説明

医用画像処理装置及び医用画像処理装置制御方法

【課題】各医用情報端末の操作者の判断に基づいた画像処理の優先度の管理を行う医用情報管理装置を提供する。
【解決手段】特定の医用情報端末から要求された画像処理の実行に対する高い優先度の設定の要求の入力を受け付ける優先度変更受付部102と、画像処理の要求をすでに受け付けている他の医用情報端末に高い優先度設定の可否を問い合わせる可否問合せ部103と、他の医用情報端末から優先度の変更が可であるとの入力を受けたとき、特定の医用情報端末から要求された画像処理の実行の優先度を、優先度の変更を可とした医用情報端末からの要求に基づく画像処理の実行の優先度より高くさせる優先度管理部104と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用情報システムで使用される医用画像へのデータ処理をサーバで集中して行う環境下における画像処理の管理を行う医用画像処理装置及び該医用画像処理装置の制御方法に関する。さらに詳しくは、サーバで行われる医用画像の画像処理の優先度の制御を行う医用画像処理装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、超音波診断装置、X線CT装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、或いは、CR(Computed Radiography)装置などの画像診断装置が広く普及している。これら画像診断装置は被検体の撮像を行い、医用画像(診断画像)を生成する装置である。一方、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格により医用データの通信における標準化が整備されてきている。そして、全ての画像診断装置がこの規格を採用することにより、画像管理サーバ或いは画像表示装置及び画像形成装置との接続が容易となった。また、ネットワークコンピュータ技術の向上及び低価格化が進むとともに、電子保存に対する法的整備もなされた。これらの背景のもと、医用画像を管理、ファイリングするPACS(Picture Archiving and Communication System)の導入が増加している。そして、このような環境において、放射線部門内で利用されていた医用画像は、院内、他施設への転送・利用へと拡大している。
【0003】
そして、医用画像の利用が拡大するに従い、実際に画像を表示するためのワークステーションなどの医用情報端末(クライアント)の導入数が増大する傾向にある。このため、医用情報端末の一台当たりの価格を抑える必要が出てきた。また、各医用情報端末が独自に重要な情報を保管しているなどの場合には、その医用情報端末の使用におけるセキュリティの問題が発生する。そして、多数の医用情報端末を使用する場合、そのようなセキュリティの問題はより深刻になる。そこで近年、医用画像のデータを一元管理するとともに、医用画像データに対する演算処理などのデータ処理を医用画像処理装置(以下では、「サーバ」ということがある。)側で行い、医用情報端末側ではデータ処理は行わないデータ処理集中型のシステムであるシンクライアント(Thin Client)システム(「シンクライアント環境のシステム」ともいう。)が導入されてきている。一般にこのシンクライアント環境では医用情報端末は高い処理能力が要求されず、価格を抑えられるとともに、セキュリティの強化をすることが可能になるとされている。
【0004】
そして、上述のシンクライアント環境下では医用情報端末からの要求に従い、サーバ側でその要求に対応する医用画像の処理のプロセスを実行する必要がある。このプロセス処理の要求は各医用情報端末から入力されるものであり、各プロセスは通常は同じ優先度で処理されることになる。しかし、医療においては緊急患者の対応などといった緊急に処理を行う必要が発生し、そのためのプロセスは優先的に処理していく必要がある。
【0005】
従来、特定のプロセスを優先的に処理する技術が提案されている。この技術としては、例えば、対話形式と判定されたプロセスに優先的にCPU時間を割り当てる技術(例えば、特許文献1参照。)や、予めデータベースに保存されたプロセスの優先度情報を基に、プロセスの優先度を変更する技術(例えば、特許文献2参照。)や、Windowの面積を基にプロセスの優先度を割り振る技術(例えば、特許文献3参照。)などといったものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−69386号公報
【特許文献2】特開2008−40620号公報
【特許文献3】特開平2−247737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、医用情報システムにおいては、患者の状態により使用するアプリケーション、執刀医、緊急度などといった条件が異なるため、プロセスの優先度設定の判断を機械的に行うのは困難である。そのため、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3の技術では機械的に優先度の判断を行っているため、前述した各条件を考慮したプロセス処理の優先度の決定を行うことは困難である。
【0008】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、各医用情報端末(クライアント)の操作者の判断に基づいた画像処理の優先度の管理を行う医用情報管理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の医用画像処理装置は、医用画像を加工処理する画像処理部を有し、複数の医用情報端末からの要求を受けてそれぞれの前記要求に基づいた画像処理を前記画像処理部に実行させる医用画像処理装置であって、特定の前記医用情報端末から要求された前記画像処理の実行に対する高い優先度の設定の要求の入力を受け付ける優先度変更受付手段と、前記画像処理の要求をすでに受け付けている他の医用情報端末に、前記高い優先度設定の可否を問い合わせる可否問合せ手段と、前記他の医用情報端末から前記優先度の変更が可であるとの入力を受けたとき、前記特定の医用情報端末から要求された前記画像処理の実行の優先度を、優先度の変更を可とした前記医用情報端末からの要求に基づく画像処理の実行の優先度より高くさせる優先度管理手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
請求項6に記載の医用画像処理装置制御方法は、複数の医用情報端末からの要求を受けてそれぞれの前記要求に基づいた医用画像を加工する画像処理を実行する医用画像処理装置の制御方法であって、特定の前記医用情報端末から要求された前記画像処理の実行に対する高い優先度の設定の要求の入力を受け付ける優先度変更受付段階と、前記画像処理の要求をすでに受け付けている他の医用情報端末に、前記高い優先度設定の可否を問い合わせる可否問合せ段階と、前記他の医用情報端末から前記優先度の変更が可であるとの入力を受けたとき、前記特定の医用情報端末から要求された前記画像処理の実行の優先度を、優先度の変更を可とした前記医用情報端末からの要求に基づく画像処理の実行の優先度より高くさせる優先度管理段階と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の医用画像処理装置及び請求項6に記載の医用画像処理装置制御方法によると、画像処理の優先度の情報の要求を受けたときに、他の画像処理を行わせている操作者による優先度の上昇への許可不許可の応答を基に要求を受けた画像処理の優先度を上昇させることができる構成である。これにより、緊急を要する画像処理を実行したい場合に、他に行われている処理との関係において、医師による緊急性の判断を反映した優先度の高さの管理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る医用画像処理装置のブロック図
【図2】高い優先度を設定することの可否を問うための入力画面の一例の図
【図3】本実施形態に係る医用画像処理装置による優先度の高さの設定及びその優先度に基づく画像処理のフローチャートの図
【図4】第2の実施形態に係る医療処置の詳細情報の一例の図
【図5】第3の実施形態に係る優先度を高くする要求を行うための入力画面の一例の図
【図6】複数の画像処理に異なる優先度が既に割り当てられている状態の医用処理の詳細情報の一例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1の実施形態〕
以下、この発明の第1の実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。図1は本発明に係る医用画像処理装置の機能を表すブロック図である。図1に示すように本実施形態に係る医用画像処理装置が配置されたシステムには医用情報端末は複数台存在しているが、以下の説明では、各医用情報端末を区別しない場合には単に「医用情報端末200」という。
【0014】
まず、本実施形態に係る医用画像処理装置100が配置された医用情報システムの全体の構成を説明する。本実施形態に係る医用画像処理装置100は、図1に示すように、ネットワークを介して複数の医用情報端末200と情報の送受信が可能に接続されている。
【0015】
医用情報端末200は、CPUやメモリなどを有する情報端末(いわゆるクライアント)である。そして、医用情報端末200は、各病室などに配置される。その病室で、医師などの操作者(以下では、単に「操作者」という。)は、超音波診断装置、X線CT装置、又はMRI装置などの各種モダリティを使用して被検体の撮像などを行う。そして、操作者は、医用情報端末200を使用して、各種モダリティで生成した撮像データに対する画像処理の要求を医用画像処理装置100に送る。ここで、画像処理とは例えば、撮像データを基にして3D画像を再構成するといった処理である。本実施形態では、説明の都合上、医用情報端末200はネットワーク上に3台配置されているが、この台数に特に制限はない。
【0016】
医用画像処理装置100には、画像処理の要求と共に、撮像データも送られる。医用画像処理装置100は、後述する画像処理部101で受信した撮像データを基に要求に対応した画像処理を行う。医用画像処理装置100は、CPUやメモリなど有し、医用情報端末200(クライアント)の要求に対し応答を返すいわゆるサーバである。本発明でではこの様に、医用情報端末200(クライアント)からの要求に対応した画像処理をサーバで集中して行うシステムを「シンクライアントシステム(シンクライアント環境のシステム)」という。以下の説明では、医用画像処理装置100は、医用情報端末202及び医用情報端末203からすでに画像処理の要求を受けている状態として説明する。
【0017】
次に、医用情報端末200の構成の詳細を説明する。本実施形態では、医用情報端末200は、画像処理部101、優先度変更受付部102、可否問合せ部103、及び優先度管理部104を備える。点線で表わされるレベル選択表示制御部105は、第3の実施形態で説明する。
【0018】
医用情報端末201は、画像処理部101に対し画像処理の要求を行うとともに、撮像データを送信する。さらに、医用情報端末201は、要求した画像処理に対し高い優先度を設定する要求を優先度変更受付部102へ出力する。
【0019】
この高い優先度の設定の要求の方法を具体的に説明する。医用情報端末201には、あらかじめ画像処理の要求の入力画面のフォーマットが記憶されている。この入力画面のフォーマットには、画像処理の要求を入力する項目とともに、要求した画像処理に対し高い優先度を設定するための項目が設定されている。この項目には優先度として「高」又は「通常」を選択可能になっている。すなわち、本実施形態では、画像処理を実行する優先度の高さとしては、「高い優先度」及び「通常の優先度」という2つが存在する。
【0020】
医用情報端末201は、操作者に対し該フォーマットに基づく入力画面を表示する。そして、操作者は、医用情報端末201が表示する入力画面を使用して、画像処理の要求を入力する。このとき、入力する画像処理の実行の優先度を高くしたい場合には、操作者は、入力画面に配置されている画像処理の優先度を高くする要求の入力する項目で「高」を選択する。この優先度として「高」を選択することが本発明における「画像処理の実行に対する高い優先度の設定の要求」にあたる。また、本実施形態では、画像処理の要求の入力画面のフォーマットを医用情報端末201が記憶しているが、これは医用画像処理装置100が記憶しておき、医用情報端末201からの要求に応じて該入力画面を医用情報端末に送信し表示させる構成でもよい。
【0021】
画像処理部101は、CPU及びメモリやハードディスクなどの記憶領域を有している。画像処理部101は、自己の記憶領域の中に医用情報端末200からの要求に対応して医用画像の加工処理を行うためのプログラムを記憶している。このプログラムは、例えば受信した画像データを基にMRIの画像データから3D画像を再構成したり、CT画像データから血管抽出などを行ったりするプログラムである。画像処理部101は、医用情報端末200から撮像データとともに画像処理の要求の入力を受ける。画像処理部101は、所定時間当たりに処理できる画像処理の処理量(以下では、「処理能力」ということがある。)が決まっている。そして、画像処理部101は、複数の画像処理の要求を受けた場合には、所定時間当たりの処理量(処理能力)を受けた要求の数に分割し、その分割した割合で各画像処理を実行する。この処理能力の分割した割合が本発明における「区分期間」にあたる。
【0022】
さらに、画像処理部101は、後述する優先度管理部104から各医用情報端末200からの要求に対応するそれぞれの画像処理の優先度の高さの入力(実際には、所定時間当たりの各画像処理に割り当てられる処理量の割合)を受ける。この処理量の割合とは前述したように所定時間あたりに処理できる処理量を分割した割合のことをいう。すなわち、区分期間が長いとは割り当てられた処理量の割合が多いことをいい、区分期間が長いとは割り当てられた処理量の割合が少ないことをいう。
【0023】
ここで、処理能力の割合について詳細に説明する。本実施形態において、画像処理部101は各要求に対応するそれぞれの画像処理を実行するにあたり、各画像処理を複数のプロセスに分割して処理していく。ここで、プロセスとは画像処理の中に含まれている各種処理を指し、このプロセスをすべて実行することで画像処理が完了する。そして、所定時間当たりにこなす全体のプロセス数に対してどの程度のプロセス数に当たるかが処理能力の割合に当たる。ここで、時間が長く割り当てればより多くのプロセス数をこなせるため、どの程度のプロセス数をこなすかとは、言い換えれば所定時間のうちのどの程度の区分期間を割り当てるかにあたることになる。例えば、4つの画像処理を行う場合、4つの画像処理の何れも同じ優先度の高さで処理する場合には、各画像処理に処理能力の25%の割合が割り当てられる。つまり、各画像処理を分割したプロセスが単位時間当たりに等しい回数で処理されていく(通常は各画像処理のプロセスが順番で処理される)ことになる。また、高い優先度が設定された画像処理は後述するように処理量の割合が多く割り当てられ、画像処理部101は、高い優先度が設定された画像処理には処理量の割合を多くして処理を実行することになる。ただし、医用画像処理装置100がプロセスの並列処理を行う場合には、処理能力の割合とはその並列処理の中における割合になる。このプロセスが並列処理されるとは、例えば、複数のプロセスを同時に実行できるようなCPU構成の場合であり、その場合には、一度に実行されるプロセスのうちの全体における割合が処理の雨量区の割合となる。
【0024】
そして、画像処理部101は、入力された優先度の高さ(処理量の割合)に基づいて、それぞれの画像処理を行う。この画像処理では、画像処理部101は、自己が記憶している医用画像の加工処理を行うためのプログラムの中から要求された処理内容及び医用画像の種類などに対応するプログラムを選択し、選択したプログラムを用いて要求に対応する画像処理を実行する。また、画像処理部101は優先度管理部104からの優先度の高さの入力を受けていない場合には、各医用情報端末200からの要求に対応するすべての画像処理に対し同じ優先度(つまり等分に割り当てられた処理量で)で処理を行う。
【0025】
優先度変更受付部102は、医用情報端末200から入力された画像処理の実行に対し高い優先度を設定する要求を受信する。このとき、優先度変更受付部102は、優先度を高く設定する要求が行われた画像処理の識別情報も取得する。優先度変更受付部102は、画像処理の実行に高い優先度を設定する要求を受信したことを可否問合せ部103へ出力する。それとともに、優先度変更受付部102は、高い優先度を設定する要求が行われた画像処理の識別情報を優先度管理部104へ出力する。この優先度変更受付部102が本発明における「優先度変更受付手段」にあたる。
【0026】
可否問合せ部103は、優先度変更受付部102から画像処理の実行に高い優先度を設定する要求の受信の通知を取得する。そして、可否問合せ部103は、優先度管理部104からすでに画像処理の要求を受け付けている医用情報端末202及び医用情報端末203のコンピュータ名やネットワークアドレスなどの識別情報を取得し記憶する。この可否問合せ部103が本発明における「可否問合せ手段」にあたる。
【0027】
可否問合せ部103は、メモリなどの記憶領域を有している。そして、可否問合せ部103は、自己の記憶領域に医用情報端末200へ表示させる高い優先度を設定することの可否を問うための入力画面のフォーマットを記憶している。可否問合せ部103は、取得した識別情報を基に医用情報端末202及び医用情報端末203へ、記憶しているフォーマットによる優先度の可否を問うための入力画面を送信し表示させる。医用情報端末202及び医用情報端末203では可否問合せ部103から送られてきた入力画面を自己の表示部(不図示)へ表示する。操作者は、入力画面を参照し、優先度を高く設定することへの許可/不許可の応答を入力する。入力された許可/不許可の情報は優先度管理部104へ出力される。この優先度を高く設定することへの許可の通知が、本発明における「前記優先度の変更が可であるとの入力」にあたる。
【0028】
ここで、図2は高い優先度を設定することの可否を問うための入力画面の一例の図である。具体的には、可否問合せ部103は、図2のウィンドウ300のフォーマットを記憶している。ここで、入力画面とは、表示部の全画面を使用する画面でもよいし、画面の一部としてのウィンドウでもよい。そして、優先度を高くする要求の通知を受けると、ウィンドウ300を医用情報端末202及び医用情報端末203の表示部に表示させる。操作者は、表示されたウィンドウ300を参照し、優先度を高く設定することを許可する場合には、ウィンドウ300のOKボタンをクリックし、不許可(許可しない)の場合にはウィンドウ300のNGボタンをクリックする。この操作者の操作により、医用情報端末202又は医用情報端末203から許可又は不許可の情報が出力される。
【0029】
優先度管理部104は、CPU及びメモリやハードディスクなどの記憶領域で構成されている。優先度管理部104は、既に画像処理の要求を受け付けている医用情報端末202及び医用情報端末203の識別情報を画像処理部101から取得する。そして、優先度管理部104は、既に画像処理の要求を受け付けている医用情報端末202及び医用情報端末203の識別情報を記憶している。また本実施形態に係る優先度管理部104は、画像処理部101において最低限の画像処理が行える所定時間当たりの画像処理の処理量(処理能力)の割合を予め記憶している。本実施形態では、優先度管理部104はこの割合を5%として記憶している。この最低減画像処理が可能な所定時間あたりの画像処理の処理量の割合が本発明における「下限の割合」にあたる。
【0030】
優先度管理部104は、可否問合せ部103から既に画像処理の要求を受け付けている医用情報端末200の識別情報の出力要求を受けて、医用情報端末202及び医用情報端末203の識別情報を可否問合せ部103へ出力する。
【0031】
優先度管理部104は、医用情報端末202及び医用情報端末203から医用情報端末201から要求された画像処理の実行に高い優先度を設定することへの許可/不許可の通知を取得する。そして、優先度管理部104は、取得した医用情報端末202及び医用情報端末203からの許可/不許可の通知を基に、医用情報端末201から要求された画像処理の実行の優先度を設定する。そこで、以下において、医用情報端末202及び医用情報端末203から「いずれからも許可の通知が送られてきた場合」「一方から許可の通知、他方から不許可の通知が送られてきた場合」「いずれからも不許可の通知が送られてきた場合」について場合分けをして優先度の高さの設定方法を説明する。以下では、処理能力の割合の割り当てについて説明するが、この処理能力の割合の割り当てにより各画像処理の処理速度が決まる、すなわち各画像処理の優先度の変更にあたる、そこで、この処理能力の割合の割り当てが本発明における「前記特定の医用情報端末から要求された前記画像処理の実行の優先度を、優先度の変更を可とした前記医用情報端末からの要求に基づく画像処理の実行の優先度より高くさせる」にあたる。
【0032】
(いずれからも許可の通知が送られてきた場合)
優先度管理部104は、医用情報端末202及び医用情報端末203の要求に対応する画像処理の実行にそれぞれ処理能力の5%を割り当てることを決定する。そして、優先度管理部104は、処理能力の残り90%を医用情報端末201の要求に対応する画像処理の実行に割り当てることを決定する。そして、優先度管理部104は、決定した各医用情報端末201〜203の要求に対応するそれぞれの画像処理の実行に割り当てた処理能力の割合を画像処理部101へ出力する。
【0033】
(一方から許可の通知、他方から不許可の通知を受けた場合)
以下では、医用情報端末202から許可の通知、医用情報端末203から不許可の通知を受けた場合で説明する。ただし、逆に医用情報端末203から許可の通知を受けた場合でも同様である。優先度管理部104は、医用情報端末202の要求に対応する画像処理の実行に処理能力の5%を割り当てることを決定する。次に、優先度管理部104は、医用情報端末201から要求された画像処理を通常の優先度の高さで処理した場合の処理能力の割合を、医用情報端末203の要求に対応する画像処理の実行に割り当てる。すなわち、通常の優先度で処理した場合、100%の処理能力を3等分するため1台あたり33%の処理能力が割り当てられるので、優先度管理部104は、医用情報端末203の要求した画像処理の実行に処理能力の33%が割り当てることを決定する。さらに、優先度管理部104は、処理能力の残り62%を医用情報端末201の要求に対応する画像処理の実行に割り当てることを決定する。そして、優先度管理部104は、決定した各医用情報端末201〜203の要求に対応するそれぞれの画像処理の実行に割り当てた処理能力の割合を画像処理部101へ出力する。ここで、本実施形態では、医用情報端末201の要求に対応する画像処理の実行に通常の優先度を割り当てた場合の優先度を、不許可の通知をした医用情報端末203に割り当てているが、この割り当て方法は他の方法でもよく、例えば、許可の通知を行った医用情報端末202に処理能力の下限の値を割り当てた残りの処理能力の割合を医用情報端末201及び医用情報端末203で等分するような構成でもよい。
【0034】
(一方から許可の通知、他方から不許可の通知を受けた場合)
優先度管理部104は、医用情報端末201、医用情報端末202、及び医用情報端末203のそれぞれの要求に対応する画像処理の実行に処理能力を等分に割り当てることを決定する。すなわち、優先度管理部104は、医用情報端末201、医用情報端末201、及び医用情報端末202のそれぞれ要求に対応する各画像処理の実行に処理能力の33.3%を割り当てることを決定する。そして、優先度管理部104は、決定した各医用情報端末201〜203の要求に対応するそれぞれの画像処理の実行に割り当てた処理能力の割合を画像処理部101へ出力する。
【0035】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る医用画像処理装置による優先度の高さの設定及びその優先度に基づく画像処理について説明する。ここで図3は、本実施形態に係る医用画像処理装置による優先度の高さの設定及びその優先度に基づく画像処理のフローチャートの図である。
【0036】
ステップS001:画像処理部101は、医用情報端末201から画像処理の要求を受ける。
【0037】
ステップS002:優先度変更受付部102は、医用情報端末201からの要求に対応する画像処理の実行に高い優先度を設定する要求を受けたか否かを判断する。高い優先度を設定する要求を受けている場合、ステップS003へ進む。高い優先度を設定する要求を受けていない場合、ステップS010へ進む。
【0038】
ステップS003:優先度変更受付部102は、可否問合せ部103へ優先度を高くする要求の通知を送信する。
【0039】
ステップS004:可否問合せ部103は、優先度管理部104に記憶されているすでに要求を受け付けている医用情報端末200の識別情報を参照し、既に画像処理の要求を受け付けている他の医用情報端末200があるか否かを判断する。既に画像処理の要求を受け付けている他の医用情報端末200がある場合には、ステップS005へ進む。未だ画像処理の要求を受け付けている他の医用情報端末200がない場合には、ステップS008へ進む。
【0040】
ステップS005:可否問合せ部103は、高い優先度を設定する可否を問うための入力画面のフォーマットを基に、既に画像処理の要求を受け付けている医用情報端末200に、優先度を高くする可否を問うための入力画面を送信し表示させる。
【0041】
ステップS006:高い優先度を設定する可否を問うための入力画面が表示された医用情報端末200の操作者は許可/不許可の入力を行う。優先度管理部104は、医用情報端末200から高い優先度を設定することへの許可/不許可の情報の入力を受ける。
【0042】
ステップS007:優先度管理部104は、入力された許可/不許可を基に、高い優先度を設定することを許可した医用情報端末200が有るか否かを判断する。許可した医用情報端末200がある場合には、ステップS008へ進む。許可した医用情報端末200がない場合には、ステップS010へ進む。
【0043】
ステップS008:優先度管理部104は、許可した医用情報端末200に処理能力の最低限の割合の割り当てを決定する。そして、優先度管理部104は、不許可の通知を行った医用情報端末200に、高い優先度の設定を要求した医用情報端末200の要求する画像処理に通常の優先度を割り当てた場合の処理能力の割合の割り当てを決定する。さらに、優先度管理部104は、優先度を高くする要求をした医用情報端末200、処理能力の残りの割合の割り当てを決定する。優先度管理部104は、決定した各医用情報端末200からの要求に対応するそれぞれの画像処理の実行への処理能力の割り当てを画像処理部101へ出力する。
【0044】
ステップS009:画像処理部101は、入力された処理能力の割り当てを基に、各医用情報端末200から要求されたそれぞれの画像処理を実行する。
【0045】
ステップS010:画像処理部101は、通常の優先度で各医用情報端末200から要求されたそれぞれの画像処理を実行する。
【0046】
以上で説明したように、本実施形態にかかる医用画像処理装置は、特定の医用情報端末から高い優先度を設定する要求を受けて、画像処理の要求をすでに受付けている他の医用情報端末の許可を求め、許可があった場合にその許可をした医用情報端末からの要求による画像処理よりも特定の医用情報端末から要求された画像処理の実行の優先度を高くする構成である。これにより、緊急の医療処置における画像処理などのために優先度を高く設定する要求が行われた場合に、医師による許可/不許可の判断が行われ、医師による緊急性の判断に基づいて優先度の管理を行うことが可能となる。
【0047】
(変形例)
次に、本実施形態に係る医用画像処理装置の変形例について説明する。この変形例に係る医用画像処理装置は先に説明した医用画像処理装置と、優先度の高さの決定、すなわち処理能力の割り当ての決定方法が異なるものである。そこで、以下では、処理能力の決定方法について説明する。この変形例に係る医用画像処理装置では、優先度管理部による処理能力の決定以外の部分は先に説明した医用画像処理装置と同一の機能部を有するものである。すなわち、本変形例に係る医用画像処理装置の機能を洗わずブロック図も図1で表わされる。
【0048】
以下の説明では、優先度管理部104は、既に高い優先度を設定することへの許可/不許可の通知を、各医用情報端末200から受け取っているものとする。
【0049】
優先度管理部104は、高い優先度を設定するときの処理能力の割合を予め記憶している。この割合は、処理能力を割りあてる場合にこれ以上の割り当てを行うと他の画像処理が実質行えなくなるという上限の値である。この高い優先度を設定するときの処理能力の割合が本発明における「上限の割合」にあたる。本変形例ではこの割合を30%と記憶している。ただし、この上限の割合の値に特に制限はなく、稼働している画像処理システムの運用状況に合わせて設定することが望ましい。そして、優先度管理部104は、高い優先度を設定する要求を行った医用情報端末200からの要求に対応する画像処理を実行に対し処理能力の30%を割り当てる。そして、優先度管理部104は、不許可の通知を行った医用情報端末200の画像処理の実行に、各医用情報端末200からの要求による画像処理を同じ優先度で実行した場合の処理能力の割合を割り当てる。そして、優先度管理部104は、処理能力の残りの割合を許可の通知を行った医用情報端末200で等分し、その処理能力の割合を許可の通知を行った各医用情報端末200の要求に対応する画像処理に割り当てる。
【0050】
以上のように、本変形例では、高い優先度を設定する要求があった画像処理に対し、予め記憶している高い優先度を設定したときの処理能力の割合を割り当てる構成である。これにより、優先度が高くされた画像処理は、他の医用情報端末による許可があった場合に、必ず一定の処理能力の割合で処理が実行されることが確約され、優先度が高くされた画像処理を常に一定の処理スピードで実効することが可能となる。
【0051】
また、本変形例の構成では、許可を通知した医用情報端末から要求された画像処理の処理スピードが非常に遅くなるおそれがある。そこで、優先度を高くする可否を問い合わせるときに、許可した場合の大まかな処理能力の割合の目安を通知する構成でもよい。この大まかな目安とはたとえば、全体の処理能力の割合から予め記憶している割合を引いて、他の医用情報端末の数で割った値(すなわち、他の医用情報端末すべてが許可したときの値)や、全体の処理能力の割合から予め記憶している割合を引いた後に、1台を除く他の医用情報端末に通常の処理能力の割合を割り当てた場合の値(すなわち、他の医用情報端末のうち1台のみが許可した場合の値)などが好ましい。この様に、あらかじめ処理能力の低下の程度を判断材料として他の医用情報端末に表示させることで、想定した以上の処理能力の低下をある程度避けることが可能となる。
【0052】
また、以上の説明では、1台の医用情報端末が高い優先度を要求し他の医用情報端末は通常の優先度で処理を要求している状態で説明したが、これは他の医用情報端末が高い優先度を要求している場合でも同様に優先度の管理が行われる。たとえば、既に高い優先度で処理が行われている場合には、優先度が通常であり許可の通知を行った医用情報端末が要求している画像処理に対する処理能力の割合を決定し、残りの処理能力の割合を既に高い優先度で実行している画像処理と今回高い優先度が要求された画像処理とを合わせて等分して処理能力の割合を決定するなどにより、各画像処理に対する処理能力の割合が決定できる。
【0053】
〔第2の実施形態〕
以下、この発明の第2の実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。本実施形態に係る医用画像処理装置は、高い優先度を設定することの可否を問うときに、同時に高い優先度を設定する要求を行っている医師が行っている医療処置の詳細情報を提供する構成であることが第1の実施形態と異なるものである。そこで以下では、医療処置の情報の提供を主に説明する。本実施形態に係る医用画像処理装置のブロック図も図1で表わされる。以下の説明では、第1の実施形態と同一の符号を付された機能部は特に説明のない限り同じ機能を有するものとする。図3は本実施形態に係る医用画像処理装置による可否問合せの画面の一例の図である。
【0054】
優先度変更受付部102は、医用情報端末201から高い優先度を設定する要求を受けるとともに、該要求に対応する医療処置の詳細情報の入力を受ける。この医療処置の詳細情報の入力は、医療処置の詳細情報に対する入力がないと高い優先度を設定する要求を入力することができない構成にしてもよい、また、優先度を高くする要求を受けた場合に、優先度変更受付部102がその画像処理の画像データの識別情報を基にHIS(Hospital Informailn System)に問い合わせて、該画像データに対応する医療処置の詳細情報の入力を受ける構成でもよい。優先度変更受付部102は、優先度を高くする要求の通知及び該要求に対応する医療処置の詳細情報を可否問合せ部103へ出力する。
【0055】
可否問合せ部103は、高い優先度を設定することの可否を問い合わせるための入力画面のフォーマット及び医療処置の詳細情報の表示フォーマットを記憶している。この医療処置の詳細情報の表示フォーマットは図4に示す一覧を表示するフォーマットである。図4は本実施形態に係る医療処置の詳細情報の一例の図である。図4に示すように本実施形態では、医療処置の詳細情報として、「場所401」:処置を行っている場所、「登録者402」:処置を行っている医師の識別情報、「処理内容403」:要求された画像処理の処理内容(どのような装置を使用して撮像された画像データか、どの部位の画像データか、どのような画像処理を行うのかなどを含む。)、「完了予定時間404」:要求された画像処理を完了するまでにどのくらいの時間がかかるか、といった情報が表示される。ここで、詳細情報として本実施形態では、場所401、登録者402、処理内容403、及び完了予定時間404、の4種類を使用しているが、この種類に特に制限はなく他の情報を追加してもよい。
【0056】
可否問合せ部103は、優先度変更受付部102から高い優先度を設定する要求の通知及び医療処置の詳細情報の入力を受ける。場所401、登録者402、処理内容403は、医療処置の詳細情報の中に含まれている。そして、可否問合せ部103は、完了予定時間404として処理内容403を基に完了までにかかるおおよその時間を求める。本実施形態では、可否問合せ部103は、処理内容403に対応する必要な処理時間のテーブルを記憶しておりそのテーブルを参照して完了予定時間404を求めることができる。そして、可否問合せ部103は、場所401、登録者402、処理内容403、及び完了予定時間404を記憶しているフォーマットに挿入し医療処置の詳細情報のデータを作成する。
【0057】
可否問合せ部103は、高い優先度を設定することの可否を問い合わせるための入力画面を既に画像処理の要求を受け付けている医用情報端末200へ送信するとともに、医療処置の詳細情報のデータを医用情報端末200へ送信し、それらを既に画像処理の要求を受け付けている医用情報端末200の表示部に表示させる。
【0058】
高い優先度を設定することの可否の問い合わせがあった医用情報端末200の操作者は、表示された医療処置の詳細情報を参照して、優先度を高くする要求を行っている医療処置の緊急度や重要度を判断し、許可/不許可の通知を入力する。
【0059】
以上で説明したように、本実施形態に係る医用画像処理装置は、優先度を高くする要求に対応する医療処置の詳細情報を、高い優先度を設定することの可否を問い合わせるための入力画面と共に医用情報端末に表示させる構成である。これにより、高い優先度を設定すること可否の問い合わせを受けた医用情報端末の操作者は、優先度を高くする要求に対応する医療処置の詳細な情報を取得することができ、より正確な情報に基づいて優先度を高くすることへの許可/不許可を決定することが可能となる。
【0060】
〔第3の実施形態〕
以下、この発明の第3の実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。本実施形態に係る医用画像処理装置は、優先度を高くする設定(高い優先度の設定)にいくつかのレベルを設けたことが第1及び第2の実施形態と異なるものである。そこで以下では、複数のレベルを有する優先度の高さの設定について説明する。本実施形態に係る医用画像処理装置のブロック図も図1で表わされる。本実施形態に係る医用画像処理装置は、点線で表わされるレベル選択表示制御部105を有している。以下の説明では、第1の実施形態と同一の符号を付された機能部は特に説明のない限り同じ機能を有するものとする。図5は、本実施形態に係る優先度を高くする要求を行うための入力画面の一例の図である。
【0061】
レベル選択表示制御部105は、優先度の高さのレベルを選択可能な入力フォーマットを予め記憶している。本実施形態では、優先度の高さのレベルとして「通常以上」及び「高」の2つのレベルを有する。ここでは、「高」の方が「通常以上」よりも優先度が高いレベルであるとする。すなわち、本実施形態では、レベル選択表示制御部105は、図5に示すウィンドウ500を表示するような入力フォーマットを記憶している。このレベル選択表示制御部105が、本発明における「レベル表示制御手段」にあたる。
【0062】
レベル選択表示制御部105は、医用情報端末201からの優先度を高くする要求の入力を受信する。そして、レベル選択表示制御部105は、自己が記憶している入力フォーマットを基に入力画面であるウィンドウ500を医用情報端末201へ送信し、医用情報端末201にウィンドウ500を表示させる。ウィンドウ500のように、本実施形態での優先度を高くする要求の入力画面では、優先度の高さのレベルとして、「通常以上」又は「高」を選ぶことができる。ここで、ウィンドウ500には、「通常」というレベルも選ぶことが可能になっているが、「通常」を選んだ場合には優先度を高くする要求をキャンセルしたことと同じとして扱う。操作者は、優先度の高さのレベルを選択し、ウィンドウ500のOKボタンをマウスなどでクリックすることで、優先度の高さを高くする要求を優先度の高さのレベルと共に入力する。そして、医用情報端末201は、優先度の高さを高くする要求及び優先度の高さのレベルを優先度変更受付部102へ出力する。
【0063】
優先度変更受付部102は、医用情報端末201から高い優先度を設定する要求及び優先度の高さのレベルの入力を受ける。優先度変更受付部102は、入力された高い優先度を設定する要求の通知及び優先度の高さのレベルを可否問合せ部103へ出力する。優先度変更受付部102は、高い優先度を設定する要求があった画像処理の識別情報及び優先度の高さのレベルを優先度管理部104へ出力する。
【0064】
本実施形態における可否問合せ部103は、選択された優先度の高さのレベルを記載可能な入力画面のフォーマットを記憶している。可否問合せ部103は、高い優先度を設定する要求の通知を受けて、入力された優先度の高さのレベルを基に高い優先度を設定することの可否を問い合わせるための入力画面を生成する。そして、可否問合せ部103は、生成した高い優先度を設定することの可否を問い合わせる入力画面を医用情報端末202及び医用情報端末203へ送信し、医用情報端末202及び医用情報端末203の表示部に該入力画面を表示させる。医用情報端末202及び医用情報端末203の操作者は、表示部に表示された入力画面を参照し、表示されている要求された優先度のレベルを基に、高い優先度を設定することの可否を判断する。そして、操作者は、表示されている入力画面を使用して優先度を高くすることの許可/不許可の通知を入力する。医用情報端末202及び医用情報端末203は、操作者から入力された許可/不許可の通知を優先度管理部104へ出力する。
【0065】
優先度管理部104は、優先度変更受付部102から高い優先度を設定する要求があった画像処理の識別情報及び選択された優先度の高さのレベルの入力を受ける。また、優先度管理部104は、医用情報端末202及び医用情報端末203から許可/不許可の通知の入力を受ける。
【0066】
優先度管理部104は、選択された優先度の高さのレベルに対応した処理能力の下限の割合を記憶している。本実施形態では、「通常以上」の優先度の高さのレベルに対応する下限の割合を10%、「高」の優先度の高さのレベルに対応する下限の割合を5%として記憶している。
【0067】
優先度管理部104は、選択された優先度の高さのレベルに対応する処理能力の下限の割合を、医用情報端末202及び医用情報端末203のうち高い優先度を設定する許可を通知した端末に割り当てることを決定する。そして、優先度管理部104は、医用情報端末202及び医用情報端末203のうち高い優先度を設定高い優先度を設定することへの不許可を通知したものに、医用情報端末201からの要求に基づく画像処理の実行を通常の優先度で算出した場合の処理能力の割合を割り当てることを決定する。そして、優先度管理部104は、残りの優先度の割合を医用情報端末201に割り当てることを決定する。
【0068】
優先度管理部104は、決定した各医用情報端末200からの要求に対応する画像処理の実行に使用する処理能力の割合を画像処理部101へ出力する。
【0069】
ここで、本実施形態では、処理能力の下限の割合を使用して各医用情報端末200に割り当てる処理能力の割合を決定したが、これは他の方法でもよく、例えば、第1の実施形態の変形例のように上限の割合を用いてもよい。
【0070】
画像処理部101は、優先度管理部104から入力された各画像処理の実行に使用する処理能力の割合を基に、各画像処理を実行し処理していく。
【0071】
ここで、以上の説明では、第1の実施形態を基に説明したが、第2の実施形態のように、入力画面とともに医用処理の詳細を表示させる構成でもよい。
【0072】
また、既に複数の画像処理に対し高い優先度もしくは通常以上の優先度が割り当てられている場合には、図6で示されるウィンドウ600の様にそれらの割り当てられている優先度の情報601も医用処理の詳細情報に合わせて表示してもよい。これにより、どの程度の処理に対し高い優先度が設定されているかが把握でき、医師はより適切な許可/不許可の判断を行うことができる。ここで、図6は複数の画像処理に異なる優先度が既に割り当てられている状態の医用処理の詳細情報の一例を表す図である。
【0073】
以上で説明したように、本実施形態に係る医用画像処理装置は、高い優先度を設定する要求を行う際に、優先度の高さのレベルを選択することができ、その優先度のレベルに合わせて、医用画像処理の実行の優先度を変更する構成である。これにより、高い優先度を設定しようとする操作者は、画像処理の緊急性に応じて優先度の高さのレベルを選択することができ、他の画像処理の実行におけるパフォーマンスの低下を調整することが可能となり、全体的な画像処理の実行をバランスよく行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0074】
100 医用画像処理装置
101 画像処理部
102 優先度変更受付部
103 可否問合せ部
104 優先度管理部
105 レベル選択表示制御部
200,201,202,203 医用情報端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を加工処理する画像処理部を有し、複数の医用情報端末からの要求を受けてそれぞれの前記要求に基づいた画像処理を前記画像処理部に実行させる医用画像処理装置であって、
特定の前記医用情報端末から要求された前記画像処理の実行に対する高い優先度の設定の要求の入力を受け付ける優先度変更受付手段と、
前記画像処理の要求をすでに受け付けている他の医用情報端末に、前記高い優先度設定の可否を問い合わせる可否問合せ手段と、
前記他の医用情報端末から前記優先度の変更が可であるとの入力を受けたとき、前記特定の医用情報端末から要求された前記画像処理の実行の優先度を、優先度の変更を可とした前記医用情報端末からの要求に基づく画像処理の実行の優先度より高くさせる優先度管理手段と、
を備えることを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、
単位時間当たり一定量の処理を行い、該単位時間より長い所定の期間を受け付けた処理数に区分し、かつ優先度の高い画像処理は長い区分期間に割り当て、優先度の低い画像処理は短い区分期間に割り当てて、該所定時間を周期として繰り返し処理を実行する構成とされており、
前記優先度管理手段は、
前記優先度の変更を可とした前記医用情報端末の画像処理の実行に対し、前記画像処理の所定時間あたり処理できる量のうち予め決められた下限の割合を割り当て、前記所定時間あたり処理できる量の残りの割合を前記特定の医用情報端末の要求に基づく画像処理の実行及び前記優先度の変更を不可とした前記医用情報端末の要求に基づく画像処理の実行に割り当てる、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、
単位時間当たり一定量の処理を行い、該単位時間より長い所定の期間を受け付けた処理数に区分し、かつ優先度の高い画像処理は長い区分期間に割り当て、優先度の低い画像処理は短い区分期間に割り当てて、該所定時間を周期として繰り返し処理を実行する構成とされており、
前記優先度管理手段は、
前記特定の医用情報端末の要求に基づく画像処理の実行及び前記優先度の変更を不可とした前記医用情報端末の要求に基づく画像処理の実行に前記画像処理の所定時間あたり処理できる量のうち予め決められた上限の割合を割り当て、前記所定時間あたり処理できる量の残りの割合を前記優先度の変更を可とした前記医用情報端末の画像処理の実行に割り当てる、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記選択画面表示制御手段は、
前記優先度変更の可否を問うと共に、前記特定の医用情報端末からの要求に基づく、少なくとも処理内容を含む詳細情報を送信することによって前記他の医用情報端末に表示させる、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
優先度の高さを決定するためのレベルを予め記憶しており、該優先度の高さのレベルを前記特定の医用情報端末に選択可能に表示させるレベル選択表示制御手段をさらに備え、
前記特定の医用情報端末からは、前記優先度の高さのレベルのうちいずれかの高さのレベルが選択され、
前記可否問合せ手段は、前記選択されたレベルに該当する高さの優先度への優先度設定の可否を問い合わせ、
前記優先度管理手段は、選択された高さのレベルに基づいて優先度を高くする、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
複数の医用情報端末からの要求を受けてそれぞれの前記要求に基づいた医用画像を加工する画像処理を実行する医用画像処理装置の制御方法であって、
特定の前記医用情報端末から要求された前記画像処理の実行に対する高い優先度の設定の要求の入力を受け付ける優先度変更受付段階と、
前記画像処理の要求をすでに受け付けている他の医用情報端末に、前記高い優先度設定の可否を問い合わせる可否問合せ段階と、
前記他の医用情報端末から前記優先度の変更が可であるとの入力を受けたとき、前記特定の医用情報端末から要求された前記画像処理の実行の優先度を、優先度の変更を可とした前記医用情報端末からの要求に基づく画像処理の実行の優先度より高くさせる優先度管理段階と、
を有することを特徴とする医用画像処理装置制御方法。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図2】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−157184(P2010−157184A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−338(P2009−338)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】