説明

医用画像診断装置

【課題】医用画像診断装置において、複数のマイクロホンが設けられる場合でも被検者が発する音声を明瞭に操作者に伝えることができるようにする。
【解決手段】計算機システム80が、架台部10の開口部に挿入された天板61の位置を示す天板位置情報と、開口部に挿入された被検者Pの方向を示す被検体方向情報とを取得する。また、計算機システム80は、天板位置情報及び被検体方向情報に基づいて、被検者Pの頭部から遠い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号が被検者Pの頭部に近い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号より小さくなるように各マイクロホンのゲインを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野では、診断対象の被検体内を画像化する医用画像診断装置が一般的に用いられている。ここでいう医用画像診断装置には、例えば、磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置やX線CT(Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置などがある。そして、かかる医用画像診断装置の中には、被険者と操作者との間で情報を伝達するための手段として、マイクロホンを有するものもある。
【0003】
図14は、従来の医用画像診断装置を説明するための図である。図14は、医用画像診断装置の一例としてMRI装置を示している。図14に示すように、MRI装置は、架台部1と寝台部2とを有する。架台部1は、被検者Pが挿入される開口部と、開口部に挿入された被検体の体内を表すデータを収集する収集手段とを有する。また、寝台部2は、被検者Pが載置される天板3を有し、その天板3を被検者Pとともに架台部の開口部に挿入する。
【0004】
そして、図14に示すように、例えば、MRI装置は、架台部1に設けられた2つのマイクロホン4及び5を有する。なお、通常、検査が行われる際には、診断対象となる撮像部位が架台部の中央付近に位置するように被検体が配置される。したがって、検査時における被検体の頭部の位置は撮像部位に応じて変わることになる。そのため、各マイクロホンは、天板3が移動する方向に沿ってそれぞれ異なる位置に設けられる。
【0005】
ここで、各マイクロホンによって検出された信号を単純に合成して再生すると、被険者の頭部に近い方のマイクロホンによって検出された音声信号にもう一方のマイクロホンによって検出された雑音信号が混入してしまい、操作者が被検者の声を聞き取りにくくなる。そこで、例えば、2つのマイクロホンによって検出された信号を差動アンプに入力し、その差動アンプから出力される信号をスピーカーに入力することで、雑音成分を除いた音声成分のみの信号を再生する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平1−172811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の技術では、複数のマイクロホンが設けられる場合に、被検者が発する音声を明瞭に操作者に伝えることができないという課題があった。
【0008】
例えば、2つのマイクロホンを医用画像診断装置に設ける場合には、広い範囲で音声信号を検出することができるように、各マイクロホンは離れた位置に設置される。この結果、各マイクロホンによって検出される音響信号には位相のずれが生じることになる。このような場合には、2つのマイクロホンによって検出された音響信号を差動アンプに入力しても、雑音成分が完全に相殺されずに残ってしまうことになる。したがって、前述した従来の技術では、複数のマイクロホンが設けられる場合に、被検者が発する音声を明瞭に操作者に伝えることができなかった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数のマイクロホンが設けられる場合でも被検者が発する音声を明瞭に操作者に伝えることができる医用画像診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、医用画像診断装置が、被検体が挿入される開口部及び当該開口部に挿入された被検体の体内を表すデータを収集する収集手段を有する架台部と、前記被検体が載置される天板を有し、当該天板を前記被検体とともに前記開口部に挿入する寝台部と、前記架台部に設けられた複数のマイクロホンと、前記複数のマイクロホンによって検出された音響信号を再生するスピーカーと、前記開口部に挿入された前記天板の位置を示す天板位置情報を取得する天板位置取得手段と、前記開口部に挿入された前記被検体の方向を示す被検体方向情報を取得する被検体方向取得手段と、前記天板位置取得手段により取得された前記天板位置情報及び前記被検体方向取得手段により取得された前記被検体方向情報に基づいて、前記被検体の頭部から遠い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号が前記被検体の頭部に近い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号より小さくなるように各マイクロホンのゲインを制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の本発明によれば、複数のマイクロホンが設けられる場合でも被検者が発する音声を明瞭に操作者に伝えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施例1に係るMRI装置の全体構成を示す図である。
【図2】図2は、本実施例1に係るMRI装置の詳細な構成を示す図である。
【図3】図3は、マイク設定情報記憶部により記憶されるマイク設定情報の一例を示す図である。
【図4】図4は、マイクゲイン制御部によるマイクロホンのゲイン制御を説明するための図(1)である。
【図5】図5は、マイクゲイン制御部によるマイクロホンのゲイン制御を説明するための図(2)である。
【図6】図6は、本実施例1に係るMRI装置によるマイクロホン制御の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は、天板の移動量を示す情報を天板位置情報として用いる場合のマイク設定情報の一例を示す図である。
【図8】図8は、マイクロホンの他の配置例を示す図である。本実施例2に係る計算機システムの詳細な構成を示す図である。
【図9】図9は、本実施例2に係る計算機システムの詳細な構成を示す図である。
【図10】図10は、周波数フィルタ記憶部により記憶される周波数フィルタを説明するための概念図である。
【図11】図11は、本実施例2に係るMRI装置によるマイクロホン制御の流れを示すフローチャートである。
【図12】図12は、本実施例3に係る計算機システムの詳細な構成を示す図である。
【図13】図13は、本実施例3に係るMRI装置によるマイクロホン制御の流れを示すフローチャートである。
【図14】図14は、従来の医用画像診断装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る医用画像診断装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す実施例では、本発明をMRI装置に適用した場合について説明する。
【実施例1】
【0014】
まず、本実施例1に係るMRI装置の構成について説明する。図1は、本実施例1に係るMRI装置100の全体構成を示す図である。図1に示すように、MRI装置100は、架台部10と、傾斜磁場電源20と、送信部30と、受信部40と、シーケンス制御部50と、寝台部60と、寝台制御部70と、計算機システム80とを有する。
【0015】
架台部10は、被検者Pが挿入される開口部と、その開口部に挿入された被検者Pの体内を表すMR信号を収集する収集手段とを有する。ここでいう収集手段は、静磁場中に置かれた被検者Pに高周波磁場を照射し、それにより被検者Pから発せられるMR信号を収集する。架台部10は、この収集手段として、静磁場磁石11と、傾斜磁場コイル12と、送信用RF(Radio Frequency)コイル13と、受信用RFコイル14とを有する。
【0016】
静磁場磁石11は、中空の円筒形状に形成され、円筒内の空間に一様な静磁場を発生する。この静磁場磁石11としては、例えば、永久磁石や超伝導磁石などが用いられる。
【0017】
傾斜磁場コイル12は、中空の円筒形状に形成され、静磁場磁石11の内側に配置される。この傾斜磁場コイル12は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3つのコイルを有する。各コイルは、それぞれ後述する傾斜磁場電源20から電流供給を受けて、X,Y,Zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生させる。なお、Z軸方向は、静磁場と同方向とされる。
【0018】
また、傾斜磁場コイル12によって発生するX,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge及びリードアウト用傾斜磁場Grにそれぞれ対応する。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じてエコー信号(MR信号)の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じてエコー信号の周波数を変化させるために利用される。
【0019】
送信用RFコイル13は、傾斜磁場コイル12の内側に配置され、送信部30から高周波パルスの供給を受けて高周波磁場を発生する。
【0020】
受信用RFコイル14は、傾斜磁場コイル12の内側に配置され、送信用RFコイル13により発生した高周波磁場の影響によって被検者Pから発せられるエコー信号を受信する。そして、受信用RFコイル14は、受信したエコー信号を受信部40へ出力する。
【0021】
傾斜磁場電源20は、傾斜磁場コイル12に電流を供給する。送信部30は、ラーモア周波数に対応する高周波パルスを送信用RFコイル13に送信する。受信部40は、受信用RFコイル14から出力されるMR信号をデジタル化することによって生データを生成し、生成した生データをシーケンス制御部50へ送信する。
【0022】
シーケンス制御部50は、計算機システム80から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源20、送信部30及び受信部40を駆動することによって、被検者Pのスキャンを行う。また、シーケンス制御部50は、被検者Pのスキャンを行った結果、受信部40から生データが送信されると、その生データを計算機システム80へ転送する。
【0023】
なお、ここでいうシーケンス情報とは、シーケンス制御部50が傾斜磁場コイル12に供給する電源の強さや電源を供給するタイミング、送信部30が送信用RFコイル13に送信するRF信号の強さやRF信号を送信するタイミング、受信部40がエコー信号を検出するタイミングなど、スキャンを行うための手順を定義した情報である。
【0024】
寝台部60は、被検者Pが載置される天板61を有し、その天板61を被検者Pとともに架台部10の開口部に挿入する。この寝台部60は、長手方向が静磁場磁石11の中心軸と平行になるように設置される。
【0025】
寝台制御部70は、計算機システム80による制御のもと、寝台部60を駆動して天板61を長手方向及び上下方向へ移動する。
【0026】
計算機システム80は、MRI装置100の全体制御や、データ収集、画像再構成などを行う装置であり、インタフェース部81と、入力部82と、表示部83と、記憶部84と、画像再構成部85と、制御部86とを有している。
【0027】
インタフェース部81は、シーケンス制御部50との間でやり取りされる各種信号の入出力を制御する。例えば、インタフェース部81は、シーケンス制御部50に対してシーケンス情報を送信し、シーケンス制御部50から生データを受信する。また、インタフェース部81は、生データを受信すると、受信した生データを被検者Pごとに記憶部84に記憶させる。
【0028】
入力部82は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。例えば、入力部82は、撮像条件の設定を操作者から受け付ける。この入力部82としては、例えば、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスが用いられる。
【0029】
表示部83は、操作者により参照される各種画像や、操作者から各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。この表示部83としては、例えば、液晶モニタやCRTモニタなどの表示デバイスが用いられる。
【0030】
記憶部84は、シーケンス制御部50から送信された生データや、後述する画像再構成部85により生成された画像データを被検者Pごとに記憶する。なお、かかる記憶部84により記憶される情報については後に詳細に説明する。
【0031】
画像再構成部85は、記憶部84により記憶された生データに対して後処理すなわちフーリエ変換処理等の再構成処理を施すことによって、被検者P内を表す画像データを生成する。
【0032】
制御部86は、上述した機能部間での制御の移動や、機能部と記憶部との間のデータの受け渡しなどを行うことで、MRI装置100の全体制御を行う。この制御部86は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを有し、それらを用いて各種プログラムを実行させることで、MRI装置100が有する各部を制御する。例えば、制御部86は、操作者によって設定された撮像条件に基づいてシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御部50に送信することで各種の撮像を実行する。
【0033】
以上、本実施例1に係るMRI装置100の全体構成について説明した。かかる構成のもと、本実施例1に係るMRI装置100は、架台部10に設けられた複数のマイクロホンと、各マイクロホンにより検出された音響信号を再生するスピーカーとをさらに備える。そして、本実施例1では、計算機システム80が、架台部10の開口部に挿入された天板61の位置を示す天板位置情報と、開口部に挿入された被検者Pの方向を示す被検体方向情報とを取得する。また、計算機システム80は、天板位置情報及び被検体方向情報に基づいて、被検者Pの頭部から遠い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号が被検者Pの頭部に近い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号より小さくなるように、各マイクロホンのゲインを制御する。
【0034】
すなわち、本実施例1に係るMRI装置100は、撮影時に天板61の位置及び被検者Pの方向から被検者Pの頭部の位置を特定し、被検者Pの頭部から遠い位置にあるマイクロホンの感度を下げるようにしている。これにより、被検者Pの頭部から遠い位置にあるマイクロホンによって検出される雑音信号が低減するので、複数のマイクロホンが設けられる場合でも被検者が発する音声を明瞭に操作者に伝えることができるようになる。
【0035】
次に、本実施例1に係るMRI装置100の詳細な構成について説明する。図2は、本実施例1に係るMRI装置100の詳細な構成を示す図である。なお、ここでは、架台部10に設けられたマイクロホン及び計算機システム80の構成を中心に説明する。
【0036】
図2に示すように、MRI装置100は、架台部10に設けられた第1のマイクロホン15及び第2のマイクロホン16を有する。各マイクロホンは、天板61が移動する方向に沿ってそれぞれ異なる位置に設けられる。例えば、架台部10において、寝台部60から遠い側の端部に第1のマイクロホン15が設けられ、寝台部60に近い側の端部に第2のマイクロホン16が設けられる。
【0037】
第1のマイクロホン15及び第2のマイクロホン16は、それぞれ音響信号を検出して制御部86に入力する。また、第1のマイクロホン15及び第2のマイクロホン16は、それぞれ、検出する音響信号のゲインを調整する機能を有する。
【0038】
また、計算機システム80は、第1のマイクロホン15及び第2のマイクロホン16により検出された音響信号を再生するスピーカー87を有する。このスピーカー87は、各マイクロホンにより検出された音響信号を制御部86から入力し、入力した音響信号を再生する。
【0039】
また、計算機システム80に含まれる記憶部84は、撮像条件記憶部84aと、マイク設定情報記憶部84bとを有する。
【0040】
撮像条件記憶部84aは、入力部82を介して操作者から受け付けられた撮像条件を記憶する。例えば、撮像条件記憶部84aは、診断対象として撮像される部位を示す撮像部位情報や、撮像時に被検者Pが挿入される方向を示す被検体方向情報、撮像シーケンスの種類を示す情報、各種撮像パラメータの設定値などを撮像条件として記憶する。
【0041】
ここで、撮像部位情報とは、例えば、頭部や腹部、下肢部、足部、下腹部などの情報である。また、被検体方向情報とは、例えば、撮像時に被検者Pが頭部側から架台部10に挿入されることを示す情報、又は、撮像時に被検者Pが足部側から架台部10に挿入されることを示す情報である。また、撮像シーケンスの種類とは、FASE(Fast Advanced Spin Echo)やEPI(Echo Planar Imaging)、FSE(Fast Spin Echo)などである。また、撮像パラメータとは、例えば、繰り返し時間(TR:Repetition Time)、エコー時間(TE:Echo Time)、反転回復時間(TI:Inversion Time)、励起用高周波磁場パルスのフリップ角などである。
【0042】
マイク設定情報記憶部84bは、撮像時に第1のマイクロホン15及び第2のマイクロホン16に設定されるゲインを定義したマイク設定情報を記憶する。図3は、マイク設定情報記憶部84bにより記憶されるマイク設定情報の一例を示す図である。図3に示すように、例えば、マイク設定情報記憶部84bは、被検体方向と、撮像部位と、第1マイクゲインと、第2マイクゲインとを対応付けた情報をマイク設定情報として記憶する。
【0043】
ここで、被検体方向は、撮像時に被検者Pが架台部10に挿入される方向を示す被検体方向情報である。この被検体方向には、例えば図3に示すように、撮像時に被検者Pが頭部側から架台部10に挿入されることを示す値「HF(Head First)」や、撮像時に被検者が足部側から架台部10に挿入されることを示す値「FF(Foot First)」が設定される。
【0044】
撮像部位は、診断対象として撮像される部位を示す撮像部位情報である。例えば図3に示すように、この撮像部位には、例えば図3に示すように、「頭部」や「腹部」、「下肢部」、「足部」、「下腹部」など、撮像の対象となる部位を示す値が設定される。
【0045】
第1マイクゲインは、第1のマイクロホン15に設定されるゲインを示す情報である。また、第2マイクゲインは、第2のマイクロホン16に設定されるゲインを示す情報である。これら第1マイクゲイン及び第2マイクゲインには、例えば図3に示すように、各マイクロホンに設定されるゲインを示す値として、最小値「1」から最大値「10」までの10段階の値が設定される。
【0046】
例えば、被検者Pが頭部側から架台部10に挿入され、かつ、撮像部位が頭部であった場合には、被検者Pの頭部は架台部10の中央付近に置かれる。そこで、マイク設定情報記憶部84bには、例えば図3に示すように、被検体方向を「HF」、撮像部位を「頭部」、第1マイクゲイン及び第2マイクゲインをそれぞれ「10」としたマイク設定情報が設定される。これにより、第1のマイクロホン15の感度と第2のマイクロホンの感度とが同じになる。
【0047】
また、例えば、被検者Pが足部側から架台部10に挿入され、かつ、撮像部位が足部であった場合には、被検者Pの頭部は第2のマイクロホン16に近い位置に置かれる。そこで、マイク設定情報記憶部84bには、例えば図3に示すように、被検体方向を「FF」、撮像部位を「足部」、第1マイクゲインを「1」、第2マイクゲインを「10」としたマイク設定情報が設定される。これにより、第2のマイクロホン16の感度が第1のマイクロホン15の感度よりも低くなる。
【0048】
図2の説明にもどって、計算機システム80に含まれる制御部86は、天板位置取得部86aと、被検体方向取得部86bと、マイクゲイン制御部86cとを有する。
【0049】
天板位置取得部86aは、架台部10の開口部に挿入された天板61の位置を示す天板位置情報を取得する。なお、本実施例1では、天板位置取得部86aは、撮像条件として設定された撮像部位情報を天板位置情報として取得する。具体的には、天板位置取得部86aは、操作者によって撮像条件が設定されたのちに、撮像条件記憶部84aにより記憶された撮像条件から撮像部位情報を取得する。そして、天板位置取得部86aは、取得した撮像位置情報を後述するマイクゲイン制御部86cに送る。
【0050】
被検体方向取得部86bは、架台部10の開口部に挿入された被検者Pの方向を示す被検体方向情報を取得する。具体的には、被検体方向取得部86bは、操作者によって撮像条件が設定されたのちに、撮像条件記憶部84aにより記憶された撮像条件から被検体方向情報を取得する。そして、被検体方向取得部86bは、取得した被検体方向情報を後述するマイクゲイン制御部86cに送る。
【0051】
マイクゲイン制御部86cは、天板位置取得部86aにより取得された撮像部位情報及び被検体方向取得部86bにより取得された被検体方向情報に基づいて、被検者Pの頭部から遠い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号が被検者Pの頭部に近い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号より小さくなるように各マイクロホンのゲインを制御する。
【0052】
具体的には、マイクゲイン制御部86cは、第1のマイクインタフェース88を介して第1のマイクロホン15に接続され、第2のマイクインタフェース89を介して第2のマイクロホン16に接続される。そして、マイクゲイン制御部86cは、天板位置取得部86aから送られた撮像部位情報及び被検体方向取得部86bから送られた被検体方向情報をそれぞれ受け付けると、マイク設定情報記憶部84bに記憶されたマイク設定情報を参照して、受け付けた撮像部位情報及び被検体方向情報に対応する第1マイクゲイン及び第2マイクゲインそれぞれの設定値を取得する。また、マイクゲイン制御部86cは、取得した設定値に基づいて、第1のマイクロホン15及び第2のマイクロホン16のゲインを調整する。
【0053】
ここで、マイクゲイン制御部86cによるマイクロホンのゲイン制御について説明する。図4及び5は、マイクゲイン制御部86cによるマイクロホンのゲイン制御を説明するための図である。なお、ここでは、マイク設定情報記憶部84bには、図3に示したマイク設定情報が記憶されていることとする。
【0054】
例えば、図4に示すように、被検者Pが頭部側から架台部10に挿入され、かつ、撮像部位が腹部であったとする。この場合には、マイクゲイン制御部86cは、図3に示したマイク設定情報を参照して、第1マイクゲインの設定値「10」と、第2マイクゲインの設定値「2」とをそれぞれ取得する。そして、マイクゲイン制御部86cは、取得した各設定値に基づいて、第1のマイクロホン15のゲインを「10」に調整し、第2のマイクロホン16のゲインを「2」に調整する。これにより、被検者Pの頭部から遠い位置にある第2のマイクロホン16によって検出される音響信号が、被検者Pの頭部に近い位置にある第1マイクロホン15によって検出される音響信号より小さくなる。
【0055】
また、例えば、図5に示すように、被検者Pが足部側から架台部10に挿入され、かつ、撮像部位が足部であったとする。この場合には、マイクゲイン制御部86cは、図3に示したマイク設定情報を参照して、第1マイクゲインの設定値「1」と、第2マイクゲインの設定値「10」とをそれぞれ取得する。そして、マイクゲイン制御部86cは、取得した各設定値に基づいて、第1のマイクロホン15のゲインを「1」に調整し、第2のマイクロホン16のゲインを「10」に調整する。これにより、被検者Pの頭部から遠い位置にある第1のマイクロホン15によって検出される音響信号が、被検者Pの頭部に近い位置にある第2のマイクロホン16によって検出される音響信号より小さくなる。
【0056】
次に、本実施例1に係るMRI装置100によるマイクロホン制御の流れについて説明する。図6は、本実施例1に係るMRI装置100によるマイクロホン制御の流れを示すフローチャートである。
【0057】
図6に示すように、本実施例1に係るMRI装置100では、操作者によって撮像条件が設定されると(ステップS11,Yes)、天板位置取得部86aが、架台部10の開口部に挿入された天板61の位置を示す天板位置情報として、撮像条件記憶部84aにより記憶された撮像条件から撮像部位情報を取得する(ステップS12)。また、被検体方向取得部86bが、架台部10の開口部に挿入された被検者Pの方向を示す被検体方向情報を取得する(ステップS13)。
【0058】
その後、マイクゲイン制御部86cが、天板位置取得部86aにより取得された撮像部位情報及び被検体方向取得部86bにより取得された被検体方向情報に基づいて、被検者Pの頭部から遠い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号が被検者Pの頭部に近い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号より小さくなるように各マイクロホンのゲインを制御する(ステップS14)。
【0059】
上述したように、本実施例1では、天板位置取得部86aが、架台部10の開口部に挿入された天板61の位置を示す天板位置情報を取得する。また、被検体方向取得部86bが、架台部10の開口部に挿入された被検者Pの方向を示す被検体方向情報を取得する。そして、マイクゲイン制御部86cが、天板位置取得部86aにより取得された天板位置情報及び被検体方向取得部86bにより取得された被検体方向情報に基づいて、被検者Pの頭部から遠い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号が被検者Pの頭部に近い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号より小さくなるように各マイクロホンのゲインを制御する。したがって、本実施例1によれば、被検者Pの頭部から遠い位置にあるマイクロホンによって検出される雑音信号が低減するので、複数のマイクロホンが設けられる場合でも被検者が発する音声を明瞭に操作者に伝えることができる。
【0060】
なお、上記実施例1では、天板61の位置を示す天板位置情報として撮像部位情報を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、撮像部位情報の代わりに天板の移動量を示す情報を用いてもよい。
【0061】
図7は、天板の移動量を示す情報を天板位置情報として用いる場合のマイク設定情報の一例を示す図である。図7に示すように、例えば、マイク設定情報記憶部84bは、被検体方向と、天板移動量と、第1マイクゲインと、第2マイクゲインとを対応付けた情報をマイク設定情報として記憶する。
【0062】
ここで、天板移動量は、撮像時に移動された天板61の移動量を示す情報である。この天板移動量には、検査前に天板61に被検者Pが載置されるときの天板61の位置を「0」とした場合に、その位置からの移動量を示す範囲が設定される。例えば、図7に示すように、天板移動量には、「100≦d≦130」、「130<d≦180」、「180<d≦220」のように天板移動量dの範囲を示す情報が設定される。
【0063】
例えば、被検者Pが頭部側から架台部10に挿入され、かつ、撮像部位が頭部であった場合の天板移動量dが100≦d≦130の範囲内であったとする。このような場合には、マイク設定情報記憶部84bには、例えば図7に示すように、被検体方向を「HF」、天板移動量dを「100≦d≦130」、第1マイクゲイン及び第2マイクゲインをそれぞれ「10」としたマイク設定情報が設定される。これにより、第1のマイクロホン15の感度と第2のマイクロホン16の感度とが同じになる。
【0064】
また、例えば、被検者Pが足部側から架台部10に挿入され、かつ、撮像部位が足部であった場合の天板移動量dが「110<d≦140」であったとする。このような場合には、マイク設定情報記憶部84bには、例えば図7に示すように、被検体方向を「FF」、天板移動量dを「110<d≦140」、第1マイクゲインを「1」、第2マイクゲインを「10」としたマイク設定情報が設定される。これにより、第1のマイクロホン15の感度が第2のマイクロホン16の感度よりも低くなる。
【0065】
なお、撮影時には、被検体Pは、仰臥位又は腹臥位で天板61に載置されるほか、撮像部位により、又は、傾斜磁場による磁場刺激を軽減するために、側臥位で天板61に載置される場合もある。図8は、マイクロホンの他の配置例を示す図である。例えば、図8に示すように、架台部10において、寝台部60から遠い側の端部の左右に2つの第1のマイクロホン15a及び15bが設けられ、寝台部60に近い側の端部の左右に2つの第2のマイクロホン16a及び16bが設けられていたとする。
【0066】
この場合には、例えば、図8に示すように、マイクゲイン制御部86cは、撮像部位情報及び被検体方向情報に基づいて、第1のマイクロホン15a及び15b並びに第2のマイクロホン16a及び16bのゲインをそれぞれ調整する。すなわち、マイクゲイン制御部86cは、被検体Pが側臥位で載置されている場合に、被検体Pの頭部に近い側にあり、かつ被検体Pの口に近い側にあるマイクロホンの感度が高くなるように各マイクロホンのゲインを調整する。
【0067】
ところで、MRI装置による撮像では、検査の種類に応じて、FASEやEPI、FSEなどの各種の撮像シーケンスが用いられる。そして、実際の撮像時には、撮像シーケンスごとに特有の雑音信号が発生することが知られている。そこで、例えば、撮像シーケンスの種類に応じて、撮像シーケンスを実行することにより発生する雑音信号を各マイクロホンにより検出された音響信号から除去するようにしてもよい。以下では、このような場合を実施例2として説明する。
【実施例2】
【0068】
なお、本実施例2に係るMRI装置の全体構成は図1に示したものと同じであり、計算機システムの構成が異なるのみである。そこで、本実施例2では、計算機システムの構成を中心に説明する。図9は、本実施例2に係る計算機システム180の詳細な構成を示す図である。なお、ここでは説明の便宜上、図2に示した各部と同じ機能を有する機能部については、同一の符号を付すこととして詳細な説明を省略する。
【0069】
図9に示すように、計算機システム180に含まれる記憶部184は、撮像条件記憶部84aと、マイク設定情報記憶部84bと、周波数フィルタ記憶部184cとを有する。
【0070】
周波数フィルタ記憶部184cは、第1のマイクロホン15及び第2のマイクロホン16により検出された音響信号から雑音信号を除去するための周波数フィルタを撮像シーケンスの種類ごとに記憶する。図10は、周波数フィルタ記憶部184cにより記憶される周波数フィルタを説明するための概念図である。
【0071】
図10の上図は、被検者Pが発する音声信号V、FASEにより発生する雑音信号S1、EPIにより発生する雑音信号S2及びFSEにより発生する雑音信号S3それぞれについて、信号の周波数と信号強度との関係を示している。図10の上図に示すように、MRI装置による撮像では、撮像シーケンスごとに特有の周波数を有する雑音信号が発生する。
【0072】
そこで、周波数フィルタ記憶部184cは、例えば図10の下図に示すように、FASEにより発生する雑音信号S1を除去するための周波数フィルタf1と、EPIにより発生する雑音信号S2を除去するための周波数フィルタf2と、FSEにより発生する雑音信号S3を除去するための周波数フィルタf3とをそれぞれ記憶する。これらの周波数フィルタを用いて、第1のマイクロホン15及び第2のマイクロホン16により検出された音響信号に対してフィルタ処理を施すことで、撮像シーケンスごとに特有の雑音信号を除去することができる。
【0073】
図9の説明にもどって、計算機システム180に含まれる制御部186は、天板位置取得部86aと、被検体方向取得部86bと、マイクゲイン制御部86cと、再生周波数調整部186dとを有する。
【0074】
再生周波数調整部186dは、撮像条件として設定された撮像シーケンスの種類に応じて、撮像シーケンスを実行することにより発生する雑音信号を各マイクロホンにより検出された音響信号から除去することで、スピーカー87により再生される信号の周波数を調整する。この再生周波数調整部186dは、マイクゲイン制御部86cとスピーカー87との間に挿入される。
【0075】
具体的には、再生周波数調整部186dは、操作者によって撮像条件が設定されたのちに、撮像条件記憶部84aにより記憶された撮像条件から撮像シーケンスの種類を取得する。また、再生周波数調整部186dは、周波数フィルタ記憶部184cにより記憶された周波数フィルタの中から、取得した撮像シーケンスの種類に対応する周波数フィルタを取得する。さらに、再生周波数調整部186dは、取得した周波数フィルタを用いてフィルタ処理を行うことで、マイクゲイン制御部86cから送られる音響信号から雑音成分を除去する。そして、再生周波数調整部186dは、雑音成分が除去された信号をスピーカー87に送る。これにより、雑音成分が除去された音声信号のみの音響信号がスピーカー87によって再生されるようになる。
【0076】
次に、本実施例2に係るMRI装置によるマイクロホン制御の流れについて説明する。図11は、本実施例2に係るMRI装置によるマイクロホン制御の流れを示すフローチャートである。
【0077】
図11に示すように、本実施例2に係るMRI装置では、操作者によって撮像条件が設定されると(ステップS21,Yes)、天板位置取得部86aが、架台部10の開口部に挿入された天板61の位置を示す天板位置情報として、撮像条件記憶部84aにより記憶された撮像条件から撮像部位情報を取得する(ステップS22)。また、被検体方向取得部86bが、架台部10の開口部に挿入された被検者Pの方向を示す被検体方向情報を取得する(ステップS23)。
【0078】
さらに、再生周波数調整部186dは、撮像条件として設定された撮像シーケンスの種類に応じて、撮像シーケンスを実行することにより発生する雑音信号を各マイクロホンにより検出された音響信号から除去することで、スピーカー87により再生される信号の周波数を調整する(ステップS24)。
【0079】
その後、マイクゲイン制御部86cが、天板位置取得部86aにより取得された撮像部位情報及び被検体方向取得部86bにより取得された被検体方向情報に基づいて、被検者Pの頭部から遠い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号が被検者Pの頭部に近い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号より小さくなるように各マイクロホンのゲインを制御する(ステップS25)。
【0080】
上述したように、本実施例2では、再生周波数調整部186dが、撮像条件として設定された撮像シーケンスの種類に応じて、撮像シーケンスを実行することにより発生する雑音信号を各マイクロホンにより検出された音響信号から除去することで、スピーカー87により再生される信号の周波数を調整する。したがって、本実施例2によれば、被検者Pが発する音声をより明瞭に操作者に伝えることができる。
【0081】
なお、上記実施例2では、撮像シーケンスを実行することにより発生する雑音信号を除去する場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、被検者Pが音声を発した場合のみ、その音声を操作者に伝えるようにしてもよい。そこで、以下では、このような場合を実施例3として説明する。
【実施例3】
【0082】
なお、本実施例3に係るMRI装置の全体構成は図1に示したものと同じであり、計算機システムの構成が異なるのみである。そこで、本実施例3では、計算機システムの構成を中心に説明する。図12は、本実施例3に係る計算機システム180の詳細な構成を示す図である。なお、ここでは説明の便宜上、図2に示した各部と同じ機能を有する機能部については、同一の符号を付すこととして詳細な説明を省略する。
【0083】
図12に示すように、計算機システム280に含まれる制御部286は、天板位置取得部86aと、被検体方向取得部86bと、マイクゲイン制御部286cと、信号変化検出部286eとを有する。
【0084】
信号変化検出部286eは、第1のマイクロホン15及び第2のマイクロホン16のうち少なくとも一つのマイクロホンにより検出される音響信号が不規則に変化したか否かを検出する。なお、ここでは、第1のマイクロホン15により検出される音響信号について、不規則な変化を検出する場合について説明する。
【0085】
例えば、信号変化検出部286eは、第1のマイクロホン15により検出された音響信号の大きさが所定の閾値を超えた場合に、音響信号に不規則な変化が生じたと検出する。または、信号変化検出部286eは、複数枚の断面画像が撮像される場合に、1枚目の断面画像が撮像される間に第1のマイクロホン15により検出された音響信号のパターンを内部メモリに保存しておく。そして、信号変化検出部286eは、2枚目以降の断面画像が撮像される際には、内部メモリに保存されている音響信号のパターンと第1のマイクロホン15により検出される音響信号のパターンとを比較し、パターンが一致しない場合に、音響信号に不規則な変化が生じたと検出する。いずれの例でも、信号変化検出部286eは、音響信号に不規則な変化が生じたと検出した場合には、その旨をマイクゲイン制御部286cに通知する。
【0086】
マイクゲイン制御部286cは、天板位置取得部86aにより取得された撮像部位情報及び被検体方向取得部86bにより取得された被検体方向情報に基づいて、被検者Pの頭部から遠い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号が被検者Pの頭部に近い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号より小さくなるように各マイクロホンのゲインを制御する。なお、本実施例3では、マイクゲイン制御部286cは、信号変化検出部286eにより音響信号が不規則に変化したことが検出された場合に、各マイクロホンのゲインを制御する。
【0087】
具体的には、マイクゲイン制御部286cは、音響信号に不規則な変化が生じたことが信号変化検出部286eから通知されると、実施例1で説明したマイクゲイン制御部86cと同様に、マイク設定情報記憶部84bに記憶されたマイク設定情報に基づいて、第1のマイクロホン15及び第2のマイクロホン16のゲインを調整する。
【0088】
次に、本実施例3に係るMRI装置によるマイクロホン制御の流れについて説明する。図13は、本実施例3に係るMRI装置によるマイクロホン制御の流れを示すフローチャートである。
【0089】
図13に示すように、本実施例3に係るMRI装置では、操作者によって撮像条件が設定されると(ステップS31,Yes)、天板位置取得部86aが、架台部10の開口部に挿入された天板61の位置を示す天板位置情報として、撮像条件記憶部84aにより記憶された撮像条件から撮像部位情報を取得する(ステップS32)。また、被検体方向取得部86bが、架台部10の開口部に挿入された被検者Pの方向を示す被検体方向情報を取得する(ステップS33)。
【0090】
続いて、マイクゲイン制御部286cが、各マイクロホンのゲインを最小値に設定する(ステップS34)。その後、信号変化検出部286eが、第1のマイクロホン15及び第2のマイクロホン16のうち少なくとも一つのマイクロホンにより検出される音響信号が不規則に変化したか否かを検出する(ステップS35)。
【0091】
ここで、信号変化検出部286eにより音響信号が不規則に変化したことが検出されるまでの間は、制御部286は、上記ステップS34及びS35の処理を繰り返し実行する(ステップS36,No)。
【0092】
そして、信号変化検出部286eにより音響信号が不規則に変化したことが検出された場合には(ステップS36,Yes)、マイクゲイン制御部286cが、天板位置取得部86aにより取得された撮像部位情報及び被検体方向取得部86bにより取得された被検体方向情報に基づいて、被検者Pの頭部から遠い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号が被検者Pの頭部に近い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号より小さくなるように各マイクロホンのゲインを制御する(ステップS37)。
【0093】
上述したように、本実施例3によれば、信号変化検出部286eが、第1のマイクロホン15及び第2のマイクロホン16のうち少なくとも一つのマイクロホンにより検出される音響信号が不規則に変化したか否かを検出する。また、マイクゲイン制御部286cが、信号変化検出部286eにより音響信号が不規則に変化したことが検出された場合に、各マイクロホンのゲインを制御する。したがって、本実施例3によれば、被検者Pが音声を発した場合のみ、その音声を操作者に伝えることができる。このことから、操作者は、被検者Pが音声を発していない間は他の作業に集中することができる。したがって、本実施例3によれば、操作者の作業環境を向上させることができる。
【0094】
なお、上記実施例1〜3では、MRI装置が2つのマイクロホンを有する場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、MRI装置が3つ以上のマイクロホンを有する場合でも、本発明を同様に適用することが可能である。その場合には、マイク設定情報記憶部84bは、MRI装置が有する全てのマイクロホンについてマイクゲインを記憶する。
【0095】
また、上記実施例1〜3では、MRI装置に設けられたマイクロホンが被検者Pの音声信号を検出する場合を中心に説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、被検者Pが音声を発する代わりに何かを叩いた場合に生じる音や、装置に異常が発生した場合に生じる音のように、各種の音響信号が生じる場合でも本発明を同様に適用することが可能である。
【0096】
また、上記実施例1〜3では、MRI装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えばX線CT装置やPET装置など、マイクロホンを有する他の医用画像診断装置についても、本発明を同様に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0097】
100 MRI装置
10 架台部
15 第1のマイクロホン
16 第2のマイクロホン
60 寝台部
61 天板
80 計算機システム
84 記憶部
84a 撮像条件記憶部
84b マイク設定情報記憶部
86 制御部
86a 天板位置取得部
86b 被検体方向取得部
86c マイクゲイン制御部86c
87 スピーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体が挿入される開口部及び当該開口部に挿入された被検体の体内を表すデータを収集する収集手段を有する架台部と、
前記被検体が載置される天板を有し、当該天板を前記被検体とともに前記開口部に挿入する寝台部と、
前記架台部に設けられた複数のマイクロホンと、
前記複数のマイクロホンによって検出された音響信号を再生するスピーカーと、
前記開口部に挿入された前記天板の位置を示す天板位置情報を取得する天板位置取得手段と、
前記開口部に挿入された前記被検体の方向を示す被検体方向情報を取得する被検体方向取得手段と、
前記天板位置取得手段により取得された前記天板位置情報及び前記被検体方向取得手段により取得された前記被検体方向情報に基づいて、前記被検体の頭部から遠い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号が前記被検体の頭部に近い位置にあるマイクロホンによって検出される音響信号より小さくなるように各マイクロホンのゲインを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
前記天板位置取得手段は、撮像条件として設定された撮像部位を示す情報を前記天板位置情報として取得することを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記天板位置取得手段は、前記天板の移動量を示す情報を前記天板位置情報として取得することを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
撮像条件として設定された撮像シーケンスの種類に応じて、撮像シーケンスを実行することにより発生する雑音信号を各マイクロホンにより検出された音響信号から除去することで、前記スピーカーにより再生される信号の周波数を調整する再生周波数調整手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記複数のマイクロホンのうち少なくとも一つのマイクロホンにより検出される音響信号の不規則な変化を検出する信号変化検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記信号変化検出手段により前記音響信号の不規則な変化が検出された場合に、各マイクロホンのゲインを制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−143028(P2011−143028A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5319(P2010−5319)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】