化粧用抗菌ブロー容器
【課題】本発明の化粧用抗菌ブロー容器は、単体の合成樹脂から成形される化粧用抗菌ブロー容器が、抗菌剤の配合量が1重量%以下であっても、その抗菌剤が上記容器の最内層から露出して抗菌効果を発揮する、抗菌性に優れた化粧用抗菌ブロー容器を提供することを第一の課題とし、また、その抗菌効果を発揮する化粧用抗菌ブロー容器が、従来のフロストガラス容器のフロスト感に見劣りしないフロスト感に優れた化粧用抗菌ブロー容器を提供することを第二の課題とする。
【解決手段】単体の合成樹脂により形成される化粧用抗菌ブロー容器であって、前記合成樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルであり、その樹脂に平均粒径10〜20μmの球状Eガラス粒子が10〜20重量%、および平均粒径1〜10μmの銀抗菌ガラスが0.5〜1.0重量%の範囲で含有されていることを特徴とする。
【解決手段】単体の合成樹脂により形成される化粧用抗菌ブロー容器であって、前記合成樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルであり、その樹脂に平均粒径10〜20μmの球状Eガラス粒子が10〜20重量%、および平均粒径1〜10μmの銀抗菌ガラスが0.5〜1.0重量%の範囲で含有されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
単体の合成樹脂にガラス粒子を含有させることにより、優れた抗菌性とフロスト感を有する化粧用抗菌ブロー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から単体の合成樹脂を用いて成形される化粧用抗菌ブロー容器は、その樹脂に抗菌剤を練り込み成形することが知られている。例えば、銀系無機抗菌剤の含有率を1〜10質量%としたポリエチレンテレフタレート製のPETボトルは、「JIS Z 2801」の試験方法により、大腸菌及び黄色ブドウ球菌の菌液接種から24時間後の抗菌活性値が2.0以上になっており、「抗菌性あり」と評価できることが報告されている(特許文献1参照)。しかしながら、容器に保存する内容物に抗菌性を付与するために、容器を構成する樹脂全体に抗菌剤を混合することは容器表面の抗菌剤のみが有効であり、抗菌剤の量も著しく多量となりコスト面において支障があり、従来から解決すべき問題として指摘されている。そこで、ゼオライト系抗菌剤を圧縮空気内に供給する真空ポンプをブロービン手前に装着して、その圧縮空気を容器内部に吹き込むことで、上記抗菌剤を容器内表面に付着させた抗菌性プラスチック容器が提案されている(特許文献2参照)。
【0003】
そして、本発明者等は、熱可塑性樹脂ペレット、中実の球状ガラス及び抗菌剤を溶融し混練した抗菌剤・ガラス含有樹脂組成物を金型に接して成形される抗菌剤・ガラス含有ブロー容器に関して、10〜40μmの平均粒径の中実の球状ガラスビーズを、熱可塑性樹脂にそのガラス配合率が40〜70重量%の範囲で含有させると共に、抗菌剤を含有させることで、ガラス配合率が40重量%以上でブロー容器の外表面層にスキン層が形成されないこと、そして、そのスキン層が形成されない外表面層に上記中実の球状ガラスビーズ及び抗菌剤が存在することで抗菌剤の作用が発揮できる抗菌剤・ガラス含有ブロー容器を提案している(特許文献3参照)。
一方、多層の化粧用抗菌ブロー容器の場合には、そのブロー容器の最内層及び最外層の樹脂に必要に応じて抗菌剤を配合することが提案されている(特許文献4参照)。
【0004】
ところで、化粧品容器は、サンドブラスト加工等を施すことで、中液状態が判別できるフロスト(艶消し)ガラス容器が高級感と重厚感があり広く用いられている。例えば、ガラス容器の表面にサンドブラスト加工を施し、その加工の後にガラス容器に対し水中で超音波を照射して艶消し面を有するフロストガラス容器が提案されている(特許文献5参照)。プラスチック容器にもフロスト感が求められており、各種の提案がされている。例えば、ポリエチレンの表層と内層とを含む積層体により形成される多層ブロー成形品(特許文献6参照)、ポリプロピレンの表皮層と内層とから構成されるポリプロピレン樹脂製多層ブロー容器(特許文献7参照)、容器の外表面が微細粒子の吹付により生じたピーニングにより不透明又は半透明に形成されている延伸ブロー容器(特許文献8参照)等の各種の提案がされている。また、最内層及び最外層からなるフロスト感を有する多層のブロー容器は、最内層及び最外層の樹脂に必要に応じて抗菌剤を配合する提案がされている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−165522号公報
【特許文献2】特開平02−125717号公報
【特許文献3】特許第4460649号公報
【特許文献4】特開平11−005275号公報
【特許文献5】特開2007−326753号公報
【特許文献6】特開2009−012399号公報
【特許文献7】特開平10−278917号公報
【特許文献8】特開2000−043888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の単体の合成樹脂に抗菌剤を混合する化粧用抗菌ブロー容器は、その抗菌剤が1重量%以上の配合量を必要とするが、上記ブロー容器の内表面に露出する抗菌剤は極めて僅かであり、多くの高価な抗菌剤が無用なものとして容器内に埋没している。特許文献2の抗菌性プラスチック容器は、圧縮空気を容器内部に吹き込むことで抗菌剤を容器内表面に付着させるために、内表面に常に同量の抗菌剤を均一に付着させることが難しく、均一な製品を製造することが困難である。特許文献3の抗菌剤・ガラス含有ブロー容器は、スキン層が形成されない外表面層の抗菌剤がその作用を発揮できるもので、抗菌剤・ガラス含有樹脂組成物が金型に接しない内表面層は、抗菌剤の作用を発揮できないものと考えられる。特許文献4の多層の化粧用抗菌ブロー容器は、多層にするために製造コストが掛かり低コストの製品が得られにくく、また、最内層の樹脂に抗菌剤を配合した多層のブロー容器は、多くの抗菌剤が樹脂被膜により覆われており、最内層の表面から露出して抗菌作用を発揮することができないために、化粧液にパラベン等の防腐剤を用いているのが実情である。
プラスチック容器のフロスト感は、従来のフロストガラス容器と比べて高級感と重厚感に劣り、未だ満足されるものではない。
【0007】
そこで、本発明は、単体の合成樹脂から成形される化粧用抗菌ブロー容器が、抗菌剤の配合量が1重量%以下であっても、その抗菌剤が上記容器の最内層から露出して抗菌効果を発揮する、抗菌性に優れた化粧用抗菌ブロー容器を提供することを第一の課題とし、また、その抗菌効果を発揮する化粧用抗菌ブロー容器が、従来のフロストガラス容器のフロスト感に見劣りしないフロスト感に優れた化粧用抗菌ブロー容器を提供することを第二の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明者らは、従来の合成樹脂に銀抗菌ガラスを0.5〜1.0重量%の範囲で含有させ成形した化粧用抗菌ブロー容器は、満足する抗菌効果が得られないので、鋭意検討した結果、更に10〜20重量%の範囲で含有させることで、抗菌効果に優れまたフロスト感に優れる化粧用抗菌ブロー容器を完成するに至った。
本発明の請求項1に係る化粧用抗菌ブロー容器は、単体の合成樹脂により形成される化粧用抗菌ブロー容器であって、前記合成樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルであり、その樹脂に平均粒径10〜20μmの球状Eガラス粒子が10〜20重量%、および平均粒径1〜10μmの銀抗菌ガラスが0.5〜1.0重量%の範囲で含有されていることを特徴とする。
請求項2に係る化粧用抗菌ブロー容器は、前記球状Eガラス粒子および銀抗菌ガラスが、前記化粧用抗菌ブロー容器の内部表面から突出していることを特徴とする。
請求項3に係る化粧用抗菌ブロー容器は、前記球状Eガラス粒子を含有しない化粧用抗菌ブロー容器に、精製水100gを注入して24時間静置して溶出した銀イオン量を基準として、各球状Eガラス粒子含有率の異なる前記化粧用抗菌ブロー容器から溶出した銀イオン量を、上記基準の銀イオン量で割った値である露出度が、前記球状Eガラス粒子含有率10〜20重量%の範囲で2.0〜2.3倍の範囲の値であることを特徴とする。
請求項4に係る化粧用抗菌ブロー容器は、前記球状Eガラス粒子の熱伝導率が1.50W/m・Kであり、前記単体の合成樹脂の熱伝導率が0.26〜0.40W/m・Kの範囲にあることを特徴とする。
請求項5に係る化粧用抗菌ブロー容器は、前記合成樹脂に前記平均粒径10〜20μmの球状Eガラス粒子が10〜11重量%の範囲、および平均粒径1〜10μmの銀抗菌ガラスが0.5〜1.0重量%の範囲で含有されている前記化粧用抗菌ブロー容器が、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%の値と同じ値であることを特徴とする。
請求項6に係る化粧用抗菌ブロー容器は、前記合成樹脂がポリエチレンである前記球状Eガラス粒子の含有率10〜11重量%の前記化粧用抗菌ブロー容器のヘーズ値が、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%と同じ値であることを特徴とする。
請求項7に係る化粧用抗菌ブロー容器は、前記合成樹脂がポリプロピレンである前記球状Eガラス粒子の含有率10〜12重量%の前記化粧用抗菌ブロー容器のヘーズ値が、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%と同じ値であることを特徴とする。
請求項8に係る化粧用抗菌ブロー容器は、前記合成樹脂がポリエステルである前記球状Eガラス粒子の含有率10〜15重量%の前記化粧用抗菌ブロー容器のヘーズ値が、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%と同じ値であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の化粧用抗菌ブロー容器は、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルの単体の合成樹脂に、球状Eガラス粒子が10〜20重量%含有されることで、優れた抗菌作用を発揮する。
本発明の化粧用抗菌ブロー容器は、熱伝導率が1.50W/m・Kである球状Eガラス粒子が、熱伝導率が0.26〜0.40W/m・Kの範囲にある単体の合成樹脂の約4〜6倍の値であることで、その容器の内部表面から球状Eガラス粒子および銀抗菌ガラスが突出する形状を成形できるので、優れた抗菌作用を発揮する。
また、本発明の化粧用抗菌ブロー容器は、球状Eガラス粒子を含有しない化粧用抗菌ブロー容器と比べて前記球状Eガラス粒子含有率10〜20重量%の範囲で、露出度が2.0〜2.3倍の範囲の値であるので、優れた抗菌作用を示している。
更に、本発明の化粧用抗菌ブロー容器は、球状Eガラス粒子が10〜11重量%の範囲で含有されていれば、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%の値と同じ値の範囲にあり、優れたフロスト感が得られる。
合成樹脂が高密度ポリエチレンである化粧用抗菌ブロー容器は、球状Eガラス粒子が10〜11重量%の範囲で含有されていれば、また、合成樹脂がポリプロピレンである化粧用抗菌ブロー容器は、球状Eガラス粒子が10〜12重量%の範囲で含有されていれば、そして、合成樹脂がポリエステルである化粧用抗菌ブロー容器は、球状Eガラス粒子が10〜15重量%の範囲で含有されていれば、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%の値と同じ値の範囲にあり、優れたフロスト感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】球状Eガラス粒子0%の容器の外部表面を示す外部表面図である。
【図2】球状Eガラス粒子5重量%の容器の外部表面を示す外部表面図である。
【図3】球状Eガラス粒子10重量%の容器の外部表面を示す外部表面図である。
【図4】球状Eガラス粒子15重量%の容器の外部表面を示す外部表面図である。
【図5】球状Eガラス粒子20重量%の容器の外部表面を示す外部表面図である。
【図6】球状Eガラス粒子0%の容器の内部表面を示す内部表面図である。
【図7】球状Eガラス粒子5重量%の容器の内部表面を示す内部表面図である。
【図8】球状Eガラス粒子10重量%の容器の内部表面を示す内部表面図である。
【図9】球状Eガラス粒子15重量%の容器の内部表面を示す内部表面図である。
【図10】球状Eガラス粒子20重量%の容器の内部表面を示す内部表面図である。
【図11】露出度(倍)と球状Eガラス含有率(重量%)の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(樹脂及びガラス粒子)
本発明の化粧用抗菌ブロー容器に用いられる合成樹脂は、高密度ポリエチレン樹脂(以下「HDPE樹脂」という。)、ポリプロピレン樹脂(以下「PP樹脂」という。)又はポリエステル樹脂(以下「PET樹脂」という。)の単体の樹脂である。その単体の樹脂に配合するガラス粒子は、平均粒径10〜20μmの球状Eガラス粒子と、平均粒径1〜10μmの銀抗菌ガラスを使用する。上記単体の樹脂に球状Eガラス粒子が10〜20重量%の範囲のものと、銀抗菌ガラスが0.5〜1.0重量%の範囲のものを配合する。
【0012】
(球状Eガラス粒子及び銀抗菌ガラス含有樹脂ペレットの製造)
HDPE樹脂、PP樹脂又はPET樹脂をペレタイザーの第1ホッパーより投入して溶融撹拌し、平均粒径10〜20μmの球状Eガラス粒子0、5、10、15、20又は30重量%と、銀抗菌ガラス0.5又は1.0重量%を混合したものを、第2ホッパーより投入して混練し押出してペレットを製造した。
【0013】
(樹脂及びガラス粒子の熱伝導率)
HDPE樹脂の熱伝導率は0.40(W/m・K)であり、PP樹脂の熱伝導率は0.37(W/m・K)であり、PET樹脂の熱伝導率は0.26(W/m・K)である。
球状Eガラスの熱伝導率は1.50W/m・Kであり、銀抗菌ガラスのそれは、配合素材により熱伝導率1.40W/m・Kを中心にした幅を持った値である。実施例で用いた銀抗菌ガラスでは1.40W/m・Kの値のものを用いている。
なお、球状Eガラス及び銀抗菌ガラスの製造方法は良く知られているので省略する。
【0014】
(本実験について)
球状Eガラス粒子含有のHDPE樹脂、PP樹脂又はPET樹脂のペレットからブロー容器を形成し、その球状Eガラス粒子及び銀抗菌ガラスの含有率(重量%)とブロー容器の球状Eガラス粒子及び銀抗菌ガラスの露出の状態を調べるための実験1及び2を行った。
球状Eガラス粒子及び銀抗菌ガラスの露出の状態を調べる実験として、上記ブロー容器の内面及び外面を、レーザー顕微鏡により球状Eガラス粒子の露出状態を調べる実験1と、上記ブロー容器の内面に露出している銀抗菌ガラスから溶出する銀イオン量を測定して、露出度を調べる実験2を行った。
【0015】
(実験1)
HDPE樹脂、PP樹脂及びPET樹脂のうち一例としてPP樹脂を説明する。他のHDPE樹脂及びPET樹脂は、PP樹脂の球状Eガラス粒子の含有率とブロー容器内面の粒子露出の状態と同じであるのでその説明を省略する。
PP樹脂(ブローグレード;EG6D 日本ポリプロピレン株式会社製品)をペレタイザーの第1ホッパーより投入して溶融撹拌し、第2ホッパーより銀抗菌ガラス粒子(PG721ST;興亜硝子株式会社製品)及び球状Eガラス粒子(EA−150;日東紡株式会社製品)を下記表1の如く配合して混練し押出して本実験のペレットにした。そのペレットをブロー成形機により240℃で押出したパリソンを、ブロー倍率2倍のブロー容器に成形した。該容器の外面と内面の状態をレーザー顕微鏡(1000倍の写真)により球状Eガラス粒子の露出状態を調べる実験を行った。
なお、表1に示す銀イオン量の値は、試料数N=3を測定して得られた値を算術平均で求めたものである。
【0016】
図1〜図10は、銀抗菌ガラス粒子0.5重量%を含有する化粧用抗菌ブロー容器の外部および内部表面の写真である。図1は球状Eガラス粒子0%の容器の外部表面を示す外部表面図であり、以下同様に、図2は球状Eガラス粒子5重量%の容器の外部表面、図3は球状Eガラス粒子10重量%の容器の外部表面、図4は球状Eガラス粒子15重量%の容器の外部表面、図5は球状Eガラス粒子20重量%の容器の外部表面を示す外部表面図である。次に、図6は球状Eガラス粒子0%の容器の内部表面を示す内部表面図であり、以下同様に、図7は球状Eガラス粒子5重量%の容器の内部表面、図8は球状Eガラス粒子10重量%の容器の内部表面、図9は球状Eガラス粒子15重量%の容器の内部表面、図10は球状Eガラス粒子20重量%の容器の内部表面を示す内部表面図である。
実験1のレーザー顕微鏡の写真は、図1〜図5の容器の外部表面図及び図6〜図10の容器の内部表面図も、球状Eガラス粒子の含有率の増加により、その表面から球状Eガラス粒子が突出する度合いが増加していることを示している。
球状Eガラス粒子と銀抗菌ガラスの含有率とそれらの粒子の露出度の関係を具体的な値で示すことはレーザー顕微鏡では無理である。そこで、銀抗菌ガラス粒子(0.5又は1重量%)と球状Eガラス粒子を上記樹脂に含有させて、銀イオンの溶出量により銀抗菌ガラス粒子の露出度を調べる実験2を次に行った。
【0017】
(実験2)
HDPE樹脂、PP樹脂及びPET樹脂のうち一例としてPP樹脂を説明する。予備実験として、HDPE樹脂又はPET樹脂に0.5又は1重量%の銀抗菌ガラス粒子だけを含有したブロー容器と、それに更に球状Eガラス粒子を5又は10重量%を含有したブロー容器を成形して、銀イオンの溶出量により銀抗菌ガラス粒子の露出度を調べた結果、PP樹脂の同じ条件の銀イオンの溶出量と銀抗菌ガラス粒子の露出度が近似した値を示したので、PP樹脂を用いた実験2を行い、他の樹脂の実験2を省略した。
【0018】
PP樹脂(ブローグレード;EG6D 日本ポリプロピレン株式会社製品)をペレタイザーの第1ホッパーより投入して溶融撹拌し、0.5又は1.0重量%の銀抗菌ガラス(PG721ST;興亜硝子株式会社製品)、及び5、10、15、20又は30重量%の球状Eガラス粒子(EA−150;日東紡株式会社製品)を混合したものを、第2ホッパーより投入して混練し押出して実験2のペレットにした。該ペレットを、溶融温度240℃、吐出温度200℃、圧力6kg/cm2でパリソンとして金型温度50℃冷却時間50秒でブローボトル(65mm角、115mm高)を成形した。ブロー倍率は2倍と、4倍の2条件とした。上記銀抗菌ガラス粒子及び球状Eガラス粒子の含有率は表1に示す通りである。
成形したブロー容器に精製水100gを注入して24時間静置して溶出した銀イオンを、ICP発光分析装置(島津製作所製;ICP S−8100)により銀イオン量を測定した。その銀イオン量の測定結果を表1に示す。
【表1】
【0019】
銀抗菌ガラスは0.5重量%と1.0重量%の含有率を用いた。0.5重量%と1.0重量%の銀抗菌ガラス含有のブロー容器は、銀イオンの溶出量の差が明らかであり、それは銀抗菌ガラス粒子の含有率が倍の差によるものであるが、銀イオン量は倍になっていない。
Eガラスを含有しないブロー容器に精製水100gを注入して24時間静置して溶出した銀イオン量を基準として、5、10、15、20又は30重量%の球状Eガラス粒子含有のブロー容器は、各ブロー容器から溶出した銀イオン量を上記基準の銀イオン量で割った値を露出度(倍)と定義して、測定して得られた各銀イオン量を基準の銀イオン量で割った値を表1の露出度(倍)の欄に示した。
【0020】
図11は、露出度(倍)と球状Eガラス含有率(重量%)の関係を示すグラフである。
上記グラフは表1のブロー倍率2倍、4倍の露出度の欄のデータを横軸に、球状Eガラス含有率を縦軸にしてプロットした点を、多項式近似曲線で示した。
図11の、◇印は銀抗菌ガラス粒子が0.5重量%、ブロー倍率2倍であり、囗印は銀抗菌ガラス粒子が1.0重量%、ブロー倍率2倍であり、×印は銀抗菌ガラス粒子が0.5重量%、ブロー倍率4倍であり、*印は銀抗菌ガラス粒子が1.0重量%、ブロー倍率4倍であるブロー容器の露出度と球状Eガラス含有率の関係を示している。ブロー倍率2倍または4倍による露出度の影響は、図11のグラフの形状が近似した多項式近似曲線を示しており、ブロー倍率2倍の露出度はブロー倍率4倍の露出度より若干高い傾向が見られる。
【0021】
球状Eガラス含有率が15重量%で、◇印のグラフの露出度が最も大きく、囗印、×印そして*印の順に露出度が小さくなっている。◇印の多項式近似曲線の式は、y = -0.0045x2+ 0.1454x + 1.0723であり、*印の多項式近似曲線の式は、y = -0.0043x2+ 0.1363x + 1.0632である。上記球状Eガラス含有率15重量%を上記式に代入して露出度を計算すると、◇印の露出度は2.24倍であり、*印の露出度は2.14倍が得られる。この結果から誤差を加味すると、球状Eガラス含有率15重量%、銀抗菌ガラス含有率0.5〜1.0重量%の化粧用抗菌ブロー容器は、露出度が2.1〜2.3倍の範囲にあることが判った。
一方、球状Eガラス含有率が10重量%及び20重量%で、図11に示すグラフから露出度は2倍の値を示している。このことは、HDPE、PP又はPETの合成樹脂に、0.5〜1.0重量%の銀抗菌ガラス(球状Eガラス含有率0重量%)を含有させた比較例(No.1)と比べ、それらの樹脂に10〜20重量%の球状Eガラスを含有させた実験例(No3−1〜No5−2)は、近似曲線の値からみて、露出度が2.0〜2.3倍になり、その銀イオン量が54〜77ppbの値を示している。
【0022】
次に、図6と図9の化粧用抗菌ブロー容器の内部表面を示す図に基づいて、その内部表面が図9に示す構造に成形される理由を説明する。ここで、図6は、銀抗菌ガラス粒子0.5重量%を含有する化粧用抗菌ブロー容器(球状Eガラス粒子の含有率0%)内部表面を示す図であり、図9は、銀抗菌ガラス粒子0.5重量%、球状Eガラス粒子15重量%を含有する化粧用抗菌ブロー容器の内部表面を示す図である。
ブロー容器の成形においてパリソンに空気を圧入してブローをすると、平面方向に張力が働いて厚さ方向に収縮力が働く。厚さが薄くなる方向、即ち内部方向に応力が働くのである。球状Eガラス粒子の熱伝導率により球状Eガラス粒子の周囲の樹脂が速冷えすると、その周りの流動性を有する樹脂に厚さ方向に働く収縮力が、取り残された速冷え部分に押上応力となって作用するので球状Eガラス粒子が表面に露出するようになる。押上応力による押上げの仕事量は、球状Eガラス粒子を増加すると樹脂比率が低下するので、樹脂比率の低下により押上げ仕事量が低下する点が存在する。この結果、球状Eガラス粒子の配合率に対して露出度が山形傾向を示すことになり、そのピークがEガラス粒子の配合率15重量%付近になっているのである。
【0023】
上述したように、樹脂中にその樹脂より4〜6倍の熱伝導率の球状Eガラス粒子を配合することで、容器の内部表面から球状Eガラス粒子が突出するので、その熱伝導率とほぼ同じ銀抗菌ガラスも球状Eガラス粒子と同様に突出するものと推測できる。
図6〜図10の内部表面の形状、および表1の銀イオン量及び露出度が示す値は、上記した推測が正しいことを裏付けている。また、上記した合成樹脂に10〜20重量%の球状Eガラスを含有させた実験例(No.3−1〜No.5−2)の銀イオン量は、54〜77ppbであるから抗菌効果を奏することは明らかである。
【0024】
(ガラス容器のフロスト感)
本発明の化粧用抗菌ブロー容器の比較例として、フロスト感に差のあるガラス容器を5種類入手してヘーズ値を測定した。フロストガラス容器の面を切り出して、紫外可視分光光度計(uv−3100PC;島津製作所製)、積分球ISR−3100を用いてJIS K7105に基づき測定波長220−3200nmによる全光線透過率と拡散透過率を測定してヘーズ値を求めた。その結果を表2に示す。
なお、表2に示すヘーズ値の値は、試料数N=3を測定して得られた全光線透過率と拡散透過率の値からヘーズ値を計算し、そのヘーズ値を算術平均して求めたものである。
【表2】
表2よりフロスト感を、ヘーズ値で35〜50%の範囲と示すことができる。
【0025】
(化粧用抗菌ブロー容器のフロスト感の発現)
HDPE樹脂(ノバテックZE41K;日本ポリエチレン(株)製)、PP樹脂(ブローグレード;EG6D 日本ポリプロピレン(株)製)、PET樹脂(ユニチカ ポリエステルSA−1206;ユニチカ(株)製)の3種類の合成樹脂を用いて、前記の如く球状Eガラス粒子(平均粒径10〜20μm)を表1の如く配合して、ブロー倍率2倍としたブローボトルをブロー成形した。ボトルの面をカッターで切り出して、紫外可視分光光度計(nv−3100PC;島津製作所製)、積分球ISR−3100を用いてJIS K7105に基づき測定波長220−3200nmによる全光線透過率、拡散透過率を測定してヘーズ値を求めた、その結果を表3〜5に示す。
【0026】
(HDPEボトル)
【表3】
【0027】
(PPボトル)
【表4】
【0028】
(PETボトル)
【表5】
【0029】
表3(HDPE樹脂)、表4(PP樹脂)、表5(PET樹脂)よりフロストの発現を、フロストガラス容器によるヘーズ値35〜50%の範囲と対比すると、HDPE樹脂では球状Eガラス粒子の含有率6〜11重量%の範囲で、PP樹脂では球状Eガラス粒子の含有率7〜12重量%の範囲で、PET樹脂では球状Eガラス粒子の含有率9〜15重量%の範囲でフロストが発現する。これ以下の含有率では光線の拡散が少なくフロスト効果が得られない。これ以上の含有率では不透明になりフロスト効果が得られない。前記フロスト効果が発現する含有率の範囲は、粒子の露出が増加する範囲である。
【0030】
ところで、本発明は、抗菌性に優れた化粧用抗菌ブロー容器を提供することを第一の目的とし、また、従来のフロストガラス容器のフロスト感に見劣りしないフロスト感に優れた化粧用抗菌ブロー容器を提供することを第二の目的としている。上記フロスト感に優れた化粧用抗菌ブロー容器が抗菌性にも優れるためには、球状Eガラス粒子の含有率がHDPE樹脂では10〜11重量%の範囲、PP樹脂では10〜12重量%の範囲、PET樹脂では10〜15重量%の範囲でなければならない。そして、HDPE、PPまたはPETの樹脂で、抗菌性およびフロスト感に優れた化粧用抗菌ブロー容器は、球状Eガラス粒子の含有率が10〜11重量%の範囲であれば何れの樹脂を用いても両方の優れた効果が得られる。
【技術分野】
【0001】
単体の合成樹脂にガラス粒子を含有させることにより、優れた抗菌性とフロスト感を有する化粧用抗菌ブロー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から単体の合成樹脂を用いて成形される化粧用抗菌ブロー容器は、その樹脂に抗菌剤を練り込み成形することが知られている。例えば、銀系無機抗菌剤の含有率を1〜10質量%としたポリエチレンテレフタレート製のPETボトルは、「JIS Z 2801」の試験方法により、大腸菌及び黄色ブドウ球菌の菌液接種から24時間後の抗菌活性値が2.0以上になっており、「抗菌性あり」と評価できることが報告されている(特許文献1参照)。しかしながら、容器に保存する内容物に抗菌性を付与するために、容器を構成する樹脂全体に抗菌剤を混合することは容器表面の抗菌剤のみが有効であり、抗菌剤の量も著しく多量となりコスト面において支障があり、従来から解決すべき問題として指摘されている。そこで、ゼオライト系抗菌剤を圧縮空気内に供給する真空ポンプをブロービン手前に装着して、その圧縮空気を容器内部に吹き込むことで、上記抗菌剤を容器内表面に付着させた抗菌性プラスチック容器が提案されている(特許文献2参照)。
【0003】
そして、本発明者等は、熱可塑性樹脂ペレット、中実の球状ガラス及び抗菌剤を溶融し混練した抗菌剤・ガラス含有樹脂組成物を金型に接して成形される抗菌剤・ガラス含有ブロー容器に関して、10〜40μmの平均粒径の中実の球状ガラスビーズを、熱可塑性樹脂にそのガラス配合率が40〜70重量%の範囲で含有させると共に、抗菌剤を含有させることで、ガラス配合率が40重量%以上でブロー容器の外表面層にスキン層が形成されないこと、そして、そのスキン層が形成されない外表面層に上記中実の球状ガラスビーズ及び抗菌剤が存在することで抗菌剤の作用が発揮できる抗菌剤・ガラス含有ブロー容器を提案している(特許文献3参照)。
一方、多層の化粧用抗菌ブロー容器の場合には、そのブロー容器の最内層及び最外層の樹脂に必要に応じて抗菌剤を配合することが提案されている(特許文献4参照)。
【0004】
ところで、化粧品容器は、サンドブラスト加工等を施すことで、中液状態が判別できるフロスト(艶消し)ガラス容器が高級感と重厚感があり広く用いられている。例えば、ガラス容器の表面にサンドブラスト加工を施し、その加工の後にガラス容器に対し水中で超音波を照射して艶消し面を有するフロストガラス容器が提案されている(特許文献5参照)。プラスチック容器にもフロスト感が求められており、各種の提案がされている。例えば、ポリエチレンの表層と内層とを含む積層体により形成される多層ブロー成形品(特許文献6参照)、ポリプロピレンの表皮層と内層とから構成されるポリプロピレン樹脂製多層ブロー容器(特許文献7参照)、容器の外表面が微細粒子の吹付により生じたピーニングにより不透明又は半透明に形成されている延伸ブロー容器(特許文献8参照)等の各種の提案がされている。また、最内層及び最外層からなるフロスト感を有する多層のブロー容器は、最内層及び最外層の樹脂に必要に応じて抗菌剤を配合する提案がされている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−165522号公報
【特許文献2】特開平02−125717号公報
【特許文献3】特許第4460649号公報
【特許文献4】特開平11−005275号公報
【特許文献5】特開2007−326753号公報
【特許文献6】特開2009−012399号公報
【特許文献7】特開平10−278917号公報
【特許文献8】特開2000−043888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の単体の合成樹脂に抗菌剤を混合する化粧用抗菌ブロー容器は、その抗菌剤が1重量%以上の配合量を必要とするが、上記ブロー容器の内表面に露出する抗菌剤は極めて僅かであり、多くの高価な抗菌剤が無用なものとして容器内に埋没している。特許文献2の抗菌性プラスチック容器は、圧縮空気を容器内部に吹き込むことで抗菌剤を容器内表面に付着させるために、内表面に常に同量の抗菌剤を均一に付着させることが難しく、均一な製品を製造することが困難である。特許文献3の抗菌剤・ガラス含有ブロー容器は、スキン層が形成されない外表面層の抗菌剤がその作用を発揮できるもので、抗菌剤・ガラス含有樹脂組成物が金型に接しない内表面層は、抗菌剤の作用を発揮できないものと考えられる。特許文献4の多層の化粧用抗菌ブロー容器は、多層にするために製造コストが掛かり低コストの製品が得られにくく、また、最内層の樹脂に抗菌剤を配合した多層のブロー容器は、多くの抗菌剤が樹脂被膜により覆われており、最内層の表面から露出して抗菌作用を発揮することができないために、化粧液にパラベン等の防腐剤を用いているのが実情である。
プラスチック容器のフロスト感は、従来のフロストガラス容器と比べて高級感と重厚感に劣り、未だ満足されるものではない。
【0007】
そこで、本発明は、単体の合成樹脂から成形される化粧用抗菌ブロー容器が、抗菌剤の配合量が1重量%以下であっても、その抗菌剤が上記容器の最内層から露出して抗菌効果を発揮する、抗菌性に優れた化粧用抗菌ブロー容器を提供することを第一の課題とし、また、その抗菌効果を発揮する化粧用抗菌ブロー容器が、従来のフロストガラス容器のフロスト感に見劣りしないフロスト感に優れた化粧用抗菌ブロー容器を提供することを第二の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明者らは、従来の合成樹脂に銀抗菌ガラスを0.5〜1.0重量%の範囲で含有させ成形した化粧用抗菌ブロー容器は、満足する抗菌効果が得られないので、鋭意検討した結果、更に10〜20重量%の範囲で含有させることで、抗菌効果に優れまたフロスト感に優れる化粧用抗菌ブロー容器を完成するに至った。
本発明の請求項1に係る化粧用抗菌ブロー容器は、単体の合成樹脂により形成される化粧用抗菌ブロー容器であって、前記合成樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルであり、その樹脂に平均粒径10〜20μmの球状Eガラス粒子が10〜20重量%、および平均粒径1〜10μmの銀抗菌ガラスが0.5〜1.0重量%の範囲で含有されていることを特徴とする。
請求項2に係る化粧用抗菌ブロー容器は、前記球状Eガラス粒子および銀抗菌ガラスが、前記化粧用抗菌ブロー容器の内部表面から突出していることを特徴とする。
請求項3に係る化粧用抗菌ブロー容器は、前記球状Eガラス粒子を含有しない化粧用抗菌ブロー容器に、精製水100gを注入して24時間静置して溶出した銀イオン量を基準として、各球状Eガラス粒子含有率の異なる前記化粧用抗菌ブロー容器から溶出した銀イオン量を、上記基準の銀イオン量で割った値である露出度が、前記球状Eガラス粒子含有率10〜20重量%の範囲で2.0〜2.3倍の範囲の値であることを特徴とする。
請求項4に係る化粧用抗菌ブロー容器は、前記球状Eガラス粒子の熱伝導率が1.50W/m・Kであり、前記単体の合成樹脂の熱伝導率が0.26〜0.40W/m・Kの範囲にあることを特徴とする。
請求項5に係る化粧用抗菌ブロー容器は、前記合成樹脂に前記平均粒径10〜20μmの球状Eガラス粒子が10〜11重量%の範囲、および平均粒径1〜10μmの銀抗菌ガラスが0.5〜1.0重量%の範囲で含有されている前記化粧用抗菌ブロー容器が、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%の値と同じ値であることを特徴とする。
請求項6に係る化粧用抗菌ブロー容器は、前記合成樹脂がポリエチレンである前記球状Eガラス粒子の含有率10〜11重量%の前記化粧用抗菌ブロー容器のヘーズ値が、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%と同じ値であることを特徴とする。
請求項7に係る化粧用抗菌ブロー容器は、前記合成樹脂がポリプロピレンである前記球状Eガラス粒子の含有率10〜12重量%の前記化粧用抗菌ブロー容器のヘーズ値が、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%と同じ値であることを特徴とする。
請求項8に係る化粧用抗菌ブロー容器は、前記合成樹脂がポリエステルである前記球状Eガラス粒子の含有率10〜15重量%の前記化粧用抗菌ブロー容器のヘーズ値が、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%と同じ値であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の化粧用抗菌ブロー容器は、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルの単体の合成樹脂に、球状Eガラス粒子が10〜20重量%含有されることで、優れた抗菌作用を発揮する。
本発明の化粧用抗菌ブロー容器は、熱伝導率が1.50W/m・Kである球状Eガラス粒子が、熱伝導率が0.26〜0.40W/m・Kの範囲にある単体の合成樹脂の約4〜6倍の値であることで、その容器の内部表面から球状Eガラス粒子および銀抗菌ガラスが突出する形状を成形できるので、優れた抗菌作用を発揮する。
また、本発明の化粧用抗菌ブロー容器は、球状Eガラス粒子を含有しない化粧用抗菌ブロー容器と比べて前記球状Eガラス粒子含有率10〜20重量%の範囲で、露出度が2.0〜2.3倍の範囲の値であるので、優れた抗菌作用を示している。
更に、本発明の化粧用抗菌ブロー容器は、球状Eガラス粒子が10〜11重量%の範囲で含有されていれば、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%の値と同じ値の範囲にあり、優れたフロスト感が得られる。
合成樹脂が高密度ポリエチレンである化粧用抗菌ブロー容器は、球状Eガラス粒子が10〜11重量%の範囲で含有されていれば、また、合成樹脂がポリプロピレンである化粧用抗菌ブロー容器は、球状Eガラス粒子が10〜12重量%の範囲で含有されていれば、そして、合成樹脂がポリエステルである化粧用抗菌ブロー容器は、球状Eガラス粒子が10〜15重量%の範囲で含有されていれば、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%の値と同じ値の範囲にあり、優れたフロスト感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】球状Eガラス粒子0%の容器の外部表面を示す外部表面図である。
【図2】球状Eガラス粒子5重量%の容器の外部表面を示す外部表面図である。
【図3】球状Eガラス粒子10重量%の容器の外部表面を示す外部表面図である。
【図4】球状Eガラス粒子15重量%の容器の外部表面を示す外部表面図である。
【図5】球状Eガラス粒子20重量%の容器の外部表面を示す外部表面図である。
【図6】球状Eガラス粒子0%の容器の内部表面を示す内部表面図である。
【図7】球状Eガラス粒子5重量%の容器の内部表面を示す内部表面図である。
【図8】球状Eガラス粒子10重量%の容器の内部表面を示す内部表面図である。
【図9】球状Eガラス粒子15重量%の容器の内部表面を示す内部表面図である。
【図10】球状Eガラス粒子20重量%の容器の内部表面を示す内部表面図である。
【図11】露出度(倍)と球状Eガラス含有率(重量%)の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(樹脂及びガラス粒子)
本発明の化粧用抗菌ブロー容器に用いられる合成樹脂は、高密度ポリエチレン樹脂(以下「HDPE樹脂」という。)、ポリプロピレン樹脂(以下「PP樹脂」という。)又はポリエステル樹脂(以下「PET樹脂」という。)の単体の樹脂である。その単体の樹脂に配合するガラス粒子は、平均粒径10〜20μmの球状Eガラス粒子と、平均粒径1〜10μmの銀抗菌ガラスを使用する。上記単体の樹脂に球状Eガラス粒子が10〜20重量%の範囲のものと、銀抗菌ガラスが0.5〜1.0重量%の範囲のものを配合する。
【0012】
(球状Eガラス粒子及び銀抗菌ガラス含有樹脂ペレットの製造)
HDPE樹脂、PP樹脂又はPET樹脂をペレタイザーの第1ホッパーより投入して溶融撹拌し、平均粒径10〜20μmの球状Eガラス粒子0、5、10、15、20又は30重量%と、銀抗菌ガラス0.5又は1.0重量%を混合したものを、第2ホッパーより投入して混練し押出してペレットを製造した。
【0013】
(樹脂及びガラス粒子の熱伝導率)
HDPE樹脂の熱伝導率は0.40(W/m・K)であり、PP樹脂の熱伝導率は0.37(W/m・K)であり、PET樹脂の熱伝導率は0.26(W/m・K)である。
球状Eガラスの熱伝導率は1.50W/m・Kであり、銀抗菌ガラスのそれは、配合素材により熱伝導率1.40W/m・Kを中心にした幅を持った値である。実施例で用いた銀抗菌ガラスでは1.40W/m・Kの値のものを用いている。
なお、球状Eガラス及び銀抗菌ガラスの製造方法は良く知られているので省略する。
【0014】
(本実験について)
球状Eガラス粒子含有のHDPE樹脂、PP樹脂又はPET樹脂のペレットからブロー容器を形成し、その球状Eガラス粒子及び銀抗菌ガラスの含有率(重量%)とブロー容器の球状Eガラス粒子及び銀抗菌ガラスの露出の状態を調べるための実験1及び2を行った。
球状Eガラス粒子及び銀抗菌ガラスの露出の状態を調べる実験として、上記ブロー容器の内面及び外面を、レーザー顕微鏡により球状Eガラス粒子の露出状態を調べる実験1と、上記ブロー容器の内面に露出している銀抗菌ガラスから溶出する銀イオン量を測定して、露出度を調べる実験2を行った。
【0015】
(実験1)
HDPE樹脂、PP樹脂及びPET樹脂のうち一例としてPP樹脂を説明する。他のHDPE樹脂及びPET樹脂は、PP樹脂の球状Eガラス粒子の含有率とブロー容器内面の粒子露出の状態と同じであるのでその説明を省略する。
PP樹脂(ブローグレード;EG6D 日本ポリプロピレン株式会社製品)をペレタイザーの第1ホッパーより投入して溶融撹拌し、第2ホッパーより銀抗菌ガラス粒子(PG721ST;興亜硝子株式会社製品)及び球状Eガラス粒子(EA−150;日東紡株式会社製品)を下記表1の如く配合して混練し押出して本実験のペレットにした。そのペレットをブロー成形機により240℃で押出したパリソンを、ブロー倍率2倍のブロー容器に成形した。該容器の外面と内面の状態をレーザー顕微鏡(1000倍の写真)により球状Eガラス粒子の露出状態を調べる実験を行った。
なお、表1に示す銀イオン量の値は、試料数N=3を測定して得られた値を算術平均で求めたものである。
【0016】
図1〜図10は、銀抗菌ガラス粒子0.5重量%を含有する化粧用抗菌ブロー容器の外部および内部表面の写真である。図1は球状Eガラス粒子0%の容器の外部表面を示す外部表面図であり、以下同様に、図2は球状Eガラス粒子5重量%の容器の外部表面、図3は球状Eガラス粒子10重量%の容器の外部表面、図4は球状Eガラス粒子15重量%の容器の外部表面、図5は球状Eガラス粒子20重量%の容器の外部表面を示す外部表面図である。次に、図6は球状Eガラス粒子0%の容器の内部表面を示す内部表面図であり、以下同様に、図7は球状Eガラス粒子5重量%の容器の内部表面、図8は球状Eガラス粒子10重量%の容器の内部表面、図9は球状Eガラス粒子15重量%の容器の内部表面、図10は球状Eガラス粒子20重量%の容器の内部表面を示す内部表面図である。
実験1のレーザー顕微鏡の写真は、図1〜図5の容器の外部表面図及び図6〜図10の容器の内部表面図も、球状Eガラス粒子の含有率の増加により、その表面から球状Eガラス粒子が突出する度合いが増加していることを示している。
球状Eガラス粒子と銀抗菌ガラスの含有率とそれらの粒子の露出度の関係を具体的な値で示すことはレーザー顕微鏡では無理である。そこで、銀抗菌ガラス粒子(0.5又は1重量%)と球状Eガラス粒子を上記樹脂に含有させて、銀イオンの溶出量により銀抗菌ガラス粒子の露出度を調べる実験2を次に行った。
【0017】
(実験2)
HDPE樹脂、PP樹脂及びPET樹脂のうち一例としてPP樹脂を説明する。予備実験として、HDPE樹脂又はPET樹脂に0.5又は1重量%の銀抗菌ガラス粒子だけを含有したブロー容器と、それに更に球状Eガラス粒子を5又は10重量%を含有したブロー容器を成形して、銀イオンの溶出量により銀抗菌ガラス粒子の露出度を調べた結果、PP樹脂の同じ条件の銀イオンの溶出量と銀抗菌ガラス粒子の露出度が近似した値を示したので、PP樹脂を用いた実験2を行い、他の樹脂の実験2を省略した。
【0018】
PP樹脂(ブローグレード;EG6D 日本ポリプロピレン株式会社製品)をペレタイザーの第1ホッパーより投入して溶融撹拌し、0.5又は1.0重量%の銀抗菌ガラス(PG721ST;興亜硝子株式会社製品)、及び5、10、15、20又は30重量%の球状Eガラス粒子(EA−150;日東紡株式会社製品)を混合したものを、第2ホッパーより投入して混練し押出して実験2のペレットにした。該ペレットを、溶融温度240℃、吐出温度200℃、圧力6kg/cm2でパリソンとして金型温度50℃冷却時間50秒でブローボトル(65mm角、115mm高)を成形した。ブロー倍率は2倍と、4倍の2条件とした。上記銀抗菌ガラス粒子及び球状Eガラス粒子の含有率は表1に示す通りである。
成形したブロー容器に精製水100gを注入して24時間静置して溶出した銀イオンを、ICP発光分析装置(島津製作所製;ICP S−8100)により銀イオン量を測定した。その銀イオン量の測定結果を表1に示す。
【表1】
【0019】
銀抗菌ガラスは0.5重量%と1.0重量%の含有率を用いた。0.5重量%と1.0重量%の銀抗菌ガラス含有のブロー容器は、銀イオンの溶出量の差が明らかであり、それは銀抗菌ガラス粒子の含有率が倍の差によるものであるが、銀イオン量は倍になっていない。
Eガラスを含有しないブロー容器に精製水100gを注入して24時間静置して溶出した銀イオン量を基準として、5、10、15、20又は30重量%の球状Eガラス粒子含有のブロー容器は、各ブロー容器から溶出した銀イオン量を上記基準の銀イオン量で割った値を露出度(倍)と定義して、測定して得られた各銀イオン量を基準の銀イオン量で割った値を表1の露出度(倍)の欄に示した。
【0020】
図11は、露出度(倍)と球状Eガラス含有率(重量%)の関係を示すグラフである。
上記グラフは表1のブロー倍率2倍、4倍の露出度の欄のデータを横軸に、球状Eガラス含有率を縦軸にしてプロットした点を、多項式近似曲線で示した。
図11の、◇印は銀抗菌ガラス粒子が0.5重量%、ブロー倍率2倍であり、囗印は銀抗菌ガラス粒子が1.0重量%、ブロー倍率2倍であり、×印は銀抗菌ガラス粒子が0.5重量%、ブロー倍率4倍であり、*印は銀抗菌ガラス粒子が1.0重量%、ブロー倍率4倍であるブロー容器の露出度と球状Eガラス含有率の関係を示している。ブロー倍率2倍または4倍による露出度の影響は、図11のグラフの形状が近似した多項式近似曲線を示しており、ブロー倍率2倍の露出度はブロー倍率4倍の露出度より若干高い傾向が見られる。
【0021】
球状Eガラス含有率が15重量%で、◇印のグラフの露出度が最も大きく、囗印、×印そして*印の順に露出度が小さくなっている。◇印の多項式近似曲線の式は、y = -0.0045x2+ 0.1454x + 1.0723であり、*印の多項式近似曲線の式は、y = -0.0043x2+ 0.1363x + 1.0632である。上記球状Eガラス含有率15重量%を上記式に代入して露出度を計算すると、◇印の露出度は2.24倍であり、*印の露出度は2.14倍が得られる。この結果から誤差を加味すると、球状Eガラス含有率15重量%、銀抗菌ガラス含有率0.5〜1.0重量%の化粧用抗菌ブロー容器は、露出度が2.1〜2.3倍の範囲にあることが判った。
一方、球状Eガラス含有率が10重量%及び20重量%で、図11に示すグラフから露出度は2倍の値を示している。このことは、HDPE、PP又はPETの合成樹脂に、0.5〜1.0重量%の銀抗菌ガラス(球状Eガラス含有率0重量%)を含有させた比較例(No.1)と比べ、それらの樹脂に10〜20重量%の球状Eガラスを含有させた実験例(No3−1〜No5−2)は、近似曲線の値からみて、露出度が2.0〜2.3倍になり、その銀イオン量が54〜77ppbの値を示している。
【0022】
次に、図6と図9の化粧用抗菌ブロー容器の内部表面を示す図に基づいて、その内部表面が図9に示す構造に成形される理由を説明する。ここで、図6は、銀抗菌ガラス粒子0.5重量%を含有する化粧用抗菌ブロー容器(球状Eガラス粒子の含有率0%)内部表面を示す図であり、図9は、銀抗菌ガラス粒子0.5重量%、球状Eガラス粒子15重量%を含有する化粧用抗菌ブロー容器の内部表面を示す図である。
ブロー容器の成形においてパリソンに空気を圧入してブローをすると、平面方向に張力が働いて厚さ方向に収縮力が働く。厚さが薄くなる方向、即ち内部方向に応力が働くのである。球状Eガラス粒子の熱伝導率により球状Eガラス粒子の周囲の樹脂が速冷えすると、その周りの流動性を有する樹脂に厚さ方向に働く収縮力が、取り残された速冷え部分に押上応力となって作用するので球状Eガラス粒子が表面に露出するようになる。押上応力による押上げの仕事量は、球状Eガラス粒子を増加すると樹脂比率が低下するので、樹脂比率の低下により押上げ仕事量が低下する点が存在する。この結果、球状Eガラス粒子の配合率に対して露出度が山形傾向を示すことになり、そのピークがEガラス粒子の配合率15重量%付近になっているのである。
【0023】
上述したように、樹脂中にその樹脂より4〜6倍の熱伝導率の球状Eガラス粒子を配合することで、容器の内部表面から球状Eガラス粒子が突出するので、その熱伝導率とほぼ同じ銀抗菌ガラスも球状Eガラス粒子と同様に突出するものと推測できる。
図6〜図10の内部表面の形状、および表1の銀イオン量及び露出度が示す値は、上記した推測が正しいことを裏付けている。また、上記した合成樹脂に10〜20重量%の球状Eガラスを含有させた実験例(No.3−1〜No.5−2)の銀イオン量は、54〜77ppbであるから抗菌効果を奏することは明らかである。
【0024】
(ガラス容器のフロスト感)
本発明の化粧用抗菌ブロー容器の比較例として、フロスト感に差のあるガラス容器を5種類入手してヘーズ値を測定した。フロストガラス容器の面を切り出して、紫外可視分光光度計(uv−3100PC;島津製作所製)、積分球ISR−3100を用いてJIS K7105に基づき測定波長220−3200nmによる全光線透過率と拡散透過率を測定してヘーズ値を求めた。その結果を表2に示す。
なお、表2に示すヘーズ値の値は、試料数N=3を測定して得られた全光線透過率と拡散透過率の値からヘーズ値を計算し、そのヘーズ値を算術平均して求めたものである。
【表2】
表2よりフロスト感を、ヘーズ値で35〜50%の範囲と示すことができる。
【0025】
(化粧用抗菌ブロー容器のフロスト感の発現)
HDPE樹脂(ノバテックZE41K;日本ポリエチレン(株)製)、PP樹脂(ブローグレード;EG6D 日本ポリプロピレン(株)製)、PET樹脂(ユニチカ ポリエステルSA−1206;ユニチカ(株)製)の3種類の合成樹脂を用いて、前記の如く球状Eガラス粒子(平均粒径10〜20μm)を表1の如く配合して、ブロー倍率2倍としたブローボトルをブロー成形した。ボトルの面をカッターで切り出して、紫外可視分光光度計(nv−3100PC;島津製作所製)、積分球ISR−3100を用いてJIS K7105に基づき測定波長220−3200nmによる全光線透過率、拡散透過率を測定してヘーズ値を求めた、その結果を表3〜5に示す。
【0026】
(HDPEボトル)
【表3】
【0027】
(PPボトル)
【表4】
【0028】
(PETボトル)
【表5】
【0029】
表3(HDPE樹脂)、表4(PP樹脂)、表5(PET樹脂)よりフロストの発現を、フロストガラス容器によるヘーズ値35〜50%の範囲と対比すると、HDPE樹脂では球状Eガラス粒子の含有率6〜11重量%の範囲で、PP樹脂では球状Eガラス粒子の含有率7〜12重量%の範囲で、PET樹脂では球状Eガラス粒子の含有率9〜15重量%の範囲でフロストが発現する。これ以下の含有率では光線の拡散が少なくフロスト効果が得られない。これ以上の含有率では不透明になりフロスト効果が得られない。前記フロスト効果が発現する含有率の範囲は、粒子の露出が増加する範囲である。
【0030】
ところで、本発明は、抗菌性に優れた化粧用抗菌ブロー容器を提供することを第一の目的とし、また、従来のフロストガラス容器のフロスト感に見劣りしないフロスト感に優れた化粧用抗菌ブロー容器を提供することを第二の目的としている。上記フロスト感に優れた化粧用抗菌ブロー容器が抗菌性にも優れるためには、球状Eガラス粒子の含有率がHDPE樹脂では10〜11重量%の範囲、PP樹脂では10〜12重量%の範囲、PET樹脂では10〜15重量%の範囲でなければならない。そして、HDPE、PPまたはPETの樹脂で、抗菌性およびフロスト感に優れた化粧用抗菌ブロー容器は、球状Eガラス粒子の含有率が10〜11重量%の範囲であれば何れの樹脂を用いても両方の優れた効果が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単体の合成樹脂により形成される化粧用抗菌ブロー容器であって、
前記合成樹脂が高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂又はポリエステル樹脂であり、その樹脂に平均粒径10〜20μmの球状Eガラス粒子が10〜20重量%、および平均粒径1〜10μmの銀抗菌ガラスが0.5〜1.0重量%の範囲で含有されていることを特徴とする化粧用抗菌ブロー容器。
【請求項2】
前記球状Eガラス粒子および銀抗菌ガラスが、前記化粧用抗菌ブロー容器の内部表面から突出していることを特徴とする請求項1に記載の化粧用抗菌ブロー容器。
【請求項3】
前記球状Eガラス粒子を含有しない化粧用抗菌ブロー容器に、精製水100gを注入して24時間静置して溶出した銀イオン量を基準として、各球状Eガラス粒子含有率の異なる前記化粧用抗菌ブロー容器から溶出した銀イオン量を、上記基準の銀イオン量で割った値である露出度が、前記球状Eガラス粒子含有率10〜20重量%の範囲で2.0〜2.3倍の範囲の値であることを特徴とする請求項2に記載の化粧用抗菌ブロー容器。
【請求項4】
前記球状Eガラス粒子の熱伝導率が1.50W/m・Kであり、前記単体の合成樹脂の熱伝導率が0.26〜0.40W/m・Kの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の化粧用抗菌ブロー容器。
【請求項5】
前記合成樹脂に前記平均粒径10〜20μmの球状Eガラス粒子が10〜11重量%の範囲、および平均粒径1〜10μmの銀抗菌ガラスが0.5〜1.0重量%の範囲で含有されている前記化粧用抗菌ブロー容器が、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%の値と同じ値であることを特徴とする請求項1に記載の化粧用抗菌ブロー容器。
【請求項6】
前記合成樹脂が高密度ポリエチレン樹脂である前記球状Eガラス粒子の含有率10〜11重量%の前記化粧用抗菌ブロー容器のヘーズ値が、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%と同じ値であることを特徴とする請求項5に記載の化粧用抗菌ブロー容器。
【請求項7】
前記合成樹脂がポリプロピレン樹脂である前記球状Eガラス粒子の含有率10〜12重量%の前記化粧用抗菌ブロー容器のヘーズ値が、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%と同じ値であることを特徴とする請求項5に記載の化粧用抗菌ブロー容器。
【請求項8】
前記合成樹脂がポリエステル樹脂である前記球状Eガラス粒子の含有率10〜15重量%の前記化粧用抗菌ブロー容器のヘーズ値が、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%と同じ値であることを特徴とする請求項5に記載の化粧用抗菌ブロー容器。
【請求項1】
単体の合成樹脂により形成される化粧用抗菌ブロー容器であって、
前記合成樹脂が高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂又はポリエステル樹脂であり、その樹脂に平均粒径10〜20μmの球状Eガラス粒子が10〜20重量%、および平均粒径1〜10μmの銀抗菌ガラスが0.5〜1.0重量%の範囲で含有されていることを特徴とする化粧用抗菌ブロー容器。
【請求項2】
前記球状Eガラス粒子および銀抗菌ガラスが、前記化粧用抗菌ブロー容器の内部表面から突出していることを特徴とする請求項1に記載の化粧用抗菌ブロー容器。
【請求項3】
前記球状Eガラス粒子を含有しない化粧用抗菌ブロー容器に、精製水100gを注入して24時間静置して溶出した銀イオン量を基準として、各球状Eガラス粒子含有率の異なる前記化粧用抗菌ブロー容器から溶出した銀イオン量を、上記基準の銀イオン量で割った値である露出度が、前記球状Eガラス粒子含有率10〜20重量%の範囲で2.0〜2.3倍の範囲の値であることを特徴とする請求項2に記載の化粧用抗菌ブロー容器。
【請求項4】
前記球状Eガラス粒子の熱伝導率が1.50W/m・Kであり、前記単体の合成樹脂の熱伝導率が0.26〜0.40W/m・Kの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の化粧用抗菌ブロー容器。
【請求項5】
前記合成樹脂に前記平均粒径10〜20μmの球状Eガラス粒子が10〜11重量%の範囲、および平均粒径1〜10μmの銀抗菌ガラスが0.5〜1.0重量%の範囲で含有されている前記化粧用抗菌ブロー容器が、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%の値と同じ値であることを特徴とする請求項1に記載の化粧用抗菌ブロー容器。
【請求項6】
前記合成樹脂が高密度ポリエチレン樹脂である前記球状Eガラス粒子の含有率10〜11重量%の前記化粧用抗菌ブロー容器のヘーズ値が、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%と同じ値であることを特徴とする請求項5に記載の化粧用抗菌ブロー容器。
【請求項7】
前記合成樹脂がポリプロピレン樹脂である前記球状Eガラス粒子の含有率10〜12重量%の前記化粧用抗菌ブロー容器のヘーズ値が、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%と同じ値であることを特徴とする請求項5に記載の化粧用抗菌ブロー容器。
【請求項8】
前記合成樹脂がポリエステル樹脂である前記球状Eガラス粒子の含有率10〜15重量%の前記化粧用抗菌ブロー容器のヘーズ値が、フロスト感のあるガラス容器のJIS K7105によるヘーズ値である35〜50%と同じ値であることを特徴とする請求項5に記載の化粧用抗菌ブロー容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−441(P2013−441A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136070(P2011−136070)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000212005)
【出願人】(595118010)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000212005)
【出願人】(595118010)
【Fターム(参考)】
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