説明

化粧板の製造方法

【課題】 縦木目と横木目がバランス良くデザインされ配置された非採光タイプ化粧板や採光タイプ化粧板などで、品質や長期耐久性や製品歩留まりや製造作業性に優れた縦横木目からなる高意匠性化粧板を簡単で安価で小ロット生産や特注生産にも対応可能なように製造する方法を提供する。
【解決手段】 木質基材と化粧材を用意し化粧材を所定の形状と寸法に切断し複数個のユニットを作製し長手方向と木目方向が平行な縦木目ユニットと直角な横木目ユニットと正方形ユニットに分別し縦木目ユニットと横木目ユニットと正方形ユニットのうちの少なくともいずれか1種以上のユニットを接着剤付き木質基材上でパターンに従って組み合わせ配置するとともに木質基材に貼着し全体としての意匠パターンを現出させ、必要に応じて表面仕上げ塗装及び化粧板の側面木口の接合係止部加工を施す。以上の各工程に従って製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は開き戸、引き戸、折戸等の建具扉の表面化粧板、又は、収納家具、玄関収納、厨房家具等の扉の表面化粧板、又は、内装壁材、内装床材等の表面化粧板等の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建具扉や収納家具、厨房家具などの表面扉の表面化粧板、又は、内装壁材や内装床材等の表面化粧板等に用いられる化粧材として、単色柄や抽象柄を意匠とした樹脂化粧板や化粧紙貼り化粧板等の他に、天然銘木からなる突板や単板、天然銘木の木目の印刷を施した合成樹脂化粧シートや化粧紙などのように木目を意匠とした化粧材を表面に貼着した化粧板が多く用いられてきた。
【0003】
すなわち、木目意匠柄の場合であっても、天然銘木の突板や単板を貼着して作製された化粧板の他に、合成樹脂シートの表面や薄葉紙などの紙の表面に木目柄を印刷して仕上げられた樹脂化粧シート貼りの化粧板や化粧紙貼りの化粧板など多種多様な化粧板があり、その用途、コストなどから適宜選定されていた。
【0004】
前記木目については、板目、追柾、柾目、杢など天然木目ゆえ、さまざまな木目がその目的に応じて使われてきた。
【0005】
また、化粧板の長手方向と木目方向(木繊維方向)とが略平行な縦目デザインの化粧板が主流であるが、それ以外に化粧板の長手方向と木目方向(木繊維方向)とが略直角な横目デザインの化粧板も目的とするデザインによっては用いられることが多々あった。
【0006】
また、下記に述べる框組ドアの場合、縦框と横框とで木目が略直交する意匠が必要となるが、従来は、縦木目部材のみで間に合わせていた。すなわち、例えば、木目柄を用いた框組のドアなどの場合、縦框は縦木目の部材を縦方向に用い、横框の場合も縦木目の部材を横方向にして用いれば横方向の木目意匠となり、縦框と横框を框組し、その開口部に鏡板を取り付ければ、框組ドアが出来上がる。
【0007】
このように、框組ドアの場合であっても縦木目の部材のみで間に合わせていた。すなわち、縦木目意匠からなる縦框と縦木目意匠からなる横框を縦と横方向に用い、縦がち突き合わせ加工方式(縦框の上下端部に横框の左右端縁を当接させる加工方式)又は、留め加工方式(縦框と横框それぞれの両端部を45度に切断し該切断面どうしを当接させる加工方式)にて框組し、接続箇所は木ダボ等でジョイントして作製し、縦框で縦木目を現出させ、同じ縦木目意匠からなる横框を横方向に用いることによって横木目を現出していた。特に框組ドアの縦框と横框の木目意匠においては、なるべく通直な柾目が好んで用いられてきた。
【0008】
また、木材の木口を輪切りにして作製された年輪木目を有する木材薄板を用意し、該薄板上に木の葉からなるシート状象嵌材をアクリル系粘着剤等で張り付け、さらに、象嵌模様を形成した金型を用いて、前記張り付けられた象嵌材を木材薄板の木繊維方向に押圧して象嵌材を木材薄板の木口面に埋め込む方式の象嵌装飾体の製造方法についての記載がある。(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】特開平7−314996号公報(第1−5頁、第1−4図)。
【0010】
また、材質、色調、柄などの異なる素地シートを用意し、ベースとなる素地シートを機械裁断によって、その一部を切り取り開口部を設け、該開口部と合同な形状と寸法を有する他方の素地シートを切り取り、象嵌素型を作製し、該象嵌素型を前記開口部に隙間なく嵌め込ませて作製された段差のない象嵌によるインレイ化粧材の記載がある。(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
【特許文献2】特開平10−217416号公報(第1−7頁、第1−13図)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来技術においては、建具扉、家具扉、壁材、床材などの表面化粧材として、木質基材表面に単色柄や抽象柄の意匠柄を印刷した化粧シートを貼着して作製された樹脂化粧シート貼りの化粧板や化粧紙貼りの化粧板などの場合、天然銘木の木目柄の意匠を好むユーザーにとっては物足らず、木目意匠を有する化粧板が望まれる。
【0013】
また、木目意匠柄の場合であっても、天然銘木の突板や単板を貼着して作製された化粧板の他に、合成樹脂シートの表面や薄葉紙などの紙の表面に木目柄を印刷して仕上げられた樹脂化粧シートや化粧紙を用意し、それらを木質基材表面に貼着して作製された樹脂化粧シート貼り化粧板や化粧紙貼り化粧板など、多種多様な化粧板があるが、縦木目のみからなる化粧板、又は横木目のみからなる化粧板の場合は意匠が比較的単純になりがちで、高意匠を望むユーザーにとっては物足りないといった問題点があった。
【0014】
すなわち、縦木目と横木目がバランス良く配置されたデザインパターンを現出せしめたデザイン化粧板などの高意匠性化粧板を用いた扉、壁材、床材などを安価に入手することが望まれていた。
【0015】
このように、縦木目と横木目とをデザインされた所定形状寸法を有する意匠パターンに従ってバランス良く配置し意匠性を向上させた木目柄のデザイン化粧板を作製する方法としては、従来は次に示すような方法で作製されていた。
【0016】
すなわち、化粧材が天然銘木からなる突板や単板である場合は、作製する意匠パターンに従って所定の形状と寸法を有する木材無垢からなる木材ブロックを必要個数用意し、それらを寄せ木方式で積層接着する。このとき接着剤は湿気硬化型ウレタン樹脂系接着剤が用いられる。1〜2日常温で圧締養生した後、積層プレス機から取り出し、スライサーにて厚みが約0.2〜1.0mm程度の極薄板にスライスして高意匠性デザイン突板を製造していた。
【0017】
しかしながら、上記積層スライス方式ではスライス時において木材ブロックの木繊維方向とスライサーの刃物の切削方向とが順目方向である必要があり、逆に、逆目方向の木材ブロックが間違って1個でも混入して積層した場合、スライス工程でその箇所の突板が逆目によって破損することが多々あった。そのため、製品歩留まりが低下し、製品品質が低下しコスト的にも高価につくといった問題点があった。
【0018】
製造技術的にも難しく木材樹種によっては逆目が生じ易く積層スライスが困難なものがあり使用できる樹種の範囲が限定される。さらに、あまり細かなパターンは木材ブロックを所定形状に切削することが極めて難しく、従って、デザインやパターンにおいても限定されたものとなるといった問題点があった。
【0019】
また、化粧材が木目印刷を施した樹脂化粧シートや木目印刷を施した化粧紙などである場合は、あらかじめ印刷の版構成をそのような意匠パターンに沿って作製し印刷を施すことが考えられ、このような方法であると化粧シートを木質基材表面に貼着するだけであるので極めて簡単に製造できる。
【0020】
しかし、木目柄として縦木目と横木目とがバランス良く配置されたデザインパターンであったとしても、前記縦木目と横木目とが突き合わされる箇所において、所詮、印刷ゆえ、いかに精巧に印刷版を構成したとしても、印刷木目どうしが突き合わされているといった感覚はぬぐえない。
【0021】
そのため、木目意匠を有し縦木目と横木目とを所定の意匠パターンに従って配置して得られる高意匠性デザイン化粧板、すなわち、デザイン化粧板の製造方法で、化粧材が天然銘木突板の場合は、逆目が発生せず、製品歩留まりが高く、品質に優れ、用いる木目の色柄やデザインやパターンにも制限が少なく、製造技術的にも易しく安価な製造方法が望まれていた。
【0022】
さらに、化粧材が木目印刷を施した樹脂化粧シートや木目印刷を施した化粧紙などである場合は、前記縦木目と横木目とが突き合わされる箇所において、印刷木目どうしが突き合わされているといった感覚でなく、いかにも本物感があって、しかも、製品歩留まりが高く、品質に優れ、用いる木目の色柄やデザインやパターンにも制限が少なく、製造技術的にも易しく安価な製造方法が望まれていた。
【0023】
また、框組ドアの場合、縦木目からなる縦框部材2本と、縦木目からなる横框部材2本と、ドアの中央部に用いる鏡板1枚の計3種類の部材を用意し、それらを突き合わせ加工、又は、留め加工で框組しドアを作製していた。このため製造工程が複雑でしかも部材点数も増え、製造コスト的にも高価についていた。それのみならず、縦框と横框との接続箇所でしっかりと接続固定しないと長期間の使用中に框の接続箇所からゆがみや破損が生じるといった問題点があった。
【0024】
すなわち、木目意匠を有する框組デザイン意匠を有するドア用化粧板の製造方法で、長期耐久性能に優れ、安価な製造方法が望まれていた。
【0025】
また、上記特開平7−314996号公報に記載の象嵌装飾体からなる化粧板の場合、木材木口面からなる薄板上に象嵌材を粘着剤で張り付け象嵌模様を形成した金型を用いて、象嵌材を木材薄板の木繊維方向に押圧して象嵌材を埋め込む方式ゆえ、金型コストが高くつき、しかも、金型を用いるので小ロット他品種生産や特注生産には対応仕切れず、さらに、製造作業工程も複雑で作業効率も低く、象嵌材を押圧する際に木材木口面の薄板が破損する恐れがあり、製品歩留まりも悪く、高価なものにつくといった問題点があった。
【0026】
また、上記特開平10−217416号公報に記載のインレイ化粧材の場合、材質、色調、柄などの異なる素地シートを用意し、ベースとなる素地シートを機械裁断によって、その一部を切り取り開口部を設け、該開口部と合同な形状と寸法を有する他方の素地シートを切り取り、象嵌素型を作製し、該象嵌素型を開口部に隙間なく嵌め込ませて作製するので、製造工程が複雑で工数も多く、製造作業性に劣り、高価なものにつくといった問題点があった。
【0027】
そこで、木目意匠を有する高意匠性デザイン化粧板の製造方法で、製造作業性に優れ、製品歩留まりや品質に優れ、安価な製造方法が望まれていた。
【0028】
本発明の目的は、木目意匠を有する高意匠性デザイン化粧板の製造方法で、縦木目と横木目がバランス良く配置されたデザインパターンを現出せしめたデザイン化粧板、框組デザインドアに用いる框組化粧板、象嵌デザインを有する象嵌化粧板、又は、その採光化粧板などで、品質や長期耐久性や製品歩留まりや製造作業性に優れた縦横木目からなる高意匠性化粧板を、簡単な製造工程で、しかも、安価に、小ロット生産や特注生産にも対応可能な化粧板を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記目的を達成するためになされた本発明の請求項1に記載の化粧板の製造方法は、複数個のユニットに分割された化粧材を木質基材表面の所定位置に配置し、全体としての意匠パターンを現出してなる化粧板の製造方法であって、下記手順で作製することを特徴としている。
1.木質基材を用意し、
2.木目を有する薄板又はシートからなる化粧材を用意し、
3.前記化粧材を所定の形状、寸法に切断し、複数個のユニットを作製し、
4.切断された化粧材の長手方向と木目方向が略平行な縦木目ユニットと、長手方向と木目方向が略直角な横木目ユニットと、正方形ユニットのいずれかに分別し、
5.木質基材表面に接着剤を塗布し、
6.前記縦木目ユニットと横木目ユニット及び正方形ユニットのうちから選択された少なくともいずれか1種以上のユニットを接着剤付き木質基材表面上でパターンに従って組み合わせ配置し、全体としての意匠パターンを現出せしめ、
7.接着剤を介して前記各ユニットを木質基材表面に貼着し、
8.必要に応じて表面仕上げ塗装し、
9.必要に応じて化粧板の側面木口に接合係止部を加工する。
【0030】
このような製造手順に従った請求項1に記載の発明によれば、前記縦木目ユニットと、横木目ユニット、及び、正方形ユニットを接着剤を塗布した木質基材上でパターンに従って組み合わせ配置し、全体としての意匠パターンを現出せしめ、接着剤を介して前記各ユニットを木質基材表面に貼着する方法ゆえ、縦木目と横木目がバランス良く配置されたデザインパターンを現出せしめたデザイン化粧板、框組デザインドアに用いる框組化粧板、象嵌デザインを有する象嵌化粧板などで、品質や長期耐久性や製品歩留まりや製造作業性に優れた、縦横木目からなる高意匠性化粧板を、簡単な製造工程で、しかも、安価に製造することができる。
【0031】
すなわち、化粧材が天然の突板の場合、縦木目と横木目とが突き合わされる箇所において、また、象嵌化粧材の箇所において、単板の逆目や破損が発生せず、製品歩留まりが高く、品質に優れ、用いる木目の色柄やデザインやパターンにも制限が少ない縦横木目からなる高意匠性化粧板を、製造技術的にも易しく、しかも、安価に製造することができる。
【0032】
また、化粧材が木目印刷を施した樹脂化粧シートや木目印刷を施した化粧紙などである場合は、縦木目と横木目とが突き合わされる箇所において、印刷木目どうしが突き合わされた印刷パターンであるといった感覚でなく、また、象嵌化粧材の箇所において、象嵌模様が印刷されたパターンであるといった感覚でなく、いかにも本物感があって、しかも、製品歩留まりが高く、品質に優れ、用いる木目の色柄やデザインやパターンにも制限が少ない縦横木目からなる高意匠性化粧板を製造技術的にも易しく安価に製造することができる。さらに、接着剤付き木質基材上で所定の意匠パターンに従って、各ユニットを直接組み合わせ配置するとともに木質基材に貼着する方法ゆえ、極めて作業性良く、簡単に製造できる。
【0033】
本発明の請求項2に記載の化粧板の製造方法は、複数個のユニットに分割された化粧材を木質基材表面の所定位置に配置し、全体としての意匠パターンを現出してなる化粧板の製造方法であって、下記手順で作製することを特徴としている。
1.木質基材を用意し、
2.木目を有する薄板又はシートからなる化粧材を用意し、
3.前記化粧材を所定の形状、寸法に切断し、複数個のユニットを作製し、
4.切断された化粧材の長手方向と木目方向が略平行な縦木目ユニットと、長手方向と木目方向が略直角な横木目ユニットと、正方形ユニットのいずれかに分別し、
5.前記縦木目ユニットと横木目ユニット及び正方形ユニットのうちから選択された少なくともいずれか1種以上のユニットを組み合わせ配置し、全体としての意匠パターンを現出せしめ、
6.ユニット固定手段によって各ユニットの相互配置位置を固定し所定パターンの仕組み化粧材を作製し、
7.木質基材表面に接着剤を塗布し、
8.接着剤を介して前記仕組み化粧材を木質基材表面に貼着し、
9.必要に応じて表面仕上げ塗装し、
10.必要に応じて化粧板の側面木口に接合係止部を加工する。
【0034】
このような製造手順に従った請求項2に記載の発明によれば、前記縦木目ユニットと、横木目ユニット、及び、正方形ユニットを組み合わせ配置し、全体としての意匠パターンを現出せしめ、ユニット固定手段によって各ユニットの相互配置位置を固定し、所定の意匠パターンの仕組み化粧材を作製し、接着剤を介して仕組み化粧材を木質基材表面に貼着する方法ゆえ、縦木目と横木目がバランス良く配置されたデザインパターンを現出せしめたデザイン化粧板、框組デザインドアに用いる框組化粧板、象嵌デザインを有する象嵌化粧板などで、品質や長期耐久性や製品歩留まりや製造作業性に優れた、縦横木目からなる高意匠性化粧板を、簡単な製造工程で、しかも、安価に製造することができる。
【0035】
すなわち、化粧材が天然の突板の場合、縦木目と横木目とが突き合わされる箇所において、また、象嵌化粧材の箇所において、単板の逆目や破損が発生せず、製品歩留まりが高く、品質に優れ、用いる木目の色柄やデザインやパターンにも制限が少ない縦横木目からなる高意匠性化粧板を、製造技術的にも易しく、しかも、安価に製造することができる。
【0036】
また、化粧材が木目印刷を施した樹脂化粧シートや木目印刷を施した化粧紙などである場合は、縦木目と横木目とが突き合わされる箇所において、印刷木目どうしが突き合わされた印刷パターンであるといった感覚でなく、また、象嵌化粧材の箇所において、象嵌模様が印刷されたパターンであるといった感覚でなく、いかにも本物感があって、しかも、製品歩留まりが高く、品質に優れ、用いる木目の色柄やデザインやパターンにも制限が少ない縦横木目からなる高意匠性化粧板を製造技術的にも易しく安価に製造することができる。
【0037】
さらに、あらかじめ意匠パターンに従って組み合わせ配置してユニット固定手段で固定して作製された仕組み化粧材を木質基材表面に貼着する製造方法ゆえ、極めて作業性良く、簡単に製造できる。
【0038】
本発明の請求項3に記載の化粧板の製造方法は、複数個のユニットに分割された化粧材を木質基材表面の所定位置に配置し、全体としての意匠パターンを現出してなる化粧板の製造方法であって、下記手順で作製することを特徴としている。
1.木質基材を用意し、
2.木目を有する薄板又はシートからなる化粧材を用意し、
3.前記化粧材を所定の形状、寸法にマージン(余分の裁断代)を加えた形状、寸法に切断し、複数個の粗ユニットを作製し、
4.切断された化粧材の長手方向と木目方向が略平行な縦木目粗ユニットと、長手方向と木目方向が略直角な横木目粗ユニットと、正方形粗ユニットのいずれかに分別し、
5.木質基材表面に接着剤を塗布し、
6.前記複数個の縦木目粗ユニットと横木目粗ユニット及び正方形粗ユニットのうちから選択された少なくともいずれか1種以上の粗ユニットを接着剤付き木質基材表面上で、それぞれのマージンどうしを重ねるようにしてパターンに従って組み合わせ配置し、全体としての意匠パターンを現出せしめ、
7.化粧材の重なり部を設けるようにして仮接着し、
8.隣接する各粗ユニットの重なり部の範囲内で所定の形状、寸法のユニットに切断し、
9.重なり部の余分な化粧端材を除去し、
10.接着剤を介して前記各ユニットを木質基材表面に貼着し、
11.必要に応じて表面仕上げ塗装し、
12.必要に応じて化粧板の側面木口に接合係止部を加工する。
【0039】
このような製造手順に従った請求項3に記載の発明によれば、余分にマージン部分を加えた大きめの形状と寸法の縦横木目化粧材を用意し、接着剤を塗布した木質基材上で、それぞれのマージンどうしを重ねるようにしてパターンに従って縦横組み合わせ配置し、全体としての意匠パターンを現出せしめ、化粧材の重なり部を設けるようにして仮接着し、隣接する化粧材の重なり部の範囲内で切断し、重なり部の余分な化粧端材を除去し、接着剤を介して化粧材の各ユニットを木質基材表面上に貼着する方法ゆえ、縦木目と横木目がバランス良く配置されたデザインパターンを現出せしめたデザイン化粧板、框組デザインドアに用いる框組化粧板、象嵌デザインを有する象嵌化粧板などで、品質や長期耐久性や製品歩留まりや製造作業性に優れた、縦横木目からなる高意匠性化粧板を、簡単な製造工程で、しかも、安価に製造することができる。
【0040】
すなわち、化粧材どうしのマージン部どうしを重ね貼りすると共に仮接着し、該マージン部の範囲内において、所定のパターンに従って、刃物で切断するので、化粧材が天然の突板であっても、又、木目印刷が施された樹脂化粧シートや化粧紙の場合であっても、化粧材の破損の無いことは勿論のこと、意匠パターンそのものを印刷によって現出せしめたといった感覚でなく、化粧材ユニットそれぞれを所定位置に配置して得られた意匠パターンが可能となる。
【0041】
すなわち、いかにも本物感にあふれる意匠性が得られる。しかも、製品歩留まりが高く、品質に優れ、用いる木目の色柄やデザインやパターンにも制限が少ない縦横木目からなる高意匠性化粧板を製造技術的にも易しく安価に製造することができる。
【0042】
さらに、あらかじめ接着剤が塗布された木質基材上で、前記したように、化粧材の粗ユニットどうしのマージン部を重ね貼りして、該重ね貼り部分の箇所で所定形状寸法に切断して所定の意匠パターンを得る方法ゆえ、極めて作業性良く、簡単に製造できる。
【0043】
また、前記マージン部分の範囲で刃物で切断する際に単なる切断だけでなく、溝加工を同時にNCルーター等で加工することも応用技術として考えられる。従って、よりいっそう立体感のある本物感のある化粧材が可能となる。
【0044】
また、重ね貼り部を切断して意匠パターンを得る方法ゆえ、細かなパターンも可能で、金型等も不要でコスト的にも安価につく。さらに、いかなるパターンであっても製造可能で、NCルーター又は手作業で切断すればよく、小ロット他品種生産や特注生産にも十分対応可能である。
【0045】
本発明の請求項4に記載の化粧板の製造方法は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の化粧板の製造方法において、前記各ユニットが隣接する箇所の少なくとも一箇所以上の箇所で、隣接する木目どうしが作る角度が略直角であることを特徴としている。
【0046】
このような製造手順に従った請求項4に記載の発明によれば、縦木目と横木目がバランス良く配置されたデザインパターンを現出せしめたデザイン化粧板、框組デザインドアに用いる框組化粧板、縦横木目の象嵌デザインを有する象嵌化粧板などで、品質や長期耐久性や製品歩留まりや製造作業性に優れた縦横木目からなる高意匠性化粧板を、簡単な製造工程で、しかも、安価に、小ロット生産や特注生産にも十分対応して製造できる。
【0047】
本発明の請求項5に記載の化粧板の製造方法は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の化粧板の製造方法において、前記ユニットのうち、少なくともいずれか1種以上の化粧材ユニット、及び、少なくとも1個以上の透光板で化粧材が構成されていることを特徴としている。
【0048】
このような製造手順に従った請求項5に記載の発明によれば、前記ユニットのうち、少なくともいずれか1種以上の化粧材ユニット、及び、少なくとも1個以上の透光板で化粧材が構成されているので、採光タイプのデザイン化粧板、採光タイプの框組化粧板、採光タイプの象嵌化粧板などの縦横木目からなる採光タイプの高意匠性化粧板で、品質、製品歩留まり、製造作業性に優れ、しかも、安価な採光化粧板が可能となる。
【発明の効果】
【0049】
請求項1に記載の発明によれば、前記縦木目ユニットと、横木目ユニット、及び、正方形ユニットを接着剤を塗布した木質基材上でパターンに従って組み合わせ配置し、全体としての意匠パターンを現出せしめ、接着剤を介して前記各ユニットを木質基材表面に貼着する方法ゆえ、縦木目と横木目がバランス良く配置されたデザインパターンを現出せしめたデザイン化粧板、框組デザインドアに用いる框組化粧板、象嵌デザインを有する象嵌化粧板などで、品質や長期耐久性や製品歩留まりや製造作業性に優れた、縦横木目からなる高意匠性化粧板を、簡単な製造工程で、しかも、安価に製造することができる。
【0050】
すなわち、化粧材が天然の突板の場合、縦木目と横木目とが突き合わされる箇所において、また、象嵌化粧材の箇所において、単板の逆目や破損が発生せず、製品歩留まりが高く、品質に優れ、用いる木目の色柄やデザインやパターンにも制限が少ない縦横木目からなる高意匠性化粧板を、製造技術的にも易しく、しかも、安価に製造することができる。
【0051】
また、化粧材が木目印刷を施した樹脂化粧シートや木目印刷を施した化粧紙などである場合は、縦木目と横木目とが突き合わされる箇所において、印刷木目どうしが突き合わされた印刷パターンであるといった感覚でなく、また、象嵌化粧材の箇所において、象嵌模様が印刷されたパターンであるといった感覚でなく、いかにも本物感があって、しかも、製品歩留まりが高く、品質に優れ、用いる木目の色柄やデザインやパターンにも制限が少ない縦横木目からなる高意匠性化粧板を製造技術的にも易しく安価に製造することができる。さらに、接着剤付き木質基材上で所定の意匠パターンに従って、各ユニットを直接組み合わせ配置するとともに木質基材に貼着する方法ゆえ、極めて作業性良く、簡単に製造できる。
【0052】
請求項2に記載の発明によれば、前記縦木目ユニットと横木目ユニット及び正方形ユニットを組み合わせ配置し、全体としての意匠パターンを現出せしめ、ユニット固定手段によって各ユニットの相互配置位置を固定し、所定の意匠パターンの仕組み化粧材を作製し、接着剤を介して仕組み化粧材を木質基材表面に貼着する方法ゆえ、縦木目と横木目がバランス良く配置されたデザインパターンを現出せしめたデザイン化粧板、框組デザインドアに用いる框組化粧板、象嵌デザインを有する象嵌化粧板などで、品質や長期耐久性や製品歩留まりや製造作業性に優れた、縦横木目からなる高意匠性化粧板を、簡単な製造工程で、しかも、安価に製造することができる。
【0053】
すなわち、化粧材が天然の突板の場合、縦木目と横木目とが突き合わされる箇所において、また、象嵌化粧材の箇所において、単板の逆目や破損が発生せず、製品歩留まりが高く、品質に優れ、用いる木目の色柄やデザインやパターンにも制限が少ない縦横木目からなる高意匠性化粧板を、製造技術的にも易しく、しかも、安価に製造することができる。
【0054】
また、化粧材が木目印刷を施した樹脂化粧シートや木目印刷を施した化粧紙などである場合は、縦木目と横木目とが突き合わされる箇所において、印刷木目どうしが突き合わされた印刷パターンであるといった感覚でなく、また、象嵌化粧材の箇所において、象嵌模様が印刷されたパターンであるといった感覚でなく、各ユニットを所定の位置に配置して得られたパターンであるといった、いかにも本物感にあふれる意匠性が得られる。しかも、製品歩留まりが高く、品質に優れ、用いる木目の色柄やデザインやパターンにも制限が少ない縦横木目からなる高意匠性化粧板を製造技術的にも易しく安価に製造することができる。
【0055】
さらに、あらかじめ意匠パターンに従って組み合わせ配置してユニット固定手段で固定して作製された仕組み化粧材を木質基材表面に貼着する製造方法ゆえ、極めて作業性良く、簡単に製造できる。
【0056】
請求項3に記載の発明によれば、余分にマージン部分を加えた大きめの形状と寸法の縦横木目化粧材を用意し、接着剤を塗布した木質基材上で、それぞれのマージンどうしを重ねるようにしてパターンに従って縦横組み合わせ配置し、全体としての意匠パターンを現出せしめ、化粧材の重なり部を設けるようにして仮接着し、隣接する化粧材の重なり部の範囲内で切断し、重なり部の余分な化粧端材を除去し、接着剤を介して化粧材の各ユニットを木質基材表面上に貼着する方法ゆえ、縦木目と横木目がバランス良く配置されたデザインパターンを現出せしめたデザイン化粧板、框組デザインドアに用いる框組化粧板、象嵌デザインを有する象嵌化粧板などで、品質や長期耐久性や製品歩留まりや製造作業性に優れた、縦横木目からなる高意匠性化粧板を、簡単な製造工程で、しかも、安価に製造することができる。
【0057】
すなわち、化粧材どうしのマージン部どうしを重ね貼りすると共に仮接着し、該マージン部の範囲内において、所定のパターンに従って、刃物で切断するので、化粧材が天然の突板であっても、又、木目印刷が施された樹脂化粧シートや化粧紙の場合であっても、化粧材の破損の無いことは勿論のこと、意匠パターンそのものを印刷によって現出せしめたといった感覚でなく、化粧材ユニットそれぞれを所定位置に配置して得られた意匠パターンが可能となる。すなわち、いかにも本物感にあふれる意匠性が得られる。しかも、製品歩留まりが高く、品質に優れ、用いる木目の色柄やデザインやパターンにも制限が少ない縦横木目からなる高意匠性化粧板を製造技術的にも易しく安価に製造することができる。
【0058】
さらに、あらかじめ接着剤が塗布された木質基材上で、前記したように、化粧材の粗ユニットどうしのマージン部を重ね貼りして、該重ね貼り部分の箇所で所定形状寸法に切断して所定の意匠パターンを得る方法ゆえ、極めて作業性良く、簡単に製造できる。
【0059】
また、前記マージン部分の範囲で刃物で切断する際に単なる切断だけでなく、溝加工を同時にNCルーター等で加工することも応用技術として考えられる。従って、よりいっそう立体感のある本物感のある化粧材が可能となる。
【0060】
また、重ね貼り部を切断して意匠パターンを得る方法ゆえ、細かなパターンも可能で、金型等も不要でコスト的にも安価につく。さらに、いかなるパターンであっても製造可能で、NCルーター又は手作業で切断すればよく、小ロット他品種生産や特注生産にも十分対応可能である。
【0061】
請求項4に記載の発明によれば、前記各ユニットが隣接する箇所の少なくとも一箇所以上の箇所で、隣接する木目どうしが作る角度が略直角であるので、縦木目と横木目がバランス良く配置されたデザインパターンを現出せしめたデザイン化粧板、框組デザインドアに用いる框組化粧板、縦横木目の象嵌デザインを有する象嵌化粧板などで、品質や長期耐久性や製品歩留まりや製造作業性に優れた縦横木目からなる高意匠性化粧板を、簡単な製造工程で、しかも、安価に、小ロット生産や特注生産にも十分対応して製造できる。
【0062】
請求項5に記載の発明によれば、前記ユニットのうち、少なくともいずれか1種以上の化粧材ユニット、及び、少なくとも1個以上の透光板で化粧材が構成されているので、採光タイプのデザイン化粧板、採光タイプの框組化粧板、採光タイプの象嵌化粧板などの縦横木目からなる採光タイプの高意匠性化粧板で、品質、製品歩留まり、製造作業性に優れ、しかも、安価な採光化粧板が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
本発明の詳細を図面に従って説明する。図1は本発明の非採光タイプの化粧板の一例を示す正面図である。図2は本発明の化粧板の製造方法の説明図で、第一、第二実施形態のユニット作製工程を示す。図3は第一、第二実施形態のユニット組み合わせ工程を示す。図4は第二実施形態の仕組み工程を示す。図5は第一、第二実施形態の貼着工程を示す。図6は第三実施形態の粗ユニット作製工程を示す。図7の(イ)は第三実施形態の重ね貼り工程を示す。(ロ)は第三実施形態の重ね貼りの説明図である。図8は本発明の採光タイプの化粧板の一例を示す正面図である。図中に示す符号は、1は本発明の化粧板、1aは非採光タイプ化粧板、1bは採光タイプ化粧板、2は木質基材、3は化粧材、4は仕組み化粧材、5は仕上げ塗装膜、6は透光板、Uは化粧材ユニット、U1は縦木目ユニット、U2は横木目ユニット、U3は正方形ユニット、Pは木目方向、Sは接着剤、Tはユニット固定手段、Rは粗ユニット、R1は縦木目粗ユニット、R2は横木目粗ユニット、R3は正方形粗ユニット、Mは化粧材ユニットのマージン、Kは化粧材の重なり部、Lは所定の切断線を示す。
【0064】
図1において、本発明の非採光タイプの化粧板1aについて説明する。木質基材2の表面側に化粧材3を貼着するための接着剤Sが塗布されており、その上に本発明の化粧材3が貼着されている。本発明の非採光タイプの化粧板1aを構成する化粧材3は複数枚のユニットUに分割されており、該化粧材ユニットUが所定位置に配置され、全体として非採光タイプの意匠パターンを現出している。
【0065】
木質基材2としては、合板、中比重繊維板、パーティクルボード、LVL(単板積層材)、OSB(配向性ストランドボード)、集成材、ハードボード等を好適な材料として例示できる。これらのなかで、合板、中比重繊維板が性能、製造し易さ、材料の入手し易さ、コスト等を考慮すると最も好適である。材料の厚みは、その使用目的によって、薄い方で約3mm程度から厚い方で約30mm程度まで、さまざまある。しかしこれらに限定されるものではない。これらのなかで化粧板としては、約3mm〜15mm程度が最も好適である。
【0066】
化粧材3としては、厚みが約0.2mm〜約3mm程度の天然銘木の突板、単板が好適のものの1つとして例示できるが、厚みはこれに限定されるものではない。この他に、厚みが約0.1mm〜3.0mm程度の塩ビ樹脂シートやオレフィン樹脂シートに天然銘木の木目が印刷された木目柄の樹脂化粧シートを好適なものとして例示できる。厚みはこれらに限定されるものではない。この他に、薄葉紙に天然銘木の木目が印刷された木目柄の化粧紙を好適なものとして例示できる。
【0067】
木目柄は柾目、板目、追柾目、杢、又はそれらが複合された木目柄がさまざま考えられる。いずれの木目柄であってもよいものとする。しかし、これらの木目柄のなかで、柾目、又は、高意匠性板目柄が好適である。ここで言う高意匠性板目柄とは、幅細の板目を真ん中としその両側に柾目が自然に表現された木目柄を言う。本例では柾目柄を例にとって詳述する。
【0068】
化粧材貼り用接着剤Sとしては、天然の木質単板や化粧紙等の場合、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、ユリアメラミン共縮合樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤及びこれらのブレンドタイプの接着剤が好適なものとして例示できる。これらの他にアクリル樹脂系接着剤やウレタン樹脂系接着剤等も好適なものとして例示できる。また、塩ビ樹脂化粧シートやオレフィン樹脂化粧シートなどの場合は、酢酸ビニル樹脂系接着剤や、その他のビニル樹脂系接着剤等を好適なものとして例示できる。勿論これら以外の接着剤であってもよいものとする。接着条件はそれぞれの接着剤に適した接着条件を採用する必要がある。
【0069】
先ず、作製しようとする非採光タイプの化粧板1aの木目意匠パターンをデザインし決定する。その場合、木目柄意匠とし、本例では柾目柄の例で説明する。さらに、本発明の非採光タイプの化粧板1aは、従来の化粧板のように、木目柄の木目方向Pが縦又は横の1方向のみからなるものでなく、縦木目と横木目とが混在し、バランスよく配置され、全体として意匠パターンを現出するように構成されている。
【0070】
本発明の化粧材3は複数枚の各ユニットUが木質基材2の上で所定位置に配置されることで意匠パターンが現出される構成である。前記化粧材ユニットUは、縦木目ユニットU1、横木目ユニットU2、正方形ユニットU3の3種類がある。縦木目ユニットU1とは、ユニットUの長手方向と木目方向Pとが略平行なものを言う。又、横木目ユニットU2とは、ユニットUの長手方向と木目方向Pとが略直角なものを言う。又、正方形ユニットU3とは、ユニットUの形状そのものが正方形からなるものを言う。
【0071】
本発明の非採光タイプの化粧板1aは、前記各化粧材ユニットU、すなわち、縦木目ユニットU1、横木目ユニットU2、正方形ユニットU3のいずれか1種以上で構成されている。図1の例では縦木目ユニットU1と横木目ユニットU2の2種類から構成されている。また、本発明の非採光タイプの化粧板1aは各ユニットUが隣接する箇所の少なくとも一箇所以上の箇所で、隣接する木目どうしが作る角度が略直角となるように各ユニットUが配置されて縦横木目からなる意匠パターンが現出されている。すなわち、隣接する各ユニットUの木目方向Pどうしが作る角度が略直角となるように配置構成されている。
【0072】
縦木目ユニットU1の1種類で構成する場合は、図示しないが、縦木目ユニットU1を縦方向に配置して木目方向Pを縦とし、他の縦木目ユニットU1を横方向に配置して木目方向Pを横とし、このようにして縦木目ユニットU1のみで縦横木目からなる意匠パターンを構成することができる。また、横木目ユニットU2のみで構成する場合も同様である。
【0073】
また、正方形ユニットU3のみで構成する場合は、隣接する正方形ユニットU3どうしの木目方向Pを縦方向と横方向とに略直角になるように配置すればよい。しかし、縦木目ユニットU1と横木目ユニットU2と正方形ユニットU3のうち、なるべく多くの種類のユニットUを配置した方が意匠パターンのバリエーションが豊富に構成可能となる。
【0074】
図2〜図7に従って、本発明の非採光タイプの化粧板1aの製造方法について詳述する。先ず、図2〜図5において、第一及び第二実施形態について述べる。
【0075】
図2において、第一、第二実施形態のユニット作製工程について述べる。先ず、事前に木質基材2、化粧材3、接着剤Sなどの材料を用意し、所定の意匠パターンをデザインしておく。該意匠パターンに従って、化粧材3を複数枚の化粧材ユニットUに分割する。このとき、分割された各化粧材ユニットUを集合させ組み合わせ配置した際、所定の意匠パターンになるように、所定の形状、寸法に切断する。このとき、長手方向と木目方向が略平行をなす縦木目ユニットU1と、長手方向と木目方向が略直角をなす横木目ユニットU2と、正方形ユニットU3のいずれか1種以上で構成されるように、必要とする化粧材ユニットUを作製しておく。
【0076】
図3において、第一、第二実施形態のユニット組み合わせ工程について述べる。前工程で所定の形状と寸法に切断して得られた各化粧材ユニットUを縦木目ユニットU1、横木目ユニットU2、正方形ユニットU3のいずれかに分別しておく。続いて、前記縦木目ユニットU1と横木目ユニットU2及び正方形ユニットU3のうちから選択された少なくともいずれか1種以上の化粧材ユニットUを組み合わせ配置し、全体としての意匠パターンを現出させ構成する。さらに、各隣接する前記化粧材ユニットUの、縦木目ユニットU1と横木目ユニットU2と正方形ユニットU3の少なくともいずれか1種以上が木質基材2の表面上の所定位置に配置されたとき、各化粧材ユニットUどうしが隣接する箇所の少なくとも一箇所以上の箇所で、隣接する木目方向Pどうしが作る角度が略直角となるように各化粧材ユニットUの配置に注意する。
【0077】
このとき、本発明の第一実施形態においては、木質基材2表面に接着剤Sをあらかじめ塗布しておき、各化粧材ユニットUを接着剤付き木質基材2上で、所定の意匠パターンに従って組み合わせ配置する。続いて熱圧プレス又は常温プレスで貼着する。
【0078】
図4において、本発明の第二実施形態における化粧材の仕組み工程について述べる。本発明の第二実施形態においては、下記に詳述するように、化粧材ユニットUを木質基材2の表面に貼着する前に、前工程で各化粧材ユニットUを所定の意匠パターンに従って配置し、それをテープ等で固定し仕組み化粧材4を作製しておいて、それを木質基材2に貼着する。
【0079】
上記したように、前工程で各化粧材ユニットUをデザインされた意匠パターンに従って所定位置に組み合わせ配置された各化粧材ユニットUを仕組み固定する。すなわち、各化粧材ユニットUの相互配置位置に注意して、各化粧材ユニットUをユニット固定手段Tによって固定し、所定パターンの仕組み化粧材4を作製する。このとき、用いるユニット固定手段Tとしては、接着テープ、ホットメルト系接着剤等を好適なものとして例示できる。接着テープとしては仕組み化粧材4を木質基材2表面に貼着した後、表面塗装前に研磨して除去できる程度に接着力が比較的小さいものを選び、表面研磨後、接着テープあとが残らないように注意する必要がある。薄手の紙を基材とした接着テープ等を好適なものとして例示できる。ホットメルト系接着剤についても同様の注意を払う必要がある。
【0080】
図5において、第一、第二実施形態の貼着工程について述べる。第一実施形態では、前工程で作製された各化粧材ユニットUを意匠パターンに従って直接、接着剤付き木質基材2の表面に貼着する。また、第二実施形態では、貼着工程前にあらかじめ作製された仕組み化粧材4を木質基材表面に接着剤Sによって貼着する。使用する木質基材2や接着剤Sなどの材料は上記したとおりである。熱圧締での接着、又は、常温圧締での接着によって貼着する。接着条件は化粧材3や接着剤Sの種類によって異なる。それぞれに合った条件を選定する。その後、必要に応じて表面仕上げ塗装膜5を表面に設ける。さらに、必要に応じて非採光タイプ化粧板1aの側面木口に接合係止部(図示せず)を加工する。非採光タイプの化粧板1aの製造方法の第一、第二実施形態は、以上の各工程に従って行われる。
【0081】
図6、図7において、非採光タイプの化粧板1aの製造方法の第三実施形態について述べる。
【0082】
図6において、粗ユニット作製工程について述べる。先ず、はじめに、事前に木質基材2、化粧材3、接着剤Sなどの材料を用意し、所定の意匠パターンをデザインしておく。該意匠パターンに従って、化粧材3を複数枚の化粧材ユニットUに分割する。このとき、前記化粧材3を所定の形状、寸法にマージンM(余分の裁断代)を加えた大きめの形状、寸法に切断し、複数個の粗ユニットRを作製する。すなわち、化粧材ユニットUの所定の切断線Lをまたいで、所定の形状、寸法にマージンM(切断余裕部分)を加えた大きめの形状と寸法に切断する。続いて、切断された各化粧材の粗ユニットRを種類別に分別する。すなわち、粗ユニットRの長手方向と木目方向Pが略平行な縦木目粗ユニットR1と、長手方向と木目方向Pが略直角な横木目粗ユニットR2と、正方形粗ユニットR3のいずれかに分別する。
【0083】
図7の(イ)及び(ロ)において、第三実施形態における重ね貼り工程について述べる。前工程で木質基材2の表面に接着剤Sを塗布しておく。次に、前工程で作製した複数個の縦木目粗ユニットR1と横木目粗ユニットR2及び正方形粗ユニットR3のうちから選択された少なくともいずれか1種以上の粗ユニットRを接着剤Sが塗布された木質基材2の表面上で、それぞれのマージンMどうしを重ねるようにして所定の意匠パターンに従って、組み合わせ配置し、全体としての意匠パターンを現出させる。このとき、各隣接する前記化粧材の粗ユニットRの、縦木目ユニットR1と横木目ユニットR2と正方形粗ユニットR3の少なくともいずれか1種以上が、木質基材2の表面上の所定位置に配置されたとき、各化粧材の粗ユニットRどうしが隣接する箇所の少なくとも一箇所以上の箇所で、隣接する木目方向Pどうしが作る角度が略直角となるように各化粧材の粗ユニットRの配置に注意する。
【0084】
このようにして、各化粧材の粗ユニットRの重なり部Kを設けるようにする。この状態で各粗ユニットRを木質基材2の表面に仮接着する。続いて、隣接する各粗ユニットRの重なり部Kの範囲内で所定の形状、寸法のユニットUに切断し、重なり部Kの余分な化粧端材を除去する。接着剤Sを介して前記各ユニットUを木質基材2の表面に貼着する。前記マージンMの箇所に於ける化粧材の切断方法は、最も簡単で且つ正確な方法としては、定規とカッター刃を用いた人手による切断加工である。しかし、加工能率を上げるためには、コンピュータープログラムで制御されたNCルーターや切断加工機などを用いるとよい。
【0085】
化粧材3の貼着方法は、熱圧締接着、又は、常温圧締接着で貼着する。接着条件は化粧材3や接着剤Sの種類によって異なる。それぞれに合った条件を選定する。その後、必要に応じて表面仕上げ塗装膜5を表面に設ける。さらに、必要に応じて非採光タイプ化粧板1aの側面木口に接合係止部(図示せず)を加工する。非採光タイプの化粧板1aの製造方法の第三実施形態は、以上の各工程に従って行われる。使用される、木質基材2、化粧材3、接着剤Sなどは上記したとおりである。
【0086】
図8において、本発明の採光タイプの化粧板1bについて述べる。木質基材2の表面側に化粧材3を貼着するための接着剤Sが塗布されており、その上に本発明の化粧材3が貼着されている。本発明の採光タイプの化粧板1bを構成する化粧材3は、前記縦木目ユニットU1と横木目ユニットU2及び正方形ユニットU3のうちから選択された少なくともいずれか1種以上の化粧材ユニットU、及び、少なくとも1個以上の透光板6とで構成されている。前記縦木目ユニットU1、横木目ユニットU2、正方形ユニットU3のうちの少なくともいずれか1種以上の化粧材ユニットU及び透光板6とが所定位置に配置されており、全体として採光タイプの意匠パターンを現出して本発明の採光タイプの化粧板1bが構成されている。
【0087】
従って、透光板6以外は非採光タイプ化粧板1aと同様である。すなわち、長手方向と木目方向Pとが略平行な縦木目ユニットU1と、長手方向と木目方向Pとが略直角な横木目ユニットU2と、ユニットUの形状そのものが正方形からなる正方形ユニットU3とのうち少なくとも1種以上の化粧材ユニットU、及び、透光板6とで化粧材3が構成されている。
【0088】
木質基材2は非採光タイプ化粧板1aと同様のものでよい。また、透光板6を除く各化粧材ユニットUを貼着するための接着剤Sも同様のものでよい。
【0089】
透光板6としては、例えば、着色透明又は無色透明のアクリル樹脂成型体、着色半透明又は無色半透明のアクリル樹脂成型体、着色透明又は無色透明の硝子体、着色半透明又は無色半透明の硝子体等を好適なものとして例示できる。この他に、着色又は無色の透光性を有するABS樹脂成型体、ポリエステル樹脂成型体、硬質塩ビ樹脂成型体、ポリカーボネート樹脂成型体等を好適なものとして例示できる。
【0090】
扉の例で、採光タイプの化粧板1bを用いた採光扉について詳述する。先ず、非採光タイプの化粧板1aを用いて作製された非採光タイプの扉の所定の位置に透光板6を取り付けた構成とする。先ず、非採光タイプの化粧板1aを扉の表面と裏面用として2枚作製する。このときの製造方法は上述したとおりである。一方、扉の芯組材としてフラッシュ構造の芯組材(図示せず)を作製する。この芯組材はフラッシュ構造の芯組材の代わりに密実構造の芯材であっても、勿論、よいものとする。
【0091】
前記フラッシュ構造の芯組材又は密実構造の芯材の表裏両面に非採光タイプの化粧板1aを張り付けて非採光タイプの扉を作製する。次に、透光板6の取り付け予定箇所において、扉に開口部(図示せず)を設ける。該開口部に透光板6を取り付けて採光扉が完成する。
【0092】
フラッシュ構造の芯組材である場合は、前記開口部周縁には芯材を必ず設けるようにする必要がある。密実構造の芯材の場合はこのような注意は不要である。
【0093】
扉の開口部に透光板6を取り付ける方法は、接着剤で固着させるか、開口部周縁に透光板取り付け用の額縁を設け、該額縁に透光板6を取り付け係止させる方法等がある。透光板6を取り付けた後の仕上がり性、意匠性、取り付け作業性、製造コスト等を考慮して取り付け方法を決定する。これで採光タイプの化粧板1bが完成する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の非採光タイプの化粧板の一例を示す正面図。
【図2】化粧板製造方法の説明図で第一、第二実施形態のユニット作製工程を示す。
【図3】第一、第二実施形態のユニット組み合わせ工程を示す。
【図4】第二実施形態の仕組み工程を示す。
【図5】第一、第二実施形態の貼着工程を示す。
【図6】第三実施形態の粗ユニット作製工程を示す。
【図7】(イ)第三実施形態の重ね貼り工程。(ロ)第三実施形態の重ね貼り説明図。
【図8】本発明の採光タイプの化粧板の一例を示す正面図。
【符号の説明】
【0095】
1 本発明の化粧板
1a 非採光タイプ化粧板
1b 採光タイプ化粧板
2 木質基材
3 化粧材
4 仕組み化粧材
5 仕上げ塗装膜
6 透光板
U 化粧材ユニット
U1 縦木目ユニット
U2 横木目ユニット
U3 正方形ユニット
P 木目方向
S 接着剤
T ユニット固定手段
R 粗ユニット
R1 縦木目粗ユニット
R2 横木目粗ユニット
R3 正方形粗ユニット
M 化粧材ユニットのマージン
K 化粧材の重なり部
L 所定の切断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のユニットに分割された化粧材を木質基材表面の所定位置に配置し、全体としての意匠パターンを現出してなる化粧板の製造方法であって、下記手順で作製することを特徴とする化粧板の製造方法。
1.木質基材を用意し、
2.木目を有する薄板又はシートからなる化粧材を用意し、
3.前記化粧材を所定の形状、寸法に切断し、複数個のユニットを作製し、
4.切断された化粧材の長手方向と木目方向が略平行な縦木目ユニットと、長手方向と木目方向が略直角な横木目ユニットと、正方形ユニットのいずれかに分別し、
5.木質基材表面に接着剤を塗布し、
6.前記縦木目ユニットと横木目ユニット及び正方形ユニットのうちから選択された少なくともいずれか1種以上のユニットを接着剤付き木質基材表面上でパターンに従って組み合わせ配置し、全体としての意匠パターンを現出せしめ、
7.接着剤を介して前記各ユニットを木質基材表面に貼着し、
8.必要に応じて表面仕上げ塗装し、
9.必要に応じて化粧板の側面木口に接合係止部を加工する。
【請求項2】
複数個のユニットに分割された化粧材を木質基材表面の所定位置に配置し、全体としての意匠パターンを現出してなる化粧板の製造方法であって、下記手順で作製することを特徴とする化粧板の製造方法。
1.木質基材を用意し、
2.木目を有する薄板又はシートからなる化粧材を用意し、
3.前記化粧材を所定の形状、寸法に切断し、複数個のユニットを作製し、
4.切断された化粧材の長手方向と木目方向が略平行な縦木目ユニットと、長手方向と木目方向が略直角な横木目ユニットと、正方形ユニットのいずれかに分別し、
5.前記縦木目ユニットと横木目ユニット及び正方形ユニットのうちから選択された少なくともいずれか1種以上のユニットを組み合わせ配置し、全体としての意匠パターンを現出せしめ、
6.ユニット固定手段によって各ユニットの相互配置位置を固定し所定パターンの仕組み化粧材を作製し、
7.木質基材表面に接着剤を塗布し、
8.接着剤を介して前記仕組み化粧材を木質基材表面に貼着し、
9.必要に応じて表面仕上げ塗装し、
10.必要に応じて化粧板の側面木口に接合係止部を加工する。
【請求項3】
複数個のユニットに分割された化粧材を木質基材表面の所定位置に配置し、全体としての意匠パターンを現出してなる化粧板の製造方法であって、下記手順で作製することを特徴とする化粧板の製造方法。
1.木質基材を用意し、
2.木目を有する薄板又はシートからなる化粧材を用意し、
3.前記化粧材を所定の形状、寸法にマージン(余分の裁断代)を加えた形状、寸法に切断し、複数個の粗ユニットを作製し、
4.切断された化粧材の長手方向と木目方向が略平行な縦木目粗ユニットと、長手方向と木目方向が略直角な横木目粗ユニットと、正方形粗ユニットのいずれかに分別し、
5.木質基材表面に接着剤を塗布し、
6.前記複数個の縦木目粗ユニットと横木目粗ユニット及び正方形粗ユニットのうちから選択された少なくともいずれか1種以上の粗ユニットを接着剤付き木質基材表面上で、それぞれのマージンどうしを重ねるようにしてパターンに従って組み合わせ配置し、全体としての意匠パターンを現出せしめ、
7.化粧材の重なり部を設けるようにして仮接着し、
8.隣接する各粗ユニットの重なり部の範囲内で所定の形状、寸法のユニットに切断し、
9.重なり部の余分な化粧端材を除去し、
10.接着剤を介して前記各ユニットを木質基材表面に貼着し、
11.必要に応じて表面仕上げ塗装し、
12.必要に応じて化粧板の側面木口に接合係止部を加工する。
【請求項4】
前記各ユニットが隣接する箇所の少なくとも一箇所以上の箇所で、隣接する木目どうしが作る角度が略直角であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の化粧板の製造方法。
【請求項5】
前記ユニットのうち、少なくともいずれか1種以上の化粧材ユニット、及び、少なくとも1個以上の透光板で化粧材が構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の化粧板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−226645(P2009−226645A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72360(P2008−72360)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(398051497)株式会社パル (65)
【Fターム(参考)】