し、見てとれるように、本発明の化合物4、6、8は、本発明の化合物4、6、8に対して同等以上の予測ウェットトラクション反応を示しているシリカ参照化合物10と類似またはより大きい0℃でのタンジェントデルタ値を有している。標準参照N234化合物1およびシリカ参照化合物10と対比した本発明の化合物8の向上された予測転がり抵抗およびウェットトラクションが図11に図示されている。表13は、SRB/BR参照化合物および本発明の化合物へのDIN磨耗、ショアA硬度および反発を示す。本発明の化合物4、6、8へのDIN磨耗は、参照化合物1および9に類似しており、どちらもシリカ参照化合物10よりDIN磨耗において約18%低い。DIN磨耗試験に対して、より低い数値はより優れた耐磨耗性を表し、したがって、より優れた、またはより高い予測トレッド磨耗を表す。この結果は、本発明の化合物4、6、8がシリカ参照化合物10と対比して全般的に向上した化合物性能を有することを表し、本発明の化合物8は対応するシリカ参照化合物10と同等以上の予測転がり抵抗、ウェットトラクションおよびトレッド磨耗を有することを意味する。
【0045】
これらの結果は本発明の化合物が、1つのゴム化合物において同時に、転がり抵抗、ウェットトラクション、トレッド磨耗および、混合と化合物費用を有意にならびに一斉に向上するという困難な障害を克服したことを表す。
【0046】
前述の実施形態は例としてのみ提示されたものであり、本発明の範囲は添付された特許請求の範囲のみによって限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理カーボンブラック、およびポリマー鎖に沿った官能化を有する官能化ポリマーを含む複合組成物であって、前記ポリマーはBR、NR、およびEPDMとSBRとの混合物を含むがそれに限定されない溶液重合SBRを表し、極性を有する含酸素の官能基からなる前記SBRポリマーの官能化が、乗用車、トラック、およびレース用のタイヤに使用されるような、非常に低いヒステリシスおよび転がり抵抗、向上されたウェットトラクション、優れた耐磨耗性、ならびに優れた混合および化合物費用を有する化合物をもたらすものである、前記複合組成物。
【請求項2】
前記表面処理カーボンブラックの表面積および構造は、それぞれ60〜300m2/gおよび50〜180cc/100gの範囲内にあり、ランプブラック上の衝突工程によって加熱炉から生成するようなものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物は、表面処理カーボンブラックと官能化エラストマーとの間の化学的な相互作用を促進するために反応混合され、前記反応混合は、前記化合物がある一定の期間高温度に保たれるように、ゴム混合機によって達成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
成分が、前記カーボンブラックとエラストマーとの間の相互作用が前記ポリマー鎖に沿った前記エラストマー官能基と前記表面処理カーボンブラックとの間の相互作用によって増大するように混合される、請求項1に記載の複合組成物。
【請求項5】
成分が、前記カーボンブラックとエラストマーとの間の相互作用が前記ポリマー−カルボン酸官能基と前記表面処理カーボンブラックとの間の極性相互作用によって増大するように混合され、前記表面処理は酸化剤によって達成される、請求項1に記載の複合組成物。
【請求項6】
成分が、前記カーボンブラックとエラストマーとの間の相互作用が前記ポリマー‐カルボン酸官能基と前記表面処理カーボンブラックとの間の酸と塩基との間の相互作用によって増大するように混合され、前記表面処理は酸化剤によって達成され、その後アミンベースの化合物によって処理される、請求項1に記載の複合組成物。
【請求項7】
成分が、前記カーボンブラックとエラストマーとの間の相互作用が前記ポリマー−カルボン酸官能基と前記表面処理カーボンブラックとの間の酸と塩基との間の相互作用によって増大するように混合され、前記表面処理は表面を塩素化し、その後アンモニアを使用し処理することによって達成される、請求項1に記載の複合組成物。
【請求項8】
増大されたカーボンブラックとエラストマーとの間の相互作用および反応混合が、前記充填剤と充填剤との間の相互作用を低減し、充填剤とエラストマーとの間の相互作用を増大し、かつ、全シリカ化合物に相当する、低いヒステリシスおよび低い転がり抵抗を有する含カーボンブラック溶液重合SBRベースの化合物をもたらす、請求項1に記載の複合組成物。
【請求項9】
増大されたカーボンブラックとエラストマーとの間の相互作用および反応混合が、前記充填剤と充填剤との間の相互作用を低減し、前記充填剤とエラストマーとの間の相互作用を増大し、かつ、全シリカ化合物に相当する、向上されたウェットトラクションを有する含カーボンブラック溶液重合SBRベースの化合物をもたらす、請求項1に記載の複合組成物。
【請求項10】
増大されたカーボンブラックとエラストマーとの間の相互作用および反応混合が、前記充填剤と充填剤との間の相互作用を低減し、前記充填剤とエラストマーとの間の相互作用を向上させ、かつ、全シリカ化合物より著しく良好な、優れたDIN耐磨耗性を有する含カーボンブラック溶液重合SBRベースの化合物をもたらす、請求項1に記載の複合組成物。
【請求項11】
前記組成物は全シリカ化合物に相当する著しくより低いヒステリシスおよび向上されたウェットトラクションをもたらすが、向上されたDIN磨耗およびトレッド磨耗を有する、請求項1に記載の複合組成物。
【請求項12】
官能化エラストマーと併せて使用される表面処理カーボンブラックであって、前記エラストマーはポリマー鎖に沿って官能化され、カーボンブラックとエラストマーとの間の相互作用の増大のより高い可能性を与え、動的試験および60℃から75℃での低減したタンジェントデルタによって測定される場合のヒステリシスの実質的な低減と、動的試験および0℃からマイナス10度での増大したタンジェントデルタによって測定される場合の向上されたウェットトラクションを提供する、表面処理カーボンブラック。
【請求項13】
好ましくは過酸化物またはオゾンで処理され、極性を有する含酸素の官能性を有する表面の酸化がもたらされる、表面処理カーボンブラックと、ポリマー鎖に沿った官能化を有する官能化ポリマーとを含み、前記ポリマーは溶液重合SBRを表し、前記官能化は極性を有するカルボン酸官能化を表す、複合組成物。
【請求項14】
好ましくは酸化剤で処理され、その後ジアミンベースの化合物で処理され、アミン官能化がもたらされる、表面処理カーボンブラックと、ポリマー鎖に沿った官能化を有する官能化ポリマーとを含み、前記ポリマーは溶液重合SBRを表し、前記官能化は極性を有するカルボン酸官能化を表す、複合組成物。
【請求項15】
好ましくは塩素化剤で処理され、その後アンモニアで処理され、アミン官能化がもたらされる、表面処理カーボンブラックと、ポリマー鎖に沿った官能化を有する官能化ポリマーとを含み、前記ポリマーは溶液重合SBRを表し、前記官能化は極性を有するカルボン酸官能化を表す、複合組成物。
【請求項16】
請求項1または2に記載の成分を含み、前記ポリマー鎖に沿った前記カルボン酸官能基と前記表面処理された酸化カーボンブラック上の含酸素官能基との間の極性‐極性間または分子間水素結合を通じて、前記カーボンブラックとエラストマーとの間の相互作用が増大するように混合される、複合組成物。
【請求項17】
請求項1または2に記載の成分を含み、前記ポリマー鎖に沿った前記カルボン酸官能基と、前記表面処理された酸化/塩素化ならびにアミン/アンモニア処理されたカーボンブラック表面上の含アミン官能基との間の酸と塩基との間の相互作用を通じて、前記カーボンブラックとエラストマーとの間の相互作用が増大するように混合される、複合組成物。
【請求項18】
請求項1または2に記載の成分を含み、前記ポリマー鎖に沿った前記カルボン酸官能基と、前記酸化/塩素化およびアミン/アンモニア処理されたカーボンブラック表面上の含酸素官能基と、含アミン官能基との間の極性‐極性間もしくは分子間水素結合ならびに酸と塩基との間の相互作用の両方を通じて、カーボンブラックとエラストマーとの間の相互作用が同時に増大するように混合される、複合組成物。
【請求項19】
含酸素官能基および/または含アミン官能基を有する酸化/塩素化およびアミン/アンモニア処理されたカーボンブラック表面と、ポリマー鎖に沿ったカルボン酸官能化を有する官能化ポリマーとを含み、前記ポリマーはBR、NR、およびEPDMとSBR(PBR4003)との混合物を含むがそれに限定されない溶液重合SBRを表し、乗用車、トラックおよびレース用のタイヤに使用されるような、低減された化合物ヒステリシスおよび転がり抵抗、向上されたウェットトラクション、ならびに優れたトレッド磨耗を有する、複合組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2013−503240(P2013−503240A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526792(P2012−526792)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/043384
【国際公開番号】WO2011/028337
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(502427460)コロンビアン ケミカルズ カンパニー (3)
【出願人】(504419760)ランクセス ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (58)
【氏名又は名称原語表記】Lanxess Deutschland GmbH
【住所又は居所原語表記】D−51369 Leverkusen, Germany
【Fターム(参考)】