説明

化粧材の施工構造および施工方法

【課題】 施工時の化粧材のズレや浮きを防止でき、施工後も化粧材の剥がれなどの不具合を防止することを可能とする。
【解決手段】 本発明では、化粧材の裏面の少なくとも四周に両面テープを貼り付け、前記化粧材の裏面に接着剤を塗布し、住宅の壁体の非装飾面に前記化粧材を接着固定したことを特徴とする化粧材の施工構造、および、あらかじめ化粧材の裏面の少なくとも四周に両面テープを貼り付け、さらに化粧材の裏面に接着剤を塗布してから壁体の被装飾面に貼り付けることを特徴とする化粧材の施工方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の壁体の被装飾面に接着により取り付けられて壁体を化粧する化粧材の施工構造および施工方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧材の施工構造としては、化粧材の裏面に接着剤を塗布して、壁面に接着する施工構造がある。(例えば、特許文献1参照。)
このような場合、接着剤が硬化するまでの間に、化粧材の位置がずれたり、化粧材そのものの反りの影響で接着剤硬化後に壁面から化粧材が浮いてしまう等の問題があった。
【0003】
また、化粧材の施工方法としては、化粧材の裏面に両面テープを貼着して壁面に接着する方法もある。(例えば、特許文献2参照。)
しかしこの場合も、両面テープの接着力が低く、施工後に化粧材が剥がれ易いという問題があった。
【特許文献1】特開2005−336924号公報
【特許文献2】特開平3−84159
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明における化粧材の施工構造および施工方法は、施工時の化粧材のズレや浮き、施工後の剥がれなどを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は、住宅の壁体の被装飾面に接着により取り付けられて壁体を化粧する化粧材の施工構造であって、化粧材の裏面の少なくとも四周に両面テープを貼り付け、前記化粧材の裏面に接着剤を塗布し、住宅の壁体の非装飾面に前記化粧材を接着固定したことを特徴とする。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、化粧材が、珪藻土を含む珪酸カルシウム板からなる基材と、前記化粧材の表面に形成される表面化粧層とからなることを特徴とする。
【0007】
本発明の好ましい態様においては、両面テープの厚みが0.25mm以下であることを特徴とする。
【0008】
本発明は、住宅の壁体の被装飾面に接着により取り付けられて壁体を化粧する化粧材の施工方法であって、あらかじめ化粧材の裏面の少なくとも四周に両面テープを貼り付け、さらに化粧材の裏面に接着剤を塗布してから壁体の被装飾面に貼り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、施工時の化粧材のズレや浮きを防止でき、施工後も化粧材の剥がれなどの不具合を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明における化粧材の施工方法について、図面に従って説明する。図1は本発明に係る化粧材の施工方法における化粧板裏面の両面テープと接着剤の塗布位置を示す平面図、図2は本発明に係る化粧材の施工方法における両面テープと接着剤の塗布位置を示す断面図である。
【0011】
両面テープ1は化粧材3の裏面四周に隙間なく貼り付けられ、さらに化粧材の長辺に平行に複数本の両面テープ1が貼り付けられている。両面テープを隙間なく四周にまわすことで、施工時に端部から浮きや剥がれが生じることを防止できる。特に表面塗装が施された化粧材では、化粧材自体が凹反りする傾向があるため、接着材のみで固定すると、接着剤が硬化する前に化粧材の反りが発生し、反りが発生した状態で化粧材が固定されてしまう場合がある。しかし、4周を両面テープで固定するとと、両面テープが接着剤硬化までの仮止めの機能を果たし、反りが発生しない状態(化粧材の端部の浮きが発生しない)で確実に化粧材を固定できる。また、両面テープのみでの固定した場合、反りの発生は防止できるが、両面テープの接着力の低さから、化粧材施工後に、化粧材が壁から剥がれる場合がある。両面テープを4周に貼り付け、接着剤と両面テープの両方で固定する施工構造の場合、反り(端部の浮き)や剥がれの防止を確実に行うことができる。
など。。
【0012】
ここで使用する両面テープとしては特に限定はされないが、例えばアクリル系の粘着剤をポリエチレンラミクロス基材に塗布したものが好適に用いられる。また、両面テープの厚みとしては0.1〜0.5mmのものが好適に用いられる。テープの厚みを0.1〜0.5mmとすることで、化粧材と壁面との距離を小さくすることができ、化粧材の上から手すりなどのアクセサリーを取り付けた際の化粧材の破損を防止することができる。
【0013】
さらに、各両面テープ間には接着剤2が塗布されている。両面テープと接着剤を併用することで、施工後の化粧材の浮きや剥がれをより効果的に防止することができる。
【0014】
ここで使用する接着剤としては、ビニル共重合樹脂系接着剤や酢酸ビニル樹脂系接着剤、変性シリコン系接着剤などが好適に用いられる。
【0015】
また化粧材3は、図2に示すように、基材4と化粧層5とからなる。基材としては、例えば石膏ボードやスレート板、珪酸カルシウム板などが好適に用いられる。特に、珪藻土含む珪酸カルシウム板は調湿機能を備え、軽量であるため、内装用化粧板の基材として好適に用いられる。化粧層としては、例えば、アクリル樹脂系塗料やシリコン樹脂系塗料などが好適に用いられる。また化粧層表面に光触媒を塗布することもできる。
【実施例】
【0016】
以下に実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0017】
(実施例)化粧板には、幅910mm、高さ1820mm、厚さ6mmの珪藻土を主成分とする珪酸カルシウム板の表面にアクリル樹脂系塗料を塗布したものを用いた。施工用の両面テープには、PEラミクロス支持体で幅25mm、厚さ0.25mmの両面テープ、接着剤にはビニル共重合樹脂系の接着剤を用いた。図1に示すように、化粧材裏面の四周に両面テープを貼り付け、さらに150mmピッチで化粧板長辺に平行に両面テープを貼り付けた。次に、両面テープ間に接着剤をビード径5mmで3本ずつ塗布した状態で、木質の壁面に化粧材を施工した。施工16時間後、化粧材は壁面に確実に貼り付いていた。
【0018】
(比較例)実施例と同様の化粧板、両面テープ、接着剤を用いた。図3に示すように、化粧板裏面に200mmピッチで両面テープを貼り付け、さらに化粧材裏面の四周と両面テープ間に接着剤をビード径5mmで塗布した状態で、木質の壁面に化粧材を施工した。施工16時間後、化粧材の端部が壁面から浮いていることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る化粧材の施工方法における化粧板裏面の両面テープと接着剤の塗布位置を示す平面図である。
【図2】本発明に係る化粧材の施工方法における両面テープと接着剤の塗布位置を示す断面図である。
【図3】従来の化粧材の施工法における化粧板裏面の両面テープと接着剤の塗布位置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0020】
1…両面テープ
2…接着剤
3…化粧材
4…基材
5…化粧層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧材の裏面の少なくとも四周に両面テープを貼り付け、前記化粧材の裏面に接着剤を塗布し、住宅の壁体の非装飾面に前記化粧材を接着固定したことを特徴とする化粧材の施工構造。
【請求項2】
前記化粧材が、珪藻土を含む珪酸カルシウム板からなる基材と、前記化粧材の表面に形成される表面化粧層とからなることを特徴とする請求項1に記載の化粧材の施工構造。
【請求項3】
前記両面テープの厚みが0.25mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧材の施工構造。
【請求項4】
住宅の壁体の被装飾面に接着により取り付けられて壁体を化粧する化粧材の施工方法であって、
あらかじめ化粧材の裏面の少なくとも四周に両面テープを貼り付け、さらに化粧材の裏面に接着剤を塗布してから壁体の被装飾面に貼り付けることを特徴とする化粧材の施工方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−38527(P2008−38527A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216565(P2006−216565)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】