説明

医療用流体混合装置およびその組立方法

【課題】装置の2つの本体の間の元に戻せない接続が、医療用流体の外側への偶然の漏れの危険性がない、医療用流体を混合する装置を提供する。
【解決手段】異なる弾性を有する材料からなり、互いに接続される開放された端部(7,11)を有する2つの管状の本体(1,2)を含む医療用装置は、第2本体(2)の端部(11)が第1本体(1)の端部(7)に摩擦挿入されて、径方向突起(15)によって固定され、径方向突起(15)は、第1本体(1)の端部(7)の壁の塑性変形によって形成され、第2本体(2)の端部(11)に対して係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して医療装置、特に2つの同軸で管状の異なる本体を含む医療用流体の混合装置に関する。第1の材質からなる第1本体は、医療用流体の容器に挿入できる中空のスパイク(釘状部)を有し、第1の材質よりも弾性のある第2の材質からなる第2本体は、スパイクと反対側に設けた出口を有する。さらに、第1本体は、第1の流体と混合できる第1の医療流体の導入のための側方アクセス口を有する。
【0002】
2つの本体は、それぞれ、相互接続される開放された端部を有し、第2本体の端部が第1本体の端部の中に軸方向に挿入されて固定される。
【0003】
上記の種類の混合装置は、典型的には容器に収容された有毒薬品の抽出に使用され、前記薬品の第2の流体との混合のために中空のスパイクが容器に挿入され、そして出口を通して混合物を引き抜くことができる。
【背景技術】
【0004】
上述の公知の混合装置には、2つの管状の本体の間の恒久的な堅固な接続が、2つの異なる材質、伝統的にはプラスチック材料の間で提供される問題がある。第1本体は、熱可塑性高分子材料(例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、ABS等)からなり、第2本体は、弾性高分子材料または熱可塑性ゴムからなるかもしれない。そのような材料の間の、使用中に医療用流体が誤って漏れる危険を防止するために必要な元に戻せない接続は、のりまたは接着剤では十分に安全で信頼性のある方法で得られない。
【0005】
前記問題を解決する試みにおいて、第2本体の開放された端部の第1本体の開放された端部の中への摩擦状態の挿入およびスナップ式接続によって、混合装置の2つの本体の間の接続を行い、第2本体の開放された端部は、第1本体の端部の壁に形成された1以上の対応する開口に係合するように設計された1以上の径方向の突起を備えることが、カルメル・ファルマ社の名の下に出願された欧州特許第1492590号明細書に提案されている。
【0006】
この構成によると、2つの本体の間の元に戻せない接続を提供し、それによって偶然に分離する危険を防止するのには好ましいが、大きな欠点となる2つの本体の間の相互のスナップ式接続の部分を通して医療用流体が漏れる危険性を排除できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、前記欠点を克服し、それにより、装置の2つの本体の間の元に戻せない接続が、医療用流体の外側への偶然の漏れの危険性がない、医療用流体を混合する装置およびその組み立て方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、装置の第1本体および第2本体の前記開放された端部の間の接続が、第1本体の端部に対して係合する径方向突起を介して得られ、第2本体の端部の第1本体の端部への摩擦挿入の後で、第1本体の前記端部の壁の塑性変形によって得られる。
【0009】
この構成のお陰で、装置の2つの本体の間の相互のスナップ式係合のための前記公知の構成が取り除かれ、使用中に医療用流体が漏れる危険性が排除される。
【0010】
可動式パンチを備える装置によって、意図的に提供された塑性変形のための装置により得られた第1本体の端部の壁の径方向突起は、都合よくは、実質的に球面を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、純粋に非限定的例示の方法として提供される添付の図面を参照して詳細に説明される。
【図1】本発明に係る医療用流体を混合する装置の組み立て前の分解斜視図である。
【図2】第1の組み立て行程の後の混合装置の軸方向断面図である。
【図3】図2と同様の90°回転した軸方向断面図である。
【図4】図2を拡大した詳細図である。
【図5】第2の組み立て工程の後の最終形態の混合装置を示す斜視図である。
【図6】組み立て装置の軸方向断面図である。
【図7】図6と同様の90°回転した軸方向断面図である。
【図8】図6を拡大した詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
先ず、図1を参照すると、本発明に係る医療用流体を混合する装置は、第1中空本体1および第2中空本体2を含み、それらは、異なる2種類のプラスチック材料のモールド成形によって異なる要素として得られ、第2本体2の材料は、第1本体1の材料よりも弾力がある。例えば、第1本体1は、ポリプロピレン、ポリカーボネイトまたはABSのような熱可塑性高分子材料で形成できるが、第2本体2の材料は、弾性高分子化合物または熱可塑性ゴムであり得る。前記材料は、純粋な例示であって限定ではない。
【0013】
第1本体1は、一端の中空のスパイク(釘状部)3と、スパイク3と反対側の開放された端部7とを有する。スパイク3は、第1医療用流体のための第1の軸方向入口流路4と、第2医療用流体の注入のための側方管状コネクタ6と接続された第2の軸方向流路とを有し、第1医療用流体の容器に挿入される。開放された端部7の中に延伸するのは、径方向流路4と連通し、前記端部7と共に環状の座9を画定する一体化された管状付属部8である。
【0014】
10で示されているのは、引き抜き可能にスパイク3の外側に嵌装できる保護キャップである。
【0015】
第2本体2は、以下に明らかにする様式の第1本体1と接続するための開放された端部11と、反対側の端部に開放可能な一体プラグ13によって通常は閉鎖されている出口開口12とを有する。
【0016】
本体2の端部11には、環状溝14が設けられ得るが、その存在は必須ではない。
【0017】
図2および3は、第1本体1と第2本体2との間の第1の組み立て行程後の混合装置を示す。前記工程は、本体2の端部11の環状座9への軸方向の真っ直ぐな挿入が想定される。端部11の外面および内面の寸法は、図4により詳細に示すように、摩擦によって端部7の内面および管状付属部8の外面とそれぞれぴったり嵌合させられるようなものである。前記摩擦による軸方向の嵌合にもかかわらず、本体1および2の間のユニオン接続は、それらの軸方向の分離の可能性を防止するためには十分ではなく、使用中に本体1の中の混合された医療用流体が偶発的に漏出する許容できない危険をもたらすかもしれない。前記理由により、本体1と本体2との間の組み立ては、本発明によれば、図5から6に示すさらなる工程が想定され、それにより、本体1および2が恒久的で実質的に元に戻せないような方法で接続される。
【0018】
前記工程は、本発明によれば、1以上の径方向突起15を本体1の端部7の壁に形成することが想定される。径方向突起15は、好ましくは、環状に複数配設され、本体2の端部11の外面に向かって突出し、図8により詳細に示すような方法でそれに係合するように、塑性変形が得られる。前記径方向突起15は、本体2の端部11の環状溝14に対応し、不図示の器具の助けを借りて、本体1の端部7の壁に局部的圧縮を与えることによって得られてもよいことが想定される。器具は、装置の挿入の座に対応して、引っ込んだ位置と突出した位置との間で移動可能な径方向パンチのリングを含み、突起15を提供するのに十分な量だけ端部7の壁を径方向に変形させる。このようにして、端部7の壁に生成されたものは、その外面に凹んだ痕を形成する材料の移動によるものであり、その外面が、突起15を構成する突出した突起に対応する。
【0019】
よって、突起15の本体2の端部11に対する係合は、先に説明したように軸方向の力によって、既に接続されている本体1および2の間の恒久的で元に戻せない相互の機械的固定を提供し、それにより、安全で信頼性のある方法で、それらの偶発的分離の危険を防止する。本体1と2との間のユニオン接続の部分に穴または開口を設ける必要がなく得られた前記の元に戻せないユニオン接続は、混合装置の使用中の医療用流体の偶発的な漏出の危険を等しく安全な方法で防止する。
【0020】
当然に、構造および実施形態の細部は、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、ここに説明および図示したものから非常に広範に変形してもよい。
【符号の説明】
【0021】
1…第1本体
2…第2本体
3…スパイク
4…軸方向入口流路
5…軸方向流路
6…側方アクセス口
7…端部
8…管状付属部
9…環状隙間
11…端部
14…環状溝
15…径方向突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの異なる同軸で管状の第1本体(1)および第2本体(2)を含み、
前記第1本体(1)は、第1のプラスチック材料で形成され、医療用流体の容器に挿入できる中空のスパイク(3)を備え、
前記第2本体(2)は、前記第1のプラスチック材料よりも弾性のある第2のプラスチック材料で形成され、前記スパイク(3)と反対側に出口(12)が設けられ、
前記第1本体(1)は開放された端部(7)を有し、前記第2本体(2)は開放された端部(11)を有し、前記第1本体(1)の前記端部(7)と前記第2本体(2)の前記端部(11)とは互いに接続され、
前記第2本体(2)の前記端部(11)は、前記第1本体(1)の前記端部(7)の中に軸方向に摩擦挿入され、実質的に元に戻せない方法で固定された、医療用流体を混合するための医療用装置であって、
前記実質的に元に戻せない方法の接続は、前記第1本体(1)の前記端部(7)の中に前記第2本体(2)の前記端部(11)を挿入した後、前記第1本体(1)の前記端部(7)の壁の塑性変形によって得られ、前記第2本体(2)の前記端部(11)に対して係合した径方向突起(15)からなることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記径方向突起(15)は、環状に複数配設されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記径方向突起(15)は、実質的に球面を有することを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1本体(2)の前記端部(11)は、前記第1本体(1)の前記端部(7)と、前記第1本体(1)の前記端部と共に環状の隙間(9)を画定する同芯の管状付属部(8)との間に軸方向に挿入されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記中空のスパイク(3)は、前記医療用流体のための第1の軸方向入口流路(4)と、第1の医療用流体を導入するための側方アクセス口(6)に接続された第2の軸方向流路(5)とを有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記第2本体(2)の前記端部(11)は、前記第1本体(1)の前記端部(7)の前記径方向突起(15)に軸方向に一致する環状溝(14)を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
2つの異なる同軸で環状の第1本体(1)および第2本体(2)を含み、
前記第1本体(1)は、第1のプラスチック材料で形成され、医療用流体の容器に挿入できる中空のスパイク(3)を備え、
前記第2本体(2)は、前記第1のプラスチック材料よりも弾性のある第2のプラスチック材料で形成され、前記スパイク(3)と反対側に出口(12)が設けられ、
前記第1本体(1)は開放された端部(7)を有し、前記第2本体(2)は開放された端部(11)を有し、前記第1本体(1)の前記端部(7)と前記第2本体(2)の前記端部(11)とが互いに接続される、医療用流体を混合するための医療用装置の組み立て方法であって、
前記第2本体(2)の端部(11)を、前記第1本体(1)の前記端部(7)の中に軸方向に摩擦挿入するステップと、実質的に元に戻せない方法で前記端部(7、11)を固定するステップとを含み、
前記固定するステップは、
前記第1本体(1)の前記端部(7)の中への前記第2本体(2)の前記端部(11)の挿入の完了後に、前記第1本体(1)の前記端部(7)の局所的塑性変形によって、前記第2本体(2)の前記端部(11)に対して係合する少なくとも1つの径方向突起(15)を設けることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記塑性変形により、環状に配置された複数の前記径方向突起(15)を設けることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記径方向突起は、実質的に球面に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−110692(P2012−110692A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239134(P2011−239134)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(507028619)インドゥストリー・ボルラ・ソシエタ・ペル・アチオニ (10)
【氏名又は名称原語表記】Industrie Borla S.p.A.
【Fターム(参考)】