説明

区切られた空間を外部環境から隔離するための分離構造

特には、薬剤材料処理区画において稼働する装置により区画される空間(B)である,区切られた空間(B)を外部環境(A)から隔離するための分離構造(1)は、パネルタイプ又は同様なタイプの適切に組み立てられた分離手段(2,3,4)と、前記分離手段(2,3,4)間に嵌合されたシール手段(G)とを具備する。前記シール手段(G)は、流体力学的膨張タイプのものであり、少なくとも2つの分離して膨張する管状ダクト(6,8;13,14;5,5’)により形成される。前記2つの管状ダクト(6,8;13,14;5,5’)の各々において、加圧流体又はもし選択されるならば、負圧流体の供給は、前記ダクト(6,8;13,14;5,5’)を膨張又は収縮させるように作動するように設計される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、区切られた空間を外部環境から隔離するための分離構造に関する。より特別には本発明は、例えば、錠剤(タブレット)の製造のための錠剤(タブレット)プレス又はカプセルの製造のためのカプセル充填機械、又は例えば、以下の記述が任意の場合に本発明の範囲を制限しないで特定の参考文献を形成する、機械に薬剤材料を供給するためのユニット等の同様な装置等の、薬剤材料を処理する区画において稼働する自動機械により区画される空間を外部環境から隔離するために使用されることが好ましい。
【背景技術】
【0002】
薬剤材料を処理するための自動梱包/製造機械のある区画において、該機械又はそれらの作動ユニットは、製造において、外部による汚染を回避するためだけではなく、更に製造が停止してしまった場合に、保守期間中に流体が漏洩することなしで、機械の構成要素部品の殺菌又は洗浄を可能にするために、外部環境から密封シール(密封部)により隔離される必要がある。
【0003】
一般的に、シール(密封)された隔離は、自動機械又はそれの一部分である作動ユニットにより区画される空間をカバーするように組み立てられた、パネル又は分離面を有するタイプの分離構造を使用するように形成される。
【0004】
梱包機械の作動部分が正しく機能することを確保するために責任があり且つ保守の責任がある、技術オペレータ(運転者)による自動梱包機械へのアクセス(接近)を可能にするために、上記の分離構造は、ドアを密封シールにより分離パネルに接続可能な適切なシールを有する、ドアに取り付けられる。
【0005】
しかしその様なシールは、制御不可能な状態で、ある期間にわたって、摩耗し更に変形する可能性が高くなる傾向があり、そのことは、ドアにおける外部環境からの最適な密封隔離が、非常に時間を浪費するシールの頻繁な交換によりのみ保証可能であることを意味する。
【0006】
また、その様なシールの形状は、前に処理された少量の薬剤材料が、シール内に残された状態のままである可能性がしばしばあるという意味において、又はそれらにより形成された凹部において、洗浄作業後でさえも結果的に危険な汚染状態が存在することから、上記の洗浄及び殺菌作業の効果的な性能を現状では発揮できない。
【発明の開示】
【0007】
本発明は従って、上述した従来技術の深刻な欠点を克服可能な密封シールされる分離構造を提供することを目的とする。
【0008】
特には、本発明は、自動製造/梱包機械又は薬剤材料を処理するように設計された前記機械と共に稼働するユニットにより占められる、空間の外部環境からの密封された隔離を可能にすると同時に、前記機械又は作動ユニットの最適且つ有効な洗浄又は殺菌を可能にし更にその後の危険な汚染を排除する、分離構造を提供することを1つの目的としている。
【0009】
従って、本発明は、区切られた空間、特には、薬剤材料処理区画において稼働する装置により区画された空間を外部環境から隔離するための分離構造を提供しており、該構造は、適切に組み立てられたパネルタイプの分離手段又は同等装置と、該分離手段間に挿入されるシール(密封)手段とを具備する。前記構造は、シール手段が、流体力学的膨張タイプのものからなり、少なくとも2つの分離して膨張する管状ダクトにより形成されることを特徴とする。各2つの管状ダクトの内側において、加圧されるか又はもし選択されるならば負圧の流体の供給がダクトの膨張及び収縮を引き起こすように作動するように設計される。
【0010】
本発明の技術的な特徴は、上記の目的に従い、本明細書の請求項において明確にされており、更にその利点は、添付図を参照して後記される詳細な説明においてより明確に説明されており、前記添付図は、本発明の範囲を制限することなしで開示される、作動ステーションの幾つかの好適な実施の形態を図式的に図解する。
【本発明の好適な実施の形態の詳細な説明】
【0011】
添付図を参照すると、参照番号1は、区切られた空間Bを外部環境Aから分離して隔離するように設計された分離構造を全体として指示している。
【0012】
空間Bは特には、例えば、錠剤(タブレット)の製造のための錠剤(タブレット)プレス又はカプセルの製造のためのカプセル充填機械、又は例えば、自動機械に薬剤材料を輸送し供給するためのユニット等の同様な装置等の、薬剤材料を処理し梱包するための(既知のタイプの及び図示されない)自動梱包/製造機械により占められる、区切られた空間である。
【0013】
構造1は、図示されない既知の方法で組み立てられた分離面又はパネルを有するタイプのものであり、少なくとも1つの第1の壁又はパネル2と、少なくとも1つの第2の壁又はパネル3とを基本的に具備しており、その間に第3のパネル4が配置されて接続される。
【0014】
図1a、1b及び図3a、3bに示される別の実施の形態において、構造1は、頂部に配置されるパネル2と、底部に配置されるパネル3と、2つのパネル2と3との間に配置されていて且つドア4により構成される、第3のパネル4とを有する状態で、垂直に伸長することが好ましく、前記ドア4は、例えば、保守の責任のある技術オペレータ(運転者)が、空間Bを形成する、自動機械を清掃する必要がある時に、環境Aから空間Bへのアクセス(通路)を提供するように開くことが可能である。
【0015】
これとは別に、図2aと2bに図示される実施の形態に従い、第3のパネル4は、本発明の範囲を制限することなしで、水平である2つのパネル2と3との間の区域を閉じていて且つ従って外部環境Aから、下に位置する空間Bへのアクセス(通路)を閉鎖する、カバー4であることが好ましい。この場合において、パネル2と3は、上記の供給作動ユニットの一部分である、薬剤材料のための容器の壁であることが好ましく、カバー4は、その中に空間Bが形成される容器を閉じるように設計される。
【0016】
添付図1a、1b、2a、2b、3a及び3bに示されるように、パネル2と3は、密封シール(密封部)のシステム(装置)Gを支持する。
【0017】
システム(装置)Gは、流体力学的に作動し、拡張又は膨張タイプであり、パネル2と3に接続していて且つドア4に作用する、少なくとも1つの中空の実質的に管状シール5を具備する。
【0018】
図示されない既知の流れ発生手段は、中空の管状シール5の内部において加圧された加圧流体を循環させる。単純化のために、加圧流体は、添付図において、記号“+”で記されている。これにより、シールを大幅に膨張させるので、それ(シール)は、パネル2と3においてパネル4を密封状態でシールして、空間Bを環境Aから隔離する。これとは別に、添付図において記号“−”で記されている負圧流体は、シールが大幅に収縮されて、パネル2と3との接続からパネル4を開放しなければならない場合に使用される。
【0019】
図1aと1bに図示される実施の形態に従い、シール5は、4辺を有する断面を具備する、3つの隣接する管状の室(チャンバー)6,7及び8を有する。側部の室6及び8は、ダクト6,8を形成しており、中央の室7は閉じられた室である一方で、そのダクト6,8内において、パネル2と3に形成されたチャンネル(管路)9を介して発生手段から供給される流体(空気)を循環させる。
【0020】
従って、実践において、ドア4とパネル2及び3との間に密封シールを形成することにより、空間Bを環境Aから分離し隔離するために、例えば、空間Bを形成する自動機械の製造サイクルにおいて、加圧流体が、供給され、ダクト6と8内に保持されるので、従って、シール5全体を膨張させて、それ(シール5)をドア4に接触させ、シールされた状態を形成する(図1a)。
【0021】
空間Bを形成する自動機械が洗浄及び/又は殺菌(所定の場所における清掃/所定の場所における殺菌という用語CIP/SIPにより既知のオペレーション(作業)である)されなければならない場合に、加圧流体をシール5のダクト6に沿ってやはり保持しながら、流体をシール5のダクト8から外へ吸引して、空間Bに面するシール5の一部分を接触させることで十分である(図1b)。
【0022】
この様にして、空間Bの最適な洗浄及び/又は殺菌は可能であり、さもなければそれは到達されない、シール5の区域Z及び周りの区域においてやはり有効であり(図1b)、シール5の区域Z及び周りの区域では処理された薬剤材料の少量の又は微細な埃が、空間Bのその後の汚染リスクのある状態で蓄積する可能性が高い。
【0023】
図3aと3bに図示される別の実施の形態に従い、システム(装置)Gは、隣り合って設置される対の管状シール5及び5’を具備しており、そこ(シール5及び5’)では、4つの辺の断面を有する室(チャンバー)5,5’が形成されており、順に分離したダクト5と5’を形成する。ダクト5とダクト5’両者の内の加圧流体(空気)により、シール5と5’は、膨張して、ドア4とパネル2及び3との間に密封された接続部を形成し(図3a)、その間ダクト5内に加圧流体をまだ保持するが、しかしダクト5’からの流体の吸引により、空間Bに面するシール5’の一部分は収縮するので、それはさもなければ到達されない、区域Z及び周りの区域においてさえも、効果的な洗浄及び/又は殺菌を可能にしており(図3b)、区域Z及び周りの区域では、処理された薬剤材料の少量又は微細な埃が、空間Bのその後の汚染リスクのある状態で蓄積する可能性が高い。
【0024】
図2a及び2bに図示されるこれとは別の実施の形態に従い、構造1において、システムGのシール5は三角形の断面を有する3つの閉じられた室(チャンバー)10,11及び12により形成されており、その間に2つの区画13及び14が形成され、チャンネル(管路)9を介して上記の流体流れ発生手段(図示されない)と連絡する。
【0025】
区画13と14は、第3のパネル又はカバー4により閉じられてダクト13と14を形成するように設計されており、該閉鎖は、負圧流体がダクト13と14内に保持される場合に、密封シールを有しており、ダクト13と14を収縮させ、結局、空間Bを機密状態で外部環境Aから分離し、隔離する(図2a)。
【0026】
対照的に、負圧の効果が、ダクト14内においてのみ停止されて、加圧流体が、その中で循環する(図2b)と、空間Bに面するシール5の突起15は、空間Bに向かって曲がって開き、流体(矢印F)を空間Bに向かって放出する。この様にして、シール5で又は周りの区域において蓄積される可能性のある、薬剤材料の任意の微細な埃又は量は、放出可能であり、空間Bのその後の洗浄及び/又は殺菌により除去される。
【0027】
可能な好適な実施の形態において、カバー4を密閉的にシールする、負圧の効果が停止すると、ダクト14に対応するチャンネル(管路)9は、洗浄又は殺菌液体を供給する回路に選択可能に接続するので、ダクト14及び突起15及びそれを囲む区域は、空間Bが清掃される間において、より効果的に洗浄可能である。
【0028】
結局、構造1の上記の説明において、シール5は、パネル2と3に設置されるか又は、それに接続させられるか又は固定されて、パネル4に作用することが好ましいが、しかしこれとは別に、シール5は、パネル4に接続するか又は固定されて、それはパネル2と3に作用しても良いことが強調されるべきである。特には、図3aと3bに図示される実施の形態を参照すると、シール5は、例えば、パネル2と3に固定されて、シール5’がドア4に固定され且つパネル2と3に作用する状態で、ドア4に作用しても良い。
【0029】
説明された本発明は、本発明の思想の範囲から逸脱することなしで、修正形態及び変形形態に従属可能である。また、本発明の全ての詳細は、技術的に同等な要素により置換されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1a】図1aは、開示される分離構造の好適な実施の形態の側断面図であり、明確にするために部分的に切断されており、1つの作動位置に対応する。
【図1b】図1bは、開示される分離構造の好適な実施の形態の側断面図であり、明確にするために部分的に切断されており、図1aとは異なる作動位置に対応する。
【図2a】図2aは、開示される分離構造の別の実施の形態の側断面図であり、明確にするために部分的に切断されており、1つの作動位置に対応する。
【図2b】図2bは、開示される分離構造の別の実施の形態の側断面図であり、明確にするために部分的に切断されており、図2aとは異なる作動位置に対応する。
【図3a】図3aは、開示される分離構造の更に別の実施の形態の側断面図であり、明確にするために部分的に切断されており、1つの作動位置に対応する。
【図3b】図3bは、開示される分離構造の更に別の実施の形態の側断面図であり、明確にするために部分的に切断されており、図3aとは異なる作動位置に対応する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特には、薬剤材料処理区画において稼働する装置により区画される空間(B)である、区切られた空間(B)を外部環境(A)から隔離するための分離構造(1)において、この構造(1)は、
パネルタイプ又は同様なタイプの適切に組み立てられた分離手段(2,3,4)と、
前記分離手段(2,3,4)間に嵌合されたシール手段(G)と、
を具備しており、
前記構造は、
前記シール手段(G)が、流体力学的膨張タイプのものであり、少なくとも2つの分離して膨張する管状ダクト(6,8;13,14;5,5’)により形成されており、
前記2つの管状ダクト(6,8;13,14;5,5’)の各々において、前記ダクト(6,8;13,14;5,5’)を膨張又は収縮させるように作動するように設計される、加圧流体又はもし選択されるならば、負圧流体が、供給されることを特徴とする構造。
【請求項2】
前記分離手段(2,3,4)は、第1の分離パネル(2)と第2の分離パネル(3)とを具備する、少なくとも1つの対を具備しており、前記第1の分離パネル(2)と前記第2の分離パネル(3)との間に、第3のパネル(4)が配置され、接続されており、
前記ダクト(6,8;13,14;5,5’)により形成される前記シール手段(G)は、前記第1の分離パネル(2)と前記第2の分離パネル(3)及び/又は前記第3のパネル(4)に接続させられることを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記第1の分離パネル(2)と前記第2の分離パネル(3)との間に配置される、前記第3のパネル(4)は、前記環境(A)から前記空間(B)へのアクセスを形成するように開放可能なドア(4)又はカバー(4)を具備することを特徴とする請求項2に記載の構造。
【請求項4】
前記シール手段(G)は、シール(5)を具備しており、前記シール(5)において、前記2つの管状ダクト(6,8)を形成する、4辺を有する断面を具備する、少なくとも2つの管状室(6,8)が存在することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の構造。
【請求項5】
前記シール手段(G)は、2つのシール(5,5’)を具備しており、前記シールの各々において、管状ダクト(5;5’)を形成する4辺を有する断面を具備する、管状室(5,5’)が存在することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の構造。
【請求項6】
前記シール手段(G)は、シール(5)を具備しており、前記シールにおいて、その間に2つの区画(13,14)が形成される、三角形断面を具備する、3つの管状室(10,11、12)が存在しており、前記区画は、前記2つの管状ダクト(13,14)を形成しており、
シール(5)突起(15)は、加圧流体が前記ダクト(14)の1つにおいて供給される場合に、前記空間(B)に向かって曲がって開くように設計されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の構造。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2008−500244(P2008−500244A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514156(P2007−514156)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001312
【国際公開番号】WO2005/118405
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(594073646)イ.エンメ.ア.インドゥストリア マッキーネ アウトマティケ ソチエタ ペル アツィオニ (29)
【Fターム(参考)】