説明

医用画像診断装置及び画像処理装置

【課題】検査効率を向上させることができる医用画像診断装置及び画像処理装置を提供する。
【解決手段】超音波画像診断装置は、受付け部161と、表示制御部162とを備える。超音波画像診断装置1の受付け部161は、医師によって提示された患者ごとの検査オーダを受付ける。超音波画像診断装置の表示制御部162は、受付け部161によって受付けられた検査オーダに関わる作業項目をモニタ13にて表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、医用画像診断装置及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波診断装置などの医用画像診断装置による検査においては、検査機能の進歩に伴い、検査時に収集する画像の種類や、検査項目などが多岐にわたっている。このような医用画像診断装置による検査は、患者を問診した医師からの検査オーダに従って、検査者により実施されているが、実施される検査内容、項目は既定の内容と検査オーダによる追加項目などのカスタマイズがあることが多い。
【0003】
検査者は、このような検査オーダに従ってもれなく検査を実施する必要があるが、実際には、既定の検査を行いながら患者の状態により検査項目や検査手順を変更するなど柔軟な対応をとっている。そのため、検査者は、必要な検査を全て実行したか否かを判断するために、計測結果の参照機能(例えばReport機能)による記録を参照したり、収集した画像を確認したりする。また、医用画像診断装置によっては、実施された計測項目にチェックマークが付く機能を備えたものもあり、検査者は、チェックマークの有無により、必要な検査を全て実行したか否かを判断する。しかしながら、従来技術においては、検査効率が低下する場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−072526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、検査効率を向上させることができる医用画像診断装置及び画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態の医用画像診断装置は、受付け手段と、表示制御手段とを備える。受付け手段は、検査情報を受付ける。表示制御部手段は、前記受付け手段によって受付けられた検査情報に関わる作業項目を表示部にて表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成を説明するための図である。
【図2】図2は、従来技術における課題を説明するための図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係る制御部の構成の一例を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係る内部記憶部によって記憶されたタスク情報の一例を示す図である。
【図5】図5は、第1の実施形態に係る表示制御部による処理の第1の例を説明するための図である。
【図6】図6は、第1の実施形態に係る表示制御部による処理の第2の例を説明するための図である。
【図7】図7は、第1の実施形態に係る超音波診断装置による処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、第2の実施形態に係るタッチコマンドスクリーンにおける編集機能とタスクリストとの連動の一例を説明するための図である。
【図9】図9は、第2の実施形態に係る検査オーダに基づくタスクリストの自動編集の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下では、医用画像診断装置として超音波診断装置を用いる場合について説明する。まず、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について、図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の全体構成を説明するための図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ11と、入力装置12と、モニタ13と、装置本体100とを有し、ネットワークに接続されている。
【0009】
超音波プローブ11は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体100が有する送受信部110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生し、さらに、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ11は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材などを有する。
【0010】
超音波プローブ11から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ11が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0011】
なお、本実施形態は、複数の圧電振動子が一列で配置された1次元超音波プローブである超音波プローブ11により、被検体Pを2次元でスキャンする場合であっても、1次元超音波プローブの複数の圧電振動子を機械的に揺動する超音波プローブ11や複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2次元超音波プローブである超音波プローブ11により、被検体Pを3次元でスキャンする場合であっても、適用可能である。
【0012】
入力装置12は、トラックボール12a、スイッチ12b、ボタン12c、タッチコマンドスクリーン12dなどを有し、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。例えば、タッチコマンドスクリーン12dは、計測メニューなどを表示するとともに、操作者が所望する項目を受付けて装置本体100に転送する。
【0013】
ここで、計測メニューとは、画像に描出された関心領域に係る任意の値を計測するための複数の計測項目を示した画面である。なお、計測メニューは、計測機能を操作者が起動させることによってタッチコマンドスクリーン12dに表示される。
【0014】
モニタ13は、超音波診断装置1の操作者が入力装置12を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像などを表示したりする。また、モニタ13は、後述する装置本体の制御により、作業項目を示したタスクリストを表示する。なお、タスクリストについては、後に詳述する。
【0015】
装置本体100は、超音波プローブ11が受信した反射波に基づいて超音波画像を生成する装置であり、図1に示すように、送受信部110と、Bモード処理部120と、ドプラ処理部130と、画像生成部140と、画像メモリ150と、制御部160と、内部記憶部170と、インターフェース部180とを有する。
【0016】
送受信部110は、トリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路などを有し、超音波プローブ11に駆動信号を供給する。パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、遅延回路は、超音波プローブ11から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ11に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。
【0017】
また、送受信部110は、アンプ回路、A/D変換器、加算器などを有し、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行ない、A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換して受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、加算器は、A/D変換器によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
【0018】
このように、送受信部110は、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。なお、送受信部110は、後述する制御部160の制御により、遅延情報、送信周波数、送信駆動電圧、開口素子数などを瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更においては、瞬時に値を切り替えることが可能であるリニアアンプ型の発振回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。また、送受信部110は、1フレームもしくはレートごとに、異なる波形を送信して受信することも可能である。
【0019】
Bモード処理部120は、送受信部110からゲイン補正処理、A/D変換処理および加算処理が行なわれた処理済み反射波信号である反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理などを行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0020】
ここで、Bモード処理部120は、検波周波数を変化させることで、映像化する周波数帯域を変えることができる。また、Bモード処理部120は、1つの受信データに対して、2つの検波周波数による検波処理を並列して行うことができる。
【0021】
このBモード処理部120の機能を用いることにより、超音波造影剤が注入された被検体Pの関心領域における1つの受信データから、関心領域を流動する超音波造影剤(微小気泡、バブル)を反射源とする反射波データと、関心領域に存在する組織を反射源とする反射波データとを分離することができ、後述する画像生成部140は、流動するバブルを高感度に映像化した造影像および形態を観察するために組織を映像化した組織像を生成することができる。
【0022】
ドプラ処理部130は、送受信部110から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワーなどの移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
【0023】
画像生成部140は、Bモード処理部120が生成したBモードデータや、ドプラ処理部130が生成したドプラデータから、超音波画像を生成する。具体的には、画像生成部140は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)することで、Bモードデータやドプラデータから表示用の超音波画像(Bモード画像やドプラ画像)を生成する。
【0024】
画像メモリ150は、画像生成部140によって生成された造影像や組織像などの画像データを記憶する。また、画像メモリ150は、後述する画像生成部140による処理結果を記憶する。さらに、画像メモリ150は、送受信部110を経た直後の出力信号(RF:Radio Frequency)や画像の輝度信号、種々の生データ、ネットワークを介して取得した画像データなどを必要に応じて記憶する。画像メモリ150が記憶する画像データのデータ形式は、後述する制御部160によりモニタ13に表示されるビデオフォーマット変換後のデータ形式であっても、Bモード処理部120及びドプラ処理部130によって生成されたRawデータである座標変換前のデータ形式でもよい。
【0025】
制御部160は、超音波診断装置1における処理全体を制御する。具体的には、制御部160は、入力装置12を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部170から読込んだ各種制御プログラムおよび各種設定情報に基づき、送受信部110、Bモード処理部120、ドプラ処理部130および画像生成部140の処理を制御したり、画像メモリ150が記憶する超音波画像などをモニタ13にて表示するように制御したりする。また、制御部160は、検査オーダに応じて、内部記憶部170が記憶する各種データをモニタ13やタッチコマンドスクリーン12dにて表示するように制御する。
【0026】
内部記憶部170は、超音波送受信、画像処理および表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見など)や、診断プロトコルや、診断部位ごとに仕分けられた計測項目などの各種データを記憶する。また、内部記憶部170は、検査オーダに含まれる検査項目ごとに対応付けられたタスク情報を記憶する。なお、タスク情報については後に詳述する。さらに、内部記憶部170は、必要に応じて、画像メモリ150が記憶する画像の保管などにも使用される。
【0027】
インターフェース部180は、入力装置12、ネットワークと装置本体100との間での各種情報のやり取りを制御するインターフェースである。
【0028】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、以下、詳細に説明する制御部160の処理により、検査効率を向上させることが可能となるように構成されている。
【0029】
ここで、まず、従来技術において、検査効率が低下する場合について説明する。例えば、検査者は、医師から検査部位などが指定された検査オーダを提示され、それに従って、検査を実施する。検査オーダは、印刷物(手書きカルテなど)、或いは、HIS(Hospital Information System)を利用したネットワーク経由の電子情報(電子カルテなど)などで検査者に提示される。検査オーダには患者の検査部位の指示があるが、検査部位に応じた詳細な検査内容や手順については、通常、検査サイト毎に標準的な内容が決められているのが一般的であるが、患者の状況に応じて検査者自身が考えて詳細な内容を決めることも多々ある。そのため、検査者は、検査を実施するごとに、全ての検査項目について検査を実施したかを確認するために、計測結果表示機能による記録を確認したり、収集画像を確認したりするなど手間のかかる作業を行っており、検査効率が低下する。
【0030】
また、実施された計測項目にチェックマークが付く機能を用いたとしても、計測項目が多数ある場合には、見落としが発生する可能が高くなり、仮に、見落としが発生した場合には、再度、検査を行うこととなり、検査効率が低下する。図2は、従来技術における課題を説明するための図である。図2においては、検査が実施された後、計測項目にチェックマークが付与された状態を示す。図2の(A)は、モニタ13における状態を示す。図2の(B)は、タッチコマンドスクリーン12dにおける状態を示す。
【0031】
例えば、従来の超音波診断装置では、ネットワークを経由して検査オーダを受付けると、患者情報が検査予約として登録される。検査者は、カルテを見て、検査オーダの項目を確認し、検査を開始する。ここで、検査者によって計測が完了した項目については、完了した時点で、モニタ上の計測項目及びタッチコマンドスクリーン上の計測スイッチにチェックマークが付与される。例えば、図2の(A)に示すように、モニタ13には、計測が完了したことが判るように、計測1〜3、計測13及び計測15にそれぞれチェックマークが付与される。同様に、タッチコマンドスクリーン12dにおいても、計測が完了したことが判るように、計測1〜3にそれぞれチェックマークが付与される。検査者は、検査終了時にカルテの検査オーダ内容を確認して、計測項目にチェックマークが付与されているか否かを確認する。
【0032】
ここで、図2の(B)に示すように、タッチコマンドスクリーン12d上の計測スイッチはtab1〜4に跨って配置され、多数の計測項目を確認する場合に、tabを切替えながら確認することとなり、見落としが発生する場合があり、検査効率を低下させる。また、モニタ13上においても、実際には、さらに多数の計測項目が表示されることとなるため、確認の段階で見落としが発生する場合があり、検査効率を低下させる。
【0033】
また、所定のViewの画像撮影などについて実施したか否かを確認する場合には、チェックマークでは確認できないため、Viewerで確認する必要があり、検査効率を低下させる。その他にも、例えば、患者への氏名、年齢などの確認作業や、検査に関する説明、検査前の環境整備などが実施しなければならない項目として設けられている場合もあり、検査ごとにそれら全てについて確認することは、非常に手間がかかり、検査効率を低下させる。
【0034】
そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、患者ごと、或いは、検査ごとにタスクリストを表示することで、検査者の手間を低減し、見落としを抑止することで、検査効率を向上させる。以下、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の制御部160の詳細な制御について説明する。
【0035】
図3は、第1の実施形態に係る制御部160の構成の一例を示す図である。図3に示すように、制御部160は、受付け部161と、表示制御部162と、計測結果取得部163と、編集部164とを有し、内部記憶部170、モニタ13、タッチコマンドスクリーン12dと接続される。
【0036】
受付け部161は、検査情報を受付ける。具体的には、受付け部161は、ネットワークを介して受信するか、或いは、検査者が入力装置12を介して入力した検査を受診する患者情報、検査部位、検査項目などを含む検査オーダを受付ける。また、受付け部161は、検査者が入力装置12を介して入力したタスクリストの編集操作を受付ける。
【0037】
表示制御部162は、受付け部161によって受付けられた検査情報に関わる作業項目を表示部にて表示させる。なお、表示制御部162による表示処理については、後に詳述する。計測結果取得部163は、実行済項目が計測項目であった場合に、当該計測項目の計測結果を取得する。すなわち、計測結果取得部163は、計測が実施されるごとに計測結果を取得する。編集部164は、タッチコマンドスクリーン12dを介して入力される各種の編集操作を受付ける。
【0038】
以下、第1の実施形態に係る表示制御部162による処理の詳細について説明する。表示制御部162は、受付け部161によって受付けられた検査オーダに含まれる検査部位、病名、検査項目などに基づいて、内部記憶部170からタスク情報を読み出し、読み出したタスク情報をリストとしたタスクリストをモニタ13にて表示させる。
【0039】
ここで、内部記憶部170によって記憶されるタスク情報について説明する。図4は、第1の実施形態に係る内部記憶部170によって記憶されたタスク情報の一例を示す図である。例えば、内部記憶部170は、図4に示すように、「MR」に、「MV VTI」と、「[MV DistA],[ MV DistB]」と、「LOVT VTI」と、「LOVT Diam」と、「MR Vel」と、「MR V Trace」と、「dP/dt」と、「dP/dt(−1,−3m/s)」とが関連付けられたタスク情報を記憶する。
【0040】
なお、図4の「MR」は、「Mitral Regurgitation:僧房弁逆流」を示し、図4の「MV VTI」は、「Mitral Valve Velocity Time Integral:僧房弁の1心拍の速度時間積分値」を示し、図4の「[MV DistA],[ MV DistB]」は、僧房弁の弁輪径(長径、短径)を示し、図4の「LOVT VTI」は、「Left Ventricular Outflow Tract Velocity Time Integral:左室流出路の1心拍の速度時間積分値」を示し、図4の「LOVT Diam」は、「Left Ventricular Outflow Tract diameter:左室流出路の直径」を示し、図4の「MR Vel」は、「Mitral Regurgitation Velocity:逆流速度」を示し、図4の「MR V Trace」は、「Mitral Regurgitation V Trace:僧房弁のドプラ波形のトレース」を示し、図4の「dP/dt」は「左室内圧時間積分値」を示し、図4の「dP/dt(−1,−3m/s)」は、「僧房弁逆流速度が−1から−3m/sに達するまでの時間」を示す。
【0041】
すなわち、図4に示すタスク情報は、「MR:僧房弁逆流」の超音波検査における計測項目として上述した8個の計測項目が関連づけられた情報である。内部記憶部170は、図4に示したタスク情報のほかにも、検査部位、病名、検査項目などに計測項目やタスクが関連付けられたタスク情報を記憶する。なお、タスク情報は、検査者などが予め任意に生成して内部記憶部170に格納することができる。例えば、表示制御部162は、検査オーダに含まれる「MR」をキーワードとして内部記憶部170を検索して、上述した8個の計測項目を抽出し、抽出した8個の計測項目を含むタスクリストをモニタ13に表示させる。
【0042】
ここで、表示制御部162による表示処理の例を図5及び6を用いて説明する。図5は、第1の実施形態に係る表示制御部162による処理の第1の例を説明するための図である。図5の(A)においては、表示制御部162が、受付け部161によって受付けられた検査オーダに含まれるキーワードを用いて内部記憶部170によって記憶されたタスク情報を検索し、キーワードに関連付けられた計測項目「計測1」、「計測2」、「計測5」、「計測7」、「計測8」及び「計測9」を含むタスクリストをモニタ13にて表示させた状態を示す。また、図5の(B)においては、表示制御部162が、タスクリストの編集を行うためのUI(User Interface)をタッチコマンドスクリーン12dにて表示させた状態を示す。
【0043】
表示制御部162は、モニタ13にて表示させた作業項目を、作業が実行されていないことを条件に、モニタ13にて継続して表示させる。換言すると、表示制御部162は、タスクリストに含まれる計測項目のうち、計測が実施された項目をモニタ13から消し、未実施の計測項目のみをモニタ13にて表示させる。例えば、図5に示す「計測1」が実施されると、表示制御部162は、表示させた「計測1」を消し、「計測2」、「計測5」、「計測7」、「計測8」及び「計測9」を含むタスクリストをモニタ13にて表示させる。
【0044】
また、表示制御部162は、タスクリストの編集を行うためのUIをタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。例えば、表示制御部162は、図5の(B)に示すように、「Add」、「Delete」、「OK」のスイッチを有するUIをタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。操作者は、例えば、「Measure Items List」から新たな計測項目を選択し、「Add」をタッチすることで、図5の(A)に示すタスクリストに新たな計測項目を加えることが可能である。また、操作者は、タスクリストに含まれる計測項目を選択して、「Delete」をタッチすることで、選択した計測項目をタスクリストから除くことが可能である。そして、操作者は、タスクリストの編集が終了した後、「OK」をタッチして計測を開始する。
【0045】
図6は、第1の実施形態に係る表示制御部162のよる処理の第2の例を説明するための図である。図6においては、図5の(A)に示すタスクリストに操作者が「タスク1」を加える編集を行った後、検査を開始した状態を示す。また、図6の(B)においては、検査の途中の状態を示す。なお、編集にて加えられる「タスク」としては、例えば、「検査の説明」や、「検査前の環境整備」などである。
【0046】
表示制御部162は、モニタ13にて表示させた作業項目のうち、作業が実行された実行済項目を、作業が実行されていない未実行項目とは異なる領域に、実行された順に表示させる。例えば、図6の(A)のタスクリストに含まれる「タスク1」、「計測1」及び「計測2」が順に実施されると、表示制御部162は、図6の(B)に示すように、実施された順番で、未実施の計測とは異なる位置に実施済みのリストとして「タスク1」、「計測1」及び「計測2」を表示させる。
【0047】
ここで、計測以外のタスクの場合、実施されたか否かを判定することが困難である。すなわち、計測項目の場合には、計測結果を取得することができるため、実施されたか否かを判定することができるが、それ以外のタスク(例えば、特定の画像を収集するなど)の場合には、実際に収集されたか否かを判定することが困難である。そこで、図6の(B)に示すように、「タスク1」を実施済みとして管理するために、受付け部161は、入力装置12を介した検査者からの終了操作を受付ける。そして、表示制御部162は、受付け部161によって終了操作が受付けられたタスクを実施済みのタスクとして管理する。
【0048】
さらに、表示制御部162は、計測結果取得部163によって取得された計測結果を、当該計測結果が得られた実行済項目に対応付けて、モニタ13にて表示させる。例えば、表示制御部162は、図6の(B)に示すように、計測結果取得部163によって取得された「計測1」の「計測結果:2.5cm」を「計測1」に対応付けて表示させる。同様に、表示制御部162は、図6の(B)に示すように、計測結果取得部163によって取得された「計測2」の「計測結果:3m/s」を「計測2」に対応付けて表示させる。
【0049】
さらに、表示制御部162は、モニタ13にて表示させた作業項目とは異なる未表示項目が実行された場合に、当該未表示項目を実行済項目とは異なる表示形式にて表示させる。例えば、「計測2」が実施された後に、タスクリストに含まれていない「タスク3」が実施された場合には、表示制御部162は、図6の(B)に示すように、「タスク3」の色をタスクリストに含まれていた項目とは異なる色に変えて、実施済みのリストに表示させる。
【0050】
次に、図7を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理について説明する。図7は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1による処理の手順を示すフローチャートである。図7に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1においては、タスクリスト機能が起動されると(ステップS101肯定)、受付け部161は、検査オーダを受付ける(ステップS102)。
【0051】
そして、表示制御部162は、検査オーダにリンクしたタスクを取得する(ステップS103)。すなわち、表示制御部162は、検査オーダに含まれる検査部位、検査項目などに関連付けられた計測項目やタスクを取得する。そして、表示制御部162は、タスクリストをモニタ13にて表示させ(ステップS104)、タスクリストの編集操作を受付けたか否かを判定する(ステップS105)。
【0052】
ここで、タスクリストの編集を受付けた場合には(ステップS105肯定)、表示制御部162は、タスクリストを更新し(ステップS106)、ステップS104に戻って、更新したタスクリストをモニタ13にて表示させる。一方、タスクリストの編集を受付けていない場合には(ステップS105否定)、表示制御部162は、タスクが実施されたか否かを判定する(ステップS107)。ここで、タスクが実施されるまで、超音波診断装置1は、待機状態である(ステップS107否定)。
【0053】
一方、タスクが実施されると(ステップS107肯定)、表示制御部162は、実施済みタスクを別領域に移行して(ステップS108)、検査終了の操作を受付けたか否かを判定する(ステップS109)。ここで、検査終了の操作を受付けた場合には(ステップS109肯定)、超音波診断装置1は、処理を終了する。
【0054】
一方、検査終了の操作を受付けていない場合には(ステップS109否定)、表示制御部162は、全てのタスクが実行されたか否かを判定する(ステップS110)。ここで、全てのタスクが実行されていない場合には(ステップS110否定)、表示制御部162は、ステップS107に戻って、タスクが実施されたか否かを判定する。一方、全てのタスクが実行された場合には(ステップS110肯定)、超音波診断装置1は処理を終了する。タスクリスト機能が起動されるまで、超音波診断装置1は、待機状態である(ステップS101否定)。
【0055】
上述したように、第1の実施形態によれば、受付け部161は、検査オーダを受付ける。そして、表示制御部162は、受付け部161によって受付けられた検査オーダに関わるタスクリストをモニタ13にて表示させる。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、患者ごとに実施項目を表示したり、管理したりすることができ、作業漏れを無くし、検査効率を向上させることを可能にする。
【0056】
また、第1の実施形態によれば、表示制御部162は、モニタ13にて表示させたタスクリストに含まれる項目を、作業が実施されていないことを条件に、モニタ13にて継続して表示させる。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、リスト上のタスクを探す手間をかけることなく、残件を確認することができ、検査者の作業をスムーズかつ容易にし、検査効率を向上させることを可能にする。
【0057】
また、第1の実施形態によれば、表示制御部162は、モニタ13にて表示させた作業項目のうち、作業が実行された実行済項目を、作業が実行されていない未実行項目とは異なる領域に、実行された順に表示させる。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、実施済みのタスクを一目で確認することができ、検査効率をより向上させることを可能にする。
【0058】
また、第1の実施形態によれば、計測結果取得部163は、実行済項目が計測項目であった場合、当該計測項目の計測結果を取得する。そして、表示制御部162は、計測結果取得部163によって取得された計測結果を、当該計測結果が得られた実行済項目に対応付けて、モニタ13にて表示させる計測結果表示機能(例えばReport機能)を利用することなく計測結果を確認することができ、検査者の作業をスムーズにすることを可能にする。
【0059】
また、第1の実施形態によれば、表示制御部162は、モニタ13にて表示させた作業項目とは異なる未表示項目が実行された場合に、当該未表示項目を実行済項目とは異なる表示形式にて表示させる。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、予定外の計測や検査、タスクを実施した場合でも、後に容易に確認することを可能にする。
【0060】
また、第1の実施形態によれば、受付け部161は、モニタ13にて表示させた作業項目に対する操作者の終了操作を受付ける。そして、表示制御部162は、受付け部161によって終了操作が受付けられた作業項目を実行済項目とし、作業が実行されていない未実行項目とは異なる領域に表示させる。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、計測以外のタスク、例えば、所定の画像の収集などを実施した場合でも、計測と同様に実施済みとして管理することができ、検査効率を向上させることを可能にする。
【0061】
(第2の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上述した第1の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0062】
(1)タッチコマンドスクリーンの編集機能との連動
上述した第1の実施形態では、タスクリストに含まれる項目の表示順が任意であるものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、タッチコマンドスクリーンの編集機能と連動させたりする場合であってもよい。超音波診断装置1は、タッチコマンドスクリーン12dにおけるスイッチの位置を、検査者が所望する位置に配置させる編集機能を備えている。検査者は(或いは、病院単位で)、検査の内容などを考慮してカスタマイズさせる場合が多い。そこで、タッチコマンドスクリーンの編集に応じて、タスクリストに表示される項目を自動で編集する場合について説明する。
【0063】
図8は、第2の実施形態に係るタッチコマンドスクリーン12dにおける編集機能とタスクリストとの連動の一例を説明するための図である。例えば、編集部164が、図8の(A)に示すスイッチの配置を、図8の(B)に示す配置にする編集操作を受付けると、表示制御部162は、図8の(C)に示すように、タスクリスト内の項目を、図8の(B)と同様に並べ替えたタスクリストをモニタ13にて表示させる。
【0064】
すなわち、表示制御部162は、図8の(C)に示すように、上から順に「計測C」、「計測G」、「計測A」、「計測D」、「計測B」、「計測F」、「計測E」、「計測H」としたタスクリストをモニタ13にて表示させる。
【0065】
上述したように、第2の実施形態に係る超音波診断装置1では、編集部164が、タッチコマンドスクリーン12dによって表示された複数の計測項目の配置の編集操作を受付ける。そして、表示制御部162が、編集部164によって受付けられた複数の計測項目の配置の編集操作の操作結果に応じて、モニタ13における未実行項目の配置を変更する。従って、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、既定のタスクリストを作成時においても、既定計測項目に従ったタスクリストを自動作成することができ、作成効率を向上させることを可能にする。
【0066】
(2)検査オーダによる項目の自動編集
上述した第1の実施形態では、タスクリストの項目を、内部記憶部170によって記憶されたタスク情報から取得する場合や、操作者から受付ける場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、検査オーダに患者ごとの予定検査項目をリストとして記載し、それを用いてタスクリストを自動的に編集する場合であってもよい。
【0067】
図9は、第2の実施形態に係る検査オーダに基づくタスクリストの自動編集の一例を説明するための図である。例えば、図9に示すように、ある患者の検査オーダのオーダリストに予定検査項目として、「タスク2」、「計測6」、「計測7」、「計測8」、「タスク3」、「タスク4」がリストアップされ、受付け部161が検査オーダを受付けると、表示制御部162は、図9に示すように、「タスク2」、「計測6」、「計測7」、「計測8」、「タスク3」、「タスク4」を加えたタスクリストをモニタ13に表示させる。
【0068】
上述したように、受付け部161が、検査オーダとして計測項目やタスクを受付ける。そして、表示制御部162は、受付け部161によって計測項目やタスクが受付けられた場合に、当該受付けられた計測項目やタスクをモニタ13にて表示させる。従って、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、検査オーダを作成するだけで、タスクリストを自動生成することができ、作成効率を向上させ、タスクリスト作成作業をより容易にすることを可能にする。
【0069】
上述した第1及び第2の実施形態では、医用画像診断装置として超音波診断装置を用いる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、X線CT装置やMR装置など、他のモダリティを用いる場合であってもよい。また、医用画像診断装置だけではなく、例えば、画像処理装置を用いる場合であってもよい。
【0070】
上述した第1の実施形態では、内部記憶部170によって記憶されるタスク情報において、キーワードに計測項目のみが関連付けられた場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、タスクが関連づけられている場合であってもよい。
【0071】
以上説明したとおり、第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、本実施形態の超音波診断装置は、患者ごとに実施項目を表示したり、管理したりすることができ、検査効率を向上させることを可能にする。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0073】
1 超音波診断装置
12 入力装置
12d タッチコマンドスクリーン
13 モニタ
100 装置本体
160 制御部
161 受付け部
162 表示制御部
163 計測結果取得部
164 編集部
170 内部記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査情報を受付ける受付け手段と、
前記受付け手段によって受付けられた検査情報に関わる作業項目を表示部にて表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記表示部にて表示させた作業項目を、作業が実行されていないことを条件に、前記表示部にて継続して表示させることを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記表示部にて表示させた作業項目のうち、作業が実行された実行済項目を、作業が実行されていない未実行項目とは異なる領域に、実行された順に表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記実行済項目が計測項目であった場合、当該計測項目の計測結果を取得する計測結果取得手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記計測結果取得手段によって取得された計測結果を、当該計測結果が得られた実行済項目に対応付けて、前記表示部にて表示させることを特徴とする請求項3に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記表示部にて表示させた作業項目とは異なる未表示項目が実行された場合に、当該未表示項目を前記実行済項目とは異なる表示形式にて表示させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記受付け手段は、前記表示部にて表示させた作業項目に対する操作者の終了操作を受付け、
前記表示制御手段は、前記受付け手段によって前記終了操作が受付けられた作業項目を前記実行済項目とし、作業が実行されていない未実行項目とは異なる領域に表示させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
複数の計測項目を操作者に対して表示し、当該複数の計測項目に対する前記操作者による所定の操作によって、計測開始操作の入力を受付ける入力手段と、
前記入力手段によって表示された複数の計測項目の配置の編集操作を受付ける編集手段とをさらに備え、
前記表示制御手段は、前記編集手段によって受付けられた複数の計測項目の配置の編集操作の操作結果に応じて、前記表示部における前記未実行項目の配置を変更することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
前記受付け手段は、前記検査情報として前記作業項目に類する項目を受付け、
前記表示制御手段は、前記受付け手段によって前記作業項目に類する項目が受付けられた場合に、当該受付けられた作業項目に類する項目を前記表示部にて表示させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。
【請求項9】
検査情報を受付ける受付け手段と、
前記受付け手段によって受付けられた検査情報に関わる作業項目を表示部にて表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−254145(P2012−254145A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128219(P2011−128219)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】