説明

医療検査支援システム、医療検査支援方法、および医療検査支援プログラム

【課題】医療検査の前後における所定事項の実施の有無、検査前後の差異とその理由等の情報から、医療検査が適切に行われたかを、簡易にしかも確実に認識する。
【解決手段】医療検査に使用する規定の医療器材の情報および医療検査に先立ち実施される前処置に使用する規定の医療器材と薬剤の情報を示す適切使用品情報25、および検査の実施後に被検者の生体状態が正常であるかを判断するための判定基準を示す被検者状態判定基準情報27を予め定めておき、使用した医療器材の情報および薬剤の情報を示す実使用品情報21、および検査実施後の被検者の生体状態を示す被検者実状態情報23を入力し、実使用品情報21と適切使用品情報25とを比較するとともに、被検者実状態情報23と被検者状態判定基準情報27とを比較して差異情報29を抽出し、差異情報29に基づいて実施した特定の医療検査が適切に行われたかを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療検査支援システム、医療検査支援方法、および医療検査支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡的検査等の医療検査が適切に行われたことを、検査者および被検者が簡易かつ確実に行うことは、被検者の安心・安全を確保する意味から重要である。従来より、検査(撮影)を実施する場面で処置(病変部の切除等)を実施しようとした場合に、その処置の成功/不成功の確率や術式の違いによる確率の違いに関するデータを参照可能にする技術がある。このような技術の一例として、検査に関して実施した医療行為の実施内容に関する実施済情報を格納して、これから実施する予定の医療行為の実施内容をキーとして、格納されている実施済み情報から予定している実施内容に対応する実施済み情報を取得する検査マネージメントシステムがある(例えば、特許文献1)。また、手術後の結果、術後のケア、投薬時間等を患者側が容易に確認することができるように、患者に対する複数の医療情報を記憶しておき、これら複数の医療情報を、携帯端末を介して患者側に送信する医療情報配信システムがある(例えば、特許文献2)。
しかしながら、上記のいずれも方法によっても、内視鏡的検査等の医療検査が被検者に対して適切に行われたか否かを被検者自身、あるいは検査者等が容易に確認することができない。
【特許文献1】特開2005−160660号公報
【特許文献2】特開2003−162586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、医療検査の前後における所定事項の実施の有無、検査前後の差異とその理由等の情報から、医療検査が適切に行われたかを、簡易にしかも確実に認識することができる医療検査支援システム、医療検査支援方法、および医療検査支援プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は下記構成からなる。
(1) 被検者に実施した医療検査が適切に行われたかを判定する医療検査支援システムであって、
被検者に特定の医療検査を実施した際に使用した医療器材の情報および前記特定の医療検査に先立ち実施される前処置で使用した医療器材と薬剤の情報を示す実使用品情報、および前記特定の医療検査実施後の被検者の生体状態を示す被検者実状態情報を入力する情報入力手段と、
該情報入力手段からの入力情報、および前記医療検査に使用する規定の医療器材および前記前処置に使用する規定の医療器材と薬剤の情報を示す適切使用品情報、ならびに前記医療検査の実施後に被検者の生体状態が正常であるかを判断するための判定基準を示す被検者状態判定基準情報を記憶する情報記憶手段と、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報とを比較するとともに、前記被検者実状態情報と前記被検者状態判定基準情報とを比較して、それぞれの差異情報を抽出する差異情報抽出手段と、
前記差異情報に基づいて前記実施した特定の医療検査が適切に行われたかを判定する適切判定手段と、
を備えた医療検査支援システム。
【0005】
この医療検査支援システムによれば、医療検査における実使用品情報と被検者実状態情報とを規定の標準情報と比較することで、実施した医療検査が適切に行われていたかを判定することができる。
【0006】
(2) (1)記載の医療検査支援システムであって、
前記差異情報抽出手段が、前記実使用品情報と前記適切使用品情報とを比較して差異のある医療器材や薬剤の情報を抽出してこれを使用品差異データとして前記情報記憶手段に登録するとともに、前記被検者実状態情報と前記被検者状態判定基準情報とを比較して前記被検者実状態が前記判定基準を超える生体状態の情報を抽出してこれを生体状態差異データとして前記情報記憶手段に登録し、
適切判定手段が、前記差異情報抽出手段の登録する前記使用品差異データおよび前記生体状態差異データを含む前記差異情報の登録がない場合に、前記実施した特定の医療検査が適切に行われたと判定する医療検査支援システム。
【0007】
この医療検査支援システムによれば、差異情報が、使用品差異データと生体状態差異データを含み、これらデータの登録の有無に基づいて医療検査が適切であったかが判定される。
【0008】
(3) (2)記載の医療検査支援システムであって、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報が、それぞれ使用品名と該使用品に対する使用数量の情報を含み、
前記情報比較手段が、前記実使用品情報と前記適切使用品情報との間で、前記使用品名と該使用品に対する数量の少なくともいずれかに差異が認められた場合に、差異の認められた使用品に対するデータを使用品差異データとして前記情報記憶手段へ登録する医療検査支援システム。
【0009】
この医療検査支援システムによれば、使用品名と該使用品に対する数量の少なくともいずれかに差異が認められた場合に、その差異情報を使用品差異データとして情報記憶手段に登録される。
【0010】
(4) (2)または(3)記載の医療検査支援システムであって、
前記使用品差異データまたは前記生体状態差異データの前記情報記憶手段への登録があった場合に、登録のあった前記差異データに対して差異の生じた理由を前記情報記憶手段へ登録する差異理由追記手段を備え、
前記適切判定手段が、前記差異理由追記手段により理由の登録のあった差異データに対しては、前記差異情報から除外する医療検査支援システム。
【0011】
この医療検査支援システムによれば、差異情報が存在しても、その差異の生じた理由が登録された場合に差異情報から除外されるため、その差異情報はなかったものとみなされる。従って、その差異情報によって医療検査が適切でなかったと判定されることはない。
【0012】
(5) (1)〜(4)のいずれか1項記載の医療検査支援システムであって、
前記情報記憶手段が、被検者の疾患や症状を表す被検者病状情報と、該被検者病状情報に対する前記医療器材や前記薬剤の禁忌組合せ情報と、その禁忌を回避した代替え組合せ情報と、を記憶し、
前記禁忌組合せ情報と前記代替え組合せ情報に基づいて、前記適切使用品情報の中に前記被検者病状情報との禁忌組合せがあった場合に、これを前記代替え組合せに変更する禁忌組合せ回避手段を備えた医療検査支援システム。
【0013】
この医療検査支援システムによれば、禁被検者病状情報を参照して医療器材や薬剤の組合せが発見された場合、この禁忌組合せを代替え組合せに変更することができる。
【0014】
(6) (1)〜(5)のいずれか1項記載の医療検査支援システムであって、
前記情報記憶手段が、複数種の医療検査に応じた前記適切使用品情報および前記被検者状態判定基準情報をそれぞれ記憶し、
前記差異情報抽出手段が、被検者に実施した医療検査に対応する適切使用品情報および前記被検者状態判定基準情報を選択的に用いる医療検査支援システム。
【0015】
この医療検査支援システムによれば、複数種の医療検査のそれぞれに対して、個別の適切使用品情報および前記被検者状態判定基準情報を用いることで、汎用性を高めることができる。
【0016】
(7) (1)〜(6)のいずれか1項記載の医療検査支援システムであって、
前記適切判定手段が前記実施した特定の医療検査が適切であったと判定した場合に検査証明書を作成する検査証明書作成手段を備えた医療検査支援システム。
【0017】
この医療検査支援システムによれば、検査証明書が作成されることで、医療検査が適切になされたことの証明が可能となる。
【0018】
(8) (7)記載の医療検査支援システムであって、
前記検査証明書が、前記特定の医療検査に対する前記実使用品情報および前記被検者実状態情報を少なくとも含んでいる医療検査支援システム。
【0019】
この医療検査支援システムによれば、検査証明書に実使用品情報と被検者実状態情報が含まれることで、適切に医療検査が行われたことの具体的根拠が明示され、医療検査の信頼性を高めることができる。
【0020】
(9) (7)または(8)記載の医療検査支援システムであって、
前記情報記憶手段が、前記特定の医療検査後の被検者に対する検査後留意情報を記憶し、
前記検査証明書が前記検査後留意情報を含んでいる医療検査支援システム。
【0021】
この医療検査支援システムによれば、検査証明書に検査後留意情報が含まれることにより、例えば、検査後の被検者に対する留意事項、例えば飲み薬等の処方された薬剤を服用するタイミングや、生活上の制限事項の情報を被検者や被検者の家族等に知らせることができる。
【0022】
(10) (7)〜(9)のいずれか1項記載の医療検査支援システムであって、
前記検査証明書を印刷する印刷出力手段を備えた医療検査支援システム。
【0023】
この医療検査支援システムによれば、検査証明書を印刷することで、表示媒体を要しない印刷物上で簡単に確認することができる。
【0024】
(11) (1)〜(10)のいずれか1項記載の医療検査支援システムであって、
前記差異情報を、前記情報記憶手段に記憶されたいずれかの情報と併せてモニタ画面に表示する表示手段を備えた医療検査支援システム。
【0025】
この医療検査支援システムによれば、差異情報や他の情報をモニタ画面に表示することにより、一般的な適切な医療検査の内容と何が違うのかを迅速に、かつ正確に把握することができる。
【0026】
(12) 被検者に実施した医療検査が適切に行われたかを判定する医療検査支援方法であって、
医療検査に使用する規定の医療器材の情報および前記医療検査に先立ち実施される前処置に使用する規定の医療器材と薬剤の情報を示す適切使用品情報、および前記医療検査の実施後に被検者の生体状態が正常であるかを判断するための判定基準を示す被検者状態判定基準情報を予め定めておき、
被検者に特定の医療検査を実施した際に使用した医療器材の情報および前記前処置で使用した医療器材と薬剤の情報を示す実使用品情報、および前記特定の医療検査実施後の被検者の生体状態を示す被検者実状態情報を入力し、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報とを比較するとともに、前記被検者実状態情報と前記被検者状態判定基準情報とを比較して、それぞれの差異情報を抽出し、
抽出した前記差異情報に基づいて前記実施した特定の医療検査が適切に行われたかを判定する医療検査支援方法。
【0027】
(13) (12)記載の医療検査支援方法であって、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報とを比較して差異のある医療器材や薬剤の情報を抽出してこれを使用品差異データとして登録するとともに、前記被検者実状態情報と前記被検者状態判定基準情報とを比較して前記被検者実状態が前記判定基準を超える生体状態の情報を抽出してこれを生体状態差異データとして登録し、
前記使用品差異データおよび前記生体状態差異データを含む前記差異情報の登録がない場合に、前記実施した特定の医療検査が適切に行われたと判定する医療検査支援方法。
【0028】
(14) (13)記載の医療検査支援方法であって、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報が、それぞれ使用品名と該使用品に対する使用数量の情報を含み、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報との間で、前記使用品名と該使用品に対する数量の少なくともいずれかに差異が認められた場合に、差異の認められた使用品に対するデータを使用品差異データとして登録する医療検査支援方法。
【0029】
(15) (13)または(14)記載の医療検査支援方法であって、
前記使用品差異データまたは前記生体状態差異データを登録したときに、登録した前記差異データに対して差異の生じた理由を登録した場合には、この理由の登録のあった差異データに対しては、前記差異情報から除外する医療検査支援方法。
【0030】
(16) (12)〜(15)のいずれか1項記載の医療検査支援方法であって、
被検者の疾患や症状を表す被検者病状情報と、該被検者病状情報に対する前記医療器材や前記薬剤の禁忌組合せ情報と、その代替え組合せを含む禁忌情報と、に基づいて、
前記適切使用品情報の中に前記被検者病状情報との禁忌組合せがあった場合に、これを代替え組合せに変更する医療検査支援方法。
【0031】
(17) (12)〜(16)のいずれか1項記載の医療検査支援方法であって、
複数種の医療検査に応じて予め用意された前記適切使用品情報および前記被検者状態判定基準情報の中から、被検者に実施した医療検査に対応する適切使用品情報および前記被検者状態判定基準情報を選択的に用いる医療検査支援方法。
【0032】
(18) (12)〜(17)のいずれか1項記載の医療検査支援方法であって、
前記実施した特定の医療検査が適切であると判定した場合に検査証明書を作成する医療検査支援方法。
【0033】
(19) (18)記載の医療検査支援方法であって、
前記検査証明書に前記実施した特定の医療検査に対する前記実使用品情報および前記被検者実状態情報を少なくとも含ませる医療検査支援方法。
【0034】
(20) (18)または(19)記載の医療検査支援方法であって、
前記特定の医療検査後の被検者に対する検査後留意情報を、前記検査証明書に含ませる医療検査支援方法。
【0035】
(21) (18)〜(20)のいずれか1項記載の医療検査支援方法であって、
前記検査証明書を作成した後、該検査証明書を印刷出力する医療検査支援方法。
【0036】
(22) (12)〜(21)のいずれか1項記載の医療検査支援方法であって、
前記差異情報を、前記実使用品情報、前記被検者実状態情報に併せてモニタ画面に表示する医療検査支援方法。
【0037】
上記の医療検査支援方法によれば、医療検査における実使用品情報と被検者実状態情報とを規定の標準情報と比較することで、実施した医療検査が適切に行われていたかを判定することができる。
【0038】
(23) 被検者に実施した医療検査が適切に行われたかを判定する医療検査支援プログラムであって、
特定の医療検査に使用する規定の医療器材の情報および前記特定の医療検査に先立ち実施される前処置に使用する規定の医療器材と薬剤の情報を示す適切使用品情報、および前記特定の医療検査の実施後に被検者の生体状態が正常であるかを判断するための判定基準を示す被検者状態判定基準情報を予め定める情報設定ステップと、
被検者に前記特定の医療検査を実施した際に使用した医療器材の情報および前記前処置で使用した医療器材と薬剤の情報を示す実使用品情報、および前記特定の医療検査実施後の被検者の生体状態を示す被検者実状態情報を入力する入力ステップと、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報とを比較するとともに、前記被検者実状態情報と前記被検者状態判定基準情報とを比較して、それぞれの差異情報を抽出する抽出ステップと、
抽出した前記差異情報に基づいて前記実施した特定の医療検査が適切に行われたかを判定する判定ステップと、
をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【0039】
(24) (23)記載の医療検査支援プログラムであって、
前記抽出ステップが、前記実使用品情報と前記適切使用品情報とを比較して差異のある医療器材や薬剤の情報を抽出してこれを使用品差異データとして登録するとともに、前記被検者実状態情報と前記被検者状態判定基準情報とを比較して前記被検者実状態が前記判定基準を超える生体状態の情報を抽出してこれを生体状態差異データとして登録し、
前記判定ステップが、前記使用品差異データおよび前記生体状態差異データを含む前記差異情報の登録がない場合に、前記実施した特定の医療検査が適切に行われたと判定する医療検査支援プログラム。
【0040】
(25) (24)記載の医療検査支援プログラムであって、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報が、それぞれ使用品名と該使用品に対する使用数量の情報を含み、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報との間で、前記使用品名と該使用品に対する数量の少なくともいずれかに差異が認められた場合に、差異の認められた使用品に対するデータを使用品差異データとして登録する処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【0041】
(26) (24)または(25)記載の医療検査支援プログラムであって、
前記使用品差異データまたは前記生体状態差異データを登録したときに、登録した前記差異データに対して差異の生じた理由を登録した場合には、この理由の登録のあった差異データに対しては、前記差異情報から除外する処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
(27) (23)〜(26)のいずれか1項記載の医療検査支援プログラムであって、
【0042】
被検者の疾患や症状を表す被検者病状情報と、該被検者病状情報に対する前記医療器材や前記薬剤の禁忌組合せ情報、およびその禁忌を回避した代替え組合せ情報と、に基づいて、
前記適切使用品情報の中に前記被検者病状情報との禁忌組合せがあった場合に、これを前記代替え組合せに変更する処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【0043】
(28) (23)〜(27)のいずれか1項記載の医療検査支援プログラムであって、
複数種の医療検査に応じて予め用意された前記適切使用品情報および前記被検者状態判定基準情報の中から、被検者に実施した医療検査に対応する適切使用品情報および前記被検者状態判定基準情報を選択的に用いる処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【0044】
(29) (23)〜(28)のいずれか1項記載の医療検査支援プログラムであって、
前記実施した特定の医療検査が適切であると判定した場合に検査証明書の作成処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【0045】
(30) (29)記載の医療検査支援プログラムであって、
前記検査証明書に前記実施した特定の医療検査に対する前記実使用品情報および前記被検者実状態情報を少なくとも含ませる処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【0046】
(31) (29)または(30)記載の医療検査支援プログラムであって、
前記特定の医療検査後の被検者に対する検査後留意情報を、前記検査証明書に含ませる処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【0047】
(32) (29)〜(31)のいずれか1項記載の医療検査支援プログラムであって、
前記検査証明書を作成した後、該検査証明書を印刷出力する処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【0048】
(33) (23)〜(32)のいずれか1項記載の医療検査支援プログラムであって、
前記差異情報を、前記実使用品情報、前記被検者実状態情報に併せてモニタ画面に表示する処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【0049】
上記の医療検査支援プログラムによれば、医療検査における実使用品情報と被検者実状態情報とを規定の標準情報と比較して、実施した医療検査が適切に行われていたかを判定することを、コンピュータに支援させることができる。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、医療検査が適切に行われたことを、検査者および被検者が簡易かつ確実に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、医療検査支援システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態を説明するための医療検査支援システムの概略ブロック構成図である。
医療検査支援システム100は、被検者に実施した医療検査が適切に行われたかを判定するものであって、情報入力手段としての入力部11と、情報記憶手段としての記憶部13と、各部を統括して制御するとともに医療検査が適切に行われたかを判定する制御部15と、医療検査が適切に行われた場合に検査証明書17を出力する出力部19とを主要な構成要素として備えている。なお、ここでは内視鏡的検査を一例として説明するが、医療検査の種別はこれに限られることはない。
【0052】
入力部11は、被検者に内視鏡的検査等の特定の医療検査を実施した際に使用した内視鏡スコープ等の医療器材の情報およびその特定の医療検査に先立ち実施される前処置で使用した注射針等の医療器材と薬剤の情報を示す実使用品情報21、およびその特定の医療検査実施後の被検者の生体状態を示す被検者実状態情報23を入力する。
ここで、医療器材の情報とは、上記内視鏡スコープや注射針、カテーテル、ステント等の使用材料とその機種名や固有番号(内視鏡スコープなどのリユース品)、使用数量等の情報をいう。また、薬剤の情報とは、市販の薬剤名(製品名)あるいは成分名、使用数量等の情報をいう。ここでは、薬剤の情報として、通称である市販の薬剤名を用いることが好ましいが、この限りではない。
【0053】
記憶部13は、入力部11からの入力情報、および医療検査に使用する規定の医療器材および前処置に使用する規定の薬剤の情報を示す適切使用品情報25、ならびに医療検査の実施後に被検者の生体状態が正常であるかを判断するための判定基準を示す被検者状態判定基準情報27を記憶する。
【0054】
制御部15は、実使用品情報21と適切使用品情報25とを比較するとともに、被検者実状態情報23と被検者状態判定基準情報27とを比較して、それぞれの差異情報29を抽出する差異情報抽出手段と、差異情報29に基づいて実施した特定の医療検査が適切に行われたかを判定する適切判定手段として機能する。差異情報29とは、医療検査の前後における所定事項の実施の有無、実施内容の差異、医療検査前後の生体状態の差異、およびその差異の生じた理由等の情報を意味する。
【0055】
図2に図1の医療検査支援システムをCPUを用いて実現した場合のハードウェア構成図を示した。
同図において、CPU31には、メモリ33、表示手段であるディスプレイ35、情報入力手段であるキーボード(他にもマウス、一次元・二次元コードリーダ、無線通信入力器等の入力器具を含む)37、印刷出力手段であるプリンタ39、ハードディスク41、CD−ROMドライブ等のメディアドライブ装置45が接続されている。また、これら各要素はネットワークインターフェース43を介してネットワークにされていてもよい。
【0056】
ハードディスク41には、オペレーティングシステム(OS)47をはじめ、以下に説明する医療検査支援方法をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム49、およびこれに用いられるデータベース51が記憶されている。医療検査支援プログラム49、データベース51の少なくとも一部は、例えばメディアドライブ装置45により、記録媒体53を介してインストールされる。勿論、ネットワークを介してインストールされていてもよい。
【0057】
ディスプレイ35には、キーボード37からの入力情報や、メモリ33、ハードディスク41、メディアドライブ装置45の記憶情報、さらにはネットワークからの各種入力情報等を表示可能となっている。
【0058】
ここで、本医療検査支援システム100による支援方法の概略について図3を参照して簡単に説明する。
図3は医療検査支援システムによる医療検査の判定方法を説明するための各種情報を示したブロック図である。
まず、入力情報として、実使用品情報21は、被検者に特定の医療検査を実施した際に使用した医療器材の情報であり、被検者が実際に使用した内視鏡スコープの機種や固有番号、使用した内視鏡の洗浄日時等がある。また、特定の医療検査に先立ち実施した前処置において、実際に使用した医療器材と薬剤の情報、例えば、被検者に内視鏡を挿入する前に予め麻酔薬や鎮痙薬を投与するための注射針や各種薬剤名とその使用数量等がある。これらの実使用品情報21は、被検者の医療検査実施後に入力される。
【0059】
一方、ハードディスク41(図2参照)に記憶されたデータベース51には、各種の医療検査に使用する規定の医療器材およびそれらの前処置に使用する規定の医療器材と薬剤の情報を示す適切使用品情報25が含まれている。規定の医療器材とは、その医療検査に通常使用される標準的な医療器材であり、規定の薬剤とは前処理で通常使用される標準的な薬剤である。これら規定の医用器材と薬剤に対する適切使用品名と適切使用数量のデータが適切使用品情報25に含まれている。この適切使用品情報25と、実際に医療検査で使用した実使用品情報21とを比較して、相互に異なる医療器材や薬剤の有無を確認する。具体的には、実使用品情報21と適切使用品情報25とを比較して差異のある医療器材や薬剤の情報を抽出してこれを使用品差異データ61とする。
【0060】
ところで、使用品差異データ61が存在するということは、実施した医療検査が通常実施される医療検査での使用品と異なっていたことを意味する。しかし、被検者の病状等によっては、通常使用される使用品が禁忌品に相当する場合があり、そのような禁忌組合せがあった場合には、禁忌組合せとならない代替え組合せに変更している。このような場合には、差異があっても、これにより適切でないとする判断は過ちとなる。そのため、差異のあった使用品差異データ61に対して、その差異理由63を登録し、この理由の登録のあった使用品差異データ61に対しては、差異情報29から除外する。差異情報29から除外することは、詳細は後述するが、そのデータに対しては差異がなかったものと見なされる。
【0061】
次に、入力情報として、被検者実状態情報23は、内視鏡的検査等の医療検査後の被検者の意識状態、運動生理状態、視聴覚状態などの生体状態の情報であり、例えば、ふらつきがあったり、問いかけに応答できたか等の情報である。これらの被検者実状態情報23は、被検者の医療検査実施後に入力される。
【0062】
一方、ハードディスク41(図2参照)に記憶されたデータベース51には、各種の医療検査の実施後に被検者の生体状態が正常であるかを判断するための判定基準を示す被検者状態判定基準情報27が含まれている。正常であるかの判定基準とは、その医療検査の実施後に被検者が正常な状態であるか否かを判定するための判定基準である。つまり、前処置や医療検査を実施した看護師や医師等が被検者の様子を診て、この判定基準に従って判断するためのデータである。これら判定基準のデータが、被検者状態判定基準情報27に含まれている。この被検者状態判定基準情報27と被検者実状態情報23とを比較して、相互に異なる生体状態があったかを確認する。具体的には、被検者実状態情報23と被検者状態判定基準情報27とを比較して、被検者実状態が判定基準を超える生体状態の情報が存在した場合、これを抽出して生体状態差異データ65とする。
【0063】
この場合も、生体状態差異データ65が存在するということは、実施した医療検査が通常実施される医療検査後の症状と異なっていたことを意味する。しかし、被検者の症状に応じて適切な処置がなされて、被検者が回復した場合には、差異があっても、これにより適切でないとする判断は過ちとなる。そのため、差異のあった生体状態差異データ65に対して、その差異理由67を登録することで、理由の登録のあった生体状態差異データ65に対しては、差異情報29から除外する。
【0064】
差異情報29において、上記の使用品差異データ61および生体状態差異データ65の登録がない場合に、制御部15(図1参照)は、実施した特定の医療検査が適切に行われたと判定する。ここで、制御部15は、差異情報抽出手段および適切判定手段として機能しており、さらに、差異情報29があった場合には、その差異理由63,67をデータベース51に登録する差異理由追記手段としても機能する。
【0065】
そして、制御部15は、医療検査が適切であると判定した場合に、実使用品情報21と被検者実状態情報23を少なくとも含む検査証明書を発行する。
【0066】
以上の医療検査支援方法によれば、実施した医療検査が適切な使用品を用いて実施されたことが分かり、実施した医療検査後の生体状態が正常であったことが分かる。そして、上記の医療検査は、1種類の医療検査に限らず、複数種の医療検査に応じて、それぞれ適切使用品情報25および被検者状態判定基準情報27を予め用意しておけば、これらの情報と、実使用品情報21および被検者実状態情報23とを比較することで、同様にして医療検査が適切に行われたかを判定することができる。これにより、医療検査支援システムの汎用性を高めることができる。
【0067】
次に、上記の医療検査支援方法を、より具体的な事例に基づいて詳細に説明する。
図4に医療検査支援方法による検査証明書作成までの手順を示した。
まず、使用した医療器材・薬剤の実使用品情報を取得する(S11)。図5に実使用品情報としての使用した医療器材の情報、図6に実使用品情報としての使用した薬剤の情報を示した。図5に示す医療器材の情報は、オーダーされた医療検査(1,2,・・・)に対してそれぞれグループ分けされており、ここでは、医療器材の情報として、医療検査の検査実施日、被検者名、検査種別、内視鏡等の検査機材の種類・洗浄履歴等の医療器材の使用情報、および、前処置で使用される注射針等の医療器材の情報等が含まれる。検査種別は、上部消化管内視鏡検査、下部消化管内視鏡検査等の検査種別である。また、使用した薬剤の情報として、上記検査実施日、被検者名、検査種別、使用薬剤の種類と量、等の情報が含まれる。これらの情報は、図2に示すキーボード37。ネットワークインターフェース43、メディアドライブ装置45、入力部11から入力されて、ハードディスク41のデータベース51やメモリ33等に記憶される。
【0068】
次に、適切使用品情報をメモリ33に取得する(S12)。図7に適切使用品情報としての医療検査に使用する規定の医療器材の情報、図8に適切使用品情報としての医療検査に使用する規定の薬剤の情報を示した。規定の医療器材の情報は、検査種別毎に、医療器材、使用数量等の情報が含まれる。また、規定の薬剤の情報は、検査種別毎に、前処置用薬剤種類、使用数量等の情報が含まれる。これらの適切使用品情報は、予め図2に示すデータベース51に登録されている。
【0069】
そして、実使用品情報と適切使用品情報が入力された後、これらの情報を比較する(S13)。ここでは、図6の実使用品情報(薬剤)と図8の適切使用品情報(薬剤)との間に差異があり(S14)、薬剤Cの標準使用量が2mlであるのに対して、実際に使用した薬剤Cの量が4mlとなっている。この場合には、使用品差異データ61(図3参照)がある旨の表示を行い、差異理由の選択・記載を行う(S15)。つまり、薬剤Cに差異があった旨をディスプレイ35(図2)に表示し、必要に応じてこの差異があったことの理由を入力する。理由の入力は、ディスプレイ35に表示される複数の表示から適切なものを選択的に指定する(例えばプルダウンメニューからの選定)ことや、キーボード37等により直接入力する等の方法がある。ここでの差異のあった情報を図9に例示した。同図によれば、薬剤Cが標準使用量より多く使用されたが、これは麻酔効果が弱いために増量したものと理由が記載されている。これらの情報は、ディスプレイ35に表示されて、その確認が容易にされている。つまり、一般的な適切な医療検査の内容と何が違うのかを迅速に、かつ正確に把握できるようになっている。
【0070】
上記のように実使用品情報と適切使用品情報に差異があっても理由が記載された場合、および差異がなかった場合は、次に、検査後の被検者の実状態情報を取得する(S16)。図10に検査後の被検者実状態情報を示した。実状態情報は、検査番号毎に被検者の意識状態、運動生理状態、視聴覚状態等が含まれる。ここでは、意識状態と視聴覚状態が正常であったが、運動生理状態に少しふらつきがあるとの結果となっている。
【0071】
続いて、被検者状態判定基準情報をメモリ33に取得する(S17)。被検者状態判定基準情報は、図11に示すように、検査種別毎に被検者の生体状態とその判定基準が規定されたデータであり、例えば上部消化管内視鏡検査においては、意識状態、運動生理状態、聴視覚状態がそれぞれ規定されている。意識状態としては、検査を実施した医師等からの問いかけに正常に応答できること、運動生理状態としては、検査前後で運動生理状態に大きな差がないこと、聴視覚状態として、検査前後で聴視覚状態に大きな差がないこと等が挙げられる。これらの被検者状態判定基準情報は、予め図2に示すデータベース51に登録されている。
【0072】
そして、検査後の被検者実状態情報と被検者状態判定基準情報とが入力された後、これらの情報を比較する(S18)。ここでは、図10と図11の運動生理状態が異なっており、検査後に少しふらつきが認められ、検査前後で運動生理状態に大きな差がない判定基準を満たしていない。この場合には、生体状態差異データ65(図3参照)がある旨の表示を行い、差異理由の選択・記載を行う(S20)。つまり、運動生理状態に差異があったことの理由を必要に応じて入力する。この場合の差異理由の入力は前述と同様に予め用意された複数種の理由の中から選択的に指定したり、直接入力により行う。ここでの差異のあった情報を図12に例示した。同図によれば、運動生理状態が判定基準と相違しているが、これについては、薬剤Cの使用量が多いので(通常2mlのところを4ml使用)、被検者の状態観察を継続する向け記載がされている。これらの情報は、ディスプレイ35に表示されて、その確認が容易にされている。つまり、一般的な適切な医療検査後の状態と何が違うのかを迅速に、かつ正確に把握できるようになっている。
【0073】
上記のように被検者実状態情報と被検者状態判定基準情報に差異があっても理由が記載された場合、および差異がなかった場合は、検査証明書を作成する(S21)。図13に検査証明書の一例を示した。
検査証明書は、被検者名、検査日、前処置担当者、検査医、検査種別の他、使用器材、使用スコープ機種、その固有番号と洗浄履歴、洗浄薬剤、洗浄状態、留置針、前処置薬剤、等の、実施した医療検査に対する実使用品情報および被検者実状態情報を少なくとも含んでいる。この検査証明書により、実施した医療検査の前後における所定事項の実施の有無、検査前後の差異とその理由等の情報から、医療検査が適切に行われたかを、簡易にしかも確実に認識することができる。検査証明書は、図2に示すプリンタ39により出力してもよいが、電子データとしてネットワークを介して配信したり、メディアドライブ装置45により記録媒体53に記録すること等、いずれの出力形態であってもよい。
【0074】
なお、上記の医療検査支援方法は、医療検査の実施後に、カルテ等の検査前の記録を遡って確認して検査証明書を発行する方法に限らず、任意のタイミングで実施することができる。例えば、医療検査を実施するにあたり、医療検査のための前処置を実施した後、医療検査行為を行おうとする前に検査可否判断を行うものであってもよい。その場合は、前処置における実使用品情報と適切使用品情報とを比較して、差異が認められたか、または差異があってもその理由の記載があったかを確認して、差異がない場合または差異がある場合でも理由が記載されている場合に、医療検査を実施して、他の場合には医療検査の実施を中止する。差異や理由の有無の確認は、メモリ33(図2参照)等を参照してCPU31が自動的に行ったり、例えばディスプレイ35に表示させることで医師や看護師等が判断したり、ネットワークを介して各情報を外部から確認したりすること等、任意の方法で行える。そして、医療検査を実施した後は、その結果情報を検査証明書に含ませて発行する。
【0075】
この場合の医療検査支援方法は、医療検査に前処置が必要となるときに、前処置に既に異常が生じていた場合、医療検査を確実に中止し、誤って不適切な医療検査を行われることをより確実に防止できる。
また、検査証明書を印刷することで、表示媒体を要しない印刷物上で簡単に確認することができる。
【0076】
次に、医療検査支援方法の他の例について説明する。
被検者の病歴や症状によっては、医療検査に禁忌組合せが生じることがある。ここでは、そのような禁忌情報を考慮して医療検査を実施可能にした例を説明する。
図14は、禁忌情報としての禁忌組合せ情報と代替え組合せ情報を示している。例えば、緑内障患者には、ブスコバン(日本ベーリンガーインゲルハイム製、主成分臭化ブチルスコポラミン)は、眼圧の上昇の虞から禁忌薬に指定されている。また、糖尿病患者にも同様に前記のブスコバンが禁忌薬として指定されている。そして、これらの代替え薬品として、例えばグルカゴンが指定されている。このように、同図に示す薬剤Dが各病歴のある患者に対しては禁忌薬となるので、それぞれを薬剤Eに代替えすることの情報が、検査種別毎、病歴毎に纏められている。
【0077】
被検者の病歴や症状の情報については、図示を省略するが、図3における入力情報の一つとして被検者病状情報を用意しておき、差異情報29を抽出する際に、検者病状情報と禁忌情報とに基づいて先述の適切使用品情報を必要に応じて書き換える。図15に禁忌情報を鑑みて適切使用品情報を書き換えた結果を示した。図15の禁忌情報を考慮した適切使用品情報と図8の適切使用品情報とを比較すると、薬剤Bから薬剤Eに変更され、使用量も変更されていることがわかる。
【0078】
図8に代えて図15の適切使用品情報を用いることで、被検者の病歴や症状に対する禁忌組合せが回避される医療検査を、より簡単にかつ確実に実施することができる。このように、本構成例では、制御部15が禁忌組合せ回避手段として機能して、より適切な医療検査の実現を可能にしている。
【0079】
以上説明した医療検査支援システム100によれば、医療検査の前後における所定事項の実施の有無、検査前後の差異とその理由等の情報から、医療検査が適切に行われたかを、簡易にしかも確実に認識することができる。また、検査証明書を発行することにより、実施した医療検査が適切に実施されたことを証明することができ、各種情報を簡単に確認することができる。その結果、医師や看護師のみならず、被検者やその家族等に対しても容易に実施内容とその結果を知らせることができ、医療検査の信頼性が向上する。
【0080】
また、検査証明書には、検査後の被検者に対する留意事項、例えば飲み薬等の処方された薬剤を服用するタイミングや、生活上の制限事項の情報を含ませることができる。その場合、図3に示すように検査後留意情報71をデータベース51に含ませておき、実施した医療検査に応じて適宜検査証明書の記載データとして取り込めばよい。これにより、検査証明書の被検者への利便性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施形態を説明するための医療検査支援システムの概略ブロック構成図である。
【図2】図1の医療検査支援システムをCPUを用いて実現した場合のハードウェア構成図である。
【図3】医療検査支援システムによる医療検査の判定方法を説明するための各種情報を示したブロック図である。
【図4】医療検査支援方法による検査証明書作成までの手順を示すフローチャートである。
【図5】実使用品情報としての使用した医療器材の情報を示す図である。
【図6】実使用品情報としての使用した薬剤の情報を示す図である。
【図7】適切使用品情報としての医療検査に使用する規定の医療器材の情報を示す図である。
【図8】適切使用品情報としての医療検査に使用する規定の薬剤の情報を示す図である。
【図9】実使用品情報と適切使用品情報との差異情報を示す図である。
【図10】検査後の被検者実状態情報を示す図である。
【図11】被検者状態判定基準情報を示す図である。
【図12】検査後の被検者実状態情報と被検者状態判定基準情報との差異情報を示す図である。
【図13】検査証明書の一例を示す図である。
【図14】禁忌情報としての禁忌組合せ情報と代替え組合せ情報を示す図である。
【図15】禁忌情報を鑑みて適切使用品情報を書き換えた結果を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
11 入力部
13 記憶部
15 制御部
17 検査証明書
19 出力部
21 実使用品情報
23 被検者実状態情報
25 適切使用品情報
27 被検者状態判定基準情報
29 差異情報
31 CPU
33 メモリ
35 ディスプレイ
37 キーボード
39 プリンタ
41 ハードディスク
43 メディアドライブ装置
45 ネットワークインターフェース
47 オペレーティングシステム
49 医療検査支援プログラム
51 データベース
53 記録媒体
61 使用品差異データ
63 差異理由
65 生体状態差異データ
67 差異理由
71 検査留意情報
100 医療検査支援システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に実施した医療検査が適切に行われたかを判定する医療検査支援システムであって、
被検者に特定の医療検査を実施した際に使用した医療器材の情報および前記特定の医療検査に先立ち実施される前処置で使用した医療器材と薬剤の情報を示す実使用品情報、および前記特定の医療検査実施後の被検者の生体状態を示す被検者実状態情報を入力する情報入力手段と、
該情報入力手段からの入力情報、および前記医療検査に使用する規定の医療器材および前記前処置に使用する規定の医療器材と薬剤の情報を示す適切使用品情報、ならびに前記医療検査の実施後に被検者の生体状態が正常であるかを判断するための判定基準を示す被検者状態判定基準情報を記憶する情報記憶手段と、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報とを比較するとともに、前記被検者実状態情報と前記被検者状態判定基準情報とを比較して、それぞれの差異情報を抽出する差異情報抽出手段と、
前記差異情報に基づいて前記実施した特定の医療検査が適切に行われたかを判定する適切判定手段と、
を備えた医療検査支援システム。
【請求項2】
請求項1記載の医療検査支援システムであって、
前記差異情報抽出手段が、前記実使用品情報と前記適切使用品情報とを比較して差異のある医療器材や薬剤の情報を抽出してこれを使用品差異データとして前記情報記憶手段に登録するとともに、前記被検者実状態情報と前記被検者状態判定基準情報とを比較して前記被検者実状態が前記判定基準を超える生体状態の情報を抽出してこれを生体状態差異データとして前記情報記憶手段に登録し、
適切判定手段が、前記差異情報抽出手段の登録する前記使用品差異データおよび前記生体状態差異データを含む前記差異情報の登録がない場合に、前記実施した特定の医療検査が適切に行われたと判定する医療検査支援システム。
【請求項3】
請求項2記載の医療検査支援システムであって、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報が、それぞれ使用品名と該使用品に対する使用数量の情報を含み、
前記情報比較手段が、前記実使用品情報と前記適切使用品情報との間で、前記使用品名と該使用品に対する数量の少なくともいずれかに差異が認められた場合に、差異の認められた使用品に対するデータを使用品差異データとして前記情報記憶手段へ登録する医療検査支援システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3記載の医療検査支援システムであって、
前記使用品差異データまたは前記生体状態差異データの前記情報記憶手段への登録があった場合に、登録のあった前記差異データに対して差異の生じた理由を前記情報記憶手段へ登録する差異理由追記手段を備え、
前記適切判定手段が、前記差異理由追記手段により理由の登録のあった差異データに対しては、前記差異情報から除外する医療検査支援システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の医療検査支援システムであって、
前記情報記憶手段が、被検者の疾患や症状を表す被検者病状情報と、該被検者病状情報に対する前記医療器材や前記薬剤の禁忌組合せ情報と、その禁忌を回避した代替え組合せ情報と、を記憶し、
前記禁忌組合せ情報と前記代替え組合せ情報に基づいて、前記適切使用品情報の中に前記被検者病状情報との禁忌組合せがあった場合に、これを前記代替え組合せに変更する禁忌組合せ回避手段を備えた医療検査支援システム。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の医療検査支援システムであって、
前記情報記憶手段が、複数種の医療検査に応じた前記適切使用品情報および前記被検者状態判定基準情報をそれぞれ記憶し、
前記差異情報抽出手段が、被検者に実施した医療検査に対応する適切使用品情報および前記被検者状態判定基準情報を選択的に用いる医療検査支援システム。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の医療検査支援システムであって、
前記適切判定手段が前記実施した特定の医療検査が適切であったと判定した場合に検査証明書を作成する検査証明書作成手段を備えた医療検査支援システム。
【請求項8】
請求項7記載の医療検査支援システムであって、
前記検査証明書が、前記特定の医療検査に対する前記実使用品情報および前記被検者実状態情報を少なくとも含んでいる医療検査支援システム。
【請求項9】
請求項7または請求項8記載の医療検査支援システムであって、
前記情報記憶手段が、前記特定の医療検査後の被検者に対する検査後留意情報を記憶し、
前記検査証明書が前記検査後留意情報を含んでいる医療検査支援システム。
【請求項10】
請求項7〜請求項9のいずれか1項記載の医療検査支援システムであって、
前記検査証明書を印刷する印刷出力手段を備えた医療検査支援システム。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれか1項記載の医療検査支援システムであって、
前記差異情報を、前記情報記憶手段に記憶されたいずれかの情報と併せてモニタ画面に表示する表示手段を備えた医療検査支援システム。
【請求項12】
被検者に実施した医療検査が適切に行われたかを判定する医療検査支援方法であって、
医療検査に使用する規定の医療器材の情報および前記医療検査に先立ち実施される前処置に使用する規定の医療器材と薬剤の情報を示す適切使用品情報、および前記医療検査の実施後に被検者の生体状態が正常であるかを判断するための判定基準を示す被検者状態判定基準情報を予め定めておき、
被検者に特定の医療検査を実施した際に使用した医療器材の情報および前記前処置で使用した医療器材と薬剤の情報を示す実使用品情報、および前記特定の医療検査実施後の被検者の生体状態を示す被検者実状態情報を入力し、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報とを比較するとともに、前記被検者実状態情報と前記被検者状態判定基準情報とを比較して、それぞれの差異情報を抽出し、
抽出した前記差異情報に基づいて前記実施した特定の医療検査が適切に行われたかを判定する医療検査支援方法。
【請求項13】
請求項12記載の医療検査支援方法であって、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報とを比較して差異のある医療器材や薬剤の情報を抽出してこれを使用品差異データとして登録するとともに、前記被検者実状態情報と前記被検者状態判定基準情報とを比較して前記被検者実状態が前記判定基準を超える生体状態の情報を抽出してこれを生体状態差異データとして登録し、
前記使用品差異データおよび前記生体状態差異データを含む前記差異情報の登録がない場合に、前記実施した特定の医療検査が適切に行われたと判定する医療検査支援方法。
【請求項14】
請求項13記載の医療検査支援方法であって、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報が、それぞれ使用品名と該使用品に対する使用数量の情報を含み、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報との間で、前記使用品名と該使用品に対する数量の少なくともいずれかに差異が認められた場合に、差異の認められた使用品に対するデータを使用品差異データとして登録する医療検査支援方法。
【請求項15】
請求項13または請求項14記載の医療検査支援方法であって、
前記使用品差異データまたは前記生体状態差異データを登録したときに、登録した前記差異データに対して差異の生じた理由を登録した場合には、この理由の登録のあった差異データに対しては、前記差異情報から除外する医療検査支援方法。
【請求項16】
請求項12〜請求項15のいずれか1項記載の医療検査支援方法であって、
被検者の疾患や症状を表す被検者病状情報と、該被検者病状情報に対する前記医療器材や前記薬剤の禁忌組合せ情報と、その代替え組合せを含む禁忌情報と、に基づいて、
前記適切使用品情報の中に前記被検者病状情報との禁忌組合せがあった場合に、これを代替え組合せに変更する医療検査支援方法。
【請求項17】
請求項12〜請求項16のいずれか1項記載の医療検査支援方法であって、
複数種の医療検査に応じて予め用意された前記適切使用品情報および前記被検者状態判定基準情報の中から、被検者に実施した医療検査に対応する適切使用品情報および前記被検者状態判定基準情報を選択的に用いる医療検査支援方法。
【請求項18】
請求項12〜請求項17のいずれか1項記載の医療検査支援方法であって、
前記実施した特定の医療検査が適切であると判定した場合に検査証明書を作成する医療検査支援方法。
【請求項19】
請求項18記載の医療検査支援方法であって、
前記検査証明書に前記実施した特定の医療検査に対する前記実使用品情報および前記被検者実状態情報を少なくとも含ませる医療検査支援方法。
【請求項20】
請求項18または請求項19記載の医療検査支援方法であって、
前記特定の医療検査後の被検者に対する検査後留意情報を、前記検査証明書に含ませる医療検査支援方法。
【請求項21】
請求項18〜請求項20のいずれか1項記載の医療検査支援方法であって、
前記検査証明書を作成した後、該検査証明書を印刷出力する医療検査支援方法。
【請求項22】
請求項12〜請求項21のいずれか1項記載の医療検査支援方法であって、
前記差異情報を、前記実使用品情報、前記被検者実状態情報に併せてモニタ画面に表示する医療検査支援方法。
【請求項23】
被検者に実施した医療検査が適切に行われたかを判定する医療検査支援プログラムであって、
特定の医療検査に使用する規定の医療器材の情報および前記特定の医療検査に先立ち実施される前処置に使用する規定の医療器材と薬剤の情報を示す適切使用品情報、および前記特定の医療検査の実施後に被検者の生体状態が正常であるかを判断するための判定基準を示す被検者状態判定基準情報を予め定める情報設定ステップと、
被検者に前記特定の医療検査を実施した際に使用した医療器材の情報および前記前処置で使用した医療器材と薬剤の情報を示す実使用品情報、および前記特定の医療検査実施後の被検者の生体状態を示す被検者実状態情報を入力する入力ステップと、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報とを比較するとともに、前記被検者実状態情報と前記被検者状態判定基準情報とを比較して、それぞれの差異情報を抽出する抽出ステップと、
抽出した前記差異情報に基づいて前記実施した特定の医療検査が適切に行われたかを判定する判定ステップと、
をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【請求項24】
請求項23記載の医療検査支援プログラムであって、
前記抽出ステップが、前記実使用品情報と前記適切使用品情報とを比較して差異のある医療器材や薬剤の情報を抽出してこれを使用品差異データとして登録するとともに、前記被検者実状態情報と前記被検者状態判定基準情報とを比較して前記被検者実状態が前記判定基準を超える生体状態の情報を抽出してこれを生体状態差異データとして登録し、
前記判定ステップが、前記使用品差異データおよび前記生体状態差異データを含む前記差異情報の登録がない場合に、前記実施した特定の医療検査が適切に行われたと判定する医療検査支援プログラム。
【請求項25】
請求項24記載の医療検査支援プログラムであって、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報が、それぞれ使用品名と該使用品に対する使用数量の情報を含み、
前記実使用品情報と前記適切使用品情報との間で、前記使用品名と該使用品に対する数量の少なくともいずれかに差異が認められた場合に、差異の認められた使用品に対するデータを使用品差異データとして登録する処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【請求項26】
請求項24または請求項25記載の医療検査支援プログラムであって、
前記使用品差異データまたは前記生体状態差異データを登録したときに、登録した前記差異データに対して差異の生じた理由を登録した場合には、この理由の登録のあった差異データに対しては、前記差異情報から除外する処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【請求項27】
請求項23〜請求項26のいずれか1項記載の医療検査支援プログラムであって、
被検者の疾患や症状を表す被検者病状情報と、該被検者病状情報に対する前記医療器材や前記薬剤の禁忌組合せ情報、およびその禁忌を回避した代替え組合せ情報と、に基づいて、
前記適切使用品情報の中に前記被検者病状情報との禁忌組合せがあった場合に、これを前記代替え組合せに変更する処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【請求項28】
請求項23〜請求項27のいずれか1項記載の医療検査支援プログラムであって、
複数種の医療検査に応じて予め用意された前記適切使用品情報および前記被検者状態判定基準情報の中から、被検者に実施した医療検査に対応する適切使用品情報および前記被検者状態判定基準情報を選択的に用いる処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【請求項29】
請求項23〜請求項28のいずれか1項記載の医療検査支援プログラムであって、
前記実施した特定の医療検査が適切であると判定した場合に検査証明書の作成処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【請求項30】
請求項29記載の医療検査支援プログラムであって、
前記検査証明書に前記実施した特定の医療検査に対する前記実使用品情報および前記被検者実状態情報を少なくとも含ませる処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【請求項31】
請求項29または請求項30記載の医療検査支援プログラムであって、
前記特定の医療検査後の被検者に対する検査後留意情報を、前記検査証明書に含ませる処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【請求項32】
請求項29〜請求項31のいずれか1項記載の医療検査支援プログラムであって、
前記検査証明書を作成した後、該検査証明書を印刷出力する処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。
【請求項33】
請求項23〜請求項32のいずれか1項記載の医療検査支援プログラムであって、
前記差異情報を、前記実使用品情報、前記被検者実状態情報に併せてモニタ画面に表示する処理をコンピュータに実行させる医療検査支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−88721(P2010−88721A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262799(P2008−262799)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】