医療点滴静脈注射装置
【課題】 静脈への刺入は一箇所で、2種類の薬液が相互に接触しないで独立専用のラインを経由して静脈まで流通し、かつ2種類の薬液を同時または交互に点滴できる単針型の医療点滴用血管穿刺具10を提供すること。
【解決手段】外管穿刺針20と合流管30と調節管40とを連結してなる構成体内に薬液注入用カニューレを装着し、該薬液注入用カニューレの先端を外管穿刺針20の先端部から突出させて構成する。
【解決手段】外管穿刺針20と合流管30と調節管40とを連結してなる構成体内に薬液注入用カニューレを装着し、該薬液注入用カニューレの先端を外管穿刺針20の先端部から突出させて構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液・輸血において薬液あるいは血液等を人体の血管へ注入するための医療点滴静脈注射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療点滴静脈注射(以下点滴という)装置はバック等に充填した薬液を患者の静脈に刺入した注射針から静脈へ注入するためのものである。バックと注射針は専用チューブで繋がれ点滴ラインが形成される。点滴ラインの途中には薬液が滴下されるチャンバーがあり、ここで薬液中の微小な気泡が除去されると共に時間当たりの注入量を測ることができる。
輸液の薬液としては、生理食塩水、ブドウ糖、ニューキノロン系抗菌製剤、塩酸アヘンアルカロイド、その他電解質溶液、水等があり、また、輸血では血液、輸血製剤等がある。
【0003】
一般的な点滴は一つの点滴ライン(第1の点滴ライン)で一つの薬液の注入が行われる。しかし、この第1の点滴ラインとは別途に第2の点滴ライン点滴ラインを設けて他の薬液例えばプロスタクランジン(生理活性物質)、抗トロンビン製剤(凝血防止)、その他補助的薬剤の点滴または輸血が必要とされる場合があり、第1の点滴ラインの点滴と平行させ、あるいは交互に第2の点滴を行うことがある。この場合は患者の静脈の2箇所に注射針を刺入することになり、患者にとって大きな負担となっていた。これを解消するために、患者の静脈の1箇所に1本の注射針を穿刺し、該注射針に第1の点滴ラインと第2の点滴ラインの薬液が同時にまたは選択的に流通できるようにした単針型の点滴装置が、特開平8−336601号や特開昭61−11055号等で提供されている。
【0004】
図13は特開平8−336601号の点滴装置の概要を示している。該図13において、第1の薬液バック1に保存されている第1の点滴薬液M1は薬液バック1の下側に配置された第1の滴下チャンバー2に滴下し、該滴下チャンバー2から第1のチューブ3、Y字管4、共用チューブ5を経由して注射針6に送流されるようになっている。
一方、第2の薬液バック7に保存されている第2の点滴薬液M2は薬液バック7の下側に配置された第2の滴下チャンバー8に滴下し、該滴下チャンバー8から第2のチューブ9、Y字管4、共通チューブ5を経由して注射針6に送流されるようになっている。
従ってこの従来例では、Y字管4、共用チューブ5および注射針6には第1の薬液M1と第2の薬液M2が流通する。つまり、第1の点滴薬液M1と第2の点滴薬液M2とを同時に通流させた場合にはY字管4において両薬液は混合され、注射針6から患者の静脈へ注入できる。よって注射針6の1箇所のみの刺入で2種の薬液を同時または交互に点滴することが可能となる。
【0005】
また特開昭61−11055号の発明は特開平8−336601号の図13中のY字管4をセレクタバルブに置き換えたものに相当する。つまりセレクタバルブには第1の点滴薬液M1と第2の点滴薬液M2とが自動かつ選択的に流入し、出口側に接続されたラインの末端に配置された1本の注射針から上記特開平8−336601号と同様に患者の静脈へ注入できる。
【特許文献1】特開平8−336601号
【特許文献2】特開昭61−11055号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開平8−336601号の従来例ではY字管4から注射針6までのラインには第1の薬液M1と第2の薬液M2が流通し、両薬液が接触し混合するので、特にY字管4内に薬液の析出物が発生し付着し易い。Y字管4内に析出物が付着すると、薬液の流量調節が困難になる問題があった。加えて、Y字管4では薬液M1と薬液M2との合流で液圧や流量が相互に影響し、これによっても両薬液M1,M2の流量調節が困難となり易く、その対策を施さなければならない問題もあった。
【0007】
なお、第1の薬液M1と第2の薬液M2を交互に切り替えて一方のみの薬液を点滴する場合であっても、切り替える前の薬液が共通ラインに一部残留するため切り替えた後の薬液が残留する薬液を押し出す状態となり、そこで上記と同様に両薬液の混合が行われ上記と同様の析出物が発生し付着する問題があった。この問題は特開昭61−11055号の装置においても同様に発生する虞がある。
この発明の目的は、上記の従来の問題を解消するもので、1本の注射針を静脈の一箇所に穿刺し、2種の薬液が静脈へ注入するまでの間、相互に接触かつ混合することなく安定に点滴できる単針型の点滴装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の目的を達成するために提供するもので、請求項1の発明は、先端部が先鋭の管状体でなる留置針本体と、管状体でなり一方端部が上記留置針本体と着脱可能で側部に流入ノズルを設けた合流管と、先端が先細りのチューブ体でなる薬液注入用カニューレとを有し、上記留置針本体と上記合流管とを連結してなる連結体の内部に上記薬液注入用カニューレを挿入し、該薬液注入用カニューレの先端部を上記留置針本体の先端から突出させ、上記連結体に2流通路が形成可能に構成し、請求項2の発明は、先端部が先鋭の管状体でなる留置針本体と、管状体でなり一方端部が上記留置針本体と着脱可能で側部に流入ノズルを設けた合流管と、管状体でなり一方端部が上記合流管の他端部と着脱可能なガイド管と、先端が先細りのチューブ体でなる薬液注入用カニューレとを有し、上記留置針本体と上記合流管と上記ガイド管を連結してなる連結体の内部に上記薬液注入用カニューレを挿入し、該薬液注入用カニューレの先端部を上記留置針本体の先端から突出させ、上記留置針本体と上記合流管との連結部体に2流通路が形成可能に構成し、請求項3の発明は、上記請求項1または2の発明において、上記留置針本体の先端部に薬液吐出口を形成し、請求項4の発明は、上記請求項1ないし3の発明において、上記留置針本体を、内部に挿入した穿刺針の先端部が上記留置針本体の先端から突出可能に構成し、請求項5の発明は、上記薬液注入用カニューレを、内部に挿入した長穿刺針の先端部が上記薬液注入用カニューレの先端から突出可能に構成したことである。
【発明の効果】
【0009】
本発明点滴装置は患者の静脈の一箇所のみの刺入で、2種の薬液を同時または交互に点滴することが可能であるため患者への負担を軽減することができ、かつ、2種の薬液はそれぞれが独立専用の流通路を流通して静脈に達するので、静脈に到達するまでの間に2種の薬液が接触することは全くなく、2種の薬液の混合による析出物の発生を防止できる効果がある。また、請求項2の発明では構成要素の一部にガイド管を付設したので、注射装置のセッティングにおける薬液注入用カニューレの組み付け操作が容易となる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の点滴装置10の主要部を示し、該点滴装置10は、図1中の符号20,30,40,50で示す各構成要素からなる。すなわち、20は留置針、30は合流管、40はガイド管、50は薬液注入用カニューレである。図2ないし図5は点滴装置10を各構成要素に分離した状態を示し、図2は留置針20、図3は合流管30、図4はガイド管40、図5は薬液注入用カニューレ50で、各構成要素の詳細を示している。以下に上記各構成要素を詳細に説明する。
【0011】
図2において留置針20は管状体の留置針本体21と該留置針本体21内に挿入した穿刺針25とでなる。留置針本体21の先端部(図において左端部)は先細り針状の穿刺部22に形成する。23は穿刺部22の側面に複数穿孔してなる吐出口である。留置針本体21の基端部(図において右端部)には径方向を拡張してなる連結部24を設け、その外周面にネジ部241を形成する。242は連結部24の形成に伴って形成された段部であり、また、連結部24の内側にも段部242に相応するように段部243が形成される。なお、留置針本体21の長手方向の標準的な全長Lは40mm〜50mm、穿刺部22先端の標準的な内径は22G(0.7176mm)〜19G(1.067mm)である。
【0012】
穿刺針25は主要部が金属等の硬質材質の細い管体でなり、先端部(図において左端部)251を先鋭に形成し、他端部(図において右端部)は固定部材26に一体に取り付ける。そして穿刺針25を留置針本体21内にセットしたとき、図2に示すようにその先端部251が留置針本体21の穿刺部22から所定長さ突出するように構成する。なお、図2においては穿刺針25が留置針本体21内にセットされた状態を示したが、図1のように留置針本体21が他の構成体と組み合わされたときは留置針本体21から外される。
【0013】
図3において、合流管30は全体を管体で形成し、その長手方向の略中央に薬液流入用の流入ノズル31を形成し、該流入ノズル31の端部にチューブ連結部311を形成する。合流管30の一方端部(図において左端部)は連結部32に形成し、該連結部32が上記留置針20の連結部24の内側に液密に装着して連結できるように構成する。すなわち、連結部32には回転可能なカプラ33を嵌合させて取り付ける。該カプラ33は、全体がリング状で内周面に上記留置針本体21のネジ部241とネジ結合可能なネジ部331を形成する。332はカプラ33の端部に形成した突起でカプラ33が図において左方向に移動したときストッパ321に引っ掛かり、その移動を規制する。
【0014】
34は合流管30の他端部側(図において右端部側)に形成した連結部で外周部にネジ部341を形成し、末端部を逆止弁取付部342に形成する。
35は逆止弁で、全体が短くかつ径に段差がある管体でなり、径が太い部分36の内側に逆止弁本体37を張って取り付ける。逆止弁本体37はシリコンゴム等の弾性シートでなり、中心部に後述の長穿刺針55を刺し通したときに挿通孔371が形成される。逆止弁35の径が細い部分は取付部38とし、合流管30の逆止弁取付部342内に嵌合し、逆止弁35が合流管30の連結部34にセットできるように形成する。合流管30の長手方向の標準的な全長は40mm〜50mmである。
【0015】
図4において、ガイド管40は全体を所定の長さの管体で形成し、一方端部(図において左端部)に連結部41を設け、その内側に上記合流管30の連結用ネジ部341とネジ結合可能なネジ部411を形成する。ガイド管40の他方端部(図において右端部)には連結部42を設け、その外側面にネジ部421を、内側面にネジ部422を形成する。ガイド管40の長手方向の標準的な全長は30mm〜40mmである。
【0016】
図5Aにおいて、薬液注入用カニューレ50は、主要部が塩化ビニル等の柔軟なチューブで形成し、先端部(図5Aにおいて左端部)はシリコンゴム等の柔軟でかつ先鋭の穿刺部51に形成し、他端部(図5Aにおいて右端部)は径方向を拡張してなる基部52に形成する。該基部52の外周面には上記ガイド管40のネジ部422とネジ結合可能なネジ部521を形成する。薬液注入用カニューレ50の長手方向の標準的な全長は120mm〜160mm、穿刺部51先端の標準的な内径は24G(0.5652mm)〜22G(0.7176mm)である。
【0017】
なお、薬液注入用カニューレ50が単品で保存されているときは、図5Bに示すように内部に長穿刺針55が装着されている。該長穿刺針55は金属等の硬質の管体でなり、先端部(図において左端部)56を先鋭に形成し、他端部(図において右端部)を基体57に一体に固定する。なお、長穿刺針55を薬液注入用カニューレ50内に装着したとき、先端部5が穿刺部51の先端から所定長さ突出する用に構成する。
【0018】
次に本発明の点滴装置10の使用方法について説明する。始めに、点滴装置10を患者の静脈へ取付ける方法から説明する。まず、図2に示すように留置針本体21内に穿刺針25がセットされている留置針20を図6に示すように静脈90へ穿刺する。すなわち穿刺針25先端部251から静脈へ穿刺し、穿刺部22の吐出口23が静脈内に埋没するまで差し入れる。その後、穿刺針25を留置針本体21から抜き取る。これにより留置針本体21は穿刺部22が静脈内に穿刺した状態で留置される(図7参照)。
【0019】
次に静脈90に留置した留置針20の連結部24に合流管30の連結部32を連結し、留置針本体21と合流管30とを内部連通に接続する。すなわち、合流管30の連結部32を留置針本体21の連結部24の内側に挿入し、カプラ33を留置針本体21のネジ部241にネジ留めする。これにより、カプラ33の突起332がストッパ321に引っ掛かり、連結部32が留置針本体21の連結部24内に押し込まれ連結される(図8参照)。
次に、上記合流管30の連結部34にガイド管30の連結部41を連結して合流管30とガイド管40とを内部連通に接続する。この場合の連結は上記留置針20の連結部24と合流管30の連結部32との連結方法と同様に行う。以上により留置針本体21と合流管30およびガイド管30は直列状に連結した連結体10aを形成する(図9参照)。
【0020】
次に、内部に長穿刺針55がセットされている薬液注入用カニューレ50を上記連結体10a内に対しガイド管40の連結部42側から先ずガイド管40内に挿入し、そのまま挿入を続けて合流管30内に挿入する。合流管30内においては逆止弁本体37の中心部に薬液注入用カニューレ50を挿通させる。この挿通により前記した挿通孔371が形成される。そしてさらに薬液注入用カニューレ50を押し進めて留置針本体21へ挿通し、長穿刺針55の先端部56を留置針本体21の先端(穿刺部22)から突出させ静脈90へ刺入する。これに伴って薬液注入用カニューレ50の穿刺部51も留置針本体21の先端(穿刺部22)から突出し静脈90へ刺入すると共に基部52をガイド管40の連結部42内に装着する。その後長穿刺針55を薬液注入用カニューレ50から抜き取る(図5A,図10参照)。
【0021】
なお、ガイド管40は上記の薬液注入用カニューレ50を上記連結体10a内に挿通させる際のガイドとなりその操作がし易くなる。特に逆止弁本体37の中心に薬液注入用カニューレ50を挿通させる際その効果が発揮する。以上により構成した本発明点滴装置10は2重管構造を形成し、内部に独立専用の2流通路が形成されることになる。すなわち、一つは薬液注入用カニューレ50自体の内部通路であり、他の一つは薬液注入用カニューレ50の外面と、留置針20および合流管30の内面との間の間隙通路である。該間隙通路の入口は合流管30の流入ノズル31で、出口は留置針本体21の留置針本体21の先端部と吐出口23である。
【0022】
次に点滴回路の形成方法について図11により説明する。なお、図13に示した従来技術と共通するものは同じ符号を用いて以下説明する。図11において1は第1の薬液M1を充填した第1の薬液バック、2は第1の薬液バック1の下側に配置した第1の滴下チャンバーで、第1の薬液バック1内の第1の薬液M1が滴下して流入するようになっている。3は滴下チャンバー2の下側に取り付けた第1のチューブで末端部は合流管30の流入ノズル31のチューブ連結部311に連結する。その連結手段は任意であるが、例えば、第1のチューブ3の末端に設けてあるカプラ3aをチューブ連結部311に嵌合すればよい。
【0023】
7は第2の薬液M2を充填した第2の薬液バック、8は上記と同様に第2の薬液バック7の下側に配置した第2の滴下チャンバーで、第2の薬液バック2内の第2の薬液M2が滴下して流入するようになっている。9は滴下チャンバー8の下側に取り付けた第2のチューブで末端部は薬液注入用カニューレ50の基部52に連結する。この連結手段も任意であるが、例えば、第2のチューブ9の末端に設けてあるカプラ9aをガイド管40の連結部42に嵌合すればよい。なお、第1のチューブ3および第2のチューブ9には、チューブ内の薬液の流通路の開閉や流量の調節するペアン挟み部やコントローラ等が付設(図示せず)してある。
【0024】
第1の薬液M1の点滴を開始するには、第1の滴下チャンバー2および第1のチューブ3等を流通状態にする。これにより、第1の薬液M1は第1のバック1から第1の滴下チャンバー2、第1のチューブ3、合流管30の流入ノズル31を経由して合流管30内へ流入し、さらに合流管30から留置針20へ流通し留置針20の先端26および薬液吐出口25から静脈へ注入する。なお、合流管30および留置針20内では第1の薬液M1は上記した間隙通路を流通する。
他方、第2の薬液M2の点滴を開始するには、第2の滴下チャンバー8および第2のチューブ9等を流通状態にする。これにより第2の薬液M2は第2のバック7から第2の滴下チャンバー8、第2のチューブ9、薬液注入用カニューレ50の基部52から薬液注入用カニューレ50内へ流入し、穿刺部51先端から静脈へ注入する。
【0025】
従って第1の薬液M1が合流管30から留置針20への流通の有無に関係なく、第2の薬液M2は薬液注入用カニューレ50の専用流路を流通するので静脈90へ達するまでの間に第1の薬液M1と接触することはない。つまり第1の薬液M1および第2の薬液M2はそれぞれ独立専用の流路を流通するので両薬液M1,M2が接触して混合することは全くない。
上記の説明では薬液M1,M2の薬液について説明したが、一方の薬液を血液とすることにも適用できる。例えば液注入用カニューレ本体51に輸血用のチューブを接続すれば、第1の薬液M1を点滴しながら輸血することが可能となる。
【0026】
図12は合流管の他の実施例を示し、該合流管60は左端部を上記合流管30の左端部と同様に形成し、右端部は上記ガイド管40の右端部とほぼ同形に形成したものである。すなわち合流管60は全体を管体で形成し、その長手方向の略中央に薬液流入用の流入ノズル61を形成し、該流入ノズル61の縁部にチューブ連結部611を形成する。合流管60の一方端部(図において左端部)は連結部62で、該連結部62は上記留置針20の連結部24の内側に液密に装着できるように構成する。63は連結部62に設けたカプラで全体がリング状で連結部62に回転可能に嵌合したものである。該カプラ63の内周面には上記留置針20のネジ部241とネジ結合可能なネジ部631に形成する。632はカプラ63の端部に形成したと凸起で連結部62に形成したストッパ621に引っ掛かるように構成し、合流管60においてカプラ63の端部方向(図の左方向)の移動を規制する。
【0027】
64は合流管60の他端部(図において右端部)の外径を拡張して形成した連結部で外周部にネジ部641を、内周部にネジ部642を形成する。連結部64の内奥部を逆止弁取付部とし、そこに逆止弁65を装着する。なお、逆止弁65は上記逆止弁35と同形のものでよい。
上記合流管30を上記合流管60に換えて点滴装置を構成する場合には、ガイド管40は不要となる。すなわち留置針20と合流管60との連結は、留置針20と合流管30との連結方法と同じ手段で行い、連結した留置針20と合流管30へ薬液注入用カニューレ50を直接挿通し、薬液注入用カニューレ50の基部52を合流管60の連結部64内に装着すればよい。以下の操作は上記合流管30を用いた場合はガイド管40の組み付け作業が不要となるので、その分の作業が簡略できる。
なお、本発明においては2種の薬液の何れかが血液であることも含む。また、薬液M1,M2の薬液の流路を上記説明の流路と相互に変えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明点滴装置の全体を示す正面図。
【図2】 本発明点滴装置の留置針の一部断面拡大図。
【図3】 本発明点滴装置の合流管の一部断面拡大図。
【図4】 本発明点滴装置のガイド管の一部断面拡大図。
【図5A】 本発明点滴装置の薬液注入用カニューレの一部断面拡大図。
【図5B】 本発明点滴装置の薬液注入用カニューレ内に長穿刺針が装着されている状態を示す一部断面拡大図。
【図6】 本発明点滴装置の使用方法を示す説明図。
【図7】 図6と同じ。
【図8】 図6と同じ。
【図9】 図6と同じ。
【図10】 図6と同じ。
【図11】 図6と同じ。
【図12】 本発明点滴装置の合流管の他の実施例の一部断面拡大図。
【図13】 従来の点滴装置の概要を示す説明図。
【符号の説明】
20…留置針、21…留置針本体、25…穿刺針、26…留置針の先端部、30…合流管、31…流入ノズル、40…ガイド管、50…薬液注入用カニューレ、511…薬液注入用カニューレの先端部、52…穿刺針、60…他の実施例の合流管。
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液・輸血において薬液あるいは血液等を人体の血管へ注入するための医療点滴静脈注射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療点滴静脈注射(以下点滴という)装置はバック等に充填した薬液を患者の静脈に刺入した注射針から静脈へ注入するためのものである。バックと注射針は専用チューブで繋がれ点滴ラインが形成される。点滴ラインの途中には薬液が滴下されるチャンバーがあり、ここで薬液中の微小な気泡が除去されると共に時間当たりの注入量を測ることができる。
輸液の薬液としては、生理食塩水、ブドウ糖、ニューキノロン系抗菌製剤、塩酸アヘンアルカロイド、その他電解質溶液、水等があり、また、輸血では血液、輸血製剤等がある。
【0003】
一般的な点滴は一つの点滴ライン(第1の点滴ライン)で一つの薬液の注入が行われる。しかし、この第1の点滴ラインとは別途に第2の点滴ライン点滴ラインを設けて他の薬液例えばプロスタクランジン(生理活性物質)、抗トロンビン製剤(凝血防止)、その他補助的薬剤の点滴または輸血が必要とされる場合があり、第1の点滴ラインの点滴と平行させ、あるいは交互に第2の点滴を行うことがある。この場合は患者の静脈の2箇所に注射針を刺入することになり、患者にとって大きな負担となっていた。これを解消するために、患者の静脈の1箇所に1本の注射針を穿刺し、該注射針に第1の点滴ラインと第2の点滴ラインの薬液が同時にまたは選択的に流通できるようにした単針型の点滴装置が、特開平8−336601号や特開昭61−11055号等で提供されている。
【0004】
図13は特開平8−336601号の点滴装置の概要を示している。該図13において、第1の薬液バック1に保存されている第1の点滴薬液M1は薬液バック1の下側に配置された第1の滴下チャンバー2に滴下し、該滴下チャンバー2から第1のチューブ3、Y字管4、共用チューブ5を経由して注射針6に送流されるようになっている。
一方、第2の薬液バック7に保存されている第2の点滴薬液M2は薬液バック7の下側に配置された第2の滴下チャンバー8に滴下し、該滴下チャンバー8から第2のチューブ9、Y字管4、共通チューブ5を経由して注射針6に送流されるようになっている。
従ってこの従来例では、Y字管4、共用チューブ5および注射針6には第1の薬液M1と第2の薬液M2が流通する。つまり、第1の点滴薬液M1と第2の点滴薬液M2とを同時に通流させた場合にはY字管4において両薬液は混合され、注射針6から患者の静脈へ注入できる。よって注射針6の1箇所のみの刺入で2種の薬液を同時または交互に点滴することが可能となる。
【0005】
また特開昭61−11055号の発明は特開平8−336601号の図13中のY字管4をセレクタバルブに置き換えたものに相当する。つまりセレクタバルブには第1の点滴薬液M1と第2の点滴薬液M2とが自動かつ選択的に流入し、出口側に接続されたラインの末端に配置された1本の注射針から上記特開平8−336601号と同様に患者の静脈へ注入できる。
【特許文献1】特開平8−336601号
【特許文献2】特開昭61−11055号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開平8−336601号の従来例ではY字管4から注射針6までのラインには第1の薬液M1と第2の薬液M2が流通し、両薬液が接触し混合するので、特にY字管4内に薬液の析出物が発生し付着し易い。Y字管4内に析出物が付着すると、薬液の流量調節が困難になる問題があった。加えて、Y字管4では薬液M1と薬液M2との合流で液圧や流量が相互に影響し、これによっても両薬液M1,M2の流量調節が困難となり易く、その対策を施さなければならない問題もあった。
【0007】
なお、第1の薬液M1と第2の薬液M2を交互に切り替えて一方のみの薬液を点滴する場合であっても、切り替える前の薬液が共通ラインに一部残留するため切り替えた後の薬液が残留する薬液を押し出す状態となり、そこで上記と同様に両薬液の混合が行われ上記と同様の析出物が発生し付着する問題があった。この問題は特開昭61−11055号の装置においても同様に発生する虞がある。
この発明の目的は、上記の従来の問題を解消するもので、1本の注射針を静脈の一箇所に穿刺し、2種の薬液が静脈へ注入するまでの間、相互に接触かつ混合することなく安定に点滴できる単針型の点滴装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の目的を達成するために提供するもので、請求項1の発明は、先端部が先鋭の管状体でなる留置針本体と、管状体でなり一方端部が上記留置針本体と着脱可能で側部に流入ノズルを設けた合流管と、先端が先細りのチューブ体でなる薬液注入用カニューレとを有し、上記留置針本体と上記合流管とを連結してなる連結体の内部に上記薬液注入用カニューレを挿入し、該薬液注入用カニューレの先端部を上記留置針本体の先端から突出させ、上記連結体に2流通路が形成可能に構成し、請求項2の発明は、先端部が先鋭の管状体でなる留置針本体と、管状体でなり一方端部が上記留置針本体と着脱可能で側部に流入ノズルを設けた合流管と、管状体でなり一方端部が上記合流管の他端部と着脱可能なガイド管と、先端が先細りのチューブ体でなる薬液注入用カニューレとを有し、上記留置針本体と上記合流管と上記ガイド管を連結してなる連結体の内部に上記薬液注入用カニューレを挿入し、該薬液注入用カニューレの先端部を上記留置針本体の先端から突出させ、上記留置針本体と上記合流管との連結部体に2流通路が形成可能に構成し、請求項3の発明は、上記請求項1または2の発明において、上記留置針本体の先端部に薬液吐出口を形成し、請求項4の発明は、上記請求項1ないし3の発明において、上記留置針本体を、内部に挿入した穿刺針の先端部が上記留置針本体の先端から突出可能に構成し、請求項5の発明は、上記薬液注入用カニューレを、内部に挿入した長穿刺針の先端部が上記薬液注入用カニューレの先端から突出可能に構成したことである。
【発明の効果】
【0009】
本発明点滴装置は患者の静脈の一箇所のみの刺入で、2種の薬液を同時または交互に点滴することが可能であるため患者への負担を軽減することができ、かつ、2種の薬液はそれぞれが独立専用の流通路を流通して静脈に達するので、静脈に到達するまでの間に2種の薬液が接触することは全くなく、2種の薬液の混合による析出物の発生を防止できる効果がある。また、請求項2の発明では構成要素の一部にガイド管を付設したので、注射装置のセッティングにおける薬液注入用カニューレの組み付け操作が容易となる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の点滴装置10の主要部を示し、該点滴装置10は、図1中の符号20,30,40,50で示す各構成要素からなる。すなわち、20は留置針、30は合流管、40はガイド管、50は薬液注入用カニューレである。図2ないし図5は点滴装置10を各構成要素に分離した状態を示し、図2は留置針20、図3は合流管30、図4はガイド管40、図5は薬液注入用カニューレ50で、各構成要素の詳細を示している。以下に上記各構成要素を詳細に説明する。
【0011】
図2において留置針20は管状体の留置針本体21と該留置針本体21内に挿入した穿刺針25とでなる。留置針本体21の先端部(図において左端部)は先細り針状の穿刺部22に形成する。23は穿刺部22の側面に複数穿孔してなる吐出口である。留置針本体21の基端部(図において右端部)には径方向を拡張してなる連結部24を設け、その外周面にネジ部241を形成する。242は連結部24の形成に伴って形成された段部であり、また、連結部24の内側にも段部242に相応するように段部243が形成される。なお、留置針本体21の長手方向の標準的な全長Lは40mm〜50mm、穿刺部22先端の標準的な内径は22G(0.7176mm)〜19G(1.067mm)である。
【0012】
穿刺針25は主要部が金属等の硬質材質の細い管体でなり、先端部(図において左端部)251を先鋭に形成し、他端部(図において右端部)は固定部材26に一体に取り付ける。そして穿刺針25を留置針本体21内にセットしたとき、図2に示すようにその先端部251が留置針本体21の穿刺部22から所定長さ突出するように構成する。なお、図2においては穿刺針25が留置針本体21内にセットされた状態を示したが、図1のように留置針本体21が他の構成体と組み合わされたときは留置針本体21から外される。
【0013】
図3において、合流管30は全体を管体で形成し、その長手方向の略中央に薬液流入用の流入ノズル31を形成し、該流入ノズル31の端部にチューブ連結部311を形成する。合流管30の一方端部(図において左端部)は連結部32に形成し、該連結部32が上記留置針20の連結部24の内側に液密に装着して連結できるように構成する。すなわち、連結部32には回転可能なカプラ33を嵌合させて取り付ける。該カプラ33は、全体がリング状で内周面に上記留置針本体21のネジ部241とネジ結合可能なネジ部331を形成する。332はカプラ33の端部に形成した突起でカプラ33が図において左方向に移動したときストッパ321に引っ掛かり、その移動を規制する。
【0014】
34は合流管30の他端部側(図において右端部側)に形成した連結部で外周部にネジ部341を形成し、末端部を逆止弁取付部342に形成する。
35は逆止弁で、全体が短くかつ径に段差がある管体でなり、径が太い部分36の内側に逆止弁本体37を張って取り付ける。逆止弁本体37はシリコンゴム等の弾性シートでなり、中心部に後述の長穿刺針55を刺し通したときに挿通孔371が形成される。逆止弁35の径が細い部分は取付部38とし、合流管30の逆止弁取付部342内に嵌合し、逆止弁35が合流管30の連結部34にセットできるように形成する。合流管30の長手方向の標準的な全長は40mm〜50mmである。
【0015】
図4において、ガイド管40は全体を所定の長さの管体で形成し、一方端部(図において左端部)に連結部41を設け、その内側に上記合流管30の連結用ネジ部341とネジ結合可能なネジ部411を形成する。ガイド管40の他方端部(図において右端部)には連結部42を設け、その外側面にネジ部421を、内側面にネジ部422を形成する。ガイド管40の長手方向の標準的な全長は30mm〜40mmである。
【0016】
図5Aにおいて、薬液注入用カニューレ50は、主要部が塩化ビニル等の柔軟なチューブで形成し、先端部(図5Aにおいて左端部)はシリコンゴム等の柔軟でかつ先鋭の穿刺部51に形成し、他端部(図5Aにおいて右端部)は径方向を拡張してなる基部52に形成する。該基部52の外周面には上記ガイド管40のネジ部422とネジ結合可能なネジ部521を形成する。薬液注入用カニューレ50の長手方向の標準的な全長は120mm〜160mm、穿刺部51先端の標準的な内径は24G(0.5652mm)〜22G(0.7176mm)である。
【0017】
なお、薬液注入用カニューレ50が単品で保存されているときは、図5Bに示すように内部に長穿刺針55が装着されている。該長穿刺針55は金属等の硬質の管体でなり、先端部(図において左端部)56を先鋭に形成し、他端部(図において右端部)を基体57に一体に固定する。なお、長穿刺針55を薬液注入用カニューレ50内に装着したとき、先端部5が穿刺部51の先端から所定長さ突出する用に構成する。
【0018】
次に本発明の点滴装置10の使用方法について説明する。始めに、点滴装置10を患者の静脈へ取付ける方法から説明する。まず、図2に示すように留置針本体21内に穿刺針25がセットされている留置針20を図6に示すように静脈90へ穿刺する。すなわち穿刺針25先端部251から静脈へ穿刺し、穿刺部22の吐出口23が静脈内に埋没するまで差し入れる。その後、穿刺針25を留置針本体21から抜き取る。これにより留置針本体21は穿刺部22が静脈内に穿刺した状態で留置される(図7参照)。
【0019】
次に静脈90に留置した留置針20の連結部24に合流管30の連結部32を連結し、留置針本体21と合流管30とを内部連通に接続する。すなわち、合流管30の連結部32を留置針本体21の連結部24の内側に挿入し、カプラ33を留置針本体21のネジ部241にネジ留めする。これにより、カプラ33の突起332がストッパ321に引っ掛かり、連結部32が留置針本体21の連結部24内に押し込まれ連結される(図8参照)。
次に、上記合流管30の連結部34にガイド管30の連結部41を連結して合流管30とガイド管40とを内部連通に接続する。この場合の連結は上記留置針20の連結部24と合流管30の連結部32との連結方法と同様に行う。以上により留置針本体21と合流管30およびガイド管30は直列状に連結した連結体10aを形成する(図9参照)。
【0020】
次に、内部に長穿刺針55がセットされている薬液注入用カニューレ50を上記連結体10a内に対しガイド管40の連結部42側から先ずガイド管40内に挿入し、そのまま挿入を続けて合流管30内に挿入する。合流管30内においては逆止弁本体37の中心部に薬液注入用カニューレ50を挿通させる。この挿通により前記した挿通孔371が形成される。そしてさらに薬液注入用カニューレ50を押し進めて留置針本体21へ挿通し、長穿刺針55の先端部56を留置針本体21の先端(穿刺部22)から突出させ静脈90へ刺入する。これに伴って薬液注入用カニューレ50の穿刺部51も留置針本体21の先端(穿刺部22)から突出し静脈90へ刺入すると共に基部52をガイド管40の連結部42内に装着する。その後長穿刺針55を薬液注入用カニューレ50から抜き取る(図5A,図10参照)。
【0021】
なお、ガイド管40は上記の薬液注入用カニューレ50を上記連結体10a内に挿通させる際のガイドとなりその操作がし易くなる。特に逆止弁本体37の中心に薬液注入用カニューレ50を挿通させる際その効果が発揮する。以上により構成した本発明点滴装置10は2重管構造を形成し、内部に独立専用の2流通路が形成されることになる。すなわち、一つは薬液注入用カニューレ50自体の内部通路であり、他の一つは薬液注入用カニューレ50の外面と、留置針20および合流管30の内面との間の間隙通路である。該間隙通路の入口は合流管30の流入ノズル31で、出口は留置針本体21の留置針本体21の先端部と吐出口23である。
【0022】
次に点滴回路の形成方法について図11により説明する。なお、図13に示した従来技術と共通するものは同じ符号を用いて以下説明する。図11において1は第1の薬液M1を充填した第1の薬液バック、2は第1の薬液バック1の下側に配置した第1の滴下チャンバーで、第1の薬液バック1内の第1の薬液M1が滴下して流入するようになっている。3は滴下チャンバー2の下側に取り付けた第1のチューブで末端部は合流管30の流入ノズル31のチューブ連結部311に連結する。その連結手段は任意であるが、例えば、第1のチューブ3の末端に設けてあるカプラ3aをチューブ連結部311に嵌合すればよい。
【0023】
7は第2の薬液M2を充填した第2の薬液バック、8は上記と同様に第2の薬液バック7の下側に配置した第2の滴下チャンバーで、第2の薬液バック2内の第2の薬液M2が滴下して流入するようになっている。9は滴下チャンバー8の下側に取り付けた第2のチューブで末端部は薬液注入用カニューレ50の基部52に連結する。この連結手段も任意であるが、例えば、第2のチューブ9の末端に設けてあるカプラ9aをガイド管40の連結部42に嵌合すればよい。なお、第1のチューブ3および第2のチューブ9には、チューブ内の薬液の流通路の開閉や流量の調節するペアン挟み部やコントローラ等が付設(図示せず)してある。
【0024】
第1の薬液M1の点滴を開始するには、第1の滴下チャンバー2および第1のチューブ3等を流通状態にする。これにより、第1の薬液M1は第1のバック1から第1の滴下チャンバー2、第1のチューブ3、合流管30の流入ノズル31を経由して合流管30内へ流入し、さらに合流管30から留置針20へ流通し留置針20の先端26および薬液吐出口25から静脈へ注入する。なお、合流管30および留置針20内では第1の薬液M1は上記した間隙通路を流通する。
他方、第2の薬液M2の点滴を開始するには、第2の滴下チャンバー8および第2のチューブ9等を流通状態にする。これにより第2の薬液M2は第2のバック7から第2の滴下チャンバー8、第2のチューブ9、薬液注入用カニューレ50の基部52から薬液注入用カニューレ50内へ流入し、穿刺部51先端から静脈へ注入する。
【0025】
従って第1の薬液M1が合流管30から留置針20への流通の有無に関係なく、第2の薬液M2は薬液注入用カニューレ50の専用流路を流通するので静脈90へ達するまでの間に第1の薬液M1と接触することはない。つまり第1の薬液M1および第2の薬液M2はそれぞれ独立専用の流路を流通するので両薬液M1,M2が接触して混合することは全くない。
上記の説明では薬液M1,M2の薬液について説明したが、一方の薬液を血液とすることにも適用できる。例えば液注入用カニューレ本体51に輸血用のチューブを接続すれば、第1の薬液M1を点滴しながら輸血することが可能となる。
【0026】
図12は合流管の他の実施例を示し、該合流管60は左端部を上記合流管30の左端部と同様に形成し、右端部は上記ガイド管40の右端部とほぼ同形に形成したものである。すなわち合流管60は全体を管体で形成し、その長手方向の略中央に薬液流入用の流入ノズル61を形成し、該流入ノズル61の縁部にチューブ連結部611を形成する。合流管60の一方端部(図において左端部)は連結部62で、該連結部62は上記留置針20の連結部24の内側に液密に装着できるように構成する。63は連結部62に設けたカプラで全体がリング状で連結部62に回転可能に嵌合したものである。該カプラ63の内周面には上記留置針20のネジ部241とネジ結合可能なネジ部631に形成する。632はカプラ63の端部に形成したと凸起で連結部62に形成したストッパ621に引っ掛かるように構成し、合流管60においてカプラ63の端部方向(図の左方向)の移動を規制する。
【0027】
64は合流管60の他端部(図において右端部)の外径を拡張して形成した連結部で外周部にネジ部641を、内周部にネジ部642を形成する。連結部64の内奥部を逆止弁取付部とし、そこに逆止弁65を装着する。なお、逆止弁65は上記逆止弁35と同形のものでよい。
上記合流管30を上記合流管60に換えて点滴装置を構成する場合には、ガイド管40は不要となる。すなわち留置針20と合流管60との連結は、留置針20と合流管30との連結方法と同じ手段で行い、連結した留置針20と合流管30へ薬液注入用カニューレ50を直接挿通し、薬液注入用カニューレ50の基部52を合流管60の連結部64内に装着すればよい。以下の操作は上記合流管30を用いた場合はガイド管40の組み付け作業が不要となるので、その分の作業が簡略できる。
なお、本発明においては2種の薬液の何れかが血液であることも含む。また、薬液M1,M2の薬液の流路を上記説明の流路と相互に変えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明点滴装置の全体を示す正面図。
【図2】 本発明点滴装置の留置針の一部断面拡大図。
【図3】 本発明点滴装置の合流管の一部断面拡大図。
【図4】 本発明点滴装置のガイド管の一部断面拡大図。
【図5A】 本発明点滴装置の薬液注入用カニューレの一部断面拡大図。
【図5B】 本発明点滴装置の薬液注入用カニューレ内に長穿刺針が装着されている状態を示す一部断面拡大図。
【図6】 本発明点滴装置の使用方法を示す説明図。
【図7】 図6と同じ。
【図8】 図6と同じ。
【図9】 図6と同じ。
【図10】 図6と同じ。
【図11】 図6と同じ。
【図12】 本発明点滴装置の合流管の他の実施例の一部断面拡大図。
【図13】 従来の点滴装置の概要を示す説明図。
【符号の説明】
20…留置針、21…留置針本体、25…穿刺針、26…留置針の先端部、30…合流管、31…流入ノズル、40…ガイド管、50…薬液注入用カニューレ、511…薬液注入用カニューレの先端部、52…穿刺針、60…他の実施例の合流管。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部が先鋭の管状体でなる留置針本体と、管状体でなり一方端部が上記留置針本体と着脱可能で側部に流入ノズルを設けた合流管と、先端が先細りのチューブ体でなる薬液注入用カニューレとを有し、上記留置針本体と上記合流管とを連結してなる連結体の内部に上記薬液注入用カニューレを挿入し、該薬液注入用カニューレの先端部を上記留置針本体の先端から突出させ、上記連結体に2流通路が形成可能に構成したことを特徴とする医療点滴静脈注射装置。
【請求項2】
先端部が先鋭の管状体でなる留置針本体と、管状体でなり一方端部が上記留置針本体と着脱可能で側部に流入ノズルを設けた合流管と、管状体でなり一方端部が上記合流管の他端部と着脱可能なガイド管と、先端が先細りのチューブ体でなる薬液注入用カニューレとを有し、上記留置針本体と上記合流管と上記ガイド管を連結してなる連結体の内部に上記薬液注入用カニューレを挿入し、該薬液注入用カニューレの先端部を上記留置針本体の先端から突出させ、上記留置針本体と上記合流管との連結部体に2流通路が形成可能に構成したことを特徴とする医療点滴静脈注射装置。
【請求項3】
上記留置針本体の先端部に薬液吐出口を形成したことを特徴とする請求項1または2記載の医療点滴静脈注射装置。
【請求項4】
上記留置針本体を、内部に挿入した穿刺針の先端部が上記留置針本体の先端から突出可能に構成したことを特徴とする請求項1ないし3記載の医療点滴静脈注射装置。
【請求項5】
上記薬液注入用カニューレを、内部に挿入した長穿刺針の先端部が上記薬液注入用カニューレの先端から突出可能に構成したことを特徴とする請求項1ないし4記載の医療点滴静脈注射装置。
【請求項1】
先端部が先鋭の管状体でなる留置針本体と、管状体でなり一方端部が上記留置針本体と着脱可能で側部に流入ノズルを設けた合流管と、先端が先細りのチューブ体でなる薬液注入用カニューレとを有し、上記留置針本体と上記合流管とを連結してなる連結体の内部に上記薬液注入用カニューレを挿入し、該薬液注入用カニューレの先端部を上記留置針本体の先端から突出させ、上記連結体に2流通路が形成可能に構成したことを特徴とする医療点滴静脈注射装置。
【請求項2】
先端部が先鋭の管状体でなる留置針本体と、管状体でなり一方端部が上記留置針本体と着脱可能で側部に流入ノズルを設けた合流管と、管状体でなり一方端部が上記合流管の他端部と着脱可能なガイド管と、先端が先細りのチューブ体でなる薬液注入用カニューレとを有し、上記留置針本体と上記合流管と上記ガイド管を連結してなる連結体の内部に上記薬液注入用カニューレを挿入し、該薬液注入用カニューレの先端部を上記留置針本体の先端から突出させ、上記留置針本体と上記合流管との連結部体に2流通路が形成可能に構成したことを特徴とする医療点滴静脈注射装置。
【請求項3】
上記留置針本体の先端部に薬液吐出口を形成したことを特徴とする請求項1または2記載の医療点滴静脈注射装置。
【請求項4】
上記留置針本体を、内部に挿入した穿刺針の先端部が上記留置針本体の先端から突出可能に構成したことを特徴とする請求項1ないし3記載の医療点滴静脈注射装置。
【請求項5】
上記薬液注入用カニューレを、内部に挿入した長穿刺針の先端部が上記薬液注入用カニューレの先端から突出可能に構成したことを特徴とする請求項1ないし4記載の医療点滴静脈注射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−31613(P2013−31613A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178114(P2011−178114)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【特許番号】特許第5019242号(P5019242)
【特許公報発行日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【出願人】(507183734)
【出願人】(507183479)
【出願人】(507183480)
【出願人】(511200328)
【出願人】(511200340)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【特許番号】特許第5019242号(P5019242)
【特許公報発行日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【出願人】(507183734)
【出願人】(507183479)
【出願人】(507183480)
【出願人】(511200328)
【出願人】(511200340)
【Fターム(参考)】
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