説明

化粧ブラシ及びそれを用いた化粧方法

【課題】本発明は、メーキャップ用の粉状及び液状の化粧料を、一般人であってもメーキャップアーティストが仕上げたようにきれいに化粧料を塗布できる化粧ブラシと、その化粧ブラシを使用して行う化粧方法を提供する。
【解決手段】毛先を2mm〜4mm押し曲げるための荷重をかけたときに屈曲点が発生せず、毛先を2mm〜4mm押し曲げるための荷重をかけたときの荷重の増加がほぼ一定であるか、又は荷重の増加の傾きが0.62N/mm以下であるとの毛の柔軟性についての条件を有し、毛先の長さが25mm以下であるとの毛先の長さについての条件を有し、ブラシの口径が16mm以上〜44mm以下であるとのブラシ口径についての条件を有し、毛の束の広がり角度が、毛の延伸方向軸に対して外側に20度以内であるとの毛の束の広がり角度についての条件を備えた化粧ブラシであって、ブラシの毛先の毛先面部が平坦状を呈するように形成されていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧ブラシ及びそれを用いた化粧方法に係り、さらに詳しくは、メーキャップ用の粉状及び液状の化粧料を、一般人であってもメーキャップアーティストが仕上げたようにきれいに化粧料を塗布できる化粧ブラシと、その化粧ブラシを使用して行う化粧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フェイスブラシ、チークブラシ、アイシャドウブラシ、アイブローブラシなどの化粧料を塗布するための化粧ブラシが広く用いられているが、その化粧ブラシの全体形状は、ブラシの毛先の毛先面部がふくらみのある丸型とか、絵の具用の筆型などを呈するような形状のものが提案されている。
特にフェイスブラシやチークブラシのようなやや大きめの毛先を有し、ファンデーションを顔の全体に塗布するタイプの化粧ブラシとしては、毛先面部(毛先の先端面で肌に触れる面の意味)が中央付近で緩やかに盛り上がった丸型ブラシ(かまぼこ状)が一般的であった。
【0003】
このようなファンデーションの塗布に適する化粧ブラシにおいては、顔に化粧料を塗布する際に、化粧料を容器から化粧ブラシの毛先に付着させ、その付着した化粧料をひたい、目の回り、鼻、小鼻、ほほ、あごなどへ、触れさせながら塗布していた。
従来の化粧ブラシの代表的なものとしては、下記のような公報が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−44428号公報
【特許文献2】特開平10−165224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、ファンデーションに代表される化粧料を塗布する際には、スポンジパフで化粧料を塗布することは素人であっても比較的容易に行えているが、化粧ブラシを使用する場合には、化粧料を均一的に薄く塗るためにはテクニックが必要となり、そのテクニックが伴わない一般人ではうまく使いこなせないという課題があった。
【0006】
また従来の化粧ブラシは、ブラシの毛先の毛先面部がその中心部において膨らむように(かまぼこ状)形成され、かつ毛先が先端に向かって広がるように形成(毛先の側面形状が先端に向かって拡開状になるように形成)されていたため、ブラシの毛先面部、すなわち毛先面の全体を一様に肌に触れさせることが難しく、また毛先への力のかかり方も均一ではなかったので、化粧料を均一に塗布することが困難であり、使用に際してフィット感が得られないなどの課題があった。
【0007】
そのため本発明は、平坦状を呈するブラシの毛先の毛先面部を有し、その毛先の側面形状が先端に向かって略ストレートな形状からなる新しい形態の化粧ブラシを提供することにより、スポンジパフの塗り易さと、化粧ブラシの細やかな塗り易さとを兼ね備え、化粧持ちが良い化粧ブラシ及びそれを用いた化粧方法を提供して、上記のすべての課題を解決せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る化粧ブラシの請求項1のものは、毛先を2mm〜4mm押し曲げるための荷重をかけたときに屈曲点が発生せず、毛先を2mm〜4mm押し曲げるための荷重をかけたときの荷重の増加がほぼ一定であるか、又は荷重の増加の傾きが0.62N/mm以下であるとの毛の柔軟性についての条件を有し、毛先の長さが25mm以下であるとの毛先の長さについての条件を有し、ブラシの口径が16mm以上〜44mm以下であるとのブラシ口径についての条件を有し、毛の束の広がり角度が、毛の延伸方向軸に対して外側に20度以内であるとの毛の束の広がり角度についての条件を備えた化粧ブラシであって、ブラシの毛先の毛先面部が平坦状を呈するように形成されていることを特徴とする化粧ブラシである。
【0009】
また請求項2は、ブラシの毛先の毛先面部の側面形状が傾斜状を呈するように形成されていることを特徴とする請求項1記載の化粧ブラシである。
【0010】
さらに請求項3は、請求項1又は2記載の化粧ブラシを使用して、化粧対象部にブラシの毛先の毛先面部をトントンと複数回叩くように、もしくは叩きながら滑らせるようにして化粧料を塗布することを特徴とする化粧方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1の化粧ブラシは、フィット感や肌あたりのやわらかさなどの使用感と仕上がりの均一さ、仕上げられた化粧の化粧持ちにおいて良好な結果が得られる効果がある。
本発明にかかる化粧ブラシを使用した場合の、化粧持ちに関するアンケート結果(パネル数31名)によれば、化粧持ちの良さがあるとの認定結果が73%、ややあるとの認定結果が10%、どちらでもないとの認定結果が7%、ややないとの認定結果が10%であった。
【0012】
また請求項2の化粧ブラシは、ブラシの毛先の毛先面部の側面形状が傾斜状を呈するように形成されているため、ホルダー部に相当する柄を斜めに保持して使用しても、平坦状を呈する毛先面部が肌に垂直状に触れ易くなるため、さらにフィット感や肌あたりのやわらかさなどの使用感と仕上がりの均一さが向上するという効果がある。
【0013】
また請求項3の化粧方法は、請求項1又は2記載の化粧ブラシを使用して、化粧対象部にブラシの毛先の毛先面部をトントンと複数回叩くように、もしくは叩きながら滑らせるようにして化粧料を塗布するため、一般人であってもメーキャップアーティストが仕上げたようにきれいに化粧料を塗布でき、仕上げられた化粧の化粧持ちが良いという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の化粧ブラシの正面図である。
【図2】同斜視図である。
【図3】本発明の他の実施例の化粧ブラシの正面図である。
【図4】同斜視図である。
【図5】本発明の他の実施例の化粧ブラシの正面図である。
【図6】[顕著例について]の比較例1における、毛の柔軟性を計測するために荷重をかけていくときに、屈曲点8が発生した状況を説明するグラフである。
【図7】CCDカメラ式顕微鏡による小鼻部の写真(本発明ブラシを使用したもの)である。
【図8】CCDカメラ式顕微鏡による小鼻部の写真(従来スポンジを使用したもの)である。
【図9】CCDカメラ式顕微鏡によるほほの外側の写真(本発明ブラシを使用したもの)である。
【図10】CCDカメラ式顕微鏡によるほほの外側の写真(従来ブラシを使用したもの)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の化粧ブラシ及び化粧方法の実施の形態を説明するが、本発明はこれらの実施の形態に制限されるものではない。
図1乃至図5に示す本発明に係る化粧ブラシ1は、柄2の先に口金3を介して毛先4を取り付けて構成されている。
毛先4を構成する毛の材質は、馬毛やイタチ、灰リス、松リス、カナダリス,山羊、狸、鹿、牛、羊、兎、猿、猫、狐、豚、狼、ムササビなどの獣毛を使用したり、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、ナイロン、PETなどの合成繊維毛を使用したり、それらを適切な混合比率で混毛したりしてブラシ全体にコシと弾力性を与え、ブラシの耐久性と使い易さと、毛先5の肌面への接触感(肌あたり)を向上させるようにしている。
【0016】
さらにヤング率と毛の断面積を乗じた値が6kNより大きくなると、使用時に多少不快感があり、6kN以下の場合の方が好ましいことが分かった。
また毛先については、肌あたりを良くするためのテーパー処理を行うとより好ましいことが分かった。
【0017】
まず本発明の化粧ブラシ1は、上記のブラシ毛を束ねて口金3で絞りながらしっかりと柄2に取り付けられて毛先4が形成され、この毛先4の毛先面部5は平坦状に形成されている。
なお図中の符号L1は毛先4の長さを、L2はブラシの口径を示している。
【0018】
本発明の化粧ブラシは、下記のA式に示されるものが、使用感と仕上がりにおいて良好な結果が得られ、仕上げられた化粧の化粧持ちが良くなることが判明した。
A式→(毛の柔軟性の条件)+(毛先の長さの条件)+(ブラシの口径の条件)+(ブラシの毛束の広がりの角度の条件)
【0019】
(毛の柔軟性の条件)
毛先を折り曲げたとき、毛先が2mm〜4mm押し曲げられているときに、実際にブラシを使用したときの状況を再現していると考えられるので、その物性について測定した。毛先が2mm〜4mm押し曲げられたときの荷重(N)の大きさに関しては、測定したどの形状のブラシも40N以内におさまっていた。
一方、毛先を押し曲げたときの距離に対する荷重をプロットして得たグラフについては、毛先を2mm〜4mm押し曲げたときの荷重の変化が、下記Bの条件をもつものが、フィット感や肌あたりのやわらかさなどの使用感と仕上がりの均一さにおいて良好な結果を示すことが分かった。なお、この測定には株式会社島津製作所製のオートグラフを用いた。
B−1 (2mm〜4mm押し曲げたときの荷重の増加がなめらかであり、屈曲点がないこと)
B−2 (2mm〜4mm押し曲げたときの荷重の増加がほぼ一定であるか、または増加の傾きが0.62N/mm以下のゆるやかな増加であること)
なお、毛先面部5が斜めのブラシについては、毛先面部5の面に平行になるように荷重をかけて測定した。
【0020】
(毛先の長さの条件)
毛先が短くなるとやや硬い感触となり使用感が低下するが問題はなく、長すぎる場合には、使用時にブラシの毛先が屈折してしまい、均一に荷重をかけることが難しく、使用感の面でも仕上がりの均一さにおいても、問題となることが分かった。
その結果、毛先の長さL1は25mm以下が好ましいことが判明した。
【0021】
(ブラシの口径の条件)
ブラシの口径L2が小さすぎる場合には、細かい部分まで美しく仕上げることができるが、顔全体にファンデーションを塗布するためには多くの時間を要するため問題となり、口径L2が大きすぎる場合には、顔全体にファンデーションを塗布するためにはあまり時間がかからず利便性が高いが、細かい部分を美しく仕上げることは難しいという問題があった。適度な口径L2は下記の条件を満たすことが分かった。なお、ブラシの口径L2とは、ブラシ1の毛先4を接合する口金3部分の寸法のことで、その断面形状が円状であればその直径、断面形状が楕円状であればその短径のことを意味する。
その結果、ブラシの口径L2は16mm以上〜44mm以下が好ましいことが判明した。
【0022】
(ブラシの毛束の広がり角度の条件)
一般的に良く見られる毛先の広がった形状のものは、本発明における塗布方法でのファンデーションを塗布する形状のブラシとして適さないことが分かった。
本発明の化粧ブラシは、ほぼ均一な長さの素材を用いて柄2の部分に対する毛先の広がりは、柄2と毛が直線状になっている場合から多少外側に広がっている場合には、使用感と仕上がりに問題はないが、毛の延伸方向軸6と毛束の最外側の広がり延伸方向軸7とが交差して形成されるブラシの毛束の広がり角度αが、外側に20度を超えて広がっている場合には、使用時に毛先4がさらに広がり、フィット感が低下したり、均一に仕上げることが難しいという問題があった。そこで、ブラシの毛束の広がり角度αは、毛の延伸方向軸6に対して外側に20度以内である必要がある。
【0023】
また、毛先4が外側に広がっておらず柄2の口金3部分とほぼ同一線上にあるものに関しては良好な結果を示し、毛先4が柄2と同一線上よりも内側に食い込んでいるもの(毛の延伸方向軸6よりも内側に向いている場合)に関しても、同様に良好な結果を示した。化粧ブラシ1の構造上、毛の延伸方向軸6よりも内側に20度以上食い込んでいるようなブラシを作製することは困難であったが、測定した結果、毛先が柄2の部分よりも内側に入り込んでいる場合は、どのような角度でも問題がなく良好な結果を示した。
さらに化粧ブラシ1の毛先4の毛先面部5が平坦状を呈していると、毛先面部が肌にまんべんなく平均圧で触れることになり、良好な結果を示すことが分かった。またブラシの毛先4の毛先面部5の側面形状が傾斜状を呈する(図3及び図4参照)ようにしておくと、さらに使用感や仕上がりが良好で、使い易さも向上することが分かった。
【0024】
以下に実施例と比較例との各項目毎の効果の結果を表した回答アンケートの、集計結果を示す。各項目毎に、最も数の多い結果を◎、○、△、×の各記号で示し、◎は大変優れている、○はやや優れている、△はやや劣っている、×は大変劣っているという内容を示している。
パネル数は31名であり、「仕上がりの美しさ」とは、透明感、ツヤのある仕上がり(粉っぽくない仕上がり)、立体感、自然な仕上がり、化粧持ち、毛穴やにきび跡の凹凸のカバー力、シミやそばかすなどの肌の色ムラのカバー力、顔全体の均一さ等と同時に、顕微鏡で拡大観察を行ったときに確認できる粉末の均一さ、を総合的に判断した結果である。
【実施例】
【0025】
[顕著例について]
本発明ブラシの実施例1乃至実施例3ブラシ、及び比較例1乃至比較例4ブラシとの使用感等に関する結果を、下記の表1に示す。
なお図6は、下記の比較例1において、毛の柔軟性を計測するために荷重をかけていくときに、屈曲点8が発生した状況を説明するグラフである。
○実施例1ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0で、毛先の長さLIが13−18mm、ブラシの口径L2が19mm、ブラシの毛束の広がり角度αがほぼ0度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→斜めである。
○実施例2ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.256で、毛先の長さL1が13−18mm、ブラシの口径L2が19mm、ブラシの毛束の広がり角度αがほぼ0度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→斜めである。
○実施例3ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0で、毛先の長さL1が20mm、ブラシの口径L2が20mm、ブラシの毛束の広がり角度αがほぼ0度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○比較例1ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が有りで、毛の柔軟性→測定困難、毛先の長さL1が12mm、ブラシの口径L2が19mm、ブラシの毛束の広がり角度αがほぼ0度、毛先面部5の状態はややかまぼこ状、毛先の状態→水平である。
○比較例2ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が有りで、毛の柔軟性→測定困難、毛先の長さL1が25mm、ブラシの口径L2が20mm、ブラシの毛束の広がり角度αが30度、毛先面部5の状態はややかまぼこ状、毛先の状態→水平である。
○比較例3ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が有りで、毛の柔軟性→測定困難、毛先の長さL1が26mm、ブラシの口径L2が15mm、ブラシの毛束の広がり角度αがほぼ0度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○比較例4ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.625、毛先の長さL1が18mm、ブラシの口径L2が15mm、ブラシの毛束の広がり角度αがほぼ0度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
【0026】
【表1】

【0027】
[毛の柔軟性について]
本発明ブラシの実施例1乃至実施例5ブラシ、及び比較例1乃至比較例5ブラシとの使用感等に関する結果を、下記の表2に示す。
○実施例1ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0で、毛先の長さLIが18mm、ブラシの口径L2が19mm、ブラシの毛束の広がり角度αが10度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○実施例2ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0で、毛先の長さL1が20mm、ブラシの口径L2が20mm、ブラシの毛束の広がり角度αが0度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○実施例3ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0で、毛先の長さL1が12−18mm、ブラシの口径L2が19mm、ブラシの毛束の広がり角度αが−2度(内側に2度)、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→斜めである。
○実施例4ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.34で、毛先の長さL1が15−17mm、ブラシの口径L2が19mm、ブラシの毛束の広がり角度αが10度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→斜めである。
○実施例5ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.62で、毛先の長さL1が15mm、ブラシの口径L2が18mm、ブラシの毛束の広がり角度αが20度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○比較例1ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が有りで、毛の柔軟性→測定困難、毛先の長さL1が20mm、ブラシの口径L2が18mm、ブラシの毛束の広がり角度αがほぼ20度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○比較例2ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が有りで、毛の柔軟性→測定困難、毛先の長さL1が22mm、ブラシの口径L2が21mm、ブラシの毛束の広がり角度αが4度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○比較例3ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.63で、毛先の長さL1が13mm、ブラシの口径L2が18mm、ブラシの毛束の広がり角度αが3度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○比較例4ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.64で、毛先の長さL1が18mm、ブラシの口径L2が17mm、ブラシの毛束の広がり角度αが4度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○比較例5ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.7で、毛先の長さL1が20mm、ブラシの口径L2が20mm、ブラシの毛束の広がり角度αが8度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
【0028】
【表2】

【0029】
[毛先の長さについて]
本発明ブラシの実施例1乃至実施例7ブラシ、及び比較例1乃至比較例3ブラシとの使用感等に関する結果を、下記の表3に示す。
○実施例1ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.18で、毛先の長さLIが5mm、ブラシの口径L2が18mm、ブラシの毛束の広がり角度αが−1度(内側に1度)、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○実施例2ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0で、毛先の長さL1が8mm、ブラシの口径L2が21mm、ブラシの毛束の広がり角度αが4度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○実施例3ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.4で、毛先の長さL1が15−19mm、ブラシの口径L2が17mm、ブラシの毛束の広がり角度αが−3度(内側に3度)、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→斜めである。
○実施例4ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0で、毛先の長さL1が15mm、ブラシの口径L2が20mm、ブラシの毛束の広がり角度αが0度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○実施例5ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0で、毛先の長さL1が18mm、ブラシの口径L2が18mm、ブラシの毛束の広がり角度αが2度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○実施例6ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.34で、毛先の長さL1が16−18mm、ブラシの口径L2が20mm、ブラシの毛束の広がり角度αが10度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→斜めである。
○実施例7ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.28で、毛先の長さL1が24mm、ブラシの口径L2が18mm、ブラシの毛束の広がり角度αが20度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○比較例1ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.5で、毛先の長さL1が25mm、ブラシの口径L2が20mm、ブラシの毛束の広がり角度αが3度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○比較例2ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.43で、毛先の長さL1が25mm、ブラシの口径L2が17mm、ブラシの毛束の広がり角度αが−3度(内側に3度)、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○比較例3ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.1で、毛先の長さL1が27mm、ブラシの口径L2が20mm、ブラシの毛束の広がり角度αが8度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
【0030】
【表3】

【0031】
[ブラシの口径について]
本発明ブラシの実施例1乃至実施例5ブラシ、及び比較例1乃至比較例5ブラシとの使用感等に関する結果を、下記の表4に示す。
○実施例1ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.24で、毛先の長さLIが12−18mm、ブラシの口径L2が20mm、ブラシの毛束の広がり角度αが2度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→斜めである。
○実施例2ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0で、毛先の長さL1が17mm、ブラシの口径L2が16mm、ブラシの毛束の広がり角度αが0度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○実施例3ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0で、毛先の長さL1が12−18mm、ブラシの口径L2が17mm、ブラシの毛束の広がり角度αが−2度(内側に2度)、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→斜めである。
○実施例4ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.18で、毛先の長さL1が10mm、ブラシの口径L2が30mm、ブラシの毛束の広がり角度αが4度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○実施例5ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.32で、毛先の長さL1が12−18mm、ブラシの口径L2が44mm、ブラシの毛束の広がり角度αが2度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→斜めである。
○比較例1ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0で、毛先の長さL1が18mm、ブラシの口径L2が4mm、ブラシの毛束の広がり角度αが0度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○比較例2ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0で、毛先の長さL1が22mm、ブラシの口径L2が13mm、ブラシの毛束の広がり角度αが3度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○比較例3ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.52で、毛先の長さL1が14mm、ブラシの口径L2が45mm、ブラシの毛束の広がり角度αが7度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○比較例4ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.36で、毛先の長さL1が18mm、ブラシの口径L2が46mm、ブラシの毛束の広がり角度αが3度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○比較例5ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.1で、毛先の長さL1が21mm、ブラシの口径L2が48mm、ブラシの毛束の広がり角度αが1度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
【0032】
【表4】

【0033】
[ブラシの毛束の広がり角度について]
本発明ブラシの実施例1乃至実施例4ブラシ、及び比較例1乃至比較例3ブラシとの使用感等に関する結果を、下記の表5に示す。
○実施例1ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0で、毛先の長さL1が19mm、ブラシの口径L2が19mm、ブラシの毛束の広がり角度αが−2度(内側に2度)、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○実施例2ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0で、毛先の長さL1が13−14mm、ブラシの口径L2が20mm、ブラシの毛束の広がり角度αが0度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→斜めである。
○実施例3ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.41で、毛先の長さL1が16−20mm、ブラシの口径L2が18mm、ブラシの毛束の広がり角度αが1度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→斜めである。
○実施例4ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.53で、毛先の長さL1が16mm、ブラシの口径L2が16mm、ブラシの毛束の広がり角度αが5度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○比較例1ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0で、毛先の長さL1が14mm、ブラシの口径L2が17mm、ブラシの毛束の広がり角度αが30度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○比較例2ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.36で、毛先の長さL1が18mm、ブラシの口径L2が22mm、ブラシの毛束の広がり角度αが33度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
○比較例3ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.27で、毛先の長さL1が17mm、ブラシの口径L2が16mm、ブラシの毛束の広がり角度αが40度、毛先面部5の状態は平坦状、毛先の状態→水平である。
【0034】
【表5】

【0035】
[毛先の形状について]
本発明ブラシの実施例1乃至実施例3ブラシ、及び比較例1乃至比較例4ブラシとの使用感等に関する結果を、下記の表6に示す。
○実施例1ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.3で、毛先の長さLIが20mm、ブラシの口径L2が17mm、ブラシの毛束の広がり角度αが−1度(内側に1度)、毛先面部5の状態は平坦、毛先の状態→水平である。
○実施例2ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.29で、毛先の長さL1が20mm、ブラシの口径L2が34mm、ブラシの毛束の広がり角度αが2度、毛先面部5の状態は平坦、毛先の状態→水平である。
○実施例3ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.42で、毛先の長さL1が18mm、ブラシの口径L2が21mm、ブラシの毛束の広がり角度αが3度、毛先面部5の状態は平坦、毛先の状態→水平である。
○比較例1ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.61で、毛先の長さL1が15mm、ブラシの口径L2が20mm、ブラシの毛束の広がり角度αが3度、毛先面部5の状態はわずかにかまぼこ状、毛先の状態→水平である。
○比較例2ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.32で、毛先の長さL1が20mm、ブラシの口径L2が24mm、ブラシの毛束の広がり角度αが−1度(内側に1度)、毛先面部5の状態はわずかにかまぼこ状、毛先の状態→水平である。
○比較例3ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が無しで、毛の柔軟性→傾きが0.33で、毛先の長さL1が19mm、ブラシの口径L2が18mm、ブラシの毛束の広がり角度αが2度、毛先面部5の状態はややかまぼこ状、毛先の状態→水平である。
○比較例4ブラシは、毛の柔軟性→屈曲点8が有りで、毛の柔軟性→傾きが0.33で、毛先の長さL1が19mm、ブラシの口径L2が18mm、ブラシの毛束の広がり角度αが3度、毛先面部5の状態はかまぼこ状、毛先の状態→水平である。
【0036】
【表6】

【0037】
さらに本発明の化粧方法は、上記で説明した化粧ブラシを使用して、毛先の毛先面部5の平坦状部を肌に垂直状にあたるように、トントンと複数回叩くように、もしくは叩きながら滑らせるようにして使用するものであり、この化粧方法を採用すると一般人であってもメーキャップアーティストが仕上げたようなきれいな化粧が行えることとなる。
【0038】
図7乃至図10はCCDカメラ式顕微鏡による肌部の拡大写真(偏光モード50倍)であり、図7は本発明にかかる化粧ブラシを使用して化粧を行った小鼻(毛穴の多い場所)の写真であり、図8は従来の化粧スポンジを使用して化粧を行った小鼻の写真であり、図9は本発明にかかる化粧ブラシを使用して化粧を行ったほほの外側の写真であり、図10は従来の化粧ブラシを使用して化粧を行ったほほの外側の写真である。
これらの写真を観察すると、図7及び図9の写真は、それぞれ比較すべき図8及び図10の写真よりも仕上がりの均一さが認められ、肌のきめがきれいでしみやそばかすなどが完全に隠された状態となっていることが良く理解できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、化粧ブラシを取り扱う分野で利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 化粧ブラシ
2 柄
3 口金
4 毛先
5 毛先の毛先面部
6 毛の延伸方向軸
7 毛束の最外側の広がり延伸方向軸
8 屈曲点
L1 毛先の長さ
L2 ブラシの口径
α 毛の延伸方向軸と毛束の最外側の広がり延伸方向軸が交差して形成されるブラシの毛束の広がり角度


【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛先を2mm〜4mm押し曲げるための荷重をかけたときに屈曲点が発生せず、毛先を2mm〜4mm押し曲げるための荷重をかけたときの荷重の増加がほぼ一定であるか、又は荷重の増加の傾きが0.62N/mm以下であるとの毛の柔軟性についての条件を有し、毛先の長さが25mm以下であるとの毛先の長さについての条件を有し、ブラシの口径が16mm以上〜44mm以下であるとのブラシ口径についての条件を有し、毛の束の広がり角度が、毛の延伸方向軸に対して外側に20度以内であるとの毛の束の広がり角度についての条件を備えた化粧ブラシであって、ブラシの毛先の毛先面部が平坦状を呈するように形成されていることを特徴とする化粧ブラシ。
【請求項2】
ブラシの毛先の毛先面部の側面形状が傾斜状を呈するように形成されていることを特徴とする請求項1記載の化粧ブラシ。
【請求項3】
請求項1又は2記載の化粧ブラシを使用して、化粧対象部にブラシの毛先の毛先面部をトントンと複数回叩くように、もしくは叩きながら滑らせるようにして化粧料を塗布することを特徴とする化粧方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−87675(P2011−87675A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−242086(P2009−242086)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】