説明

化学的酸素要求量の測定方法

【課題】触媒がなくても紫外線を照射することにより酸化反応を促進させるCODの測定方法を提供すること。
【解決手段】試料溶液を送液するためキャリヤー溶液が流れているキャリヤー送液管と、試料溶液を酸化させるための酸化剤を含む酸化剤溶液を送液する酸化剤送液管と、キャリヤー送液管と酸化剤送液管との合流点と、紫外線を照射する紫外線ランプと、第1細管と連結している第2細管と、のみ備える光酸化装置と、反応後の酸化剤の量を検出する吸光検出器と、を備えたCOD測定装置を用いた方法であって、キャリヤー送液管内から送液される試料溶液と、酸化剤送液管内から送液される酸化剤溶液と、を合流点で混合させ、キャリヤー溶液と試料溶液と酸化剤溶液とのみからなる混合溶液を調製し、紫外線ランプから照射される紫外線を混合溶液に照射し、試料溶液と酸化剤溶液中の酸化剤とを反応させ、混合溶液中の酸化剤の量を検出することにより行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的酸素要求量の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学的酸素要求量(以下、「COD」という。)は、排水規制項目の一つであり、水質汚濁の重要な指標である。CODは、試料水に酸化剤を添加し、酸性下において高温で加熱して試料水に含まれる有機物等の被酸化性物質(COD成分)を酸化させ、このとき消費された酸化剤の量を酸素量に換算して表したもの、と定義されている(例えば、日本工業規格(JIS)規格番号K0102「工場排水試験方法」参照)。その測定方法の一つとして、上記JIS K0102において、「17. 100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量」という測定法(以下、JIS−CODMn法と略記する)が公定されている。
【0003】
ところが、JIS−CODMn法は、手作業で行われており、試料を採取した後、分析箇所まで運搬して分析するため、分析結果を得るまでに1.5時間程度の時間を要する。また、測定分析値の再現性が低く個人差も大きい。さらに測定操作について、一定の条件で正確に30分間加熱する、加熱後に残留する過マンガン酸イオン(MnO)濃度が添加時の1/2になるように試料液量を調製する等、操作条件が細かく規定されているため、熟練した技術が要求される。
【0004】
これに対して、上記JIS法よりも簡単、迅速且つ正確にCODの測定を行うためのCOD測定法が提案されている。例えば、試料溶液中の有機物等を酸化するための酸化剤として、触媒不存在の状態で過マンガン酸カリウムやセリウムを使用したりして、フローインジェクション分析法(FIA法)によりCOD自動測定を行う方法がある。
【0005】
一方、例えば、特許文献1には、COD測定に酸化チタン等の光触媒を利用して試料溶液中の溶存酸素を測定する発明が提案されている。
【特許文献1】特開2007−271335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、過マンガン酸カリウムやセリウムを使用する場合、酸化反応を起こさせるために反応温度を100〜150℃としなければならず、また長さ10〜20mの反応コイルを用いる必要があり、装置の重量や寸法も大きくなるという課題があった。このため、試料溶液採取の現場やその近くまで持ち運んで、試料溶液採取直後にCODを測定することは困難であった。また、加熱等に使用する消費電力が大きいため、商用電源が利用できないような戸外で使用することが困難である。
【0007】
また、特許文献1のように光触媒を用いて測定対象溶液中の溶存酸素量を直接測定する方法は、消費電力が小さく装置の小型化ができる利点がある一方、溶存酸素の少ない溶液には適用できないという課題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、触媒がなくても一定の波長を有する紫外線を照射することにより酸化反応を促進させるCODの測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、試料溶液と酸化剤溶液とキャリヤー溶液とを混合し、一定の波長を有する紫外線を混合溶液に照射することにより触媒が存在しない状態でも酸化反応が促進し、混合溶液中の酸化剤の消費量を検出することによりCODを測定できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0010】
(1) 本発明のCODの測定方法は、化学的酸素要求量を測定する試料溶液を送液するためのキャリヤー溶液が流れるキャリヤー送液管、前記試料溶液を酸化させるための酸化剤を含む酸化剤溶液を送液する酸化剤送液管、及び前記キャリヤー送液管と前記酸化剤送液管との合流点を備える第1細管と、紫外線を照射する紫外線ランプ、及び前記第1細管と連結している第2細管のみ備える光酸化装置と、酸化反応後の前記酸化剤の消費量を検出する吸光検出器と、を備えた化学的酸素要求量測定装置を用いた化学的酸素要求量測定方法であって、前記キャリヤー送液管内から送液される前記試料溶液、及び前記酸化剤送液管内から送液される前記酸化剤溶液を前記合流点で混合させ、前記キャリヤー溶液、前記試料溶液及び前記酸化剤溶液のみからなる混合溶液を調製するステップと、前記混合溶液を前記第2細管へ送液するステップと、前記紫外線ランプから照射される紫外線を、前記第2細管を介して前記混合溶液に照射し、前記試料溶液と前記酸化剤溶液中の酸化剤とを反応させるステップと、反応後、前記混合溶液中の前記酸化剤の消費量を検出するステップと、を有する。
【0011】
(1)の態様によれば、一定の波長の紫外線を混合溶液に照射することにより、触媒がなくても試料溶液中のCOD成分を室温で酸化させることができるので、従来のように100℃程度の加熱は不要となり、消費電力を低減することができるようになる。
【0012】
また、光酸化装置は、紫外線を照射する紫外線ランプ、及び第1細管と連結している第2細管のみからなり、触媒は存在しない。混合溶液もキャリヤー溶液、試料溶液及び酸化剤溶液のみからなり、触媒は存在しない。このように、本発明は触媒が存在しなくてもCODを測定することができる。
【0013】
(2) (1)の発明においては、前記第2細管内の前記混合溶液の流速が0.5ml/min以上0.7ml/min以下であることが好ましい。
【0014】
(2)の態様によれば、流速を一定とすることで混合溶液を照射する時間を簡便に制御することができ、効率的に酸化反応を促進させることができる。
【0015】
(3) (1)または(2)の発明においては、前記第2細管の長さが0.7m以上1m以下であることが好ましい。
【0016】
(3)の態様によれば、混合溶液を照射する時間を簡便に制御することができ、効率的に酸化反応を促進させることができる。
【0017】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の発明においては、前記紫外線の波長は254nm以下であることが好ましい。
【0018】
(4)の態様によれば、一定の波長の紫外線を混合溶液に照射することにより、触媒がなくても試料溶液中のCOD成分を室温で酸化させることができる。
【0019】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の発明においては、前記酸化剤溶液は、過マンガン酸カリウムと硫酸及びリン酸の混合溶液、セリウムと硫酸の混合溶液、二クロム酸カリウムと硫酸の混合溶液からなる群から選択されることが好ましい。
【0020】
(5)の態様によれば、上記酸化剤溶液を用いることにより、触媒がなくても試料溶液中のCOD成分を酸化させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、触媒がなくても試料溶液を室温で酸化させることができるので、消費電力を低減することができるようになった。また、常温で5分間程度の迅速測定ができ、再現性のよい測定及び厳密な測定条件化での煩雑な測定を簡易化でき、自動分析もできるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明のCODの測定方法は、化学的酸素要求量を測定する試料溶液を送液するためのキャリヤー溶液が流れるキャリヤー送液管、試料溶液を酸化させるための酸化剤を含む酸化剤溶液を送液する酸化剤送液管、及びキャリヤー送液管と酸化剤送液管との合流点を備える第1細管と、紫外線を照射する紫外線ランプ、及び第1細管と連結している第2細管のみ備える光酸化装置と、酸化反応後の酸化剤の消費量を検出する吸光検出器と、を備えたCOD測定装置を用いたCODの測定方法であって、キャリヤー送液管内から送液される試料溶液、及び酸化剤送液管内から送液される酸化剤溶液を合流点で混合させ、キャリヤー溶液、試料溶液及び酸化剤溶液のみからなる混合溶液を調製するステップと、混合溶液を第2細管へ送液するステップと、紫外線ランプから照射される紫外線を、第2細管を介して混合溶液に照射し、試料溶液と酸化剤溶液中の酸化剤とを反応させるステップと、反応後、混合溶液中の酸化剤の消費量を検出するステップと、を有することを特徴とする。
【0023】
以下、本発明のCODの測定方法の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
【0024】
<CODの測定方法及びCOD測定装置>
[COD測定装置]
図1は、本発明のCOD測定方法に使用するCOD測定装置を示す概略図である。COD測定装置1は、キャリヤー溶液Cを送液するためのキャリヤー送液管13と、所定の酸化剤を含む酸化剤溶液Oxを送液するための酸化剤送液管12とを備える第1細管10と、キャリヤー溶液C及び酸化剤溶液Oxを送液するために使用するポンプ11と、キャリヤー送液管13中のキャリヤー溶液Cに試料溶液(COD標準液)Sを導入するためのサンプルインジェクタ14と、キャリヤー送液管13と酸化剤送液管12との合流点15の下流に設けられた光酸化装置20と、光酸化装置20の下流に設けられた吸光検出器30と、吸光検出器30の検出信号を記録する記録用処理装置40と、背圧コイル50と、を備える。なお、図示していないが、吸光検出器30の検出信号に基づいて各種演算を行うコンピュータを備えるようにしてもよい。
【0025】
サンプルインジェクタ14、光酸化装置20、吸光検出器30、記録用処理装置40及び背圧コイル50等全ての構成要素が第1細管10または第2細管22によって互いに接続されているので、キャリヤー溶液C、酸化剤溶液Ox及び試料溶液Sの送液において全てのステップを連続的に完了することができるので、操作を省力化することができ、5分間程度の短時間で測定を終了させることができる。
【0026】
また、COD測定装置1は、CODの測定ができ可搬性を損なわなければ、どのような形態(筐体)であってもよく、例えば、各構成要素が一つの筐体に含まれていてもよく、複数の筐体に分かれていてもよい。
【0027】
本発明においては、COD測定の対象となる試料溶液Sと、所定の酸化剤を含む酸化剤溶液Oxと、試料溶液Sを送液するキャリヤー溶液Cを混合して、試料溶液Sと酸化剤溶液Ox及びキャリヤー溶液Cのみからなる混合溶液を得る必要がある。ここで試料溶液Sとして、水質管理の対象となる産業排水、下水、湖沼水、河川水等のほか、化学実験で使用される水、製造プロセスで使用される工業用水、あるいは実験用に調製したCOD成分含有溶液等が対象となる。本発明では、上記のいずれの溶液についてもCODを測定することができる。
【0028】
酸化剤溶液Oxとしては、COD成分を効率的に酸化することができる電子受容体となるものであれば、どのような酸化剤を用いてもよく、例えば、過マンガン酸カリウムと硫酸及びリン酸の混合溶液、セリウムと硫酸の混合溶液、二クロム酸カリウムと硫酸の混合溶液からなる群から選択される酸化剤溶液Oxを使用することが好ましい。また、酸化剤溶液Oxの濃度は、吸光検出器30の測定限界によって適宜変更することができ、特に限定されないが、0.8M以上1M以下であることが好ましい。
【0029】
試料溶液Sを効率よく合流点15まで送液するために、キャリヤー送液管13内にキャリヤー溶液Cを送液させる。キャリヤー送液管13内に導入された試料溶液Sは、キャリヤー溶液Cとともに合流点15まで送液され、酸化剤溶液Oxと混合される。キャリヤー溶液Cは、試料溶液Sと酸化剤溶液Oxと反応しなければ、どのようなものを用いてもよく、例えば、水、超純水等を使用することが好ましい。また、キャリヤー溶液Cは、キャリヤー送液管13だけでなく酸化剤溶液Oxとともに酸化剤送液管12から送液されるようにしてもよい。
【0030】
試料溶液Sと酸化剤溶液Oxを混合する方法は特に限定されないが、第1細管10及び第2細管22を使用するフローインジェクション分析法による装置を用いることが好ましい。
【0031】
ここで、「フローインジェクション分析(FIA)法」とは、一般に、細管内の試薬(または測定対象の試料溶液)の流れの中に、試料溶液(または試薬)を導入し、反応操作等を行った後、下流に設けた吸光検出器30で分析成分を検出して定量する分析方法であり、例えばJIS規格番号K0126に規定されている。このFIA法に基づく測定法は、測定の精度や感度が高く、多数の試料溶液を簡単な操作で再現性よく測定することができ、省力化や自動化が容易であり、試料溶液や試薬の少量化もできる、という利点を有している。
【0032】
COD測定装置1においてはFIA法に基づく測定装置を採用し、試料溶液Sと混合する試薬として前述の酸化剤溶液Oxが該当し、一般のFIA法における送液部及び試料導入部の構成要素として、本発明でいうキャリヤー送液管13、酸化剤送液管12、合流点15が該当することとなる。そしてCOD測定装置1全体の構成には、これらに加えて、後述する光酸化装置20及び吸光検出器30、ならびにそれらを互いに接続する第1細管10、第2細管22の各要素を含む。
【0033】
この場合、試料溶液Sと酸化剤溶液Oxの混合のために必要なキャリヤー送液管13、酸化剤送液管12、合流点15の各部分ならびにそれらの構成は、FIA法に用いられる一般的なものであってよい。例えば、図1に示すように試料溶液Sをキャリヤー送液管13及び酸化剤溶液Oxを酸化剤送液管12にそれぞれに送液してから、キャリヤー送液管13と酸化剤送液管12の合流点15で合流させることにより両者を混合させてもよく(マージングゾーン法)、酸化剤溶液Oxまたは試料溶液Sの一方のみが流れる第1細管10を設け、もう一方を注入するようにしてもよい。
【0034】
第1細管10は、キャリヤー送液管13、酸化剤送液管12及び合流点15を備え、後述する第2細管の入口23で第2細管と連結されている。第1細管10は、試料溶液S、キャリヤー溶液C及び酸化剤溶液Oxと反応しなければ、どのようなものを用いてもよく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、塩化ビニル、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等公知の種々のものを使用することができる。
【0035】
さらに、キャリヤー送液管13または酸化剤溶液送液管12には、一定の流速でキャリヤー溶液C、試料溶液S及び酸化剤溶液Oxを送り出すことのできるポンプ11(送液装置)を設ける。ポンプ11に例えば液体ポンプを用いる場合は、一般的なペリスタ(チュービング)ポンプや、ダブルプランジャーポンプを用いることもでき、窒素ガスやその他のガスによる圧力を利用したガス圧式の送液装置を用いてもよい。さらに、ポンプ11には、同時に複数の液体を送液できる装置、例えば2つ以上のポンプヘッドが装着されたペリスタポンプ等であってもよく、これをキャリヤー送液管13及び酸化剤溶液送液管12の両方において使用する場合、その結果としてサンプルインジェクタ14、酸化剤溶液送液管12、及び合流点15の一部または全体が一体となった構成になってもよい。
【0036】
ポンプ11が送り出すことのできる流速は、ポンプ11の押圧によって決定される。キャリヤー送液管13内のキャリヤー溶液C及び試料溶液Sの流速と、酸化剤送液管12内の酸化剤溶液Oxの流速は特に限定されず、これらの流速は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0037】
混合溶液の流速は一定であることが好ましく、流速が一定であれば後述する第2細管22の長さや内径によって適宜変更することができるが、第2細管中の混合溶液の流速が0.5ml/min以上0.7ml/min以下となるようにポンプ11の押圧を調整することが好ましい。流速が0.5ml/min未満であると、混合溶液の照射時間が長くなる傾向にあり、混合溶液の第2細管22内の滞留時間(反応時間)が長くなることで酸化剤が分解し、試料溶液S中のCOD成分と反応すべき酸化剤濃度が減少してしまうので正確なCODを測定することができない場合がある。一方流速が0.7ml/minを超えると、混合溶液の第2細管22内の滞留時間(反応時間)が短いため、酸化剤と試料溶液SのCOD成分が完全に反応する前に紫外線照射が終わってしまい、正確なCODを測定することができない場合がある。
【0038】
なお、ペリスタポンプ等をポンプ11として用いる場合、ポンプ11から生じる脈流によって測定精度の低下の問題が生じるようなときは、第1細管10及び第2細管22の中でポンプ11より下流で吸光検出器30より上流の部分に、脈流防止機構(図示せず)を接続してもよい。
【0039】
試料溶液Sをキャリヤー送液管13に導入するサンプルインジェクタ14は、一般的なものであってよく、例えば注射器に採取した試料溶液Sをサンプルインジェクタ14を介してキャリヤー送液管13(第1細管10)に注入してもよいし、多数の試料溶液Sを順次自動的に導入できるようなオートサンプラー等の機構を備えていてもよい。なお、酸化剤送液管Oxに試料溶液Sを送液し、サンプルインジェクタ14から酸化剤溶液Oxを導入するようにしてもよい。
【0040】
図2は、光酸化装置20の概略図である。光酸化装置20は、紫外線ランプ21と、紫外線ランプ21に巻きつけられるように取り付けられた第2細管22のみからなり、酸化反応を促進させる触媒は存在しない。第2細管22は、入口23で第1細管10と連結している。紫外線ランプ21から照射された紫外線は、第2細管22を介して第2細管22の入口23から導入された混合溶液を照射する。入口23から導入された混合溶液は、ポンプ11の押圧により一定の流速で出口24まで進行するので、混合溶液は一定時間紫外線が照射される。
【0041】
混合溶液に照射する紫外線は、254nm以下の波長を有する紫外線であることが好ましい。紫外線の波長が254nmを超えると、紫外線のエネルギーが低いため酸化剤の一部が紫外線のエネルギーにより励起状態とならず、酸化反応が促進しない場合がある。
【0042】
混合溶液は、上述したようにキャリヤー溶液Cと酸化剤溶液Ox及び試料溶液Sのみからなり触媒は存在しない。光酸化装置20は、紫外線ランプ21と第2細管22のみからなり触媒は存在しないが、本発明では触媒が存在しなくても、一定の波長を有する紫外線を照射することにより酸化剤と試料溶液SのCOD成分が酸化反応を起こすため、従来のように酸化反応を起こすために加熱する必要が無くなる。また、加熱する必要がなくなるので、消費電力を低減させることもできる。
【0043】
紫外線を混合溶液に照射すると試料溶液SのCOD成分と酸化剤とが効果的に酸化反応を起こす。紫外線が照射されると、例えば、酸化剤溶液Oxが過マンガン酸カリウムと硫酸及びリン酸の混合溶液の場合、酸化剤の過マンガン酸イオン(MnO)が励起状態となり、酸化反応が促進される。
【0044】
過マンガン酸イオンは、紫外線のエネルギーによって励起されるとともに分解し、マンガンイオン(Mn2+)が生成する。マンガンイオンは、過マンガン酸イオンと試料溶液S中のCOD成分との酸化反応の触媒として作用することにより、本発明では加熱しなくてもCODを測定できる。
【0045】
紫外線ランプ21は、混合溶液に効率よく紫外線を照射することができれば、どのようなものを用いてもよく、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、紫外線用発光ダイオード(LED)、キセノンランプ等公知の種々の紫外線ランプ21を使用することができる。
【0046】
第2細管22は、試料溶液S、キャリヤー溶液C及び酸化剤溶液Oxと反応しなければ、どのようなものを用いてもよく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、塩化ビニル、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等公知の種々のものを使用することができる。なお、第1細管10と第2細管22は、同一の材質のものを使用してもよく、異なる材質であってもよい。第2細管22は、紫外線ランプ21から照射される紫外線を効率よく混合溶液に照射させるために透明であることが好ましい。
【0047】
第2細管22の長さは、混合溶液の流速や第2細管22の内径等に応じて適宜変更することができるが、0.7m以上1m以下であることが好ましい。第2細管22の長さが0.7m未満であると、第2細管22内の混合溶液の滞留時間(反応時間)が短いため、酸化剤と試料溶液SのCOD成分が完全に反応する前に紫外線照射が終わってしまい、正確なCODを測定することができない。一方、第2細管22の長さが1mを超えると、滞留時間(反応時間)が長くなることで酸化剤が分解し、試料溶液S中のCOD成分と反応すべき酸化剤濃度が減少してしまうので正確なCODを測定することができない。ここで、第2細管22の長さは、第2細管22の入口23と出口24までの長さをいい、紫外線ランプ21に巻き付けられている部分をいう。
【0048】
第2細管22の内径は、混合溶液の流速や第2細管22の長さ等に応じて適宜変更することができるが、0.5mm以上1mm以下であることが好ましい。第2細管22の内径が0.5mm未満であると、第2細管22内の混合溶液の滞留時間(反応時間)が短いため、酸化剤と試料溶液SのCOD成分が完全に反応する前に紫外線照射が終わってしまい、正確なCODを測定することができない。一方、第2細管22の内径が1mmを超えると、滞留時間(反応時間)が長くなることで酸化剤が分解し、試料溶液S中のCOD成分と反応すべき酸化剤濃度が減少してしまうので正確なCODを測定することができない。
【0049】
吸光検出器30は、反応後の混合溶液の吸光度を測定する。具体的には、混合溶液中の酸化剤の量を検出する。その方法としては、滴定分析法、重量分析法や、分光測光、電位差測定、ポーラログラフィー、電導度測定、偏光測定等の機器分析法等、どのようなものを用いてもよい。
【0050】
キャリヤー溶液Cと酸化剤溶液Oxが光酸化装置20を通過した後の吸光度をベースとして、試料溶液SとCOD成分との反応により消費した酸化剤の減少量を算出して、算出した酸化剤の減少量に基づいて混合溶液中のCODを記録用処理装置40にて算出する。
【0051】
COD測定装置1を停止した場合等、逆流を防止するために必要に応じて背圧コイル50を設けてもよい。背圧コイル50は、どのようなものを用いてもよく、例えば、第1細管10及び第2細管22よりも内径が小さい細管を用いることができる。
【0052】
COD測定装置1を可搬型とする場合、各構成要素は、直流電源によって駆動されることが好ましい。これにより、COD測定装置1全体を小型軽量な可搬型直流電源(ポータブルバッテリー)によって駆動することが可能になり、正確なCOD測定のために求められる試料水採取の現場やその付近(オンサイト)での迅速な測定が実現できる。このようなバッテリーは可搬性があり、COD測定装置1を構成して電源による駆動を必要とする要素を駆動できるものであれば、どのようなものでもよい。
【0053】
また、駆動のための電圧も、特に制約されるものではないが、駆動電圧が12Vあるいは24Vであれば、自動車等の一般的なバッテリーと電圧の面で互換性があるため、COD測定装置1のためのバッテリーとして自動車用のものを利用することができる。さらにCOD測定装置1を自動車に搭載して測定現場まで運搬し、自動車の電源回路と接続してバッテリーを消費せずに使用すること等も可能となる。
【0054】
このような可搬型のバッテリーを含んだCOD測定装置1の電源部(図示せず)は、COD測定装置1中の他の構成要素をさらに駆動してもよく、例えば吸光検出器30も同じ電源部によって駆動してもよい。
【0055】
ただし、電源による駆動を必要とする他の構成要素は、COD測定装置1全体の可搬性を損なわなければ独自の電源を有していてもよく、例えば前述したように記録用処理装置40に携帯型コンピュータを用いる場合、それは内蔵バッテリーによって独自に駆動されてもよい。電源部はさらに、交流を直流に変換するコンバータを有していてもよく、これにより、商用電源が利用できる屋内等において、COD測定装置1を商用電源に接続して、バッテリーを消費せずに使用することができるようになる。
【0056】
[CODの測定方法]
本発明のCODの測定方法は、上述したCOD測定装置1を用いて測定することができる。
【0057】
キャリヤー溶液Cをキャリヤー送液管13内で、酸化剤溶液Oxを酸化剤送液管12内で一定の流速となるように送液する。流速は、ポンプ11の押圧によって決定され、キャリヤー溶液Cと酸化剤溶液Oxの流速は、特に限定されない。また、キャリヤー溶液Cの流速と酸化剤溶液Oxの流速は異なっていてもよく、同一であってもよい。
【0058】
キャリヤー溶液C及び酸化剤溶液Oxを送液後、キャリヤー送液管13に接続されているサンプルインジェクタ14から試料溶液Sを導入する。試料溶液Sは、キャリヤー溶液Cとともに送液され、合流点15で酸化剤溶液Oxと混合され、混合溶液が調製される。
【0059】
混合溶液は、第2細管22に送液され、第2細管22を介して紫外線ランプ21から紫外線を照射される。混合溶液は、紫外線を照射されることにより、酸化剤の一部が紫外線のエネルギーにより励起状態となり、酸化反応が促進する。
【0060】
第2細管22の出口24を通過後、吸光検出器30にて酸化剤の消費量を測定する。具体的には、キャリヤー溶液Cと酸化剤溶液Oxが光酸化装置20を通過した後の吸光度をベースとして、試料溶液SとCOD成分との反応により消費した酸化剤の消費量を記録用処理装置40にて算出して、算出した酸化剤の減少量に基づいて混合溶液中のCODを算出する。
【0061】
具体的には、キャリヤー溶液Cと酸化剤溶液Oxが光酸化装置20を通過した後の吸光度をベースとする。COD成分濃度に応じた量の酸化剤の一部が消費されることにより吸光度が減少するため、記録用処理装置40には、負のピークとして現れる。この負のピークとベースとの差がCOD成分濃度と比例するので、正確なCODを測定することができる。
【0062】
記録用処理装置40によるCODの算出方法としては、例えば、手計算により、混合溶液中の酸化剤の量の検出結果(例えば滴定曲線や吸収スペクトル)から紫外線照射終了後の酸化剤の濃度の消費量(減少量)を算出して、酸化剤の消費量を混合溶液中の酸素の量に換算する方法や、コンピュータを用いてこれらの計算を自動的に行う手法等、どのようなものを用いてもよい。
【0063】
記録用処理装置40がコンピュータの場合、このコンピュータをさらに他の部分と接続し、それらの制御のためのプログラムをさらに備えるようにしてもよい。このような構成にすることによって、測定操作の省力化、自動化を容易に図ることができる。
【0064】
吸光検出器30により酸化剤の量を測定した後、混合溶液(廃液)は、背圧コイル50を通り、廃液ボトル(図示せず)等に貯められて廃棄される。
【0065】
なお、CODを算出するためには、既知の濃度のCOD成分を含有する溶液(COD標準液)を試料溶液Sと同様に測定して、検量線を作成することが必要となる場合がある。このための計算や図表化の操作は、作業者が手作業で行ってもよいが、吸光検出器30による測定結果からCODを算出することのできる算出プログラムを備えたコンピュータを記録用処理装置40として用いてもよい。この場合、記録用処理装置40は、吸光検出器30と一体となっていてもよいし、別個の装置であってもよく、例えば携帯型(ノート型)コンピュータを用いることもできる。また、算出プログラムも、測定結果の記録機能を有するものであれば市販の任意のものを用いてもよいが、本発明の実施のために市販のプログラムを改変したもの、もしくは新たに作成したものであってもよい。
【実施例】
【0066】
以下、本発明の実施例を説明するが、これら実施例は、本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
【0067】
[COD測定装置]
図1に示すようなCOD測定装置1を作成した。
【0068】
内径0.5mmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなるキャリヤー送液管13及び酸化剤送液管12を合流させ合流点15を設け、キャリヤー送液管13及び酸化剤送液管12の入口付近にダブルプランジャーポンプ11(サヌキ工業製RX−703T)を接続した。さらに、キャリヤー送液管13のダブルプランジャーポンプ11と合流点15の間に六方バルブ14を設けた。
【0069】
合流点15の下流に紫外線ランプ21(低圧水銀ランプ(254nm、4W)(三共電気製GL4))を設け、紫外線ランプ21の外側を長さ1m、内径1mmの第2細管10を巻きつけるように取り付けた。紫外線ランプ21の下流には、吸光検出器30(相馬光学製S−3250、フローセル光路長10mm、容量8μl、測定波長525nm)と、吸光検出器30の検出信号を記録する記録用処理装置40(クロマトグラフィーデータ処理システム(ジーエルサイエンス製Vstation))と、長さ1.5m内径0.25mmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる背圧コイル50とを備えた。なお、電源として、ポータブルバッテリー(日本電池製PT8000)を使用した。
【0070】
[CODの測定]
(実施例1)
本実施例では、上述したCOD測定装置1を用いてCODを測定した。
【0071】
キャリヤー溶液Cとして、超純水(18.3MΩ・cm−1)を使用した。試料溶液S(COD標準液)として、D−グルコースを所定量秤量し、これを超純水に溶解して5000mg/lのD−グルコース標準溶液を調製し、D−グルコースの濃度が5ppmとなるように正確に希釈して調製した。キャリヤー溶液Cには、超純水を使用した。酸化剤溶液Oxは、1.0×10−3M過マンガン酸カリウムと0.9M硫酸及び1%リン酸の混合溶液を使用した。なお、キャリヤー溶液C及び試料溶液Sの調製で使用した超純水は、電気脱塩水をミリQ装置(ミリポア製milli−QSPTOC)で処理した18.3MΩ・cm−1の超純水を使用した。
【0072】
キャリヤー溶液C及び酸化剤溶液Oxを流量0.3ml/minとなるように送液した。試料溶液S(COD標準液)100mlをサンプルインジェクタ(六方バルブ)14から導入し、合流点15で酸化剤溶液Oxと混合させ混合溶液を調製した。
【0073】
紫外線ランプ21に巻きつけられている第2細管22内で試料溶液S中のCOD成分と酸化剤を反応させCOD成分を酸化させた後、吸光検出器30で吸光度を測定した。
【0074】
(実施例2)
試料溶液SのD−グルコースの濃度を10ppmとなるように正確に希釈して調製した以外は実施例1と同様にCODを測定した。
【0075】
(比較例1)
紫外線を照射しなかった以外は実施例1と同様にCODを測定した。
【0076】
(比較例2)
紫外線を照射しなかった以外は実施例2と同様にCODを測定した。
【0077】
(比較例3)
紫外線ランプ21をブラックライト(352nm)とした以外は、実施例1と同様にCODを測定した。
【0078】
(比較例4)
紫外線ランプ21をブラックライト(352nm)とした以外は、実施例2と同様にCODを測定した。
【0079】
(比較例5)
ブラックライトを照射しなかった以外は、比較例3と同様にCODを測定した。
【0080】
(比較例6)
ブラックライトを照射しなかった以外は、比較例4と同様にCODを測定した。以下、実施例1、2と比較例1〜6の結果を図3に示す。
【0081】
図3より、比較例1〜2のように紫外線を照射しなかった場合、酸化反応は全く見られなかった。同様に、比較例5〜6のようにブラックライトを照射しなかった場合、酸化反応は全く見られなかった。
【0082】
紫外線(低圧水銀ランプ、254nm)を照射すると試料溶液SのCOD成分と酸化剤が効果的に酸化反応を起こしていることがわかる。また、実施例1と実施例2とは、吸光度が略半分程度となっており、試料溶液Sの濃度に応じて吸光度も比例することがわかる。一方、ブラックライトを照射した比較例3、4では、酸化反応がほとんど起こらなかった。これは、ブラックライトの波長(352nm)が紫外線の波長(254nm)よりもエネルギーが低いため、酸化剤の一部である過マンガン酸イオン(MnO)が励起状態となりにくく、酸化反応が促進しにくくなったものと考えられる。
【0083】
すなわち、過マンガン酸イオンが紫外線のエネルギーによって励起されるとともに分解し、マンガンイオン(Mn2+)が生成する。マンガンイオンは、過マンガン酸イオンと試料溶液S中のCOD成分との酸化反応の触媒として作用することにより、加熱しなくてもCODを測定できると考えられる。
【0084】
なお、図3には示していないが、従来の白金触媒と過マンガン酸カリウムを用いて酸化反応を起こすため100℃に加熱した後、吸光度を測定した場合も実施例1、2と同程度の結果が得られた。
【0085】
[第2細管22の長さ、内径及び流速の関係の検討]
紫外線ランプ21の外側に巻きつけた第2細管22の長さを0.4mから4mの範囲で変化させた以外は実施例1、実施例2と同様の試験を行い、吸光度にどの程度の差が出るのか試験した。結果を図4に示す。なお、第2細管22の内径は1mmであり、第2細管22内の流速は、全て0.3ml/minであった。
【0086】
図4からわかるように、第2細管22の長さが0.4m〜0.7mでは第2細管22の長さの増加に伴い感度が上昇し、0.7m〜1mが最大感度を示した。一方、1m以上の長さでは第2細管22の長さの増加に伴い感度が低下した。
【0087】
第2細管22の長さが0.4〜0.7mでは、光酸化装置20内の混合溶液の滞留時間の増加に伴い酸化反応がより進行する。第2細管22が1mを超えると、光酸化装置20内の滞留時間の増加とともに過マンガン酸イオンの分解が進行し、試料溶液S中のCOD成分と酸化反応する過マンガン酸イオン濃度が減少したものと考えられる。
【0088】
[検量線の作成]
実施例1、2と同様に、キャリヤー溶液Cとして、超純水(18.3MΩ・cm−1)を使用した。反応試薬Oxには、1.0×10−3M過マンガン酸カリウム、0.9M硫酸、及び1%リン酸の混合溶液を用いた。なお、キャリヤー溶液C使用した超純水は、電気脱塩水をミリQ装置(ミリポア製milli−QSPTOC)で処理した18.3MΩ・cm−1の超純水を使用した。
【0089】
試料溶液S(COD標準液)として、D−グルコースを所定量秤量し、これをキャリヤー溶液Cと同一の超純水に溶解して、5000mg/lのD−グルコース標準液を調製した。そして、COD測定装置1により検量線を作成するのに用いるために、上記の通り調製したD−グルコース標準液を適宜正確に希釈して、5ppm、10ppmの標準溶液Sを調製した。
【0090】
実施例1と同一のCOD測定装置1を用いた。六方バルブ14のサンプル量は100μlとした。また、吸光検出器30は、フローセル光路長10mm、容量8μlとした。
【0091】
室温(25℃)で、上記の通り調製したキャリヤー溶液C及び酸化剤溶液Oxをそれぞれ流速0.3ml/minで送液した。一定間隔おきに六方バルブ14を切替て、上述した通りに調製した5ppm、10ppmのD−グルコース標準溶液を試料溶液Sとしてそれぞれ数回キャリヤー溶液C中へ導入した。
【0092】
図5に、COD測定装置1を用いて上記実験条件下で得られたフローシグナルを示す。光酸化装置20内では、過マンガン酸イオンが紫外線のエネルギーによって励起されるとともに分解し、マンガンイオン(Mn2+)が生成する。マンガンイオンは、過マンガン酸イオンと試料溶液S中のCOD成分との酸化反応の触媒として作用することにより、加熱しなくてもCODを測定できると考えられる。COD成分濃度に応じた量の過マンガン酸イオンが消費されることにより、吸光度が減少した。したがって、図5に示すように、吸光検出器30の信号は、負のピークとなって現れた。
【0093】
図6に、COD測定装置1を用いて上記実験条件下で得られた検量線を示す。図6に示すように、良好な結果の検量線を得ることができた。相対標準偏差(RSD)は、5ppmの場合1.1%、10ppmの場合0.8%と再現性によい測定が可能であることがわかる。検出限界(S/N=3)は0.2ppmであった。
【0094】
すなわち、本実施例のCOD測定システム1によれば、上記検量線に基づいて、室温で、かつ、数分程度の短時間のうちに、再現性のよいCOD測定ができることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の概略構成図である。
【図2】光酸化装置の概略図である。
【図3】紫外線による酸化促進効果を示すグラフである。
【図4】細管の長さと吸光度の関係を示したグラフである。
【図5】吸光検出器からの測定フローシグナルの一例を示したグラフである。
【図6】本発明により得られた検量線の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0096】
1 COD測定装置
10 第1細管
11 ポンプ(ダブルプランジャーポンプ)
12 酸化剤送液管
13 キャリヤー送液管
14 サンプルインジェクタ(六方バルブ)
15 合流点
20 光酸化装置
21 紫外線ランプ
22 第2細管
23 入口
24 出口
30 吸光検出器
40 記録用処理装置
50 背圧コイル
C キャリヤー溶液
Ox 酸化剤溶液
S 試料溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学的酸素要求量を測定する試料溶液を送液するためのキャリヤー溶液が流れるキャリヤー送液管、前記試料溶液を酸化させるための酸化剤を含む酸化剤溶液を送液する酸化剤送液管、及び前記キャリヤー送液管と前記酸化剤送液管との合流点を備える第1細管と、
紫外線を照射する紫外線ランプ、及び前記第1細管と連結している第2細管のみ備える光酸化装置と、
酸化反応後の前記酸化剤の消費量を検出する吸光検出器と、を備えた化学的酸素要求量測定装置を用いた化学的酸素要求量測定方法であって、
前記キャリヤー送液管内から送液される前記試料溶液、及び前記酸化剤送液管内から送液される前記酸化剤溶液を前記合流点で混合させ、前記キャリヤー溶液、前記試料溶液及び前記酸化剤溶液のみからなる混合溶液を調製するステップと、
前記混合溶液を前記第2細管へ送液するステップと、
前記紫外線ランプから照射される紫外線を、前記第2細管を介して前記混合溶液に照射し、前記試料溶液と前記酸化剤溶液中の酸化剤とを反応させるステップと、
反応後、前記混合溶液中の前記酸化剤の消費量を検出するステップと、を有する化学的酸素要求量の測定方法。
【請求項2】
前記第2細管内の前記混合溶液の流速が0.5ml/min以上0.7ml/min以下である請求項1に記載の化学的酸素要求量の測定方法。
【請求項3】
前記第2細管の長さが0.7m以上1m以下である請求項1または2に記載の化学的酸素要求量の測定方法。
【請求項4】
前記紫外線の波長は、254nm以下である請求項1から3のいずれかに記載の化学的酸素要求量の測定方法。
【請求項5】
前記酸化剤溶液は、過マンガン酸カリウムと硫酸及びリン酸の混合溶液、セリウムと硫酸の混合溶液、二クロム酸カリウムと硫酸の混合溶液からなる群から選択される請求項1から4のいずれかに記載の化学的酸素要求量の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−204431(P2009−204431A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46723(P2008−46723)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】