説明

化粧品を施用するための、竹繊維を含むデバイスおよび関連する製造の方法

このデバイス(10)は、繊維をベースに形成された不織布本体(12)を備え、不織布本体を形成する繊維は全てセルロース繊維である。該不織布本体を形成する繊維は、不織布本体(12)を形成する繊維の総質量に対して少なくとも20質量%の竹繊維(14)を含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維をベースに形成された不織布本体を備え、不織布本体を形成する繊維が全てセルロース繊維であるタイプの、化粧品を施用するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
そのような施用デバイスは、化粧品を染み込ませるための、例えば、拭取り布(wipe)、織布(web)、織物(fabric)、当て布、円型布(disc)または角型布(square)を形成するためのものであり、染み込ませたデバイスを使用者の皮膚、爪またはケラチン繊維と接触させることにより製品を施用することを目的としている。
【0003】
別形態では、施用デバイスは、使用者に化粧品を施用できるように、使用者の手でつかむための握り本体の一端に配置される。
【0004】
「化粧品」は、とりわけ、1993年6月14日付けの欧州閣僚理事会指令93/35/EECにおいて規定されているような製品を意味する。化粧品は、例えば、メーキャップ、使用者の皮膚もしくはケラチン繊維に施用されたメーキャップを除去するためのメーキャップ除去用組成物、ネイルエナメル除去剤、または、より一般的には、クリームもしくは乳液である。
【0005】
WO2007/070147では、不織布本体を備える拭取り布が開示されている。拭取り布の不織布本体は、例えば、紙の形成に似た湿式工程によりシートに形成されるセルロース繊維の混合物をベースに作製される。
【0006】
拭取り布の特性を改変するためには、セルロースに由来しない合成繊維を繊維混合物に加える。
【0007】
現在の環境的制約は、そうした製品の使用が増える結果生じる廃棄物の量を制限するために、そのようなタイプの拭取り布は急速に生分解されなければならないことを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2007/070147
【特許文献2】CN1458306
【特許文献3】FR2450293
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、拭取り布にとって適切な特性を、とりわけ、その外見、とりわけその光沢に関し、また、その使用特性、とりわけその機械的強度に関して維持することは依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の目的は、化粧品を施用するためのデバイスであって、実質的に生分解性であるが、同時に美的外観が向上しており高い機械的強度を有するデバイスを得ることである。
【0011】
そのために、本発明は、不織布本体を形成する繊維が、不織布本体を形成する繊維の総質量に対して少なくとも20質量%の竹繊維を含むことを特徴とする前述のタイプのデバイスに関する。
【0012】
本発明によるデバイスは、単独で、または、任意の技術的に可能な組合せにより得られる、以下の特徴の1つまたは複数を備えていてもよい:
・不織布本体を形成する繊維が、不織布本体を形成する繊維の総質量に対して38質量%〜100質量%の竹繊維を含む、
・不織布本体を形成する繊維が、不織布本体を形成する繊維の総質量に対して38質量%〜70質量%、有利には38質量%〜50質量%、もしくは60質量%〜70質量%の竹繊維を含むか、または、80質量%〜100質量%、有利には92質量%〜100質量%の竹繊維を含む、
・竹繊維の平均長さが5mm超であり、有利には10mm〜60mmである、
・不織布本体が、竹繊維と竹以外のセルロース繊維とを含むセルロース繊維の混合物をベースに形成される、
・竹以外のセルロース繊維が、ビスコース繊維、リヨセル繊維およびそれらの混合物から選択される、
・竹以外のセルロース繊維の平均長さが15mm〜50mm、有利には30mm〜50mmである、
・不織布本体のセルロース繊維が全て竹繊維である、
・不織布本体が、触れると変形するシートである。
【0013】
本発明はまた、先に定義した通りのデバイスを製造する方法であって、
・セルロース繊維の総質量に対して少なくとも20質量%の竹繊維を含むセルロース繊維を供給するステップ、
・繊維ベースの不織布本体を形成するために、セルロース繊維を物理的、化学的および/または機械的に結合するステップであり、不織布本体を形成する繊維が全てセルロース繊維であるステップ、
を含む方法にも関する。
【0014】
純粋に例の目的で示す以下の説明を読めば、また、添付の図面(図1は、本発明による、化粧品を施用するための拭取り布の上面図である)を参照すれば、本発明はよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による施用デバイス10の第1の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
そのような施用デバイスは、化粧品を染み込ませるための、拭取り布、織布、織物、当て布、円型布または角型布を形成するためのものであり、染み込ませたデバイスを使用者の皮膚、ケラチン繊維または爪と接触させることにより製品を施用することを目的としている。
【0017】
図1に示す実施形態では、デバイス10は、化粧品を施用するための拭取り布である。
【0018】
デバイス10は、竹繊維14と竹以外のセルロース繊維16との混合物をベースに作製された不織布本体12を備える。
【0019】
別形態では、不織布本体12は、専ら竹繊維から形成される。
【0020】
本体12は、有利にはシートである。本発明に関する場合、「シート」は、実質的に平らな、すなわち、厚さが、それ以外の寸法の少なくとも2倍薄い、有利には少なくとも5倍薄い本体を意味する。本体12の厚さは、有利には0.3mm〜3mmである。
【0021】
図1に示す実施形態では、本体12は実質的に長方形である。本体12の最大表面積は、1m2未満である。
【0022】
本体12は、触れると変形するように柔軟である。本発明に関する場合、「触れると変形する」は、施用デバイス10の使用者が自身の指により、とりわけ、2本の指の間に同施用デバイスをつまむことにより本体12を変形できることを意味する。
【0023】
本体12は、全てセルロース繊維である繊維14と繊維16との混合物をベースに作製される不織布である。
【0024】
本発明に関する場合、「不織布」は、繊維の混合物を含む基材であって、この基材の中では、個々の繊維またはフィラメントが不規則な様式で中綿(batt)の形態で構造中に配置されており、織られても編まれてもいない基材を意味する。本体の不織布の繊維は、機械的作用(水噴流)もしくは熱作用いずれかの影響下で、または結合剤の添加により、全体的に互いに結合されている。
【0025】
そのような不織布は、例えば、標準ISO9092では、摩擦および/または合着(cohesion)および/または接着により結合された、一方向またはランダムな方向に配置される繊維の織布または中綿と定義されており、紙、および、織られ、編まれ、房状になり、縫い合わされている製品は除かれる。
【0026】
本明細書中で以後見られることになるように、不織布本体12は、本発明に関する場合、一般には、乾式工程により、とりわけ梳綿により、または、「エアレイド」と呼ばれる空気力学的堆積の工程により、得られる。別形態では、本発明の不織布本体12は、紙の作製に似た手順で湿式工程により得られる。
【0027】
「セルロース繊維」は、天然セルロースベースの繊維、すなわち、植物から採取されているか、または、粉砕、圧縮、破砕および/または分離など、植物を機械的に処理することにより得られているかいずれかにより、植物に直接由来する繊維を意味する。「セルロース繊維」は、変性セルロース、すなわち、化学成分と反応させてある、天然セルロースまたは可溶化させた天然セルロースの繊維も意味する。「セルロース繊維」は、さらに、溶媒中で可溶化させてから繊維の形態で再形成された再生セルロース、すなわち、任意選択的に変性させた天然セルロースの繊維も意味する。
【0028】
そのようなセルロース繊維は、有利には生分解性である。
【0029】
そのようなセルロース繊維は、少なくとも50%のセルロースまたはセルロース誘導体を含有する。
【0030】
したがって、不織布本体12の繊維は、合成繊維を含有しない。「合成繊維」は、例えば石油に由来する合成モノマーの重合により得られる繊維など、天然の前駆体ポリマーを有さない繊維を意味する。合成繊維としては、とりわけ、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル類、ナイロンなどのポリアミド類、ポリ塩化ビニルなどのフッ化または塩化ポリマーが挙げられる。そのような繊維は、生分解性ではないことから、本発明による施用デバイス10の不織布本体12の作製には使用できない。
【0031】
不織布本体12の竹繊維14は、「イネ」科の「タケ連」と呼ばれる植物から得られる。
【0032】
竹繊維14は、有利には、竹の再生セルロースから得られる。
【0033】
そうした目的のために、この竹繊維の作製の方法は、採取した竹を機械的に切断してチップを得ること、スクリーニングすること、次いで、そのようにして形成されたチップを洗浄し、加熱処理し、漂白し、叩くことに次いで暗中退色させること(etiolation)を含む。
【0034】
次いで、この作業は、濾過、紡績して繊維を得ること、および、繊維を切断してから乾燥させるステップを含む。
【0035】
そのような方法は、例えば、中国の特許出願CN1458306に記載されている。
【0036】
その後で得られる繊維は、有利には、平均長さが5mm超であり、特に5mm〜50mm、有利には30mm〜50mmであり、特に、実質的に38mmに等しい。
【0037】
繊維14の直径は5μm〜30μm、繊度(titre)は1.2dtex〜1.7dtexである。
【0038】
竹繊維14の密度は1.2〜1.4であり、実質的に1.3に等しい。竹繊維14の含水量は5質量%〜15質量%であり、有利には、実質的に12%に等しい。
【0039】
竹繊維14の破断点伸度(elongation at break)は、乾燥状態で10%〜25%、有利には20%〜25%である。
【0040】
竹繊維14のテナシティー(tenacity)は2〜4cN/dtexであり、好ましくは、実質的に2.2cN/dtexに等しい。
【0041】
竹繊維14は深い白色を有する。したがって、専ら竹繊維14を含有する不織布を作製すると、標準CIE1976に従い、国際照明委員会により開発された「L*a*b」色表現モデルにおいて測定した場合、この不織布の明度「L」は85〜92、「a」成分は-0〜-2、「b」成分は2〜5である。
【0042】
55.5%標準硫酸を含有する20℃の溶液中で30分浸漬させた後の竹繊維14の可溶性は25%超、有利には30%超であり、特に、実質的に32%に等しい。
【0043】
さらに、この竹繊維の真円度は50%未満、特に実質的に40%に等しくてもよい。
【0044】
竹繊維14と竹以外のセルロース繊維16との総質量に対する、不織布本体12の、竹繊維14と竹以外のセルロース繊維16との混合物中の竹繊維の質量比は、20質量%〜100質量%、有利には38質量%〜100質量%である。
【0045】
有利には、質量比は、38質量%〜70質量%、有利には38質量%〜50質量%、もしくは58質量%〜70質量%であるか、または、80質量%〜100質量%、有利には92質量%〜99質量%である。
【0046】
竹繊維は、例えば、中国の企業TANGSHAN SANYOUにより(1.6dtex*38mm、竹繊維、明色)と書かれて、または、中国の企業BAMBRO TEXにより1.56dtexの商品名で、市販されている。
【0047】
竹以外のセルロース繊維16は、植物由来の天然セルロース繊維、変性および/または再生セルロースをベースにして得られる人工のセルロース繊維またはそれらの混合物をベースにして得られる。
【0048】
植物由来の天然セルロース繊維の例は、綿、麻、ジュート、羊毛または木材パルプである。
【0049】
人工のセルロース繊維は、天然セルロースを処理する工程により得られる。
【0050】
そのような繊維は、例えば、International Bureau for the Standardization of Man-made Fibers(BISFA)による一般的な様式では、セルロースのヒドロキシル基のアセチル化により得られる「アセテート」または「トリアセテート」タイプのセルロース繊維、例えば、アルギン酸カルシウムなどアルギン酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩などアルギン酸の金属塩から得られる「アルギネート」タイプの繊維、または、天然セルロースが、銅とアミンとを含む化合物(キュプラテトラアミン(cupratetraamine)ジヒドロキシドなど)中で溶解される「銅アンモニア」工程により得られる「キュプロ」タイプのセルロースベース繊維であると定義されている。
【0051】
有利には、竹以外のセルロース繊維16はビスコース繊維である。本発明に関する場合、「ビスコース繊維」は、BISFAの定義による「ビスコース」工程により得られる繊維を意味し、この工程においては、有利には、キサントゲン酸セルロースの塩基性溶液を1つまたは複数の再生浴から繊維の形態で引き出す。この繊維は大きな破壊強度(rupture strength)を有することがあり、その場合は「モダール」と記載される。
【0052】
有利には、また、別形態では、竹以外のセルロース繊維16はリヨセル繊維である。「リヨセル繊維」は、有機化学製品と水との混合物を含む有機溶媒から紡績工程により得られるセルロース繊維を意味し、「溶媒により紡績する」の表現は、セルロース誘導体を形成させずに溶媒にセルロースを溶解することを意味する。
【0053】
BISFAが「リヨセル」工程として記載する工程においては、天然セルロースを、例えば、水とアミン-N-オキシド、例えば、N-メチルモルホリン-N-オキシドなどの三級アミン-N-オキシドとの混合物に溶解してから、繊維を形成するために、通気道を通して沈殿浴中に押し出す。そのような工程は、例えば、FR2450293に記載されている。
【0054】
そのようにして得られた竹以外のセルロース繊維16の長さは10mm〜50mm、有利には30mm〜50mmであり、実質的に40mmに等しい。繊維16の直径は5μm〜30μmである。
【0055】
標準に従い測定する場合、竹以外のセルロース繊維16の綿密度は1.5dtex〜2.0dtex、破断点でのテナシティーは20cN/tex〜40cN/tex、有利には16〜34cN/texである。さらには、標準に従い測定する場合、竹以外のセルロース繊維16の破断点伸度は8%〜25%である。
【0056】
標準CIE1976に従い、国際照明委員会により開発された「L*a*b」色表現モデルにおいて測定した場合、専ら繊維16から形成された不織布の明度「L」は91%超、「a」成分および「b」成分は、それぞれ、0〜1、-3〜-2である。したがって、竹以外のセルロース繊維16は白色である。
【0057】
本体12を構成する繊維14、16の総質量に対して、竹以外のセルロース繊維16の質量比は、0質量%〜80質量%、有利には0質量%〜62質量%である。
【0058】
有利には、比率は、30質量%〜62質量%、有利には50質量%〜62質量%、もしくは30質量%〜42質量%であるか、または、0質量%〜20質量%、有利には1質量%〜8質量%である。
【0059】
竹繊維14の質量比(%)と竹以外のセルロース繊維16の質量比(%)との合計は、100%に等しい。
【0060】
有利には、繊維16は、ビスコース繊維またはリヨセル繊維(オーストリアの企業LENZINGにより、それぞれの商標「LENZING VISCOSE(登録商標)」および「LENZING LYOCELL(登録商標)」で市販されている)をベースに作製される。
【0061】
有利には、化学結合剤を使用せずに不織布本体12の機械的な合着を維持する。
【0062】
別形態では、化学結合剤を使用する。結合剤は、例えば、アクリル乳剤、酢酸ビニル-エチレンタイプの乳剤、スチレン-ブタジエン-スチレンタイプの乳剤または塩化ビニル乳剤である。
【0063】
したがって、図1により示すように、デバイス10の不織布本体12は、竹繊維14が、目に見え、竹以外のセルロース繊維16の構造中で均質な様式で分散しており、施用デバイス10に自然な外見を賦与する、外面を有する。
【0064】
本体12は、先に定義したようにセルロース繊維16から専ら形成された不織布に対して、以下の等式:
【0065】
【数1】

【0066】
(式中、L1、a1およびb1は不織布本体12の「L*a*b」係数であり、L2、a2およびb2は、専ら繊維16をベースに作製された不織布の「L*a*b」係数である)
により定義される通り、係数ΔEが2を超える。
【0067】
そのようにして得られる本体の基本重量は、40〜250g/m2である。
【0068】
この施用デバイスの不織布本体12には、有利には、メーキャップ、メーキャップ除去用組成物、ネイルエナメル除去剤、または、より一般的には、クリーム、乳液もしくはローションなどの少なくとも1つの化粧品を担持させる。
【0069】
そのような担持作業は、本体12の製造後、デバイス10を使用者が使用する前に製造所において実施でき、次いで、化粧品を担持させたデバイス10を、使用者に供給するためのパッケージングに配置する。
【0070】
別形態では、不織布本体12は、使用者が使用する前は化粧品と離れていてもよく、使用されるときに、使用者自身が化粧品を不織布本体12に施用する。
【0071】
本発明による施用デバイス10の製造の方法の例を次に説明することとする。
【0072】
まず、前述したような竹繊維14と、前述したような竹以外のセルロース繊維16とを供給し、混合して、繊維14と繊維16との実質的に均質な混合物を得る。
【0073】
次に、この方法は、不織布本体12を形成するステップ、本体12を圧密化するステップ、次いで仕上げるステップを含む。
【0074】
本体12を形成するステップは、乾式工程または湿式工程いずれかにより実施し、そのような工程は、それぞれ、用語「ドライレイド(drylaid)」および「ウェットレイド(wetlaid)」により述べられる。
【0075】
乾式工程においては、本体12は、有利には、梳綿によるか、または、「エアレイド」と呼ばれる空気力学的堆積の工程により形成される。
【0076】
梳綿作業の場合、繊維14、16の梱包を最初に開いてから混合し、繊維14、16が梳かれ、個別化されてから一般的な軸に従い方向が定まるように、コンベヤーベルトを用いて梳綿機に送る。
【0077】
梳綿により得られる不織布本体12の繊維14、16を、機械方向に実質的に互いに並行な主ドラム上に堆積させる。
【0078】
空気力学的堆積の工程においては、梳綿機を使用して、繊維14、16のマットを形成し、これを回転ローラーに送る。遠心力の作用下で繊維14、16の中綿を気流中に投じ、その中で繊維は全ての優先方向を失い、次いで順に成形ベルト上に載る。
【0079】
湿式工程においては、繊維14、16を含有する非常に希薄なペーストがコンベヤーベルト上に堆積される。次に、吸引によりベルトから水を除去して、脱水し、本体12を形成する。次に、本体12をシリンダー間で圧縮することにより圧密化してから乾燥させる。
【0080】
そのようにして形成された本体12中で得られる繊維14、16は、方向が非常に変化しやすい。
【0081】
圧密化ステップにおいては、多様なタイプの結合を用いて、本体12の機械的な合着を確実にする。
【0082】
有利には、機械的な結合を用いて本体12を圧密化する。
【0083】
第1のタイプの機械的な結合は、針(有利には鉤のついたもの)が本体12の繊維14、16を垂直に通って突くことでそれらを織り合わせるニードルパンチである。当該手法により、大きな基本重量および厚さを有する不織布を得ることが可能になる。
【0084】
有利には、この結合は、「スパンレース」または「水噴流圧密化(water-jet consolidation)」と呼ばれる手法による水噴流により実施する。
【0085】
当該工程においては、本体12の繊維14、16は、高圧の水噴流により織り合わされる。噴流と接触すると、繊維は、本体12の三次元で再配置され、結合剤を加えることなく圧密化を達成できる。噴流圧力(例えば50バール〜200バールである)により、得たい不織布の強度が決まる。
【0086】
別形態では、高速で繊維14、16を互いに融着するために、2つのシリンダー間で本体12を圧縮することにより熱結合を用いる。繊維14、16間を結合させるために熱風または超音波の制御流を使用してもよい。
【0087】
別形態では、有利にはアクリル乳剤、酢酸ビニル-エチレンの乳剤、スチレン-ブタジエン-スチレンの乳剤または別の分散ポリマーにより形成された結合剤を本体12に施用することにより、化学結合を実施する。
【0088】
結合剤は、染み込ませること、コーティングまたはスプレーにより、間欠的または継続的いずれかの様式で均一に施用する。
【0089】
仕上げステップにおいては、本体12の圧密化後、化学物質を加えてもよい。機械的なエンボス加工工程は、とりわけ、本体12上にデザインを創出するために使用してもよい。
【0090】
次に、ビスコース繊維と竹繊維との混合物をベースに、または専ら竹繊維をベースに作製された本発明による拭取り布の3つの例、および、専らビスコース繊維から作製された拭取り布の比較例を、以下のTable 1 (表1)に記載することとする。
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】

【0093】
この拭取り布は、乾式工程により製造し、水噴流により圧密化する。結合剤を加えて不織布本体を圧密化することはしない。
【0094】
本発明による拭取り布の自然な外見を示すために、L*a*b法による比色分析の結果をTable 2 (表2)に記載する。
【0095】
本発明による施用デバイスを用いて観察された光沢の増加を示すために、製造された拭取り布の光沢結果をTable 3 (表3)に記載する。
【0096】
【表3】

【0097】
測定対象となる表面上における狭い範囲の反射角度で反射される光の強度を測定する反射率計を用いて、光沢を定量化する。反射率計の測定結果は、規定の屈折率を有する磨いた黒ガラス標準上で測定される光の量との比較に基づく。構築された標準について、測定値を100光沢単位(gloss unit)で固定する。
【0098】
BYK GARDENERという企業により製造された「micro-Tri-Gloss」装置を用いて、Table 3 (表3)に示す結果を得た。当該結果は、とりわけ、標準DIN EN ISO2813に従い得られる。
【0099】
理解されることであろうが、竹繊維の存在により、とりわけ85°の照明角度で、光沢が増す。本発明による施用デバイス10の外見は、それにより向上する。
【0100】
加えて、本発明によるデバイス10の引張強度(tensile strength)を測定した。結果を以下のTable 4 (表4)にまとめる。
【0101】
【表4】

【0102】
機械方向および横断方向における以下のそれぞれの条件について、寸法(250+/-0.5mm)×(50+/-0.5mm)を有する5枚の長方形の試験片を用いるEDANA法により試験を実施する。試験片は、20℃、相対湿度65%の条件のデシケーター中に保持する。デシケーターからの除去と試験との間で経過する時間は、30分を超えない。
【0103】
相対湿度65%を得るために、硝酸アンモニウム塩(NH4 NO3)の飽和溶液をデシケーターの底の中に注ぐか、または、気候室を温度25℃、湿度測定による相対湿度65%で調節する。
【0104】
試験片は、予めかけておいた引張荷重下に置く。予め荷重をかける間、速度は1mm/分であり、加える力は0.1ニュートンである。予めかける荷重に一旦到達したら、試験を開始する。試験速度は1分当たり100mmであり、あご間の距離は200mmである。
【0105】
吸収速度、すなわち、規定の浸漬・排水時間後に本発明によるデバイス10の試料により保持される液体の量を、以下のTable 5 (表5)にまとめる。
【0106】
【表5】

【0107】
幅方向に少なくとも10cmの間隔をあけ、寸法(100mm+/-mm)×(100mm+/-1mm)を有する本発明によるデバイス10の試料1つ当たり5枚の長方形の試験片に基づき、各試料について結果が得られる。試験対象となる試料は、20℃、相対湿度65%の条件の気候室中で24時間整える。都市用水の温度と室温とが釣り合うように、都市用水をおよそ20mmのレベルまで含有する晶析装置を試験前2時間試験室内に置く。次に、気候室から試料を取り出し、個別に、または、まとめて計量し、次いで金網(大きさは120mm×120mm、メッシュサイズは2mm)上に置く。気泡が入らないようにしながら金網を60秒間水中に浸漬させてから、トングにより容器の外に取り出す。次に、各試料を垂直に120秒間汲み出した後、覆いの付いたガラス容器の中に置く。次に、全体を計量して、液体吸収速度を得る。
【0108】
竹繊維の存在は、本発明によるデバイス10の吸収能力に影響しない。
【0109】
本発明によるデバイス10の抗菌活性を、以下のTable 6 (表6)において測定する。
【0110】
【表6】

【0111】
2007年の標準NF EN ISO20743に従い、綿から形成された対照との比較により、活性を測定する。使用する菌株は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC6538である。播種用懸濁液は、1.02×105CFU/ml(式中、用語CFUは「コロニー形成単位」を表す)を含む。
【0112】
試験片(tp、test piece)1枚当たりのコロニー形成単位(CFU/tp)の対数の平均を定量するために、結果を、3つの同一の試料について測定する。
【0113】
Table 6 (表6)により示すように、本発明によるデバイスは、綿対照と比較して静菌活性を有する。
【0114】
別形態では(示していない)、施用デバイス10を握りデバイスの自由端に配置して、使用者に(例えば、使用者のケラチン繊維に)化粧品を施用するための道具を形成する。
【0115】
先に示したように、竹繊維14の長さは5mm〜50mmであり、竹以外のセルロース繊維16の長さは10mm〜50mmである。
【0116】
有利には、竹繊維14の平均長さ対竹以外のセルロース繊維16の平均長さの商は、0.9〜1.1である。
【0117】
同様に、先に示したように、竹繊維14の平均直径は5マイクロメートル〜30マイクロメートルであり、竹以外のセルロース繊維16の直径は5マイクロメートル〜30マイクロメートルである。
【0118】
有利には、竹繊維14の平均直径対竹以外のセルロース繊維16の平均直径の商は、0.9〜1.1である。
【0119】
平均長さおよび/または平均直径のそのような商を選ぶことで、不織布本体12の製造が容易になる。加えて、そのような商を選択すると、デバイス10を構成する不織布本体12の引裂強度が増す。
【符号の説明】
【0120】
10 施用デバイス
12 不織布本体
14 竹繊維
16 セルロース繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維をベースに形成された不織布本体(12)を備え、前記不織布本体を形成する前記繊維が全てセルロース繊維であるタイプの、化粧品を施用するためのデバイス(10)であって、前記不織布本体を形成する前記繊維が、前記不織布本体(12)を形成する前記繊維の総質量に対して少なくとも20質量%の竹繊維(14)を含むことを特徴とするデバイス(10)。
【請求項2】
前記不織布本体(12)を形成する前記繊維が、前記不織布本体を形成する前記繊維の総質量に対して38質量%〜100質量%の竹繊維(14)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス(10)。
【請求項3】
前記不織布本体(12)を形成する前記繊維が、前記不織布本体(12)を形成する前記繊維の総質量に対して38質量%〜70質量%、有利には38質量%〜50質量%、もしくは60質量%〜70質量%の竹繊維(14)を含むか、または、80質量%〜99質量%、有利には92質量%〜99質量%の竹繊維(14)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のデバイス(10)。
【請求項4】
前記竹繊維(14)の平均長さが5mm超であり、有利には10mm〜60mmであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項5】
前記不織布本体(12)が、竹繊維(14)と竹以外のセルロース繊維(16)とを含むセルロース繊維の混合物をベースに形成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項6】
前記竹以外のセルロース繊維(16)が、ビスコース繊維、リヨセル繊維およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項5に記載のデバイス(10)。
【請求項7】
前記竹以外のセルロース繊維(16)の平均長さが15mm〜50mm、有利には30mm〜50mmであることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項8】
前記不織布本体(12)の前記セルロース繊維が全て竹繊維(14)であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項9】
前記不織布本体(12)が、触れると変形するシートであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項10】
前記竹繊維(14)の平均長さ対前記竹以外のセルロース繊維(16)の平均長さの商が0.9〜1.1であることを特徴とする、請求項5から9のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項11】
前記竹繊維(14)の平均直径対前記竹以外のセルロース繊維(16)の平均直径の商が0.9〜1.1であることを特徴とする、請求項5から10のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス(10)を製造する方法であって、
セルロース繊維の総質量に対して少なくとも20質量%の竹繊維を含むセルロース繊維を供給する工程、
繊維ベースの不織布本体(12)を形成するために、前記セルロース繊維を物理的、化学的および/または機械的に結合する工程であって、前記不織布本体を形成する前記繊維が全てセルロース繊維である工程、
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−515852(P2012−515852A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546810(P2011−546810)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050816
【国際公開番号】WO2010/086291
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】